車両用ブレーキ液圧制御装置
【課題】液圧制御弁11及び電子部品D、マイコンMを多く有するブレーキ液圧制御装置3の小型化を図る。
【解決手段】ハウジング10内に、複数の液圧制御弁11を組み込み、ハウジング10外面に電子制御ユニット20を取付けた車両用ブレーキ液圧制御装置3である。各液圧制御弁11からの基板22上の制御回路への接続回路を、電子制御ユニットケーシング21とハウジング10との隔壁13aに埋設したバスバー14で構成し、そのバスバー14は、基板22との間隙をもった経路を経てその基板外周部に至った後、基板を貫通して制御回路に接続されている。基板の外周部に前記接続回路が集約すれば、その接続回路による他の電子部品の基板上への実装の制約が緩和され、それに基づき、その実装無効面積が減少することにより、コンパクト化を図ることができる。
【解決手段】ハウジング10内に、複数の液圧制御弁11を組み込み、ハウジング10外面に電子制御ユニット20を取付けた車両用ブレーキ液圧制御装置3である。各液圧制御弁11からの基板22上の制御回路への接続回路を、電子制御ユニットケーシング21とハウジング10との隔壁13aに埋設したバスバー14で構成し、そのバスバー14は、基板22との間隙をもった経路を経てその基板外周部に至った後、基板を貫通して制御回路に接続されている。基板の外周部に前記接続回路が集約すれば、その接続回路による他の電子部品の基板上への実装の制約が緩和され、それに基づき、その実装無効面積が減少することにより、コンパクト化を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、HB(ハイドロブレーキブースタ)、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、VSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)などの車両用液圧ブレーキ制御システムに組み込まれるブレーキ液圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用液圧ブレーキ制御システムは、図7に示すように、ブレーキペダル1とブレーキホイールシリンダ4(4a、4b、4c、4d)との間にブレーキ液圧制御装置3を介在させ、そのブレーキ液圧制御装置3のハウジング内に組み込んだ増圧制御弁・減圧制御弁等の液圧制御弁をオン・オフさせて、前記ブレーキホイールシリンダ4の液圧を制御するものである(特許文献1等参照)。
この車両用液圧ブレーキ制御システムにおいて、今日、車両の高性能化につれて、ABS、VSC等が組み込まれ、そのブレーキ液圧制御装置3等のそのシステムを構成する部品(装置)数は飛躍的に増大し、その増大に反して各構成部品の小型化が要求される。
【特許文献1】特開2001−260846号公報
【0003】
このような状況下、そのブレーキ液圧制御装置3は、その液圧ブレーキ制御システムの種類によって、様々な態様とされ、例えば、図7、図8に示すように、ハイドロブレーキブースタにおいて、ブレーキ液圧制御装置3を組み込んで小型化したものにあっては、ブレーキペダル1がマスタシリンダ2のピストンロッド5aに連結され、そのマスタシリンダ2のボディ6とブレーキ液圧制御装置3のハウジング10を一体物にして、そのハウジング10内に各種の液圧制御弁等を組み込み、そのボティ6から前後のブレーキホイルシリンダ4a、4b、4c、4dに配管rがなされた構成のものがある(特許文献2参照)。
【0004】
このものは、ブレーキペダル1の踏み込み・解放により、マスタシリンダ2を介して各ブレーキホイルシリンダ4に作動液aを給排するとともに、ブレーキ液圧制御装置3の電子制御ユニット20による各液圧制御弁のオン・オフにより、各ブレーキホイルシリンダ4に作動液aを給排して、ブレーキ液圧を制御する。このとき、作動液aの補充は、モータ8によるポンプ7の作動により、アキュムレータ6aからブレーキ液圧制御装置3に作動液aが送り込まれることにより行われ、ブレーキ液圧制御装置3に戻った作動液aはリザーバタンク9に流入する。
【特許文献2】特開平08−11696号公報
【0005】
