車両用バッテリパック
【課題】バッテリパックを前席の乗員の足下まで伸ばした場合であっても配管を通す空間を確保する、または、車両の最低地上高を変更することなくバッテリパックの積載高を増やすことができる車両用バッテリパックを提供する。
【解決手段】複数のバッテリモジュール11とバッテリパック1全体の制御に用いられる電気要素部品12とを前席の乗員の足下まで延設された電池トレイ13及び電池カバー14から構成される容器内に収納してなる車両用バッテリパックにおいて、電気要素部品12が、バッテリモジュール11の車両前方側に配置されると共に上下方向の高さがバッテリモジュール11に比較して低く設計されるように構成した。
【解決手段】複数のバッテリモジュール11とバッテリパック1全体の制御に用いられる電気要素部品12とを前席の乗員の足下まで延設された電池トレイ13及び電池カバー14から構成される容器内に収納してなる車両用バッテリパックにおいて、電気要素部品12が、バッテリモジュール11の車両前方側に配置されると共に上下方向の高さがバッテリモジュール11に比較して低く設計されるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
電動機を動力源として用いる電気自動車や、電動機と他の駆動源とを組み合わせて用いるハイブリッド車などの電動車両においては、当該車両に、電動機へ電力を供給するための車両用バッテリが搭載される。
【0003】
特に、電気自動車においては、走行距離を確保するためにできるだけ多くのバッテリを搭載することが重要な課題となっている。
例えば、下記特許文献1には、前席の乗員の足下までバッテリパックを延設した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3819605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された発明においては、バッテリパックを前席の乗員の足下まで延ばしているとともに、容器内にバッテリモジュール、コントロールユニット及びパワードライブユニットを詰め込んだ状態となっていることから、必要に応じて配管を通す空間を確保することが困難となるおそれがあった。また、走行距離を伸ばすためにバッテリパックの積載高を増やした場合、車両の床下と地面との最低地上高を確保するためにフロアパネルを上方へ移動させる必要が生じ、車室内の空間が狭くなってしまう、又は車室内の空間を維持するためには車両の屋根を高く設定せざるを得なくなるというおそれがあった。
【0006】
このようなことから本発明は、バッテリパックを前席の乗員の足下まで伸ばした場合であっても配管を通す空間を確保する、または、車両の最低地上高を変更することなくバッテリパックの積載高を増やすことができる車両用バッテリパックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための第1の発明に係る車両用バッテリパックは、複数のバッテリと、前記バッテリの制御に用いられる電気要素部品と、少なくとも前記電気要素部品を収納する容器とを有する車両用バッテリパックにおいて、前記電気要素部品は、前記バッテリの車両前方側かつ前席の乗員の足下に対応する位置に配置され、前記容器の上面は、前記電気要素部品に対応する部分が、前記バッテリの上面に比較して低くなるように形成されることを特徴とする。
【0008】
上記の課題を解決する第2の発明に係る車両用バッテリパックは、第1の発明に係る車両用バッテリパックにおいて、前記バッテリが前記前席の座席下に配置され、前記車両用バッテリパックの上部に設けられるフロアパネルは、前記車両用バッテリパックの形状に沿って、前記前席の乗員の足下に対応する位置が、前記前席の座席下に対応する位置に比較して低くなっていることを特徴とする。
【0009】
上記の課題を解決する第3の発明に係る車両用バッテリパックは、第1または第2の発明に係る車両用バッテリパックにおいて、前記電気要素部品は、その高さが前記バッテリの高さの3/4以下となるように設計されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上述した第1の発明に係る車両用バッテリパックによれば、複数のバッテリと、バッテリの制御に用いられる電気要素部品と、少なくとも電気要素部品を収納する容器とを有する車両用バッテリパックにおいて、電気要素部品は、バッテリの車両前方側かつ前席の乗員の足下に対応する位置に配置され、容器の上面は、電気要素部品に対応する部分が、バッテリの上面に比較して低くなるように形成されるので、電気要素部品の上方に空隙が形成されることとなり、この空隙を、車両前部に搭載されるラジエータ等の装置につなぐ配管を通すために用いる、又は、前席の乗員の足下の空間として利用する等が可能となり、車両の利便性を向上させることができる。
