説明

車両用フロントウインドのヒータ装置

【課題】車両の走行状態に拘らず、効果的、且つ早期にフロントウインドの上辺領域及び側辺領域の曇りを解消可能な車両用フロントウインドのヒータ装置を提供する。
【解決手段】第1ヒータ38はフロントウインド20の上辺領域20a及び側辺領域20bに配設され、第2ヒータ37はフロントウインド20の中央領域20cに配設され、第3ヒータ39は下辺領域20dに配設され、各ヒータ37,38,39はフロントウインド20の全面を占めている。デフロスタによる防曇効果が低い外気温が低く高車速時に、第1ヒータ37を作動させ、フロントウインド20の上辺領域20a及び側辺領域20bの曇りを早期に解消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用フロントウインドに関し、特に、フロントウインドに発生する霜の付着や曇りを通電加熱によって解消するヒータ装置に関するものである。
【0002】
従来、自動車のフロントウインドに用いられる電熱窓ガラスが知られている。
この電熱窓ガラスは、バッテリ等からヒータに通電してフロントウインドを加熱することができるので、フロントウインド表面に氷や霜、或いは雪等が付着した場合でもこれらを溶融除去することができ、また、フロントウインド内面の曇りを防ぐことができる。これにより、フロントウインド表面に付着した氷、霜、雪、或いはフロントウインド内面の曇りに妨げられることなく、視界を確保することができる。
【0003】
このような、電熱窓ガラスとしては、2枚の板ガラス間に透明導電膜と上下又は左右の一対の通電用電極を設け、この通電用電極を経由して透明導電膜にバッテリ等から通電して窓ガラスを発熱させて、融雪、融氷及び防曇を行うものがある。
特許文献1には、以下の提案がなされている。フロントウインドを左右の領域に区分し、夫々の領域にヒータを設けると共に、霜や氷結の除去の際は両ヒータを並列接続して通電加熱し、防曇の際は両ヒータを直列接続して通電加熱するものである。特許文献1によれば、ヒータの消費電力を加熱目的に合わせて変更可能にしたことで、ヒータ使用による電力負荷を少なくしつつ、融雪、融氷及び防曇を効果的に行うことができ、視界確保ができる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−145211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、空調ユニットには、防曇目的のため、フロントウインドの下方から温風を供給するデフロスタが設置されているが、外気温度と車両の走行状態と車室内温度との関係から有効に防曇機能が機能しない場合が存在する。
【0006】
図7に示すように、デフロスタの送風開口はフロントウインドFW内面下方のインストルメントパネルIN上面に設置され、エンジンの冷却水によって加熱された温風は開口を通過した後、フロントウインドFWの内面形状に沿って上方に進行する。この温風の進行に伴って、フロントウインドFWは加熱され、曇りを解消することができる。つまり、デフロスタの送風開口から吹出された温風はフロントウインドFWとの熱交換により、吹出し当初は高温であっても、上方に到達するときにはフロントウインドFWに熱を与えた分だけ温度が低下している。
【0007】
また、図8に示すように、車両の運転開始初期には、空調の吹出し温度を高く設定し、且つ吹出し設定風量が多いことから、フロントウインドFWの上方まで広い範囲に亙って温風による防曇が可能であるが、所定時間経過後、車室内温度が安定し、吹出し温度を低くした場合、或いは風量を減少させた場合、防曇可能領域は次第に縮小することになる。尚、便宜上、図8ではフロントウインドFWの中央領域をエリアA、上辺領域及び側辺領域をエリアB、下辺領域をエリアCとしている。
【0008】
車室の構造上、エリアBは、車室の端部に位置しており中央部分に比べて熱が外気に発散し易く、また、前述のようにデフロスタの送風開口の配置上、温風の効果が最も低い領域である。
