説明

車両用のウインドウモール及びその製造方法

【課題】ウインドウモールのテープ貼着面の幅寸法を小さくしてウインドウモールの幅寸法を小さくできるようにする。
【解決手段】ウインドウモール中間体(図示せず)は、ウインドウモール本体18及びリップ部19を一対備え、一対のウインドウモール本体18のうちのリップ部19と反対側の端部同士を接合した形状にすることで、一対のウインドウモール本体18のうちのテープ貼着面21の端縁21a同士が接合した状態である。このウインドウモール中間体のうちの一対のウインドウモール本体18の各テープ貼着面21に跨がって1本の両面テープ16を貼着した後、一対のウインドウモール本体18の接合部に沿ってウインドウモール中間体及び両面テープ16を分割することで、両面テープ16の側縁とテープ貼着面21のうちのリップ部19と反対側の端縁21aとが一致しているウインドウモール15を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の窓枠に取り付けられる窓板の裏面の外周縁に沿って配置されて該窓板の裏面に両面テープで固着される長尺な車両用のウインドウモール及びそのウインドウモールの製造方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1(特開2007−290525号公報)に記載されているように、自動車のフロントの窓板(窓ガラス)等は、窓板と窓枠との間の隙間を塞ぐために、窓板の裏面の外周縁に沿ってウインドウモールを両面テープ等により接着し、接着剤が設けられた窓枠に窓板を嵌めてウインドウモールの内周側と窓枠と窓板との間の接着剤を硬化させることで、窓枠に窓板を接着固定するようにしたものがある。
【0003】
このような窓板においては、窓板の表側から窓板の裏側の接着剤や車体の内装材等が透けて見えないようにするために、窓板の裏面の外周縁に沿って不透明着色層(例えば黒セラミック等)を形成するようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−290525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ウインドウモールの幅寸法を小さくすると、その分、ウインドウモールの断面積を小さくしてウインドウモールを軽量化することができる。また、ウインドウモールの幅寸法を小さくすると、その分、窓板にウインドウモールを取り付けたときのウインドウモールの幅方向の端縁の位置を窓板の外周側にすることができる。これにより、ウインドウモールの内周側に設けられた接着剤を窓板の外周側に寄せることができ、接着剤を介して窓板と接着される窓枠の底壁部(窓板の裏面に対向する部分)の幅寸法を小さくすることができる(つまり窓枠の底壁部の内周縁を外周側に寄せることができる)。これにより、窓枠の内周縁付近に位置する車体の内装材等を窓板の外周側に寄せることができ、内装材等を隠すための不透明着色層を窓板の外周側に寄せることができる。その結果、窓板からの視界を遮る不透明着色層の形成範囲を狭くする(つまり不透明着色層を形成しない範囲を広くする)ことができ、窓板からの視界を拡大することができる。
【0006】
このように、ウインドウモールの幅寸法を小さくすると、ウインドウモールを軽量化することができると共に、窓板からの視界を拡大することができるため、ウインドウモールの幅寸法を小さくすることが要求されている。
【0007】
しかし、窓板の裏面に両面テープで固着されるウインドウモールは、窓板の裏面に対向するテープ貼着面に両面テープを貼着する必要があるため、ウインドウモールの幅寸法を小さくするには、ウインドウモールのテープ貼着面の幅寸法を小さくする必要がある。
【0008】
ウインドウモールのテープ貼着面の幅寸法は、両面テープの幅寸法以上の寸法が必要であるが、両面テープの幅寸法は、両面テープの製造上の制約等により一定幅以下にすることが困難である。また、ウインドウモールのテープ貼着面に両面テープを貼着する際に、両面テープをテープ貼着面の所定位置に案内するテープガイド具を用いる場合、ウインドウモールのテープ貼着面の両端にそれぞれ両面テープのガイド代21b(図8参照)として例えば1mm程度を残して両面テープを貼着する必要があるため、テープ貼着面の幅寸法が両面テープの幅寸法よりも両端のガイド代の分(例えば2mm程度)だけ大きくなる。
【0009】
このように、テープ貼着面の両端に両面テープのガイド代を残して両面テープを貼着するウインドウモールは、テープ貼着面の幅寸法が両面テープの幅寸法よりも両端のガイド代の分だけ大きくなるため、テープ貼着面の幅寸法を小さくすることが困難であり、ウインドウモールの幅寸法を小さくすることが困難である。
