説明

車両用パネル

【課題】 本発明は上記問題点に鑑みて成されたものであり、遮音性を向上でき、且つ、フィルムを用いた場合であってもコストの増大を抑えた車両用パネルを提供することを目的とする。
【解決手段】
車両1のルーフ開口部4に装着される車両用パネル5であって、パネル20と、パネル20の車両外側及び車両内側の少なくともいずれか一方にパネル20に積層状に配置されて接着されるフィルム10と、を備え、フィルム10は、フィルム周縁部16にウェザストリップ30を取り付けるウェザストリップ取付部17がパネル周縁部21に沿って設けられ、ウェザストリップ取付部17は、フィルム周縁部16を複数回曲げることにより形成される構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の開口に装着される車両用パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用パネルとして種々のものが提案されている。例えば、1枚のガラス製のパネルの周縁にウェザストリップを取り付ける為の枠部材が接着され、枠部材に接着テープを介してウェザストリップが取り付けられるものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−301470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、車両の開口に装着される車両用パネルが1枚のガラス製のパネルで構成される為、複数のパネルを積層状に配置して構成される場合やパネルにフィルムを接着して構成される場合と比較して車両用パネルの遮音性が低下する問題がある。また、遮音性を向上させる為にフィルムを用いる場合、パネル、フィルム及び枠部材が必要となりコストが増大する問題が生じる。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みて成されたものであり、遮音性を向上でき、且つ、フィルムを用いた場合であってもコストの増大を抑えた車両用パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の課題解決手段は、車両の開口に装着される車両用パネルであって、パネルと、前記パネルの車両外側及び車両内側の少なくともいずれか一方に前記パネルに積層状に配置されて接着されるフィルムと、を備え、前記フィルムは、前記フィルムのフィルム周縁部にウェザストリップを取り付ける取付部が前記パネルのパネル周縁部に沿って設けられ、前記取付部は、前記フィルム周縁部を複数回曲げることにより形成される構成である。
【0007】
本発明の第2の課題解決手段は、前記取付部は、前記パネルが前記開口に装着された状態で前記パネルの前記開口と対向する面に沿う方向に延びる第1係止凸部及び第2係止凸部を有する構成である。
【0008】
本発明の第3の課題解決手段は、前記取付部は、前記ウェザストリップを取り付ける少なくとも1つ以上の挿入口が設けられる構成である。
【0009】
本発明の第4の課題解決手段は、前記フィルムは、前記パネルの車両内側に設けられる構成である。
【0010】
本発明の第5の課題解決手段は、前記パネルは、第1パネルと、前記第1パネルの車両内側に前記第1パネルに積層状に配置される第2パネルと、で構成され、前記フィルムは、前記第1パネルと前記第2パネルとの間に挟まれる位置に設けられる構成である。
【0011】
本発明の第6の課題解決手段は、前記フィルムは、前記パネルの車両外側に設けられる構成である。
【0012】
本発明の第7の課題解決手段は、前記取付部は、前記パネルの車両内側に設けられる構成である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両用パネルでは、フィルムをパネルに接着する為、車両用パネルがパネル1枚で構成される場合と比べて、遮音性を向上させることができる。また、フィルム周縁部を複数回曲げて形成される取付部がフィルム周縁部に設けられる為、ウェザストリップを取り付ける為の部品を別途用意することなくウェザストリップを取り付けることができ、フィルムを用いた場合であってもコストの増大を抑えることができる。ここで、「周縁」とは、端部のみを意味するのではなく、フィルムの端部からある程度フィルムの中心側に位置した部位も含むものとする。
【0014】
また、取付部は、前記パネルが前記開口に装着された状態で前記パネルの前記開口と対向する面に沿う方向に延びる第1係止凸部及び第2係止凸部を有する為、前記パネルの前記開口と対向する面に沿う方向に垂直な方向へのウェザストリップの移動は、第1係止凸部及び第2係止凸部により規制されることになる。それゆえ、車両用パネルにウェザストリップを強固に固定することができる。
【0015】
また、取付部にウェザストリップを取り付ける少なくとも一つ以上の挿入口が設けられる為、ウェザストリップを取付部の第1係止凸部と第2係止凸部とで嵌合させて固定する場合と比較してより確実に固定することができる。
【0016】
また、フィルムは、パネルの車両内側に設けられる為、フィルムが車外から車両へ接触する接触物により傷つけられることを防止することができる。
