説明

車両用フロントコンソールモジュールの組付構造

【課題】組み付け工数の低減及び組み付け作業性の向上を図ることができる車両用フロントコンソールモジュールの組付構造を提供すること。
【解決手段】車両用フロントコンソールモジュール5の組付構造において、フロントコンソールモジュール5を組み付ける際には、センタークラスターロアブラケット53の被組付ガイド部54をフロア側ブラケット6の組付ガイド部61に当接させた状態で、フロントコンソールモジュール5を後方から前方へ移動させることにより、センタークラスターアッパーブラケットがインストルメントパネル2の本体部20との固定位置に向けて導かれるよう構成されている。固定位置においては、フロントコンソールモジュール5のセンタークラスターアッパーブラケットがインストルメントパネル2の本体部20に固定され、センタークラスターロアブラケット53がフロア側ブラケット6に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のインストルメントパネルの中央部から車室側に突出して設けられたセンタークラスターの下方に位置するフロントコンソールと、上記センタークラスターの下側部分を構成する複数の部材とを予め組み付けてなるフロントコンソールモジュールを車両に組み付けるフロントコンソールモジュールの組付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のインストルメントパネルの中央部において、コンソール、クラスター等を構成する複数の部材を組み付ける構造がある(特許文献1、2参照)。このようなコンソール、クラスター等を構成する複数の部材は、作業員が車両に乗り込んで、それぞれを所定の位置に順に組み付けていた。
【0003】
【特許文献1】特開2005−153855号公報
【特許文献2】特開2006−168634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の構造では、複数の部材をそれぞれ組み付けるため、組み付け工数が多くなっていた。また、各部材を組み付けるたびに作業員が車両に乗り込んで作業を行い、さらに、組み付け時には各部材についてそれぞれ位置決め等を行わなければならなかった。そのため、組み付け作業性の低下を招いていた。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、組み付け工数の低減及び組み付け作業性の向上を図ることができる車両用フロントコンソールモジュールの組付構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両のインストルメントパネルの中央部から車室側に突出して設けられたセンタークラスターの下方に位置するフロントコンソールと、上記センタークラスターの下側部分を構成する複数の部材とを予め組み付けてなるフロントコンソールモジュールを車両に組み付ける構造であって、
車両のフロアには、上記フロントコンソールモジュールを上記フロアに固定するためのフロア側ブラケットが取り付けてあり、
該フロア側ブラケットには、上記フロントコンソールモジュールの組み付け時において、該フロントコンソールモジュールの車両前後方向の移動を案内すると共に上下方向位置を規制する組付ガイド部が設けてあり、
上記フロントコンソールモジュールには、上記インストルメントパネルの本体部に固定されるセンタークラスターアッパーブラケットと、上記フロア側ブラケットに固定されるセンタークラスターロアブラケットとが設けてあり、
該センタークラスターロアブラケットには、上記フロア側ブラケットの上記組付ガイド部に当接可能な被組付ガイド部が設けてあり、
上記フロントコンソールモジュールを組み付ける際には、上記センタークラスターロアブラケットの上記被組付ガイド部を上記フロア側ブラケットの上記組付ガイド部に当接させた状態で、上記フロントコンソールモジュールを後方から前方へ移動させることにより、上記センタークラスターアッパーブラケットが上記インストルメントパネルの上記本体部との固定位置に向けて導かれるよう構成されており、
該固定位置においては、上記センタークラスターアッパーブラケットが上記インストルメントパネルの上記本体部に固定され、上記センタークラスターロアブラケットが上記フロア側ブラケットに固定されることを特徴とする車両用フロントコンソールモジュールの組付構造にある(請求項1)。
【0007】
