車両用サンバイザ
【課題】サンバイザ本体に対する補助バイザの位置調整の自由度の高い車両用サンバイザを提供する。
【解決手段】本車両用サンバイザ1は、サンバイザ本体2と、前記サンバイザ本体に設けられる補助バイザ3と、前記サンバイザ本体及び前記補助バイザの間に設けられ、且つ、前記サンバイザ本体に対して前記補助バイザを、該サンバイザ本体の長手方向Lに沿って移動可能に支持し且つ該サンバイザ本体の長手方向に直交する軸心C回りに回転可能に支持する支持機構4と、を備える。
【解決手段】本車両用サンバイザ1は、サンバイザ本体2と、前記サンバイザ本体に設けられる補助バイザ3と、前記サンバイザ本体及び前記補助バイザの間に設けられ、且つ、前記サンバイザ本体に対して前記補助バイザを、該サンバイザ本体の長手方向Lに沿って移動可能に支持し且つ該サンバイザ本体の長手方向に直交する軸心C回りに回転可能に支持する支持機構4と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サンバイザに関し、さらに詳しくは、サンバイザ本体に対する補助バイザの位置調整の自由度の高い車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の車両のフロントガラス上部には、主として前部座席の遮光を行うサンバイザが一般に設けられている。この種のサンバイザとして、サンバイザ本体に補助バイザを設けてなるものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
上記特許文献1及び2には、サンバイザ本体に対して補助バイザを左右方向にスライド可能に支持してなるサンバイザが開示されている。そして、この補助バイザを必要に応じてサンバイザ本体の一方の側部から突出させて遮光範囲を拡張するようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−165332号公報
【特許文献2】特開2004−196030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1及び2では、補助バイザがサンバイザ本体に対して左右方向にスライドするだけなので、着座者の前方と側方の両方を遮光することが困難であり、補助バイザによる遮光範囲の自由度が低いものとなっている。また、補助バイザに各種機能部(例えば、ミラー、カードホルダ等)を設ける場合、着座者に機能部を近づけることが困難である。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、サンバイザ本体に対する補助バイザの位置調整の自由度の高い車両用サンバイザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.サンバイザ本体と、
前記サンバイザ本体に設けられる補助バイザと、
前記サンバイザ本体及び前記補助バイザの間に設けられ、且つ、前記サンバイザ本体に対して前記補助バイザを、該サンバイザ本体の長手方向(L)に沿って移動可能に支持し且つ該サンバイザ本体の長手方向に直交する軸心(C)回りに回転可能に支持する支持機構と、を備えることを特徴とする車両用サンバイザ。
2.前記支持機構は、前記サンバイザ本体に形成され且つ該サンバイザ本体の長手方向に沿って延びるスライド溝と、前記補助バイザの一端側に該サンバイザ本体の長手方向に直交する方向に延びるように設けられ且つ前記スライド溝内に移動可能及び回転可能に支持されるスライド軸と、を有する上記1.記載の車両用サンバイザ。
3.前記スライド溝は、前記サンバイザ本体の長手方向の全域にわたって形成されている上記2.記載の車両用サンバイザ。
4.前記サンバイザ本体に対する前記補助バイザの収容状態で該補助バイザの回転を規制する回転規制機構をさらに備える上記1.乃至3.のいずれか一項に記載の車両用サンバイザ。
5.1つの前記サンバイザ本体と、2以上の前記補助バイザと、を備える上記1.乃至4.のいずれか一項に記載の車両用サンバイザ。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用サンバイザによると、支持機構によって、サンバイザ本体に対して補助バイザが移動及び回転可能に支持されているので、従来のようにサンバイザ本体に対して補助バイザを移動のみ可能に支持してなるものに比べて、サンバイザ本体に対する補助バイザの位置調整の自由度を高めることができる。このため、例えば、補助バイザをサンバイザ本体に対して回転させて起き上がらせることにより、着座者の前方と側方の両方を同時に遮光したり、補助バイザを着座者に近づけたりすることができる。さらに、補助バイザの表裏面の両側に各種機能部を設ける場合には、サンバイザ本体に対する補助バイザの回転によって、それら両側の各種機能部を有効に利用することができる。
また、前記支持機構が、前記サンバイザ本体に形成され且つ該サンバイザ本体の長手方向に沿って延びるスライド溝と、前記補助バイザの一端側に該サンバイザ本体の長手方向に直交する方向に延びるように設けられ且つ前記スライド溝内に移動可能及び回転可能に支持されるスライド軸と、を有する場合は、スライド溝をスライド軸の移動及び回転の支持に兼用できるので、支持機構をより簡易な構造にできる。
また、前記スライド溝が、前記サンバイザ本体の長手方向の全域にわたって形成されている場合は、サンバイザ本体に対して補助バイザを左右の両側に大きく突出させることができ、サンバイザ本体の左右両側の遮光をより効果的に実施できる。
また、前記サンバイザ本体に対する前記補助バイザの収容状態で該補助バイザの回転を規制する回転規制機構をさらに備える場合は、車両運転中の長時間の振動等によっても補助バイザが回転して開いてしまうことを防止できる。
さらに、1つの前記サンバイザ本体と、2以上の前記補助バイザと、を備える場合は、1つのサンバイザ本体に対して2以上の補助バイザを移動及び回転させることができ、より多様な位置調整形態を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
1.車両用サンバイザ
本実施形態1.に係る車両用サンバイザは、以下に述べるサンバイザ本体、補助バイザ及び支持機構を備える。この車両用サンバイザは、例えば、後述する回転規制機構をさらに備えることができる。
【0009】