【0011】
また、第2の発明に係る車両用バッテリパックによれば、第1の発明に係る車両用バッテリパックにおいて、バッテリが前席の座席下に配置され、車両用バッテリパックの上部に設けられるフロアパネルは、車両用バッテリパックの形状に沿って、前席の乗員の足下に対応する位置が、前席の座席下に対応する位置に比較して低くなっているので、車両の地上高を維持しつつ前席の乗員の足下の空間を確保することができるとともに、前席のシート下部の空間にはバッテリを十分に積載することができる。
【0012】
また、第3の発明に係る車両用バッテリパックによれば、第1または第2の発明に係る車両用バッテリパックにおいて、電気要素部品は、その高さがバッテリの高さの3/4以下となるように設計されているので、配管を通すための空間、又は前席の乗員の足下の空間を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1に係る車両用バッテリパックを示す斜視図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る車両用バッテリパックの車両への搭載例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る車両用バッテリパックの実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
図1乃至図3を用いて本発明の一実施例に係る車両用バッテリパックについて説明する。
本実施例に係る車両用バッテリパックは、例えば、電気自動車に搭載され、電気自動車の走行用モータに電力を供給するものであって、図3に示し後述するように車両フロアの下方に固定されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、本実施例に係る車両用バッテリパック1は、複数(本実施例では6×2列=12個)のバッテリモジュール11と、電気要素部品12とを備えている。これらバッテリモジュール11及び電気要素部品12は電池トレイ13上に配置され、電池カバー14によって覆われている。すなわち、バッテリモジュール11と電気要素部品12とは電池トレイ13と電池カバー14とから構成される容器内に収納された状態となっている。なお、ここでのバッテリモジュール11とは、本発明で言うバッテリの一例である。
【0017】
バッテリモジュール11は、バッテリパック1の外部に設けられた電動機に対して電力を供給するものであり、例えば電池トレイ13上に所定の間隔で配置されている。
電気要素部品12は、PN線15,16の接続部、コンタクタ、プリチャージレジスタ、電流センサ、漏電センサ等であり、本実施例においてはバッテリモジュール11の車両前方側に配置されている。
【0018】
なお、PN線15,16はバッテリパック1の高電圧入出力電線であり、図示しないモータコントロールユニットや、DC−DCコンバータ、充電器、急速充電口などの高電圧系要素部品に接続される。
【0019】
また、本実施例においては、バッテリパック1内に冷却風を供給する冷却ダクト(図示せず)が車両前後方向に沿って設けられているものとし、電池カバー14には、図1に示すように冷却ダクトに対応する位置に車両前後方向にわたって上方に突出した凸部14aが形成されている。
【0020】
ここで、本実施例に係る車両用バッテリパックにおいては、図3に示すようにバッテリパック1を前席の乗員18の足下まで延設している。また、前述したように、電気要素部品12を配置する領域(以下、電気要素部品エリアという)AEをバッテリモジュール11を配置する領域(以下、バッテリエリアABという)の車両前方側としている。すなわち、バッテリモジュール11を前席の座席19から後席の座席20にわたる範囲に対応する位置であるバッテリエリアABに集中して配置し、このバッテリエリアABの車両前方側であって前席の乗員18の足下に対応する位置に電気要素部品エリアAEを配置している。
【0021】
さらに、電気要素部品12は、その上端の位置が、バッテリモジュール11の上端の位置に対して低くなるように、より詳しくは、電気要素部品12の上端の高さがバッテリモジュール11の上端の高さに比較して3/4以下となるように電気要素部品エリアAEに配置されている。
【0022】
また、本実施例に係る車両用バッテリパック1においては、電池カバー14が、バッテリモジュール11の上端の高さと電気要素部品12の上端の高さとに沿うように、すなわち、電池カバー14の電気要素部品12に対向する部分(以下、電気要素部品収納部という)14cの高さが、バッテリモジュール11に対向する部分(以下、バッテリ収納部という)14bの高さに比較して低くなるように、その形状を設定されている。