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ウインドウモールのテープ貼着面の幅寸法を小さくしてウインドウモールの幅寸法を小さくすることができ、ウインドウモールの軽量化や窓板からの視界拡大の要求を満たすことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車体の窓枠に取り付けられる窓板の裏面の外周縁に沿って配置されて該窓板の裏面に両面テープで固着される長尺な車両用のウインドウモールであって、ウインドウモールは、窓板の裏面の外周縁に沿って配置されるウインドウモール本体と、該ウインドウモール本体から窓枠のうちの窓板の外周端面に対向する周壁部に向かって突出するリップ部とを備え、ウインドウモール本体のうちの窓板の裏面に対向するテープ貼着面に両面テープが貼着されていると共に、ウインドウモール本体の長手方向に沿って両面テープの側縁とテープ貼着面のうちのリップ部と反対側の端縁とが一致している構成としたものである。
【0012】
この構成では、両面テープの側縁とテープ貼着面のうちのリップ部と反対側の端縁とが一致している(つまり両面テープがテープ貼着面のうちのリップ部と反対側の端縁まで貼着されている)ため、両面テープの側縁とテープ貼着面の端縁との間が空いているウインドウモールに比べて、テープ貼着面の幅寸法を小さくすることができ、ウインドウモールの幅寸法を小さくすることができる。これにより、ウインドウモールの断面積を小さくすることができて、ウインドウモールを軽量化することができると共に、窓板からの視界を遮る不透明着色層の形成範囲を狭くすることができて、窓板からの視界を拡大することができる。
【0013】
この場合、請求項2のように、ウインドウモール本体には、テープ貼着面が形成された頭部と、該頭部から窓枠のうちの窓板の裏面に対向する底壁部に向かって突出する脚部とが一体的に設けられているようにすると良い。
【0014】
また、請求項3のように、ウインドウモール本体は、熱可塑性エラストマーで形成され、リップ部は、ウインドウモール本体を形成する熱可塑性エラストマーよりも軟質の熱可塑性エラストマーで形成されているようにすると良い。このようにすれば、ウインドウモール本体とリップ部に、それぞれ適度な弾性を持たせることができる。
【0015】
或は、請求項4のように、ウインドウモール本体とリップ部は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)で形成されているようにしても良い。このようにしても、ウインドウモール本体とリップ部に、それぞれ適度な弾性を持たせることができる。
【0016】
更に、請求項5のように、ウインドウモールを形成するためのウインドウモール中間体は、ウインドウモール本体及びリップ部を一対備え、一対のウインドウモール本体のうちのリップ部と反対側の端部同士が接合された形状に形成されることで、一対のウインドウモール本体のうちの少なくとも窓板の裏面に対向するテープ貼着面の端縁同士が接合された状態であり、ウインドウモールは、ウインドウモール中間体のうちの一対のウインドウモール本体の各テープ貼着面に跨がって1本の両面テープが貼着された後に、ウインドウモール中間体のうちの一対のウインドウモール本体の接合部に沿ってウインドウモール中間体及び両面テープが分割されることで形成されているようにしても良い。このようにすれば、本発明のウインドウモール(両面テープの側縁とテープ貼着面のうちのリップ部と反対側の端縁とが一致しているウインドウモール)を容易に実現することができる。
【0017】
本発明のウインドウモールを製造する場合には、請求項6のように、ウインドウモールは、窓板の裏面の外周縁に沿って配置されるウインドウモール本体と、該ウインドウモール本体から窓枠のうちの窓板の外周端面に対向する周壁部に向かって突出するリップ部とを備え、ウインドウモールを形成するためのウインドウモール中間体は、ウインドウモール本体及びリップ部を一対備え、一対のウインドウモール本体のうちのリップ部と反対側の端部同士が接合された形状に形成されることで、一対のウインドウモール本体のうちの少なくとも窓板の裏面に対向するテープ貼着面の端縁同士が接合された状態であり、ウインドウモール中間体を準備する準備工程と、ウインドウモール中間体のうちの一対のウインドウモール本体の各テープ貼着面に跨がって1本の両面テープを貼着するテープ貼着工程と、ウインドウモール中間体のうちの一対のウインドウモール本体の接合部に沿ってウインドウモール中間体及び両面テープを分割する分割工程とを実行するようにすると良い。このようにすれば、本発明のウインドウモール(両面テープの側縁とテープ貼着面のうちのリップ部と反対側の端縁とが一致しているウインドウモール)を効率良く製造することができる。