【0017】
また、フィルムが第1パネルと第2パネルとに挟まれている為、車外、車内からの人もしくは物による接触によりフィルムが損傷することを防止することができる。
【0018】
また、フィルムがパネルの車両外側に設けられる為、車内からの人もしくは物による接触によりフィルムが損傷することを防止することができる。
【0019】
また、パネルの車両内側に取付部が設けられる為、パネルと車両の開口とを取付部及びウェザストリップを介して重畳させて開閉させることができる車両用パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】車両のサンルーフを示す斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態を示すA−A断面図。
【図3】本発明の第2の実施形態を示すA−A断面図。
【図4】ウェザストリップ取付部の挿入口を示すB−B断面図。
【図5】本発明の第3の実施形態を示すA−A断面図。
【図6】本発明の第4の実施形態を示すA−A断面図。
【図7】本発明の第5の実施形態を示すA−A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下に本発明の第1の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1は、車両1の車両ルーフ2及び車両ルーフ2に搭載されたサンルーフ装置3を示す斜視図である。同図に示されるように、車両ルーフ2には、車両1の開口として略四角形状のルーフ開口部4(開口)が形成され、サンルーフ装置3は、前後方向に移動させてルーフ開口部4を開閉する車両用パネル5を備えている。中心Oは、車両用パネル5の中心である。
【0023】
図2は、図1のA−A断面図である。車両用パネル5は、積層構造であり、車両外側にガラス製のパネル20、車両内側にフィルム10が設けられる。パネル20は、車両ルーフ2のルーフ開口部4の外形に合わせて矩形板状に形成される。一方、フィルム10は、例えばポリエステルで射出成形され、230MPaの引張強さを有し、厚さHは0.2mmに設定される。また、フィルム10は、パネル20の外形と同形状でパネル20の外形より大きい寸法で形成される。つまり、フィルム10の全周に亘り、中心Oとフィルム10のフィルム周縁部16の構成要素として含まれるフィルム周端部14との距離が中心Oとパネル20のパネル周縁部21の構成要素として含まれるパネル周端部22との距離より大きく設定されている。また、パネル20とフィルム10は、パネル20の下面20Aとフィルム10の上面が、例えばウレタン樹脂製の接着剤により接着される。なお、図2は車両用パネル5の前側部分の断面図であり、車両用パネル5の後側部分の断面図は、図2を線対称としたものと略同一であるため、説明を省略する。
【0024】
フィルム10は、パネル20のパネル周縁部21とルーフ開口部4の間に、パネル周縁部21に沿ってフィルム10の全周に亘りウェザストリップ取付部17(取付部)が形成される。ウェザストリップ取付部17は、フィルム10のフィルム周縁部16を複数回曲げることで形成される。詳説すると、ウェザストリップ取付部17は、第1垂直壁11と、第1横壁104と、第2垂直壁13と、第2横壁105と、第3垂直壁15とを有する。フィルム周縁部16を上方に折り曲げることにより第1垂直壁11が形成される。第1屈曲部100よりフィルム周端部14側のフィルム周縁部16を前方に折り曲げることにより第1横壁104が形成される。第2屈曲部101よりフィルム周端部14側のフィルム周縁部16を下方に折り曲げることによりルーフ開口部4及び第1垂直壁11と対向する第2垂直壁13が形成される。第3屈曲部102よりフィルム周端部14側のフィルム周縁部16を後方に折り曲げることにより第1横壁104と対向する第2横壁105が形成される。第4屈曲部103よりフィルム周端部14側のフィルム周縁部16を上方に折り曲げることにより第2垂直壁13と対向する第3垂直壁15が形成される。そして、パネル20の下面20Aを基準として上方に突出してなる第1係止凸部12aが第1垂直壁11と、第1横壁104と、第2垂直壁13とにより構成され、パネル20の下面20Aを基準として下方に突出してなる第2係止凸部12bが第2垂直壁13と、第2横壁105と、第3垂直壁15とにより構成される。すなわち、ウェザストリップ取付部17は、パネル20の下面20Aを基準としてルーフ開口部4と対向する面に沿う方向である上下方向に突出してなる第1係止凸部12a下方及び第2係止凸部12bを有する。
【0025】
また、車両用パネル5は、フィルム10のウェザストリップ取付部17に取着される略環状のウェザストリップ30を備える。このウェザストリップ30は、ウェザストリップ取付部17の第2垂直壁13を囲繞する帯状の本体部31と、本体部31の上端から下端にかけてルーフ開口部4側に湾曲する断面略円弧状のシール部34とを有する。本体部31は、本体部31からウェザストリップ取付部17の第1係止凸部12aの凸設方向に対応して凹設された第1係止凹部32aと、ウェザストリップ取付部17の第2係止凸部12bの凸設方向に対応して凹設された第2係止凹部32bとを有する。この第1係止凹部32a及び第2係止凹部32bは、本体部31の全周に亘って延在している。また、第1係止凹部32aは、ウェザストリップ取付部17の第1垂直壁11に沿って下向きに突出する第1係止部33aを有し、第2係止凹部32bは、ウェザストリップ取付部17の第3垂直壁15に沿って上向きに突出する第2係止部33bを有する。
