説明

車両検知器の異常検出装置および車両検知器の異常検出方法

【課題】複数設置されている車両検知器の検知状態を相互に補完することで、車両検知器の異常検出を速やかに行なうことができ、たとえば、料金収受システム運用への悪影響を最小限にとどめることができる車両検知器の異常検出装置を提供する。
【解決手段】料金所の料金収受車線に複数設置され、走行する車両を光学的に検知する透過型の車両検知器の異常を検出する車両検知器の異常検出装置において、同一車線内に在車できる車両の最高台数から、その車線内に進入した車両の台数、あるいは、退出した車両の台数を関連付けることで、車両検知器の異常検出を速やかに行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、高速道路等の有料道路の料金収受システムにおいて、料金所の料金収受車線に設置され、走行する車両を光学的に検知する透過型の車両検知器の異常を検出する車両検知器の異常検出装置および車両検知器の異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、たとえば、高速道路等の有料道路の料金収受車線において、当該料金収受車線を通過する車両に対し当該有料道路に対する利用料金の収受処理を自動的に行なうETCシステム(ノンストップ自動料金収受システム)と称される料金収受システムが急速に普及しつつある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
ETCシステムとは、有料道路の料金所において、料金収受車線側に設置された車線制御装置と、車両側に設置された料金支払い用のETCカード(ICカード)が装着された車載器との間で、料金収受車線上に設置された路側無線装置(アンテナ装置)を介して無線による通信を行なうことで、車両をノンストップで利用料金の収受処理を自動的に行なうシステムである。
【0004】
このようなETCシステムにおいては、料金収受車線を走行する車両を光学的に検知する透過型の車両検知器が、料金収受車線に沿って車両の進行方向に所定間隔あけて複数設置されている。
【0005】
この種の車両検知器は、ETCシステムにおいて、車両の挙動把握をするために重要な役割をもつ装置である。特に、無線通信の開始、案内表示の開始/終了、発進制御装置のゲート遮断タイミングなどを生成するために使用される。車両検知器が車両を検知するため、各種センサを応用した装置が使用されているが、特に透過型センサを利用した透過型の車両検知器が一般的である。
【0006】
車両検知器は、上述したように車両の挙動を把握する重要な装置である。したがって、車両検知器に異常(故障)が発生した場合には、速やかに検出して適切な処置をしなければならない。
【0007】
透過型の車両検知器を使用した場合、塵や泥はねの泥付着などにより光軸が遮られた場合、車両検知器が常に遮光状態となるため、常に偽車両検知状態となり、機器状態としては異常となる。一方、料金所で渋滞が発生した場合も、車両により常に光軸が遮られた状態となるために車両検知状態となるが、この場合は車両を正常に検知しているので、機器状態として正常である。
【0008】
以上の2通りの検知事象を車両検知器単体で判定すると、いずれの状態も検知状態が同条件であり、正常な車両検知なのか、異常な偽車両検知なのかの判断ができない状態となる。
【0009】
従来の車両検知器の異常検出方法は、タイマ手段で時間監視することで、車両検知器の車両検知状態がある一定時間を越えた場合を異常として検出している(たとえば、特許文献2参照)。
【0010】
しかし、この異常検出方法では、実際に異常が発生して場合でも、設定した一定時間後でないと異常検出ができず、その間は正確な車両の挙動把握ができないこととなる。正確な車両の挙動把握ができなければ、ETCシステムを正常に運用することができない。したがって、車両検知器に異常が発生した場合には、速やかな異常検出を行ない、適切な処置を行なうことが重要である。
【特許文献1】特許第3256642号公報