上記「サンバイザ本体」は、車両の天井等に自在継手等により取り付けられて車室内を遮光するものである限り、その構造、大きさ、形状、材質、数量などは特に問わない。
上記サンバイザ本体の表面側及び/又は裏面側には、例えば、各種機能部を設けることができる。この機能部としては、例えば、ミラー、カードホルダ、シークレットボックス、ネットポケット、液晶等の表示モニタ、遮光用スモークアクリル板等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0010】
上記「補助バイザ」は、サンバイザ本体に設けられる限り、その構造、大きさ、形状、材質、数量などは特に問わない。この補助バイザは、通常、上記サンバイザ本体の遮光範囲を拡張する機能を発揮することができる。
上記補助バイザの表面側及び/又は裏面側には、例えば、各種機能部を設けることができる。この機能部としては、例えば、ミラー、カードホルダ、シークレットボックス、ネットポケット、液晶等の表示モニタ、遮光用スモークアクリル板等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0011】
上記「支持機構」は、上記サンバイザ本体及び補助バイザの間に設けられ、且つ、サンバイザ本体に対して補助バイザを、サンバイザ本体の長手方向に沿って移動可能に支持し且つサンバイザ本体の長手方向に直交する軸心回りに回転可能に支持する限り、その構造、支持形態、設置形態等は特に問わない。この軸心は、通常、サンバイザ本体の平面方向に延びている。
なお、上記「長手方向に直交する」とは、サンバイザ本体に対して補助バイザを回転させ得る限りにおいて、長手方向に多少ずれて略直交する状態も含むものとする。この点は、以下の説明にも適用されるものとする。
【0012】
上記支持機構としては、例えば、(1)上記サンバイザ本体に形成され且つサンバイザ本体の長手方向Lに沿って延びるスライド溝と、補助バイザの一端側にサンバイザ本体の長手方向に直交する方向に延びるように設けられ且つスライド溝内に移動可能及び回転可能に支持されるスライド軸と、を有する形態(図1参照)、(2)上記サンバイザ本体に形成され且つサンバイザ本体の長手方向Lに沿って延びるスライド溝と、補助バイザの一端側にサンバイザ本体の長手方向Lに直交する軸心C回りに回転可能に支持され且つスライド溝内に移動可能及び回転不能に支持されるスライド軸と、を有する形態(図11参照)などを挙げることができる。
上記(1)形態によると、スライド溝をスライド軸の移動及び回転の支持に兼用できるので、支持機構をより簡易な構造にできる。また、上記(2)形態によると、比較的長いスライド軸で補助バイザを回転支持できるので、支持機構をより高強度な構造にできる。
【0013】
上記(1)(2)形態では、例えば、上記スライド溝は、サンバイザ本体の長手方向の全域にわたって形成されていることができる。
上記(1)形態では、例えば、上記スライド溝は、上記サンバイザ本体に取り付けられるゴム部材に形成されており、上記スライド軸は、スライド溝内に圧入されて移動可能且つ回転可能に支持さていることができる。これにより、スライド軸がスライド溝に対して摩擦による強干渉を受けることになり、補助バイザを任意の位置や角度で保持することができる。
【0014】
上記「回転規制機構」は、上記サンバイザ本体に対する補助バイザの収容状態で補助バイザの回転を規制する限り、その構造、規制形態、設置形態等は特に問わない。
なお、上記「収容状態」とは、サンバイザ本体の表面に補助バイザの表面の略全域を重ねた状態を意図している。
【0015】
上記回転規制機構としては、例えば、(1)上記補助バイザ及び上記サンバイザ本体のうちの一方に設けられるボールプランジャと、他方に設けられボールプランジャのボールが係止する被係止部と、を有する形態、(2)上記補助バイザ及び上記サンバイザ本体のうちの一方に設けられる突状の係止部と、他方に設けられ係止部が係止する凹状の被係止部と、を有する形態等を挙げることができる。
上記(1)(2)形態では、例えば、上記被係止部は、上記支持機構を構成するスライド溝であることができる。これにより、支持機構のスライド溝を回転規制機構の構成部として利用でき、部品点数及びコストを低減させることができる。
【0016】
ここで、本実施形態1.に係る車両サンバイザは、例えば、1つの上記サンバイザ本体と、2以上の上記補助バイザと、を備えることができる(図9及び10参照)。
【実施例】
【0017】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。本実施例では、車両用サンバイザを自動車の運転席及び助手席に適用した場合について説明している。
【0018】
(1)車両用サンバイザの構成
本実施例に係る車両用サンバイザ1は、図1及び図2に示すように、サンバイザ本体2と、このサンバイザ本体2に設けられる補助バイザ3と、これらサンバイザ本体2及び補助バイザ3の間に設けられる支持機構4と、を備えている。
【0019】
上記サンバイザ本体2は、横長の略板形状の遮光板6と、この遮光板6の上下の縁に形成されたフランジ7と、この遮光板6の一端部に設けられた支持軸8と、を備えている。この支持軸8の先端が自動車の天井に自在継手により取り付けられ、遮光板6を位置調整することによって車室内、特に着座者の視野を遮光し得るようになっている。
【0020】
上記補助バイザ3は、遮光板6より僅かに小さい略板形状とされ、一方の表面にはミラー9が、他方の表面にはカードホルダ10がそれぞれ設けられている。
【0021】
上記支持機構4は、サンバイザ本体2の長手方向Lの略全域に亘るスライド溝11と、補助バイザ3の一端部に上下方向に突出して設けられる円柱形状のスライド軸12と、を備えている。このスライド溝11は、上下のフランジ7の内側面に形成された凹部7aに埋め込まれたそれぞれのゴム部材5の上面側に形成されている。このスライド溝11内にはスライド軸12が圧入されて移動可能及び回転可能に支持されている。これにより、サンバイザ本体2に対して補助バイザ3は、サンバイザ本体2の長手方向Lに沿って移動可能に支持されると共に、サンバイザ本体2の長手方向Lに直交する軸心C回りに回転可能に支持されている。
【0022】
上記補助バイザ3において、スライド軸12が設けられた一端部と反対側の他端部の上部には、周知のボールプランジャ13が設けられている。そして、図2(a)(i)に示すように、サンバイザ本体2に対する補助バイザ3の収容状態、即ちサンバイザ本体2の表面の略全域に補助バイザ3の表面の略全域を重ねた状態において、ボールプランジャ13のボールがスライド溝11内に係合されるようになっている。
