説明

車両用ドアロック制御システム

【課題】この発明は、一つのスイッチで運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとを可能とし、簡単な構成で運転席側ドアのみのアンロックを実現することを目的とする。
【解決手段】この発明は、ドアをアンロックするスイッチと、スイッチが押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段と、スイッチ押下検出手段によりスイッチの押下が検出された時に、スイッチ押下時間を計測するスイッチ押下時間計測手段と、スイッチ押下時間計測手段により計測されたスイッチ押下時間と予め設定された時間とを比較判定するスイッチ押下時間判定手段とを備え、スイッチ押下時間判定手段により判定された結果に基づいて、運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとのいずれかを実行する制御手段を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両用ドアロック制御システムに係り、特に、スイッチの押下操作を変えることで運転席側ドアのみのアンロックと運転席側ドア以外のドアのアンロックとが可能な車両用ドアロック制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の各ドア、例えば運転席側ドア、助手席側ドア、後席側ドア、荷室側ドアを同時にアンロック(解錠)できる車両用ドアロック制御システムは、アンロックするドアの近くまで移動することなくアンロックでき、運転者にとって利便性が高いシステムである。実際には、車両に運転者1人しか乗車しないことも多く、その場合、運転席側ドア以外の他のドアはアンロックしても開閉されることがない。
運転者が一人で車両に乗り込む場合において、運転者がアンロックした際、解錠された運転席側ドア以外の他のドアが、運転者が意図しない他者の行為により開けられてしまう恐れがある。これらの不安を解消するためには、ドアをアンロックする際に車両周囲を確認し、乗車後に車両の各ドアをロック(施錠)しなければならない。
【0003】
これらの対策方法として、
(1)キーレスエントリ装置の送信機に、全てのドアをロック・アンロックする全ドア用のスイッチとは別に運転席側ドア専用のスイッチを設け、運転席側ドアのみを独立してロック・アンロックできるようにする、
(2)アンロック信号受信後、所定時間内に開閉されなかったドアはロック状態とする、などの技術が提案されている。(特許文献1及び特許文献2)
【0004】
そのほか、車両用ドアロック制御システムとしては、エンジンスイッチの押下により車両のドアのロックを制御する技術(特許文献3)、運転席側ドアスイッチと全ドアスイッチとで別系統のスイッチを設け、2ステップで運転席側ドア、全ドアを開閉するスイッチが記載されているが、全ドアをアンロックするシステムとは別に、運転席側ドアのみをアンロックするスイッチを設け、切替を行う技術(特許文献4)、車両の現在位置に応じて自動的に解錠するか、接触を検出した場合のみ解錠命令を出力するかの2つの解錠方式を切り替える技術(特許文献5)、が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−253884号公報
【特許文献2】特許第3165708号公報
【特許文献3】特開2009−150187号公報
【特許文献4】特許第3467375号公報
【特許文献5】特開2005−146666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び特許文献2の場合、(1)では複数のスイッチが必要となり、スイッチを設けた装置が大きくなる問題があり、(2)では一旦すべてのドアがアンロックされてしまうため、他者がドアを開けることを完全に避けることができなかった。
また、特許文献3は、エンジンスイッチの押下により車両ドアのロックを制御しているが、運転者が乗車した後の措置であり、運転者が乗車する時の対応については記載されていない。さらに、特許文献4では、全ドアをアンロックするシステムとは別に、運転席側ドアのみをアンロックするスイッチを設け、切替を行っているが、この方法では、運転者が変わった際にどのような設定になっているかがわからないという問題があった。さらにまた、特許文献5は、解錠方式を切り替えることが提案されているが、毎回必ず同様に同乗者が居る、もしくは居ないとは限らないという問題があった。
車速によりドアのロックを制御するシステムも存在するが、運転者が乗車し、走行を開始した後の措置であり、運転者が乗車する時の対応についてはなされていない。
【0007】
この発明は、スイッチの操作で運転席側ドアのみのアンロックを可能とし、運転席側ドア以外のドアからの他者の侵入を防止することができ、同じスイッチで操作を変えれば、全ドアのアンロックを可能とし、運転者以外の同乗者がいる場合の利便性を損なうことがなく、一つのスイッチで運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとを可能とし、簡単な構成で運転席側ドアのみのアンロックを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、ドアをアンロックするスイッチと、前記スイッチが押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段と、前記スイッチ押下検出手段によりスイッチの押下が検出された時に、スイッチ押下時間を計測するスイッチ押下時間計測手段と、前記スイッチ押下時間計測手段により計測されたスイッチ押下時間と予め設定された時間とを比較判定するスイッチ押下時間判定手段とを備え、前記スイッチ押下時間判定手段により判定された結果に基づいて、運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとのいずれかを実行する制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の車両用ドアロック制御システムは、スイッチを操作することにより運転席側ドアのみをアンロックすることが可能となるので、運転席側ドア以外のドアからの他者の侵入を防止することができる。しかも、この発明の車両用ドアロック制御システムは、同じスイッチで操作を変えれば、全ドアをアンロックすることも可能なので、運転者以外の同乗者がいる場合でも、利便性を損なうことはない。
また、この発明の車両用ドアロック制御システムは、一つのスイッチで運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとが可能なので、簡単な構成で運転席側ドアのみのアンロックを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】車両用ドアロック制御システムのフローチャートである。(実施例1)
【図2】車両用ドアロック制御システムのタイムチャートである。(実施例1)
【図3】車両用ドアロック制御システムのシステム構成図である。(実施例1)
【図4】車両用ドアロック制御システムのフローチャートである。(実施例2)
【図5】車両用ドアロック制御システムのタイムチャートである。(実施例2)
【図6】車両用ドアロック制御システムのシステム構成図である。(実施例2)
【図7】車両用ドアロック制御システムのフローチャートである。(実施例3)
【図8】車両用ドアロック制御システムのシステム構成図である。(実施例3)
【図9】車両用ドアロック制御システムのフローチャートである。(実施例4)
【図10】車両用ドアロック制御システムのタイムチャートである。(実施例4)
【図11】車両用ドアロック制御システムのシステム構成図である。(実施例4)
【図12】車両用ドアロック制御システムのフローチャートである。(実施例5)
【図13】車両用ドアロック制御システムのタイムチャートである。(実施例5)
【図14】車両用ドアロック制御システムのシステム構成図である。(実施例5)
【図15】車両用ドアロック制御システムのフローチャートである。(実施例6)
【図16】車両用ドアロック制御システムのシステム構成図である。(実施例6)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0012】
図1〜図3は、この発明の実施例1を示すものである。図3において、1は車両用ドアロック制御システムである。車両用ドアロック制御システム1は、スマートキーとも呼ばれる携帯用のドアロック指令装置2と、車載用のドアロック制御装置3とから構成される。
前記ドアロック指令装置2は、車両のドアをアンロックするために押下するスイッチ4と、前記スイッチ4が押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段5と、前記ドアロック制御装置3との間で信号を送受信する指令装置側送受信手段6と、指令装置側アンテナ7とを備えている。
前記ドアロック制御装置3は、制御装置側アンテナ8と、ドアロック指令装置2との間で信号を送受信する制御装置側送受信手段9と、前記制御装置側送受信手段9が受信した信号から前記スイッチ4が押下されているスイッチ押下時間tを計測するスイッチ押下時間計測手段10と、前記スイッチ押下時間計測手段10により計測されたスイッチ押下時間tと予め設定された時間t1・t2とを比較して判定するスイッチ押下時間判定手段11と、前記スイッチ押下時間判定手段11により判定された結果に基づいて車両のドアのアンロックを実行する制御手段12とを備えている。
前記制御手段12には、運転席側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する運転席側ドアロックモータ13と、助手席側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する助手席側ドアロックモータ14と、後席右側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する後席右側ドアロックモータ15と、後席左側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する後席左側ドアロックモータ16と、荷室ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する荷室ドアロックモータ17と、アンロックされる各ドアに応じてアンサーバック(スイッチ4の操作者へ告知)するアンサーバック手段18とを接続している。