【特許文献2】特開2000−215389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、複数設置されている車両検知器の検知状態を相互に補完することで、車両検知器の異常検出を速やかに行なうことができ、たとえば、料金収受システム運用への悪影響を最小限にとどめることができる車両検知器の異常検出装置および車両検知器の異常検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の車両検知器の異常検出装置は、車両が走行する道路に沿って車両の進行方向に所定間隔あけて設置され、当該道路を走行する車両を検知する少なくとも2つの車両検知器の異常を検出する車両検知器の異常検出装置であって、前記2つの車両検知器のうち車両の進行方向に対する上流側の車両検知器が車両を継続して検知している継続検知状態にあるとき、その継続検知状態中に車両の進行方向に対する下流側の車両検知器がそこを通過する車両を検知した数を計数する第1の計数手段と、この第1の計数手段の計数値が前記道路の前記2つの車両検知器間に存在し得る車両の最大数を超えた場合、前記上流側の車両検知器が異常と判定する第1の判定手段と、前記2つの車両検知器のうち車両の進行方向に対する下流側の車両検知器が車両を継続して検知している継続検知状態にあるとき、その継続検知状態中に車両の進行方向に対する上流側の車両検知器がそこに進入する車両を検知した数を計数する第2の計数手段と、この第2の計数手段の計数値が前記道路の前記2つの車両検知器間に存在し得る車両の最大数を超えた場合、前記下流側の車両検知器が異常と判定する第2の判定手段とを具備している。
【0013】
また、本発明の車両検知器の異常検出方法は、車両が走行する道路に沿って車両の進行方向に所定間隔あけて設置され、当該道路を走行する車両を検知する少なくとも2つの車両検知器の異常を検出する車両検知器の異常検出方法であって、前記道路の前記2つの車両検知器間に存在し得る車両の最大数から、前記2つの車両検知器間に進入した車両の数あるいは前記2つの車両検知器間から退出した車両の数を関連付けることで、前記2つの車両検知器の異常を検出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の車両検知器の異常検出方法は、車両が走行する道路に沿って車両の進行方向に所定間隔あけて設置され、当該道路を走行する車両を検知する少なくとも2つの車両検知器の異常を検出する車両検知器の異常検出方法であって、前記2つの車両検知器のうち車両の進行方向に対する上流側の車両検知器が車両を継続して検知している継続検知状態にあるとき、その継続検知状態中に車両の進行方向に対する下流側の車両検知器がそこを通過する車両を検知した数を計数する第1の計数ステップと、この第1の計数ステップの計数値が前記道路の前記2つの車両検知器間に存在し得る車両の最大数を超えた場合、前記上流側の車両検知器が異常と判定する第1の判定ステップと、前記2つの車両検知器のうち車両の進行方向に対する下流側の車両検知器が車両を継続して検知している継続検知状態にあるとき、その継続検知状態中に車両の進行方向に対する上流側の車両検知器がそこに進入する車両を検知した数を計数する第2の計数ステップと、この第2の計数ステップの計数値が前記道路の前記2つの車両検知器間に存在し得る車両の最大数を超えた場合、前記下流側の車両検知器が異常と判定する第2の判定ステップとを具備している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数設置されている車両検知器の検知状態を相互に補完することで、車両検知器の異常検出を速やかに行なうことができ、たとえば、料金収受システム運用への悪影響を最小限にとどめることができる車両検知器の異常検出装置および車両検知器の異常検出方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る例えば有料道路の料金収受システムとして用いられるETCシステムの構成を模式的に示すものである。図1において、料金所の料金収受車線(道路)11の側部には、料金収受処理を手作業で行なったり車線閉鎖などの作業を行なう収受員(係員)がいるブース12が設置されている。
【0017】
料金収受車線11の側部でブース12よりも上流側には、当該車線11に進入してくる車両13を検知する透過型の第1の車両検知器14が設置されている。第1の車両検知器14は、たとえば、赤外線を用いて車線11を走行する車両13を光学的に検知するもので、この例では一対の車両検知器14a,14bによって構成されている。
【0018】
料金収受車線11の側部で第1の車両検知器14とブース12との間には、当該車線11を走行する車両13を検知する透過型の第2の車両検知器15が設置されている。第2の車両検知器15は、たとえば、赤外線を用いて車線11を走行する車両13を光学的に検知するものである。