ここで、上記ボールプランジャ13及びスライド溝11によって、本発明に係る「回転規制機構」が構成されている。
【0023】
(2)車両用サンバイザの作用
次に、上記構成の車両用サンバイザ1の作用について説明する。
補助バイザ3の第1の収容状態では、ミラー9を表側にして補助バイザ3がサンバイザ本体2に収容されている(図2(a)参照)。この状態より、補助バイザ3を左側に移動させると、補助バイザ3によりサンバイザ本体2の左側の遮光範囲が拡張され、遮光する範囲に応じてサンバイザ本体2からの補助バイザ3の突出量が調節される(図2(b)(c)参照)。
【0024】
一方、第1の収容状態より、補助バイザ3を回転させると、ミラー9を着座者の顔面に近づけることができる。このとき、ミラー9の角度を適宜設定することにより、例えば後部座席確認用ミラーとして使用したり、バックミラーとして使用したりできる。そして、補助バイザ3を、例えば90度回転させた場合(図2(d)参照)、前方と右方の2方向が遮光される。この状態でも、遮光する範囲に応じて補助バイザ3をスライド移動させることができる(図2(e)(f)参照)。
【0025】
また、第1の収容状態より、補助バイザ3を180度回転させると、補助バイザ3によりサンバイザ本体2の右側の遮光範囲が拡張される(図2(g)参照)。そして、遮光する範囲に応じてサンバイザ本体2からの補助バイザ3の突出量が調節される(図2(h)(i)参照)。さらに、サンバイザ本体2に対してカードホルダ10を表側にして補助バイザ3を収容することができる(第2の収容状態:図2(i)参照)。
【0026】
(3)実施例の効果
本実施例の車両用サンバイザ1によれば、支持機構4によって、サンバイザ本体2に対して補助バイザ3を移動及び回転可能に支持したので、従来のようにサンバイザ本体に対して補助バイザを移動のみ可能に支持してなるものに比べて、サンバイザ本体2に対する補助バイザ3の位置調整の自由度を高めることができる。このため、例えば、補助バイザ3をサンバイザ本体2に対して回転させて起き上がらせることにより、着座者の前方と側方の両方を同時に遮光したり、補助バイザ3のミラー9を着座者に近づけたりすることができる。さらに、サンバイザ本体2に対する補助バイザ3の回転によって、補助バイザ3の表裏面の両側に設けられたミラー9及びカードホルダ10を有効に利用することができる。
【0027】
また、本実施例では、支持機構4を、サンバイザ本体2に形成され且つサンバイザ本体2の長手方向Lに沿って延びるスライド溝11と、補助バイザ3の一端側にサンバイザ本体2の長手方向Lに直交する方向に延びるように設けられ且つスライド溝11内に移動可能及び回転可能に支持されるスライド軸12と、を備えて構成したので、スライド溝11をスライド軸12の移動及び回転の支持に兼用でき、支持機構4をより簡易な構造にできる。
【0028】
また、本実施例では、ゴム部材5に形成されたスライド溝11内にスライド軸12を圧入して移動及び回転可能に支持したので、スライド軸12はスライド溝11に対して摩擦による強干渉を受けることになり、補助バイザ3を任意の位置や角度で保持することができる。
【0029】
また、本実施例では、スライド溝11が、サンバイザ本体2の長手方向の全域にわたって形成されているので、サンバイザ本体2に対して補助バイザ3を左右の両側に大きく突出させることができる。このため、サンバイザ本体2の左右両側の遮光をより効果的に実施できる。
【0030】
また、本実施例では、サンバイザ本体2に対する補助バイザ3の収容状態で補助バイザ3の回転を規制するボールプランジャ13を備えたので、車両運転中の長時間の振動等によっても補助バイザ3が回転して開いてしまうことを防止できる。
【0031】
また、本実施例では、ボールプランジャ13のボールを、支持機構4を構成するスライド溝11に係合させるようにしたので、部品点数及びコストを低減させることができる。
【0032】
さらに、本実施例に係る補助バイザ3を左右の車両用サンバイザ1に共用して使用することができるので、部品点数及びコストを低減させることができる。
【0033】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、補助バイザ3にミラー9及びカードホルダ10を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、シークレットボックス、ネットポケット、液晶モニタ、遮光用スモークアクリル板等を適宜選択して採用することができる。これにより、製品仕様の多様化を図ることができる。
【0034】
上記シークレットボックスを採用する場合は、例えば、図3に示すように、補助バイザ3は、その内部にネットポケット14を有する補助バイザ本体15と、この補助バイザ本体15の表裏両面に蝶番等で開閉可能に設けられた一対の蓋板16と、を備えることができる。これにより、蓋板16を閉じていると内部のネットポケット14は隠されているので、カード等の貴重品を収納することができる。また、蓋板16の表側にはミラー9やカードポケット10等を設けるようにしても良い。また、図4及び図5に示すように、補助バイザ本体15の片側だけに開閉可能な蓋板16を設けるようにしてもよい。また、図6及び図7に示すように、補助バイザ本体15に対してスライド可能な蓋板16を設けて、これにより内部のネットポケット14を隠すようにしてもよい。この場合、蓋板16が補助バイザ3に対するエクステンダーとして機能するので、遮光範囲を更に広くすることができる。更に、この蓋板16の表裏に、例えばミラー9とカードポケット10を設けることにより、蓋板16を裏返すだけでリバーシブルにそれらを変更して利用することができる。
【0035】
また、上記実施例では、1つのサンバイザ本体2に対して1つの補助バイザ3を設けるようにしたが、これに限定されず、複数の補助バイザ3を設けるようにしてもよい。例えば、図8に示すように、1つのサンバイザ本体2に対して2つの補助バイザ3を備えるようにしてもよい。この場合、サンバイザ本体2の内側及び各補助バイザ3の内側にミラー9,17を備えるようにして、これら3枚のミラー9,9,17を三面鏡として使用することができる。尚、ここでは各補助バイザ3の外側面はカードポケット10としている。
