車両用シート
【課題】シートバックの前倒れ速度を抑制することが可能で、かつ、座り心地を良好に確保することが可能な車両用シートを提供する。
【解決手段】車両用シートは、シートバック27を車体フロア12に回転可能に支持する左前倒し支持軸102と、左前倒し支持軸102に設けられてシートバック27の前倒れ速度を抑制するダンパ部材108とを備えている。このダンパ部材108は、車室15の側壁を形成するサイドライニング125(主サイドライニング126および副サイドライニング127)より幅方向外側に配置されている。
【解決手段】車両用シートは、シートバック27を車体フロア12に回転可能に支持する左前倒し支持軸102と、左前倒し支持軸102に設けられてシートバック27の前倒れ速度を抑制するダンパ部材108とを備えている。このダンパ部材108は、車室15の側壁を形成するサイドライニング125(主サイドライニング126および副サイドライニング127)より幅方向外側に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートクッションを着座位置から車体前方の収納位置に移動可能で、シートバックを起立位置から前倒し位置に前倒し可能な車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートとして、車両の用途に応じてシート(後部シート)を折り畳んで収納スペースを確保し、確保した収納スペースに荷物を積載するように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この車両用シートを折り畳む際には、車体側に設けられた操作部を手で操作して、シートクッションのロック状態を解除する。
シートクッションのロック状態を解除することで左右のサイドリンクが回転し、シートクッションが着座位置から車体前方に向けて跳ね上げられて収納位置に配置(収納)される。
【0004】
シートクッションが跳ね上げられるとともにシートバックのロック状態が解除され、シートバックが起立位置から前倒しされて前倒し位置に配置される。
このように、シートクッションが収納位置に跳ね上げられ、シートバックが前倒し位置に前倒しされることで車両用シートが折り畳まれる。車両用シートが折り畳まれることで、荷室に荷物を積載する収納スペースが確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−191120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1の車両用シートは、シートバックが支持軸を介して回転自在に支持され、支持軸に粘性ダンパが設けられている。
支持軸に粘性ダンパを設けることで、シートバックの前倒れ速度を粘性ダンパで抑制することが可能である。
【0007】
しかし、粘性ダンパは、通常、円盤状に形成され、半径寸法が支持軸に対して大きく形成されている。よって、粘性ダンパを支持軸に設けた状態において粘性ダンパが支持軸に対して大きく張り出されている。
このため、着座者がシートに着座した状態において、着座者が粘性ダンパに接触して座り心地が損なわれることが考えられる。
【0008】
本発明は、シートバックの前倒れ速度を抑制することが可能で、かつ、座り心地を良好に確保することが可能な車両用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、シートバックを車体フロアに回転可能に支持する支持軸と、前記支持軸に設けられて前記シートバックの前倒れ速度を抑制するダンパ部材と、を備えた車両用シートにおいて、前記ダンパ部材は、車室の側壁を形成するサイドライニングより幅方向外側に配置されたことを特徴とする。
【0010】
請求項2は、前記サイドライニングは、車両のホイルハウスを覆う主サイドライニングと、前記主サイドライニングに着脱自在に設けられた副サイドライニングと、を備え、前記副サイドライニングより幅方向外側に前記ダンパ部材が配置されたことを特徴とする。
【0011】
請求項3は、前記副サイドライニングは、下部が開口されることにより前記支持軸に嵌入可能な嵌入凹部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、シートバックの支持軸にダンパ部材を設けた。
これにより、シートバックの前倒れ速度をダンパ部材で適正(好適)に抑制することができる。
【0013】
さらに、ダンパ部材をサイドライニング(車室の側壁)より車体幅方向外側に配置した。よって、ダンパ部材をサイドライニングで覆うことができる。
これにより、着座者がシートに着座した状態において、着座者がダンパ部材に接触することをサイドライニングで防ぐことが可能になり、座り心地を良好に確保することができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、主サイドライニングに副サイドライニングを着脱自在に設け、副サイドライニングより車体幅方向外側にダンパ部材を配置した。
よって、主サイドライニングから副サイドライニングを外して、ダンパ部材などの修理点検(メンテナンス)をおこなうことができる。
すなわち、ダンパ部材を覆う副サイドライニングを修理点検用のカバーとして兼用することができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、副サイドライニングに嵌入凹部を有し、この嵌入凹部を支持軸に嵌入させるようにした。
このように、副サイドライニングに嵌入凹部を形成することで、支持軸のうちシートバックおよびダンパ部材間の部位に嵌入凹部を嵌入させることが可能である。
よって、支持軸のうちシートバックおよびダンパ部材間の部位に嵌入凹部を嵌入させることで、ダンパ部材より車体幅方向内側に副サイドライニングを設けることができる。
これにより、ダンパ部材を覆った状態に副サイドライニングを簡単に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る車両用シートを示す斜視図である。
【図2】図2の車両用シートの左リヤシートを示す斜視図である。
【図3】図2の3部拡大図である。
【図4】図3の移動機構を示す分解斜視図である。
【図5】図3の移動機構を示す側面図である。
【図6】図3の移動機構を示す斜視図である。
【図7】図6のシートクッションロック機構を断面図である。
【図8】図2の操作手段を示す側面図である。
【図9】(a)は車両のテールゲートを開けた状態を示す側面図、(b)は車両の左リヤサイドドアを開けた状態を示す側面図である。
【図10】(a)は図8の操作手段の第2操作部を示す平面図、(b)は第2操作部の操作ストラップを示す斜視図である。
【図11】図2の11部拡大図である。
【図12】図11の12部拡大図である。
【図13】図12の前倒し機構を示す分解斜視図である。
【図14】図12の14−14線断面図である。
【図15】本発明に係るダンパ部材およびサイドライニングを示す分解斜視図である。
【図16】図15のダンパ部材および副サイドライニングを示す斜視図である。
【図17】図11のシートバックロック機構を示す側面図である。
【図18】図17のシートバックロック機構を示す断面図である。
【図19】図11のヘッドレスト前傾/ロック機構を示す側面図である。
【図20】本発明に係るダブルフォールダウン構造を示す斜視図である。
【図21】図6の21−21線断面図である。
【図22】図21の連動機構を示す分解斜視である。
【図23】本発明に係る車両後部のテールゲートを開けて操作レバーを操作する例を説明する図である。
【図24】図23の操作レバーで第1操作ケーブルを引張る例を説明する図である。
【図25】図24の第1操作ケーブルでシートクッションロック機構のロックを解除する例を説明する図である。
【図26】本発明に係るシートクッションを跳ね上げる例を説明する図である。
【図27】本発明に係る連動機構の作動を説明する図である。
【図28】図27の連動機構でシートバック操作ケーブルおよびヘッドレスト操作ケーブルを操作する例を説明する図である。
【図29】図26のシートクッションを収納位置の直前まで跳ね上げる例を説明する図である。
【図30】本発明に係るシートバックを前倒しする例を説明する図である。
【図31】本発明に係る連動機構のリリース部材をリリース初期位置に復帰させる例を説明する図である。
【図32】本発明に係る左リヤシートを折り畳む例を説明する図である。
【図33】本発明に係る車両側部の左リヤサイドドアを開けてシートバックを引き起こす例を説明する図である。
【図34】図33のヘッドレストを立ち上げる例を説明する図である。
【図35】図33のシートクッションを着座位置に向けて復帰させる例を説明する図である。
【図36】本発明に係るハンマー部材をハンマー跳上げ位置からハンマー初期位置の途中まで復帰させる例を説明する図である。
【図37】図36のハンマー部材をハンマー初期位置まで復帰させる例を説明する図である。
【図38】図35のシートクッションを着座位置に復帰させる例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は運転者から見た方向にしたがう。
【実施例】
【0018】
実施例に係る車両用シート20について説明する。
図1に示すように、車両10は、床部を形成する車体フロア12と、車体フロア12の左右の側部から立ち上げられた左右のサイドライニング13,14と、車体フロア12の後部12aに設けられた車両用シート20とを備えている。
車体フロア12および左右のサイドライニング13,14で車室15が形成されている。
【0019】
車両用シート20は、車体フロア12(後部12a)の略左側半部に設けられた左リヤシート21と、車体フロア12(後部12a)の略右側半部に設けられた右リヤシート22とを備えている。
なお、右リヤシート22は左リヤシート21と同等の機能を有する部材であり、以下右リヤシート22の詳しい説明を省略する。
【0020】
図1、図2に示すように、左リヤシート21は、乗員(着座者)が着座するシートクッション24と、シートクッション24の後部24a側に設けられたシートバック27と、シートバック27の頂部27aに設けられたヘッドレスト31と、左リヤシート21を折畳み可能なダブルフォールダウン構造40とを備えている。
すなわち、左リヤシート21は、シートクッション24およびシートバック27を折畳み可能なダブルフォールダウンシートである。
【0021】
シートクッション24は、シートクッションベース36にリンク機構51(図4参照)を介して支持されている。
シートクッションベース36が後部12aの左半部に設けられることで、シートクッション24がシートクッションベース36およびリンク機構51を介して後部12aの左半部に設けられている。
【0022】
このシートクッション24は、車体フロア12(後部12a)の左半部に対して略水平に配置されたシートクッションフレーム25と、シートクッションフレーム25に支えられたクッション部26とを備えている。
【0023】
シートバック27は、車体フロア12に回転自在に設けられたシートバックフレーム28と、シートバックフレーム28に支えられたクッション部29とを備えている。
ヘッドレスト31は、シートバックフレーム28の頂部28aに設けられたヘッドレストフレーム32と、ヘッドレストフレーム32に支えられたクッション部33とを備えている。
【0024】
ダブルフォールダウン構造40は、シートクッション24を跳上げ可能な移動機構41と、シートクッション24を保持可能なシートクッションロック機構42と、シートクッションロック機構42のロックを解除可能な操作手段43とを備えている。
【0025】
さらに、ダブルフォールダウン構造40は、シートバック27を前倒し可能な前倒し機構44と、シートバック27を保持可能なシートバックロック機構(ロック機構)45と、ヘッドレスト31を前傾可能なヘッドレスト前傾/ロック機構46と、シートクッション24の跳上げに伴ってシートバックロック機構45のロックを解除可能な連動機構47とを備えている。
【0026】
図3、図4に示すように、移動機構41は、シートクッション24を着座位置P1、および着座位置P1よりも車体前方(前方)の収納位置P2(図32(a)参照)の間で移動可能な機構である。
この移動機構41は、シートクッション24を跳上げ可能に支えるリンク機構51と、リンク機構51を車体前方に向けて付勢する跳上ばね部材(第1付勢部材)61とを備えている。
【0027】
リンク機構51は、シートクッションフレーム25(シートクッション24の底部24b(図5参照))に設けられたクロスメンバ52と、クロスメンバ52の車体前方に配置されて車体フロア12に設けられた左右の前支持ブラケット(支持ブラケット)53,54とを備えている。
【0028】
さらに、リンク機構51は、左前支持ブラケット53およびクロスメンバ52を連結する左サイドリンク55と、右前支持ブラケット54およびクロスメンバ52を連結する右サイドリンク56と、左右のサイドリンク55,56に隣接して設けられたガイドリンク57とを備えている。
【0029】
図4、図5に示すように、クロスメンバ52は、シートクッション24の底部24bに設けられた帯状の平板部材63と、平板部材63から下方に突出された左右の連結ブラケット64,65とを備えている。
平板部材63は、シートクッション24の底部24bのうち、車体前後方向(前後方向)の中央部24cに車体幅方向(幅方向、シート幅方向)を向いて延出されている。
【0030】
左連結ブラケット64に左第2回転支持軸(第2回転支持軸)68を介して左サイドリンク55の上端部(他端部)55bが回転自在に連結されている。
右連結ブラケット65は左連結ブラケット64と同等の機能を有する部材であり、以下右連結ブラケット65の詳しい説明を省略する。
【0031】
左前支持ブラケット53は、クロスメンバ52の前方に配置されている。
この左前支持ブラケット53は、車体フロア12(後部12a)の左側部に取付基部が設けられ、取付基部から支持部53aが立設されている。
支持部53aの略中央部に左第1回転支持軸(回転支持軸、第1回転支持軸)67が回転自在に支持されている。
さらに、支持部53aのうち左第1回転支持軸67の車体前方の前部位53bに左第1ガイド支持軸(第1ガイド支持軸)71aが回転自在に設けられている。
【0032】
右前支持ブラケット54は左前支持ブラケット53と同等の機能を有する部材であり、以下右前支持ブラケット54の詳しい説明を省略する。
【0033】
左サイドリンク55は、側面視で略く字状に形成された幅寸法Wの帯状部材で、下端部(一端部)55aが左第1回転支持軸67に設けられ(固定され)ている。
左第1回転支持軸67が支持部53aの略中央部に回転自在に支持されている。
よって、左サイドリンク55は、下端部55aが左第1回転支持軸67を介して支持部53aの略中央部に回転自在に連結されている。
さらに、左サイドリンク55は、上端部55bが左第2回転支持軸68を介してクロスメンバ52の左連結ブラケット64に回転自在に連結されている。
【0034】
ガイドリンク57は、左右の前支持ブラケット53,54に連結されたガイド部材71と、ガイド部材71をクロスメンバ52に連結する左右の支持片72,73とを備えている。
【0035】
ガイド部材71は、左サイドリンク55に隣接して配置された左サイドロッド71cと、右サイドリンク56に隣接して配置された右サイドロッド71dと、左サイドロッド71cの下端部から外側に突出された左第1ガイド支持軸71aと、右サイドロッド71dの下端部から外側に突出された右第1ガイド支持軸(第1ガイド支持軸)71bと、左右のサイドロッド71c,71dの上端部を連結する第2ガイド支持軸71eとを有する。
【0036】
左サイドロッド71cおよび右サイドロッド71dが所定間隔をおいて平面視略平行に配置されている。
このガイド部材71は、左右のサイドロッド71c,71dおよび第2ガイド支持軸71eで車体前方側が開口された状態で略コ字形に形成されている。
【0037】
左第1ガイド支持軸71aは、左前支持ブラケット53の支持部53aのうち、左第1回転支持軸67より前方の前部位53bに回転自在に設けられている。
右第1ガイド支持軸71bは、右前支持ブラケット54の支持部54aのうち、右第1回転支持軸75より前方の前部位54bに回転自在に設けられている。
【0038】