【0019】
料金収受車線11の上方で、第2の車両検知器15のとブース12との間の所定部位には、当該車線11に進入してくる車両13に搭載された料金収受用の車載器16との間で無線通信を行なうための路側無線装置(アンテナ装置)17が設置されている。
【0020】
料金収受車線11の側部でブース12よりも下流側には、車両13内の利用者に対し料金や各種メッセージ等を表示する路側表示器18が設置されている。
【0021】
料金収受車線11の側部で路側表示器18よりも下流側には、当該車線11から退出する車両13の通行許可、禁止を制御する発進制御装置(開閉ゲート)19が設置されている。
【0022】
料金収受車線11の側部で発進制御装置19の近傍には、当該車線11から退出する車両13を検知する透過型の第3の車両検知器20が設置されている。第3の車両検知器20は、たとえば、赤外線を用いて車線11から退出する車両13を光学的に検知するもので、この例では一対の車両検知器20a,20bによって構成されている。
【0023】
第1の車両検知器14、第2の車両検知器15、路側無線装置17、路側表示器18、発進制御装置19、および第3の車両検知器20は、車線制御装置21にそれぞれ接続されていて、これらは車線制御装置21によって制御される。
【0024】
車線制御装置21は、第1の車両検知器14が車両13を検知したタイミングで、当該車両13に搭載された車載器16との間で路側無線装置17を介して無線通信を開始し、無線通信による料金収受処理を行ない、料金収受処理が正常に終了した車両(適正車両、以下、これをETC車と称す)と、車載器16からETCカード未挿入の応答があった車両(非適正車両、以下、これをカード未挿入車と称す)と、車載器なしなどにより無線通信が正常に行なわれない車両(非適正車両、以下、これを非ETC車と称す)とに判定する。
【0025】
車線制御装置21は、ETC車と判定した場合は、収受車線出口側に設置された発進制御装置19に対しゲート開放指令を送信してゲートを開放することで当該車両13の通過を許可し、カード未挿入車や非ETC車と判定した場合は、発進制御装置19に対しゲート閉成指令を送信してゲートを閉成状態に保持することで当該車両13の通過を拒否し、当該車両13を停止させる。これらの非適正車両に対しては、たとえば、ブース12内の収受員の手作業によって、現金あるいはクレジットカード等での料金収受処理が行なわれる。車線制御装置21は、収受員の料金収受処理が完了した時点で、発進制御装置19のゲートを開放して当該車両13の通過を許可する。
【0026】
また、車線制御装置21は、第2の車両検知器15が車両13を検知したタイミングで、路側表示器18に対し料金や各種メッセージ等を表示し、第3の車両検知器20が車両13の退出を検知したタイミングで、発進制御装置19のゲートを閉成するなどの制御を行なう。
【0027】
各車両検知器14a,14b,15,20a,20bは、たとえば、図2に示すように、車線11の一方の側部に設置された赤外線投光器31、車線11の他方の側部に投光器31と相対向して設置された赤外線受光器32、投光器31の点灯制御を行なうとともに、受光器32の出力から車両検知の判定を行なう制御部33、および、外部機器(車線制御装置21)とインタフェイスを行なうインタフェイス部34を有して構成される。
【0028】
なお、第1の車両検知器14および第3の車両検知器20は、車両13の有無検知機能に加えて、車両13の前後進判定が可能なものとする。また、第2の車両検知器15、車両13の有無検出機能のみとし、前後進判定は不可とする。
【0029】
次に、このような構成において車両検知器の異常検出処理について説明する。なお、この異常検出処理は車線制御装置21において行なわれるものとする。
【0030】
一般に、料金所の同一車線内に存在し得る車両の台数は、車両検知器の設置位置と車両寸法(車長)で、おおよその台数を決定することができる。本実施の形態では、車線11内は車両13が一列に並ぶものとする。また、第1の車両検知器14から第3の車両検知器20までの距離が約13mであり、1台の車両13の車長が3.5mと仮定すると、第1の車両検知器14と第3の車両検知器20との間に存在し得る車両13の最大数は約4台となる。
【0031】