【0018】
この場合、ウインドウモール中間体を外部から入手するようにしても良いが、請求項7のように、準備工程において、ウインドウモール中間体を押出成形するようにしても良い。このようにすれば、ウインドウモールの製造ラインで、ウインドウモール中間体を押出成形しながらウインドウモールを製造することができる。
【0019】
また、請求項8のように、テープ貼着工程において、両面テープの位置を規制するガイド部を有するテープガイド具を用い、ガイド部には2つの凸部と凹部が形成され、両面テープを2つの凸部間の凹部に位置させることで、両面テープをテープ貼着面の所定位置に案内しながら両面テープを貼着するようにしても良い。このようにすれば、一対のウインドウモール本体のテープ貼着面の所定位置に両面テープを精度良く貼着することができる。
【0020】
更に、請求項9のように、分割工程において、ウインドウモール中間体及び両面テープを分割刃で切断して分割するようにしても良い。ここで、分割刃は、ウインドウモール中間体と両面テープを分割するときに、ウインドウモール中間体の上下方向に移動するものでも良いし、ウインドウモール本体の接合部に沿って回転するものでも良い。このようにすれば、ウインドウモール中間体及び両面テープを分割刃で容易に切断して分割することができる。
【0021】
また、請求項10のように、準備工程において、ウインドウモール中間体は、一対のウインドウモール本体の各テープ貼着面が連続した平面となるように接合された形状に形成されているようにすると良い。このようにすれば、テープ貼着工程で、一対のウインドウモール本体の各テープ貼着面に跨がって1本の両面テープを貼着する際に、両面テープを容易に貼着することができる。
【0022】
更に、請求項11のように、テープ貼着工程の前にウインドウモール中間体のうちの一対のウインドウモール本体の各テープ貼着面にプライマーを塗布するプライマー塗布工程を実行するようにしても良い。このようにすれば、テープ貼着面と両面テープとの密着力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は本発明の一実施例における窓組立体の正面図である。
【図2】図2は図1のA−A断面図である。
【図3】図3はウインドウモールの製造装置の概略構成図である。
【図4】図4は押出成形機を下流側から見た図である。
【図5】図5はテープ貼着機のテープガイドローラ及びその周辺部を下流側から見た図である。
【図6】図6は分割機を下流側から見た図である。
【図7】図7は本実施例のウインドウモールを車体に取り付けた状態を示す断面図である。
【図8】図8は従来のウインドウモールを車体に取り付けた状態を示す断面図である。
【図9】図9は他の実施例の分割機を下流側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を説明する。
図1及び図2に示すように、自動車の車体パネル11(図2参照)に形成されたフロントウインドウ用の窓枠12には、窓組立体13が組み付けられている。この窓組立体13は、窓板14(窓ガラス)と、この窓板14の裏面の外周縁(本実施例では上縁と左右両側縁)に沿って配置された長尺なウインドウモール15とから構成され、ウインドウモール15は、窓板14の裏面に両面テープ16(両面接着テープ又は両面粘着テープということもある)で固着されている。尚、ウインドウモール15は、窓板14の上縁に沿って装着されるウインドウモール15aの両端に、それぞれ窓板14の左側縁に沿って装着されるウインドウモール15bと窓板14の右側縁に沿って装着されるウインドウモール15cを接続したものである。また、窓板14の裏面には、不透明着色層17(例えば黒セラミック等)が窓板14の外周縁に沿って所定幅で形成され、この不透明着色層17によって窓板14の表側から窓板14の外周縁の裏側のシーラント25や車体の内装材等が透けて見えないようになっている。
【0025】
図2に示すように、ウインドウモール15は、ゴム又は熱可塑性合成樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)等の弾性ポリマー材料の押出成形により、窓板14の裏面の外周縁に沿って配置されるウインドウモール本体18と、このウインドウモール本体18から窓枠12のうちの窓板14の外周端面に対向する周壁部12aに向かって突出するリップ部19とが一体的に形成され、ウインドウモール本体18の内部には、収縮防止用のワイヤ20がインサート成形により埋設されている。