このようなブレーキ液圧制御装置3は、通常、図9に示すように、ハウジング10内に、複数の液圧制御弁11等を並列して組み込み、そのハウジング10外面に各制御弁11の制御用電子制御ユニット20を取付け、そのケーシング21内にその液圧制御弁11の制御用基板22を設けた態様である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのブレーキ液圧制御装置3において、従来、各液圧制御弁11のコイルと基板22上の制御回路との接続は、図9及び図10に示すように、各液圧制御弁11から基板22に向かって上方に接続片23を立ち上げ、その接続片23を基板22に通過させてその制御回路に接続する態様である(特許文献3 図7参照)。
【特許文献3】特開平11−165627号公報
【0007】
この接続態様であると、図10の一点鎖線で囲む範囲は、各接続片23が立ち上がって制御回路にハンダ付けされるため、各種の電子部品Dの実装可能な面積がその接続片23により分断され、マイコンM等の大きな部品の実装が困難となるうえに、その接続片23のハンダ付け部分の存在により、他の電子部品Dを設けるスペースが減少し(例えば、一接続片23のハンダ付けによる部品実装禁止区域を、同図のエリヤeで示す)、その電子部品D、マイコンMの実装無効面積が増大する。このため、図10に示すように、各種の電子部品D、マイコンMを基板22上に実装するためには、その基板22を大きくせざるを得ない。
【0008】
今日、例えば、ハイドロブレーキブースタのブレーキ液圧制御装置3にあっては、その液圧制御弁11を、12個などと多くを有するとともに、電子部品D、マイコンMも多くなり、その液圧制御弁11及び電子部品D、マイコンMの増加は、上記従来の各液圧制御弁11のコイルと基板22上の制御回路との接続構造であると、電子部品D、マイコンMの実装面積の増大を招く上に、その無効面積の増大を招く。これらは、基板22の大型化に繋がり、その大型化は、そのケーシング21の大型化となり、ブレーキ液圧制御装置3の大型化を招く。
一方、上述のように、車両の高性能化につれて、部品(装置)数は飛躍的に増大しているが、各構成部品にはその小型化が要求されており、ブレーキ液圧制御装置3の大型化は好ましくない。
【0009】
この発明は、液圧制御弁11及び電子部品D、マイコンMを多く有するブレーキ液圧制御装置3の小型化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために、この発明は、各液圧制御弁からの基板上のその制御回路への接続を、その基板と各液圧制御弁との間の一部に集めた後、その制御回路に接続するようにしたのである。
基板と各液圧制御弁との間の一部に集めれば、その集中部分は、各接続端子部の間隔を支障がない限りにおいて狭くすることができ、図10で示す、各液圧制御弁11から接続片23を単に立ち上げた一点鎖線で囲んだ範囲より、遙かに小さくすることができる。
【0011】
このとき、図10の二点鎖線で囲んだ基板22の外側周縁(外側エリヤc)は、電子部品D、マイコンMの安定実装等の確保のため、電子部品が実装されていない部分であるが、その外側部品実装禁止エリヤcの直ぐ内側に、各液圧制御弁からの接続回路の基板上の回路との接続部を構成することにより、ハンダ付けによる禁止領域e+部品実装禁止領域cの面積を最小とすることができ、従来のデッドスペースの有効利用を図ることができ、その内側の基板上内に電子部品の十分な実装スペースを取ることができる。
また、その液圧制御弁からの基板上回路への接続部を、基板上の外側周縁に沿う複数の個所に設ければ、それぞれの液圧制御弁の近く(近距離)にその接続部を設けることができるため、液圧制御弁から接続部までの回路をより簡略化することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、各液圧制御弁と基板上のその制御回路との接続を、基板の一部に集約してその基板上の回路に導くようにしたので、その接続回路による他の電子部品の基板上への実装の制約が緩和され、それに基づき、その実装無効面積が減少し、その減少したスペース部分をなくすことにより、コンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の一実施形態としては、ハウジング内に、複数の液圧制御弁を組み込み、前記ハウジング外面に各液圧制御弁の制御用電子制御ユニットを取付けた車両用ブレーキ液圧制御装置において、前記電子制御ユニットは、そのケーシング内に各液圧制御弁に対向して基板が取付けられ、各液圧制御弁と前記基板上の液圧制御弁用の制御回路との接続は、前記基板の各液圧制御弁に対向する面と間隙をもった経路を経て、前記基板上の一部に集約されるように導かれて前記制御回路に接続されている構成を採用できる。