【0013】
前記制御手段12は、スイッチ押下時間判定手段11により判定されたスイッチ押下時間tと予め設定された時間t1・t2とを比較した判定結果に基づいて、運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとのいずれかを実行するように、各ドアロックモータ13〜17の動作を制御する。また、制御手段12は、アンロックされる各ドアに応じてアンサーバックを変えるように、アンサーバック手段18の動作を制御する。
前記アンサーバック手段18のアンサーバックは、ハザードランプあるいはルームランプの点滅、ブザーあるいは音声等で行う。アンサーバックの変更としては、以下のものがある。
(1)ハザードランプによりアンサーバックする場合
ハザードランプの点滅回数の変更あるいは点滅周期の変更
(2)ルームランプによりアンサーバックする場合
ルームランプの点滅回数の変更あるいは点滅周期の変更
(3)ブザーによりアンサーバックする場合
ブザーの鳴動回数の変更あるいは鳴動周期の変更
(4)音声によりアンサーバックする場合
音声内容の変更(例えば、「運転席ドアをアンロックしました。」、「全てのドアをアンロックしました。」等)
【0014】
車両用ドアロック制御システム1は、ドアロック指令装置2に設けたスイッチ4が押されると、ドアロック指令装置2に内蔵されているスイッチ押下検出手段5によりスイッチ4の押下が検出される。ドアロック指令装置2は、スイッチ4の押下が検出されると、記憶している固有のIDを指令装置側送受信手段6により指令装置側アンテナ7を介して送信する。ドアロック指令装置2は、スイッチ押下検出手段5がスイッチ4の押下を検出している間、IDの送信を継続する。
ドアロック制御装置3は、ドアロック指令装置2が送信するIDの信号を制御装置側アンテナ8を介して制御装置側送受信手段9により受信すると、受信した信号のIDと記憶している登録されたIDとを比較し、両者が一致している場合に、スイッチ押下時間計測手段10によりIDの信号を受信している時間を計測する。IDを受信している時間は、スイッチ4が押下されている時間に等しいので、スイッチ押下時間計測手段10によりスイッチ押下時間tが計測されることになる。スイッチ押下時間判定手段11は、スイッチ押下時間計測手段10により計測されたスイッチ押下時間tが予め設定された短押し時の押下時間t1、長押し時の押下時間t2より大きいか否かを判定する(t2>t1)。
制御手段12は、スイッチ押下時間判定手段11の判定結果に基づいて、運転席側ドアのアンロックと全ドアのアンロックとのいずれかを実行する。制御手段12は、運転席側ドアをアンロックする場合、運転席側ドアロックモータ13をアンロック側に駆動する。制御手段12は、全ドアをアンロックする場合、運転席側ドアロックモータ13、助手席側ドアロックモータ14、後席右側ドアロックモータ15、後席左側ドアロックモータ16、荷室ドアロックモータ17の全てをアンロック側に駆動する。また、制御手段12は、アンロックとともにアンサーバック手段18によりアンロックされるドアに応じてアンサーバックする。
【0015】
車両用ドアロック制御システム1は、図1に示すように、制御がスタートすると(A01)、ドアロック指令装置2からドアロック制御装置3に入力するIDの信号によって、スイッチ押下時間計測手段10により計測されたスイッチ押下時間tが0でないか(t≠0)により、ドアロック指令装置2のスイッチ4が押されたかを判断する(A02)。
スイッチ4が押されていず(t=0)、判断(A02)がNOの場合は、この判断(A02)を繰り返す。スイッチ4が押されて(t≠0)、判断(A02)がYESの場合は、スイッチ4の2度押し時の動作間隔△tが0であるか(△t=0)により、スイッチ4が2度押しでないかを判断する(A03)。
スイッチ4が2度押しされていず(△t=0)、判断(A03)がYESの場合は、スイッチ押下時間判定手段11によりスイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1より非常に大きいか(t>>t1)により、スイッチ4が長押しされたかを判断する(A04)。
【0016】
スイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1よりも小さく(t<t1)、スイッチ4が長押しされていず(t<t2)、判断(A04)がNOの場合は、制御手段12のアンロック指令により運転席側ドアロックモータ13を駆動して運転席側ドアをアンロックし(A05)、運転席側ドアがアンロックされたかを判断する(A06)。
この判断(A06)がNOの場合は、運転席側ドアのアンロック(A05)に戻る。この判断(A06)がYESの場合は、アンロックした運転席側ドアに応じた内容をアンサーバック手段18によりアンサーバックし(A07)、制御をエンドにする(A08)。これにより、運転席側ドアは、図2に示すように、スイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1よりも小さい場合(t<t1)、開くことができる。
一方、スイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1を超えて非常に大きく(t>>t1)、スイッチ4が長押しされていて(t≧t2)、前記判断(A04)がYESの場合は、制御手段12のアンロック指令により運転席側ドアロックモータ13〜荷室ドアロックモータ17を駆動して全ドアをアンロックし(A09)、全ドアがアンロックされたかを判断する(A10)。
この判断(A10)がNOの場合は、全ドアのアンロック(A09)に戻る。この判断(A10)がYESの場合は、アンロックした全ドアに応じた内容をアンサーバック手段18によりアンサーバックし(A11)、制御をエンドにする(A08)。これにより、全ドアは、図2に示すように、スイッチ押下時間tが長押し時の押下時間t2以上の場合(t≧t2)、開くことができる。
【0017】
また、スイッチ4が2度押しされて(△t≠0)、前記判断(A03)がNOの場合は、制御手段12のロック指令により運転席側ドアロックモータ13〜荷室ドアロックモータ17を駆動して全ドアをロックし(A12)、全ドアがロックされたかを判断する(A13)。
この判断(A13)がNOの場合は、全ドアのロック(A12)に戻る。この判断(A13)がYESの場合は、ロックした全ドアに応じた内容をアンサーバック手段18によりアンサーバックし(A14)、制御をエンドにする(A08)。これにより、全ドアは、図2に示すように、スイッチ4が2度押しされた場合(△t≠0)、開くことができなくなる。このとき、運転席側ドアは、アンロックされた状態であっても、スイッチ4の2度押しにより(△t≠0)、開くことができなくなる。
【0018】
このように、車両用ドアロック制御システム1は、ドアロック指令装置2とドアロック制御装置3とから構成され、ドアロック指令装置2に、車両のドアをアンロックするスイッチ4と、スイッチ4が押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段5とを備え、ドアロック制御装置3に、スイッチ押下検出手段5によりスイッチ4の押下が検出された時に、スイッチ押下時間tを計測するスイッチ押下時間計測手段10と、スイッチ押下時間計測手段10により計測されたスイッチ押下時間tと予め設定された押下時間t1、t2とを比較判定するスイッチ押下時間判定手段11とを備え、スイッチ押下時間判定手段11により判定された結果に基づいて、運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとのいずれかを実行する制御手段12を備えている。
これにより、車両用ドアロック制御システム1は、スイッチ4を操作することにより運転席側ドアのみをアンロックすることが可能となるので、運転席側ドア以外のドアからの他者の侵入を防止することができる。しかも、この車両用ドアロック制御システム1は、同じスイッチ4で操作を変えれば、全ドアをアンロックすることも可能なので、運転者以外の同乗者がいる場合でも、利便性を損なうことはない。
また、この車両用ドアロック制御システム1は、一つのスイッチ4で運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとが可能なので、簡単な構成で運転席側ドアのみのアンロックを実現することができる。
さらに、この車両用ドアロック制御システム1は、制御手段12によって、アンロックされるドアに応じてアンサーバック手段18によりアンサーバックを変えることで、ドアのアンロック操作をした時に、操作者は、どのドアがアンロックされたかを容易に確認することができる。
【実施例2】
【0019】
図4〜図6は、この発明の実施例2を示すものである。図6において、101は車両用ドアロック制御システムである。車両用ドアロック制御システム101は、スマートキーとも呼ばれる携帯用のドアロック指令装置102と、車載用のドアロック制御装置103とから構成される。
前記ドアロック指令装置102は、車両のドアをアンロックするために押下するスイッチ104と、前記スイッチ104が押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段105と、前記スイッチ104が押下されているスイッチ押下時間tを計測するスイッチ押下時間計測手段106と、前記ドアロック制御装置103との間で信号を送受信する指令装置側送受信手段107と、指令装置側アンテナ108とを備えている。