本発明において、上記フロントコンソールモジュールは、上記センタークラスターの下方に位置する上記フロントコンソールと、上記センタークラスターの下側部分を構成する複数の部材とを予め組み付けてモジュール化したものであり、これを1つのモジュールとして車両に組み付けることができる。そのため、従来のように、車両に対して複数の部材をそれぞれ別々に組み付ける必要がなく、また各部材を組み付けるたびに作業員が車両に乗り込んで作業を行うような手間を省くことができる。これにより、組み付け工数の低減を図ることができると共に、組み付け作業性の向上を図ることができる。
【0008】
また、上記フロントコンソールモジュールを組み付ける際には、上記センタークラスターロアブラケットに設けた上記被組付ガイド部を上記フロア側ブラケットに設けた上記組付ガイド部に当接させて仮置き状態とする。そして、上記被組付ガイド部を上記組付ガイド部に沿って移動させ、上記フロントコンソールモジュール全体を後方から前方へ移動させるだけで、上記フロントコンソールモジュールの上記センタークラスターアッパーブラケットを上記インストルメントパネルの上記本体部との固定位置に向けて導くことができる。
【0009】
そのため、組み付け時における位置決めを容易に行うことができる。具体的には、上記インストルメントパネルの上記本体部に固定される上記センタークラスターアッパーブラケットの位置決めを容易に行うことができる。これにより、上記フロントコンソールモジュールの組み付け作業を容易なものとすることができ、組み付け作業性の向上を図ることができる。
【0010】
また、上記フロントコンソールモジュールを組み付けた状態では、上記センタークラスターアッパーブラケットは、上記インストルメントパネルの上記本体部に固定され、上記センタークラスターロアブラケットは、上記フロアに取り付けられた上記フロア側ブラケットに固定される。すなわち、上記フロントコンソールモジュールは、車両における上記インストルメントパネル及び上記フロアに固定される。そのため、上記フロントコンソールモジュール全体を車両に対してしっかりと組み付けることができる。
【0011】
このように、本発明によれば、組み付け工数の低減及び組み付け作業性の向上を図ることができる車両用フロントコンソールモジュールの組付構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明において、上記組付ガイド部とこれに当接する上記被組付ガイド部とは、様々な形状、構成とすることができる。
例えば、上記センタークラスターロアブラケットの左右両端部に、一対の上記被組付ガイド部を設けると共に、上記フロア側ブラケットの左右両端部に、一対の上記被組付ガイド部に対応する一対の上記組付ガイド部を設けてもよい。この場合には、上記フロントコンソールモジュールの組み付け作業を安定して行うことができる。
【0013】
また、上記フロントコンソールモジュールを組み付ける際に、上記組付ガイド部によってその上下方向位置を規制することができるよう構成されているが、さらに左右方向位置をも規制することができるように、上記組付ガイド部及び上記被組付ガイド部を構成してもよい。この場合には、上記フロントコンソールモジュールの組み付け時における位置決めをさらに容易に行うことができる。
【0014】
また、上記フロントコンソールモジュールは、胴部と、該胴部から下方に二股に分かれて左右に形成された一対の脚部とを有し、該一対の脚部が上記フロア側ブラケットに固定される上記センタークラスターロアブラケットと、上記センタークラスターの下方に配置され、上記ロアブラケットの上記胴部を上方に貫通させてなるフロントコンソールと、上記センタークラスターロアブラケットの上記胴部の外周を覆うセンタークラスターロアカバーと、該センタークラスターロアカバーの上部に配設されるセンタークラスターロアパネルと、該センタークラスターロアパネル内に配設される基板部と、該基板部から下方に突出して形成された突出固定部とを有し、該突出固定部が上記センタークラスターロアパネルを貫通して上記センタークラスターロアブラケットの上端部に固定される上記センタークラスターアッパーブラケットとにより構成されており、上記センタークラスターロアブラケットの上記一対の脚部には、それぞれ上記被組付ガイド部が設けてあると共に、上記フロア側ブラケットの左右両端部の上記被組付ガイド部に対応する位置には、上記組付ガイド部が設けてある構成とすることができる(請求項2)。
【0015】
この場合には、上記フロントコンソールモジュールは、上記のセンタークラスターロアブラケット、フロントコンソール、センタークラスターロアカバー、センタークラスターロアパネル及びセンタークラスターアッパーブラケットの複数の部材で構成されているが、これら複数の部材を1つのモジュールとして車両に組み付けることができる。これにより、組み付け工数の低減及び組み付け作業性の向上を確実に図ることができる。