本実施の形態では、第1の車両検知器14と第3の車両検知器20との間に存在し得る車両13の最大数から、その車線11内に進入した車両13の台数、あるいは、退出した車両13の台数と関連付けることで、車両検知器14,15,20の検知機能の異常(故障)を検出するものとし、以下に詳細を説明する。
【0032】
まず、第1の車両検知器14に対する異常検出処理について、図3に示す模式図および図4に示すフローチャートを参照して説明する。
たとえば、図3に示すように、車線11内の第1の車両検知器14と第3の車両検知器20との間に存在し得る車両13の最大数は、第1の車両検知器14を通過中の車両13を除いて3台とする。
【0033】
まず、図示しない在車数管理カウンタに初期値として、車線11内の第1の車両検知器14と第3の車両検知器20との間に存在し得る車両13の最大数(3)に「+1」した数「4」をセットする(ステップS1)。
【0034】
次に、第1の車両検知器14が車両13の進入を検知したか否かをチェックし(ステップS2)、第1の車両検知器14が車両13の進入を検知しなければ、正常とみなしてステップS1に戻り、上記同様な動作を繰り返す。
【0035】
ステップS2におけるチェックの結果、第1の車両検知器14が車両13の進入を検知した場合、第3の車両検知器20が車両13の退出を検知したか否かをチェックし(ステップS3)、第3の車両検知器20が車両13の退出を検知しなければ、正常とみなしてステップS1に戻り、上記同様な動作を繰り返す。
【0036】
ステップS3におけるチェックの結果、第3の車両検知器20が車両13の退出を検知した場合、在車数管理カウンタを「−1」カウントし(ステップS4)、その後、在車数管理カウンタの値が「0」か否かをチェックする(ステップS5)。
【0037】
ステップS5におけるチェックの結果、在車数管理カウンタの値が「0」でない場合、第1の車両検知器14が車両13の退出を検知したか否かをチェックし(ステップS6)、第1の車両検知器14が車両13の退出を検知しなければ、ステップS3に戻って上記同様な動作を繰り返す。
【0038】
ステップS6におけるチェックの結果、第1の車両検知器14が車両13の退出を検知した場合、正常とみなしてステップS1に戻り、上記同様な動作を繰り返す。
【0039】
ステップS5におけるチェックの結果、在車数管理カウンタの値が「0」の場合、第1の車両検知器14は異常(故障)であると判定し、その旨を表示器や音声などで係員に報知する(ステップS7)。
【0040】
このように、図3の例の場合、第1の車両検知器14が車両13を継続して検知している継続検知状態にあるとき、第3の車両検知器20が4台以上の車両13の退出を検知した場合に、第1の車両検知器14は異常(故障)であると判定するものである。
【0041】
この場合、第1の車両検知器14が継続検知状態中ということは、車両13が通過中か停止中であり、車両13の進入が完了していない状態である。第1の車両検知器14から車両13が進入していないのに、4台以上の車両13が退出することはあり得ない。
【0042】
次に、第2の車両検知器15に対する異常検出処理について説明する。
第2の車両検知器15の場合、2つの事象が考えられるので、まず第1の事象について、図5に示す模式図および図6に示すフローチャートを参照して説明する。
たとえば、図5に示すように、車線11内の第2の車両検知器15と第1の車両検知器14との間に存在し得る車両13の最大数は1台とする。
【0043】
まず、図示しない在車数管理カウンタに初期値として、車線11内の第2の車両検知器15と第1の車両検知器14との間に存在し得る車両13の最大数(1)に「+1」した数「2」をセットする(ステップS11)。
【0044】
次に、第2の車両検知器15が車両13の進入を検知したか否かをチェックし(ステップS12)、第2の車両検知器15が車両13の進入を検知しなければ、正常とみなしてステップS11に戻り、上記同様な動作を繰り返す。
【0045】
ステップS12におけるチェックの結果、第2の車両検知器15が車両13の進入を検知した場合、第1の車両検知器14が車両13の進入を検知したか否かをチェックし(ステップS13)、第1の車両検知器14が車両13の進入を検知しなければ、正常とみなしてステップS11に戻り、上記同様な動作を繰り返す。
【0046】
ステップS13におけるチェックの結果、第1の車両検知器14が車両13の進入を検知した場合、在車数管理カウンタを「−1」カウントし(ステップS14)、その後、在車数管理カウンタの値が「0」か否かをチェックする(ステップS15)。