【0026】
一方、シール部34は、本体部31の全周に亘って湾曲しており、ルーフ開口部4に弾性的に接触する。また、シール部34は、パネル周縁部21側に延在し、本体部31の上端からパネル周縁部21の上面に沿う被覆部35を有する。なお、本体部31は、例えばウレタン樹脂にて成形されており、シール部34は、例えばゴム材にて成形されている。
【0027】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0028】
ウェザストリップ30は、フィルム10のウェザストリップ取付部17に対して、第1係止凹部32aの第1係止部33aが第1垂直壁11に当接し、第2係止凹部32bの第2係止部33bが第3垂直壁15に当接することにより前後方向への移動が係止される。また、ウェザストリップ30は、ウェザストリップ取付部17の第1係止凸部12aの上面が第1係止凹部32aに当接し、第2係止凸部12bの下面が第2係止凹部32bに当接することにより上下方向への移動が係止される。これによりウェザストリップ30の本体部31が有する第1係止凹部32a及び第2係止凹部32bがウェザストリップ取付部17の第1係止凸部12a及び第2係止凸部12bを挟持し、ウェザストリップ30がフィルム10に固定される。
【0029】
以上詳述したように、第1の実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。(1)本発明の車両用パネル5では、フィルム10をパネル20に接着する為、車両用パネル5が一枚のパネル20で構成される場合と比べて、遮音性を向上させることができる。また、フィルム10のフィルム周縁部16を複数回曲げて形成されるウェザストリップ取付部17がフィルム周縁部16に形成される為、ウェザストリップ30を取り付ける為の部品を別途用意することなくウェザストリップ30を取り付けることができ、フィルム10を用いた場合であってもコストの増大を抑えることができる。
【0030】
(2)本発明の車両用パネル5では、ウェザストリップ取付部17は、上下方向に突出してなる第1係止凸部12aと第2係止凸部12bとを有する為、前後方向へのウェザストリップ30の移動は第1係止凸部12a及び第2係止凸部12bにより規制されることになる。それゆえ、車両用パネル5にウェザストリップ30を強固に固定することができる。
【0031】
(3)本発明の車両用パネル5では、フィルム10は、パネル20の車両内側に設けられる為、フィルム10が車外から車両用パネル5へ接触する接触物により傷つけられることを防止することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態を図面に従って説明する。なお、第2の実施形態は、フィルム10のウェザストリップ取付部17の形状を変更したことが第1の実施形態と異なる点であるため、共通する構成についてはその詳細な説明は省略する。
【0033】
図3は、図2に相当する本実施形態のA−A断面図である。図3に示すように、フィルム10は、パネル20のパネル周縁部21とルーフ開口部4の間に、フィルム10の全周に亘りパネル周縁部21に沿ってウェザストリップ取付部17が形成される。ウェザストリップ取付部17は、フィルム10のフィルム周縁部16を複数回曲げることで形成される。詳説すると、ウェザストリップ取付部17は、第1垂直壁11と、第1横壁104と、第2垂直壁13とを有する。フィルム周縁部16を上方に折り曲げることにより第1垂直壁11が形成される。第1屈曲部100よりフィルム周端部14側のフィルム周縁部16を前方に折り曲げることにより第1横壁104が形成される。第2屈曲部101よりフィルム周端部14側のフィルム周縁部16を下方に折り曲げることによりルーフ開口部4及び第1垂直壁11と対向する第2垂直壁13が形成される。そして、パネル20の下面20Aを基準として上方に突出してなる第1係止凸部12aが第1垂直壁11と、第1横壁104と、第2垂直壁13とにより構成される。すなわち、ウェザストリップ取付部17は、パネル20の下面20Aを基準としてルーフ開口部4と対向する面に沿う方向である上方に突出してなる第1係止凸部12aを有する。また、第2垂直壁13には、図4のB−B断面図で示すように第2垂直壁13の中心に略矩形状に形成された挿入口18が設けられる。
【0034】
また、車両用パネル5は、フィルム10のウェザストリップ取付部17に取着される略環状のウェザストリップ30を備える。このウェザストリップ30は、ウェザストリップ取付部17の第2垂直壁13を囲繞する帯状の本体部31と、本体部31の上端から下端にかけてルーフ開口部4側に湾曲する断面略円弧状のシール部34とを有する。本体部31は、本体部31からパネル20のパネル周縁部21側に突出し、ウェザストリップ取付部17の第2垂直壁13に設けられた挿入口18に嵌合される、突出部36が設けられる。突出部36は、挿入口18の周縁18aを覆う形状である係止部43を有する。