【0036】
即ち、図9に示すように、補助バイザ3の不使用時は、例えばカードポケット10を表側にして補助バイザ3がサンバイザ本体2に収容されている(第1の収容状態:図9(a)参照)。そして、各補助バイザ3を回転させて(図9(b)参照)、位置や角度を適宜調整すれば三面鏡として利用できる(図9(c)参照)。これにより、着座者の利便性を更に高めることができる。また、各補助バイザ3を両側に広げることにより、左右両側の遮光範囲を同時に広げることができる(図9(d)参照)。ここで、各補助バイザ3には先端側にスライド突出するエクステンダー18を設けることが好ましい。これにより、補助バイザ3が複数になることで単数の場合よりも全長が短くなっても、遮光範囲が狭くなることを防止することができる。更に、各補助バイザ3は独立して移動させることができるので、右側だけに突出させたり(図9(e)参照)、逆に左側だけに突出させたりすることができる(図9(f)参照)。また、ミラー9を表側にして各補助バイザ3を収容することができる(第2の収容状態:図9(g)参照)。
【0037】
更に、この車両用サンバイザ1では、図10に示すように、第1の収容状態(図10(a)参照)において、例えば左側の補助バイザ3を回転させ(図10(b)参照)、180度開いて内側にスライドさせたり(図10(c)参照)、あるいは90度のまま内側にスライドさせてから回転させたりして(図10(d)参照)、左側がミラー9で右側がカードポケット10となるようにできる(図10(e)参照)。また、逆に右側の補助バイザ3を回転させ(図10(f)参照)、180度開いて内側にスライドさせたり(図10(g)参照)、あるいは90度のまま内側にスライドさせてから回転させたりして(図10(h)参照)、右側がミラー9で左側がカードポケット10となるようにできる(図10(i)参照)。
【0038】
また、上記実施例では、補助バイザ3に固定されたスライド軸12がサンバイザ本体2に対して回転するようにしたが、これに限定されず、例えば、図11に示すように、スライド軸12をスライド溝11に対して移動可能且つ回転不能に支持し、このスライド軸12に対して補助バイザ3を回転可能に支持するようにしてもよい。この場合、スライド軸12の全長で補助バイザ3を回転自在に支持でき、その支持強度を高めることができる。
【0039】
また、上記実施例では、1本のスライド軸12のみにより1軸で支持する支持機構4を例示したが、これに限定されず、例えば、2軸以上で支持する支持機構としてもよい。例えば、図12に示すように、サンバイザ本体2に対して移動可能且つ回転可能な軸部材19と、この軸部材19に対して垂直方向に設けられて回転可能な支持軸20と、を備え、この支持軸20により補助バイザ3を支持するようにしてもよい。また、例えば、図13に示すように。サンバイザ本体2に対して移動可能且つ回転不能なスライダ21と、このスライダ21に対して垂直方向に設けられて回転可能な中間軸22と、この中間軸22に対して垂直方向に設けられて回転可能な支持軸23と、を備え、この支持軸23により補助バイザ3を支持するようにしてもよい。いずれの場合も2軸以上で支持することにより補助バイザ3の長手方向を中心軸とする回転が可能になるので、更に自由度を高めることができ、例えば後部座席確認ミラー9やバックミラー9として使用する際に好適である。
【0040】
さらに、上記実施例では、手動式の補助バイザ3を例示したが、これに限定されず、例えば、駆動モータ等による電動式の補助バイザとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
車両の車室内等を遮光する技術として広く利用される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施例に係る車両用サンバイザを示す分解斜視図である。
【図2】上記車両用サンバイザの作用を説明するための説明図である。
【図3】その他の形態の車両用サンバイザを示す分解斜視図である。
【図4】更にその他の形態の車両用サンバイザを示す斜視図である。
【図5】上記車両用サンバイザの蓋体を開放させた状態を示す斜視図である。
【図6】更にその他の形態の車両用サンバイザを示す斜視図である。
【図7】上記車両用サンバイザの蓋体を開放させた状態を示す斜視図である。
【図8】更にその他の形態の車両用サンバイザを示す分解斜視図である。
【図9】上記車両用サンバイザの作用を説明するための説明図である。
【図10】上記車両用サンバイザの作用を説明するための説明図である。
【図11】更にその他の形態の車両用サンバイザを示す分解斜視図である。
【図12】更にその他の形態の車両用サンバイザを示す分解斜視図である。
【図13】更にその他の形態の車両用サンバイザを示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1;車両用サンバイザ、2;サンバイザ本体、3;補助バイザ、4;支持機構、9;ミラー、10;カードホルダ、11;スライド溝、12;スライド軸、13;ボールプランジャ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サンバイザに関し、さらに詳しくは、サンバイザ本体に対する補助バイザの位置調整の自由度の高い車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の車両のフロントガラス上部には、主として前部座席の遮光を行うサンバイザが一般に設けられている。この種のサンバイザとして、サンバイザ本体に補助バイザを設けてなるものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
上記特許文献1及び2には、サンバイザ本体に対して補助バイザを左右方向にスライド可能に支持してなるサンバイザが開示されている。そして、この補助バイザを必要に応じてサンバイザ本体の一方の側部から突出させて遮光範囲を拡張するようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−165332号公報
