説明

車両後部構造

【課題】車両後突時にバンパに設けたリフレクタの配光性能の低下を防止する。
【解決手段】バンパカバー22に設けたリフレクタ16の本体16Cとリフレクタ保護ブラケット30の上下方向中間部30Eとの間隔L3が、リフレクタ保護ブラケット30の上縦壁部30Gおよび下縦壁部30Jと、バンパカバー22の縦壁部22Aとの車両前後方向に沿った間隔L2より大きくなっており(L3>L2)、車両後突時にリフレクタ16がバンパカバー22の縦壁部22Aとともに車両前方側へ移動して、リフレクタ保護ブラケット30の上縦壁部30Gまたは下縦壁部30Jがバンパカバー22の縦壁部22Aに当たった場合に、リフレクタ16の本体16Cが、リフレクタ保護ブラケット30の凹部30Kに収納され、リフレクタ保護ブラケット30の上下方向中間部30Eに接触しないようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車の車両後部構造に係り、特に、車両後部のバンパにリフレクタ(反射板)を備えた車両後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両後部のバンパにリフレクタを備えた車両後部構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、テールランプより低い位置に設けられているリヤバンパにリフレクタを取付けている。
【特許文献1】実開平3−84250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の車両後部構造では、車両の後部が他車両等と軽く当った場合に、リヤバンパに取付けたリフレクタが変形し、配光性能が低下し難いような材料、形状が必要となっている。
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、車両後突時にバンパに設けたリフレクタの配光性能の低下を防止できる車両後部構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の車両後部構造は、長手方向を車幅方向に沿って配置されたバンパリインフォースメントと、前記バンパリインフォースメントの車両後方側に設けられたバンパカバーと、前記バンパカバーに設けられ、反射機能部が前記バンパリインフォースメント側へ向けて配置されたリフレクタと、前記バンパリインフォースメントに設けられ、車両後突時に前記バンパカバーに当たるバンパカバー当接部と、前記バンパカバー当接部に前記バンパカバーが当たった状態で前記リフレクタを隙間をおいて収納可能なリフレクタ収納部と、を備えたリフレクタ保護部材と、を有することを特徴とする。
【0006】
車両の後部が他車両等と軽く当った車両後突時に、長手方向を車幅方向に沿って配置されたバンパリインフォースメントの車両後方側に設けられたバンパカバーが、車両後方側から車両前方側へ移動する。このため、バンパカバーとともにバンパカバーに設けられ、反射機能部がバンパリインフォースメント側へ向けて配置されたリフレクタがバンパリインフォースメント側へ移動する。
【0007】
この際、本発明では、バンパリインフォースメントに設けられたリフレクタ保護部材のバンパカバー当接部がバンパカバーに当たる。また、バンパカバー当接部にバンパカバーが当たった状態で、リフレクタ保護部材のリフレクタ収納部がリフレクタを隙間をおいて収納する。この結果、バンパカバーとバンパリインフォースメントとの間にリフレクタ保護部材が介在することによって、リフレクタが衝突体とバンパリインフォースメントとによって潰されない。
【0008】
請求項2記載の本発明は請求項1に記載の車両後部構造において、前記リフレクタ保護部材に形成され前記バンパリインフォースメントより車幅方向外側に突出した延長部と、前記バンパリインフォースメントの車幅方向外側端と、を連結する補強部材を有することを特徴とする。
【0009】
車両の後部が他車両等と軽く当った車両後突時に、リフレクタ保護部材に形成されバンパリインフォースメントより車幅方向外側に突出した延長部に作用する衝突荷重が、リフレクタ保護部材の延長部とバンパリインフォースメントの車幅方向外側端とを連結する補強部材によって、リフレクタ保護部材の延長部からバンパリインフォースメントの車幅方向外側端に伝達される。このため、リフレクタ保護部材の延長部に作用する車両前方へのモーメントが抑えられる。この結果、リフレクタ保護部材に形成された延長部の車両前方側への変形が抑制される。
【0010】