【0023】
以下、本実施例に係る車両用バッテリパックによる作用効果について説明する。
本実施例に係る車両用バッテリパックによれば、バッテリモジュール11の高さに対して電気要素部品12の高さが低くなるように構成したため、バッテリモジュール11と電気要素部品12との高低差により、電気要素部品12の上部に所定の空隙を形成することができる。
【0024】
そして、上述したように、電池カバー14にバッテリ収納部14bに比較して低く形成された電気要素部品収納部14cを設け、バッテリ収納部14bを前席の座席下から後席の座席下にわたる範囲に対応する位置に配置する一方、電気要素部品収納部14cを前席の乗員18の足下に対応する位置に配置するようにすれば、図3に示したように前席の乗員18の足下においてフロアパネル17の前席の乗員18の足下に対応する位置17aを下げることができ、前席の乗員18の足下の空間を確保することができる。
【0025】
これにより、車両の地上高が高くなることを抑制しつつ前席の乗員18の足下にゆとりを持たせることができ、且つ、積載するバッテリの容量を確保することも可能となる。
【0026】
このように、本実施例に係る車両用バッテリパックにおいては、電気要素部品エリアAEはその高さをバッテリモジュールエリアABに比較して低く設計することができるので、前席の乗員18が足を引いた時の床面の下に配置した場合であっても、バッテリパック1及び該バッテリパック1の下部を覆うアンダーカバー(図示せず)による最低地上高を確保することができる。
【0027】
また、前輪駆動のエンジン車をベースとした電動車両(FFや4WD)の場合、前方の旧エンジンルームにモータコントロールユニットが配置される場合が多いが、本実施例に係る車両用バッテリパックを前述の電動車両に適用した場合、バッテリパック1に接続されるPN線15,16の接続部がバッテリパック1の前部に配置されることとなるため、PN線15,16を短くすることができ、配線上の利便性が向上するという効果も得られる。
【0028】
なお、本実施例においては電気要素部品12の上部に形成された空隙を前席の乗員18の足下の空間を確保するために用いる例を示したが、該空隙は上述した例に限定されるものではなく、例えば、電気要素部品収納部14cの高さと、バッテリ収納部14bの高さとを同一とし、電気要素部品12の上部に形成された空隙を、車両前部に搭載されるラジエータ等の装置につなぐ配管を通すために用いることも可能である。
【0029】
また、本実施例においては電池トレイ13と電池カバー14とから構成された容器内にバッテリモジュール11と電気要素部品12とが収納された例を示したが、該容器は上述した例に限定されるものではなく、少なくとも電気要素部品12を収納する容器であれば良い。例えば、電気要素部品12のみを収納する容器であっても良い。
【0030】
また、本実施例においてはバッテリモジュール11が配置されるバッテリエリアABとして、前席の座席19から後席の座席20にわたる範囲を一例として示したが、バッテリモジュール11を配置する範囲は上述した範囲に限定されるものではなく、例えば前席の座席下のみに配置するなど、必要に応じ、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、車両用バッテリパックに適用して好適なものである。
【符号の説明】
【0032】
1 車両用バッテリパック
11 バッテリモジュール
12 電気要素部品
13 電池トレイ
14 電池カバー
14a 凸部
14b バッテリ収納部
14c 電気要素部品収納部
15 P線
16 N線
17 フロアパネル
18 前席の乗員
19 前席の座席
20 後席の座席
AB バッテリエリア
AE 電気要素部品エリア
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
電動機を動力源として用いる電気自動車や、電動機と他の駆動源とを組み合わせて用いるハイブリッド車などの電動車両においては、当該車両に、電動機へ電力を供給するための車両用バッテリが搭載される。
【0003】
特に、電気自動車においては、走行距離を確保するためにできるだけ多くのバッテリを搭載することが重要な課題となっている。