【0014】
また、他の実施形態としては、同じく、ハウジング内に、複数の液圧制御弁を組み込み、前記ハウジング外面に各液圧制御弁の制御用電子制御ユニットを取付けた車両用ブレーキ液圧制御装置において、前記電子制御ユニットは、そのケーシング内に各液圧制御弁に対向して基板が取付けられ、各液圧制御弁と前記基板上の液圧制御弁用の制御回路との接続は、前記基板の各液圧制御弁に対向する面と間隙をもった経路を経てその基板外周側に至った後、前記基板上に導かれて前記制御回路に接続されている構成を採用できる。
このとき、その接続部は、一個所に限らず、複数の個所とすることができる。
【0015】
上記各液圧制御弁と基板上のその制御回路との接続は、上記ケーシングと上記ハウジングとの間に設けられた隔壁にバスバーを設け、そのバスバーにより形成したものとし得る。
このとき、バスバーは、その隔壁に埋設したり(埋め込み成形したり)、その隔壁の表面又は裏面に接着又は埋め込みする。
【0016】
なお、隔壁がない場合には、バスバーを上記基板の各液圧制御弁に対向する面と間隙をもって上記ケーシング内を配線した後、前記基板上に導かれるようにすることができる。この場合、バスバーは、そのケーシングに支持されることとなる。
また、液圧制御弁から接続される基板上のその制御回路は、基板のどちらかの面の回路に限定されず、その液圧制御弁からの接続回路が接続されるものであれば、その基板の面は限定されない。例えば、基板の両面に回路が形成されている場合において、その接続回路が接続される基板上の回路の形成面は任意である。
【実施例】
【0017】
図1乃至図3に一実施例を示し、この実施例は、図7に示したハイドロブレーキブースタのブレーキ液圧制御装置3に係り、前述と同一符号は同一物を示し、同様に、ハウジング10内に、複数の液圧制御弁11及びセンサ12等を並列して組み込み、そのハウジング10外面にその各液圧制御弁11等の制御用電子制御ユニット20を取付け、そのケーシング21内にその液圧制御弁11等の制御用基板22を取付けた態様である。
【0018】
上記ハウジング10は、プラスチック製のケース13を有し、そのケース13の成形時に、各液圧制御弁11から電子制御ユニット20の基板22への接続回路をなすバスバー14がその上壁13a内に埋設(インサート成形)されている。上壁13aには、各液圧制御弁11及びセンサ12に対向する部分に孔15が形成され、センサ12は、この孔15から接続片16を基板22に向かって立ち上げるとともに基板22を貫通させて、基板22上の制御回路の各端子24に電気接続されている(図3、図4b参照)。
【0019】
各液圧制御弁11に対向する各孔15には、上記バスバー14の一端が導かれており、この一端に各液圧制御弁11のコイルが電気接続されている(図1、図3参照 その接続点を11aで示す)。各液圧制御弁11に電気接続された各バスバー14は、図3〜図4bに示すように、電子制御ユニット20とハウジング10の隔壁となるケース13の上壁13a内に埋設されて、図10に示した外側エリヤc(図2参照)の直ぐ内側に相当する位置に導かれた後、立ち上がって基板22上の外側エリヤcに添うように制御回路に半田接続されている(その制御回路の接続端子を24で示す)。このとき、その接続部(接続端子24)は、できる限り、それぞれの液圧制御弁11から最も近距離となる複数個所とする。
【0020】
なお、図2において、Mはマイコン、Dは各種の電子部品であって、これらにより制御回路が構成されるが、図面上は省略しており、その制御回路の形成エリヤSを二点鎖線で囲む。また、図3において、Cは、外部コネクタC1との接続部であり、電源、各種のセンサ等と接続されており、また、C2は電源コネクタ、C3はモータ8への接続コネクタであり、それぞれ基板22上の端子24に接続されている。さらに、図4aは、図3において、孔15等を省略した基板22に対するバスバー14の配線(配置)を表したものである。図4bは、図3において、そのバスバー14を表した(バスバーの配置を重ねた)ものであり、これにより、バスバー14と各液圧制御弁11のコイルとの接続態様を理解できる。
【0021】