請求項3記載の本発明は請求項1または請求項2に記載の車両後部構造において、前記リフレクタ保護部材は、前記バンパリインフォースメントに取付けられた屈曲板から成り、前記リフレクタ収納部はリフレクタが入り込む凹部であることを特徴とする。
【0011】
リフレクタ保護部材が、バンパリインフォースメントに取付けられた屈曲板から成り、リフレクタ収納部がリフレクタが入り込む凹部であるため、リフレクタ保護部材の構成が簡単である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の本発明は、車両後突時にバンパに設けたリフレクタの配光性能の低下を防止できる。
【0013】
請求項2記載の本発明は、車両後突時にリフレクタ保護部材の変形を抑制できる。
【0014】
請求項3記載の本発明は、リフレクタ保護部材の量産性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明における車両後部構造の一実施形態を図1〜図8に従って説明する。
【0016】
なお、図中矢印UPは車両上方方向を示し、図中矢印FRは車両前方方向を示し、図中矢印INは車幅内側方向を示している。
【0017】
図8には、本発明の一実施形態の車両後部構造が適用された自動車車両の後部が車両後方から見た斜視図によって示されている。
【0018】
図8に示される如く、車両10の後端下部には、リヤバンパ12が、その長手方向を車幅方向に沿って設けられており、車両10が衝突した場合に、リヤバンパ12が変形することで衝撃(衝突エネルギ)を吸収するようになっている。また、リヤバンパ12における車幅方向両端部近傍には、リフレクタ16が設けられている。
【0019】
図2には、本発明の一実施形態の車両後部構造におけるリヤバンパの車幅方向外側端部が車両後方から見た斜視図によって示されている。
【0020】
図2に示される如く、車両後方から見たリフレクタ16の形状は長尺形状とされており、長手方向を車幅方向に沿って配置されている。
【0021】
図1には、図2の1−1断面線に沿った拡大断面図が示されている。
【0022】
リヤバンパ12はバンパリインフォースメント20と、バンパリインフォースメント20の車両後方側に設けられたバンパカバー22と、を備えている。また、リフレクタ16は、バンパカバー22に形成された取付孔24に取付けられている。
【0023】
より具体的に説明すると。バンパカバー22には取付孔24が貫通形成されており、取付孔24の周縁部には、バンパカバー22の縦壁部22Aに対して車両前方側へ凹んだ取付フランジ26が形成されている。一方、リフレクタ16の車両後方側端16Aには、リフレクタ16の外周側に向かって突出した鍔部16Bが形成されており、鍔部16Bが取付フランジ26の車両後方側面に固定されている。
【0024】
従って、リフレクタ16の反射機能部としての本体16Cは、バンパカバー22の取付フランジ26に対して車両前方側へ突出している(突出量L1)。
【0025】
バンパリインフォースメント20は、断面略矩形状の閉断面構造とされた上部20Aと、断面略矩形状の閉断面構造とされた下部20Bとを、後壁部20Cで連結した構造となっている。
【0026】
図3には、バンパリインフォースメント20の車幅方向端部が車両斜め後方外側から見た斜視図によって示されている。
【0027】
図3に示される如く、バンパリインフォースメント20の車幅方向端部は、車両前方へ向って湾曲しており、バンパリインフォースメント20の車幅方向端部には、リフレクタ保護部材としてのリフレクタ保護ブラケット30が設けられている。
【0028】
図1に示される如く、リフレクタ保護ブラケット30は、リフレクタ保護ブラケット30の上部を構成する板材から成るアッパブラケット32と、リフレクタ保護ブラケット30の下部を構成する板材から成るアンダブラケット34とで構成されており、アッパブラケット32の下端部32Aの車両前側面にアンダブラケット34の後端部に車両下方へ向けて形成したフランジ34Aが結合されている。なお、アンダブラケット34は、車両前後方向に延びる板材で構成されており、リフレクタ保護ブラケット30の下壁部30Aを構成する本体部34Bとフランジ34Aとの間には、補強用のリブ34Cが車幅方向へ所定の間隔を取って複数形成されている。
【0029】
また、リフレクタ保護ブラケット30の下壁部30Aの後端部30Bは、バンパリインフォースメント20の下部20Bの下壁部20Dに溶接等によって結合されている。
【0030】
一方、リフレクタ保護ブラケット30の上壁部30Cの後端部30Dは、バンパリインフォースメント20の上部20Aの上壁部20Eに溶接等によって結合されている。