また、上記組付ガイド部及び上記被組付ガイド部を左右両側に設けたことにより、上記フロントコンソールモジュールの組み付け作業を安定して行うことができる。
【0016】
また、上記センタークラスターロアブラケットには、上記一対の脚部の側面からそれぞれ突出して形成された当接片部を有する上記一対の被組付ガイド部が設けてあり、上記フロア側ブラケットには、その左右両端部からそれぞれ上方に突出して形成された上記一対の組付ガイド部が設けてあり、上記フロントコンソールモジュールを組み付ける際には、上記被組付ガイド部の上記当接片部を上記組付ガイド部の上面に当接させることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記被組付ガイド部を上記組付ガイド部に当接させること、また該組付ガイド部に沿って移動させることが容易となる。これにより、上記フロントコンソールモジュールの組み付け作業性を向上させることができる。
【0017】
また、上記フロントコンソールモジュールの上記センタークラスターアッパーブラケットと上記インストルメントパネルの上記本体部とが上記固定位置において固定された状態においては、上記センタークラスターロアブラケットが上記フロア側ブラケットとの固定位置にあることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記フロア側ブラケットに固定される上記センタークラスターロアブラケットの位置決めを容易に行うことができる。これにより、上記フロントコンソールモジュールの組み付け作業をさらに容易なものとすることができ、組み付け作業性の向上をより一層図ることができる。
【0018】
また、上記フロントコンソールモジュールの上記センタークラスターアッパーブラケットと上記インストルメントパネルの上記本体部とが上記固定位置において固定された状態においては、上記センタークラスターロアブラケットの上記被組付ガイド部と上記フロア側ブラケットの上記組付ガイド部とが非当接状態であることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記被組付ガイド部と上記組付ガイド部とは、上記フロントコンソールモジュールの組み付け時のみ当接状態であり、組み付け後は非当接状態である。そのため、組み付け後において、上記被組付ガイド部と上記組付ガイド部との接触による異音の発生を防ぐことができる。
【0019】
また、上記フロントコンソールモジュールの上記センタークラスターアッパーブラケットと上記インストルメントパネルの上記本体部とが上記固定位置において固定された状態においては、上記センタークラスターロアパネルに設けた係合爪部が上記インストルメントパネルの上記本体部に設けた係合孔部に対して前後方向に挿入されて係合していることが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記インストルメントパネルに対して上記フロントコンソールモジュールの上記センタークラスターアッパーブラケットの位置決めを容易に行うことができると共に、上記センタークラスターロアパネルを上記インストルメントパネルに強固に固定することができる。
【0020】
また、上記係合孔部の開口部周辺には、上記係合爪部を当接させて上記開口部へ案内する係合ガイド部を設けてもよい。また、さらに、上記係合爪部には、上記係合ガイド部に当接して上記係合孔部の上記開口部に案内される被係合ガイド部を設けてもよい。
この場合には、上記センタークラスターロアパネルを組み付ける際に、上記係合爪部の上記被係合ガイド部を上記係合孔部の上記係合ガイド部に当接させ、上記開口部へ案内することにより、上記フロントコンソールモジュールの上記センタークラスターアッパーブラケットを上記インストルメントパネルの上記本体部との固定位置に容易に導くことができると共に、上記係合爪部を上記係合孔部に容易に挿入することができる。
【実施例】
【0021】
本発明の実施例にかかる車両用フロントコンソールモジュールの組付構造について、図を用いて説明する。
図1に示すごとく、自動車等の車両1において、車室の前部には、車室全幅に渡ってインストルメントパネル2が設けてある。インストルメントパネル2の中央部には、センタークラスター3が車室側に突出して設けてある。また、インストルメントパネル2の中央部の下方には、センターコンソール4がフロア11に沿って車室側に延びて設けてある。
【0022】
同図に示すごとく、センタークラスター3は、その上面を覆うように配設されたセンタークラスターアッパーパネル31や、センタークラスターアッパーパネル31の下方側を覆うように配設されたセンタークラスターロアパネル32等により構成されている。