この実施例は、上記のように、各液圧制御弁11の一方の極をバスバー14により、基板22上の対の端子に接続し、各液圧制御弁11の他方の極を数本のバスバー14により、基板22上の対の端子24に接続しており、従来と同様に、ブレーキペダル1の踏み込み・解放により、マスタシリンダ2を介して各ブレーキホイルシリンダ4に作動液aを給排するとともに、ブレーキ液圧制御装置3の電子制御ユニット20による各液圧制御弁11をオン・オフすることにより、各ブレーキホイルシリンダ4に作動液aを給排して、ブレーキ液圧を制御する。
【0022】
この実施例では、図2〜図4bから理解できるように、基板22の外側エリヤcの直ぐ内側に各液圧制御弁11からのバスバー14が突出しており(接続端子24があり)、その内側には、十分な電子部品の実装スペース(エリヤ)Sが確保されている。このため、必要な電子部品D(マイコンM等)の実装スペースを確保するために、基板22を大きくする必要がなく、基板22を小さくできて、電子制御ユニット20、ブレーキ液圧制御装置3の小型化を図ることが可能となる。
【0023】
各液圧制御弁11からのバスバー14の基板22に臨む(対向する)一部(基板22と各液圧制御弁11との間の一部)への集中個所(接続端子24を設ける個所)としては、上記外側エリヤcの直ぐ内側に添う形態に限らず、この発明の作用効果を発揮できる個所であれば、任意であり、例えば、図5に示すように、基板22のコーナ部b、図6に示すように、基板22の中央部d等が考えられる。
【0024】
実施例は、ハイドロブレーキブースタのブレーキ液圧制御装置3に係るものであったが、この発明は、ハウジングの両側に電子制御ユニット及びモータを設けた車両ブレーキ液圧制御装置等の各種の態様のブレーキ液圧制御装置に採用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】一実施例の一部切欠き正面図
【図2】図1のA―A線断面図
【図3】同B―B線断面図
【図4a】図3において、上壁13a内のバスバーの配線図
【図4b】図3において、図4aのバスバーを表した図
【図5】他の実施例の概略平面図
【図6】他の実施例の概略平面図
【図7】車両用液圧ブレーキ制御システムの概略図
【図8】ハイドロブレーキブースタ付きブレーキ液圧制御装置の概略斜視図
【図9】従来例の一部切欠き正面図
【図10】従来例の概略平面図
【符号の説明】
【0026】
3 車両ブレーキ液圧制御装置
4a、4b、4c、4d ブレーキホイールシリンダ
10 ハウジング
11 液圧制御弁
11a 液圧制御弁のコイルとバスバーの接続点
13 ケース
13a 隔壁(ケースの上壁)
14、14a、14b バスバー
20 電子制御ユニット
21 カバー
22 基板
24 基板上制御回路のバスバー等との接続端子
c 基板外側スペース(エリヤ)
S 制御回路の形成スペース(電子部品の実装スペース)
【技術分野】
【0001】
この発明は、HB(ハイドロブレーキブースタ)、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、VSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)などの車両用液圧ブレーキ制御システムに組み込まれるブレーキ液圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用液圧ブレーキ制御システムは、図7に示すように、ブレーキペダル1とブレーキホイールシリンダ4(4a、4b、4c、4d)との間にブレーキ液圧制御装置3を介在させ、そのブレーキ液圧制御装置3のハウジング内に組み込んだ増圧制御弁・減圧制御弁等の液圧制御弁をオン・オフさせて、前記ブレーキホイールシリンダ4の液圧を制御するものである(特許文献1等参照)。
この車両用液圧ブレーキ制御システムにおいて、今日、車両の高性能化につれて、ABS、VSC等が組み込まれ、そのブレーキ液圧制御装置3等のそのシステムを構成する部品(装置)数は飛躍的に増大し、その増大に反して各構成部品の小型化が要求される。
【特許文献1】特開2001−260846号公報
【0003】