【特許文献2】特開2004−196030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1及び2では、補助バイザがサンバイザ本体に対して左右方向にスライドするだけなので、着座者の前方と側方の両方を遮光することが困難であり、補助バイザによる遮光範囲の自由度が低いものとなっている。また、補助バイザに各種機能部(例えば、ミラー、カードホルダ等)を設ける場合、着座者に機能部を近づけることが困難である。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、サンバイザ本体に対する補助バイザの位置調整の自由度の高い車両用サンバイザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.サンバイザ本体と、
前記サンバイザ本体に設けられる補助バイザと、
前記サンバイザ本体及び前記補助バイザの間に設けられ、且つ、前記サンバイザ本体に対して前記補助バイザを、該サンバイザ本体の長手方向(L)に沿って移動可能に支持し且つ該サンバイザ本体の長手方向に直交する軸心(C)回りに回転可能に支持する支持機構と、を備えることを特徴とする車両用サンバイザ。
2.前記支持機構は、前記サンバイザ本体に形成され且つ該サンバイザ本体の長手方向に沿って延びるスライド溝と、前記補助バイザの一端側に該サンバイザ本体の長手方向に直交する方向に延びるように設けられ且つ前記スライド溝内に移動可能及び回転可能に支持されるスライド軸と、を有する上記1.記載の車両用サンバイザ。
3.前記スライド溝は、前記サンバイザ本体の長手方向の全域にわたって形成されている上記2.記載の車両用サンバイザ。
4.前記サンバイザ本体に対する前記補助バイザの収容状態で該補助バイザの回転を規制する回転規制機構をさらに備える上記1.乃至3.のいずれか一項に記載の車両用サンバイザ。
5.1つの前記サンバイザ本体と、2以上の前記補助バイザと、を備える上記1.乃至4.のいずれか一項に記載の車両用サンバイザ。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用サンバイザによると、支持機構によって、サンバイザ本体に対して補助バイザが移動及び回転可能に支持されているので、従来のようにサンバイザ本体に対して補助バイザを移動のみ可能に支持してなるものに比べて、サンバイザ本体に対する補助バイザの位置調整の自由度を高めることができる。このため、例えば、補助バイザをサンバイザ本体に対して回転させて起き上がらせることにより、着座者の前方と側方の両方を同時に遮光したり、補助バイザを着座者に近づけたりすることができる。さらに、補助バイザの表裏面の両側に各種機能部を設ける場合には、サンバイザ本体に対する補助バイザの回転によって、それら両側の各種機能部を有効に利用することができる。
また、前記支持機構が、前記サンバイザ本体に形成され且つ該サンバイザ本体の長手方向に沿って延びるスライド溝と、前記補助バイザの一端側に該サンバイザ本体の長手方向に直交する方向に延びるように設けられ且つ前記スライド溝内に移動可能及び回転可能に支持されるスライド軸と、を有する場合は、スライド溝をスライド軸の移動及び回転の支持に兼用できるので、支持機構をより簡易な構造にできる。
また、前記スライド溝が、前記サンバイザ本体の長手方向の全域にわたって形成されている場合は、サンバイザ本体に対して補助バイザを左右の両側に大きく突出させることができ、サンバイザ本体の左右両側の遮光をより効果的に実施できる。
また、前記サンバイザ本体に対する前記補助バイザの収容状態で該補助バイザの回転を規制する回転規制機構をさらに備える場合は、車両運転中の長時間の振動等によっても補助バイザが回転して開いてしまうことを防止できる。
さらに、1つの前記サンバイザ本体と、2以上の前記補助バイザと、を備える場合は、1つのサンバイザ本体に対して2以上の補助バイザを移動及び回転させることができ、より多様な位置調整形態を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
1.車両用サンバイザ
本実施形態1.に係る車両用サンバイザは、以下に述べるサンバイザ本体、補助バイザ及び支持機構を備える。この車両用サンバイザは、例えば、後述する回転規制機構をさらに備えることができる。
【0009】
上記「サンバイザ本体」は、車両の天井等に自在継手等により取り付けられて車室内を遮光するものである限り、その構造、大きさ、形状、材質、数量などは特に問わない。
上記サンバイザ本体の表面側及び/又は裏面側には、例えば、各種機能部を設けることができる。この機能部としては、例えば、ミラー、カードホルダ、シークレットボックス、ネットポケット、液晶等の表示モニタ、遮光用スモークアクリル板等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0010】
上記「補助バイザ」は、サンバイザ本体に設けられる限り、その構造、大きさ、形状、材質、数量などは特に問わない。この補助バイザは、通常、上記サンバイザ本体の遮光範囲を拡張する機能を発揮することができる。
上記補助バイザの表面側及び/又は裏面側には、例えば、各種機能部を設けることができる。この機能部としては、例えば、ミラー、カードホルダ、シークレットボックス、ネットポケット、液晶等の表示モニタ、遮光用スモークアクリル板等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0011】
上記「支持機構」は、上記サンバイザ本体及び補助バイザの間に設けられ、且つ、サンバイザ本体に対して補助バイザを、サンバイザ本体の長手方向に沿って移動可能に支持し且つサンバイザ本体の長手方向に直交する軸心回りに回転可能に支持する限り、その構造、支持形態、設置形態等は特に問わない。この軸心は、通常、サンバイザ本体の平面方向に延びている。
なお、上記「長手方向に直交する」とは、サンバイザ本体に対して補助バイザを回転させ得る限りにおいて、長手方向に多少ずれて略直交する状態も含むものとする。この点は、以下の説明にも適用されるものとする。
【0012】
上記支持機構としては、例えば、(1)上記サンバイザ本体に形成され且つサンバイザ本体の長手方向Lに沿って延びるスライド溝と、補助バイザの一端側にサンバイザ本体の長手方向に直交する方向に延びるように設けられ且つスライド溝内に移動可能及び回転可能に支持されるスライド軸と、を有する形態(図1参照)、(2)上記サンバイザ本体に形成され且つサンバイザ本体の長手方向Lに沿って延びるスライド溝と、補助バイザの一端側にサンバイザ本体の長手方向Lに直交する軸心C回りに回転可能に支持され且つスライド溝内に移動可能及び回転不能に支持されるスライド軸と、を有する形態(図11参照)などを挙げることができる。
