説明

車両用スイッチ

【課題】本発明は、主として自動車に装着され、ドアの開閉等を検出する車両用スイッチに関し、ドーム部の破損を防ぎ、確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】操作体2の操作部2Aを覆う弾性カバー17のドーム部18の中間部18Cを、上部18Aや下部18Bよりも薄肉状に形成することによって、押圧操作された際、ドーム部18の上部18Aは弾性変形せず、薄肉状の中間部18Cのみが弾性変形するため、変形した折曲部がドアの押圧体10下面に当接することがなく、ドーム部18の破損を防ぎ、確実な操作が可能な車両用スイッチを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として自動車に装着され、ドアの開閉等を検出する車両用スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車のドア部に車両用スイッチを装着し、これによってドアの開閉を検出して、車室内の照明の点灯や消灯等を制御することが広く行われている。
【0003】
このような従来の車両用スイッチについて図5〜図7を用いて説明する。
【0004】
図5は従来の車両用スイッチの断面図であり、同図において、1は上面開口で略箱形の絶縁樹脂製のケース、2は同じく絶縁樹脂製の操作体で、操作体2がケース1内に上下動可能に収納されると共に、操作体2上部には略円筒状で、ケース1上面開口部から上方へ突出する操作部2Aが設けられている。
【0005】
そして、ケース1の右内側面には導電金属製の固定接点3が植設され、この固定接点3下端がケース1底面から下方に突出している。
【0006】
また、4は導電金属板製の取付板で、中間部には下方へ折曲されケース1の左内側面に延出する接点部4Aが設けられると共に、左方には貫通孔4Bが形成されている。
【0007】
さらに、5は略コの字状で導電金属薄板製の可動接点で、中間部が操作体2に装着されると共に、左右両端がやや撓んだ状態で、取付板4の接点部4Aと固定接点3に各々弾接して、スイッチ接点が形成されている。
【0008】
そして、6はコイル状のばねで、ケース1の内底面と操作体2下面の間にやや撓んだ状態で装着され、このばね6によって操作体2が上方へ付勢されている。
【0009】
また、7はゴム等の弾性カバーで、この弾性カバー7下面に取付板4がインサート成形されると共に、右方のドーム部7Aがケース1から突出した操作部2Aを覆い、左方には貫通孔4Bより径の大きな挿通孔7Bが設けられて、車両用スイッチが構成されている。
【0010】
そして、このように構成された車両用スイッチが、ケース1底面から突出した固定接点3下端がリード線(図示せず)等によって、自動車の電子回路(図示せず)を介して室内灯等に接続されると共に、貫通孔4Bがネジ(図示せず)等によって車体のシャーシ(図示せず)に締め付けられ、取付板4がシャーシにアース接続されて、車両のドア部に装着される。
【0011】
以上の構成において、自動車のドアが開いた状態では、操作体2がばね6によって上方へ付勢され、操作体2に装着された可動接点5の左右両端が、取付板4の接点部4Aと固定接点3に各々弾接し、接点部4Aと固定接点3が可動接点5を介して電気的に接続された状態となっているため、これを車両の電子回路が検出して、例えば室内灯が点灯した状態となっている。
【0012】
また、ドアを閉じると、図6の断面図に示すように、ドアの押圧体10が弾性カバー7のドーム部7A上部を介して操作部2Aを押圧し、ドーム部7Aが弾性変形すると共に、操作体2がばね6を撓めながらケース1内を下方へ移動する。
【0013】
そして、ドアが閉じた状態では、図7の断面図に示すように、押圧体10がドーム部7Aを介して操作部2Aを押圧し、操作体2がさらにばね6を撓めて下方に移動して、操作体2に装着された可動接点5の左端が取付板4の接点部4Aから離れ、接点部4Aと固定接点3間が電気的に切断された状態となり、これを電子回路が検出して、例えば室内灯が消灯した状態となる。
【0014】
つまり、ドアの開閉操作によって、車両のドア部に装着された車両用スイッチの操作体2を押圧操作し、可動接点5と接点部4Aや固定接点3から形成されたスイッチ接点の電気的接離を行うと共に、これを車両の電子回路が検出して、室内灯の消点灯等の各種制御を行うようになっている。
【0015】
また、このように車両のドア部に装着され、ドアが開いた状態では雨水等が付着し易い車両用スイッチを、弾性カバー7で覆うことによって、ケース1上面開口部や操作体2との隙間等から、雨水等がケース1に浸入することを防ぎ、車両用スイッチの確実な電気的接離が行えるように構成されているものであった。