このような状況下、そのブレーキ液圧制御装置3は、その液圧ブレーキ制御システムの種類によって、様々な態様とされ、例えば、図7、図8に示すように、ハイドロブレーキブースタにおいて、ブレーキ液圧制御装置3を組み込んで小型化したものにあっては、ブレーキペダル1がマスタシリンダ2のピストンロッド5aに連結され、そのマスタシリンダ2のボディ6とブレーキ液圧制御装置3のハウジング10を一体物にして、そのハウジング10内に各種の液圧制御弁等を組み込み、そのボティ6から前後のブレーキホイルシリンダ4a、4b、4c、4dに配管rがなされた構成のものがある(特許文献2参照)。
【0004】
このものは、ブレーキペダル1の踏み込み・解放により、マスタシリンダ2を介して各ブレーキホイルシリンダ4に作動液aを給排するとともに、ブレーキ液圧制御装置3の電子制御ユニット20による各液圧制御弁のオン・オフにより、各ブレーキホイルシリンダ4に作動液aを給排して、ブレーキ液圧を制御する。このとき、作動液aの補充は、モータ8によるポンプ7の作動により、アキュムレータ6aからブレーキ液圧制御装置3に作動液aが送り込まれることにより行われ、ブレーキ液圧制御装置3に戻った作動液aはリザーバタンク9に流入する。
【特許文献2】特開平08−11696号公報
【0005】
このようなブレーキ液圧制御装置3は、通常、図9に示すように、ハウジング10内に、複数の液圧制御弁11等を並列して組み込み、そのハウジング10外面に各制御弁11の制御用電子制御ユニット20を取付け、そのケーシング21内にその液圧制御弁11の制御用基板22を設けた態様である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのブレーキ液圧制御装置3において、従来、各液圧制御弁11のコイルと基板22上の制御回路との接続は、図9及び図10に示すように、各液圧制御弁11から基板22に向かって上方に接続片23を立ち上げ、その接続片23を基板22に通過させてその制御回路に接続する態様である(特許文献3 図7参照)。
【特許文献3】特開平11−165627号公報
【0007】
この接続態様であると、図10の一点鎖線で囲む範囲は、各接続片23が立ち上がって制御回路にハンダ付けされるため、各種の電子部品Dの実装可能な面積がその接続片23により分断され、マイコンM等の大きな部品の実装が困難となるうえに、その接続片23のハンダ付け部分の存在により、他の電子部品Dを設けるスペースが減少し(例えば、一接続片23のハンダ付けによる部品実装禁止区域を、同図のエリヤeで示す)、その電子部品D、マイコンMの実装無効面積が増大する。このため、図10に示すように、各種の電子部品D、マイコンMを基板22上に実装するためには、その基板22を大きくせざるを得ない。
【0008】
今日、例えば、ハイドロブレーキブースタのブレーキ液圧制御装置3にあっては、その液圧制御弁11を、12個などと多くを有するとともに、電子部品D、マイコンMも多くなり、その液圧制御弁11及び電子部品D、マイコンMの増加は、上記従来の各液圧制御弁11のコイルと基板22上の制御回路との接続構造であると、電子部品D、マイコンMの実装面積の増大を招く上に、その無効面積の増大を招く。これらは、基板22の大型化に繋がり、その大型化は、そのケーシング21の大型化となり、ブレーキ液圧制御装置3の大型化を招く。
一方、上述のように、車両の高性能化につれて、部品(装置)数は飛躍的に増大しているが、各構成部品にはその小型化が要求されており、ブレーキ液圧制御装置3の大型化は好ましくない。
【0009】
この発明は、液圧制御弁11及び電子部品D、マイコンMを多く有するブレーキ液圧制御装置3の小型化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために、この発明は、各液圧制御弁からの基板上のその制御回路への接続を、その基板と各液圧制御弁との間の一部に集めた後、その制御回路に接続するようにしたのである。
基板と各液圧制御弁との間の一部に集めれば、その集中部分は、各接続端子部の間隔を支障がない限りにおいて狭くすることができ、図10で示す、各液圧制御弁11から接続片23を単に立ち上げた一点鎖線で囲んだ範囲より、遙かに小さくすることができる。
【0011】
このとき、図10の二点鎖線で囲んだ基板22の外側周縁(外側エリヤc)は、電子部品D、マイコンMの安定実装等の確保のため、電子部品が実装されていない部分であるが、その外側部品実装禁止エリヤcの直ぐ内側に、各液圧制御弁からの接続回路の基板上の回路との接続部を構成することにより、ハンダ付けによる禁止領域e+部品実装禁止領域cの面積を最小とすることができ、従来のデッドスペースの有効利用を図ることができ、その内側の基板上内に電子部品の十分な実装スペースを取ることができる。