また、センターコンソール4は、前方に配設されたフロントコンソール41や、フロントコンソール41の両側下部に配設されたサイドパネル42や、フロントコンソール41の後方に配設されたリアコンソール43等により構成されている。
【0023】
そして、本例では、図1、図2に示すごとく、センタークラスター3の下方に位置するフロントコンソール41と、センタークラスター3の下側部分を構成する複数の部材、すなわちセンタークラスターロアパネル32及びセンタークラスターロアカバー52等を含む複数の部材とからなるフロントコンソールモジュール5を、インストルメントパネル2の中央部に組み付けている。
【0024】
具体的には、図3に示すごとく、フロントコンソールモジュール5は、フロントコンソール41、センタークラスターロアブラケット53、二分割されたセンタークラスターロアカバー52、センタークラスターロアパネル32及びセンタークラスターアッパーブラケット51の6つの部材によって構成されている。
そして、図4に示すごとく、フロントコンソールモジュール5は、これら6つの部材を組み付けてモジュール化して構成されている。
以下、各部材について説明する。
【0025】
図3、図4に示すごとく、センタークラスターロアブラケット53は、胴部531と、胴部531から二股に分かれて左右に形成された一対の脚部532とにより構成されている。脚部532の下端部には、後述するフロア側ブラケット6に固定するための固定孔533が設けてある。また、脚部532の内側面534には、後述するフロア側ブラケット6の組付ガイド部61に当接可能な被組付ガイド部54が設けてある。
【0026】
図3に示すごとく、被組付ガイド部54は、脚部532の内側面534に沿って設けられた板部540と、板部540の下端から内方に突出した当接片部541と、当接片部541の内方端から下方に折れ曲がって突出した突出片部542とを有する。そして、被組付ガイド部54は、脚部532、当接片部541及び突出片部542によって下方に開口するように凹状に形成されている。
【0027】
図3、図4に示すごとく、フロントコンソール41は、センターコンソール4の前部を構成するものであり、センタークラスターロアブラケット53の脚部532に固定されている。また、フロントコンソール41の中央には、貫通孔411が設けてある。そして、フロントコンソール41は、貫通孔411にセンタークラスターロアブラケット53の胴部531を上方に向けて貫通させている。
【0028】
同図に示すごとく、センタークラスターロアカバー52は、左右に分割された2つの部材で構成されており、これらの部材を合わせることによって筒形状を有する。また、センタークラスターロアカバー52は、フロントコンソール41の貫通孔411を貫通して上方に突出したセンタークラスターロアブラケット53の胴部531の外周を覆うように設けてある。
【0029】
同図に示すごとく、センタークラスターロアパネル32は、センタークラスター3の下面を覆うように、センタークラスターロアカバー52の上部に配設されている。センタークラスターロアパネル32には、後述するセンタークラスターアッパーブラケット51の突出固定部512を貫通させるための貫通孔321が設けてある。そして、センタークラスターロアパネル32は、貫通孔321にセンタークラスターアッパーブラケット51の突出固定部512を下方に向けて貫通させている。
また、センタークラスターロアパネル32の先端には、インストルメントパネル2の本体部20に設けた係合孔部21に係合する複数の係合爪部34が設けてある(図9、図12参照)。
【0030】
同図に示すごとく、センタークラスターアッパーブラケット51は、センタークラスターロアパネル32内に配設される基板部511と、基板部511から下方に突出して形成された突出固定部512と有する。基板部511の先端部には、インストルメントパネル2の本体部20に対して固定するための固定孔510が設けてある。また、突出固定部512は、センタークラスターロアパネル32の貫通孔321を貫通し、センタークラスターロアブラケット53の胴部531の上端部に対して固定されている。
【0031】
一方、図5に示すごとく、フロア11には、フロントコンソールモジュール5をフロア11に固定するためのフロア側ブラケット6が取り付けてある。フロア側ブラケット6の左右両端部には、それぞれ上方に突出して形成された組付ガイド部61が前後方向に設けてある。組付ガイド部61は、後述のごとく、フロントコンソールモジュール5を組み付ける際に、フロントコンソールモジュール5の車両前後方向の移動を案内すると共に上下方向位置を規制するためのものである。
【0032】