【0047】
ステップS15におけるチェックの結果、在車数管理カウンタの値が「0」でない場合、第2の車両検知器15が車両13の退出を検知したか否かをチェックし(ステップS16)、第2の車両検知器15が車両13の退出を検知しなければ、ステップS13に戻って上記同様な動作を繰り返す。
【0048】
ステップS16におけるチェックの結果、第2の車両検知器15が車両13の退出を検知した場合、正常とみなしてステップS11に戻り、上記同様な動作を繰り返す。
【0049】
ステップS15におけるチェックの結果、在車数管理カウンタの値が「0」の場合、第2の車両検知器15は異常(故障)であると判定し、その旨を表示器や音声などで係員に報知する(ステップS17)。
【0050】
このように、図5の例における第1の事象の場合、第2の車両検知器15が車両13を継続して検知している継続検知状態にあるとき、第1の車両検知器14が2台以上の車両13の進入を検知した場合に、第2の車両検知器15は異常(故障)であると判定するものである。
【0051】
この場合、第2の車両検知器15が継続検知状態中ということは、車両13が通過中か停止中という状態である。第2の車両検知器15が継続検知状態中で、2台以上の車両13が進入することはあり得ない。
【0052】
次に、第2の事象について、図5に示す模式図および図7に示すフローチャートを参照して説明する。
たとえば、図5に示すように、車線11内の第2の車両検知器15と第3の車両検知器20との間に存在し得る車両13の最大数は2台とする。
【0053】
まず、図示しない在車数管理カウンタに初期値として、車線11内の第2の車両検知器15と第3の車両検知器20との間に存在し得る車両13の最大数(2)に「+1」した数「3」をセットする(ステップS21)。
【0054】
次に、第2の車両検知器15が車両13の進入を検知したか否かをチェックし(ステップS22)、第2の車両検知器15が車両13の進入を検知しなければ、正常とみなしてステップS21に戻り、上記同様な動作を繰り返す。
【0055】
ステップS22におけるチェックの結果、第2の車両検知器15が車両13の進入を検知した場合、第3の車両検知器20が車両13の退出を検知したか否かをチェックし(ステップS23)、第3の車両検知器20が車両13の退出を検知しなければ、正常とみなしてステップS21に戻り、上記同様な動作を繰り返す。
【0056】
ステップS23におけるチェックの結果、第3の車両検知器20が車両13の退出を検知した場合、在車数管理カウンタを「−1」カウントし(ステップS24)、その後、在車数管理カウンタの値が「0」か否かをチェックする(ステップS25)。
【0057】
ステップS25におけるチェックの結果、在車数管理カウンタの値が「0」でない場合、第2の車両検知器15が車両13の退出を検知したか否かをチェックし(ステップS26)、第2の車両検知器15が車両13の退出を検知しなければ、ステップS23に戻って上記同様な動作を繰り返す。
【0058】
ステップS26におけるチェックの結果、第2の車両検知器15が車両13の退出を検知した場合、正常とみなしてステップS21に戻り、上記同様な動作を繰り返す。
【0059】
ステップS25におけるチェックの結果、在車数管理カウンタの値が「0」の場合、第2の車両検知器15は異常(故障)であると判定し、その旨を表示器や音声などで係員に報知する(ステップS27)。
【0060】
このように、図5の例における第2の事象の場合、第2の車両検知器15が車両13を継続して検知している継続検知状態にあるとき、第3の車両検知器20が3台以上の車両13の退出を検知した場合に、第2の車両検知器15は異常(故障)であると判定するものである。
【0061】
この場合、第2の車両検知器15が継続検知状態中ということは、車両13が通過中か停止中という状態である。第2の車両検知器15が継続検知状態中で、3台以上の車両13が進入することはあり得ない。
【0062】
次に、第3の車両検知器20に対する異常検出処理について、図8に示す模式図および図9に示すフローチャートを参照して説明する。
たとえば、図8に示すように、車線11内の第3の車両検知器20と第1の車両検知器14との間に存在し得る車両13の最大数は、第3の車両検知器20を通過中の車両13を除いて3台とする。
【0063】