更に、車両の走行速度が高い場合、デフロスタの温風の温度は高くなるものの、エリアBの放熱量は他の領域に比べて増加することになる。しかも、温風温度が高い場合、車室内温度が上昇することから、乗員による吹出し温度の低下、または、風量が減少されることが考えられ、エリアBへの積極的加熱は期待できない。
【0009】
特許文献1では、フロントウインドに付着した氷、霜、雪、或いはフロントウインド内面の曇りを、電力負荷を少なくしながら解消することについて提案がなされているが、デフロスタと協働して防曇を行うことについては一切開示及び示唆されていない。確実に、且つ有効な走行視界確保を行うためには、デフロスタと協働した防曇制御が必要であり、特に、走行状態を考慮する必要がある。
【0010】
本発明の目的は、車両の走行状態に拘らず、効果的、且つ早期にフロントウインドの上辺領域及び側辺領域の曇りを解消可能な車両用フロントウインドのヒータ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、車両のフロントウインドを加熱する複数の通電式ヒータを有する車両用フロントウインドのヒータ装置において、フロントウインドの下方から温風を供給するデフロスタと、フロントウインドの上辺領域及び側辺領域に配設された第1ヒータと、外気温度を検出する外気温度検出手段と、車両の走行速度を検出する車速検出手段とを有し、外気温度が所定温度より低い状態で、且つ車両の走行速度が所定速度以上のときに、第1ヒータを通電発熱させる通電制御手段を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項1の発明では、曇りの発生可能性が高くなる状況、所謂外気温度が低い状態で、且つ高速走行のときに、デフロスタによる防曇が困難なフロントウインドの上辺領域及び側辺領域を、通電式ヒータによって通電加熱することができる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、降雪を検出する降雪検出手段を有し、通電制御手段は、降雪検出手段により降雪を検出したとき、所定速度以下で第1ヒータを通電発熱させることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、フロントウインドの上辺領域及び側辺領域に囲まれた中央領域に配設された第2ヒータを有し、通電制御手段は、車速が低車速のときは、第2ヒータを通電発熱させ、低車速を超える中車速のときは、第1ヒータと第2ヒータとを通電発熱させ、中車速を超える高車速のときは、第1ヒータを通電発熱させることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、フロントウインドの下辺領域に配設される第3ヒータを有し、通電制御手段は、降雪検出手段により降雪を検出したとき、第3ヒータを通電発熱させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の車両用フロントウインドのヒータ装置によれば、フロントウインドの下方から温風を供給するデフロスタと、フロントウインドの上辺領域及び側辺領域に配設された第1ヒータと、外気温度を検出する外気温度検出手段と、車両の走行速度を検出する車速検出手段とを有し、外気温度が所定温度より低い状態で、且つ車両の走行速度が所定速度以上のときに、第1ヒータを通電発熱させる通電制御手段を設けたため、車両の走行状態に拘らず、効果的、且つ早期にフロントウインドの上辺領域及び側辺領域の曇りを解消できる。
【0017】
つまり、デフロスタによる防曇効果が低い高車速時に、第1ヒータを作動させ、フロントウインドの上辺領域及び側辺領域の曇りを早期に解消し、確実な視界確保ができる。しかも、デフロスタが防曇を行う領域とヒータが防曇を行う領域とを分けて、デフロスタと協働しているため、ヒータの電力負荷を極小とすることができる。
【0018】
請求項2の車両用フロントウインドのヒータ装置によれば、降雪を検出する降雪検出手段を有し、通電制御手段は、降雪検出手段により降雪を検出したとき、所定速度以下で第1ヒータを通電発熱させるため、運転席側の側辺領域における雪の堆積を防止でき、更に、確実な視界確保ができる。