【0016】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2007−87928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記従来の車両用スイッチにおいては、操作部2Aを覆う弾性カバー7のドーム部7Aが、図5に示すように、上部と中間部、下部共に全体がほぼ均等な厚さに形成されているため、図7に示すように、ドアが閉じ操作部2Aが押圧された状態では、最上部を除くドーム部7A全体が弾性変形し、ドーム部7A中間部の折曲部7Cがドアの押圧体10下面に当接した状態となる。
【0019】
このため、ドアの開閉操作を長期間繰返した場合、この折曲部7Cが押圧体10下面にこすれて磨耗し、ドーム部7A中間部に亀裂等の破損が生じてしまう場合があるという課題があった。
【0020】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、ドーム部の破損を防ぎ、確実な操作が可能な車両用スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明は、操作体の操作部を覆う弾性カバーのドーム部の中間部を、上部や下部よりも薄肉状に形成して車両用スイッチを構成したものであり、押圧操作された際、ドーム部の上部は弾性変形せず、薄肉状の中間部のみが弾性変形するため、変形した折曲部がドアの押圧体下面に当接することがなく、ドーム部の破損を防ぎ、確実な操作が可能な車両用スイッチを得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によれば、ドーム部の破損を防ぎ、確実な操作が可能な車両用スイッチを実現することできるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態による車両用スイッチの断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同押圧操作時の断面図
【図4】同断面図
【図5】従来の車両用スイッチの断面図
【図6】同押圧操作時の断面図
【図7】同断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。
【0025】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0026】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による車両用スイッチの断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、1は上面開口で略箱形のポリオキシメチレン等の絶縁樹脂製のケース、2は同じくポリブチレンテレフタレート等の絶縁樹脂製の操作体で、操作体2がケース1内に上下動可能に収納されると共に、操作体2上部には略円筒状で、ケース1上面開口部から上方へ突出する操作部2Aが設けられている。
【0027】
そして、ケース1の右内側面には銅合金等の導電金属製の固定接点3が植設され、この固定接点3下端がケース1底面から下方に突出している。
【0028】
また、4は鋼や銅合金等の導電金属板製の取付板で、中間部には下方へ折曲されケース1の左内側面に延出する接点部4Aが設けられると共に、左方には貫通孔4Bが形成されている。
【0029】
さらに、5は略コの字状で銅合金等の導電金属薄板製の可動接点で、中間部が操作体2に装着されると共に、左右両端がやや撓んだ状態で、取付板4の接点部4Aと固定接点3に各々弾接して、スイッチ接点が形成されている。
【0030】
また、6は鋼線や銅合金線等のコイル状のばねで、ケース1の内底面と操作体2下面の間にやや撓んだ状態で装着され、このばね6によって操作体2が上方へ付勢されている。
【0031】
そして、17はゴムやエラストマ等の弾性カバーで、この弾性カバー17下面に取付板4がインサート成形されると共に、左方には貫通孔4Bより径の大きな挿通孔17Aが設けられている。
【0032】
さらに、弾性カバー17右方にはケース1から突出した操作部2Aを覆うドーム部18が設けられると共に、このドーム部18の上部18Aと下部18Bは厚肉状に、中間部18Cはこれらよりも薄肉状に形成されて、車両用スイッチが構成されている。
【0033】
そして、このように構成された車両用スイッチが、ケース1底面から突出した固定接点3下端がリード線(図示せず)等によって、自動車の電子回路(図示せず)を介して室内灯等に接続されると共に、貫通孔4Bがネジ(図示せず)等によって車体のシャーシ(図示せず)に締め付けられ、取付板4がシャーシにアース接続されて、車両のドア部に装着される。
【0034】
以上の構成において、自動車のドアが開いた状態では、操作体2がばね6によって上方へ付勢され、操作体2に装着された可動接点5の左右両端が、取付板4の接点部4Aと固定接点3に各々弾接し、接点部4Aと固定接点3が可動接点5を介して電気的に接続された状態となっているため、これを車両の電子回路が検出して、例えば室内灯が点灯した状態となっている。
【0035】