【0035】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0036】
ウェザストリップ30は、フィルム10のウェザストリップ取付部17の挿入口18に対して、ウェザストリップ30に設けられる突出部36が挿入され嵌合し、突出部36が有する係止部43が挿入口18の周縁18aに当接することにより前後方向への移動が係止される。これによりウェザストリップ30が、フィルム10に固定される。
【0037】
以上詳述したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態における(1)、(3)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
【0038】
(1)本発明の車両用パネル5では、ウェザストリップ取付部17に少なくとも一つ以上の挿入口18が設けられる為、ウェザストリップ30の突出部36を挿入口18に嵌合し、ウェザストリップ取付部17に固定することができる。これによりウェザストリップ30をウェザストリップ取付部17の第1係止凸部12aと第2係止凸部12bとで嵌合させて固定する場合と比較してより確実に固定することができる。
【0039】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態を図面に従って説明する。なお、第3の実施形態は、パネル20とフィルム10の積層構造を変更したことが第1の実施形態と異なる点であるため、共通する構成についてはその詳細な説明は省略する。
【0040】
図5は、図2に相当する本実施形態のA−A断面図である。図5に示すように、車両用パネル5は、車両外側にガラス製の第1パネル23、車両内側にガラス製の第2パネル24が積層状に配置され、フィルム10が第1パネル23と第2パネル24に挟まれて接着される。なお、第1係止凸部及び第2係止凸部の基準面は、第2パネル24の下面24Aとなる。
【0041】
以上詳述したように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態における(1)、(2)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
【0042】
(1)本発明の車両用パネル5では、フィルム10は第1パネル23と第2パネル24とに挟まれる位置に設けられる為、一枚のパネル20にフィルム10が接着される場合と比較して、フィルム10をより剥がれ難くすることができる。また、フィルム10が第1パネル23と第2パネル24とに挟まれている為、車外、車内からの人もしくは物による接触によりフィルム10が損傷することを防止することができる。
【0043】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態を図面に従って説明する。なお、第4の実施形態は、フィルム10のウェザストリップ取付部17の位置を変更したことが第1の実施形態と異なる点であるため、共通する構成についてはその詳細な説明は省略する。
【0044】
図6は、図2に相当する本実施形態のA−A断面図である。図6に示すように、フィルム10は、パネル20の車両内側とルーフ開口部4との間に、フィルム10の全周に亘りウェザストリップ取付部17が形成される。ウェザストリップ取付部17は、フィルム10のフィルム周縁部16を複数回曲げることで形成される。詳説すると、ウェザストリップ取付部17は、第1垂直壁115と、第1水平壁51と、第2垂直壁116と、第2水平壁53と、第3垂直壁117と第3水平壁55とを有する。フィルム周縁部16を下方に折り曲げることにより第1垂直壁115が形成される。第1屈曲部110よりフィルム周端部14側のフィルム周縁部16を後方に折り曲げることによりパネル20の下面と対向する第1水平壁51が形成される。第2屈曲部111よりフィルム周端部14側のフィルム周縁部16を下方に折り曲げることにより第2垂直壁116が形成される。第3屈曲部112よりフィルム周端部14側のフィルム周縁部16を前方に折り曲げることによりルーフ開口部4及び第1水平壁51と対向する第2水平壁53が形成される。第3屈曲部113よりフィルム周端部14側のフィルム周縁部16を上方に折り曲げることにより第2垂直壁116と対向する第3垂直壁117が形成される。第4屈曲部114よりフィルム周端部14側のフィルム周縁部16を後方に折り曲げることにより第2水平壁53とパネル20の下面と対向する第3水平壁55が形成される。そして、第1垂直壁115を基準として前方に突出してなる第1係止凸部52aが第2水平壁53と、第3垂直壁117と、第3水平壁55とにより構成され、第1垂直壁115を基準として後方に突出してなる第2係止凸部52bが第1水平壁51と、第2垂直壁116と、第2水平壁53とにより構成される。すなわち、ウェザストリップ取付部17は、第1垂直壁115を基準としてルーフ開口部4と対向する面に沿う方向である前後方向に突出してなる第1係止凸部52a下方及び第2係止凸部52bを有する。