【0026】
また、ウインドウモール本体18のうちの窓板14の裏面に対向するテープ貼着面21に両面テープ16が貼着されていると共に、ウインドウモール本体18の長手方向に沿って両面テープ16の側縁とテープ貼着面21のうちのリップ部19と反対側の端縁21aとがほぼ一致している(つまり両面テープ16がテープ貼着面21のうちのリップ部19と反対側の端縁21aまで貼着されている)。
【0027】
ウインドウモール本体18には、テープ貼着面21が形成された頭部22と、この頭部22から窓枠12のうちの窓板14の裏面に対向する底壁部12bに向かって突出する脚部23とが一体的に設けられている。
【0028】
ウインドウモール本体18(頭部22と脚部23)は、例えば、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)で形成され、リップ部19は、ウインドウモール本体18を形成するTPOよりも軟質のTPOで形成されることで、ウインドウモール本体18とリップ部19に、それぞれ適度な弾性を持たせるようにしている。尚、脚部23の先端部に、ウインドウモール本体18を形成するTPOよりも軟質のTPOで形成された軟質部24を設けるようにしても良い。
【0029】
また、ウインドウモール本体18を塩化ビニルで形成し、リップ部19をウインドウモール本体18よりも軟質の塩化ビニル系エラストマーで形成するようにしても良い。或は、ウインドウモール本体18とリップ部19を、同じ硬度のEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)で形成するようにしても良い。このようにしても、ウインドウモール本体18とリップ部19に、それぞれ適度な弾性を持たせることができる。
【0030】
ウインドウモール15(ウインドウモール本体18)の全長に亘って貼着された両面テープ16を窓板14の裏面の外周縁に沿って貼着することで、窓板14の裏面の外周縁に沿ってウインドウモール15が接着された窓組立体13となる。この窓組立体13を窓枠12に組み付ける場合には、まず、窓板14の裏面のうちのウインドウモール15の内周側にペースト状のウレタンシーラント25(シール兼接着剤)を吐出する。この後、窓枠12に窓組立体13を嵌めてウレタンシーラント25を硬化させることで、窓枠12に窓組立体13を接着固定する。
【0031】
次に、図3乃至図6を用いて、ウインドウモール15の製造装置及び製造方法を説明する。
図3に示すように、ウインドウモール15を製造する場合には、まず、押出成形機26により、ウインドウモール15を形成するためのウインドウモール中間体27を押出成形する押出成形工程(準備工程)を実行する。
【0032】
図4に示すように、ウインドウモール中間体27は、ウインドウモール本体18及びリップ部19を一対備え、一対のウインドウモール本体18のうちのリップ部19と反対側の端部同士が接合部18aで接合された形状に形成されることで、一対のウインドウモール本体18のうちのテープ貼着面21の端縁21a同士が接合された状態になっている。尚、ウインドウモール中間体27は、一対のウインドウモール本体18の頭部22のうちのリップ部19と反対側の端部同士が接合された形状としても良い。
【0033】
本実施例では、ウインドウモール中間体27は、一対のウインドウモール本体18の各テープ貼着面21が連続した平面となるように接合された形状に形成されている。押出成形機26には、ウインドウモール中間体27を押出成形する押出成形型28が設けられ、この押出成形型28に補強用のワイヤ20を連続して供給しながら、押出成形型28にウインドウモール成形用の弾性ポリマー材料を連続して供給して、ウインドウモール中間体27を押出成形する。
【0034】
この後、ウインドウモール中間体27(ウインドウモール本体18とリップ部19)を成形するポリマー材料が熱可塑性樹脂(例えばTPO)の場合には、図3に示すように、押出成形機26から押し出される未固化状態のウインドウモール中間体27を冷却水槽等の冷却機29で冷却することでウインドウモール中間体27を固化させる処理工程を実行する。
【0035】
尚、ウインドウモール中間体27(ウインドウモール本体18とリップ部19)を成形するポリマー材料がゴム(例えばEPDM)の場合には、押出成形機26から押し出される未加硫状態のウインドウモール中間体27を硬化処理装置(図示せず)に供給する。この硬化処理装置は、加熱機(例えば高周波加熱機と熱風加熱機)でウインドウモール中間体27を加熱することでウインドウモール中間体27を加硫させて硬化させる処理行程を実行する。ウインドウモール中間体27を加硫させて硬化させた後、必要に応じて冷却水槽等の冷却機でウインドウモール中間体27を冷却する。