前記ドアロック制御装置103は、制御装置側アンテナ109と、ドアロック指令装置102との間で信号を送受信する制御装置側送受信手段110と、前記制御装置側送受信手段110が受信した信号から前記スイッチ押下時間計測手段106により計測されたスイッチ押下時間tと予め設定された時間t1・t2とを比較して判定するスイッチ押下時間判定手段111と、前記スイッチ押下時間判定手段111により判定された結果に基づいて車両のドアのアンロックを実行する制御手段112とを備えている。
前記制御手段112には、運転席側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する運転席側ドアロックモータ113と、助手席側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する助手席側ドアロックモータ114と、後席右側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する後席右側ドアロックモータ115と、後席左側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する後席左側ドアロックモータ116と、荷室ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する荷室ドアロックモータ117と、アンロックされる各ドアに応じてアンサーバック(スイッチ104の操作者へ告知)するアンサーバック手段118とを接続している。
【0020】
前記制御手段112は、スイッチ押下時間判定手段111により判定されたスイッチ押下時間tと予め設定された時間t1・t2とを比較した判定結果に基づいて、運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとのいずれかを実行するように、各ドアロックモータ113〜117の動作を制御する。また、制御手段112は、アンロックされる各ドアに応じてアンサーバックを変えるように、アンサーバック手段118の動作を制御する。
前記アンサーバック手段118のアンサーバックは、ハザードランプあるいはルームランプの点滅、ブザーあるいは音声等で行う。アンサーバックの変更としては、以下のものがある。
(1)ハザードランプによりアンサーバックする場合
ハザードランプの点滅回数の変更あるいは点滅周期の変更
(2)ルームランプによりアンサーバックする場合
ルームランプの点滅回数の変更あるいは点滅周期の変更
(3)ブザーによりアンサーバックする場合
ブザーの鳴動回数の変更あるいは鳴動周期の変更
(4)音声によりアンサーバックする場合
音声内容の変更(例えば、「運転席ドアをアンロックしました。」、「全てのドアをアンロックしました。」等)
【0021】
車両用ドアロック制御システム101は、ドアロック指令装置102に設けたスイッチ104が押されると、ドアロック指令装置102に内蔵されているスイッチ押下検出手段105によりスイッチ104の押下が検出され、同じくドアロック指令装置102に内蔵されているスイッチ押下時間計測手段106によりスイッチ104が押されている間のスイッチ押下時間tを計測する。ドアロック指令装置102は、スイッチ104が押されなくなると、ドアロック指令装置102内に記憶している固有のIDとスイッチ押下時間計測手段106により計測されたスイッチ押下時間tとを、指令装置側送受信手段107により指令装置側アンテナ108を介して送信する。
ドアロック制御装置103は、ドアロック指令装置102が送信するIDとスイッチ押下時間tとの信号を制御装置側アンテナ109を介して制御装置側送受信手段110により受信すると、受信した信号のIDと記憶している登録されたIDとを比較し、両者が一致している場合に、スイッチ押下時間判定手段111によりスイッチ押下時間tが予め設定された短押し時の押下時間t1、長押し時の押下時間t2より大きいか否かを判定する(t2>t1)。
制御手段112は、スイッチ押下時間判定手段111の判定結果に基づいて、運転席側ドアのアンロックと全ドアのアンロックとのいずれかを実行する。制御手段112は、運転席側ドアをアンロックする場合、運転席側ドアロックモータ113をアンロック側に駆動する。制御手段112は、全ドアをアンロックする場合、運転席側ドアロックモータ113、助手席側ドアロックモータ114、後席右側ドアロックモータ115、後席左側ドアロックモータ116、荷室ドアロックモータ117の全てをアンロック側に駆動する。また、制御手段112は、アンロックとともにアンサーバック手段118によりアンロックされるドアに応じてアンサーバックする。
【0022】
車両用ドアロック制御システム101は、図4に示すように、制御がスタートすると(B01)、ドアロック指令装置102からドアロック制御装置103に入力するIDとスイッチ押下時間の信号によって、スイッチ押下時間計測手段106により計測されたスイッチ押下時間tが0でないか(t≠0)により、ドアロック指令装置102のスイッチ104が押されたかを判断する(B02)。
スイッチ104が押されていず(t=0)、判断(B02)がNOの場合は、この判断(B02)を繰り返す。スイッチ104が押されて(t≠0)、判断(B02)がYESの場合は、スイッチ104の2度押し時の動作間隔△tが0であるか(△t=0)により、スイッチ4が2度押しでないかを判断する(B03)。
スイッチ104が2度押しされていず(△t=0)、判断(B03)がYESの場合は、スイッチ押下時間判定手段111によりスイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1より非常に大きいか(t>>t1)により、スイッチ104が長押しされたかを判断する(B04)。
【0023】
スイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1よりも小さく(t<t1)、スイッチ104が長押しされていず(t<t2)、判断(B04)がNOの場合は、制御手段112のアンロック指令により運転席側ドアロックモータ113を駆動して運転席側ドアをアンロックし(B05)、運転席側ドアがアンロックされたかを判断する(B06)。
この判断(B06)がNOの場合は、運転席側ドアのアンロック(B05)に戻る。この判断(B06)がYESの場合は、アンロックした運転席側ドアに応じた内容をアンサーバック手段118によりアンサーバックし(B07)、制御をエンドにする(B08)。これにより、運転席側ドアは、図5に示すように、スイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1よりも小さい場合(t<t1)、開くことができる。
【0024】
一方、スイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1を超えて非常に大きく(t>>t1)、スイッチ104が長押しされていて(t≧t2)、前記判断(B04)がYESの場合は、制御手段112のアンロック指令により運転席側ドアロックモータ113〜荷室ドアロックモータ117を駆動して全ドアをアンロックし(B09)、全ドアがアンロックされたかを判断する(B10)。
この判断(B10)がNOの場合は、全ドアのアンロック(B09)に戻る。この判断(B10)がYESの場合は、アンロックした全ドアに応じた内容をアンサーバック手段118によりアンサーバックし(B11)、制御をエンドにする(B08)。これにより、全ドアは、図6に示すように、スイッチ押下時間tが長押し時の押下時間t2以上の場合(t≧t2)、開くことができる。
【0025】
また、スイッチ104が2度押しされて(△t≠0)、前記判断(B03)がNOの場合は、制御手段112のロック指令により運転席側ドアロックモータ113〜荷室ドアロックモータ117を駆動して全ドアをロックし(B12)、全ドアがロックされたかを判断する(B13)。
この判断(B13)がNOの場合は、全ドアのロック(B12)に戻る。この判断(B13)がYESの場合は、ロックした全ドアに応じた内容をアンサーバック手段118によりアンサーバックし(B14)、制御をエンドにする(B08)。これにより、全ドアは、図5に示すように、スイッチ104が2度押しされた場合(△t≠0)、開くことができない。このとき、運転席側ドアは、アンロックされた状態であっても、スイッチ104の2度押しにより(△t≠0)、開くことができなくなる。
【0026】
このように、車両用ドアロック制御システム101は、ドアロック指令装置102とドアロック制御装置103とから構成され、ドアロック指令装置102に、車両のドアをアンロックするスイッチ104と、スイッチ104が押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段105と、スイッチ押下検出手段105によりスイッチ104の押下が検出された時に、スイッチ押下時間tを計測するスイッチ押下時間計測手段106と、を備え、ドアロック制御装置103に、スイッチ押下時間計測手段106により計測されたスイッチ押下時間tと予め設定された押下時間t1、t2とを比較判定するスイッチ押下時間判定手段111とを備え、スイッチ押下時間判定手段111により判定された結果に基づいて、運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとのいずれかを実行する制御手段112を備えている。
これにより、車両用ドアロック制御システム101は、スイッチ104を操作することにより運転席側ドアのみをアンロックすることが可能となるので、運転席側ドア以外のドアからの他者の侵入を防止することができる。しかも、この車両用ドアロック制御システム101は、同じスイッチ104で操作を変えれば、全ドアをアンロックすることも可能なので、運転者以外の同乗者がいる場合でも、利便性を損なうことはない。
また、この車両用ドアロック制御システム101は、一つのスイッチ104で運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとが可能なので、簡単な構成で運転席側ドアのみのアンロックを実現することができる。