【0045】
また、車両用パネル5は、フィルム10のウェザストリップ取付部17に取着される略環状のウェザストリップ30を備える。このウェザストリップ30は、ウェザストリップ取付部17の第2水平壁53を囲繞する帯状の本体部31と、本体部31の前端から後端にかけてルーフ開口部4側に湾曲する断面略円弧状のシール部34とを有する。本体部31は、本体部31からウェザストリップ取付部17の第1係止凸部52aの凸設方向に対応して凹設された第1係止凹部62aと、ウェザストリップ取付部17の第2係止凸部52bの凸設方向に対応して凹設された第2係止凹部62bとを有する。この第1係止凹部62a及び第2係止凹部62bは、本体部31の全周に亘って延在している。また、第1係止凹部62aは、第3水平壁55に沿って後方に突出する第1係止部63aを有し、第2係止凹部62bは、第1水平壁51に沿って前方に突出する第2係止部63bを有する。
【0046】
一方、シール部34は、本体部31の全周に亘って延在しており、ルーフ開口部4に弾性的に接触する。また、シール部34は、本体部31の前端からパネル20のパネル周端部22に沿って上方に延在する被覆部35を有する。
【0047】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0048】
ウェザストリップ30は、フィルム10のウェザストリップ取付部17に対して、第1係止凹部62aの第1係止部63aが第3水平壁55に当接し、第2係止凹部62bの第2係止部63bが第1水平壁51と当接することにより上下方向への移動が係止される。また、ウェザストリップ30は、ウェザストリップ取付部17の第1係止凸部52aの前面が第1係止凹部62aに当接し、第2係止凸部52bの後面が第2係止凹部62bに当接することにより前後方向への移動が係止される。これによりウェザストリップ30の本体部31が有する第1係止凹部62a及び第2係止凹部62bがウェザストリップ取付部17の第1係止凸部52a及び第2係止凸部52bを挟持し、ウェザストリップ30がフィルム10に固定される。
【0049】
以上詳述したように、第4の実施形態によれば、第1の実施形態における(1)〜(3)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
【0050】
(1)本発明の車両用パネル5では、パネル20の車両内側にウェザストリップ取付部17が設けられる為、パネル20とルーフ開口部4とをウェザストリップ取付部17及びウェザストリップ30を介して重畳させてルーフ開口部4に対して車両用パネル5を開閉させることができる。
【0051】
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態を図面に従って説明する。なお、第5の実施形態は、パネル20とフィルム10の積層構造を変更したことが第1の実施形態と異なる点であるため、共通する構成についてはその詳細な説明は省略する。
【0052】
図7は、図2に相当する本実施形態のA−A断面図である。図7に示すように、車両用パネル5は、積層構造であり、車両外側にフィルム10、車両内側にパネル20が設けられる。フィルム10は、パネル20のパネル周端部22からルーフ開口部4に向けて下方側に曲げて形成される傾斜部19を有し、傾斜部19に繋がって、パネル20のパネル周端部22とルーフ開口部4の間に、フィルム10の全周に亘りウェザストリップ取付部17が形成される。ウェザストリップ取付部17は、フィルム10のフィルム周縁部16を複数回曲げることで形成される。詳説すると、ウェザストリップ取付部17は、第1垂直壁11と、第1横壁104と、第2垂直壁13と、第2横壁105と、第3垂直壁15とを有する。フィルム周縁部16を上方に折り曲げることにより第1垂直壁11が形成される。第1屈曲部100よりフィルム周端部14側のフィルム周縁部16を前方に折り曲げることにより第1横壁104が形成される。第2屈曲部101よりフィルム周端部14側のフィルム周縁部16を下方に折り曲げることによりルーフ開口部4及び第1垂直壁11と対向する第2垂直壁13が形成される。第3屈曲部102よりフィルム周端部14側のフィルム周縁部16を後方に折り曲げることにより第1横壁104と対向する第2横壁105が形成される。第4屈曲部103よりフィルム周端部14側のフィルム周縁部16を上方に折り曲げることにより第2垂直壁13と対向する第3垂直壁15が形成される。そして、パネル20の下面20Aを基準として上方に突出してなる第1係止凸部12aが第1垂直壁11と、第1横壁104と、第2垂直壁13とにより構成され、パネル20の下面20Aを基準として下方に突出してなる第2係止凸部12bが第2垂直壁13と、第2横壁105と、第3垂直壁15とにより構成される。すなわち、ウェザストリップ取付部17は、パネル20の下面20Aを基準としてルーフ開口部4と対向する面に沿う方向である上下方向に突出してなる第1係止凸部12a下方及び第2係止凸部12bを有する。