上記(1)形態によると、スライド溝をスライド軸の移動及び回転の支持に兼用できるので、支持機構をより簡易な構造にできる。また、上記(2)形態によると、比較的長いスライド軸で補助バイザを回転支持できるので、支持機構をより高強度な構造にできる。
【0013】
上記(1)(2)形態では、例えば、上記スライド溝は、サンバイザ本体の長手方向の全域にわたって形成されていることができる。
上記(1)形態では、例えば、上記スライド溝は、上記サンバイザ本体に取り付けられるゴム部材に形成されており、上記スライド軸は、スライド溝内に圧入されて移動可能且つ回転可能に支持さていることができる。これにより、スライド軸がスライド溝に対して摩擦による強干渉を受けることになり、補助バイザを任意の位置や角度で保持することができる。
【0014】
上記「回転規制機構」は、上記サンバイザ本体に対する補助バイザの収容状態で補助バイザの回転を規制する限り、その構造、規制形態、設置形態等は特に問わない。
なお、上記「収容状態」とは、サンバイザ本体の表面に補助バイザの表面の略全域を重ねた状態を意図している。
【0015】
上記回転規制機構としては、例えば、(1)上記補助バイザ及び上記サンバイザ本体のうちの一方に設けられるボールプランジャと、他方に設けられボールプランジャのボールが係止する被係止部と、を有する形態、(2)上記補助バイザ及び上記サンバイザ本体のうちの一方に設けられる突状の係止部と、他方に設けられ係止部が係止する凹状の被係止部と、を有する形態等を挙げることができる。
上記(1)(2)形態では、例えば、上記被係止部は、上記支持機構を構成するスライド溝であることができる。これにより、支持機構のスライド溝を回転規制機構の構成部として利用でき、部品点数及びコストを低減させることができる。
【0016】
ここで、本実施形態1.に係る車両サンバイザは、例えば、1つの上記サンバイザ本体と、2以上の上記補助バイザと、を備えることができる(図9及び10参照)。
【実施例】
【0017】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。本実施例では、車両用サンバイザを自動車の運転席及び助手席に適用した場合について説明している。
【0018】
(1)車両用サンバイザの構成
本実施例に係る車両用サンバイザ1は、図1及び図2に示すように、サンバイザ本体2と、このサンバイザ本体2に設けられる補助バイザ3と、これらサンバイザ本体2及び補助バイザ3の間に設けられる支持機構4と、を備えている。
【0019】
上記サンバイザ本体2は、横長の略板形状の遮光板6と、この遮光板6の上下の縁に形成されたフランジ7と、この遮光板6の一端部に設けられた支持軸8と、を備えている。この支持軸8の先端が自動車の天井に自在継手により取り付けられ、遮光板6を位置調整することによって車室内、特に着座者の視野を遮光し得るようになっている。
【0020】
上記補助バイザ3は、遮光板6より僅かに小さい略板形状とされ、一方の表面にはミラー9が、他方の表面にはカードホルダ10がそれぞれ設けられている。
【0021】
上記支持機構4は、サンバイザ本体2の長手方向Lの略全域に亘るスライド溝11と、補助バイザ3の一端部に上下方向に突出して設けられる円柱形状のスライド軸12と、を備えている。このスライド溝11は、上下のフランジ7の内側面に形成された凹部7aに埋め込まれたそれぞれのゴム部材5の上面側に形成されている。このスライド溝11内にはスライド軸12が圧入されて移動可能及び回転可能に支持されている。これにより、サンバイザ本体2に対して補助バイザ3は、サンバイザ本体2の長手方向Lに沿って移動可能に支持されると共に、サンバイザ本体2の長手方向Lに直交する軸心C回りに回転可能に支持されている。
【0022】
上記補助バイザ3において、スライド軸12が設けられた一端部と反対側の他端部の上部には、周知のボールプランジャ13が設けられている。そして、図2(a)(i)に示すように、サンバイザ本体2に対する補助バイザ3の収容状態、即ちサンバイザ本体2の表面の略全域に補助バイザ3の表面の略全域を重ねた状態において、ボールプランジャ13のボールがスライド溝11内に係合されるようになっている。
ここで、上記ボールプランジャ13及びスライド溝11によって、本発明に係る「回転規制機構」が構成されている。
【0023】
(2)車両用サンバイザの作用
次に、上記構成の車両用サンバイザ1の作用について説明する。
補助バイザ3の第1の収容状態では、ミラー9を表側にして補助バイザ3がサンバイザ本体2に収容されている(図2(a)参照)。この状態より、補助バイザ3を左側に移動させると、補助バイザ3によりサンバイザ本体2の左側の遮光範囲が拡張され、遮光する範囲に応じてサンバイザ本体2からの補助バイザ3の突出量が調節される(図2(b)(c)参照)。
【0024】
一方、第1の収容状態より、補助バイザ3を回転させると、ミラー9を着座者の顔面に近づけることができる。このとき、ミラー9の角度を適宜設定することにより、例えば後部座席確認用ミラーとして使用したり、バックミラーとして使用したりできる。そして、補助バイザ3を、例えば90度回転させた場合(図2(d)参照)、前方と右方の2方向が遮光される。この状態でも、遮光する範囲に応じて補助バイザ3をスライド移動させることができる(図2(e)(f)参照)。
【0025】
また、第1の収容状態より、補助バイザ3を180度回転させると、補助バイザ3によりサンバイザ本体2の右側の遮光範囲が拡張される(図2(g)参照)。そして、遮光する範囲に応じてサンバイザ本体2からの補助バイザ3の突出量が調節される(図2(h)(i)参照)。さらに、サンバイザ本体2に対してカードホルダ10を表側にして補助バイザ3を収容することができる(第2の収容状態:図2(i)参照)。
【0026】
(3)実施例の効果
本実施例の車両用サンバイザ1によれば、支持機構4によって、サンバイザ本体2に対して補助バイザ3を移動及び回転可能に支持したので、従来のようにサンバイザ本体に対して補助バイザを移動のみ可能に支持してなるものに比べて、サンバイザ本体2に対する補助バイザ3の位置調整の自由度を高めることができる。このため、例えば、補助バイザ3をサンバイザ本体2に対して回転させて起き上がらせることにより、着座者の前方と側方の両方を同時に遮光したり、補助バイザ3のミラー9を着座者に近づけたりすることができる。さらに、サンバイザ本体2に対する補助バイザ3の回転によって、補助バイザ3の表裏面の両側に設けられたミラー9及びカードホルダ10を有効に利用することができる。