さらに、この車両用ドアロック制御システム101は、制御手段112によって、アンロックされるドアに応じてアンサーバック手段118によりアンサーバックを変えることで、ドアのアンロック操作をした時に、操作者は、どのドアがアンロックされたかを容易に確認することができる。
【実施例3】
【0027】
図7・図8は、この発明の実施例3を示すものである。図8において、201は車両用ドアロック制御システムである。車両用ドアロック制御システム201は、スマートキーとも呼ばれる携帯用のドアロック指令装置202と、車載用のドアロック制御装置203とから構成される。
前記ドアロック指令装置202は、車両のドアをアンロックするために押下するスイッチ204と、前記スイッチ204が押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段205と、前記ドアロック制御装置203との間で信号を送受信する指令装置側送受信手段206と、指令装置側アンテナ207とを備えている。
前記ドアロック制御装置203は、制御装置側アンテナ208と、ドアロック指令装置202との間で信号を送受信する制御装置側送受信手段209と、前記制御装置側送受信手段209が受信した信号から前記スイッチ押下検出手段205によりスイッチ204の押下が検出された時に、スイッチ204が押下される毎に車両の各ドアを順にアンロックする制御手段210とを備えている。
前記制御手段210には、運転席側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する運転席側ドアロックモータ211と、助手席側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する助手席側ドアロックモータ212と、後席右側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する後席右側ドアロックモータ213と、後席左側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する後席左側ドアロックモータ214と、荷室ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する荷室ドアロックモータ215と、アンロックされる各ドアに応じてアンサーバック(スイッチ204の操作者へ告知)するアンサーバック手段216とを接続している。
【0028】
前記制御手段210は、スイッチ押下検出手段205により検出されたスイッチ204が押下される毎に、運転席側ドア、助手席側ドア、後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアを順にアンロックするように、各ドアロックモータ211〜215の動作を制御する。また、制御手段210は、アンロックされる各ドアに応じてアンサーバックを変えるように、アンサーバック手段216の動作を制御する。
前記アンサーバック手段216のアンサーバックは、ハザードランプあるいはルームランプの点滅、ブザーあるいは音声等で行う。アンサーバックの変更としては、以下のものがある。
(1)ハザードランプによりアンサーバックする場合
ハザードランプの点滅回数の変更あるいは点滅周期の変更
(2)ルームランプによりアンサーバックする場合
ルームランプの点滅回数の変更あるいは点滅周期の変更
(3)ブザーによりアンサーバックする場合
ブザーの鳴動回数の変更あるいは鳴動周期の変更
(4)音声によりアンサーバックする場合
音声内容の変更(例えば、「運転席ドアをアンロックしました。」、「全てのドアをアンロックしました。」等)
【0029】
車両用ドアロック制御システム201は、ドアロック指令装置202に設けたスイッチ204が押されると、ドアロック指令装置202に内蔵されているスイッチ押下検出手段205によりスイッチ204の押下が検出される。ドアロック指令装置202は、スイッチ204の押下が検出されると、記憶している固有のIDを指令装置側送受信手段206により指令装置側アンテナ207を介して送信する。
ドアロック制御装置203は、ドアロック指令装置202が送信するIDの信号を制御装置側アンテナ208を介して制御装置側送受信手段209により受信すると、受信した信号のIDと記憶している登録されたIDとを比較し、両者が一致している場合に、各ドアのアンロック状態を検知して、制御手段210により運転席側ドアのアンロック、助手席側ドアのアンロック、後席右側ドアのアンロック、後席左側ドアのアンロック、荷室ドアのアンロックを順に実行する。
制御手段210は、運転席側ドアをアンロックする場合、運転席側ドアロックモータ211をアンロック側に駆動する。制御手段210は、助手席側ドアをアンロックする場合、助手席側ドアロックモータ212をアンロック側に駆動する。制御手段210は、後席右側ドアをアンロックする場合、後席右側ドアロックモータ213をアンロック側に駆動する。制御手段210は、後席左側ドアをアンロックする場合、後席左側ドアロックモータ214をアンロック側に駆動する。制御手段210は、荷室ドアをアンロックする場合、荷室ドアロックモータ215をアンロック側に駆動する。また、制御手段210は、アンロックとともにアンサーバック手段216によりアンロックされるドアに応じてアンサーバックする。
【0030】
車両用ドアロック制御システム201は、図7に示すように、制御がスタートすると(C01)、ドアロック指令装置202からドアロック制御装置203に入力するIDの信号によって、スイッチ押下検出手段205によりドアロック指令装置202のスイッチ204が押されたかを判断する(C02)。
スイッチ204が押されていず、判断(C02)がNOの場合は、この判断(C02)を繰り返す。スイッチ204が押されて、判断(C02)がYESの場合は、スイッチ204の2度押しでないかを判断する(C03)。スイッチ204が2度押しされていず、判断(C03)がYESの場合は、各ドアのアンロック状態を検知し(C04)、運転席側ドアがロックされているかを判断する(C05)。
運転席側ドアがロックされていて、判断(C05)がYESの場合は、制御手段210のアンロック指令により運転席側ドアロックモータ211を駆動して運転席側ドアをアンロックし、また、アンロックした運転席側ドアに応じた内容をアンサーバック手段216によりアンサーバックする(C06)。これにより、運転席側ドアは、開くことができる。
【0031】
運転席側ドアのアンロックとアンサーバック(C06)の後は、スイッチ押下検出手段205によりドアロック指令装置202のスイッチ204が押されたかを判断する(C07)。また、運転席側ドアがロックされていず、判断(C05)がNOの場合は、スイッチ204が押されたかの判断(C07)に移行する。
スイッチ204が押されていず、判断(C07)がNOの場合は、制御をエンドにする(C15)。スイッチ204が押されて、判断(C07)がYESの場合は、スイッチ204の2度押しでないかを判断する(C08)。スイッチ204が2度押しされていず、判断(C08)がYESの場合は、助手席側ドアがロックされているかを判断する(C09)。
助手席側ドアがロックされていて、判断(C09)がYESの場合は、制御手段210のアンロック指令により助手席側ドアロックモータ212を駆動して助手席側ドアをアンロックし、また、アンロックした助手席側ドアに応じた内容をアンサーバック手段216によりアンサーバックする(C10)。これにより、助手席側ドアは、開くことができる。また、助手席側ドアがロックされていず、判断(C09)がNOの場合は、制御をエンドにする(C15)。
【0032】
助手席側ドアのアンロックとアンサーバック(C10)の後は、スイッチ押下検出手段205によりドアロック指令装置202のスイッチ204が押されたかを判断する(C11)。
スイッチ204が押されていず、判断(C11)がNOの場合は、制御をエンドにする(C15)。スイッチ204が押されて、判断(C11)がYESの場合は、スイッチ204の2度押しでないかを判断する(C12)。スイッチ204が2度押しされていず、判断(C12)がYESの場合は、後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアがロックされているかを判断する(C13)。
後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアがロックされていて、判断(C13)がYESの場合は、制御手段210のアンロック指令により後席右側ドアロックモータ213、後席左側ドアロックモータ214、荷室ドアロックモータ215を駆動して後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアをアンロックし、また、アンロックした後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアに応じた内容をアンサーバック手段216によりアンサーバックし(C14)、制御をエンドにする(C15)。これにより、後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアは、開くことができる。また、後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアがロックされていず、判断(C13)がNOの場合は、制御をエンドにする(C15)。
【0033】
一方、スイッチ204が2度押しされて、前記判断(C03)、前記判断(C08)、前記判断(C12)がNOの場合は、制御手段210のロック指令により運転席側ドアロックモータ211〜荷室ドアロックモータ215を駆動して全ドアをロックし(C16)、全ドアがロックされたかを判断する(C17)。
この判断(C17)がNOの場合は、全ドアのロック(C16)に戻る。この判断(C17)がYESの場合は、ロックした全ドアに応じた内容をアンサーバック手段216によりアンサーバックし(C18)、制御をエンドにする(C15)。これにより、全ドアは、スイッチ204が2度押しされた場合、開くことができない。このとき、運転席側ドア、又は助手席側ドア、あるいは後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアは、アンロックされた状態であっても、スイッチ204の2度押しにより、開くことができなくなる。