【0036】
この後、ウインドウモール中間体27をプライマー塗布機30に供給し、このプライマー塗布機30により、ウインドウモール中間体27のテープ貼着面21にプライマーを塗布するプライマー塗布工程を実行する。プライマー塗布機30には、ウインドウモール中間体27のテープ貼着面21の幅寸法(1つのウインドウモール本体18のテープ貼着面21の幅寸法の2倍)とほぼ同じ幅寸法か又はそれよりも少し短い幅寸法の塗布具31(例えば刷毛やフェルト等)と、ウインドウモール中間体27を受け支える支持台32とが設けられ、塗布具31でウインドウモール中間体27のうちの一対のウインドウモール本体18の各テープ貼着面21にプライマーを塗布する。これにより、テープ貼着面21と両面テープ16との密着力を高めることができる。
【0037】
この後、ウインドウモール中間体27をテープ貼着機34に供給し、このテープ貼着機34により、ウインドウモール中間体27のテープ貼着面21に1本の両面テープ16を貼着するテープ貼着工程を実行する。テープ貼着機34には、両面テープ16が巻き付けられたテープ供給ローラ35と、両面テープ16の位置を規制するテープガイドローラ36(テープガイド具)と、両面テープ16を圧着させる圧着ローラ37と、ウインドウモール中間体27を受け支える支持台38とが設けられている。
【0038】
図5に示すように、テープガイドローラ36は、ウインドウモール中間体27のテープ貼着面21の幅寸法(1つのウインドウモール本体18のテープ貼着面21の幅寸法の2倍)とほぼ同じ幅寸法で形成されている。このテープガイドローラ36の外周部には、ガイド部39が形成され、このガイド部39の両端に、それぞれ凸部40aが設けられ、これれの凸部40aをガイド代21bに近接させて、2つの凸部40a間に形成された凹部40bに両面テープ16を位置させることで両面テープ16の位置を規制するようになっている。この場合、テープガイドローラ36の各凸部40aの幅寸法(例えば1mm程度)が両面テープ16のガイド代21bとなり、ウインドウモール中間体27のテープ貼着面21の両端にそれぞれ両面テープ16のガイド代21bを残して両面テープ16を貼着するため、ウインドウモール中間体27のテープ貼着面21の幅寸法(1つのウインドウモール本体18のテープ貼着面21の幅寸法の2倍)が両面テープ16の幅寸法よりも両端のガイド代21bの分(例えば2mm程度)だけ大きくなる。また、支持台38は、ウインドウモール中間体27を下方から受け支えるようにウインドウモール中間体27の下側部分に対応した形状に形成されている。
【0039】
テープ貼着工程では、テープ供給ローラ35から供給される1本の両面テープ16を、テープガイドローラ36によってウインドウモール中間体27のテープ貼着面21の所定位置(テープ貼着面21の両端にそれぞれ両面テープ16のガイド代21bを残すような位置)に案内しながら、ウインドウモール中間体27のうちの一対のウインドウモール本体18の各テープ貼着面21に跨がって1本の両面テープ16を貼着し、圧着ローラ37で両面テープ16をテープ貼着面21に圧着させる。
【0040】
この後、図3に示すように、両面テープ16が貼着されたウインドウモール中間体27を引取ローラ41で引き取りながら分割機42に供給し、この分割機42により、両面テープ16が貼着されたウインドウモール中間体27を分割する分割工程を実行する。図6に示すように、分割機42には、ウインドウモール中間体27及び両面テープ16を切断する分割刃43と、ウインドウモール中間体27を受け支える支持台44とが設けられている。分割刃43は、ウインドウモール中間体27の中央部(一対のウインドウモール本体18の接合部18a)の上方からウインドウモール中間体27の接合部18aを越える位置まで下降してウインドウモール中間体27及び両面テープ16を長手方向に切断するように配置されている。また、支持台44は、ウインドウモール中間体27を下方から受け支えるようにウインドウモール中間体27の下側部分に対応した形状に形成されている。
【0041】
分割工程では、ウインドウモール中間体27のうちの一対のウインドウモール本体18の接合部18aに沿ってウインドウモール中間体27及び両面テープ16を分割刃43で切断して2本のウインドウモール15に分割する。これにより、2本のウインドウモール15は、それぞれ両面テープ16の側縁とテープ貼着面21のうちのリップ部19と反対側の端縁21aとがほぼ一致した状態(つまり両面テープ16がテープ貼着面21のうちのリップ部19と反対側の端縁21aまで貼着された状態)となる。