【0031】
リフレクタ保護ブラケット30の上下方向中間部30Eは、車両上下方向へ延びる縦壁部となっており、リフレクタ保護ブラケット30の上下方向中間部30Eは、バンパリインフォースメント20の後壁部20Cの後面に溶接等によって結合されている。
【0032】
なお、リフレクタ保護ブラケット30の上下方向中間部30Eには、結合作業用のスリット36が車幅方向に沿って形成されており、このスリット36を用いてリフレクタ保護ブラケット30の上下方向中間部30Eは、バンパリインフォースメント20の後壁部20Cの後面に溶接できるようになっている。
【0033】
リフレクタ保護ブラケット30の上部には車両後方側へ膨出した凸部30Fが形成されており、凸部30Fはバンパリインフォースメント20の上部20Aとで車幅方向に延びる閉断面部40を形成している。閉断面部40の車幅方向から見た断面形状は、車両後方側から車両前方へ向って車両下方側へ幅広となる台形状となっている。
【0034】
また、閉断面部40の後壁部となるリフレクタ保護ブラケット30の上縦壁部30Gと、バンパカバー22の縦壁部22Aとの車両前後方向に沿った間隔はL2となっており、リフレクタ保護ブラケット30の上縦壁部30Gは車両後突時にバンパカバー22の縦壁部22Aに当るバンパカバー当接部となっている。
【0035】
リフレクタ保護ブラケット30の下部には車両後方側へ膨出した凸部30Hが形成されており、凸部30Hはバンパリインフォースメント20の下部20Bとで車幅方向に延びる閉断面部44を形成している。閉断面部44の車幅方向から見た断面形状は、車両後方側から車両前方へ向って車両上方側へ幅広となる台形状となっている。
【0036】
なお、閉断面部44の後壁部となるリフレクタ保護ブラケット30の下縦壁部30Jと、バンパカバー22の縦壁部22Aとの車両前後方向に沿った間隔はL2となっており、リフレクタ保護ブラケット30の下縦壁部30Jは車両後突時にバンパカバー22の縦壁部22Aに当るバンパカバー当接部となっている。
【0037】
リフレクタ保護ブラケット30における上方側の凸部30Fと下方側の凸部30Hとの間は、車両前方側へ凹んだリフレクタ収納部としての凹部30Kとなっている。従って、リフレクタ保護ブラケット30の上縦壁部30Gまたは下縦壁部30Jがバンパカバー22の縦壁部22Aに当たった状態で、リフレクタ16の本体16Cが凹部30K内に、凹部30Kの底部(上下方向中間部30E)を含む内周部との間に隙間をおいて収納可能となっている。
【0038】
即ち、リフレクタ16の本体16Cとリフレクタ保護ブラケット30の上下方向中間部30Eとの間隔L3が、リフレクタ保護ブラケット30の上縦壁部30Gおよび下縦壁部30Jと、バンパカバー22の縦壁部22Aとの車両前後方向に沿った間隔L2より大きくなっている(L3>L2)。このため、車両後突時にリフレクタ16がバンパカバー22の縦壁部22Aが車両前方側へ移動して、リフレクタ保護ブラケット30の上縦壁部30Gまたは下縦壁部30Jがバンパカバー22の縦壁部22Aに当たった場合に、リフレクタ16の本体16Cがリフレクタ保護ブラケット30の凹部30Kに収納され、リフレクタ16の本体16Cがリフレクタ保護ブラケット30の凹部30Kの底部(上下方向中間部30E)を含む内周部に接触しないようになっている。
【0039】
図3に示される如く、リフレクタ保護ブラケット30の車幅方向外側部は、バンパリインフォースメント20より車両幅方向外側へ延設されており、延長部30Lとなっている。また、リフレクタ保護ブラケット30の延長部30Lと、バンパリインフォースメント20の車幅方向外側端20Fとは、補強部材としての補強ブラケット50によって連結されている。
【0040】
図4には、バンパリインフォースメント20の車幅方向端部が車両斜め前方外側から見た斜視図によって示されている。
【0041】
図4に示される如く、補強ブラケット50は、車両前方側への凸の凸部50Aと、車両後方側へ凹の凹部50Bが車両上下方向に沿って交互に形成された板材とされている。補強ブラケット50の上端にはフランジ50Cが車両前方側に向かって形成されており、フランジ50Cはリフレクタ保護ブラケット30の上壁部30Cの車幅方向外側部30Mに溶接等によって結合されている。また、補強ブラケット50の下端にはフランジ50Dが車両前方側に向かって形成されており、フランジ50Dはリフレクタ保護ブラケット30の下壁部30Aの車幅方向外側部30Nに溶接等によって結合されている。
【0042】
図5には図4の5−5線に沿った拡大断面図が示されており、図6には図4の6−6線に沿った拡大断面図が示されている。