同図に示すごとく、組付ガイド部61には、フロントコンソールモジュール5のセンタークラスターロアブラケット53を固定するための固定孔611が設けてある。また、組付ガイド部61の上面には、下方に凹んで形成された凹み部612と、凹み部612の後方にある水平方向に略平坦な平坦部613とが設けてある。
【0033】
そして、図2に示すごとく、フロントコンソールモジュール5において、センタークラスターアッパーブラケット51は、センタークラスターアッパーブラケット51の先端部に設けた固定孔510及びインストルメントパネル2の本体部20に設けた固定孔200に締結部材であるボルト59を挿入して締結することにより、インストルメントパネル2の本体部2に対して固定されている。
また、センタークラスターロアパネル32の先端に設けた係合爪部34は、インストルメントパネル2の本体部20に設けた係合孔部21に対して前後方向に挿入して係合されている。これによって、センタークラスターロアパネル32も、インストルメントパネル2に対して固定されている(図12参照)。
【0034】
また、同図に示すごとく、フロントコンソールモジュール5において、センタークラスターロアブラケット53は、センタークラスターロアブラケット53の固定孔533及びフロア側ブラケット6の固定孔611にボルト等の締結部材を挿入して締結することにより、フロア側ブラケット6に対して固定されている。これによって、フロントコンソールモジュール5は、フロア11に対して固定されている。
また、このとき、センタークラスターロアブラケット53の被組付ガイド部54とフロア側ブラケット6の組付ガイド部61とは、非当接状態である。
【0035】
なお、本例において、図2は、フロントコンソールモジュール5のセンタークラスターアッパーブラケット51がインストルメントパネル2の本体部20に固定されている状態、センタークラスターロアブラケット53がフロア側ブラケット6に固定されている状態、フロントコンソールモジュール2とフロア側ブラケット6との位置関係等を示したものである。よって、主にインストルメントパネル2、フロントコンソールモジュール5及びフロア側ブラケット6を図示しており、その他の部材は省略してある。
【0036】
次に、フロントコンソールモジュール5を車両1に組み付ける作業について説明する。
まず、図6、図7に示すごとく、フロントコンソールモジュール5におけるセンタークラスターロアブラケット53の被組付ガイド部54をフロア側ブラケット6の組付ガイド部61に当接させる。具体的には、被組付ガイド部54の当接片部541を組付ガイド部61の平坦部613上に載置する。これにより、フロントコンソールモジュール5をフロア側ブラケット6上に仮置きする。
【0037】
次いで、この状態のまま、被組付ガイド部54を組付ガイド部61に沿って後方から前方へ移動させる。すなわち、フロントコンソールモジュール5全体を後方から前方へ移動させる。
このとき、フロントコンソールモジュール5は、図6、図7に示すごとく、被組付ガイド部54の当接片部541が組付ガイド部61の平坦面613に当接していることによって上下方向位置が規制される。また、図7に示すごとく、センタークラスターロアブラケット53の脚部532と被組付ガイド部54の突出片部542との間にフロア側ブラケット6の組付ガイド部61が位置していることによって左右方向位置が規制される。
【0038】
次いで、図8に示すごとく、被組付ガイド部54の当接片部541が組付ガイド部61の平坦部613から凹み部612に差し掛かったところで、図9に示すごとく、センタークラスターロアパネル32の先端に設けた係合爪部34は、インストルメントパネル2の本体部20に設けた係合孔部21周辺に位置する。これと共に、センタークラスターアッパーブラケット51がインストルメントパネル2の本体部20との固定位置に導かれる。
【0039】
ここで、図9に示すごとく、一方の係合孔部21の開口部210周辺には、係合爪部34を係合孔部21の開口部210へ案内するテーパ形状の係合ガイド部211が設けてある。係合ガイド部211は、係合爪部34の上下方向位置にずれが生じている場合には、係合爪部34を当接させて上下方向位置を規制し、係合孔部21の開口部210へと案内することができる。
【0040】
次いで、図10、図11に示すごとく、被組付ガイド部54をさらに前方へ移動させることにより、被組付ガイド部54と組付ガイド部61との当接状態が解除される。具体的には、被組付ガイド部の当接片部541と組付ガイド部61の平坦部613との当接状態が解除される。
【0041】