【0034】
このように、車両用ドアロック制御システム201は、ドアロック指令装置202とドアロック制御装置203とから構成され、ドアロック指令装置202に、車両のドアをアンロックするスイッチ204と、スイッチ204が押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段205とを備え、ドアロック制御装置203に、ドアロック指令装置202からの応答で、スイッチ押下検出手段205によりスイッチ204の押下が検出された時に、スイッチ204が押下される毎に車両の各ドアを順にアンロックする制御手段210を備えている。
これにより、車両用ドアロック制御システム201は、スイッチ204を操作することにより運転席側ドアのみをアンロックすることが可能となるので、運転席側ドア以外のドアからの他者の侵入を防止することができる。しかも、この車両用ドアロック制御システム201は、運転席側ドア以外のドアをアンロックすることも可能なので、運転者以外の同乗者がいる場合でも、利便性を損なうことはない。
また、この車両用ドアロック制御システム201は、一つのスイッチ204で運転席側ドアのみのアンロックと運転席側ドア以外のドアのアンロックとが可能なので、簡単な構成で運転席側ドアのみのアンロックを実現することができる。
さらに、この車両用ドアロック制御システム201は、制御手段210によって、アンロックされるドアに応じてアンサーバック手段216によりアンサーバックを変えることで、ドアのアンロック操作をした時に、操作者は、どのドアがアンロックされたかを容易に確認することができる。
【実施例4】
【0035】
図9〜図11は、この発明の実施例4を示すものである。図11において、301は車両用ドアロック制御システムである。車両用ドアロック制御システム301は、スマートキーとも呼ばれる携帯用のドアロック指令装置302と、車載用のドアロック制御装置303とから構成される。
前記ドアロック指令装置302は、前記ドアロック制御装置303との間で信号を送受信する指令装置側送受信手段304と、指令装置側アンテナ305とを備えている。
前記ドアロック制御装置303は、車両のドアをアンロックするために押下するスイッチ306と、前記スイッチ306が押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段307と、制御装置側アンテナ308と、ドアロック指令装置302との間で信号を送受信する制御装置側送受信手段309と、前記制御装置側送受信手段309が受信した信号から前記スイッチ306が押下されているスイッチ押下時間tを計測するスイッチ押下時間計測手段310と、前記スイッチ押下時間計測手段310により計測されたスイッチ押下時間tと予め設定された時間t1・t2とを比較して判定するスイッチ押下時間判定手段311と、前記スイッチ押下時間判定手段311により判定された結果に基づいて車両のドアのアンロックを実行する制御手段312とを備えている。
前記制御手段312には、運転席側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する運転席側ドアロックモータ313と、助手席側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する助手席側ドアロックモータ314と、後席右側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する後席右側ドアロックモータ315と、後席左側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する後席左側ドアロックモータ316と、荷室ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する荷室ドアロックモータ317と、アンロックされる各ドアに応じてアンサーバック(スイッチ4の操作者へ告知)するアンサーバック手段318とを接続している。
【0036】
前記制御手段312は、スイッチ押下時間判定手段311により判定されたスイッチ押下時間tと予め設定された時間t1・t2とを比較した判定結果に基づいて、運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとのいずれかを実行するように、各ドアロックモータ313〜317の動作を制御する。また、制御手段312は、アンロックされる各ドアに応じてアンサーバックを変えるように、アンサーバック手段318の動作を制御する。
前記アンサーバック手段318のアンサーバックは、ハザードランプあるいはルームランプの点滅、ブザーあるいは音声等で行う。アンサーバックの変更としては、以下のものがある。
(1)ハザードランプによりアンサーバックする場合
ハザードランプの点滅回数の変更あるいは点滅周期の変更
(2)ルームランプによりアンサーバックする場合
ルームランプの点滅回数の変更あるいは点滅周期の変更
(3)ブザーによりアンサーバックする場合
ブザーの鳴動回数の変更あるいは鳴動周期の変更
(4)音声によりアンサーバックする場合
音声内容の変更(例えば、「運転席ドアをアンロックしました。」、「全てのドアをアンロックしました。」等)
【0037】
車両用ドアロック制御システム301は、車両のドアに設けたスイッチ306が押されると、ドアロック制御装置303に内蔵されているスイッチ押下検出手段307によりスイッチ306の押下が検出される。ドアロック制御装置303は、スイッチ306の押下が検出されると、制御装置側送受信手段309により制御装置側アンテナ308を介してリクエスト信号を送信する。制御装置側送受信手段309は、スイッチ306が押されている間、リクエスト信号を送信し続ける。
ドアロック指令装置302は、指令装置側アンテナ305を介して指令装置側送受信手段304によりリクエスト信号を受信すると、記憶している固有のIDを指令装置側送受信手段304により指令装置側アンテナ305を介して送信する。ドアロック指令装置302は、ドアロック制御装置303からリクエスト信号を受信している間、IDの送信を継続する。
ドアロック制御装置303は、ドアロック指令装置302が送信するIDの信号を制御装置側アンテナ308を介して制御装置側送受信手段309により受信すると、受信した信号のIDと記憶している登録されたIDとを比較し、両者が一致している場合に、スイッチ押下時間計測手段310によりIDの信号を受信している時間を計測する。IDを受信している時間は、スイッチ306が押下されている時間に等しいので、スイッチ押下時間計測手段310によりスイッチ押下時間tが計測されることになる。スイッチ押下時間判定手段311は、スイッチ押下時間計測手段310により計測されたスイッチ押下時間tが予め設定された短押し時の押下時間t1、長押し時の押下時間t2より大きいか否かを判定する(t2>t1)。
制御手段312は、スイッチ押下時間判定手段311の判定結果に基づいて、運転席側ドアのアンロックと全ドアのアンロックとのいずれかを実行する。制御手段312は、運転席側ドアをアンロックする場合、運転席側ドアロックモータ313をアンロック側に駆動する。制御手段312は、全ドアをアンロックする場合、運転席側ドアロックモータ313、助手席側ドアロックモータ314、後席右側ドアロックモータ315、後席左側ドアロックモータ316、荷室ドアロックモータ317の全てをアンロック側に駆動する。また、制御手段312は、アンロックとともにアンサーバック手段318によりアンロックされるドアに応じてアンサーバックする。
【0038】
車両用ドアロック制御システム301は、図9に示すように、制御がスタートすると(D01)、ドアロック制御装置303からのリクエスト信号に対して、ドアロック指令装置302からドアロック制御装置303に入力するIDの信号によって、スイッチ押下時間計測手段310により計測されたスイッチ押下時間tが0でないか(t≠0)により、車両のドアに設けたスイッチ306が押されたかを判断する(D02)。
スイッチ306が押されていず(t=0)、判断(D02)がNOの場合は、この判断(D02)を繰り返す。スイッチ306が押されて(t≠0)、判断(D02)がYESの場合は、スイッチ306の2度押し時の動作間隔△tが0であるか(△t=0)により、スイッチ306が2度押しでないかを判断する(D03)。
スイッチ306が2度押しされていず(△t=0)、判断(D03)がYESの場合は、スイッチ押下時間判定手段311によりスイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1より非常に大きいか(t>>t1)により、スイッチ306が長押しされたかを判断する(D04)。
【0039】
スイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1よりも小さく(t<t1)、スイッチ306が長押しされていず(t<t2)、判断(D04)がNOの場合は、制御手段312のアンロック指令により運転席側ドアロックモータ313を駆動して運転席側ドアをアンロックし(D05)、運転席側ドアがアンロックされたかを判断する(D06)。
この判断(D06)がNOの場合は、運転席側ドアのアンロック(D05)に戻る。この判断(D06)がYESの場合は、アンロックした運転席側ドアに応じた内容をアンサーバック手段318によりアンサーバックし(D07)、制御をエンドにする(D08)。これにより、運転席側ドアは、図10に示すように、スイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1よりも小さい場合(t<t1)、開くことができる。
【0040】
一方、スイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1を超えて非常に大きく(t>>t1)、スイッチ306が長押しされていて(t≧t2)、前記判断(D04)がYESの場合は、制御手段312のアンロック指令により運転席側ドアロックモータ313〜荷室ドアロックモータ317を駆動して全ドアをアンロックし(D09)、全ドアがアンロックされたかを判断する(D10)。