まず、図示しない在車数管理カウンタに初期値として、車線11内の第3の車両検知器20と第1の車両検知器14との間に存在し得る車両13の最大数(3)に「+1」した数「4」をセットする(ステップS31)。
【0064】
次に、第3の車両検知器20が車両13の進入を検知したか否かをチェックし(ステップS32)、第3の車両検知器20が車両13の進入を検知しなければ、正常とみなしてステップS31に戻り、上記同様な動作を繰り返す。
【0065】
ステップS32におけるチェックの結果、第3の車両検知器15が車両13の進入を検知した場合、第1の車両検知器14が車両13の進入を検知したか否かをチェックし(ステップS33)、第1の車両検知器14が車両13の進入を検知しなければ、正常とみなしてステップS31に戻り、上記同様な動作を繰り返す。
【0066】
ステップS33におけるチェックの結果、第1の車両検知器14が車両13の進入を検知した場合、在車数管理カウンタを「−1」カウントし(ステップS34)、その後、在車数管理カウンタの値が「0」か否かをチェックする(ステップS35)。
【0067】
ステップS35におけるチェックの結果、在車数管理カウンタの値が「0」でない場合、第3の車両検知器20が車両13の退出を検知したか否かをチェックし(ステップS36)、第3の車両検知器20が車両13の退出を検知しなければ、ステップS33に戻って上記同様な動作を繰り返す。
【0068】
ステップS36におけるチェックの結果、第3の車両検知器20が車両13の退出を検知した場合、正常とみなしてステップS31に戻り、上記同様な動作を繰り返す。
【0069】
ステップS35におけるチェックの結果、在車数管理カウンタの値が「0」の場合、第3の車両検知器20は異常(故障)であると判定し、その旨を表示器や音声などで係員に報知する(ステップS37)。
【0070】
このように、図8の例の場合、第3の車両検知器20が車両13を継続して検知している継続検知状態にあるとき、第1の車両検知器14が4台以上の車両13の進入を検知した場合に、第3の車両検知器20は異常(故障)であると判定するものである。
【0071】
この場合、第3の車両検知器20が継続検知状態中ということは、車両13が通過中か停止中であり、車両13の退出が完了していない状態である。第3の車両検知器20から車両13が退出していないのに、4台以上の車両13が進入することはあり得ない。
【0072】
以上説明したように上記実施の形態によれば、1つの車線11で複数台設置されている車両検知器14,15,20の検知状態を相互に補完することで、車両検知器14,15,20の異常(故障)検出を速やかに行ない、ETCシステム運用への影響を最小限にとどめることができる。
【0073】
料金所の同一車線内に在車できる車両の台数は、車両検知器の設置位置と車両寸法で自ずと決定される。在車できる車両の最高台数から、その車線内に進入した車両の台数、あるいは、退出した車両の台数を関連付けることで、車両検知器の異常(故障)を速やかに検出するものである。
【0074】
ETCシステムにおける車両検知器は、前述したように、車両の挙動把握をするために重要な役割をもつ装置である。特に、路側無線装置による無線通信の開始タイミング、路側表示の表示開始/終了タイミング、発進制御装置のゲート遮断タイミングなどを生成するために使用されている。
車両検知器の異常検出が速やかに行なうことができれば、前記のタイミング生成等に係るトラブルを回避するため、速やかな措置を講ずることが可能となる。これは、有料道路の事業者だけでなく、利用者(運転手)にとっても有益なことである。
【0075】
なお、前記実施の形態では、車両検知器が赤外線を用いて車両を検知する光学的な車両検知器の場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、たとえば、超音波を用いて車両を検知する超音波式の車両検知器であっても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態に係る例えば有料道路の料金収受システムとして用いられるETCシステムの構成を概略的に示す模式図。
【図2】車両検知器の構成を概略的に示すブロック図。
【図3】第1の車両検知器に対する異常検出処理について説明するための模式図。
【図4】第1の車両検知器に対する異常検出処理の流れについて説明するフローチャート。
【図5】第2の車両検知器に対する異常検出処理について説明するための模式図。
【図6】第2の車両検知器の第1の事象に対する異常検出処理の流れについて説明するフローチャート。