例えば、下記特許文献1には、前席の乗員の足下までバッテリパックを延設した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3819605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された発明においては、バッテリパックを前席の乗員の足下まで延ばしているとともに、容器内にバッテリモジュール、コントロールユニット及びパワードライブユニットを詰め込んだ状態となっていることから、必要に応じて配管を通す空間を確保することが困難となるおそれがあった。また、走行距離を伸ばすためにバッテリパックの積載高を増やした場合、車両の床下と地面との最低地上高を確保するためにフロアパネルを上方へ移動させる必要が生じ、車室内の空間が狭くなってしまう、又は車室内の空間を維持するためには車両の屋根を高く設定せざるを得なくなるというおそれがあった。
【0006】
このようなことから本発明は、バッテリパックを前席の乗員の足下まで伸ばした場合であっても配管を通す空間を確保する、または、車両の最低地上高を変更することなくバッテリパックの積載高を増やすことができる車両用バッテリパックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための第1の発明に係る車両用バッテリパックは、複数のバッテリと、前記バッテリの制御に用いられる電気要素部品と、少なくとも前記電気要素部品を収納する容器とを有する車両用バッテリパックにおいて、前記電気要素部品は、前記バッテリの車両前方側かつ前席の乗員の足下に対応する位置に配置され、前記容器の上面は、前記電気要素部品に対応する部分が、前記バッテリの上面に比較して低くなるように形成されることを特徴とする。
【0008】
上記の課題を解決する第2の発明に係る車両用バッテリパックは、第1の発明に係る車両用バッテリパックにおいて、前記バッテリが前記前席の座席下に配置され、前記車両用バッテリパックの上部に設けられるフロアパネルは、前記車両用バッテリパックの形状に沿って、前記前席の乗員の足下に対応する位置が、前記前席の座席下に対応する位置に比較して低くなっていることを特徴とする。
【0009】
上記の課題を解決する第3の発明に係る車両用バッテリパックは、第1または第2の発明に係る車両用バッテリパックにおいて、前記電気要素部品は、その高さが前記バッテリの高さの3/4以下となるように設計されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上述した第1の発明に係る車両用バッテリパックによれば、複数のバッテリと、バッテリの制御に用いられる電気要素部品と、少なくとも電気要素部品を収納する容器とを有する車両用バッテリパックにおいて、電気要素部品は、バッテリの車両前方側かつ前席の乗員の足下に対応する位置に配置され、容器の上面は、電気要素部品に対応する部分が、バッテリの上面に比較して低くなるように形成されるので、電気要素部品の上方に空隙が形成されることとなり、この空隙を、車両前部に搭載されるラジエータ等の装置につなぐ配管を通すために用いる、又は、前席の乗員の足下の空間として利用する等が可能となり、車両の利便性を向上させることができる。
【0011】
また、第2の発明に係る車両用バッテリパックによれば、第1の発明に係る車両用バッテリパックにおいて、バッテリが前席の座席下に配置され、車両用バッテリパックの上部に設けられるフロアパネルは、車両用バッテリパックの形状に沿って、前席の乗員の足下に対応する位置が、前席の座席下に対応する位置に比較して低くなっているので、車両の地上高を維持しつつ前席の乗員の足下の空間を確保することができるとともに、前席のシート下部の空間にはバッテリを十分に積載することができる。
【0012】
また、第3の発明に係る車両用バッテリパックによれば、第1または第2の発明に係る車両用バッテリパックにおいて、電気要素部品は、その高さがバッテリの高さの3/4以下となるように設計されているので、配管を通すための空間、又は前席の乗員の足下の空間を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1に係る車両用バッテリパックを示す斜視図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る車両用バッテリパックの車両への搭載例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る車両用バッテリパックの実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
図1乃至図3を用いて本発明の一実施例に係る車両用バッテリパックについて説明する。