また、その液圧制御弁からの基板上回路への接続部を、基板上の外側周縁に沿う複数の個所に設ければ、それぞれの液圧制御弁の近く(近距離)にその接続部を設けることができるため、液圧制御弁から接続部までの回路をより簡略化することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、各液圧制御弁と基板上のその制御回路との接続を、基板の一部に集約してその基板上の回路に導くようにしたので、その接続回路による他の電子部品の基板上への実装の制約が緩和され、それに基づき、その実装無効面積が減少し、その減少したスペース部分をなくすことにより、コンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の一実施形態としては、ハウジング内に、複数の液圧制御弁を組み込み、前記ハウジング外面に各液圧制御弁の制御用電子制御ユニットを取付けた車両用ブレーキ液圧制御装置において、前記電子制御ユニットは、そのケーシング内に各液圧制御弁に対向して基板が取付けられ、各液圧制御弁と前記基板上の液圧制御弁用の制御回路との接続は、前記基板の各液圧制御弁に対向する面と間隙をもった経路を経て、前記基板上の一部に集約されるように導かれて前記制御回路に接続されている構成を採用できる。
【0014】
また、他の実施形態としては、同じく、ハウジング内に、複数の液圧制御弁を組み込み、前記ハウジング外面に各液圧制御弁の制御用電子制御ユニットを取付けた車両用ブレーキ液圧制御装置において、前記電子制御ユニットは、そのケーシング内に各液圧制御弁に対向して基板が取付けられ、各液圧制御弁と前記基板上の液圧制御弁用の制御回路との接続は、前記基板の各液圧制御弁に対向する面と間隙をもった経路を経てその基板外周側に至った後、前記基板上に導かれて前記制御回路に接続されている構成を採用できる。
このとき、その接続部は、一個所に限らず、複数の個所とすることができる。
【0015】
上記各液圧制御弁と基板上のその制御回路との接続は、上記ケーシングと上記ハウジングとの間に設けられた隔壁にバスバーを設け、そのバスバーにより形成したものとし得る。
このとき、バスバーは、その隔壁に埋設したり(埋め込み成形したり)、その隔壁の表面又は裏面に接着又は埋め込みする。
【0016】
なお、隔壁がない場合には、バスバーを上記基板の各液圧制御弁に対向する面と間隙をもって上記ケーシング内を配線した後、前記基板上に導かれるようにすることができる。この場合、バスバーは、そのケーシングに支持されることとなる。
また、液圧制御弁から接続される基板上のその制御回路は、基板のどちらかの面の回路に限定されず、その液圧制御弁からの接続回路が接続されるものであれば、その基板の面は限定されない。例えば、基板の両面に回路が形成されている場合において、その接続回路が接続される基板上の回路の形成面は任意である。
【実施例】
【0017】
図1乃至図3に一実施例を示し、この実施例は、図7に示したハイドロブレーキブースタのブレーキ液圧制御装置3に係り、前述と同一符号は同一物を示し、同様に、ハウジング10内に、複数の液圧制御弁11及びセンサ12等を並列して組み込み、そのハウジング10外面にその各液圧制御弁11等の制御用電子制御ユニット20を取付け、そのケーシング21内にその液圧制御弁11等の制御用基板22を取付けた態様である。
【0018】
上記ハウジング10は、プラスチック製のケース13を有し、そのケース13の成形時に、各液圧制御弁11から電子制御ユニット20の基板22への接続回路をなすバスバー14がその上壁13a内に埋設(インサート成形)されている。上壁13aには、各液圧制御弁11及びセンサ12に対向する部分に孔15が形成され、センサ12は、この孔15から接続片16を基板22に向かって立ち上げるとともに基板22を貫通させて、基板22上の制御回路の各端子24に電気接続されている(図3、図4b参照)。
【0019】