【0043】
図5に示される如く、補強ブラケット50の車幅方向内側端には、車両前方へ向かって縦壁部50Eが形成されており、縦壁部50Eはバンパリインフォースメント20の車幅方向外側端20Fに溶接等によって結合されている。また、補強ブラケット50の車幅方向外側端には、略車幅外側方向へ向かってフランジ50Fが形成されており、フランジ50Fはリフレクタ保護ブラケット30の上下方向中間部30Eにおける車幅方向外側端30Pの前面に溶接等によって結合されている。
【0044】
図6に示される如く、補強ブラケット50の上部に形成された凸部50Aの車幅方向内側部では、縦壁部50Eの前端に車幅方向内側に向かってフランジ50Gが形成されている。補強ブラケット50のフランジ50Gは、バンパリインフォースメント20の閉断面構造とされた上部20A内に挿入されており、上部20Aの後壁部20Gと補強ブラケット50のフランジ50Gとの車両前後方向に沿った間隔がL4となっている。
【0045】
図4に示される如く、補強ブラケット50の下部に形成された凸部50Aの車幅方向内側部にも、縦壁部50Eの前端に車幅方向内側に向かってフランジ50Gが形成されている。補強ブラケット50のフランジ50Gは、バンパリインフォースメント20の閉断面構造とされた下部20B内に挿入されており、壁部20Bの後壁部20Hと補強ブラケット50のフランジ50Gとの車両前後方向に沿った間隔もL4となっている。
【0046】
従って、バンパリインフォースメント20に対して、リフレクタ保護ブラケット30が車両前方側へ、距離L4移動する間は、補強ブラケット50のフランジ50Gがバンパリインフォースメント20の上部20Aの後壁部20Gに当らないようになっている。このため、バンパリインフォースメント20の変形を防止できるようになっている。
【0047】
また、リヤバンパ12の組付け工程において、リフレクタ保護ブラケット30と補強ブラケット50とを結合した後に、これをバンパリインフォースメント20に組付ける際に、補強ブラケット50のフランジ50Gをバンパリインフォースメント20の上部20Aと下部20Bに挿入する。このとき、本実施形態では、上部20Aの後壁部20Gと補強ブラケット50のフランジ50Gとの間に車両前後方向に沿った間隔L4の隙間が形成されている。このため、補強ブラケット50のフランジ50Gがバンパリインフォースメント20の上部20Aと下部20Bに干渉し難くなり、組付作業性および量産性が向上するようになっている。
【0048】
また、本実施形態では、L3≧L2+L4となっている。このため、リフレクタ16がバンパカバー22とともに車両前方へ距離L2移動し、さらにリフレクタ保護ブラケット30が変形し車両前方へ距離L4移動しても、バンパカバー22とバンパリインフォースメント20との間にリフレクタ保護ブラケット30の閉断面部40と閉断面部44とが介在することで、リフレクタ16が衝突体Kとバンパリインフォースメント20とによって潰され、変形することがないようになっている。
【0049】
図7には、図1の7−7線に沿った拡大断面図が示されている。
【0050】
図7に示される如く、リフレクタ16の車両上方から見た形状は円弧状となっており、リフレクタ16の車幅方向内側部16Dは、バンパリインフォースメント20の車幅方向外側端部20Pの車両後方側に配置されている。また、リフレクタ16の車幅方向外側部16Eは補強ブラケット50の車両後方側に配置されている。
【0051】
従って、車両10のリヤバンパ12が他車両等の衝突体Kと軽く当り、リフレクタ16の車幅方向外側部16Eおよびリフレクタ保護ブラケット30の延長部30Lに衝突荷重(図7の矢印F2)が、車両後方から車両前方へ向かって作用した場合には、衝突荷重F2の一部F3が、補強ブラケット50によって、バンパリインフォースメント20の車幅方向外側端部20Pに伝達される。このため、リフレクタ保護ブラケット30の延長部30Lに作用する車両前方へのモーメント(図7の矢印M1)が抑えられ、リフレクタ保護ブラケット30の延長部30Lの車両前方側への変形が抑制されるようになっている。
【0052】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0053】
車両10のリヤバンパ12が他車両等の衝突体Kと軽く当った車両後突時に、長手方向を車幅方向に沿って配置されたバンパリインフォースメント20の車両後方側に設けられたバンパカバー22またはバンパカバー22に設けられたリフレクタ16が、車両後方側から車両前方側へ向かって押圧される。このため、バンパカバー22とともにリフレクタ16がバンパリインフォースメント側(車両前方側)へ移動する。