【0019】
請求項3の車両用フロントウインドのヒータ装置によれば、フロントウインドの上辺領域及び側辺領域に囲まれた中央領域に配設された第2ヒータを有し、通電制御手段は、車速が低車速のときは、第2ヒータを通電発熱させ、低車速を超える中車速のときは、第1ヒータと第2ヒータとを通電発熱させ、中車速を超える高車速のときは、第1ヒータを通電発熱させるため、第1ヒータと第2ヒータとを使い分け、フロントウインド全体の曇りを早期に解消できる。また、消費電力の効率化も可能となる。
【0020】
請求項4の車両用フロントウインドのヒータ装置によれば、フロントウインドの下辺領域に配設される第3ヒータを有し、通電制御手段は、降雪検出手段により降雪を検出したとき、第3ヒータを通電発熱させるため、雪堆積によるワイパーブレードの氷着等を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1に示すように、空調ダクト1の上流端に内気導入口2及び外気導入口3が設けられ、また、途中で暖房用通路4、デフロスタ用通路5及び換気用通路6に分岐し、それら通路の下流端に乗員の足下に向かって開口した暖房用吹出口7、フロントウインド20内側面に開口したデフロスタ用吹出口8、換気口9が形成されている。
【0023】
前記空調ダクト1の上流部から前記通路分岐部に至る間には、前記両導入口2,3の切換えを行う内外気切換ダンパ11、風量を調整するためのブロア12、冷媒蒸発時の気化熱によって空調用空気を冷却するエバポレータ13、エンジン10の冷却水を利用して空調用空気を加熱するヒータ14、このヒータ14を通過した温風量とヒータ14を通過しない風量とを調節するエアミックスダンパ15、及びヒータ14を通過した温風の出口を開閉する補助ダンパ16が順に設けられている。また、デフロスタ用通路5及び換気用通路6の夫々には各通路を通る風量を調節するダンパ17〜19が設けられている。
【0024】
前記内外気切換ダンパ11はアクチュエータ21により駆動され、エアミックスダンパ15及び補助ダンパ16はアクチュエータ22により連動して駆動され、暖房用通路4、デフロスタ用通路5及び換気用通路6の各ダンパ17〜19はアクチュエータ23により連動して駆動される。
【0025】
エンジン10の前方にはエンジン冷却水を走行風によって冷却するラジエータ24と、冷媒蒸気を走行風によって冷却して凝縮するコンデンサ25とが設けられている。冷媒蒸気はエンジン10によってクラッチを介して駆動される圧縮機26によって圧縮されてコンデンサ25へ送られ、このコンデンサ25で凝縮した冷媒が図示しない膨張機構を介して前記エバポレータ13に送られ、このエバポレータ13から冷媒蒸気が圧縮機26に戻される。ラジエータ24の前方には外気温度を検出する外気温センサ27、車室内には、車室内温度を検出する内気温センサ28が設けられている。
【0026】
制御ユニット29には、外気温センサ27の外気温度信号、内気温センサ28の車室内温度信号、図示しないインストルメントパネルに設けられた目標温度設定スイッチ30の目標温度信号、複数の空調モードから特定のモードを選択するモード選択スイッチ31のモード選択信号、イグニッションスイッチ32のオンオフ信号、エアミックスダンパ15の開閉位置を検出するポジションセンサ33の位置信号が入力される。
【0027】
更に、制御ユニット29には、車両の走行速度を検出する車速センサ34の車速信号、降雪を検出する降雪センサ35の降雪検出信号、デフロスタを作動させるデフロスタスイッチ36のオンオフ信号が入力される。また、制御ユニット29内には、後述するフロントウインド20の通電加熱を制御する通電制御部45が設けられ、フロントウインド20のヒータ制御ユニットを兼ねている。
【0028】
本実施例の空調装置は、イグニッションスイッチ32のオン時に、制御ユニット29から目標温度及び選択モードに基づいてブロア12のモータ、アクチュエータ21〜23、圧縮機26のクラッチに外気温度、室内温度等に応じた作動制御信号が送られて自動制御が行われる、所謂オートエアコンを構成している。