第2ガイド支持軸71eが左右の支持片72,73に回転自在に設けられ、左右の支持片72,73がクロスメンバ52にボルト止めされている。
よって、第2ガイド支持軸71eは、左右の支持片72,73を介してクロスメンバ52に回転自在に設けられている。
この第2ガイド支持軸71eは、左右の第1ガイド支持軸71a,71bより後方で、かつ、クロスメンバ52より前方に設けられている。
【0039】
図5、図6に示すように、跳上ばね部材61は、渦巻き状に巻回されたコイルばねであり、内端部61aが左第1回転支持軸67に係止され、外端部61bが係止ピン77に係止されている。係止ピン77は左前支持ブラケット53(支持部53a)から外側に向けて突出されている。
よって、左サイドリンク55(すなわち、リンク機構51)が跳上ばね部材61で矢印方向に付勢されている。
これにより、左右のサイドリンク55,56が左右の第1回転支持軸67,75を軸にして矢印方向に回転(揺動)し、シートクッション24が着座位置P1から収納位置P2(図32(a)参照)まで跳ね上げられる。
【0040】
さらに、図3に示すシートクッション24を収納位置P2に配置した状態において(図32(a)参照)、左サイドリンク55および左サイドロッド71cが上下方向に重なり合うように設けられている。
同様に、シートクッション24を収納位置P2に配置した状態において(図32(a)参照)、右サイドリンク56および右サイドロッド71dが上下方向に重なり合うように設けられている。
【0041】
図4、図5に示すように、左前支持ブラケット53に左サイドリンク55の下端部55aが左第1回転支持軸67を介して回転自在に連結されている。同様に、右前支持ブラケット54に右サイドリンク56の下端部56aが右第1回転支持軸75を介して回転自在に連結されている。
また、クロスメンバ52の左連結ブラケット64に左サイドリンク55の上端部55bが左第2回転支持軸68を介して回転自在に連結されている。同様に、クロスメンバ52の右連結ブラケット65に右サイドリンク56の上端部56bが右第2回転支持軸76を介して回転自在に連結されている。
よって、シートクッション24を跳ね上げる際に、左右のサイドリンク55,56でシートクッション24を支持することができる。
【0042】
さらに、ガイドリンク57の左第1ガイド支持軸71aが左第1回転支持軸67より車体前方に回転自在に設けられている。同様に、ガイドリンク57の右第1ガイド支持軸71bが右第1回転支持軸75より車体前方に回転自在に設けられている。
また、ガイドリンク57の第2ガイド支持軸71eがクロスメンバ52より前方に回転自在に設けられている。
これにより、シートクッション24を跳ね上げる際に、ガイドリンク57でシートクッション24の跳上げ姿勢を好適に保つことができる。
【0043】
このように、左右のサイドリンク55,56およびガイドリンク57の2種類のリンクを備え、左右のサイドリンク55,56でシートクッション24を支持し、ガイドリンク57で跳上げ姿勢に保つようにした。
よって、左右のサイドリンク55,56でシートクッション24を跳上げ姿勢に保つ必要がない。
これにより、左右のサイドリンク55,56の剛性を抑えることが可能になり、左右のサイドリンク55,56の小型化が図れる。
【0044】
さらに、ガイドリンク57の左右の第1ガイド支持軸71a,71bを左右の第1回転支持軸67,75より車体前方に回転自在に設けた。また、ガイドリンク57の第2ガイド支持軸71eをクロスメンバ52より前方に回転自在に設けた。
よって、シートクッション24を跳ね上げる際に、ガイドリンク57を左右のサイドリンク55,56から車体前方に離して設けることができ、移動機構41の剛性を高めることができる。
これにより、ガイドリンク57の剛性を低く抑えることが可能になり、移動機構41の小型化が図れる。
【0045】
加えて、ガイドリンク57を左右のサイドリンク55,56から前方に離して移動機構41の剛性を高めることで、移動機構41でシートクッション24の移動軌跡を安定させることができる。
【0046】
また、シートクッション24を収納位置P2(図32(a)参照)に配置した状態において、左右のサイドリンク55,56およびガイドリンク57を上下方向に重なり合うように設けた。
このように、左右のサイドリンク55,56およびガイドリンク57を上下方向に重なり合うように設けることで、図32(a)に示すシートクッション24の収納状態において、移動機構41を目視し難くでき、左リヤシート21の見栄えをよくすることができる。
【0047】
図5、図6に示すように、シートクッションロック機構42は、シートクッションベース36の側壁36aに設けられたロック部81と、ロック部81に係合可能なシートクッションストライカ87とを備えている。
【0048】
シートクッションストライカ87は、クロスメンバ52(平板部材63)の左端部に設けられ、略コ字状に形成されている。
クロスメンバ52の平板部材63はシートクッション24の底部24bに設けられている。
よって、シートクッションストライカ87は、クロスメンバ52の平板部材63を介してシートクッションフレーム25(シートクッション24の底部24b)に設けられている。
【0049】
図7に示すように、ロック部81は、シートクッションベース36の側壁36aに設けられたケース82と、ケース82に回転自在に設けられたラッチ83と、ラッチ83を係合位置P3に保持可能なラチェット84とを備えている。
【0050】
ラチェット84のロック爪84aをラッチ83の係止部83aに係合させることで、ラッチ83の係止溝83bにシートクッションストライカ87が係止される。これにより、シートクッション24が着座位置P1(図5参照)に保持される。
【0051】
この状態において、ラチェット84を操作手段43(第1操作部91)で矢印方向に引張ることにより、ラチェット84をラチェットばね部材85の付勢力に抗して矢印方向に移動する。
ラチェット84を移動することで、ラチェット84のロック爪84aがラッチ83の係止部83aから離れ、ラッチ83がラッチばね部材86の付勢力で矢印方向に移動する。ラッチ83が矢印方向に移動することで、ラッチ83の係止溝83bからシートクッションストライカ87が抜け出す。
【0052】
図8、図9に示すように、操作手段43は、テールゲート16を開けて後部開口17側から操作可能な第1操作部91と、左リヤサイドドア18を開けて左側部開口19側から操作可能な第2操作部97(図10参照)とを備えている。
【0053】
第1操作部91は、左サイドライニング13(図1参照)に操作回転軸92を軸にして回転自在に取り付けられた操作レバー93と、操作レバー93を待機位置P4に保持する操作ばね部材94と、操作レバー93をラチェット84(図7参照)に連結する第1操作ケーブル95とを備えている。
【0054】
車両10後部のテールゲート16を開けて後部開口17を開放し、荷室23側から操作レバー93を操作する。
具体的には、操作レバー93を操作ばね部材94およびラチェットばね部材85(ラチェットばね部材85は図7参照)の付勢力に抗して操作位置P5まで矢印方向に操作する。
【0055】
操作レバー93を操作位置P5まで操作することで、第1操作ケーブル95を矢印方向に引張る。操作ばね部材94を引張ることで、図7に示すラチェット84をラチェットばね部材85の付勢力に抗して矢印方向に移動することができる。
これにより、操作レバー93を操作することでシートクッションロック機構42のロック状態を解除することができる。
【0056】
図9(b)、図10に示すように、第2操作部97は、シートクッション24の下方から先端部98aが左側部開口19に対峙された操作ストラップ98と、操作ストラップ98の基端部98bをラチェット84に連結する第2操作ケーブル99とを備えている。
【0057】
車両10側部の左リヤサイドドア18を開けて左側部開口19を開放し、車室15側から操作ストラップ98を操作する。
具体的には、操作ストラップ98をラチェットばね部材85(図7参照)の付勢力に抗して待機位置P6から操作位置P7まで矢印方向に操作する。
【0058】
操作ストラップ98を操作することで、第2操作ケーブル99を矢印方向に引張る。第2操作ケーブル99を引張ることで、図7に示すラチェット84をラチェットばね部材85の付勢力に抗して矢印方向に移動することができる。
これにより、操作ストラップ98を操作することでシートクッションロック機構42のロック状態を解除することができる。
【0059】
図11に示すように、シートバック27が左右の前倒し支持軸102(右前倒し支持軸は図示せず)を軸にして車体フロア12(後部12a)に車体前後方向に移動自在に支持されている。このシートバック27に前倒し機構44が備えられている。
前倒し機構44は、シートバック27を第1起立位置(起立位置)P8および前倒し位置P10(図32(b)参照)間で移動可能な機構である。
【0060】
この前倒し機構44は、シートバック27の下端部に設けられた左前倒し支持軸(支持軸)102および右前倒し支持軸と、左前倒し支持軸102を回転自在に支持可能な左後支持ブラケット104と、右前倒し支持軸を回転自在に支持可能な右後支持ブラケット105(図2参照)と、シートバック27を車体前方に向けて付勢する前倒しばね部材(第2付勢部材)106と、シートバック27の前倒れ速度を抑制可能なダンパ部材108とを備えている。
【0061】
右前倒し支持軸および右後支持ブラケット105は左前倒し支持軸102および左後支持ブラケット104と同等の機能を有する部材であり、以下右前倒し支持軸および右後支持ブラケット105の詳しい説明を省略する。
【0062】
図12、図13に示すように、左前倒し支持軸102は、シートバック27(シートバックフレーム28)の左下端部28bから外側に突出され、左後支持ブラケット104の支持部104bに回転自在に支持されている。
この左前倒し支持軸102は、ダンパ部材108の嵌合孔117aに合わせて断面略六角形に形成されている。
【0063】
左後支持ブラケット104は、車体フロア12(後部12a)の左側部に取付基部104aが設けられ、取付基部104aから支持部104bが立設されている。
支持部104bに左前倒し支持軸102がブッシュ111を介して回転自在に支持されている。
すなわち、シートバック27が左前倒し支持軸102および左後支持ブラケット104を介して車体フロア12(後部12a)の左側部に回転可能に支持されている。
【0064】
前倒しばね部材106は、渦巻き状に巻回されたコイルばねであり、内端部106aが左前倒し支持軸102の係止孔102aに係止され、外端部106bが係止ピン112に係止されている。
係止ピン112は左後支持ブラケット104の支持部104bから外側に向けて突出されている。
【0065】
よって、左前倒し支持軸102(すなわち、シートバック27)が前倒しばね部材106で矢印方向に付勢されている。
すなわち、シートバック27が前倒しばね部材106で左前倒し支持軸102および右前倒し支持軸を軸にして前倒し位置P10(図32(b)参照)に向けて付勢されている。よって、シートバック27が第1起立位置P8から前倒し位置P10まで前倒しばね部材106で前倒しされる。
【0066】
図14に示すように、ダンパ部材108は、円盤状に形成されたダンパケース113と、ダンパケース113に回転自在に設けられたベーン116とを備えている。
【0067】
ダンパケース113は、円盤状に形成されたケース本体114と、ケース本体114から突出されたロック片115を有する。
ロック片115にロック孔115aが形成されている。
左後支持ブラケット104の支持部104bにロックピン123が取り付けられ、ロックピン123にロック片115のロック孔115aが嵌合されている。
ケース本体114は、円盤状に形成されて内部空間121にシリコーンオイル122が充填されている。
【0068】
ベーン116は、ダンパケース113に回転自在に支持されたベーン回転軸117と、ベーン回転軸117から突出された第1ベーン部(羽根部)118と、ケース本体114から突出された第2ベーン部(羽根部)119とを有する。
【0069】
ベーン回転軸117は、中空状の筒体であり、左前倒し支持軸102に嵌合可能な嵌合孔117aを有する。嵌合孔117aは、左前倒し支持軸102に合わせて断面略六角形に形成されている。
ベーン回転軸117の嵌合孔117aが左前倒し支持軸102に嵌合されることにより、左前倒し支持軸102にベーン回転軸117が支持されている。
この状態において、ベーン回転軸117は左前倒し支持軸102に対して一体的に回転する。
【0070】
第1ベーン部118および第2ベーン部119は、ケース本体114の内部空間121に収納されることでシリコーンオイル122に浸漬されている。
よって、ケース本体114の内部空間121において第1ベーン部118が回転することをシリコーンオイル122で抑え、ベーン回転軸117の回転を抑制できる。
これにより、左前倒し支持軸102の回転(すなわち、シートバック27)の前倒れ速度をダンパ部材108で適正(好適)に抑制できる。
【0071】
ここで、ダンパ部材108は、車室15の側壁を形成するサイドライニング(車室の側壁)125より車体幅方向(幅方向)外側に配置されている。
【0072】
サイドライニング125は、車両10のホイルハウス124を覆う主サイドライニング126と、主サイドライニング126に着脱自在に設けられた副サイドライニング127とを備えている。
【0073】
図14、図15に示すように、主サイドライニング126は、車両10のホイルハウス124を車室15側から覆うようにホイルハウス124の裏面124a側に沿って設けられている。
ホイルハウス124は、車体の一部を構成する部材であって、左側後輪(図示せず)を覆う部材である。
【0074】
副サイドライニング127は、主サイドライニング126の表面126aに複数のボルト131で着脱自在に設けられている。
この副サイドライニング127は、下部127aが開口された嵌入凹部132を有する。嵌入凹部132は、左前倒し支持軸102(具体的には、ケース本体114の軸受部114a)に嵌入可能な凹みである。
【0075】
このように、副サイドライニング127に嵌入凹部132を形成することで、ケース本体114の軸受部114aに嵌入凹部132を嵌入させることが可能である。
軸受部114aは、シートバック27およびダンパ部材108間に配置されている。
よって、軸受部114aに嵌入凹部132を嵌入させることで、ダンパ部材108より車体幅方向内側(車室15側)に副サイドライニング127を設けることができる。
換言すれば、副サイドライニング127より車体幅方向外側にダンパ部材108が設けられている。
これにより、ダンパ部材108を車室15側から覆った状態に副サイドライニング127を簡単に取り付けることができる。
【0076】
また、図16に示すように、ダンパ部材108を副サイドライニング127で車室15側から覆うことで、ダンパ部材108を車室15側に露出させないようにできる。
よって、着座者が左リヤシート21に着座した状態において、着座者がダンパ部材108に接触することを副サイドライニング127で防ぐことができる。
このように、着座者がダンパ部材108に接触することを防ぐことで、着座者の座り心地を良好に確保することができる。
【0077】
さらに、図14、図15に示すように、主サイドライニング126に副サイドライニング127が複数のボルト131で着脱自在に設けられている。
よって、主サイドライニング126から副サイドライニング127を外して、ダンパ部材108などを車室15に露出させるとともに、主サイドライニング126の開口126bを車室15側に開けることができる。
これにより、副サイドライニング127を外すことで、前倒し機構44などの修理点検(メンテナンス)をおこなうことができる。
すなわち、ダンパ部材108を覆う副サイドライニング127を修理点検用のカバーとして兼用することができる。
【0078】
図17、図18に示すように、シートバックロック機構45は、シートバック27を第1起立位置P8、第1起立位置P8よりも車体前方の第2起立位置(起立位置)P9の一方に選択的に保持可能な2段ロック機構に構成されている。
【0079】
第2起立位置P9は、左リヤシート21に着座者が着座した際に、シートバック27が背凭れ状態となる背凭れ位置である。