そして、図12に示すごとく、センタークラスターロアパネル32の係合爪部34がインストルメントパネル2の本体部20の係合孔部21に対して前後方向に挿入される。このとき、係合爪部34の係止部341が係合孔部21の開口部210に弾性変形して挿入され、インストルメントパネル2の本体部20の裏面に当接し、係合爪部34と係合孔部21との係合状態が保持される。
【0042】
また、これと同時に、図10に示すごとく、センタークラスターアッパーブラケット51の固定孔510とインストルメントパネル2の本体部20の固定孔200とが一致した位置となる。すなわち、センタークラスターアッパーブラケット51がインストルメントパネル2の本体部20との固定位置に位置する。
その後、図2に示すごとく、センタークラスターアッパーブラケット51の固定孔510及びインストルメントパネル2の本体部20の固定孔200にボルト59を挿入して締結することにより、両者を固定する。
【0043】
これにより、図10に示すごとく、フロントコンソールモジュール5は、センタークラスターロアブラケット53の被組付ガイド部54とフロア側ブラケット6の組付ガイド部61とが当接していない状態で、インストルメントパネル2に対して固定される。
また、このとき、センタークラスターロアブラケット53の固定孔533とフロア側ブラケット6の固定孔611とが一致した位置となる。すなわち、センタークラスターロアブラケット53がフロア側ブラケット6との固定位置に位置する。
【0044】
次いで、同図に示すごとく、センタークラスターロアブラケット53の固定孔533及びフロア側ブラケット6の固定孔611にボルト等の締結部材を挿入して締結し、センタークラスターロアブラケット53とフロア側ブラケット6とを固定する。これにより、フロントコンソールモジュール5は、フロア11に対して固定される。
以上により、フロントコンソールモジュール5の組み付けを終了する。
【0045】
次に、本例のフロントコンソールモジュール5の組付構造における作用効果を説明する。
本例において、フロントコンソールモジュール5は、センタークラスター3の下方に位置するフロントコンソール41と、センタークラスター3の下側部分を構成する複数の部材とを予め組み付けてモジュール化したものであり、これを1つのモジュールとして車両1に組み付けることができる。そのため、従来のように、車両1に対して複数の部材をそれぞれ別々に組み付ける必要がなく、また各部材を組み付けるたびに作業員が車両1に乗り込んで作業を行うような手間を省くことができる。これにより、組み付け工数の低減を図ることができると共に、組み付け作業性の向上を図ることができる。
【0046】
また、フロントコンソールモジュール5を組み付ける際には、図6、図7に示すごとく、センタークラスターロアブラケット53に設けた被組付ガイド部54をフロア側ブラケット6に設けた組付ガイド部61に当接させて仮置き状態とする。そして、図8、図9に示すごとく、被組付ガイド部54を組付ガイド部61に沿って移動させ、フロントコンソールモジュール5全体を後方から前方へ移動させるだけで、フロントコンソールモジュール5のセンタークラスターアッパーブラケット51をインストルメントパネル2の本体部20との固定位置に向けて導くことができる。
【0047】
そのため、組み付け時における位置決めを容易に行うことができる。具体的には、インストルメントパネル2の本体部20に固定されるセンタークラスターアッパーブラケット51の位置決めを容易に行うことができる。これにより、フロントコンソールモジュール5の組み付け作業を容易なものとすることができ、組み付け作業性の向上を図ることができる。
【0048】
また、フロントコンソールモジュール5を組み付けた状態では、図2に示すごとく、センタークラスターアッパーブラケット51は、インストルメントパネル2の本体部20に固定され、センタークラスターロアブラケット53は、フロア11に取り付けられたフロア側ブラケット6に固定される。すなわち、フロントコンソールモジュール5は、車両1におけるインストルメントパネル2及びフロア11に固定される。そのため、フロントコンソールモジュール5全体を車両1に対してしっかりと組み付けることができる。
【0049】
また、本例では、センタークラスターロアブラケット53には、一対の脚部532の内側面534からそれぞれ内方に突出して形成された当接片部541を有する一対の被組付ガイド部54が設けてあり、フロア側ブラケット6には、その左右両端部からそれぞれ上方に突出して形成された一対の組付ガイド部61が設けてある。そして、フロントコンソールモジュール5を組み付ける際には、被組付ガイド部54の当接片部541を組付ガイド部61の上面に当接する。そのため、被組付ガイド部54を組付ガイド部61に当接させること、また組付ガイド部61に沿って移動させることが容易となる。これにより、フロントコンソールモジュール5の組み付け作業性を向上させることができる。また、組付ガイド部61及び被組付ガイド部54を左右両側に設けたことにより、フロントコンソールモジュール5の組み付け作業を安定して行うことができる。