この判断(D10)がNOの場合は、全ドアのアンロック(D09)に戻る。この判断(D10)がYESの場合は、アンロックした全ドアに応じた内容をアンサーバック手段318によりアンサーバックし(D11)、制御をエンドにする(D08)。これにより、全ドアは、図10に示すように、スイッチ押下時間tが長押し時の押下時間t2以上の場合(t≧t2)、開くことができる。
【0041】
また、スイッチ306が2度押しされて(△t≠0)、前記判断(D03)がNOの場合は、制御手段312のロック指令により運転席側ドアロックモータ313〜荷室ドアロックモータ317を駆動して全ドアをロックし(D12)、全ドアがロックされたかを判断する(D13)。
この判断(D13)がNOの場合は、全ドアのロック(D12)に戻る。この判断(D13)がYESの場合は、ロックした全ドアに応じた内容をアンサーバック手段318によりアンサーバックし(D14)、制御をエンドにする(D08)。これにより、全ドアは、図10に示すように、スイッチ306が2度押しされた場合(△t≠0)、開くことができなくなる。このとき、運転席側ドアは、アンロックされた状態であっても、スイッチ306の2度押しにより(△t≠0)、開くことができなくなる。
【0042】
このように、車両用ドアロック制御システム301は、ドアロック指令装置302とドアロック制御装置303とから構成され、ドアロック制御装置303に、車両のドアをアンロックするスイッチ306と、スイッチ306が押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段307と、ドアロック指令装置302からの応答で、スイッチ押下検出手段307によりスイッチ306の押下が検出された時に、スイッチ押下時間tを計測するスイッチ押下時間計測手段310と、スイッチ押下時間計測手段310により計測されたスイッチ押下時間tと予め設定された押下時間t1、t2とを比較判定するスイッチ押下時間判定手段311とを備え、スイッチ押下時間判定手段311により判定された結果に基づいて、運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとのいずれかを実行する制御手段312を備えている。
これにより、車両用ドアロック制御システム301は、スイッチ306を操作することにより運転席側ドアのみをアンロックすることが可能となるので、運転席側ドア以外のドアからの他者の侵入を防止することができる。しかも、この車両用ドアロック制御システム301は、同じスイッチ306で操作を変えれば、全ドアをアンロックすることも可能なので、運転者以外の同乗者がいる場合でも、利便性を損なうことはない。
また、この車両用ドアロック制御システム301は、一つのスイッチ306で運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとが可能なので、簡単な構成で運転席側ドアのみのアンロックを実現することができる。
さらに、この車両用ドアロック制御システム301は、制御手段312によって、アンロックされるドアに応じてアンサーバック手段318によりアンサーバックを変えることで、ドアのアンロック操作をした時に、操作者は、どのドアがアンロックされたかを容易に確認することができる。
【実施例5】
【0043】
図12〜図14は、この発明の実施例5を示すものである。図14において、401は車両用ドアロック制御システムである。車両用ドアロック制御システム401は、スマートキーとも呼ばれる携帯用のドアロック指令装置402と、車載用のドアロック制御装置403とから構成される。
前記ドアロック指令装置402は、後述する車両のドアに設けたスイッチ407が押下されているスイッチ押下時間tを計測するスイッチ押下時間計測手段404と、前記ドアロック制御装置403との間で信号を送受信する指令装置側送受信手段405と、指令装置側アンテナ406とを備えている。
前記ドアロック制御装置403は、車両のドアをアンロックするために押下するスイッチ407と、前記スイッチ407が押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段408と、制御装置側アンテナ409と、ドアロック指令装置402との間で信号を送受信する制御装置側送受信手段410と、前記制御装置側送受信手段409が受信した信号から前記スイッチ押下時間計測手段404により計測されたスイッチ押下時間tと予め設定された時間t1・t2とを比較して判定するスイッチ押下時間判定手段411と、前記スイッチ押下時間判定手段411により判定された結果に基づいて車両のドアのアンロックを実行する制御手段412とを備えている。
前記制御手段412には、運転席側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する運転席側ドアロックモータ413と、助手席側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する助手席側ドアロックモータ414と、後席右側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する後席右側ドアロックモータ415と、後席左側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する後席左側ドアロックモータ416と、荷室ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する荷室ドアロックモータ417と、アンロックされる各ドアに応じてアンサーバック(スイッチ407の操作者へ告知)するアンサーバック手段418とを接続している。
【0044】
前記制御手段412は、スイッチ押下時間判定手段411により判定されたスイッチ押下時間tと予め設定された時間t1・t2とを比較した判定結果に基づいて、運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとのいずれかを実行するように、各ドアロックモータ413〜417の動作を制御する。また、制御手段412は、アンロックされる各ドアに応じてアンサーバックを変えるように、アンサーバック手段418の動作を制御する。
前記アンサーバック手段418のアンサーバックは、ハザードランプあるいはルームランプの点滅、ブザーあるいは音声等で行う。アンサーバックの変更としては、以下のものがある。
(1)ハザードランプによりアンサーバックする場合
ハザードランプの点滅回数の変更あるいは点滅周期の変更
(2)ルームランプによりアンサーバックする場合
ルームランプの点滅回数の変更あるいは点滅周期の変更
(3)ブザーによりアンサーバックする場合
ブザーの鳴動回数の変更あるいは鳴動周期の変更
(4)音声によりアンサーバックする場合
音声内容の変更(例えば、「運転席ドアをアンロックしました。」、「全てのドアをアンロックしました。」等)
【0045】
車両用ドアロック制御システム401は、車両のドアに設けたスイッチ407が押されると、ドアロック制御装置403に内蔵されているスイッチ押下検出手段408によりスイッチ407の押下が検出される。ドアロック制御装置403は、スイッチ407の押下が検出されると、制御装置側送受信手段410により制御装置側アンテナ409を介してリクエスト信号を送信する。制御装置側送受信手段410は、スイッチ407が押されている間、リクエスト信号を送信し続ける。
ドアロック指令装置402は、指令装置側アンテナ406を介して指令装置側送受信手段405によりリクエスト信号を受信すると、ドアロック指令装置402に内蔵されているスイッチ押下時間計測手段404によりスイッチ407が押されている間のスイッチ押下時間tを計測する。リクエスト信号を受信している時間は、スイッチ407が押下されている時間に等しいので、スイッチ押下時間計測手段404によりスイッチ押下時間tが計測されることになる。ドアロック指令装置402は、リクエスト信号が受信されなくなると、記憶している固有のIDとスイッチ押下時間計測手段404により計測したスイッチ押下時間tとを指令装置側送受信手段405により指令装置側アンテナ406を介して送信する。
ドアロック制御装置403は、ドアロック指令装置402が送信するIDとスイッチ押下時間tとの信号を制御装置側アンテナ409を介して制御装置側送受信手段410により受信すると、受信した信号のIDと記憶している登録されたIDとを比較し、両者が一致している場合に、スイッチ押下時間判定手段411によりスイッチ押下時間tが予め設定された短押し時の押下時間t1、長押し時の押下時間t2より大きいか否かを判定する(t2>t1)。
制御手段412は、スイッチ押下時間判定手段411の判定結果に基づいて、運転席側ドアのアンロックと全ドアのアンロックとのいずれかを実行する。制御手段412は、運転席側ドアをアンロックする場合、運転席側ドアロックモータ413をアンロック側に駆動する。制御手段412は、全ドアをアンロックする場合、運転席側ドアロックモータ413、助手席側ドアロックモータ414、後席右側ドアロックモータ415、後席左側ドアロックモータ416、荷室ドアロックモータ417の全てをアンロック側に駆動する。また、制御手段412は、アンロックとともにアンサーバック手段418によりアンロックされるドアに応じてアンサーバックする。
【0046】
車両用ドアロック制御システム401は、図12に示すように、制御がスタートすると(E01)、ドアロック制御装置303からのリクエスト信号に対して、ドアロック指令装置402からドアロック制御装置403に入力するIDとスイッチ押下時間の信号によって、スイッチ押下時間計測手段404により計測されたスイッチ押下時間tが0でないか(t≠0)により、車両のドアに設けたスイッチ407が押されたかを判断する(E02)。