各液圧制御弁11に対向する各孔15には、上記バスバー14の一端が導かれており、この一端に各液圧制御弁11のコイルが電気接続されている(図1、図3参照 その接続点を11aで示す)。各液圧制御弁11に電気接続された各バスバー14は、図3〜図4bに示すように、電子制御ユニット20とハウジング10の隔壁となるケース13の上壁13a内に埋設されて、図10に示した外側エリヤc(図2参照)の直ぐ内側に相当する位置に導かれた後、立ち上がって基板22上の外側エリヤcに添うように制御回路に半田接続されている(その制御回路の接続端子を24で示す)。このとき、その接続部(接続端子24)は、できる限り、それぞれの液圧制御弁11から最も近距離となる複数個所とする。
【0020】
なお、図2において、Mはマイコン、Dは各種の電子部品であって、これらにより制御回路が構成されるが、図面上は省略しており、その制御回路の形成エリヤSを二点鎖線で囲む。また、図3において、Cは、外部コネクタC1との接続部であり、電源、各種のセンサ等と接続されており、また、C2は電源コネクタ、C3はモータ8への接続コネクタであり、それぞれ基板22上の端子24に接続されている。さらに、図4aは、図3において、孔15等を省略した基板22に対するバスバー14の配線(配置)を表したものである。図4bは、図3において、そのバスバー14を表した(バスバーの配置を重ねた)ものであり、これにより、バスバー14と各液圧制御弁11のコイルとの接続態様を理解できる。
【0021】
この実施例は、上記のように、各液圧制御弁11の一方の極をバスバー14により、基板22上の対の端子に接続し、各液圧制御弁11の他方の極を数本のバスバー14により、基板22上の対の端子24に接続しており、従来と同様に、ブレーキペダル1の踏み込み・解放により、マスタシリンダ2を介して各ブレーキホイルシリンダ4に作動液aを給排するとともに、ブレーキ液圧制御装置3の電子制御ユニット20による各液圧制御弁11をオン・オフすることにより、各ブレーキホイルシリンダ4に作動液aを給排して、ブレーキ液圧を制御する。
【0022】
この実施例では、図2〜図4bから理解できるように、基板22の外側エリヤcの直ぐ内側に各液圧制御弁11からのバスバー14が突出しており(接続端子24があり)、その内側には、十分な電子部品の実装スペース(エリヤ)Sが確保されている。このため、必要な電子部品D(マイコンM等)の実装スペースを確保するために、基板22を大きくする必要がなく、基板22を小さくできて、電子制御ユニット20、ブレーキ液圧制御装置3の小型化を図ることが可能となる。
【0023】
各液圧制御弁11からのバスバー14の基板22に臨む(対向する)一部(基板22と各液圧制御弁11との間の一部)への集中個所(接続端子24を設ける個所)としては、上記外側エリヤcの直ぐ内側に添う形態に限らず、この発明の作用効果を発揮できる個所であれば、任意であり、例えば、図5に示すように、基板22のコーナ部b、図6に示すように、基板22の中央部d等が考えられる。
【0024】
実施例は、ハイドロブレーキブースタのブレーキ液圧制御装置3に係るものであったが、この発明は、ハウジングの両側に電子制御ユニット及びモータを設けた車両ブレーキ液圧制御装置等の各種の態様のブレーキ液圧制御装置に採用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】一実施例の一部切欠き正面図
【図2】図1のA―A線断面図
【図3】同B―B線断面図
【図4a】図3において、上壁13a内のバスバーの配線図
【図4b】図3において、図4aのバスバーを表した図
【図5】他の実施例の概略平面図
【図6】他の実施例の概略平面図
【図7】車両用液圧ブレーキ制御システムの概略図
【図8】ハイドロブレーキブースタ付きブレーキ液圧制御装置の概略斜視図
【図9】従来例の一部切欠き正面図
【図10】従来例の概略平面図
【符号の説明】
【0026】
3 車両ブレーキ液圧制御装置
4a、4b、4c、4d ブレーキホイールシリンダ
10 ハウジング
11 液圧制御弁
11a 液圧制御弁のコイルとバスバーの接続点
13 ケース
13a 隔壁(ケースの上壁)
14、14a、14b バスバー
20 電子制御ユニット
21 カバー
22 基板
24 基板上制御回路のバスバー等との接続端子
c 基板外側スペース(エリヤ)
S 制御回路の形成スペース(電子部品の実装スペース)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング10内に、複数の液圧制御弁11を組み込み、前記ハウジング10外面に前記各液圧制御弁11の制御用電子制御ユニット20を取付けた車両用ブレーキ液圧制御装置3において、
