説明

車両型警備装置

【課題】犯罪者等に対して抑制心理が生まれるよう積極的に働きかけることで、犯罪等を未然に防止・抑止することが可能な警備装置を提供すること。
【解決手段】警備場所に常置する車両型警備装置であって、車両形状を呈する本体部と、太陽光発電を用いて電力を供給する発電手段と、人又は物の侵入を検知する検知手段と、前記検知手段による侵入検知後に発光又は音響によって警告する、警告手段と、を少なくとも備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置箇所周辺の無人警備を行うための警備装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設中の建物への不法侵入、駐車場へのたむろ、駐車車両への悪戯、産業廃棄物の不法投棄などの各種犯罪・迷惑行為を行う者(以下「犯罪者等」という。)の当該行為を記録するために、対象箇所にセンサーや監視カメラなどを設置する方法が一般的に行われている。
【0003】
また、車両の盗難を防止するシステムとして、下記特許文献1に記載される防犯システムなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−316777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記方法や防犯システムでは、以下の記載する問題のうち少なくとも一つが生じうる。
(1)犯罪者等が単なる機械と認識できるような警備装置では、有人警備と比較して犯罪者等に心理的な余裕を与えてしまい、犯罪者等に対して警戒心を与えることができない。
(2)センサなどによる異常の検知後から、警備員の現場到着までタイムラグが生じるため、犯罪者等に対し時間的な余裕を与えてしまい、有人警備と比較して犯罪等の行為に対する抑制心理が働きづらい。
(3)山奥などの電源が無い場所では、監視カメラなどの稼働のために、別途外部電源を確保する必要が生じてしまう。
(4)特許文献1に記載のシステムでは、該システムを取り付けた車両に対する盗難のみを検知するものであり、周辺の警備を行うものではなく、汎用性が低い。
【0006】
したがって、本願発明は、犯罪者等に対して抑制心理が生まれるよう積極的に働きかけることで、犯罪等を未然に防止・抑止することが可能な警備装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本願発明は、電源が無い場所においても稼働可能な警備装置を提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決すべくなされた本願発明は、警備場所に常置する車両型警備装置であって、車両形状を呈する本体部と、太陽光発電を用いて電力を供給する発電手段と、人又は物の侵入を検知する検知手段と、前記検知手段による侵入検知後に発光又は音響によって警告する、警告手段と、を少なくとも備えた、車両型警備装置を提供するものである。
【0009】
また、前記発明において、前記本体部に駆動源を除いた車両を用いることができる。
また、前記発明において、前記本体部を警備車両の外観に構成してもよい。
また、前記発明において、前記検知手段の検知後に本体部周辺を撮影する撮像手段を更に設けてもよい。
また、前記発明において、前記撮像手段による撮像データを添付して電子メールを送信する通信手段を更に設けてもよい。
また、前記発明において、前記検知手段、警告手段、撮像手段、通信手段のうち少なくとも何れか一つを前記本体部の内部に設けてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によれば、以下の効果のうち少なくとも一つを得ることができる。
(1)警備装置内部に人が乗車しているのではないかと犯罪者等に疑心させるため、無人カメラ等と比較して犯罪者等に対し心理的な影響を大きく与えることができ、犯罪等の抑制効果が高い。
(2)本体部に現実車両を用いる場合には、該車両に備えた駆動源が正常に作動することを必須とするものではないため、廃棄車両などを安価で取得して再利用すればよく、製造コストの低廉となり、環境に与える影響も小さい。
(3)警備車両が配備されているかのような心証を犯罪者等に与えることができ、犯罪等の抑制効果が高い。
(4)電源がない場所であっても内部の電源手段によって稼働可能なため、産業廃棄物の不法投棄が行われる山奥などの現場にも設置できる。
(5)本体部周辺を撮影することで、犯罪者等の特定がし易くなる。
(6)撮影データを警備本部等に自動的に送信することで、犯罪等に対する対策の迅速な着手に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本願発明に係る車両型警備装置の一実施例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面の図1を参照しながら、本願発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0013】
<1>全体構成
本願発明に係る車両型警備装置は、無人の駐車場、工事現場、その他の警備対象箇所に、定常的に設置して永続的に警備を行うことを基本とするものである。
図1に示すように、車両型警備装置は、車両形状を呈する本体部と、太陽光発電を用いて電源を供給する発電手段と、人又は物の侵入を検知する検知手段と、前記検知手段の検知後に発光又は音響によって警告する警告手段と、を少なくとも備える。
【0014】
<2>本体部
本体部1は、本願発明の外観を構成する要素である。
前記した通り、本願発明に係る車両型警備装置Aは警備箇所に定常的に設置することを基本の使用態様とするものであるから、本体部1が車両形状を呈してあればよく、走行機能を備えているか否かを問うものではない。
したがって、本体部1は、既存車両そのものを用いても良いし、車両の形状を模した外殻を構成する構造体を用いても良い。
【0015】
また、本発明の車両型警備装置の製造に際し、本体部1に既存車両を用いる場合には、新車、新古車、中古車、廃棄車などの各種の車両を使用することができる。廃棄車両などを低価格で調達すれば、装置全体の製造コストをより低廉に抑えることができる。また、廃棄車両を廃棄せずに再利用することが可能であるため、環境保護の面においても有益である。
【0016】
また、本発明の車両型警備装置の製造に際し、本体部1に既存車両を用いる場合には、エンジンなどの駆動源や、その他の内部機構を取り除いてもよい。本体部1を軽量化できれば、運搬性が向上する点で有益である。また、取り除いた各部材はその他の用途に再利用することができる点においても有益である。
【0017】