【0050】
また、フロントコンソールモジュール5を組み付ける際には、フロントコンソールモジュール5は、被組付ガイド部54の当接片部541が組付ガイド部61の平坦面613に当接していることによって上下方向位置が規制される。また、センタークラスターロアブラケット53の脚部532と被組付ガイド部54の突出片部542との間にフロア側ブラケット6の組付ガイド部61が位置していることによって左右方向位置が規制される。そのため、フロントコンソールモジュール5の組み付け時における位置決めをさらに容易に行うことができる。
【0051】
また、図10に示すごとく、フロントコンソールモジュール5のセンタークラスターアッパーブラケット51とインストルメントパネル2の本体部20とが固定位置において固定された状態においては、センタークラスターロアブラケット53がフロア側ブラケット6との固定位置にある。そのため、フロア側ブラケット6に固定されるセンタークラスターロアブラケット53の位置決めを容易に行うことができる。これにより、フロントコンソールモジュール5の組み付け作業をさらに容易なものとすることができ、組み付け作業性の向上をより一層図ることができる。
【0052】
また、図10、図11に示すごとく、フロントコンソールモジュール5のセンタークラスターアッパーブラケット51とインストルメントパネル2の本体部20とが固定位置において固定された状態においては、センタークラスターロアブラケット53の被組付ガイド部54とフロア側ブラケット6の組付ガイド部61とが非当接状態である。そのため、被組付ガイド部54と組付ガイド部61とは、フロントコンソールモジュール5の組み付け時のみ当接状態であり、組み付け後は非当接状態である。これにより、組み付け後において、被組付ガイド部54と組付ガイド部61との接触による異音の発生を防ぐことができる。
【0053】
このように、本例によれば、組み付け工数の低減及び組み付け作業性の向上を図ることができる車両用フロントコンソールモジュール5の組付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施例における、フロントコンソールモジュールの配設位置を示す説明図。
【図2】実施例における、フロントコンソールモジュールの組み付け状態を示す説明図。
【図3】実施例における、フロントコンソールモジュールの各部材を示す説明図。
【図4】実施例における、フロントコンソールモジュール全体を示す説明図。
【図5】実施例における、フロア側ブラケットを示す説明図。
【図6】実施例における、フロントコンソールモジュールをフロア側ブラケットに仮置きした状態を示す説明図。
【図7】図6のA−A線断面図。
【図8】実施例における、フロントコンソールモジュールがインストルメントパネルとの固定位置に導かれる状態を示す説明図。
【図9】実施例における、係合爪部が係合孔部に挿入される状態を示す説明図。
【図10】実施例における、フロントコンソールモジュールがインストルメントパネルに対して固定された状態を示す説明図。
【図11】図10のB−B線断面図。
【図12】実施例における、係合爪部が係合孔部に挿入された状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0055】
2 インストルメントパネル
20 本体部
41 フロントコンソール
5 フロントコンソールモジュール
51 センタークラスターアッパーブラケット
53 センタークラスターロアブラケット
54 被組付ガイド部
6 フロア側ブラケット
61 組付ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のインストルメントパネルの中央部から車室側に突出して設けられたセンタークラスターの下方に位置するフロントコンソールと、上記センタークラスターの下側部分を構成する複数の部材とを予め組み付けてなるフロントコンソールモジュールを車両に組み付ける構造であって、
車両のフロアには、上記フロントコンソールモジュールを上記フロアに固定するためのフロア側ブラケットが取り付けてあり、
該フロア側ブラケットには、上記フロントコンソールモジュールの組み付け時において、該フロントコンソールモジュールの車両前後方向の移動を案内すると共に上下方向位置を規制する組付ガイド部が設けてあり、
上記フロントコンソールモジュールには、上記インストルメントパネルの本体部に固定されるセンタークラスターアッパーブラケットと、上記フロア側ブラケットに固定されるセンタークラスターロアブラケットとが設けてあり、