上記電子制御ユニット20は、そのケーシング21内に上記各液圧制御弁11に対向して基板22が取付けられ、前記各液圧制御弁11と前記基板22上の液圧制御弁用の制御回路との接続は、前記基板22の各液圧制御弁11に対向する面と間隙をもった経路を経て、前記基板22上の一部に集約されるように導かれて前記制御回路に接続されていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項2】
ハウジング10内に、複数の液圧制御弁11を組み込み、前記ハウジング10外面に前記各液圧制御弁11の制御用電子制御ユニット20を取付けた車両用ブレーキ液圧制御装置3において、
上記電子制御ユニット20は、そのケーシング21内に上記各液圧制御弁11に対向して基板22が取付けられ、前記各液圧制御弁11と前記基板22上の液圧制御弁用の制御回路との接続は、前記基板22の各液圧制御弁11に対向する面と間隙をもった経路を経てその基板22の外周側に至った後、前記基板22上に導かれて前記制御回路に接続されていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項3】
上記各液圧制御弁11と前記基板22上の液圧制御弁用の制御回路との接続は、基板22の複数の個所で行われていることを特徴とする請求項2に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項4】
上記各液圧制御弁11と前記基板22上のその制御回路との接続は、上記ケーシング21と上記ハウジング10との間に設けられた隔壁13aにバスバー14を設け、そのバスバー14により形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項1】
ハウジング10内に、複数の液圧制御弁11を組み込み、前記ハウジング10外面に前記各液圧制御弁11の制御用電子制御ユニット20を取付けた車両用ブレーキ液圧制御装置3において、
上記電子制御ユニット20は、そのケーシング21内に上記各液圧制御弁11に対向して基板22が取付けられ、前記各液圧制御弁11と前記基板22上の液圧制御弁用の制御回路との接続は、前記基板22の各液圧制御弁11に対向する面と間隙をもった経路を経て、前記基板22上の一部に集約されるように導かれて前記制御回路に接続されていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項2】
ハウジング10内に、複数の液圧制御弁11を組み込み、前記ハウジング10外面に前記各液圧制御弁11の制御用電子制御ユニット20を取付けた車両用ブレーキ液圧制御装置3において、
上記電子制御ユニット20は、そのケーシング21内に上記各液圧制御弁11に対向して基板22が取付けられ、前記各液圧制御弁11と前記基板22上の液圧制御弁用の制御回路との接続は、前記基板22の各液圧制御弁11に対向する面と間隙をもった経路を経てその基板22の外周側に至った後、前記基板22上に導かれて前記制御回路に接続されていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項3】
上記各液圧制御弁11と前記基板22上の液圧制御弁用の制御回路との接続は、基板22の複数の個所で行われていることを特徴とする請求項2に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項4】
上記各液圧制御弁11と前記基板22上のその制御回路との接続は、上記ケーシング21と上記ハウジング10との間に設けられた隔壁13aにバスバー14を設け、そのバスバー14により形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−27528(P2006−27528A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211985(P2004−211985)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】
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