【0029】
図1及び図2に示すように、フロントウインド20は、貼り合わされた2枚のガラス板の間に内蔵された3枚の透明導電膜で構成される第1ヒータ37、第2ヒータ38、第3ヒータ39と5個の第1〜第5通電用電極40,41,42,43,44を有している。
【0030】
第1ヒータ38は、略台形状のフロントウインド20の上辺領域20a及び側辺領域20bに配設され、下向きの略コ字状とされている。第2ヒータ37は、第1ヒータ38に囲まれたフロントウインド20の中央領域20cに配設され、略略台形状とされている。第3ヒータ39は、フロントウインド20の下辺領域20dに配設され、各ヒータ37,38,39はフロントウインド20の全面を占めている。尚、ヒータ37,38,39はワイヤヒータ及び面ヒータ等により構成している。
【0031】
第1通電用電極40は、第1ヒータ38の上端辺に略水平で直線状に配置され、第2通電用電極41は、フロントウインド20の上辺領域20aの下端辺中央部分で、且つ第1通電用電極40に平行に配置される。第3通電用電極42は、第2ヒータ37の上端辺に略水平で直線状に配置され、第4通電用電極43は、第2ヒータ37の下端辺に略水平で直線状に配置される。第5通電用電極44は、フロントウインド20の下端辺に沿って配置される。つまり、第1〜第5通電用電極40,41,42,43,44は、各ヒータ37,38,39の水平境界線部分に、上方から下方に向かって順に配置されている。
【0032】
第1通電用電極40、第3通電用電極42、第5通電用電極44は、制御ユニット29内の通電制御部45に設けられる+極端子a,b,cに夫々接続され、第2通電用電極41、第4通電用電極43はアースされている。尚、各+極端子a,b,cには図示しないバッテリが接続されている。
【0033】
第1ヒータ37を作動させる場合、端子aを接続状態とすることで、第1通電用電極40は+電位になる。すると、フロントウインド20の中央部は、第1通電用電極40から第2通電用電極41に直流電流が流れ、フロントウインド20の左右側部は、第1通電用電極40から第4通電用電極43に直流電流が流れる(図1、矢印参照)。この結果、第1ヒータ38の発熱が行われる。
【0034】
第2ヒータ38を作動させる場合、端子bを接続状態とすることで、第3通電用電極42は+電位になり、第3通電用電極42から第4通電用電極43に直流電流が流れ、第2ヒータ38が発熱する。同様に、端子cを接続状態とすることで、第5通電用電極44は+電位になり、第5通電用電極44から第4通電用電極43に直流電流が流れ、第3ヒータ39が発熱する。通電制御部45は端子a,b,cの接続状態を切換えることで、各ヒータ37,38,39の作動を制御している。
【0035】
次に、本実施例に係る、各ヒータの制御について、図3のフローチャートに基づいて説明する。尚、Si(i=1,2…)は各ステップを表す。また、このヒータ制御を実行する為のプログラムは通電制御部45内のROM等に格納されている。
【0036】
図3に示すように、この冷却判定処理は、車両のデフロスタスイッチ36のオンと共に開始され、先ず、外気温センサ27の外気温度信号に基づき外気温が10℃以下か否か判定する(S1)。
【0037】
S1の判定の結果、Yesの場合、0℃を超えるか否かを判定し(S2)、0℃を超える低温のときは、第1及び第2ヒータ37,38を作動させる(S3)。
図4に示すように、第1ヒータ37の基本制御は、外気温度が所定温度よりも低い場合、通電加熱してフロントウインド20の表面温度分布を均一化し、所定温度よりも高い場合、非作動するように構成されている。
【0038】
ヒータ37,38による通電加熱の後、降雪センサ35により降雪か否か判定し(S4)、降雪であれば、第3ヒータ39を作動させ(S5)、降雪でなければ、第3ヒータ39を非作動とする(S7)。尚、降雪センサ35は、直接雪を検知するセンサ、或いはワイパーの作動負荷をパラメータとして降雪を判定するセンサ等何れであっても良い。