【0054】
この際、本実施形態では、リフレクタ16の本体16Cとリフレクタ保護ブラケット30の上下方向中間部30Eとの間隔L3が、リフレクタ保護ブラケット30の上縦壁部30Gおよび下縦壁部30Jと、バンパカバー22の縦壁部22Aとの車両前後方向に沿った間隔L2より大きくなっている(L3>L2)。
【0055】
このため、リフレクタ16に衝突荷重(図1の矢印F1)が、車両後方から車両前方へ向かって作用し、リフレクタ保護ブラケット30の上縦壁部30Gと下縦壁部30Jとがバンパカバー22の縦壁部22Aに当たった状態において、リフレクタ保護ブラケット30の凹部30Kにリフレクタ16の本体16Cを隙間をおいて収納できる。
【0056】
また、本実施形態では、また、バンパリインフォースメント20の上部20Aの後壁部20Gと補強ブラケット50のフランジ50Gとの車両前後方向に沿った間隔がL4となっている。このため、バンパリインフォースメント20に対して、リフレクタ保護ブラケット30が車両前方側へ、距離L4移動する間は、補強ブラケット50のフランジ50Gがバンパリインフォースメント20の上部20Aの後壁部20Gに当らない。このため、バンパリインフォースメント20の変形を防止できる。
【0057】
また、本実施形態ではL3≧L2+L4となっている。このため、リフレクタ16がバンパカバー22とともに車両前方へ距離L2移動し、さらにリフレクタ保護ブラケット30が変形し車両前方へ距離L4移動しても、バンパカバー22とバンパリインフォースメント20との間にリフレクタ保護ブラケット30の閉断面部40と閉断面部44とが介在することで、リフレクタ16が衝突体Kとバンパリインフォースメント20とによって潰され、変形することがない。
【0058】
このため、本実施形態では、車両後突時にリヤバンパ12に設けたリフレクタ16の配光性能の低下を防止でき、リフレクタ16の配光性能を確保できる。
【0059】
また、本実施形態では、図7に示される如く、車両10のリヤバンパ12が他車両等の衝突体Kと軽く当り、リフレクタ16の車幅方向外側部16Eおよびリフレクタ保護ブラケット30の延長部30Lに衝突荷重(図7の矢印F2)が、車両後方から車両前方へ向かって作用した場合に、衝突荷重F2の一部F3が、補強ブラケット50によって、バンパリインフォースメント20の車幅方向外側端部20Pに伝達される。このため、リフレクタ保護ブラケット30の延長部30Lに作用する車両前方へのモーメント(図7の矢印M1)が抑えられる。この結果、リフレクタ保護ブラケット30の延長部30Lの車両前方側への変形が抑制される。
【0060】
さらに、リヤバンパ12の組付け工程において、リフレクタ保護ブラケット30と補強ブラケット50とを結合した後に、これをバンパリインフォースメント20に組付ける。この際、補強ブラケット50のフランジ50Gをバンパリインフォースメント20の上部20Aと下部20Bに挿入するが、本実施形態では、上部20Aの後壁部20Gと補強ブラケット50のフランジ50Gとの間に車両前後方向に沿った間隔L4の隙間が形成されている。このため、補強ブラケット50のフランジ50Gがバンパリインフォースメント20の上部20Aと下部20Bに干渉し難くなり、組付作業性および量産性が向上する。
【0061】
また、本実施形態では、リフレクタ保護ブラケット30が板材から成るアッパブラケット32とアンダブラケット34とで構成されており、リフレクタ収納部が凹部30Kとなっている。この結果、リフレクタ保護ブラケット30の構成が簡単であるため、リフレクタ保護ブラケット30の量産性が向上する。
【0062】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、バンパリインフォースメント20を、断面略矩形状の閉断面構造とされた上部20Aと、断面略矩形状の閉断面構造とされた下部20Bとを、後壁部20Cで連結した構造としたが、バンパリインフォースメント20の車幅方向から見た断面形状は、矩形状や目字状等の他の形状としてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、リフレクタ保護ブラケット30を、リフレクタ保護ブラケット30の上部を構成するアッパブラケット32とリフレクタ保護ブラケット30の下部を構成するアンダブラケット34との2部品で構成したが、これに代えて、リフレクタ保護ブラケット30を一部品で構成してもよい。