また、ドアを閉じると、図3の断面図に示すように、ドアの押圧体10が弾性カバー17のドーム部18上部を介して操作部2Aを押圧し、ドーム部18の薄肉状の中間部18Cが弾性変形すると共に、操作体2がばね6を撓めながらケース1内を下方へ移動する。
【0036】
なお、この時、ドーム部18の厚肉状の上部18Aは殆んど弾性変形せず、薄肉状の中間部18Cが大きく弾性変形し、下部18Bがやや内方へ、中間部18Cの略中央部が外方へ折曲する。
【0037】
そして、ドアが閉じた状態では、図4の断面図に示すように、押圧体10がドーム部18を介して操作部2Aを押圧し、操作体2がさらにばね6を撓めて下方に移動して、操作体2に装着された可動接点5の左端が取付板4の接点部4Aから離れ、接点部4Aと固定接点3間が電気的に切断された状態となり、これを電子回路が検出して、例えば室内灯が消灯した状態となる。
【0038】
つまり、ドアの開閉操作によって、車両のドア部に装着された車両用スイッチの操作体2を押圧操作し、可動接点5と接点部4Aや固定接点3から形成されたスイッチ接点の電気的接離を行うと共に、これを車両の電子回路が検出して、室内灯の消点灯等の各種制御を行うように構成されている。
【0039】
また、このように車両のドア部に装着され、ドアが開いた状態では雨水等が付着し易い車両用スイッチを、弾性カバー17で覆うことによって、ケース1上面開口部や操作体2との隙間等から、雨水等がケース1に浸入することを防ぎ、車両用スイッチの確実な電気的接離が行えるようになっている。
【0040】
さらに、ドアが閉じ操作部2Aが押圧操作された際、図4に示すように、弾性カバー17のドーム部18が弾性変形するが、この時、ドーム部18の上部18Aは厚肉状に形成されているため、殆んど弾性変形せず、薄肉状の中間部18Cが大きく弾性変形し、下部18Bがやや内方へ折曲すると共に、中間部18Cの略中央部が外方へ折曲する。
【0041】
したがって、ドアが閉じた状態でも、中間部18Cの折曲した略中央部とドアの押圧体10下面の間には所定の隙間があり、ドーム部18の折曲部が押圧体10下面には当接しないため、ドアの開閉操作を長期間繰返した場合でも、押圧体10下面との摩擦による、ドーム部18の亀裂等の破損が生じないようになっている。
【0042】
すなわち、ドーム部18の上部18Aを厚肉状に形成すると共に、中間部18Cを上部18Aや下部18Bよりも薄肉状に形成し、操作部2Aを押圧操作した際に、薄肉状の中間部18Cのみを弾性変形させることで、外方へ折曲する位置がドーム部18の下方となるため、押圧体10下面への当接が生じないように構成されている。
【0043】
なお、以上の説明では、操作部2Aが押圧されていない状態では、接点部4Aと固定接点3が可動接点5を介して電気的に接続され、押圧操作した状態では電気的に切断される構成について説明したが、これとは逆に、押圧されていない状態では電気的に切断され、押圧操作した状態では電気的に接続される構成としても、本発明の実施は可能である。
【0044】
このように本実施の形態によれば、操作体2の操作部2Aを覆う弾性カバー17のドーム部18の中間部18Cを、上部18Aや下部18Bよりも薄肉状に形成することによって、押圧操作された際、ドーム部18の上部18Aは弾性変形せず、薄肉状の中間部18Cのみが弾性変形するため、変形した折曲部がドアの押圧体10下面に当接することがなく、ドーム部18の破損を防ぎ、確実な操作が可能な車両用スイッチを得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明による車両用スイッチは、ドーム部の破損を防ぎ、確実な操作が可能なものを得ることができるという有利な効果を有し、主に自動車のドアの開閉操作等の検出用として有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 ケース
2 操作体
2A 操作部
3 固定接点
4 取付板
4A 接点部
4B 貫通孔
5 可動接点
6 ばね
10 押圧体
17 弾性カバー
17A 挿通孔
18 ドーム部
18A 上部
18B 下部
18C 中間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱形のケースと、このケース内に上下動可能に収納され、操作部がケース上面から上方へ突出する操作体と、この操作体の操作部を覆うドーム部が形成された弾性カバーと、上記操作体の上下動に応じて電気的接離を行うスイッチ接点からなり、上記弾性カバーのドーム部の中間部を、上部や下部よりも薄肉状に形成した車両用スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−37875(P2013−37875A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172788(P2011−172788)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】