【0042】
この後、図3に示すように、ウインドウモール15を切断機45に供給し、この切断機の切断刃46から下流側に所定間隔だけ離れて配置された位置センサ47(例えば、発光素子47aと受光素子47bとからなる光センサ)でウインドウモール15の先端部を検出する毎に切断機45の切断刃46でウインドウモール15を切断することで、ウインドウモール15を所定の長さ寸法で切断する。これにより、ウインドウモール15(両面テープ16の側縁とテープ貼着面21のうちのリップ部19と反対側の端縁21aとがほぼ一致しているウインドウモール)の製造が完了する。
【0043】
以上説明した本実施例では、ウインドウモール15は、両面テープ16の側縁とテープ貼着面21のうちのリップ部19と反対側の端縁21aとがほぼ一致している(つまり両面テープ16がテープ貼着面21のうちのリップ部19と反対側の端縁21aまで貼着されている)ため、両面テープの側縁とテープ貼着面の端縁との間が空いているウインドウモール(テープ貼着面の両端に両面テープのガイド代21bを残して両面テープが貼着されたウインドウモール)に比べて、テープ貼着面21の幅寸法を小さくすることができ、ウインドウモール15の幅寸法を小さくすることができる。これにより、ウインドウモール15の断面積を小さくすることができて、ウインドウモール15を軽量化することができる。
【0044】
ここで、図7は本実施例のウインドウモール15(両面テープ16の側縁とテープ貼着面21の端縁21aとが一致しているウインドウモール)を車体に取り付けた状態を示す断面図であり、図8は従来のウインドウモール10(テープ貼着面21の両端に両面テープ16のガイド代21bを残して両面テープ21を貼着したウインドウモール)を車体に取り付けた状態を示す断面図である。尚、図8は、説明の便宜上、ウインドウモール10以外は図7と同一符号を付してある。
【0045】
図7及び図8に示すように、テープ貼着面21の端縁を基準にしてウレタンシーラント25や不透明着色層17を設ける位置を決定する場合、テープ貼着面21の端縁とウレタンシーラント25の幅方向の中心との間の距離Aが一定となる。更に、ウレタンシーラント25の幅方向の中心と窓枠12の底壁部12bの端縁との間の距離Bが一定となると共に、窓枠12の底壁部12bの端縁と不透明着色層17の端縁との間の距離Fが一定となる。
【0046】
この場合、本実施例のウインドウモール15は、従来のウインドウモール10に比べて、テープ貼着面21の幅寸法Cを小さくできるため、テープ貼着面21の端縁の位置を窓板14の外周側にすることができる(C<C´)。これにより、本実施例のウインドウモール15は、従来のウインドウモール10に比べて、ウレタンシーラント25の幅方向の中心を外周側に寄せることができるため、ウレタンシーラント25を介して窓板14と接着される窓枠12の底壁部12bの幅寸法Dを小さくすることができる(D<D´)。これにより、本実施例のウインドウモール15は、従来のウインドウモール10に比べて、窓枠12の底壁部12bの内周縁付近に位置する車体の内装材等を窓板14の外周側に寄せることができるため、内装材等を隠すための不透明着色層17を窓板14の外周側に寄せることができる。その結果、窓板14からの視界を遮る不透明着色層17の形成範囲Eを狭くすることができ、窓板14からの視界を拡大することができる(E<E´)。しかも、窓枠12の底壁部12bの幅寸法Dを小さくすることができるため、その分、車体を軽量化できるという利点もある。
【0047】
また、本実施例では、テープ貼着工程において、テープガイドローラ36によって両面テープ16をウインドウモール中間体27のテープ貼着面21の所定位置に案内しながら両面テープ16を貼着するようにしたので、テープ貼着面21の所定位置に両面テープ16を精度良く貼着することができる。
【0048】
更に、本実施例では、ウインドウモール中間体27は、一対のウインドウモール本体18の各テープ貼着面21が連続した平面となるように接合された形状に形成するようにしたので、テープ貼着工程で、一対のウインドウモール本体18の各テープ貼着面21に跨がって1本の両面テープ16を貼着する際に、両面テープ16を容易に貼着することができる。
【0049】
また、本実施例では、分割工程において、ウインドウモール中間体27及び両面テープ16を分割刃43で切断して分割するようにしたので、ウインドウモール中間体27及び両面テープ16を分割刃43で容易に切断して分割することができる。