スイッチ407が押されていず(t=0)、判断(E02)がNOの場合は、この判断(E02)を繰り返す。スイッチ407が押されて(t≠0)、判断(E02)がYESの場合は、スイッチ407の2度押し時の動作間隔△tが0であるか(△t=0)により、スイッチ4が2度押しでないかを判断する(E03)。
スイッチ407が2度押しされていず(△t=0)、判断(E03)がYESの場合は、スイッチ押下時間判定手段411によりスイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1より非常に大きいか(t>>t1)により、スイッチ407が長押しされたかを判断する(E04)。
【0047】
スイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1よりも小さく(t<t1)、スイッチ407が長押しされていず(t<t2)、判断(E04)がNOの場合は、制御手段412のアンロック指令により運転席側ドアロックモータ413を駆動して運転席側ドアをアンロックし(E05)、運転席側ドアがアンロックされたかを判断する(E06)。
この判断(E06)がNOの場合は、運転席側ドアのアンロック(E05)に戻る。この判断(E06)がYESの場合は、アンロックした運転席側ドアに応じた内容をアンサーバック手段418によりアンサーバックし(E07)、制御をエンドにする(E08)。これにより、運転席側ドアは、図13に示すように、スイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1よりも小さい場合(t<t1)、開くことができる。
【0048】
一方、スイッチ押下時間tが短押し時の押下時間t1を超えて非常に大きく(t>>t1)、スイッチ407が長押しされていて(t≧t2)、前記判断(E04)がYESの場合は、制御手段412のアンロック指令により運転席側ドアロックモータ413〜荷室ドアロックモータ417を駆動して全ドアをアンロックし(E09)、全ドアがアンロックされたかを判断する(E10)。
この判断(E10)がNOの場合は、全ドアのアンロック(E09)に戻る。この判断(E10)がYESの場合は、アンロックした全ドアに応じた内容をアンサーバック手段418によりアンサーバックし(E11)、制御をエンドにする(E08)。これにより、全ドアは、図13に示すように、スイッチ押下時間tが長押し時の押下時間t2以上の場合(t≧t2)、開くことができる。
【0049】
また、スイッチ407が2度押しされて(△t≠0)、前記判断(E03)がNOの場合は、制御手段412のロック指令により運転席側ドアロックモータ413〜荷室ドアロックモータ417を駆動して全ドアをロックし(E12)、全ドアがロックされたかを判断する(E13)。
この判断(E13)がNOの場合は、全ドアのロック(E12)に戻る。この判断(E13)がYESの場合は、ロックした全ドアに応じた内容をアンサーバック手段418によりアンサーバックし(E14)、制御をエンドにする(E08)。これにより、全ドアは、図13に示すように、スイッチ404が2度押しされた場合(△t≠0)、開くことができない。このとき、運転席側ドアは、アンロックされた状態であっても、スイッチ407の2度押しにより(△t≠0)、開くことができなくなる。
【0050】
このように、車両用ドアロック制御システム401は、ドアロック指令装置402とドアロック制御装置403とから構成され、ドアロック指令装置402に、ドアロック制御装置403からの信号でスイッチ押下検出手段408によりスイッチ407の押下が検出された時に、スイッチ押下時間tを計測するスイッチ押下時間計測手段404を備え、ドアロック制御装置403に、車両のドアをアンロックするスイッチ407と、スイッチ407が押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段408と、ドアロック指令装置402からの応答でスイッチ押下時間計測手段404により計測されたスイッチ押下時間tと予め設定された押下時間t1、t2とを比較判定するスイッチ押下時間判定手段411とを備え、スイッチ押下時間判定手段411により判定された結果に基づいて、運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとのいずれかを実行する制御手段412を備えている。
これにより、車両用ドアロック制御システム401は、スイッチ407を操作することにより運転席側ドアのみをアンロックすることが可能となるので、運転席側ドア以外のドアからの他者の侵入を防止することができる。しかも、この車両用ドアロック制御システム401は、同じスイッチ407で操作を変えれば、全ドアをアンロックすることも可能なので、運転者以外の同乗者がいる場合でも、利便性を損なうことはない。
また、この車両用ドアロック制御システム401は、一つのスイッチ404で運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとが可能なので、簡単な構成で運転席側ドアのみのアンロックを実現することができる。
さらに、この車両用ドアロック制御システム401は、制御手段412によって、アンロックされるドアに応じてアンサーバック手段418によりアンサーバックを変えることで、ドアのアンロック操作をした時に、操作者は、どのドアがアンロックされたかを容易に確認することができる。
【実施例6】
【0051】
図15・図16は、この発明の実施例6を示すものである。図16において、501は車両用ドアロック制御システムである。車両用ドアロック制御システム501は、スマートキーとも呼ばれる携帯用のドアロック指令装置502と、車載用のドアロック制御装置503とから構成される。
前記ドアロック指令装置502は、前記ドアロック制御装置503との間で信号を送受信する指令装置側送受信手段504と、指令装置側アンテナ505とを備えている。
前記ドアロック制御装置503は、車両のドアをアンロックするために押下するスイッチ506と、前記スイッチ506が押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段507と、制御装置側アンテナ508と、ドアロック指令装置502との間で信号を送受信する制御装置側送受信手段509と、前記制御装置側送受信手段509が受信した信号から前記スイッチ押下検出手段507によりスイッチ506の押下が検出された時に、スイッチ506が押下される毎に車両の各ドアを順にアンロックする制御手段510とを備えている。
前記制御手段510には、運転席側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する運転席側ドアロックモータ511と、助手席側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する助手席側ドアロックモータ512と、後席右側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する後席右側ドアロックモータ513と、後席左側ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する後席左側ドアロックモータ514と、荷室ドアのロック・アンロック機構をロック・アンロック動作する荷室ドアロックモータ515と、アンロックされる各ドアに応じてアンサーバック(スイッチ506の操作者へ告知)するアンサーバック手段516とを接続している。
【0052】
前記制御手段510は、スイッチ押下検出手段507により検出されたスイッチ506が押下される毎に、運転席側ドア、助手席側ドア、後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアを順にアンロックするように、各ドアロックモータ511〜515の動作を制御する。また、制御手段510は、アンロックされる各ドアに応じてアンサーバックを変えるように、アンサーバック手段516の動作を制御する。
前記アンサーバック手段516のアンサーバックは、ハザードランプあるいはルームランプの点滅、ブザーあるいは音声等で行う。アンサーバックの変更としては、以下のものがある。
(1)ハザードランプによりアンサーバックする場合
ハザードランプの点滅回数の変更あるいは点滅周期の変更
(2)ルームランプによりアンサーバックする場合
ルームランプの点滅回数の変更あるいは点滅周期の変更
(3)ブザーによりアンサーバックする場合
ブザーの鳴動回数の変更あるいは鳴動周期の変更
(4)音声によりアンサーバックする場合
音声内容の変更(例えば、「運転席ドアをアンロックしました。」、「全てのドアをアンロックしました。」等)
【0053】
車両用ドアロック制御システム501は、車両のドアに設けたスイッチ506が押されると、ドアロック制御装置503に内蔵されているスイッチ押下検出手段507によりスイッチ506の押下が検出される。ドアロック制御装置503は、スイッチ506の押下が検出されると、制御装置側送受信手段509により制御装置側アンテナ508を介してリクエスト信号を送信する。
ドアロック指令装置502は、ドアロック制御装置502が送信するリクエスト信号を指令装置側アンテナ505を介して指令装置側送受信手段504により受信すると、記憶している固有のIDを指令装置側送受信手段504により指令装置側アンテナ505を介して送信する。
ドアロック制御装置503は、ドアロック指令装置502が送信するIDの信号を制御装置側アンテナ508を介して制御装置側送受信手段509により受信すると、受信した信号のIDと記憶している登録されたIDとを比較し、両者が一致している場合に、各ドアのアンロック状態を検知して、制御手段510により運転席側ドアのアンロック、助手席側ドアのアンロック、後席右側ドアのアンロック、後席左側ドアのアンロック、荷室ドアのアンロックを順に実行する。