一方、第1起立位置P8は、第2起立位置P9より車体後方にシートバック27が配置されてリクライニング状態となるリクライニング位置である。
【0080】
第2起立位置P9より車体後方の第1起立位置P8にシートバック27をリクライニングさせることで、左リヤシート21に荷物などを積み込む際の空間を大きく確保することができる。
このように、シートバックロック機構45として2段ロック機構を採用することで、用途に合わせてシートバック27を適正な位置に調整できるので利便性を高めることができる。
【0081】
このシートバックロック機構45は、シートバック27の左側部27bに設けられた2段ロック部135と、2段ロック部135に係合可能な略コ字状な2段ストライカ137とを備えている。
2段ストライカ137は、車体の左側壁に設けられ、第1係止部137aおよび第2係止部137bを有する。
【0082】
2段ロック部135は、シートバック27の左側部27bに設けられたケース141と、ケース141に回転自在に設けられたラッチ142および作動片143と、ラッチ142および作動片143を連結する連結ピン144と、連結ピン144に先端部145aが連結されたシートバック操作ケーブル145と、ラッチ142に設けられた作動ピン146とを備えている。
【0083】
ラッチ142は、2段ストライカ137の第1係止部137aに係止可能な第1係止溝142aと、2段ストライカ137の第2係止部137bに係止可能な第2係止溝142bとを有する。
【0084】
ラッチ142の第1係止溝142aが第1係止部137aに係止され、かつ、第2係止溝142bが第2係止部137bに係止されることで、シートバック27が第1起立位置(リクライニング位置)P8に保持される。
一方、ラッチ142の第1係止溝142aが第2係止部137bに係止されることで、シートバック27が第2起立位置(背凭れ位置)P9に保持される。
【0085】
シートバック27が第1起立位置P8に保持された状態において、シートバック操作ケーブル145を矢印方向に引張る。
シートバック操作ケーブル145を引張ることで、作動片143が作動片ばね(図示せず)の付勢力に抗して作動片ピン148を軸にして矢印方向に回転する。
【0086】
作動片143が回転することで、作動片143が作動ピン146に当接する。この状態から、シートバック操作ケーブル145を矢印方向に継続して引張ることで作動ピン146が上昇する。
作動ピン146が上昇することで、ラッチ142がラッチばね(図示せず)の付勢力に抗してラッチピン147を軸にして矢印方向に回転する。
ラッチ142が回転することで、第1係止溝142aが第1係止部137aから離れ、かつ、第2係止溝142bが第2係止部137bから離れる。
これにより、シートバック27を第1起立位置P8に保持する状態が解除される。
【0087】
一方、シートバック27が第2起立位置P9に保持された状態において、シートバック操作ケーブル145を矢印方向に引張ることにより、作動片143でラッチ142を矢印方向に回転することができる。
ラッチ142が矢印方向に回転することで、第1係止溝142aが第2係止部137bから離れる。
これにより、シートバック27を第2起立位置P9に保持する状態が解除される。
【0088】
ここで、シートバックロック機構45には、シートバック操作ケーブル145の他に、もう一つのシートバック操作ケーブル149a(図11参照)を備えている。
このシートバック操作ケーブル149aは、シートバック27後部のリクライニング操作部149b(図11参照)に連結されている。
【0089】
このリクライニング操作部149bをシートバック27の後方から手動で操作することで、シートバック操作ケーブル149aをシートバック操作ケーブル145と同様に引張ることができる。
これにより、ラッチ142を矢印方向に回転させてシートバック27を第1起立位置P8および第2起立位置P9から選択したいずれか一方に保持することができる。
【0090】
図19に示すように、ヘッドレスト前傾/ロック機構46は、ヘッドレスト31を前傾させる前傾ばね部材(図示せず)と、ヘッドレスト31を立上位置P11に保持するヘッドレストロック手段151とを備えている。
【0091】
ヘッドレストロック手段151は、ヘッドレストフレーム32に設けられた一対のロック片152と、一対のロック片152に係止可能な一対の係止片153と、一対の係止片153に連結された操作バー154と、操作バー154をロック位置P13に保持する引張ばね部材155と、操作バー154に先端部156aが連結されたヘッドレスト操作ケーブル156とを備えている。
【0092】
一対のロック片152の係止溝152aに係止片153が係止されることで、ヘッドレスト31が立上位置P11に保持される。
この状態において、ヘッドレスト操作ケーブル156を矢印方向に引張ることにより、操作バー154が引張ばね部材155の付勢力に抗して矢印方向に移動する。
【0093】
操作バー154が移動することで、一対の係止片153が支持ピン158を介して矢印方向に回転する。一対の係止片153が回転することで、一対の係止片153がロック片152の係止溝152aから外れる。
よって、ヘッドレスト31を立上位置P11に保持する状態が解除される。
これにより、ヘッドレスト31が前傾ばね部材の付勢力で立上位置P11から前傾位置P12まで車体前方に向けて矢印方向に前傾される。
【0094】
一方、前傾位置P12のヘッドレスト31を前傾ばね部材の付勢力に抗して立上位置P11まで立ち上げることで、一対の係止片153がロック片152の係止溝152aに係止する。
これにより、ヘッドレスト31が立上位置P11に保持される。
【0095】
ここで、ヘッドレストロック手段151は、操作バー154に連結された操作ストラップ159を備えている。
操作ストラップ159は、基端部159aが操作バー154に連結され、先端部159bがシートバック27(クッション部29)の上端部から上方に突出されている。
操作ストラップ159を手動で引き上げることで、操作バー154を移動させて一対の係止片153をロック片152の係止溝152aから外すことができる。
よって、操作ストラップ159を手動で引き上げることで、ヘッドレスト31を立上位置P11から前傾位置P12まで前傾させることができる。
【0096】
図20に示すように、連動機構47は、シートクッション24の着座位置P1(図5参照)から収納位置P2(図32(a)参照)への跳上げ移動(移動)に伴ってシートバックロック機構45およびヘッドレストロック手段151のロック状態を解除可能な機構である。
シートバックロック機構45のロックを解除することでシートバック27の保持が解除される。
また、ヘッドレストロック手段151のロックを解除することでヘッドレスト31の保持が解除される。
【0097】
図6、図20に示すように、連動機構47は、シートクッション24(図1参照)の前下部に設けられ、シートバックロック機構45およびヘッドレスト前傾/ロック機構46に連動ケーブル(ケーブル部材)167で連結されている。
連動機構47によれば、シートクッション24の跳上げに伴ってシートバックロック機構45のロックを解除し、かつ、ヘッドレストロック手段151のロックを解除できる。
【0098】
図21、図22に示すように、連動機構47は、車体フロア12(後部12a)の左側部に設けられた連動ブラケット161と、連動ブラケット161に回転自在に支持された左第1回転支持軸67に一体的に設けられたハンマー部材162と、ハンマー部材162が当接可能なリリース部材163と、リリース部材163をシートバックロック機構45およびヘッドレストロック手段151に連結する連動ケーブル167とを備えている。
左第1回転支持軸67は、連動ブラケット161の車幅方向外側に設けられ、内端部67aが連動ブラケット161に回転自在に支持されている。
【0099】
さらに、連動機構47は、リリース部材163をリリース位置P15(図31(b)参照)からリリース初期位置P14に復帰させるリリース復帰ばね部材171と、ハンマー部材162をハンマー跳上げ位置P17(図31(b)参照)からハンマー初期位置P16に復帰可能なハンマー復帰ばね部材172とを備えている。
【0100】
連動ブラケット161は、車体フロア12(後部12a)の左側部において、シートクッション24および左前支持ブラケット53間の部位に設けられた取付基部161aと、取付基部161aから立設された支持部161bとを有する。
支持部161bの前端部161cに左第1回転支持軸67の内端部67aが回転自在に支持されている。
この左第1回転支持軸67にハンマー部材162の基部162aが一体的に設けられている。
【0101】
ハンマー部材162は、第1リリース部材164のローラ166に当接可能なカム面174を備えている。
カム面174は、シートクッション24を跳ね上げる際にリリース部材163のローラ166に当接し、リリース部材163で連動ケーブル167を操作可能にリリース部材163を連動させる面である。
このカム面174は、シートバック27が第2起立位置P9(図20参照)を超えるまでリリース部材163のローラ166に当接可能な当接部175を有する。
当接部175は、カム面174のうち、始端175aから終端175bまでの領域である。
【0102】
リリース部材163は、支持部161bのうち車体前後方向の略中央161dにリリース軸177を介して回転自在に設けられた第1リリース部材164および第2リリース部材165と、第1リリース部材164に設けられたローラ166とを備えている。
【0103】
第1リリース部材164は、中央部164aが隆起することで略く字状に形成され、中央部164aがリリース軸177に回転自在に支持されている。
この第1リリース部材164は、前端部164bにローラピン181が設けられ、後端部164cにガイドピン182が設けられている。
ローラピン181にローラ166が回転自在に支持されている。
ガイドピン182が第2リリース部材165のガイド孔184に嵌合されている。
【0104】
第2リリース部材165は、中央部165aが突出することで略扇形状に形成され、中央部165aが第1リリース部材164とともにリリース軸177に回転自在に支持されている。
この第2リリース部材165は、略扇形状の湾曲部165bに沿ってガイド孔184が形成され、下端部165cにケーブルピン185が設けられている。
ガイド孔184に第1リリース部材164のガイドピン182が移動自在に嵌合されている。
ケーブルピン185に連動ケーブル167の基端部167aが連結されている。
【0105】
図20に示すように、連動ケーブル167は、基端部167a(図21参照)がケーブルピン185に連結され、途中の部位167bでシートバック操作ケーブル145およびヘッドレスト操作ケーブル156の二股に分岐されている。
シートバック操作ケーブル145は、先端部145aがシートバックロック機構45の連結ピン144(図18参照)に連結されている。
ヘッドレスト操作ケーブル156は、先端部156aがヘッドレストロック手段151の操作バー154(図19参照)に連結されている。
【0106】
よって、連動ケーブル167が矢印方向に引張られることで、シートバック操作ケーブル145が矢印方向に引張られるとともに、ヘッドレスト操作ケーブル156が矢印方向に引張られる。
シートバック操作ケーブル145およびヘッドレスト操作ケーブル156が引張られることで、連動機構47による動作をシートバックロック機構45およびヘッドレストロック手段151に連動させることができる。
【0107】
なお、連動ケーブル167を途中の部位167bでシートバック操作ケーブル145およびヘッドレスト操作ケーブル156の二股に分岐させる構成は、一般に用いられている技術である。
【0108】
図21、図22に示すように、リリース復帰ばね部材171は、リリース部材163をリリース位置P15からリリース初期位置P14に復帰させるばねである。
このリリース復帰ばね部材171は、上フック部171aが支持部161bの上片161eに係止され、下フック部171bが第2リリース部材165の湾曲部突片165dに係止されている。
湾曲部突片165dは、湾曲部165bから車体後方に向けて突出された突片である。
【0109】
リリース復帰ばね部材171で第2リリース部材165がリリース軸177を軸にして矢印方向(反時計回り方向)に付勢されている。
よって、第2リリース部材165の上端部165eが支持部161bの上片161eに当接される。
【0110】
ハンマー復帰ばね部材172は、ハンマー部材162をハンマー跳上げ位置P17(図31(b)参照)からハンマー初期位置P16に復帰させるばねである。
このハンマー復帰ばね部材172は、上フック部172aが第1リリース部材164の後端係止164dに係止され、下フック部172bが第2リリース部材165の下端係止部165fに係止されている。
【0111】
ハンマー復帰ばね部材172で第1リリース部材164がリリース軸177を軸にして矢印方向(時計回り方向)に付勢されている。
よって、第1リリース部材164のガイドピン182がガイド孔184の下端部184aに当接される。
【0112】
第2リリース部材165の上端部165eが支持部161bの上片161eに当接され、かつ、第1リリース部材164のガイドピン182がガイド孔184の下端部184aに当接されることで、第1リリース部材164がリリース初期位置P14に保持されている。
【0113】
図20、図21に示すように、連動機構47によれば、ハンマー部材162が左第1回転支持軸67と一体に回転して第1リリース部材164のローラ166に当接する。
第1リリース部材164および第2リリース部材165をハンマー部材162で移動させて連動ケーブル167を操作して矢印方向に引張る。
連動ケーブル167を引張ることでヘッドレストロック手段151およびシートバックロック機構45をロック解除状態に保持する。
【0114】
シートバックロック機構45をロック解除状態に保持することで、シートバックロック機構45によるシートバック27の保持を解除する。
さらに、連動機構47によれば、シートバック27を第1起立位置P8から前倒し位置P10(図32(b)参照)まで前倒しする際に、シートバック27が第2起立位置P9を超えるまでシートバックロック機構45によるシートバック27の保持を解除することができる。
【0115】
また、ヘッドレストロック手段151をロック解除状態に保持することで、ヘッドレストロック手段151によるヘッドレスト31の保持を解除することができる。
【0116】
さらに、連動機構47としてハンマー部材162、リリース部材163および連動ケーブル167を備えた。
このように、連動機構47をハンマー部材162、リリース部材163および連動ケーブル167の少ない部材で構成することで、連動機構47の小型化(コンパクト化)を図ることができる。
【0117】
加えて、左サイドリンク55の下端部55a(図5も参照)に左第1回転支持軸67を設け、左第1回転支持軸67にハンマー部材162を一体的に設けた。
よって、シートクッション24を跳ね上げることで、ハンマー部材162を左第1回転支持軸67と一体に回転させてハンマー部材162をリリース部材163のローラ166に当接させることができる。
ハンマー部材162をローラ166に当接させることで、リリース部材163をハンマー部材162で移動させて連動ケーブル167を操作できる。
【0118】
このように、シートクッション24の跳上げ時に、左第1回転支持軸67の回転変位を利用して連動ケーブル167を操作することで、シートクッション24の変位を利用して連動ケーブル167を操作する必要がない。
これにより、シートクッション24の跳上げ姿勢を車室15の空間に合わせることができるので利便性を一層高めることができる。
【0119】
さらに、ハンマー部材162にカム面174を備え、カム面174に、シートバック27が第2起立位置P9を超えるまでリリース部材163に当接可能な当接部175を備えた。
このように、リリース部材163に当接する当接部175をカム面174で形成することで、リリース部材163に当接する当接部175の当接範囲をカム面174で容易に設定でき、設計の容易化や連動機構のコンパクト化を図ることができる。
【0120】
つぎに、車両10後部のテールゲート16を開けて左リヤシート21を折り畳む、すなわちダブルフォールダウン操作をする例を図23〜図32に基づいて説明する。