【0050】
また、本実施例では、ウインドウモール15を製造する場合に、押出成形機26でウインドウモール中間体27を押出成形する押出成形工程(準備工程)を実行するようにしたので、ウインドウモール15の製造ラインでウインドウモール中間体27を押出成形しながらウインドウモール15を製造することができる。
【0051】
しかしながら、本発明は、ウインドウモール15の製造ラインでウインドウモール中間体27を押出成形する方法に限定されず、ウインドウモール中間体27を外部から入手するようにしても良い。
【0052】
また、上記実施例では、分割工程で用いる分割機42は、ウインドウモール中間体27の上方から分割刃43が下降する構成としたが、これに限定されず、例えば、図9に示すように、分割機48は、ウインドウモール中間体27の下方から分割刃49が上昇する構成としても良い。具体的には、分割機48には、ウインドウモール中間体27及び両面テープ16を切断する分割刃49と、ウインドウモール中間体27を受け支える支持台50と、ウインドウモール中間体27が上方に浮かないようにウインドウモール中間体27を上方から押さえる押さえローラ51とが設けられている。分割刃49は、ウインドウモール中間体27の中央部(一対のウインドウモール本体18の接合部18a)の下方からウインドウモール中間体27の接合部18aと両面テープ16を越える位置まで上昇してウインドウモール中間体27及び両面テープ16を長手方向に切断するように配置されている。また、支持台50は、ウインドウモール中間体27を下方から受け支えるようにウインドウモール中間体27の下側部分に対応した形状に形成されると共に、中央部に分割刃49が移動するための通路52が形成されている。また、押さえローラ51は、ウインドウモール中間体27の幅寸法とほぼ同じ幅寸法に形成され、中央部に分割刃49との干渉をさけるための凹溝53が形成されている。
【0053】
尚、分割刃は、ウインドウモール中間体と両面テープを分割するときに、ウインドウモール中間体の上下方向に移動するものに限定されず、例えば、円形状(円盤状)に形成されて、ウインドウモール本体の接合部に沿って回転するものでも良い。
【0054】
また、上記実施例では、自動車のフロントウインドウ用のウインドウモールに本発明を適用したが、これに限定されず、自動車の他のウインドウ(例えば、リヤウインドウ、サイドウインドウ、クォーターウインドウ等)用のウインドウモールに本発明を適用しても良い。
【0055】
その他、本発明は、ウインドウモール(ウインドウモール本体やリップ部等)の形状や材料、ウインドウモールの製造装置(テープ貼着機や分割機等)の構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【符号の説明】
【0056】
11…車体パネル、12…窓枠、14…窓板、15…ウインドウモール、16…両面テープ、17…不透明着色層、18…ウインドウモール本体、19…リップ部、21…テープ貼着面、22…頭部、23…脚部、25…シーラント、26…押出成形機、27…ウインドウモール中間体、29…冷却機、30…プライマー塗布機、34…テープ貼着機、36…テープガイドローラ(テープガイド具)、39…ガイド部、40a…凸部、40b…凹部、42…分割機、43…分割刃、45…切断機、48…分割機、49…分割刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の窓枠に取り付けられる窓板の裏面の外周縁に沿って配置されて該窓板の裏面に両面テープで固着される長尺な車両用のウインドウモールであって、
前記ウインドウモールは、前記窓板の裏面の外周縁に沿って配置されるウインドウモール本体と、該ウインドウモール本体から前記窓枠のうちの前記窓板の外周端面に対向する周壁部に向かって突出するリップ部とを備え、
前記ウインドウモール本体のうちの前記窓板の裏面に対向するテープ貼着面に前記両面テープが貼着されていると共に、前記ウインドウモール本体の長手方向に沿って前記両面テープの側縁と前記テープ貼着面のうちの前記リップ部と反対側の端縁とが一致していることを特徴とする車両用のウインドウモール。
【請求項2】
前記ウインドウモール本体には、前記テープ貼着面が形成された頭部と、該頭部から前記窓枠のうちの前記窓板の裏面に対向する底壁部に向かって突出する脚部とが一体的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用のウインドウモール。
【請求項3】
前記ウインドウモール本体は、熱可塑性エラストマーで形成され、