本実施例に係る車両用バッテリパックは、例えば、電気自動車に搭載され、電気自動車の走行用モータに電力を供給するものであって、図3に示し後述するように車両フロアの下方に固定されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、本実施例に係る車両用バッテリパック1は、複数(本実施例では6×2列=12個)のバッテリモジュール11と、電気要素部品12とを備えている。これらバッテリモジュール11及び電気要素部品12は電池トレイ13上に配置され、電池カバー14によって覆われている。すなわち、バッテリモジュール11と電気要素部品12とは電池トレイ13と電池カバー14とから構成される容器内に収納された状態となっている。なお、ここでのバッテリモジュール11とは、本発明で言うバッテリの一例である。
【0017】
バッテリモジュール11は、バッテリパック1の外部に設けられた電動機に対して電力を供給するものであり、例えば電池トレイ13上に所定の間隔で配置されている。
電気要素部品12は、PN線15,16の接続部、コンタクタ、プリチャージレジスタ、電流センサ、漏電センサ等であり、本実施例においてはバッテリモジュール11の車両前方側に配置されている。
【0018】
なお、PN線15,16はバッテリパック1の高電圧入出力電線であり、図示しないモータコントロールユニットや、DC−DCコンバータ、充電器、急速充電口などの高電圧系要素部品に接続される。
【0019】
また、本実施例においては、バッテリパック1内に冷却風を供給する冷却ダクト(図示せず)が車両前後方向に沿って設けられているものとし、電池カバー14には、図1に示すように冷却ダクトに対応する位置に車両前後方向にわたって上方に突出した凸部14aが形成されている。
【0020】
ここで、本実施例に係る車両用バッテリパックにおいては、図3に示すようにバッテリパック1を前席の乗員18の足下まで延設している。また、前述したように、電気要素部品12を配置する領域(以下、電気要素部品エリアという)AEをバッテリモジュール11を配置する領域(以下、バッテリエリアABという)の車両前方側としている。すなわち、バッテリモジュール11を前席の座席19から後席の座席20にわたる範囲に対応する位置であるバッテリエリアABに集中して配置し、このバッテリエリアABの車両前方側であって前席の乗員18の足下に対応する位置に電気要素部品エリアAEを配置している。
【0021】
さらに、電気要素部品12は、その上端の位置が、バッテリモジュール11の上端の位置に対して低くなるように、より詳しくは、電気要素部品12の上端の高さがバッテリモジュール11の上端の高さに比較して3/4以下となるように電気要素部品エリアAEに配置されている。
【0022】
また、本実施例に係る車両用バッテリパック1においては、電池カバー14が、バッテリモジュール11の上端の高さと電気要素部品12の上端の高さとに沿うように、すなわち、電池カバー14の電気要素部品12に対向する部分(以下、電気要素部品収納部という)14cの高さが、バッテリモジュール11に対向する部分(以下、バッテリ収納部という)14bの高さに比較して低くなるように、その形状を設定されている。
【0023】
以下、本実施例に係る車両用バッテリパックによる作用効果について説明する。
本実施例に係る車両用バッテリパックによれば、バッテリモジュール11の高さに対して電気要素部品12の高さが低くなるように構成したため、バッテリモジュール11と電気要素部品12との高低差により、電気要素部品12の上部に所定の空隙を形成することができる。
【0024】
そして、上述したように、電池カバー14にバッテリ収納部14bに比較して低く形成された電気要素部品収納部14cを設け、バッテリ収納部14bを前席の座席下から後席の座席下にわたる範囲に対応する位置に配置する一方、電気要素部品収納部14cを前席の乗員18の足下に対応する位置に配置するようにすれば、図3に示したように前席の乗員18の足下においてフロアパネル17の前席の乗員18の足下に対応する位置17aを下げることができ、前席の乗員18の足下の空間を確保することができる。
【0025】
これにより、車両の地上高が高くなることを抑制しつつ前席の乗員18の足下にゆとりを持たせることができ、且つ、積載するバッテリの容量を確保することも可能となる。
【0026】
このように、本実施例に係る車両用バッテリパックにおいては、電気要素部品エリアAEはその高さをバッテリモジュールエリアABに比較して低く設計することができるので、前席の乗員18が足を引いた時の床面の下に配置した場合であっても、バッテリパック1及び該バッテリパック1の下部を覆うアンダーカバー(図示せず)による最低地上高を確保することができる。
【0027】