図23(a)に示すように、車両10後部のテールゲート16を開けて後部開口17を開放する。
後部開口17を開放した状態において、荷室23(図23(b)参照)側から操作レバー93を操作する。
【0121】
図23(b)に示すように、荷室23側から操作レバー93を待機位置P4から操作位置P5まで矢印A方向に操作する。
操作レバー93を矢印A方向に操作することで第1操作ケーブル95を矢印B方向に引張る。
【0122】
図24に示すように、第1操作ケーブル95を矢印B方向に引張ることで、第1操作ケーブル95でシートクッションロック機構42のラチェット84(図25(a)参照)を引張ることができる。
【0123】
図25(a)に示すように、ラチェット84をラチェットばね部材85の付勢力に抗して矢印C方向に移動(揺動)する。ラチェット84が移動することで、ラチェット84のロック爪84aがラッチ83の係止部83aから離れる。
【0124】
図25(b)に示すように、ロック爪84aが係止部83aから離れることで、ラッチ83がラッチばね部材86の付勢力で矢印D方向に移動(回転)する。
ラッチ83が移動することで、ラッチ83の係止溝83bからシートクッションストライカ87が跳上ばね部材61(図26(a)参照)の付勢力で矢印E方向に抜け出す。
【0125】
図26(a)に示すように、左右のサイドリンク55,56が跳上ばね部材61で左右の第1回転支持軸67,75を軸にして矢印F方向に回転(揺動)する。
ガイドリンク57(左右のサイドロッド71c,71d)が左右の第1ガイド支持軸71a,71bを軸にして左右のサイドリンク55,56に連動して回転(揺動)する。
【0126】
図26(b)に示すように、左右のサイドリンク55,56が回転するとともに、左右のサイドロッド71c,71dが回転することで、シートクッション24が着座位置P1から収納位置P2(図32(a)参照)に向けて矢印G方向に跳ね上げられる。
【0127】
ここで、シートクッション24を跳ね上げる際に、左右のサイドリンク55,56でシートクッション24を支持することができる。
また、ガイドリンク57でシートクッション24の跳上げ姿勢を好適に保つことができる。
よって、左右のサイドリンク55,56でシートクッション24を跳上げ姿勢に保つ必要がない。
これにより、左右のサイドリンク55,56の剛性を抑えることが可能になり、左右のサイドリンク55,56の小型化が図れる。
【0128】
図27(a)に示すように、左第1回転支持軸67が矢印F方向に回転することで、ハンマー部材162が左第1回転支持軸67と一体にハンマー初期位置P16から矢印F方向に回転する。
【0129】
図27(b)に示すように、ハンマー部材162が矢印F方向に回転することで、ハンマー部材162のカム面174(当接部175)が第1リリース部材164のローラ166に下方から当接する。
具体的には、カム面174のうち当接部175の始端175a(図27(a)参照)が第1リリース部材164のローラ166に下方から当接する。
【0130】
図27(c)に示すように、ハンマー部材162がローラ166に当接した状態においてハンマー部材162が継続して矢印F方向に回転する。
ハンマー部材162が継続して矢印F方向に回転することで、第1リリース部材164がリリース軸177を軸にして矢印H方向に回転する。
【0131】
第1リリース部材164が回転することでガイドピン182が矢印I方向に移動して、ガイドピン182とともに第2リリース部材165がリリース軸177を軸にして矢印I方向に回転する。
第2リリース部材165が回転することで連動ケーブル167を矢印J方向に引張る。
【0132】
図28に示すように、連動ケーブル167が引張られることで、シートバック操作ケーブル145が矢印K方向に引張られるとともに、ヘッドレスト操作ケーブル156が矢印L方向に引張られる。
【0133】
図29(a)に示すように、左右の第1回転支持軸67,75が矢印F方向に回転することで、シートクッション24が収納位置P2(図32(a)参照)に向けて矢印G方向に継続的に跳ね上げられる。
【0134】
図29(b)に示すように、シートクッション24が収納位置P2(図32(a)参照)の手前まで継続的に跳ね上げられる。
【0135】
シートクッション24が収納位置P2(図32(a)参照)の手前まで跳ね上げられた状態において、図19に示すヘッドレストロック手段151の操作バー154が移動する。
操作バー154が移動することで、一対の係止片153がロック片152の係止溝152aから外れる。
よって、ヘッドレスト31を立上位置P11に保持する状態が解除される。すなわち、ヘッドレストロック手段151のロック状態が解除される。
【0136】
図30に示すように、ヘッドレストロック手段151のロック状態が解除されることで、ヘッドレスト31が前傾ばね部材の付勢力で立上位置P11から前傾位置P12まで車体前方に向けて矢印M方向に前傾される。
【0137】
さらに、シートクッション24が収納位置P2(図32(a)参照)の手前まで跳ね上げられた状態において、図17に示すシートバックロック機構45のラッチ142が回転する。ラッチ142が回転することで、第1係止溝142aが第1係止部137aから離れ、かつ、第2係止溝142bが第2係止部137bから離れる。
よって、シートバック27を第1起立位置P8に保持する状態が解除される。すなわち、シートバックロック機構45のロック状態が解除される。
【0138】
図30に示すように、シートバックロック機構45のロック状態が解除されることで、シートバック27が前倒しばね部材106の付勢力で第1起立位置P8から第2起立位置P9を経て前倒し位置P10まで車体前方に向けて矢印N方向に前傾される。
【0139】
図31(a)に示すように、シートクッション24が収納位置P2(図30参照)に到達する直前に当接部175の終端175bに位置する。
当接部175にローラ166が当接している間に、図30に示すシートバック27が第2起立位置P9を超える。
【0140】
図31(b)に示すように、当接部175の終端175bにローラ166が到達する。当接部175の終端175bにローラ166が到達した状態においてハンマー部材162が継続して矢印F方向に回転する。
ハンマー部材162が継続して矢印F方向にハンマー跳上げ位置P17まで回転することで、当接部175の終端175bからローラ166が離れる。
【0141】
図31(c)に示すように、当接部175の終端175bからローラ166が離れることで、リリース部材163(第1リリース部材164および第2リリース部材165)がリリース復帰ばね部材171の付勢力でリリース軸177を軸にして矢印O方向に回転する。
リリース部材163がリリース復帰ばね部材171の付勢力で回転することで、リリース位置P15(図31(b)参照)からリリース初期位置P14に復帰する。
【0142】
図32(a)に示すように、ハンマー部材162がハンマー跳上げ位置P17(図31参照)まで回転することで、シートクッション24が収納位置P2に到達する(配置される)。
【0143】
図32(b)に示すように、シートクッション24が収納位置P2に配置された後、シートバック27が第2起立位置P9を超えて車体前方の前倒し位置P10に配置される。
これにより、シートクッション24が収納位置P2に配置され、かつ、シートバック27が前倒し位置P10に配置されて左リヤシート21の折畳み動作、いわゆる左リヤシート21のワンモーションダブルホールダウン作動が完了する。
【0144】
ここで、シートクッション24を収納位置P2に配置した状態において、左サイドリンク55およびガイドリンク57(左サイドロッド71c)が上下方向に重なり合う。
さらに、右サイドリンク56およびガイドリンク57(右サイドロッド71d)が上下方向に重なり合う。
よって、シートクッション24を収納位置P2に配置した収納状態において、リンク機構51を目視し難くでき、左リヤシート21の見栄えをよくすることができる。
【0145】
図23〜図32で説明したように、ダブルフォールダウン構造40の連動機構47で、シートバック27が第2起立位置P9を超えるまでシートバックロック機構45によるシートバック27の保持を解除可能にした。
よって、シートクッション24に連動させてシートバック27を折り畳む際に、第1起立位置P8から前倒しされたシートバック27が第2起立位置P9に保持されることを防止できる。
これにより、シートクッション24に連動させてシートバック27を確実に前倒しできるので、左リヤシート21を一回の操作で折り畳むことができ、折畳み操作の容易化を図ることができる。
【0146】
つぎに、折り畳まれた左リヤシート21を使用状態に復帰させる例を図33〜図38に基づいて説明する。
図33(a)に示すように、車両10側部の左リヤサイドドア18を開けて左側部開口19を開放する。左側部開口19から車室15内に手を入れて前倒し位置P10のシートバック27を引き起こす。
【0147】
図33(b)に示すように、シートバック27が前倒し位置P10から前倒しばね部材106の付勢力に抗して矢印P方向に引き起こされる。
【0148】
図34(a)に示すように、シートバック27が前倒しばね部材106の付勢力に抗して矢印P方向に第2起立位置P9まで引き起こされる。
シートバック27が第2起立位置P9まで引き起こされることで、図18に示すラッチ142の先端爪142cが第1係止部137aに当接する。
よって、ラッチ142の先端爪142cが第1係止部137aに乗り上げ、ラッチ142がラッチばね(図示せず)の付勢力に抗してラッチピン147を軸にして反時計回り方向に回転する。
【0149】
ラッチ142の先端爪142cが第1係止部137aを乗り越えることにより、第1係止溝142aが第2係止部137bに係止する。
これにより、シートバック27が第2起立位置P9に保持される。
第2起立位置P9は、左リヤシート21に着座者が着座した際に、シートバック27が背凭れ状態となる背凭れ位置である。
【0150】
図34(b)に示すように、シートバック27を第2起立位置P9まで引き起こした後、ヘッドレスト31を前傾位置P12から立上位置P11まで前傾ばね部材(図示せず)の付勢力に抗して矢印Q方向に立ち上げる。
ヘッドレスト31が立上位置P11まで立ち上げられることで、図19に示す一対の係止片153がロック片152の係止溝152aに係止する。
これにより、ヘッドレスト31が立上位置P11に保持される。
【0151】
図35に示すように、シートクッション24を収納位置P2から着座位置P1(図26(a)参照)まで跳上ばね部材61の付勢力に抗して矢印R方向に復帰させる。
シートクッション24を矢印R方向に復帰させることで、左第1回転支持軸67が矢印S方向に回転する。
【0152】
図36(a)に示すように、左第1回転支持軸67が矢印S方向に回転することで、ハンマー部材162が左第1回転支持軸67と一体にハンマー跳上げ位置P17から矢印S方向に回転する。
【0153】
図36(b)に示すように、ハンマー部材162が矢印S方向に回転することで、ハンマー部材162が第1リリース部材164のローラ166に上方から当接する。
【0154】
図36(c)に示すように、ハンマー部材162がローラ166に当接した状態においてハンマー部材162が継続して矢印S方向に回転する。
ハンマー部材162が継続して矢印S方向に回転することで、第1リリース部材164がハンマー復帰ばね部材172の付勢力に抗してリリース軸177を軸に矢印T方向に回転する。
【0155】
この際に、第1リリース部材164のガイドピン182が第2リリース部材165のガイド孔184に沿って上昇する。
よって、第2リリース部材165を静止状態に保つことができる。
【0156】
図37(a)に示すように、ハンマー部材162が継続して矢印S方向に回転することで、当接部175の始端175aがローラ166に到達する。
【0157】
図37(b)に示すように、ハンマー部材162がハンマー初期位置P16まで回転することで、当接部175の始端175aがローラ166を乗り越える。
当接部175の始端175aがローラ166を乗り越えることで、ローラ166からハンマー部材162が離れる。
ローラ166からハンマー部材162が離れることで、第1リリース部材164がハンマー復帰ばね部材172の付勢力でリリース軸177を軸にして矢印U方向に回転する。
第1リリース部材164が回転し、第1リリース部材164(すなわち、リリース部材163)がリリース初期位置P14に保持される。
このように、ハンマー部材162がハンマー初期位置P16に保持され、かつ、リリース部材163がリリース初期位置P14に保持されることで、連動機構47を初期状態に復帰することができる。
【0158】
図38に示すように、連動機構47が初期状態に復帰された状態において、シートクッション24が着座位置P1に配置される。
シートクッション24が着座位置P1に配置されることで、シートクッションストライカ87がロック部81に係止される。
よって、シートクッション24が着座位置P1に保持される。
これにより、折り畳まれた左リヤシート21を使用状態に復帰させる操作が完了する。
【0159】
ここで、左リヤシート21を使用状態に復帰させた状態において、図34(a)に示すように、シートバック27は第2起立位置P9、すなわち背凭れ位置に保持されている。
この状態から、シートバック27を第1起立位置(リクライニング位置)P8に保持する際には、シートバック27後部のリクライニング操作部を操作する。
【0160】
すなわち、シートバック27後部のリクライニング操作部149b(図11参照)を操作することで、シートバックロック機構45のもう一つのシートバック操作ケーブル149a(図11参照)を操作する。
もう一つのシートバック操作ケーブル149aを操作することでラッチ142を作動させてシートバック27を第1起立位置P8に保持することができる。
【0161】
なお、本発明に係る車両用シートは、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、左リヤシート21を折り畳む際にシートバック27を第1起立位置P8から前倒し位置P10まで前倒しする例について説明したが、これに限らないで、左リヤシート21を折り畳む際にシートバック27を第2起立位置P9から前倒しさせることも可能である。
【0162】
また、前記実施例で示した車両10、車体フロア12、車両用シート20、シートクッション24、シートバック27、ダブルフォールダウン構造40、移動機構41、前倒し機構44、シートバックロック機構45、連動機構47、リンク機構51、左前倒し支持軸102、ダンパ部材108、ホイルハウス124、サイドライニング125、主サイドライニング126、副サイドライニング127および嵌入凹部132などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明は、シートクッションを着座位置から収納位置に移動可能で、シートバックを起立位置から前倒し位置に前倒し可能な車両用シートを備えた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0164】
10…車両、12…車体フロア、15…車室、20…車両用シート、24…シートクッション、27…シートバック、40…ダブルフォールダウン構造、41…移動機構、44…前倒し機構、45…シートバックロック機構(ロック機構)、47…連動機構、51…リンク機構、102…左前倒し支持軸(支持軸)、108…ダンパ部材、124…ホイルハウス、125…サイドライニング、126…主サイドライニング、127…副サイドライニング、127a…副サイドライニングの下部、132…嵌入凹部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートクッションを着座位置から車体前方の収納位置に移動可能で、シートバックを起立位置から前倒し位置に前倒し可能な車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートとして、車両の用途に応じてシート(後部シート)を折り畳んで収納スペースを確保し、確保した収納スペースに荷物を積載するように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この車両用シートを折り畳む際には、車体側に設けられた操作部を手で操作して、シートクッションのロック状態を解除する。