また、リフレクタ保護ブラケット30を3部品以上で構成してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、リフレクタ保護部材としてリフレクタ保護ブラケット30を使用したが、リフレクタ保護部材は上記実施形態のリフレクタ保護ブラケット30に限定されず、バンパリインフォースメント20に設けられ、車両後突時にバンパカバー22に当たるバンパカバー当接部と、バンパカバー当接部にバンパカバー22が当たった状態でリフレクタ16を隙間をおいて収納可能なリフレクタ収納部と、を備えた構造であれば、他の構成のリフレクタ保護部材であってもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、補強部材として補強ブラケット50を使用したが、補強部材は上記実施形態の補強ブラケット50に限定されず、リフレクタ保護ブラケット30の延長部30Lと、バンパリインフォースメント20の車幅方向外側端20Fと、を連結する構造であれば、他の構成の補強部材であってもよい。
【0066】
また、本発明は、例えば、フォグランプ等の自ら発光するランプにも適用可能であると共に、車体前部にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図2の1−1線に沿った拡大断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両後部構造を示す車両斜め後方外側から見た斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車両後部構造のバンパリインフォースメントの車幅方向端部を示す車両斜め後方外側から見た斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る車両後部構造のバンパリインフォースメントの車幅方向端部を示す車両斜め前方外側から見た斜視図である。
【図5】図4の5−5線に沿った拡大断面図である。
【図6】図4の6−6線に沿った拡大断面図である。
【図7】図1の7−7線に沿った拡大断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る車両後部構造が適用された車両の後部を示す車両後方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
10 車両
12 リヤバンパ
16 リフレクタ
16C リフレクタの本体(反射機能部)
20 バンパリインフォースメント
22 バンパカバー
24 取付孔
30 リフレクタ保護ブラケット(リフレクタ保護部材)
30G 上縦壁部(バンパカバー当接部)
30J 下縦壁部(バンパカバー当接部)
30K リフレクタ保護ブラケットの凹部(リフレクタ収納部)
30L リフレクタ保護ブラケットの延長部
32 リフレクタ保護ブラケットのアッパブラケット
34 リフレクタ保護ブラケットのアンダブラケット
50 補強ブラケット(補強部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を車幅方向に沿って配置されたバンパリインフォースメントと、
前記バンパリインフォースメントの車両後方側に設けられたバンパカバーと、
前記バンパカバーに設けられ、反射機能部が前記バンパリインフォースメント側へ向けて配置されたリフレクタと、
前記バンパリインフォースメントに設けられ、車両後突時に前記バンパカバーに当たるバンパカバー当接部と、前記バンパカバー当接部に前記バンパカバーが当たった状態で前記リフレクタを隙間をおいて収納可能なリフレクタ収納部と、を備えたリフレクタ保護部材と、
を有することを特徴とする車両後部構造。
【請求項2】
前記リフレクタ保護部材に形成され前記バンパリインフォースメントより車幅方向外側に突出した延長部と、前記バンパリインフォースメントの車幅方向外側端と、を連結する補強部材を有することを特徴とする請求項1に記載の車両後部構造。
【請求項3】
前記リフレクタ保護部材は、前記バンパリインフォースメントに取付けられた屈曲板から成り、前記リフレクタ収納部はリフレクタが入り込む凹部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−94234(P2008−94234A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277757(P2006−277757)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】