【0027】
また、本実施例では、支持機構4を、サンバイザ本体2に形成され且つサンバイザ本体2の長手方向Lに沿って延びるスライド溝11と、補助バイザ3の一端側にサンバイザ本体2の長手方向Lに直交する方向に延びるように設けられ且つスライド溝11内に移動可能及び回転可能に支持されるスライド軸12と、を備えて構成したので、スライド溝11をスライド軸12の移動及び回転の支持に兼用でき、支持機構4をより簡易な構造にできる。
【0028】
また、本実施例では、ゴム部材5に形成されたスライド溝11内にスライド軸12を圧入して移動及び回転可能に支持したので、スライド軸12はスライド溝11に対して摩擦による強干渉を受けることになり、補助バイザ3を任意の位置や角度で保持することができる。
【0029】
また、本実施例では、スライド溝11が、サンバイザ本体2の長手方向の全域にわたって形成されているので、サンバイザ本体2に対して補助バイザ3を左右の両側に大きく突出させることができる。このため、サンバイザ本体2の左右両側の遮光をより効果的に実施できる。
【0030】
また、本実施例では、サンバイザ本体2に対する補助バイザ3の収容状態で補助バイザ3の回転を規制するボールプランジャ13を備えたので、車両運転中の長時間の振動等によっても補助バイザ3が回転して開いてしまうことを防止できる。
【0031】
また、本実施例では、ボールプランジャ13のボールを、支持機構4を構成するスライド溝11に係合させるようにしたので、部品点数及びコストを低減させることができる。
【0032】
さらに、本実施例に係る補助バイザ3を左右の車両用サンバイザ1に共用して使用することができるので、部品点数及びコストを低減させることができる。
【0033】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、補助バイザ3にミラー9及びカードホルダ10を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、シークレットボックス、ネットポケット、液晶モニタ、遮光用スモークアクリル板等を適宜選択して採用することができる。これにより、製品仕様の多様化を図ることができる。
【0034】
上記シークレットボックスを採用する場合は、例えば、図3に示すように、補助バイザ3は、その内部にネットポケット14を有する補助バイザ本体15と、この補助バイザ本体15の表裏両面に蝶番等で開閉可能に設けられた一対の蓋板16と、を備えることができる。これにより、蓋板16を閉じていると内部のネットポケット14は隠されているので、カード等の貴重品を収納することができる。また、蓋板16の表側にはミラー9やカードポケット10等を設けるようにしても良い。また、図4及び図5に示すように、補助バイザ本体15の片側だけに開閉可能な蓋板16を設けるようにしてもよい。また、図6及び図7に示すように、補助バイザ本体15に対してスライド可能な蓋板16を設けて、これにより内部のネットポケット14を隠すようにしてもよい。この場合、蓋板16が補助バイザ3に対するエクステンダーとして機能するので、遮光範囲を更に広くすることができる。更に、この蓋板16の表裏に、例えばミラー9とカードポケット10を設けることにより、蓋板16を裏返すだけでリバーシブルにそれらを変更して利用することができる。
【0035】
また、上記実施例では、1つのサンバイザ本体2に対して1つの補助バイザ3を設けるようにしたが、これに限定されず、複数の補助バイザ3を設けるようにしてもよい。例えば、図8に示すように、1つのサンバイザ本体2に対して2つの補助バイザ3を備えるようにしてもよい。この場合、サンバイザ本体2の内側及び各補助バイザ3の内側にミラー9,17を備えるようにして、これら3枚のミラー9,9,17を三面鏡として使用することができる。尚、ここでは各補助バイザ3の外側面はカードポケット10としている。
【0036】
即ち、図9に示すように、補助バイザ3の不使用時は、例えばカードポケット10を表側にして補助バイザ3がサンバイザ本体2に収容されている(第1の収容状態:図9(a)参照)。そして、各補助バイザ3を回転させて(図9(b)参照)、位置や角度を適宜調整すれば三面鏡として利用できる(図9(c)参照)。これにより、着座者の利便性を更に高めることができる。また、各補助バイザ3を両側に広げることにより、左右両側の遮光範囲を同時に広げることができる(図9(d)参照)。ここで、各補助バイザ3には先端側にスライド突出するエクステンダー18を設けることが好ましい。これにより、補助バイザ3が複数になることで単数の場合よりも全長が短くなっても、遮光範囲が狭くなることを防止することができる。更に、各補助バイザ3は独立して移動させることができるので、右側だけに突出させたり(図9(e)参照)、逆に左側だけに突出させたりすることができる(図9(f)参照)。また、ミラー9を表側にして各補助バイザ3を収容することができる(第2の収容状態:図9(g)参照)。
【0037】
更に、この車両用サンバイザ1では、図10に示すように、第1の収容状態(図10(a)参照)において、例えば左側の補助バイザ3を回転させ(図10(b)参照)、180度開いて内側にスライドさせたり(図10(c)参照)、あるいは90度のまま内側にスライドさせてから回転させたりして(図10(d)参照)、左側がミラー9で右側がカードポケット10となるようにできる(図10(e)参照)。また、逆に右側の補助バイザ3を回転させ(図10(f)参照)、180度開いて内側にスライドさせたり(図10(g)参照)、あるいは90度のまま内側にスライドさせてから回転させたりして(図10(h)参照)、右側がミラー9で左側がカードポケット10となるようにできる(図10(i)参照)。
【0038】
また、上記実施例では、補助バイザ3に固定されたスライド軸12がサンバイザ本体2に対して回転するようにしたが、これに限定されず、例えば、図11に示すように、スライド軸12をスライド溝11に対して移動可能且つ回転不能に支持し、このスライド軸12に対して補助バイザ3を回転可能に支持するようにしてもよい。この場合、スライド軸12の全長で補助バイザ3を回転自在に支持でき、その支持強度を高めることができる。