シートクッションのロック状態を解除することで左右のサイドリンクが回転し、シートクッションが着座位置から車体前方に向けて跳ね上げられて収納位置に配置(収納)される。
【0004】
シートクッションが跳ね上げられるとともにシートバックのロック状態が解除され、シートバックが起立位置から前倒しされて前倒し位置に配置される。
このように、シートクッションが収納位置に跳ね上げられ、シートバックが前倒し位置に前倒しされることで車両用シートが折り畳まれる。車両用シートが折り畳まれることで、荷室に荷物を積載する収納スペースが確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−191120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1の車両用シートは、シートバックが支持軸を介して回転自在に支持され、支持軸に粘性ダンパが設けられている。
支持軸に粘性ダンパを設けることで、シートバックの前倒れ速度を粘性ダンパで抑制することが可能である。
【0007】
しかし、粘性ダンパは、通常、円盤状に形成され、半径寸法が支持軸に対して大きく形成されている。よって、粘性ダンパを支持軸に設けた状態において粘性ダンパが支持軸に対して大きく張り出されている。
このため、着座者がシートに着座した状態において、着座者が粘性ダンパに接触して座り心地が損なわれることが考えられる。
【0008】
本発明は、シートバックの前倒れ速度を抑制することが可能で、かつ、座り心地を良好に確保することが可能な車両用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、シートバックを車体フロアに回転可能に支持する支持軸と、前記支持軸に設けられて前記シートバックの前倒れ速度を抑制するダンパ部材と、を備えた車両用シートにおいて、前記ダンパ部材は、車室の側壁を形成するサイドライニングより幅方向外側に配置されたことを特徴とする。
【0010】
請求項2は、前記サイドライニングは、車両のホイルハウスを覆う主サイドライニングと、前記主サイドライニングに着脱自在に設けられた副サイドライニングと、を備え、前記副サイドライニングより幅方向外側に前記ダンパ部材が配置されたことを特徴とする。
【0011】
請求項3は、前記副サイドライニングは、下部が開口されることにより前記支持軸に嵌入可能な嵌入凹部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、シートバックの支持軸にダンパ部材を設けた。
これにより、シートバックの前倒れ速度をダンパ部材で適正(好適)に抑制することができる。
【0013】
さらに、ダンパ部材をサイドライニング(車室の側壁)より車体幅方向外側に配置した。よって、ダンパ部材をサイドライニングで覆うことができる。
これにより、着座者がシートに着座した状態において、着座者がダンパ部材に接触することをサイドライニングで防ぐことが可能になり、座り心地を良好に確保することができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、主サイドライニングに副サイドライニングを着脱自在に設け、副サイドライニングより車体幅方向外側にダンパ部材を配置した。
よって、主サイドライニングから副サイドライニングを外して、ダンパ部材などの修理点検(メンテナンス)をおこなうことができる。
すなわち、ダンパ部材を覆う副サイドライニングを修理点検用のカバーとして兼用することができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、副サイドライニングに嵌入凹部を有し、この嵌入凹部を支持軸に嵌入させるようにした。
このように、副サイドライニングに嵌入凹部を形成することで、支持軸のうちシートバックおよびダンパ部材間の部位に嵌入凹部を嵌入させることが可能である。
よって、支持軸のうちシートバックおよびダンパ部材間の部位に嵌入凹部を嵌入させることで、ダンパ部材より車体幅方向内側に副サイドライニングを設けることができる。
これにより、ダンパ部材を覆った状態に副サイドライニングを簡単に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る車両用シートを示す斜視図である。
【図2】図2の車両用シートの左リヤシートを示す斜視図である。
【図3】図2の3部拡大図である。
【図4】図3の移動機構を示す分解斜視図である。
【図5】図3の移動機構を示す側面図である。
【図6】図3の移動機構を示す斜視図である。
【図7】図6のシートクッションロック機構を断面図である。
【図8】図2の操作手段を示す側面図である。
【図9】(a)は車両のテールゲートを開けた状態を示す側面図、(b)は車両の左リヤサイドドアを開けた状態を示す側面図である。
【図10】(a)は図8の操作手段の第2操作部を示す平面図、(b)は第2操作部の操作ストラップを示す斜視図である。
【図11】図2の11部拡大図である。
【図12】図11の12部拡大図である。
【図13】図12の前倒し機構を示す分解斜視図である。
【図14】図12の14−14線断面図である。
【図15】本発明に係るダンパ部材およびサイドライニングを示す分解斜視図である。
【図16】図15のダンパ部材および副サイドライニングを示す斜視図である。
【図17】図11のシートバックロック機構を示す側面図である。
【図18】図17のシートバックロック機構を示す断面図である。
【図19】図11のヘッドレスト前傾/ロック機構を示す側面図である。
【図20】本発明に係るダブルフォールダウン構造を示す斜視図である。
【図21】図6の21−21線断面図である。
【図22】図21の連動機構を示す分解斜視である。
【図23】本発明に係る車両後部のテールゲートを開けて操作レバーを操作する例を説明する図である。
【図24】図23の操作レバーで第1操作ケーブルを引張る例を説明する図である。
【図25】図24の第1操作ケーブルでシートクッションロック機構のロックを解除する例を説明する図である。
【図26】本発明に係るシートクッションを跳ね上げる例を説明する図である。
【図27】本発明に係る連動機構の作動を説明する図である。
【図28】図27の連動機構でシートバック操作ケーブルおよびヘッドレスト操作ケーブルを操作する例を説明する図である。
【図29】図26のシートクッションを収納位置の直前まで跳ね上げる例を説明する図である。
【図30】本発明に係るシートバックを前倒しする例を説明する図である。
【図31】本発明に係る連動機構のリリース部材をリリース初期位置に復帰させる例を説明する図である。
【図32】本発明に係る左リヤシートを折り畳む例を説明する図である。
【図33】本発明に係る車両側部の左リヤサイドドアを開けてシートバックを引き起こす例を説明する図である。
【図34】図33のヘッドレストを立ち上げる例を説明する図である。
【図35】図33のシートクッションを着座位置に向けて復帰させる例を説明する図である。
【図36】本発明に係るハンマー部材をハンマー跳上げ位置からハンマー初期位置の途中まで復帰させる例を説明する図である。
【図37】図36のハンマー部材をハンマー初期位置まで復帰させる例を説明する図である。
【図38】図35のシートクッションを着座位置に復帰させる例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は運転者から見た方向にしたがう。
【実施例】
【0018】
実施例に係る車両用シート20について説明する。
図1に示すように、車両10は、床部を形成する車体フロア12と、車体フロア12の左右の側部から立ち上げられた左右のサイドライニング13,14と、車体フロア12の後部12aに設けられた車両用シート20とを備えている。
車体フロア12および左右のサイドライニング13,14で車室15が形成されている。
【0019】
車両用シート20は、車体フロア12(後部12a)の略左側半部に設けられた左リヤシート21と、車体フロア12(後部12a)の略右側半部に設けられた右リヤシート22とを備えている。
なお、右リヤシート22は左リヤシート21と同等の機能を有する部材であり、以下右リヤシート22の詳しい説明を省略する。
【0020】
図1、図2に示すように、左リヤシート21は、乗員(着座者)が着座するシートクッション24と、シートクッション24の後部24a側に設けられたシートバック27と、シートバック27の頂部27aに設けられたヘッドレスト31と、左リヤシート21を折畳み可能なダブルフォールダウン構造40とを備えている。
すなわち、左リヤシート21は、シートクッション24およびシートバック27を折畳み可能なダブルフォールダウンシートである。
【0021】
シートクッション24は、シートクッションベース36にリンク機構51(図4参照)を介して支持されている。
シートクッションベース36が後部12aの左半部に設けられることで、シートクッション24がシートクッションベース36およびリンク機構51を介して後部12aの左半部に設けられている。
【0022】
このシートクッション24は、車体フロア12(後部12a)の左半部に対して略水平に配置されたシートクッションフレーム25と、シートクッションフレーム25に支えられたクッション部26とを備えている。
【0023】
シートバック27は、車体フロア12に回転自在に設けられたシートバックフレーム28と、シートバックフレーム28に支えられたクッション部29とを備えている。
ヘッドレスト31は、シートバックフレーム28の頂部28aに設けられたヘッドレストフレーム32と、ヘッドレストフレーム32に支えられたクッション部33とを備えている。
【0024】
ダブルフォールダウン構造40は、シートクッション24を跳上げ可能な移動機構41と、シートクッション24を保持可能なシートクッションロック機構42と、シートクッションロック機構42のロックを解除可能な操作手段43とを備えている。
【0025】
さらに、ダブルフォールダウン構造40は、シートバック27を前倒し可能な前倒し機構44と、シートバック27を保持可能なシートバックロック機構(ロック機構)45と、ヘッドレスト31を前傾可能なヘッドレスト前傾/ロック機構46と、シートクッション24の跳上げに伴ってシートバックロック機構45のロックを解除可能な連動機構47とを備えている。
【0026】
図3、図4に示すように、移動機構41は、シートクッション24を着座位置P1、および着座位置P1よりも車体前方(前方)の収納位置P2(図32(a)参照)の間で移動可能な機構である。
この移動機構41は、シートクッション24を跳上げ可能に支えるリンク機構51と、リンク機構51を車体前方に向けて付勢する跳上ばね部材(第1付勢部材)61とを備えている。
【0027】
リンク機構51は、シートクッションフレーム25(シートクッション24の底部24b(図5参照))に設けられたクロスメンバ52と、クロスメンバ52の車体前方に配置されて車体フロア12に設けられた左右の前支持ブラケット(支持ブラケット)53,54とを備えている。
【0028】
さらに、リンク機構51は、左前支持ブラケット53およびクロスメンバ52を連結する左サイドリンク55と、右前支持ブラケット54およびクロスメンバ52を連結する右サイドリンク56と、左右のサイドリンク55,56に隣接して設けられたガイドリンク57とを備えている。
【0029】
図4、図5に示すように、クロスメンバ52は、シートクッション24の底部24bに設けられた帯状の平板部材63と、平板部材63から下方に突出された左右の連結ブラケット64,65とを備えている。
平板部材63は、シートクッション24の底部24bのうち、車体前後方向(前後方向)の中央部24cに車体幅方向(幅方向、シート幅方向)を向いて延出されている。
【0030】
左連結ブラケット64に左第2回転支持軸(第2回転支持軸)68を介して左サイドリンク55の上端部(他端部)55bが回転自在に連結されている。
右連結ブラケット65は左連結ブラケット64と同等の機能を有する部材であり、以下右連結ブラケット65の詳しい説明を省略する。
【0031】
左前支持ブラケット53は、クロスメンバ52の前方に配置されている。
この左前支持ブラケット53は、車体フロア12(後部12a)の左側部に取付基部が設けられ、取付基部から支持部53aが立設されている。
支持部53aの略中央部に左第1回転支持軸(回転支持軸、第1回転支持軸)67が回転自在に支持されている。
さらに、支持部53aのうち左第1回転支持軸67の車体前方の前部位53bに左第1ガイド支持軸(第1ガイド支持軸)71aが回転自在に設けられている。
【0032】
右前支持ブラケット54は左前支持ブラケット53と同等の機能を有する部材であり、以下右前支持ブラケット54の詳しい説明を省略する。
【0033】
左サイドリンク55は、側面視で略く字状に形成された幅寸法Wの帯状部材で、下端部(一端部)55aが左第1回転支持軸67に設けられ(固定され)ている。
左第1回転支持軸67が支持部53aの略中央部に回転自在に支持されている。
よって、左サイドリンク55は、下端部55aが左第1回転支持軸67を介して支持部53aの略中央部に回転自在に連結されている。
さらに、左サイドリンク55は、上端部55bが左第2回転支持軸68を介してクロスメンバ52の左連結ブラケット64に回転自在に連結されている。
【0034】
ガイドリンク57は、左右の前支持ブラケット53,54に連結されたガイド部材71と、ガイド部材71をクロスメンバ52に連結する左右の支持片72,73とを備えている。
【0035】
ガイド部材71は、左サイドリンク55に隣接して配置された左サイドロッド71cと、右サイドリンク56に隣接して配置された右サイドロッド71dと、左サイドロッド71cの下端部から外側に突出された左第1ガイド支持軸71aと、右サイドロッド71dの下端部から外側に突出された右第1ガイド支持軸(第1ガイド支持軸)71bと、左右のサイドロッド71c,71dの上端部を連結する第2ガイド支持軸71eとを有する。
【0036】
左サイドロッド71cおよび右サイドロッド71dが所定間隔をおいて平面視略平行に配置されている。
このガイド部材71は、左右のサイドロッド71c,71dおよび第2ガイド支持軸71eで車体前方側が開口された状態で略コ字形に形成されている。
【0037】
左第1ガイド支持軸71aは、左前支持ブラケット53の支持部53aのうち、左第1回転支持軸67より前方の前部位53bに回転自在に設けられている。
右第1ガイド支持軸71bは、右前支持ブラケット54の支持部54aのうち、右第1回転支持軸75より前方の前部位54bに回転自在に設けられている。
【0038】
第2ガイド支持軸71eが左右の支持片72,73に回転自在に設けられ、左右の支持片72,73がクロスメンバ52にボルト止めされている。
よって、第2ガイド支持軸71eは、左右の支持片72,73を介してクロスメンバ52に回転自在に設けられている。
この第2ガイド支持軸71eは、左右の第1ガイド支持軸71a,71bより後方で、かつ、クロスメンバ52より前方に設けられている。
【0039】
図5、図6に示すように、跳上ばね部材61は、渦巻き状に巻回されたコイルばねであり、内端部61aが左第1回転支持軸67に係止され、外端部61bが係止ピン77に係止されている。係止ピン77は左前支持ブラケット53(支持部53a)から外側に向けて突出されている。
よって、左サイドリンク55(すなわち、リンク機構51)が跳上ばね部材61で矢印方向に付勢されている。
これにより、左右のサイドリンク55,56が左右の第1回転支持軸67,75を軸にして矢印方向に回転(揺動)し、シートクッション24が着座位置P1から収納位置P2(図32(a)参照)まで跳ね上げられる。
【0040】
さらに、図3に示すシートクッション24を収納位置P2に配置した状態において(図32(a)参照)、左サイドリンク55および左サイドロッド71cが上下方向に重なり合うように設けられている。
同様に、シートクッション24を収納位置P2に配置した状態において(図32(a)参照)、右サイドリンク56および右サイドロッド71dが上下方向に重なり合うように設けられている。
【0041】
図4、図5に示すように、左前支持ブラケット53に左サイドリンク55の下端部55aが左第1回転支持軸67を介して回転自在に連結されている。同様に、右前支持ブラケット54に右サイドリンク56の下端部56aが右第1回転支持軸75を介して回転自在に連結されている。