デフロスタスイッチ36のオフを判定し(S6)、デフロスタスイッチ36がオフの場合、本制御を終了し、オン状態が継続している場合、リターンする。
【0039】
S2の判定の結果、Noの場合、所謂0℃以下の極低温時、S8に移行し、車両が停止状態か、又は低車速、例えば、時速40km未満か判定する。
S8の判定の結果、時速40km未満の場合、第1ヒータ37を非作動(S9)とし、第2ヒータ38を作動させて(S10)、S4以後の処理を行う。
尚、第1ヒータ37の基本制御は、外気温度が所定温度よりも低い場合、通電加熱としている。本条件の場合、車両が停止状態か、又は低車速、所謂エンジン始動直後の可能性が高いため、第2ヒータ38に電力を集中し、早期に走行可能状態としている。
【0040】
S8の判定の結果、時速40km以上の場合、中車速、例えば、時速80km未満か判定する(S11)。S11の判定の結果、時速80km未満の中車速の場合、第1ヒータ37と第2ヒータ38とを同様に作動させて(S12)、S4以後の処理を行う。
【0041】
S11の判定の結果、時速80km以上の場合、高車速と判定して、第2ヒータ38を非作動(S13)とし、第1ヒータ37を作動させて(S14)、S4以後の処理を行う。
S1の判定の結果、Noの場合、所謂外気温が10℃以上の低温時ではない場合、第1ヒータ37と第2ヒータ38を非作動とし(S15)、S4以後の処理を行う。
【0042】
以上の構成によって、デフロスタによる防曇効果が低い高車速時に、第1ヒータ37を作動させ、フロントウインド20の上辺領域20a及び側辺領域20bの曇りを早期に解消し、確実な視界確保ができる。また、第1ヒータ37と第2ヒータ38とを使い分け、フロントウインド全体の曇りを早期に解消でき、消費電力の効率化を図ることができる。
【0043】
尚、S12において、第1ヒータ37と第2ヒータ38とを同様に作動させているが、図5に示すように、第1ヒータ37と第2ヒータ38とに分配する電力比率を車速に応じて変更することもできる。つまり、時速40kmから80kmの間では、車速が高い程、第1ヒータ37への供給電力が多くなるように設定している。例えば、走行速度が時速60kmでは、均等電力配分となり、時速70kmでは、第1ヒータ37に75%、第2ヒータ38に25%の電力配分が行われる。この構成によれば、フロントウインド20の温度分布のばらつきが一層改善され、防曇効果の向上が図れる。
【実施例2】
【0044】
図6に基づいて、実施例2に係るヒータ制御について説明する。尚、制御系と各機能部の構成については、実施例1と同様である。実施例1との相違点は、実施例1では降雪時の場合、第3ヒータを作動しているのに対し、本実施例2では、第3ヒータに加えて、第1ヒータを作動している点である。
【0045】
図6に示すように、この冷却判定処理は、車両のデフロスタスイッチ36のオンと共に開始され、先ず、外気温センサ27の外気温度信号に基づき外気温が10℃以下か否か判定する(S1)。
【0046】
S1の判定の結果、Yesの場合、0℃を超えるか否かを判定し(S2)、0℃を超える低温のときは、第1及び第2ヒータ37,38を作動させる(S3)。
ヒータ37,38による通電加熱の後、降雪センサ35により降雪か否か判定し(S4)、降雪であれば、第1ヒータ37と第3ヒータ39とを作動させ(S16)、S6に移行する。
【0047】
S4の判定の結果、降雪でなければ、第3ヒータ39を非作動とする(S7)。
次に、デフロスタスイッチ36のオフを判定し(S6)、デフロスタスイッチ36がオフの場合、本制御を終了し、オン状態が継続している場合、リターンする。
【0048】
S2の判定の結果、Noの場合、所謂0℃以下の極低温時、S8に移行し、車両が停止状態か、又は低車速、例えば、時速40km未満か判定する。S8の判定の結果、時速40km未満の場合、第1ヒータ37を非作動(S9)とし、第2ヒータ38を作動させて(S10)、S4以後の処理を行う。
【0049】