制御手段510は、運転席側ドアをアンロックする場合、運転席側ドアロックモータ511をアンロック側に駆動する。制御手段510は、助手席側ドアをアンロックする場合、助手席側ドアロックモータ512をアンロック側に駆動する。制御手段510は、後席右側ドアをアンロックする場合、後席右側ドアロックモータ513をアンロック側に駆動する。制御手段510は、後席左側ドアをアンロックする場合、後席左側ドアロックモータ514をアンロック側に駆動する。制御手段510は、荷室ドアをアンロックする場合、荷室ドアロックモータ515をアンロック側に駆動する。また、制御手段510は、アンロックとともにアンサーバック手段516によりアンロックされるドアに応じてアンサーバックする。
【0054】
車両用ドアロック制御システム501は、図15に示すように、制御がスタートすると(F01)、ドアロック制御装置503からのリクエスト信号に対して、ドアロック指令装置502からドアロック制御装置503に入力するIDの信号によって、スイッチ押下検出手段507により車両のドアに設けたスイッチ506が押されたかを判断する(F02)。
スイッチ506が押されていず、判断(F02)がNOの場合は、この判断(F02)を繰り返す。スイッチ506が押されて、判断(F02)がYESの場合は、スイッチ506の2度押しでないかを判断する(F03)。スイッチ507が2度押しされていず、判断(F03)がYESの場合は、各ドアのアンロック状態を検知し(F04)、運転席側ドアがロックされているかを判断する(F05)。
運転席側ドアがロックされていて、判断(F05)がYESの場合は、制御手段510のアンロック指令により運転席側ドアロックモータ511を駆動して運転席側ドアをアンロックし、また、アンロックした運転席側ドアに応じた内容をアンサーバック手段516によりアンサーバックする(F06)。これにより、運転席側ドアは、開くことができる。
【0055】
運転席側ドアのアンロックとアンサーバック(F06)の後は、スイッチ押下検出手段507によりスイッチ506が押されたかを判断する(F07)。また、運転席側ドアがロックされていず、判断(F05)がNOの場合は、スイッチ506が押されたかの判断(F07)に移行する。
スイッチ506が押されていず、判断(F07)がNOの場合は、制御をエンドにする(F15)。スイッチ506が押されて、判断(F07)がYESの場合は、スイッチ506の2度押しでないかを判断する(F08)。スイッチ506が2度押しされていず、判断(F08)がYESの場合は、助手席側ドアがロックされているかを判断する(F09)。
助手席側ドアがロックされていて、判断(F09)がYESの場合は、制御手段510のアンロック指令により助手席側ドアロックモータ512を駆動して助手席側ドアをアンロックし、また、アンロックした助手席側ドアに応じた内容をアンサーバック手段516によりアンサーバックする(F10)。これにより、助手席側ドアは、開くことができる。また、助手席側ドアがロックされていず、判断(F09)がNOの場合は、制御をエンドにする(F15)。
【0056】
助手席側ドアのアンロックとアンサーバック(F10)の後は、スイッチ押下検出手段507によりスイッチ506が押されたかを判断する(F11)。
スイッチ506が押されていず、判断(F11)がNOの場合は、制御をエンドにする(F15)。スイッチ506が押されて、判断(F11)がYESの場合は、スイッチ506の2度押しでないかを判断する(F12)。スイッチ506が2度押しされていず、判断(F12)がYESの場合は、後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアがロックされているかを判断する(F13)。
後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアがロックされていて、判断(F13)がYESの場合は、制御手段510のアンロック指令により後席右側ドアロックモータ513、後席左側ドアロックモータ514、荷室ドアロックモータ515を駆動して後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアをアンロックし、また、アンロックした後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアに応じた内容をアンサーバック手段516によりアンサーバックし(F14)、制御をエンドにする(F15)。これにより、後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアは、開くことができる。また、後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアがロックされていず、判断(F13)がNOの場合は、制御をエンドにする(F15)。
【0057】
一方、スイッチ506が2度押しされて、前記判断(F03)、前記判断(F08)、前記判断(F12)がNOの場合は、制御手段510のロック指令により運転席側ドアロックモータ511〜荷室ドアロックモータ515を駆動して全ドアをロックし(F16)、全ドアがロックされたかを判断する(F17)。
この判断(F17)がNOの場合は、全ドアのロック(F16)に戻る。この判断(F17)がYESの場合は、ロックした全ドアに応じた内容をアンサーバック手段516によりアンサーバックし(F18)、制御をエンドにする(F15)。これにより、全ドアは、スイッチ506が2度押しされた場合、開くことができない。このとき、運転席側ドア、又は助手席側ドア、あるいは後席右側ドア、後席左側ドア、荷室ドアは、アンロックされた状態であっても、スイッチ506の2度押しにより、開くことができなくなる。
【0058】
このように、車両用ドアロック制御システム501は、ドアロック指令装置502とドアロック制御装置503とから構成され、ドアロック指令装置502に、車両のドアをアンロックするスイッチ506と、スイッチ506が押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段507とを備え、ドアロック制御装置503に、ドアロック指令装置502からの応答でスイッチ押下検出手段507によりスイッチ506の押下が検出された時に、スイッチ506が押下される毎に車両の各ドアを順にアンロックする制御手段510を備えている。
これにより、車両用ドアロック制御システム501は、スイッチ506を操作することにより運転席側ドアのみをアンロックすることが可能となるので、運転席側ドア以外のドアからの他者の侵入を防止することができる。しかも、この車両用ドアロック制御システム501は、運転席側ドア以外のドアをアンロックすることも可能なので、運転者以外の同乗者がいる場合でも、利便性を損なうことはない。
また、この車両用ドアロック制御システム501は、一つのスイッチ506で運転席側ドアのみのアンロックと運転席側ドア以外のドアのアンロックとが可能なので、簡単な構成で運転席側ドアのみのアンロックを実現することができる。
さらに、この車両用ドアロック制御システム501は、制御手段510によって、アンロックされるドアに応じてアンサーバック手段516によりアンサーバックを変えることで、ドアのアンロック操作をした時に、操作者は、どのドアがアンロックされたかを容易に確認することができる。
なお、この車両用ドアロック制御システムは、上述実施例1〜3においては、ドアをアンロックするスイッチを操作者が携帯するアンロック指令装置側(スマートキー側)に設けたが、上述実施例4〜6に示すように、ドアをアンロックするスイッチを車両のドア側に設けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明は、1つのスイッチで車両の運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとを行うことができ、ドアの枚数にかかわらず各種の車両に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 車両用ドアロック制御システム
2 ドアロック指令装置
3 ドアロック制御装置
4 スイッチ
5 スイッチ押下検出手段
6 指令装置側送受信手段
7 指令装置側アンテナ
8 制御装置側アンテナ
9 制御装置側送受信手段
10 スイッチ押下時間計測手段
11 スイッチ押下時間判定手段
12 制御手段
13 運転席側ドアロックモータ
14 助手席側ドアロックモータ
15 後席右側ドアロックモータ
16 後席左側ドアロックモータ
17 荷室ドアロックモータ
18 アンサーバック手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアをアンロックするスイッチと、
前記スイッチが押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段と、
前記スイッチ押下検出手段によりスイッチの押下が検出された時に、スイッチ押下時間を計測するスイッチ押下時間計測手段と、
前記スイッチ押下時間計測検出手段により計測されたスイッチ押下時間と予め設定された時間とを比較判定するスイッチ押下時間判定手段とを備え、
前記スイッチ押下時間判定手段により判定された結果に基づいて、運転席側ドアのみのアンロックと全ドアのアンロックとのいずれかを実行する制御手段を備えたことを特徴とする車両用ドアロック制御システム。
【請求項2】
ドアをアンロックするスイッチと、
前記スイッチが押下されたことを検出するスイッチ押下検出手段とを備え、
前記スイッチ押下検出手段によりスイッチの押下が検出された時に、スイッチが押下される毎に車両の各ドアを順にアンロックする制御手段を備えたことを特徴とする車両用ドアロック制御システム。
【請求項3】
前記制御手段は、アンロックされるドアに応じて、アンサーバックを変えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用ドアロック制御システム。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−256546(P2011−256546A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129789(P2010−129789)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】