また、クロスメンバ52の左連結ブラケット64に左サイドリンク55の上端部55bが左第2回転支持軸68を介して回転自在に連結されている。同様に、クロスメンバ52の右連結ブラケット65に右サイドリンク56の上端部56bが右第2回転支持軸76を介して回転自在に連結されている。
よって、シートクッション24を跳ね上げる際に、左右のサイドリンク55,56でシートクッション24を支持することができる。
【0042】
さらに、ガイドリンク57の左第1ガイド支持軸71aが左第1回転支持軸67より車体前方に回転自在に設けられている。同様に、ガイドリンク57の右第1ガイド支持軸71bが右第1回転支持軸75より車体前方に回転自在に設けられている。
また、ガイドリンク57の第2ガイド支持軸71eがクロスメンバ52より前方に回転自在に設けられている。
これにより、シートクッション24を跳ね上げる際に、ガイドリンク57でシートクッション24の跳上げ姿勢を好適に保つことができる。
【0043】
このように、左右のサイドリンク55,56およびガイドリンク57の2種類のリンクを備え、左右のサイドリンク55,56でシートクッション24を支持し、ガイドリンク57で跳上げ姿勢に保つようにした。
よって、左右のサイドリンク55,56でシートクッション24を跳上げ姿勢に保つ必要がない。
これにより、左右のサイドリンク55,56の剛性を抑えることが可能になり、左右のサイドリンク55,56の小型化が図れる。
【0044】
さらに、ガイドリンク57の左右の第1ガイド支持軸71a,71bを左右の第1回転支持軸67,75より車体前方に回転自在に設けた。また、ガイドリンク57の第2ガイド支持軸71eをクロスメンバ52より前方に回転自在に設けた。
よって、シートクッション24を跳ね上げる際に、ガイドリンク57を左右のサイドリンク55,56から車体前方に離して設けることができ、移動機構41の剛性を高めることができる。
これにより、ガイドリンク57の剛性を低く抑えることが可能になり、移動機構41の小型化が図れる。
【0045】
加えて、ガイドリンク57を左右のサイドリンク55,56から前方に離して移動機構41の剛性を高めることで、移動機構41でシートクッション24の移動軌跡を安定させることができる。
【0046】
また、シートクッション24を収納位置P2(図32(a)参照)に配置した状態において、左右のサイドリンク55,56およびガイドリンク57を上下方向に重なり合うように設けた。
このように、左右のサイドリンク55,56およびガイドリンク57を上下方向に重なり合うように設けることで、図32(a)に示すシートクッション24の収納状態において、移動機構41を目視し難くでき、左リヤシート21の見栄えをよくすることができる。
【0047】
図5、図6に示すように、シートクッションロック機構42は、シートクッションベース36の側壁36aに設けられたロック部81と、ロック部81に係合可能なシートクッションストライカ87とを備えている。
【0048】
シートクッションストライカ87は、クロスメンバ52(平板部材63)の左端部に設けられ、略コ字状に形成されている。
クロスメンバ52の平板部材63はシートクッション24の底部24bに設けられている。
よって、シートクッションストライカ87は、クロスメンバ52の平板部材63を介してシートクッションフレーム25(シートクッション24の底部24b)に設けられている。
【0049】
図7に示すように、ロック部81は、シートクッションベース36の側壁36aに設けられたケース82と、ケース82に回転自在に設けられたラッチ83と、ラッチ83を係合位置P3に保持可能なラチェット84とを備えている。
【0050】
ラチェット84のロック爪84aをラッチ83の係止部83aに係合させることで、ラッチ83の係止溝83bにシートクッションストライカ87が係止される。これにより、シートクッション24が着座位置P1(図5参照)に保持される。
【0051】
この状態において、ラチェット84を操作手段43(第1操作部91)で矢印方向に引張ることにより、ラチェット84をラチェットばね部材85の付勢力に抗して矢印方向に移動する。
ラチェット84を移動することで、ラチェット84のロック爪84aがラッチ83の係止部83aから離れ、ラッチ83がラッチばね部材86の付勢力で矢印方向に移動する。ラッチ83が矢印方向に移動することで、ラッチ83の係止溝83bからシートクッションストライカ87が抜け出す。
【0052】
図8、図9に示すように、操作手段43は、テールゲート16を開けて後部開口17側から操作可能な第1操作部91と、左リヤサイドドア18を開けて左側部開口19側から操作可能な第2操作部97(図10参照)とを備えている。
【0053】
第1操作部91は、左サイドライニング13(図1参照)に操作回転軸92を軸にして回転自在に取り付けられた操作レバー93と、操作レバー93を待機位置P4に保持する操作ばね部材94と、操作レバー93をラチェット84(図7参照)に連結する第1操作ケーブル95とを備えている。
【0054】
車両10後部のテールゲート16を開けて後部開口17を開放し、荷室23側から操作レバー93を操作する。
具体的には、操作レバー93を操作ばね部材94およびラチェットばね部材85(ラチェットばね部材85は図7参照)の付勢力に抗して操作位置P5まで矢印方向に操作する。
【0055】
操作レバー93を操作位置P5まで操作することで、第1操作ケーブル95を矢印方向に引張る。操作ばね部材94を引張ることで、図7に示すラチェット84をラチェットばね部材85の付勢力に抗して矢印方向に移動することができる。
これにより、操作レバー93を操作することでシートクッションロック機構42のロック状態を解除することができる。
【0056】
図9(b)、図10に示すように、第2操作部97は、シートクッション24の下方から先端部98aが左側部開口19に対峙された操作ストラップ98と、操作ストラップ98の基端部98bをラチェット84に連結する第2操作ケーブル99とを備えている。
【0057】
車両10側部の左リヤサイドドア18を開けて左側部開口19を開放し、車室15側から操作ストラップ98を操作する。
具体的には、操作ストラップ98をラチェットばね部材85(図7参照)の付勢力に抗して待機位置P6から操作位置P7まで矢印方向に操作する。
【0058】
操作ストラップ98を操作することで、第2操作ケーブル99を矢印方向に引張る。第2操作ケーブル99を引張ることで、図7に示すラチェット84をラチェットばね部材85の付勢力に抗して矢印方向に移動することができる。
これにより、操作ストラップ98を操作することでシートクッションロック機構42のロック状態を解除することができる。
【0059】
図11に示すように、シートバック27が左右の前倒し支持軸102(右前倒し支持軸は図示せず)を軸にして車体フロア12(後部12a)に車体前後方向に移動自在に支持されている。このシートバック27に前倒し機構44が備えられている。
前倒し機構44は、シートバック27を第1起立位置(起立位置)P8および前倒し位置P10(図32(b)参照)間で移動可能な機構である。
【0060】
この前倒し機構44は、シートバック27の下端部に設けられた左前倒し支持軸(支持軸)102および右前倒し支持軸と、左前倒し支持軸102を回転自在に支持可能な左後支持ブラケット104と、右前倒し支持軸を回転自在に支持可能な右後支持ブラケット105(図2参照)と、シートバック27を車体前方に向けて付勢する前倒しばね部材(第2付勢部材)106と、シートバック27の前倒れ速度を抑制可能なダンパ部材108とを備えている。
【0061】
右前倒し支持軸および右後支持ブラケット105は左前倒し支持軸102および左後支持ブラケット104と同等の機能を有する部材であり、以下右前倒し支持軸および右後支持ブラケット105の詳しい説明を省略する。
【0062】
図12、図13に示すように、左前倒し支持軸102は、シートバック27(シートバックフレーム28)の左下端部28bから外側に突出され、左後支持ブラケット104の支持部104bに回転自在に支持されている。
この左前倒し支持軸102は、ダンパ部材108の嵌合孔117aに合わせて断面略六角形に形成されている。
【0063】
左後支持ブラケット104は、車体フロア12(後部12a)の左側部に取付基部104aが設けられ、取付基部104aから支持部104bが立設されている。
支持部104bに左前倒し支持軸102がブッシュ111を介して回転自在に支持されている。
すなわち、シートバック27が左前倒し支持軸102および左後支持ブラケット104を介して車体フロア12(後部12a)の左側部に回転可能に支持されている。
【0064】
前倒しばね部材106は、渦巻き状に巻回されたコイルばねであり、内端部106aが左前倒し支持軸102の係止孔102aに係止され、外端部106bが係止ピン112に係止されている。
係止ピン112は左後支持ブラケット104の支持部104bから外側に向けて突出されている。
【0065】
よって、左前倒し支持軸102(すなわち、シートバック27)が前倒しばね部材106で矢印方向に付勢されている。
すなわち、シートバック27が前倒しばね部材106で左前倒し支持軸102および右前倒し支持軸を軸にして前倒し位置P10(図32(b)参照)に向けて付勢されている。よって、シートバック27が第1起立位置P8から前倒し位置P10まで前倒しばね部材106で前倒しされる。
【0066】
図14に示すように、ダンパ部材108は、円盤状に形成されたダンパケース113と、ダンパケース113に回転自在に設けられたベーン116とを備えている。
【0067】
ダンパケース113は、円盤状に形成されたケース本体114と、ケース本体114から突出されたロック片115を有する。
ロック片115にロック孔115aが形成されている。
左後支持ブラケット104の支持部104bにロックピン123が取り付けられ、ロックピン123にロック片115のロック孔115aが嵌合されている。
ケース本体114は、円盤状に形成されて内部空間121にシリコーンオイル122が充填されている。
【0068】
ベーン116は、ダンパケース113に回転自在に支持されたベーン回転軸117と、ベーン回転軸117から突出された第1ベーン部(羽根部)118と、ケース本体114から突出された第2ベーン部(羽根部)119とを有する。
【0069】
ベーン回転軸117は、中空状の筒体であり、左前倒し支持軸102に嵌合可能な嵌合孔117aを有する。嵌合孔117aは、左前倒し支持軸102に合わせて断面略六角形に形成されている。
ベーン回転軸117の嵌合孔117aが左前倒し支持軸102に嵌合されることにより、左前倒し支持軸102にベーン回転軸117が支持されている。
この状態において、ベーン回転軸117は左前倒し支持軸102に対して一体的に回転する。
【0070】
第1ベーン部118および第2ベーン部119は、ケース本体114の内部空間121に収納されることでシリコーンオイル122に浸漬されている。
よって、ケース本体114の内部空間121において第1ベーン部118が回転することをシリコーンオイル122で抑え、ベーン回転軸117の回転を抑制できる。
これにより、左前倒し支持軸102の回転(すなわち、シートバック27)の前倒れ速度をダンパ部材108で適正(好適)に抑制できる。
【0071】
ここで、ダンパ部材108は、車室15の側壁を形成するサイドライニング(車室の側壁)125より車体幅方向(幅方向)外側に配置されている。
【0072】
サイドライニング125は、車両10のホイルハウス124を覆う主サイドライニング126と、主サイドライニング126に着脱自在に設けられた副サイドライニング127とを備えている。
【0073】
図14、図15に示すように、主サイドライニング126は、車両10のホイルハウス124を車室15側から覆うようにホイルハウス124の裏面124a側に沿って設けられている。
ホイルハウス124は、車体の一部を構成する部材であって、左側後輪(図示せず)を覆う部材である。
【0074】
副サイドライニング127は、主サイドライニング126の表面126aに複数のボルト131で着脱自在に設けられている。
この副サイドライニング127は、下部127aが開口された嵌入凹部132を有する。嵌入凹部132は、左前倒し支持軸102(具体的には、ケース本体114の軸受部114a)に嵌入可能な凹みである。
【0075】
このように、副サイドライニング127に嵌入凹部132を形成することで、ケース本体114の軸受部114aに嵌入凹部132を嵌入させることが可能である。
軸受部114aは、シートバック27およびダンパ部材108間に配置されている。
よって、軸受部114aに嵌入凹部132を嵌入させることで、ダンパ部材108より車体幅方向内側(車室15側)に副サイドライニング127を設けることができる。
換言すれば、副サイドライニング127より車体幅方向外側にダンパ部材108が設けられている。
これにより、ダンパ部材108を車室15側から覆った状態に副サイドライニング127を簡単に取り付けることができる。
【0076】
また、図16に示すように、ダンパ部材108を副サイドライニング127で車室15側から覆うことで、ダンパ部材108を車室15側に露出させないようにできる。
よって、着座者が左リヤシート21に着座した状態において、着座者がダンパ部材108に接触することを副サイドライニング127で防ぐことができる。
このように、着座者がダンパ部材108に接触することを防ぐことで、着座者の座り心地を良好に確保することができる。
【0077】
さらに、図14、図15に示すように、主サイドライニング126に副サイドライニング127が複数のボルト131で着脱自在に設けられている。
よって、主サイドライニング126から副サイドライニング127を外して、ダンパ部材108などを車室15に露出させるとともに、主サイドライニング126の開口126bを車室15側に開けることができる。
これにより、副サイドライニング127を外すことで、前倒し機構44などの修理点検(メンテナンス)をおこなうことができる。
すなわち、ダンパ部材108を覆う副サイドライニング127を修理点検用のカバーとして兼用することができる。
【0078】
図17、図18に示すように、シートバックロック機構45は、シートバック27を第1起立位置P8、第1起立位置P8よりも車体前方の第2起立位置(起立位置)P9の一方に選択的に保持可能な2段ロック機構に構成されている。
【0079】
第2起立位置P9は、左リヤシート21に着座者が着座した際に、シートバック27が背凭れ状態となる背凭れ位置である。
一方、第1起立位置P8は、第2起立位置P9より車体後方にシートバック27が配置されてリクライニング状態となるリクライニング位置である。
【0080】
第2起立位置P9より車体後方の第1起立位置P8にシートバック27をリクライニングさせることで、左リヤシート21に荷物などを積み込む際の空間を大きく確保することができる。
このように、シートバックロック機構45として2段ロック機構を採用することで、用途に合わせてシートバック27を適正な位置に調整できるので利便性を高めることができる。
【0081】
このシートバックロック機構45は、シートバック27の左側部27bに設けられた2段ロック部135と、2段ロック部135に係合可能な略コ字状な2段ストライカ137とを備えている。
2段ストライカ137は、車体の左側壁に設けられ、第1係止部137aおよび第2係止部137bを有する。
【0082】
2段ロック部135は、シートバック27の左側部27bに設けられたケース141と、ケース141に回転自在に設けられたラッチ142および作動片143と、ラッチ142および作動片143を連結する連結ピン144と、連結ピン144に先端部145aが連結されたシートバック操作ケーブル145と、ラッチ142に設けられた作動ピン146とを備えている。
【0083】
ラッチ142は、2段ストライカ137の第1係止部137aに係止可能な第1係止溝142aと、2段ストライカ137の第2係止部137bに係止可能な第2係止溝142bとを有する。
【0084】
ラッチ142の第1係止溝142aが第1係止部137aに係止され、かつ、第2係止溝142bが第2係止部137bに係止されることで、シートバック27が第1起立位置(リクライニング位置)P8に保持される。