S8の判定の結果、時速40km以上の場合、中車速、例えば、時速80km未満か判定する(S11)。S11の判定の結果、時速80km未満の中車速の場合、第1ヒータ37と第2ヒータ38とを作動させて(S12)、S4以後の処理を行う。尚、第1ヒータ37と第2ヒータ38との作動は、図5に示すように、車速が高い程、第1ヒータ37への電力分配率が高くなるように構成している。
【0050】
S11の判定の結果、時速80km以上の場合、高車速と判定して、第2ヒータ38を非作動(S13)とし、第1ヒータ37を作動させて(S14)、S4以後の処理を行う。
S1の判定の結果、Noの場合、所謂外気温が10℃以上の低温時ではない場合、第1ヒータ37と第2ヒータ38を非作動とし(S15)、S4以後の処理を行う。
【0051】
以上の構成によって、フロントウインド20の上辺領域20a及び側辺領域20bの曇りを早期に解消し、確実な視界確保ができる。更に、降雪時、運転席側の側辺領域における雪の堆積が防止できる。
【0052】
当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係るフロントウインドのヒータ装置の全体構成図である。
【図2】実施例1に係るフロントウインドの説明図である。
【図3】実施例1に係るヒータ制御のフローチャートである。
【図4】実施例1に係る第1ヒータの外気温度に関する制御説明図である。
【図5】第1ヒータと第2ヒータとの車速に関する制御説明図である。
【図6】実施例2係るヒータ制御のフローチャートである。
【図7】デフロスタ開口からの温風の進行を説明する図である。
【図8】デフロスタの防曇機能を説明する図である。
【符号の説明】
【0054】
8 デフロスタ吹出口
20 フロントウインド
20a 上辺領域
20b 側辺領域
20c 中央領域
20d 下辺領域
27 外気温センサ
29 制御ユニット
34 車速センサ
35 降雪センサ
36 デフロスタスイッチ
37 第1ヒータ
38 第2ヒータ
39 第3ヒータ
40 第1通電用電極
41 第2通電用電極
42 第3通電用電極
43 第4通電用電極
44 第5通電用電極
45 通電制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントウインドを加熱する複数の通電式ヒータを有する車両用フロントウインドのヒータ装置において、
フロントウインドの下方から温風を供給するデフロスタと、
フロントウインドの上辺領域及び側辺領域に配設された第1ヒータと、
外気温度を検出する外気温度検出手段と、
車両の走行速度を検出する車速検出手段とを有し、
外気温度が所定温度より低い状態で、且つ車両の走行速度が所定速度以上のときに、前記第1ヒータを通電発熱させる通電制御手段を設けたことを特徴とする車両用フロントウインドのヒータ装置。
【請求項2】
降雪を検出する降雪検出手段を有し、
前記通電制御手段は、前記降雪検出手段により降雪を検出したとき、前記所定速度以下で前記第1ヒータを通電発熱させることを特徴とする請求項1に記載の車両用フロントウインドのヒータ装置。
【請求項3】
フロントウインドの上辺領域及び側辺領域に囲まれた中央領域に配設された第2ヒータを有し、
前記通電制御手段は、車速が低車速のときは、前記第2ヒータを通電発熱させ、低車速以上の中車速のときは、前記第1ヒータと第2ヒータとを通電発熱させ、中車速以上の高車速のときは、前記第1ヒータを通電発熱させることを特徴とする請求項1に記載の車両用フロントウインドのヒータ装置。
【請求項4】
フロントウインドの下辺領域に配設される第3ヒータを有し、
前記通電制御手段は、前記降雪検出手段により降雪を検出したとき、前記第3ヒータを通電発熱させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用フロントウインドのヒータ装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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