また、前輪駆動のエンジン車をベースとした電動車両(FFや4WD)の場合、前方の旧エンジンルームにモータコントロールユニットが配置される場合が多いが、本実施例に係る車両用バッテリパックを前述の電動車両に適用した場合、バッテリパック1に接続されるPN線15,16の接続部がバッテリパック1の前部に配置されることとなるため、PN線15,16を短くすることができ、配線上の利便性が向上するという効果も得られる。
【0028】
なお、本実施例においては電気要素部品12の上部に形成された空隙を前席の乗員18の足下の空間を確保するために用いる例を示したが、該空隙は上述した例に限定されるものではなく、例えば、電気要素部品収納部14cの高さと、バッテリ収納部14bの高さとを同一とし、電気要素部品12の上部に形成された空隙を、車両前部に搭載されるラジエータ等の装置につなぐ配管を通すために用いることも可能である。
【0029】
また、本実施例においては電池トレイ13と電池カバー14とから構成された容器内にバッテリモジュール11と電気要素部品12とが収納された例を示したが、該容器は上述した例に限定されるものではなく、少なくとも電気要素部品12を収納する容器であれば良い。例えば、電気要素部品12のみを収納する容器であっても良い。
【0030】
また、本実施例においてはバッテリモジュール11が配置されるバッテリエリアABとして、前席の座席19から後席の座席20にわたる範囲を一例として示したが、バッテリモジュール11を配置する範囲は上述した範囲に限定されるものではなく、例えば前席の座席下のみに配置するなど、必要に応じ、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、車両用バッテリパックに適用して好適なものである。
【符号の説明】
【0032】
1 車両用バッテリパック
11 バッテリモジュール
12 電気要素部品
13 電池トレイ
14 電池カバー
14a 凸部
14b バッテリ収納部
14c 電気要素部品収納部
15 P線
16 N線
17 フロアパネル
18 前席の乗員
19 前席の座席
20 後席の座席
AB バッテリエリア
AE 電気要素部品エリア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリと、前記バッテリの制御に用いられる電気要素部品と、少なくとも前記電気要素部品を収納する容器とを有する車両用バッテリパックにおいて、
前記電気要素部品は、前記バッテリの車両前方側かつ前席の乗員の足下に対応する位置に配置され、前記容器の上面は、前記電気要素部品に対応する部分が、前記バッテリの上面に比較して低くなるように形成される
ことを特徴とする車両用バッテリパック。
【請求項2】
前記バッテリが前記前席の座席下に配置され、
前記車両用バッテリパックの上部に設けられるフロアパネルは、前記車両用バッテリパックの形状に沿って、前記前席の乗員の足下に対応する位置が、前記前席の座席下に対応する位置に比較して低くなっている
ことを特徴とする請求項1記載の車両用バッテリパック。
【請求項3】
前記電気要素部品は、その高さが前記バッテリの高さの3/4以下となるように設計されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用バッテリパック。
【請求項1】
複数のバッテリと、前記バッテリの制御に用いられる電気要素部品と、少なくとも前記電気要素部品を収納する容器とを有する車両用バッテリパックにおいて、
前記電気要素部品は、前記バッテリの車両前方側かつ前席の乗員の足下に対応する位置に配置され、前記容器の上面は、前記電気要素部品に対応する部分が、前記バッテリの上面に比較して低くなるように形成される
ことを特徴とする車両用バッテリパック。
【請求項2】
前記バッテリが前記前席の座席下に配置され、
前記車両用バッテリパックの上部に設けられるフロアパネルは、前記車両用バッテリパックの形状に沿って、前記前席の乗員の足下に対応する位置が、前記前席の座席下に対応する位置に比較して低くなっている
ことを特徴とする請求項1記載の車両用バッテリパック。
【請求項3】
前記電気要素部品は、その高さが前記バッテリの高さの3/4以下となるように設計されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用バッテリパック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2013−86609(P2013−86609A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227635(P2011−227635)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】
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