一方、ラッチ142の第1係止溝142aが第2係止部137bに係止されることで、シートバック27が第2起立位置(背凭れ位置)P9に保持される。
【0085】
シートバック27が第1起立位置P8に保持された状態において、シートバック操作ケーブル145を矢印方向に引張る。
シートバック操作ケーブル145を引張ることで、作動片143が作動片ばね(図示せず)の付勢力に抗して作動片ピン148を軸にして矢印方向に回転する。
【0086】
作動片143が回転することで、作動片143が作動ピン146に当接する。この状態から、シートバック操作ケーブル145を矢印方向に継続して引張ることで作動ピン146が上昇する。
作動ピン146が上昇することで、ラッチ142がラッチばね(図示せず)の付勢力に抗してラッチピン147を軸にして矢印方向に回転する。
ラッチ142が回転することで、第1係止溝142aが第1係止部137aから離れ、かつ、第2係止溝142bが第2係止部137bから離れる。
これにより、シートバック27を第1起立位置P8に保持する状態が解除される。
【0087】
一方、シートバック27が第2起立位置P9に保持された状態において、シートバック操作ケーブル145を矢印方向に引張ることにより、作動片143でラッチ142を矢印方向に回転することができる。
ラッチ142が矢印方向に回転することで、第1係止溝142aが第2係止部137bから離れる。
これにより、シートバック27を第2起立位置P9に保持する状態が解除される。
【0088】
ここで、シートバックロック機構45には、シートバック操作ケーブル145の他に、もう一つのシートバック操作ケーブル149a(図11参照)を備えている。
このシートバック操作ケーブル149aは、シートバック27後部のリクライニング操作部149b(図11参照)に連結されている。
【0089】
このリクライニング操作部149bをシートバック27の後方から手動で操作することで、シートバック操作ケーブル149aをシートバック操作ケーブル145と同様に引張ることができる。
これにより、ラッチ142を矢印方向に回転させてシートバック27を第1起立位置P8および第2起立位置P9から選択したいずれか一方に保持することができる。
【0090】
図19に示すように、ヘッドレスト前傾/ロック機構46は、ヘッドレスト31を前傾させる前傾ばね部材(図示せず)と、ヘッドレスト31を立上位置P11に保持するヘッドレストロック手段151とを備えている。
【0091】
ヘッドレストロック手段151は、ヘッドレストフレーム32に設けられた一対のロック片152と、一対のロック片152に係止可能な一対の係止片153と、一対の係止片153に連結された操作バー154と、操作バー154をロック位置P13に保持する引張ばね部材155と、操作バー154に先端部156aが連結されたヘッドレスト操作ケーブル156とを備えている。
【0092】
一対のロック片152の係止溝152aに係止片153が係止されることで、ヘッドレスト31が立上位置P11に保持される。
この状態において、ヘッドレスト操作ケーブル156を矢印方向に引張ることにより、操作バー154が引張ばね部材155の付勢力に抗して矢印方向に移動する。
【0093】
操作バー154が移動することで、一対の係止片153が支持ピン158を介して矢印方向に回転する。一対の係止片153が回転することで、一対の係止片153がロック片152の係止溝152aから外れる。
よって、ヘッドレスト31を立上位置P11に保持する状態が解除される。
これにより、ヘッドレスト31が前傾ばね部材の付勢力で立上位置P11から前傾位置P12まで車体前方に向けて矢印方向に前傾される。
【0094】
一方、前傾位置P12のヘッドレスト31を前傾ばね部材の付勢力に抗して立上位置P11まで立ち上げることで、一対の係止片153がロック片152の係止溝152aに係止する。
これにより、ヘッドレスト31が立上位置P11に保持される。
【0095】
ここで、ヘッドレストロック手段151は、操作バー154に連結された操作ストラップ159を備えている。
操作ストラップ159は、基端部159aが操作バー154に連結され、先端部159bがシートバック27(クッション部29)の上端部から上方に突出されている。
操作ストラップ159を手動で引き上げることで、操作バー154を移動させて一対の係止片153をロック片152の係止溝152aから外すことができる。
よって、操作ストラップ159を手動で引き上げることで、ヘッドレスト31を立上位置P11から前傾位置P12まで前傾させることができる。
【0096】
図20に示すように、連動機構47は、シートクッション24の着座位置P1(図5参照)から収納位置P2(図32(a)参照)への跳上げ移動(移動)に伴ってシートバックロック機構45およびヘッドレストロック手段151のロック状態を解除可能な機構である。
シートバックロック機構45のロックを解除することでシートバック27の保持が解除される。
また、ヘッドレストロック手段151のロックを解除することでヘッドレスト31の保持が解除される。
【0097】
図6、図20に示すように、連動機構47は、シートクッション24(図1参照)の前下部に設けられ、シートバックロック機構45およびヘッドレスト前傾/ロック機構46に連動ケーブル(ケーブル部材)167で連結されている。
連動機構47によれば、シートクッション24の跳上げに伴ってシートバックロック機構45のロックを解除し、かつ、ヘッドレストロック手段151のロックを解除できる。
【0098】
図21、図22に示すように、連動機構47は、車体フロア12(後部12a)の左側部に設けられた連動ブラケット161と、連動ブラケット161に回転自在に支持された左第1回転支持軸67に一体的に設けられたハンマー部材162と、ハンマー部材162が当接可能なリリース部材163と、リリース部材163をシートバックロック機構45およびヘッドレストロック手段151に連結する連動ケーブル167とを備えている。
左第1回転支持軸67は、連動ブラケット161の車幅方向外側に設けられ、内端部67aが連動ブラケット161に回転自在に支持されている。
【0099】
さらに、連動機構47は、リリース部材163をリリース位置P15(図31(b)参照)からリリース初期位置P14に復帰させるリリース復帰ばね部材171と、ハンマー部材162をハンマー跳上げ位置P17(図31(b)参照)からハンマー初期位置P16に復帰可能なハンマー復帰ばね部材172とを備えている。
【0100】
連動ブラケット161は、車体フロア12(後部12a)の左側部において、シートクッション24および左前支持ブラケット53間の部位に設けられた取付基部161aと、取付基部161aから立設された支持部161bとを有する。
支持部161bの前端部161cに左第1回転支持軸67の内端部67aが回転自在に支持されている。
この左第1回転支持軸67にハンマー部材162の基部162aが一体的に設けられている。
【0101】
ハンマー部材162は、第1リリース部材164のローラ166に当接可能なカム面174を備えている。
カム面174は、シートクッション24を跳ね上げる際にリリース部材163のローラ166に当接し、リリース部材163で連動ケーブル167を操作可能にリリース部材163を連動させる面である。
このカム面174は、シートバック27が第2起立位置P9(図20参照)を超えるまでリリース部材163のローラ166に当接可能な当接部175を有する。
当接部175は、カム面174のうち、始端175aから終端175bまでの領域である。
【0102】
リリース部材163は、支持部161bのうち車体前後方向の略中央161dにリリース軸177を介して回転自在に設けられた第1リリース部材164および第2リリース部材165と、第1リリース部材164に設けられたローラ166とを備えている。
【0103】
第1リリース部材164は、中央部164aが隆起することで略く字状に形成され、中央部164aがリリース軸177に回転自在に支持されている。
この第1リリース部材164は、前端部164bにローラピン181が設けられ、後端部164cにガイドピン182が設けられている。
ローラピン181にローラ166が回転自在に支持されている。
ガイドピン182が第2リリース部材165のガイド孔184に嵌合されている。
【0104】
第2リリース部材165は、中央部165aが突出することで略扇形状に形成され、中央部165aが第1リリース部材164とともにリリース軸177に回転自在に支持されている。
この第2リリース部材165は、略扇形状の湾曲部165bに沿ってガイド孔184が形成され、下端部165cにケーブルピン185が設けられている。
ガイド孔184に第1リリース部材164のガイドピン182が移動自在に嵌合されている。
ケーブルピン185に連動ケーブル167の基端部167aが連結されている。
【0105】
図20に示すように、連動ケーブル167は、基端部167a(図21参照)がケーブルピン185に連結され、途中の部位167bでシートバック操作ケーブル145およびヘッドレスト操作ケーブル156の二股に分岐されている。
シートバック操作ケーブル145は、先端部145aがシートバックロック機構45の連結ピン144(図18参照)に連結されている。
ヘッドレスト操作ケーブル156は、先端部156aがヘッドレストロック手段151の操作バー154(図19参照)に連結されている。
【0106】
よって、連動ケーブル167が矢印方向に引張られることで、シートバック操作ケーブル145が矢印方向に引張られるとともに、ヘッドレスト操作ケーブル156が矢印方向に引張られる。
シートバック操作ケーブル145およびヘッドレスト操作ケーブル156が引張られることで、連動機構47による動作をシートバックロック機構45およびヘッドレストロック手段151に連動させることができる。
【0107】
なお、連動ケーブル167を途中の部位167bでシートバック操作ケーブル145およびヘッドレスト操作ケーブル156の二股に分岐させる構成は、一般に用いられている技術である。
【0108】
図21、図22に示すように、リリース復帰ばね部材171は、リリース部材163をリリース位置P15からリリース初期位置P14に復帰させるばねである。
このリリース復帰ばね部材171は、上フック部171aが支持部161bの上片161eに係止され、下フック部171bが第2リリース部材165の湾曲部突片165dに係止されている。
湾曲部突片165dは、湾曲部165bから車体後方に向けて突出された突片である。
【0109】
リリース復帰ばね部材171で第2リリース部材165がリリース軸177を軸にして矢印方向(反時計回り方向)に付勢されている。
よって、第2リリース部材165の上端部165eが支持部161bの上片161eに当接される。
【0110】
ハンマー復帰ばね部材172は、ハンマー部材162をハンマー跳上げ位置P17(図31(b)参照)からハンマー初期位置P16に復帰させるばねである。
このハンマー復帰ばね部材172は、上フック部172aが第1リリース部材164の後端係止164dに係止され、下フック部172bが第2リリース部材165の下端係止部165fに係止されている。
【0111】
ハンマー復帰ばね部材172で第1リリース部材164がリリース軸177を軸にして矢印方向(時計回り方向)に付勢されている。
よって、第1リリース部材164のガイドピン182がガイド孔184の下端部184aに当接される。
【0112】
第2リリース部材165の上端部165eが支持部161bの上片161eに当接され、かつ、第1リリース部材164のガイドピン182がガイド孔184の下端部184aに当接されることで、第1リリース部材164がリリース初期位置P14に保持されている。
【0113】
図20、図21に示すように、連動機構47によれば、ハンマー部材162が左第1回転支持軸67と一体に回転して第1リリース部材164のローラ166に当接する。
第1リリース部材164および第2リリース部材165をハンマー部材162で移動させて連動ケーブル167を操作して矢印方向に引張る。
連動ケーブル167を引張ることでヘッドレストロック手段151およびシートバックロック機構45をロック解除状態に保持する。
【0114】
シートバックロック機構45をロック解除状態に保持することで、シートバックロック機構45によるシートバック27の保持を解除する。
さらに、連動機構47によれば、シートバック27を第1起立位置P8から前倒し位置P10(図32(b)参照)まで前倒しする際に、シートバック27が第2起立位置P9を超えるまでシートバックロック機構45によるシートバック27の保持を解除することができる。
【0115】
また、ヘッドレストロック手段151をロック解除状態に保持することで、ヘッドレストロック手段151によるヘッドレスト31の保持を解除することができる。
【0116】
さらに、連動機構47としてハンマー部材162、リリース部材163および連動ケーブル167を備えた。
このように、連動機構47をハンマー部材162、リリース部材163および連動ケーブル167の少ない部材で構成することで、連動機構47の小型化(コンパクト化)を図ることができる。
【0117】
加えて、左サイドリンク55の下端部55a(図5も参照)に左第1回転支持軸67を設け、左第1回転支持軸67にハンマー部材162を一体的に設けた。
よって、シートクッション24を跳ね上げることで、ハンマー部材162を左第1回転支持軸67と一体に回転させてハンマー部材162をリリース部材163のローラ166に当接させることができる。
ハンマー部材162をローラ166に当接させることで、リリース部材163をハンマー部材162で移動させて連動ケーブル167を操作できる。
【0118】
このように、シートクッション24の跳上げ時に、左第1回転支持軸67の回転変位を利用して連動ケーブル167を操作することで、シートクッション24の変位を利用して連動ケーブル167を操作する必要がない。
これにより、シートクッション24の跳上げ姿勢を車室15の空間に合わせることができるので利便性を一層高めることができる。
【0119】
さらに、ハンマー部材162にカム面174を備え、カム面174に、シートバック27が第2起立位置P9を超えるまでリリース部材163に当接可能な当接部175を備えた。
このように、リリース部材163に当接する当接部175をカム面174で形成することで、リリース部材163に当接する当接部175の当接範囲をカム面174で容易に設定でき、設計の容易化や連動機構のコンパクト化を図ることができる。
【0120】
つぎに、車両10後部のテールゲート16を開けて左リヤシート21を折り畳む、すなわちダブルフォールダウン操作をする例を図23〜図32に基づいて説明する。
図23(a)に示すように、車両10後部のテールゲート16を開けて後部開口17を開放する。
後部開口17を開放した状態において、荷室23(図23(b)参照)側から操作レバー93を操作する。
【0121】
図23(b)に示すように、荷室23側から操作レバー93を待機位置P4から操作位置P5まで矢印A方向に操作する。
操作レバー93を矢印A方向に操作することで第1操作ケーブル95を矢印B方向に引張る。
【0122】
図24に示すように、第1操作ケーブル95を矢印B方向に引張ることで、第1操作ケーブル95でシートクッションロック機構42のラチェット84(図25(a)参照)を引張ることができる。
【0123】
図25(a)に示すように、ラチェット84をラチェットばね部材85の付勢力に抗して矢印C方向に移動(揺動)する。ラチェット84が移動することで、ラチェット84のロック爪84aがラッチ83の係止部83aから離れる。
【0124】
図25(b)に示すように、ロック爪84aが係止部83aから離れることで、ラッチ83がラッチばね部材86の付勢力で矢印D方向に移動(回転)する。
ラッチ83が移動することで、ラッチ83の係止溝83bからシートクッションストライカ87が跳上ばね部材61(図26(a)参照)の付勢力で矢印E方向に抜け出す。
【0125】
図26(a)に示すように、左右のサイドリンク55,56が跳上ばね部材61で左右の第1回転支持軸67,75を軸にして矢印F方向に回転(揺動)する。
ガイドリンク57(左右のサイドロッド71c,71d)が左右の第1ガイド支持軸71a,71bを軸にして左右のサイドリンク55,56に連動して回転(揺動)する。
【0126】