【図7】第2の車両検知器の第2の事象に対する異常検出処理の流れについて説明するフローチャート。
【図8】第3の車両検知器に対する異常検出処理について説明するための模式図。
【図9】第3の車両検知器に対する異常検出処理の流れについて説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0077】
11…料金所の料金収受車線(道路)、12…ブース、13…車両、14…第1の車両検知器、15…第2の車両検知器、16…車載器、17…路側無線装置(アンテナ装置)、18…路側表示器、19…発進制御装置、20…第3の車両検知器、21…車線制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する道路に沿って車両の進行方向に所定間隔あけて設置され、当該道路を走行する車両を検知する少なくとも2つの車両検知器の異常を検出する車両検知器の異常検出装置であって、
前記2つの車両検知器のうち車両の進行方向に対する上流側の車両検知器が車両を継続して検知している継続検知状態にあるとき、その継続検知状態中に車両の進行方向に対する下流側の車両検知器がそこを通過する車両を検知した数を計数する第1の計数手段と、
この第1の計数手段の計数値が前記道路の前記2つの車両検知器間に存在し得る車両の最大数を超えた場合、前記上流側の車両検知器が異常と判定する第1の判定手段と、
前記2つの車両検知器のうち車両の進行方向に対する下流側の車両検知器が車両を継続して検知している継続検知状態にあるとき、その継続検知状態中に車両の進行方向に対する上流側の車両検知器がそこに進入する車両を検知した数を計数する第2の計数手段と、
この第2の計数手段の計数値が前記道路の前記2つの車両検知器間に存在し得る車両の最大数を超えた場合、前記下流側の車両検知器が異常と判定する第2の判定手段と、
を具備したことを特徴とする車両検知器の異常検出装置。
【請求項2】
前記2つの車両検知器は前記道路を走行する車両を光学的に検知する光学的な透過型の車両検知器であることを特徴とする請求項1記載の車両検知器の異常検出装置。
【請求項3】
前記道路は有料道路の料金所における料金収受車線であることを特徴とする請求項1記載の車両検知器の異常検出装置。
【請求項4】
車両が走行する道路に沿って車両の進行方向に所定間隔あけて設置され、当該道路を走行する車両を検知する少なくとも2つの車両検知器の異常を検出する車両検知器の異常検出方法であって、
前記道路の前記2つの車両検知器間に存在し得る車両の最大数から、前記2つの車両検知器間に進入した車両の数あるいは前記2つの車両検知器間から退出した車両の数を関連付けることで、前記2つの車両検知器の異常を検出することを特徴とする車両検知器の異常検出方法。
【請求項5】
車両が走行する道路に沿って車両の進行方向に所定間隔あけて設置され、当該道路を走行する車両を検知する少なくとも2つの車両検知器の異常を検出する車両検知器の異常検出方法であって、
前記2つの車両検知器のうち車両の進行方向に対する上流側の車両検知器が車両を継続して検知している継続検知状態にあるとき、その継続検知状態中に車両の進行方向に対する下流側の車両検知器がそこを通過する車両を検知した数を計数する第1の計数ステップと、
この第1の計数ステップの計数値が前記道路の前記2つの車両検知器間に存在し得る車両の最大数を超えた場合、前記上流側の車両検知器が異常と判定する第1の判定ステップと、
前記2つの車両検知器のうち車両の進行方向に対する下流側の車両検知器が車両を継続して検知している継続検知状態にあるとき、その継続検知状態中に車両の進行方向に対する上流側の車両検知器がそこに進入する車両を検知した数を計数する第2の計数ステップと、
この第2の計数ステップの計数値が前記道路の前記2つの車両検知器間に存在し得る車両の最大数を超えた場合、前記下流側の車両検知器が異常と判定する第2の判定ステップと、
を具備したことを特徴とする車両検知器の異常検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−98739(P2009−98739A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266966(P2007−266966)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】