【0039】
また、上記実施例では、1本のスライド軸12のみにより1軸で支持する支持機構4を例示したが、これに限定されず、例えば、2軸以上で支持する支持機構としてもよい。例えば、図12に示すように、サンバイザ本体2に対して移動可能且つ回転可能な軸部材19と、この軸部材19に対して垂直方向に設けられて回転可能な支持軸20と、を備え、この支持軸20により補助バイザ3を支持するようにしてもよい。また、例えば、図13に示すように。サンバイザ本体2に対して移動可能且つ回転不能なスライダ21と、このスライダ21に対して垂直方向に設けられて回転可能な中間軸22と、この中間軸22に対して垂直方向に設けられて回転可能な支持軸23と、を備え、この支持軸23により補助バイザ3を支持するようにしてもよい。いずれの場合も2軸以上で支持することにより補助バイザ3の長手方向を中心軸とする回転が可能になるので、更に自由度を高めることができ、例えば後部座席確認ミラー9やバックミラー9として使用する際に好適である。
【0040】
さらに、上記実施例では、手動式の補助バイザ3を例示したが、これに限定されず、例えば、駆動モータ等による電動式の補助バイザとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
車両の車室内等を遮光する技術として広く利用される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施例に係る車両用サンバイザを示す分解斜視図である。
【図2】上記車両用サンバイザの作用を説明するための説明図である。
【図3】その他の形態の車両用サンバイザを示す分解斜視図である。
【図4】更にその他の形態の車両用サンバイザを示す斜視図である。
【図5】上記車両用サンバイザの蓋体を開放させた状態を示す斜視図である。
【図6】更にその他の形態の車両用サンバイザを示す斜視図である。
【図7】上記車両用サンバイザの蓋体を開放させた状態を示す斜視図である。
【図8】更にその他の形態の車両用サンバイザを示す分解斜視図である。
【図9】上記車両用サンバイザの作用を説明するための説明図である。
【図10】上記車両用サンバイザの作用を説明するための説明図である。
【図11】更にその他の形態の車両用サンバイザを示す分解斜視図である。
【図12】更にその他の形態の車両用サンバイザを示す分解斜視図である。
【図13】更にその他の形態の車両用サンバイザを示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1;車両用サンバイザ、2;サンバイザ本体、3;補助バイザ、4;支持機構、9;ミラー、10;カードホルダ、11;スライド溝、12;スライド軸、13;ボールプランジャ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンバイザ本体と、
前記サンバイザ本体に設けられる補助バイザと、
前記サンバイザ本体及び前記補助バイザの間に設けられ、且つ、前記サンバイザ本体に対して前記補助バイザを、該サンバイザ本体の長手方向(L)に沿って移動可能に支持し且つ該サンバイザ本体の長手方向に直交する軸心(C)回りに回転可能に支持する支持機構と、を備えることを特徴とする車両用サンバイザ。
【請求項2】
前記支持機構は、前記サンバイザ本体に形成され且つ該サンバイザ本体の長手方向に沿って延びるスライド溝と、前記補助バイザの一端側に該サンバイザ本体の長手方向に直交する方向に延びるように設けられ且つ前記スライド溝内に移動可能及び回転可能に支持されるスライド軸と、を有する請求項1記載の車両用サンバイザ。
【請求項3】
前記スライド溝は、前記サンバイザ本体の長手方向の全域にわたって形成されている請求項2記載の車両用サンバイザ。
【請求項4】
前記サンバイザ本体に対する前記補助バイザの収容状態で該補助バイザの回転を規制する回転規制機構をさらに備える請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用サンバイザ。
【請求項5】
1つの前記サンバイザ本体と、2以上の前記補助バイザと、を備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両用サンバイザ。
【請求項1】
サンバイザ本体と、
前記サンバイザ本体に設けられる補助バイザと、
前記サンバイザ本体及び前記補助バイザの間に設けられ、且つ、前記サンバイザ本体に対して前記補助バイザを、該サンバイザ本体の長手方向(L)に沿って移動可能に支持し且つ該サンバイザ本体の長手方向に直交する軸心(C)回りに回転可能に支持する支持機構と、を備えることを特徴とする車両用サンバイザ。
【請求項2】
前記支持機構は、前記サンバイザ本体に形成され且つ該サンバイザ本体の長手方向に沿って延びるスライド溝と、前記補助バイザの一端側に該サンバイザ本体の長手方向に直交する方向に延びるように設けられ且つ前記スライド溝内に移動可能及び回転可能に支持されるスライド軸と、を有する請求項1記載の車両用サンバイザ。
【請求項3】
前記スライド溝は、前記サンバイザ本体の長手方向の全域にわたって形成されている請求項2記載の車両用サンバイザ。
【請求項4】
前記サンバイザ本体に対する前記補助バイザの収容状態で該補助バイザの回転を規制する回転規制機構をさらに備える請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用サンバイザ。
【請求項5】
1つの前記サンバイザ本体と、2以上の前記補助バイザと、を備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両用サンバイザ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−269509(P2009−269509A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122734(P2008−122734)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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