該センタークラスターロアブラケットには、上記フロア側ブラケットの上記組付ガイド部に当接可能な被組付ガイド部が設けてあり、
上記フロントコンソールモジュールを組み付ける際には、上記センタークラスターロアブラケットの上記被組付ガイド部を上記フロア側ブラケットの上記組付ガイド部に当接させた状態で、上記フロントコンソールモジュールを後方から前方へ移動させることにより、上記センタークラスターアッパーブラケットが上記インストルメントパネルの上記本体部との固定位置に向けて導かれるよう構成されており、
該固定位置においては、上記センタークラスターアッパーブラケットが上記インストルメントパネルの上記本体部に固定され、上記センタークラスターロアブラケットが上記フロア側ブラケットに固定されることを特徴とする車両用フロントコンソールモジュールの組付構造。
【請求項2】
請求項1において、上記フロントコンソールモジュールは、
胴部と、該胴部から下方に二股に分かれて左右に形成された一対の脚部とを有し、該一対の脚部が上記フロア側ブラケットに固定される上記センタークラスターロアブラケットと、
上記センタークラスターの下方に配置され、上記ロアブラケットの上記胴部を上方に貫通させてなるフロントコンソールと、
上記センタークラスターロアブラケットの上記胴部の外周を覆うセンタークラスターロアカバーと、
該センタークラスターロアカバーの上部に配設されるセンタークラスターロアパネルと、
該センタークラスターロアパネル内に配設される基板部と、該基板部から下方に突出して形成された突出固定部とを有し、該突出固定部が上記センタークラスターロアパネルを貫通して上記センタークラスターロアブラケットの上端部に固定される上記センタークラスターアッパーブラケットとにより構成されており、
上記センタークラスターロアブラケットの上記一対の脚部には、それぞれ上記被組付ガイド部が設けてあると共に、上記フロア側ブラケットの左右両端部の上記被組付ガイド部に対応する位置には、上記組付ガイド部が設けてあることを特徴とする車両用フロントコンソールモジュールの組付構造。
【請求項3】
請求項2において、上記センタークラスターロアブラケットには、上記一対の脚部の側面からそれぞれ突出して形成された当接片部を有する上記一対の被組付ガイド部が設けてあり、
上記フロア側ブラケットには、その左右両端部からそれぞれ上方に突出して形成された上記一対の組付ガイド部が設けてあり、
上記フロントコンソールモジュールを組み付ける際には、上記被組付ガイド部の上記当接片部を上記組付ガイド部の上面に当接させることを特徴とする車両用フロントコンソールモジュールの組付構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、上記フロントコンソールモジュールの上記センタークラスターアッパーブラケットと上記インストルメントパネルの上記本体部とが上記固定位置において固定された状態においては、上記センタークラスターロアブラケットが上記フロア側ブラケットとの固定位置にあることを特徴とする車両用フロントコンソールモジュールの組付構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、上記フロントコンソールモジュールの上記センタークラスターアッパーブラケットと上記インストルメントパネルの上記本体部とが上記固定位置において固定された状態においては、上記センタークラスターロアブラケットの上記被組付ガイド部と上記フロア側ブラケットの上記組付ガイド部とが非当接状態であることを特徴とする車両用フロントコンソールモジュールの組付構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、上記フロントコンソールモジュールの上記センタークラスターアッパーブラケットと上記インストルメントパネルの上記本体部とが上記固定位置において固定された状態においては、上記センタークラスターロアパネルに設けた係合爪部が上記インストルメントパネルの上記本体部に設けた係合孔部に対して前後方向に挿入されて係合していることを特徴とする車両用フロントコンソールモジュールの組付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−137749(P2010−137749A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316744(P2008−316744)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】