前記リップ部は、前記ウインドウモール本体を形成する熱可塑性エラストマーよりも軟質の熱可塑性エラストマーで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用のウインドウモール。
【請求項4】
前記ウインドウモール本体と前記リップ部は、エチレン−プロピレン−ジエンゴムで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用のウインドウモール。
【請求項5】
前記ウインドウモールを形成するためのウインドウモール中間体は、前記ウインドウモール本体及び前記リップ部を一対備え、前記一対のウインドウモール本体のうちの前記リップ部と反対側の端部同士が接合された形状に形成されることで、前記一対のウインドウモール本体のうちの少なくとも前記窓板の裏面に対向するテープ貼着面の端縁同士が接合された状態であり、
前記ウインドウモールは、前記ウインドウモール中間体のうちの前記一対のウインドウモール本体の各テープ貼着面に跨がって1本の両面テープが貼着された後に、前記ウインドウモール中間体のうちの前記一対のウインドウモール本体の接合部に沿って前記ウインドウモール中間体及び前記両面テープが分割されることで形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用のウインドウモール。
【請求項6】
車体の窓枠に取り付けられる窓板の裏面の外周縁に沿って配置されて該窓板の裏面に両面テープで固着される長尺な車両用のウインドウモールを製造する方法であって、
前記ウインドウモールは、前記窓板の裏面の外周縁に沿って配置されるウインドウモール本体と、該ウインドウモール本体から前記窓枠のうちの前記窓板の外周端面に対向する周壁部に向かって突出するリップ部とを備え、
前記ウインドウモールを形成するためのウインドウモール中間体は、前記ウインドウモール本体及び前記リップ部を一対備え、前記一対のウインドウモール本体のうちの前記リップ部と反対側の端部同士が接合された形状に形成されることで、前記一対のウインドウモール本体のうちの少なくとも前記窓板の裏面に対向するテープ貼着面の端縁同士が接合された状態であり、
前記ウインドウモール中間体を準備する準備工程と、
前記ウインドウモール中間体のうちの前記一対のウインドウモール本体の各テープ貼着面に跨がって1本の両面テープを貼着するテープ貼着工程と、
前記ウインドウモール中間体のうちの前記一対のウインドウモール本体の接合部に沿って前記ウインドウモール中間体及び前記両面テープを分割する分割工程と
を含むことを特徴とする車両用のウインドウモールの製造方法。
【請求項7】
前記準備工程において、前記ウインドウモール中間体を押出成形することを特徴とする請求項6に記載の車両用のウインドウモールの製造方法。
【請求項8】
前記テープ貼着工程において、前記両面テープの位置を規制するガイド部を有するテープガイド具を用い、前記ガイド部には2つの凸部と凹部が形成され、前記両面テープを2つの凸部間の凹部に位置させることで、前記両面テープを前記テープ貼着面の所定位置に案内しながら前記両面テープを貼着することを特徴とする請求項6又は7に記載の車両用のウインドウモールの製造方法。
【請求項9】
前記分割工程において、前記ウインドウモール中間体及び前記両面テープを分割刃で切断して分割することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の車両用のウインドウモールの製造方法。
【請求項10】
前記準備工程において、前記ウインドウモール中間体は、前記一対のウインドウモール本体の各テープ貼着面が連続した平面となるように接合された形状に形成されていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の車両用のウインドウモールの製造方法。
【請求項11】
前記テープ貼着工程の前に前記ウインドウモール中間体のうちの前記一対のウインドウモール本体の各テープ貼着面にプライマーを塗布するプライマー塗布工程を実行することを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載の車両用のウインドウモールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−251561(P2011−251561A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124846(P2010−124846)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】