【0053】
また、車両用パネル5は、フィルム10のウェザストリップ取付部17に取着される略環状のウェザストリップ30を備える。このウェザストリップ30は、ウェザストリップ取付部17の第2垂直壁13を囲繞する帯状の本体部31と、本体部31の上端から下端にかけてルーフ開口部4側に湾曲する断面略円弧状のシール部34とを有する。本体部31は、本体部31からウェザストリップ取付部17の第1係止凸部12aの凸設方向に対応して凹設された第1係止凹部32aと、ウェザストリップ取付部17の第2係止凸部12bの凸設方向に対応して凹設された第2係止凹部32bとを有する。この第1係止凹部32a及び第2係止凹部32bは、本体部31の全周に亘って延在している。また、第1係止凹部32aは、第1垂直壁11と傾斜部19とに挟まれるとともに、下向きに突出する第1係止部33aを有し、第2係止凹部32bは、第3垂直壁15に沿って上向きに突出する第2係止部33bを有する。
【0054】
一方、シール部34は、本体部31の全周に亘って延在しており、ルーフ開口部4に弾性的に接触する。また、シール部34は、パネル周縁部21側に延在し、本体部31の上面からパネル周縁部21の上面及びフィルム10の上面に沿う被覆部35を有する。
【0055】
以上詳述したように、第5の実施形態によれば、第1の実施形態における(1)、(2)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
【0056】
(1)本発明の車両用パネル5では、フィルム10がパネル20の車両外側に位置する為、車内からの人や物の接触によりフィルム10が損傷することを防止することができる。
【0057】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0058】
・ 前記実施形態において、パネル、第1パネル、第2パネルは、合成樹脂(例えばポリカーボネート樹脂など)で成形してもよい。
【0059】
・ 前記実施形態において、シール部には、タッチセンサが埋め込まれていても良い。
【0060】
・ 前記実施形態において、フィルムのウェザストリップ取付部に設けられた挿入口は、1個で構成されるが、1個以上の挿入口で構成されてもよい
【符号の説明】
【0061】
1 車両
4 ルーフ開口部(開口)
5 車両用パネル
10 フィルム
12a、52a 第1係止凸部
12b、52b 第2係止凸部
16 フィルム周縁部
17 ウェザストリップ取付部(取付部)
18 挿入口
20 パネル
23 第1パネル(パネル)
24 第2パネル(パネル)
21 パネル周縁部
30 ウェザストリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の開口に装着される車両用パネルであって、
パネルと、
前記パネルの車両外側及び車両内側の少なくともいずれか一方に前記パネルに積層状に配置されて接着されるフィルムと、
を備え、
前記フィルムは、前記フィルムのフィルム周縁部にウェザストリップを取り付ける取付部が前記パネルのパネル周縁部に沿って設けられ、
前記取付部は、前記フィルム周縁部を複数回曲げることにより形成される車両用パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用パネルにおいて、
前記取付部は、前記パネルが前記開口に装着された状態で前記パネルの前記開口と対向する面に沿う方向に延びる第1係止凸部及び第2係止凸部を有することを特徴とする車両用パネル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用パネルにおいて、
前記取付部は、前記ウェザストリップを取り付ける少なくとも1つ以上の挿入口が設けられることを特徴とする車両用パネル。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用パネルにおいて、
前記フィルムは、前記パネルの車両内側に設けられることを特徴とする車両用パネル。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用パネルにおいて、
前記パネルは、
第1パネルと、
前記第1パネルの車両内側に前記第1パネルに積層状に配置される第2パネルと、
で構成され、
前記フィルムは、前記第1パネルと前記第2パネルとの間に挟まれる位置に設けられることを特徴とする車両用パネル。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用パネルにおいて、
前記フィルムは、前記パネルの車両外側に設けられることを特徴とする車両用パネル。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両用パネルにおいて、
前記取付部は、前記パネルの車両内側に設けられることを特徴とする車両用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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