図26(b)に示すように、左右のサイドリンク55,56が回転するとともに、左右のサイドロッド71c,71dが回転することで、シートクッション24が着座位置P1から収納位置P2(図32(a)参照)に向けて矢印G方向に跳ね上げられる。
【0127】
ここで、シートクッション24を跳ね上げる際に、左右のサイドリンク55,56でシートクッション24を支持することができる。
また、ガイドリンク57でシートクッション24の跳上げ姿勢を好適に保つことができる。
よって、左右のサイドリンク55,56でシートクッション24を跳上げ姿勢に保つ必要がない。
これにより、左右のサイドリンク55,56の剛性を抑えることが可能になり、左右のサイドリンク55,56の小型化が図れる。
【0128】
図27(a)に示すように、左第1回転支持軸67が矢印F方向に回転することで、ハンマー部材162が左第1回転支持軸67と一体にハンマー初期位置P16から矢印F方向に回転する。
【0129】
図27(b)に示すように、ハンマー部材162が矢印F方向に回転することで、ハンマー部材162のカム面174(当接部175)が第1リリース部材164のローラ166に下方から当接する。
具体的には、カム面174のうち当接部175の始端175a(図27(a)参照)が第1リリース部材164のローラ166に下方から当接する。
【0130】
図27(c)に示すように、ハンマー部材162がローラ166に当接した状態においてハンマー部材162が継続して矢印F方向に回転する。
ハンマー部材162が継続して矢印F方向に回転することで、第1リリース部材164がリリース軸177を軸にして矢印H方向に回転する。
【0131】
第1リリース部材164が回転することでガイドピン182が矢印I方向に移動して、ガイドピン182とともに第2リリース部材165がリリース軸177を軸にして矢印I方向に回転する。
第2リリース部材165が回転することで連動ケーブル167を矢印J方向に引張る。
【0132】
図28に示すように、連動ケーブル167が引張られることで、シートバック操作ケーブル145が矢印K方向に引張られるとともに、ヘッドレスト操作ケーブル156が矢印L方向に引張られる。
【0133】
図29(a)に示すように、左右の第1回転支持軸67,75が矢印F方向に回転することで、シートクッション24が収納位置P2(図32(a)参照)に向けて矢印G方向に継続的に跳ね上げられる。
【0134】
図29(b)に示すように、シートクッション24が収納位置P2(図32(a)参照)の手前まで継続的に跳ね上げられる。
【0135】
シートクッション24が収納位置P2(図32(a)参照)の手前まで跳ね上げられた状態において、図19に示すヘッドレストロック手段151の操作バー154が移動する。
操作バー154が移動することで、一対の係止片153がロック片152の係止溝152aから外れる。
よって、ヘッドレスト31を立上位置P11に保持する状態が解除される。すなわち、ヘッドレストロック手段151のロック状態が解除される。
【0136】
図30に示すように、ヘッドレストロック手段151のロック状態が解除されることで、ヘッドレスト31が前傾ばね部材の付勢力で立上位置P11から前傾位置P12まで車体前方に向けて矢印M方向に前傾される。
【0137】
さらに、シートクッション24が収納位置P2(図32(a)参照)の手前まで跳ね上げられた状態において、図17に示すシートバックロック機構45のラッチ142が回転する。ラッチ142が回転することで、第1係止溝142aが第1係止部137aから離れ、かつ、第2係止溝142bが第2係止部137bから離れる。
よって、シートバック27を第1起立位置P8に保持する状態が解除される。すなわち、シートバックロック機構45のロック状態が解除される。
【0138】
図30に示すように、シートバックロック機構45のロック状態が解除されることで、シートバック27が前倒しばね部材106の付勢力で第1起立位置P8から第2起立位置P9を経て前倒し位置P10まで車体前方に向けて矢印N方向に前傾される。
【0139】
図31(a)に示すように、シートクッション24が収納位置P2(図30参照)に到達する直前に当接部175の終端175bに位置する。
当接部175にローラ166が当接している間に、図30に示すシートバック27が第2起立位置P9を超える。
【0140】
図31(b)に示すように、当接部175の終端175bにローラ166が到達する。当接部175の終端175bにローラ166が到達した状態においてハンマー部材162が継続して矢印F方向に回転する。
ハンマー部材162が継続して矢印F方向にハンマー跳上げ位置P17まで回転することで、当接部175の終端175bからローラ166が離れる。
【0141】
図31(c)に示すように、当接部175の終端175bからローラ166が離れることで、リリース部材163(第1リリース部材164および第2リリース部材165)がリリース復帰ばね部材171の付勢力でリリース軸177を軸にして矢印O方向に回転する。
リリース部材163がリリース復帰ばね部材171の付勢力で回転することで、リリース位置P15(図31(b)参照)からリリース初期位置P14に復帰する。
【0142】
図32(a)に示すように、ハンマー部材162がハンマー跳上げ位置P17(図31参照)まで回転することで、シートクッション24が収納位置P2に到達する(配置される)。
【0143】
図32(b)に示すように、シートクッション24が収納位置P2に配置された後、シートバック27が第2起立位置P9を超えて車体前方の前倒し位置P10に配置される。
これにより、シートクッション24が収納位置P2に配置され、かつ、シートバック27が前倒し位置P10に配置されて左リヤシート21の折畳み動作、いわゆる左リヤシート21のワンモーションダブルホールダウン作動が完了する。
【0144】
ここで、シートクッション24を収納位置P2に配置した状態において、左サイドリンク55およびガイドリンク57(左サイドロッド71c)が上下方向に重なり合う。
さらに、右サイドリンク56およびガイドリンク57(右サイドロッド71d)が上下方向に重なり合う。
よって、シートクッション24を収納位置P2に配置した収納状態において、リンク機構51を目視し難くでき、左リヤシート21の見栄えをよくすることができる。
【0145】
図23〜図32で説明したように、ダブルフォールダウン構造40の連動機構47で、シートバック27が第2起立位置P9を超えるまでシートバックロック機構45によるシートバック27の保持を解除可能にした。
よって、シートクッション24に連動させてシートバック27を折り畳む際に、第1起立位置P8から前倒しされたシートバック27が第2起立位置P9に保持されることを防止できる。
これにより、シートクッション24に連動させてシートバック27を確実に前倒しできるので、左リヤシート21を一回の操作で折り畳むことができ、折畳み操作の容易化を図ることができる。
【0146】
つぎに、折り畳まれた左リヤシート21を使用状態に復帰させる例を図33〜図38に基づいて説明する。
図33(a)に示すように、車両10側部の左リヤサイドドア18を開けて左側部開口19を開放する。左側部開口19から車室15内に手を入れて前倒し位置P10のシートバック27を引き起こす。
【0147】
図33(b)に示すように、シートバック27が前倒し位置P10から前倒しばね部材106の付勢力に抗して矢印P方向に引き起こされる。
【0148】
図34(a)に示すように、シートバック27が前倒しばね部材106の付勢力に抗して矢印P方向に第2起立位置P9まで引き起こされる。
シートバック27が第2起立位置P9まで引き起こされることで、図18に示すラッチ142の先端爪142cが第1係止部137aに当接する。
よって、ラッチ142の先端爪142cが第1係止部137aに乗り上げ、ラッチ142がラッチばね(図示せず)の付勢力に抗してラッチピン147を軸にして反時計回り方向に回転する。
【0149】
ラッチ142の先端爪142cが第1係止部137aを乗り越えることにより、第1係止溝142aが第2係止部137bに係止する。
これにより、シートバック27が第2起立位置P9に保持される。
第2起立位置P9は、左リヤシート21に着座者が着座した際に、シートバック27が背凭れ状態となる背凭れ位置である。
【0150】
図34(b)に示すように、シートバック27を第2起立位置P9まで引き起こした後、ヘッドレスト31を前傾位置P12から立上位置P11まで前傾ばね部材(図示せず)の付勢力に抗して矢印Q方向に立ち上げる。
ヘッドレスト31が立上位置P11まで立ち上げられることで、図19に示す一対の係止片153がロック片152の係止溝152aに係止する。
これにより、ヘッドレスト31が立上位置P11に保持される。
【0151】
図35に示すように、シートクッション24を収納位置P2から着座位置P1(図26(a)参照)まで跳上ばね部材61の付勢力に抗して矢印R方向に復帰させる。
シートクッション24を矢印R方向に復帰させることで、左第1回転支持軸67が矢印S方向に回転する。
【0152】
図36(a)に示すように、左第1回転支持軸67が矢印S方向に回転することで、ハンマー部材162が左第1回転支持軸67と一体にハンマー跳上げ位置P17から矢印S方向に回転する。
【0153】
図36(b)に示すように、ハンマー部材162が矢印S方向に回転することで、ハンマー部材162が第1リリース部材164のローラ166に上方から当接する。
【0154】
図36(c)に示すように、ハンマー部材162がローラ166に当接した状態においてハンマー部材162が継続して矢印S方向に回転する。
ハンマー部材162が継続して矢印S方向に回転することで、第1リリース部材164がハンマー復帰ばね部材172の付勢力に抗してリリース軸177を軸に矢印T方向に回転する。
【0155】
この際に、第1リリース部材164のガイドピン182が第2リリース部材165のガイド孔184に沿って上昇する。
よって、第2リリース部材165を静止状態に保つことができる。
【0156】
図37(a)に示すように、ハンマー部材162が継続して矢印S方向に回転することで、当接部175の始端175aがローラ166に到達する。
【0157】
図37(b)に示すように、ハンマー部材162がハンマー初期位置P16まで回転することで、当接部175の始端175aがローラ166を乗り越える。
当接部175の始端175aがローラ166を乗り越えることで、ローラ166からハンマー部材162が離れる。
ローラ166からハンマー部材162が離れることで、第1リリース部材164がハンマー復帰ばね部材172の付勢力でリリース軸177を軸にして矢印U方向に回転する。
第1リリース部材164が回転し、第1リリース部材164(すなわち、リリース部材163)がリリース初期位置P14に保持される。
このように、ハンマー部材162がハンマー初期位置P16に保持され、かつ、リリース部材163がリリース初期位置P14に保持されることで、連動機構47を初期状態に復帰することができる。
【0158】
図38に示すように、連動機構47が初期状態に復帰された状態において、シートクッション24が着座位置P1に配置される。
シートクッション24が着座位置P1に配置されることで、シートクッションストライカ87がロック部81に係止される。
よって、シートクッション24が着座位置P1に保持される。
これにより、折り畳まれた左リヤシート21を使用状態に復帰させる操作が完了する。
【0159】
ここで、左リヤシート21を使用状態に復帰させた状態において、図34(a)に示すように、シートバック27は第2起立位置P9、すなわち背凭れ位置に保持されている。
この状態から、シートバック27を第1起立位置(リクライニング位置)P8に保持する際には、シートバック27後部のリクライニング操作部を操作する。
【0160】
すなわち、シートバック27後部のリクライニング操作部149b(図11参照)を操作することで、シートバックロック機構45のもう一つのシートバック操作ケーブル149a(図11参照)を操作する。
もう一つのシートバック操作ケーブル149aを操作することでラッチ142を作動させてシートバック27を第1起立位置P8に保持することができる。
【0161】
なお、本発明に係る車両用シートは、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、左リヤシート21を折り畳む際にシートバック27を第1起立位置P8から前倒し位置P10まで前倒しする例について説明したが、これに限らないで、左リヤシート21を折り畳む際にシートバック27を第2起立位置P9から前倒しさせることも可能である。
【0162】
また、前記実施例で示した車両10、車体フロア12、車両用シート20、シートクッション24、シートバック27、ダブルフォールダウン構造40、移動機構41、前倒し機構44、シートバックロック機構45、連動機構47、リンク機構51、左前倒し支持軸102、ダンパ部材108、ホイルハウス124、サイドライニング125、主サイドライニング126、副サイドライニング127および嵌入凹部132などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明は、シートクッションを着座位置から収納位置に移動可能で、シートバックを起立位置から前倒し位置に前倒し可能な車両用シートを備えた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0164】
10…車両、12…車体フロア、15…車室、20…車両用シート、24…シートクッション、27…シートバック、40…ダブルフォールダウン構造、41…移動機構、44…前倒し機構、45…シートバックロック機構(ロック機構)、47…連動機構、51…リンク機構、102…左前倒し支持軸(支持軸)、108…ダンパ部材、124…ホイルハウス、125…サイドライニング、126…主サイドライニング、127…副サイドライニング、127a…副サイドライニングの下部、132…嵌入凹部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックを車体フロアに回転可能に支持する支持軸と、前記支持軸に設けられて前記シートバックの前倒れ速度を抑制するダンパ部材と、を備えた車両用シートにおいて、
前記ダンパ部材は、
車室の側壁を形成するサイドライニングより幅方向外側に配置されたことを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
前記サイドライニングは、
車両のホイルハウスを覆う主サイドライニングと、
前記主サイドライニングに着脱自在に設けられた副サイドライニングと、を備え、
前記副サイドライニングより幅方向外側に前記ダンパ部材が配置されたことを特徴とする請求項1記載の車両用シート。
【請求項3】
前記副サイドライニングは、
下部が開口されることにより前記支持軸に嵌入可能な嵌入凹部を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用シート。
【請求項1】
シートバックを車体フロアに回転可能に支持する支持軸と、前記支持軸に設けられて前記シートバックの前倒れ速度を抑制するダンパ部材と、を備えた車両用シートにおいて、
前記ダンパ部材は、
車室の側壁を形成するサイドライニングより幅方向外側に配置されたことを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
前記サイドライニングは、
車両のホイルハウスを覆う主サイドライニングと、
前記主サイドライニングに着脱自在に設けられた副サイドライニングと、を備え、
前記副サイドライニングより幅方向外側に前記ダンパ部材が配置されたことを特徴とする請求項1記載の車両用シート。
【請求項3】
前記副サイドライニングは、
下部が開口されることにより前記支持軸に嵌入可能な嵌入凹部を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2012−214058(P2012−214058A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78825(P2011−78825)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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