また、本発明の車両型警備装置の製造に際し、本体部1の外観を警備会社の車両と同一又は近似する塗装を施しておいてもよい。車両型警備装置を実際の警備車両に模すことにより、当該外観によって犯罪者等へ与える心理的影響を強くすることもできる。
【0018】
<3>発電手段
発電手段は、各手段に電力を供給する構成要素である。
発電手段は、ソーラーパネル2と、蓄電装置(図示せず)を組み合わせたものを用いることができる。
また、本体部1に既存車両を用いた際には、車両に予め備えてあるバッテリーを併用してもよい。
【0019】
<4>検知手段
検知手段は、本体部1周辺や、その他の指定領域への人又は物の侵入を検知する構成要素である。
検知手段は、赤外線、超音波、可視光などを用いた周知の人感式のセンサを用る。
【0020】
前記検知手段が検知対象とする人には、駐車場にたむろする者や、夜間の工事現場などに不法侵入する者、車上あらしなどの犯罪行為を行う者などが含まれる。
前記検知手段が検知対象とする物には、人が運転する自動車や、不法投棄された廃棄物などが含まれる。
【0021】
<5>警告手段
警告手段は、検知手段によって人又は物の侵入を検知した際に、侵入者に警告を発したり、あるいは周辺の人間の注意を惹起するための構成要素である。
警告手段には、発光装置、音響装置などを用いることができる。
発光装置には、前記検知手段が予め組み込まれてあるセンサーライト3や、前記検知手段と電気的に接続した青色の回転灯4などを用いることができる。
また、本体部1に既存車両を用いた際には、車両に予め備えてあるヘッドライトなどを流用又は併用してもよい。
音響装置には、一般的なブザー(図示せず)を用いることができる。また、また、本体部1に既存車両を用いた際には、車両に予め備えてあるクラクションなどを流用してもよい。
【0022】
<6>使用方法
本願発明の車両型警備装置の使用方法について説明する。
上記の通り、本願発明に係る車両型警備装置Aは、駐車場や、工事現場、その他の警備対象箇所に定常的に設置することを基本とするものである。したがって、車両型警備装置が走行機能を備えていれば、警備現場まで運転して設置してもよいし、走行機能を備えていなければ、現場までレッカー車などで運搬・設置してもよい。
車両型警備装置Aの設置後には、警備機能の電源を入れておいた状態でそのまま常置しておく。車両型警備装置Aは、日中は太陽光発電によって蓄電し、夜間は蓄電した電力を用いることで、24時間継続的な警備が可能となる。
なお、近年の太陽光発電性能によれば、一般的な車両程度の大きさの本体部の上面のうち、8分の1程度の面積にソーラーパネル2を敷設すれば、日照が1週間程度得られなくとも十分な電力を確保することができる。
【0023】
以上説明した通り、本願発明によれば、監視カメラ等の従来の警備装置と比較して、車両型警備装置の内部に人間がいるのではないか、という疑念を抱かせるため、各種犯罪・迷惑行為を行う者へ心理的影響を与え、未然に各種犯罪・迷惑行為を抑止することができる。
また、検知手段、警告手段を設けることにより、実際に異常が発生した場合においても、各種犯罪・迷惑行為を行う者に対する警告を行うことができる。
また、本体部の外観を警備会社所有の車両の外観と同一又は近似させることで、
該警備装置内に警備員の常駐を伺わせることができ、有人警備と同等の抑止効果を得ることができる。
【実施例2】
【0024】
本願発明に係る車両型警備装置は、前記検知手段の検知後に本体部周辺を撮影する撮像手段を更に設けることもできる。
撮像手段には、静止画、動画を撮影可能な周知のカメラを用いることができる。
また、夜間撮影が可能なカメラであればなお望ましい。
本実施例によれば、侵入者の撮像データを異常発生後の捜査資料として用いることができる。
【実施例3】
【0025】
本願発明に係る車両型警備装置は、前記撮像手段による撮像データを添付して電子メールを送信する通信手段を更に設けることもできる。
通信手段には、電話回線、無線LANなど周知の通信回線網を利用可能な通信装置(図示せず)などを用いることができる。
本実施例によれば、侵入者の撮像データを警備会社に送信したり、警察に転送することで、迅速な捜査開始に寄与する。
【実施例4】
【0026】
なお、前記検知手段、警告手段、撮像手段、通信手段のうち少なくとも何れかを本体部1の内部に設けておいてもよい。
本実施例によれば、各手段が本体部内部に収納されるため、外部から破壊される可能性が低くなるほか、設置場所の天候などの影響を受けることも無いため、各手段の機能をより確実に発揮することができる。
【符号の説明】
【0027】
A 車両型警備装置
1 本体部
2 ソーラーパネル
3 センサーライト
4 回転灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警備場所に常置する車両型警備装置であって、
車両形状を呈する本体部と、
太陽光発電を用いて電力を供給する発電手段と、
人又は物の侵入を検知する検知手段と、
前記検知手段による侵入検知後に発光又は音響によって警告する、警告手段と、
を少なくとも備えた、車両型警備装置。
【請求項2】
前記本体部は、駆動源を除いた車両であることを特徴とする、請求項1に記載の車両型警備装置。
【請求項3】
前記本体部を、警備車両の外観に構成してあることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両型警備装置。
【請求項4】
前記検知手段の検知後に本体部周辺を撮影する撮像手段を更に設けたことを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両型警備装置。
【請求項5】
前記撮像手段による撮像データを添付して電子メールを送信する通信手段を更に設けたことを特徴とする、請求項4に記載の車両型警備装置。
【請求項6】
前記検知手段、警告手段、撮像手段、通信手段のうち少なくとも何れか一つを前記本体部の内部に設けたことを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両型警備装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−165123(P2011−165123A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30089(P2010−30089)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(398058441)テイケイ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】