車両用ミラー装置
【課題】車両用ドアミラー装置において、モータを回動機構に適切に連絡させる。
【解決手段】車両用ドアミラー装置10では、モータベース28のモータ54がケースの回動機構に連絡されており、モータ54が駆動されることで、回動機構が作動されて、ミラーが格納又は起立される。ここで、モータベース28の変形孔48がモータベース28の下面の剛性を低下させているため、モータベース28の成形後の収縮によって、モータベース28の底部28Aが変形されて車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し上側に変位されている。さらに、モータベース28の底部28Aが、ケースに固定されることで、車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し下側に変位されて、変形を矯正されている。このため、モータ54を回動機構に適切に連絡できて、回動機構が適切に作動できる。
【解決手段】車両用ドアミラー装置10では、モータベース28のモータ54がケースの回動機構に連絡されており、モータ54が駆動されることで、回動機構が作動されて、ミラーが格納又は起立される。ここで、モータベース28の変形孔48がモータベース28の下面の剛性を低下させているため、モータベース28の成形後の収縮によって、モータベース28の底部28Aが変形されて車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し上側に変位されている。さらに、モータベース28の底部28Aが、ケースに固定されることで、車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し下側に変位されて、変形を矯正されている。このため、モータ54を回動機構に適切に連絡できて、回動機構が適切に作動できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のミラーが格納又は起立される車両用ミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のドアミラー装置では、モータベースの長手方向一側部にモータが組付けられると共に、ケース内に回動機構が設けられており、モータベースがケースに取付けられることで、モータが回動機構に連絡されている。このため、モータが駆動されることで、回動機構が作動されて、ミラーが格納又は起立される。
【0003】
しかしながら、このドアミラー装置では、モータベースの成形後の収縮によってモータベースの底部が変形されて長手方向両端側において長手方向中央側に対しケースとは反対側へ変位され易い。
【0004】
ここで、モータベースの底部が長手方向両端側において長手方向中央側に対しケースとは反対側へ変位された場合には、モータベースがケースに取付けられた際に、モータが回動機構に適切に連絡されない可能性がある。このため、モータが回動機構に適切に連絡されるための対策が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−5915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、モータを回動機構に適切に連絡させることができる車両用ミラー装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の車両用ミラー装置は、作動されることで車両のミラーが格納又は起立される回動機構が設けられた回動部材と、組付部が設けられると共に、変形された形状にされることで前記組付部が一側に変位され、前記回動部材に固定されることで前記組付部が他側に変位される組付部材と、前記組付部に組付けられると共に、前記回動機構に連絡され、駆動されることで前記回動機構が作動されるモータと、を備えている。
【0008】
請求項2に記載の車両用ミラー装置は、請求項1に記載の車両用ミラー装置において、前記組付部材に形成され、前記組付部材の成形後の収縮時に前記組付部材を変形させて前記組付部を一側に変位させる変形孔を備えている。
【0009】
請求項3に記載の車両用ミラー装置は、請求項2に記載の車両用ミラー装置において、前記組付部材の前記回動部材への固定範囲に変形孔を形成している。
【0010】
請求項4に記載の車両用ミラー装置は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用ミラー装置において、前記組付部材の前記回動部材への固定範囲が前記回動機構を位置決めする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の車両用ミラー装置では、組付部材の組付部にモータが組付けられると共に、回動部材に回動機構が設けられており、組付部材が回動部材に固定されて、モータが回動機構に連絡されている。これにより、モータが駆動されることで、回動機構が作動されて、ミラーが格納又は起立される。
【0012】
ここで、組付部材が変形された形状にされることで、組付部が一側に変位されており、組付部材が回動部材に固定されることで、組付部が他側に変位される。このため、モータを回動機構に適切に連絡させることができる。
【0013】
請求項2に記載の車両用ミラー装置では、組付部材に変形孔が形成されており、組付部材の成形後の収縮時に、変形孔が、組付部材を変形させて、組付部を一側に変位させる。このため、簡単な構成で、組付部を一側に変位させることができる。
【0014】
請求項3に記載の車両用ミラー装置では、組付部材の回動部材への固定範囲に変形孔を形成している。このため、組付部材の回動部材への固定範囲の剛性を低下させることができ、組付部材を回動部材に固定することで、組付部を他側に効果的に変位させることができる。
【0015】
請求項4に記載の車両用ミラー装置では、組付部材の回動部材への固定範囲が回動機構を位置決めする。このため、組付部材を回動部材に固定することで、組付部材が回動機構を適切に位置決めできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベース及びモータを示す車両後斜め左方から見た斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す車両後方から見た正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す車両右方から見た側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す車両左方から見た側面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す上方から見た平面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す下方から見た下面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す車両後斜め上方から見た斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す車両前斜め下方から見た斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構の主要部を示す上方から見た平面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構を示す車両後方から見た断面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置を示す車両後方から見た正面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す下方から見た下面図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す車両後方から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
図10には、本発明の第1の実施の形態に係る車両用ミラー装置としての車両用ドアミラー装置10の主要部が車両後方から見た断面図にて示されており、図11には、車両用ドアミラー装置10が車両後方から見た正面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示している。
【0018】
本実施の形態に係る車両用ドアミラー装置10は、車両のドアとしてのサイドドア(特にフロントサイドドア)の上下方向中間部かつ車両前側端に設けられて、車両外側に配置されている。
【0019】
図11に示す如く、車両用ドアミラー装置10は、ステー12を備えており、ステー12の車幅方向内側端がサイドドアに固定されることで、車両用ドアミラー装置10がサイドドアに支持されている。
【0020】
ステー12の車幅方向外側部分の上側には、格納機構14(電動格納機構)が支持されている。
【0021】
図10にも示す如く、格納機構14には、金属製の支持体16(スタンド)が設けられている。支持体16の下端には、固定部18が設けられており、固定部18がステー12に固定されることで、支持体16がステー12に固定されて、格納機構14がステー12に支持されている。固定部18の上側には、円筒状の支持軸20が設けられており、支持軸20は、固定部18と一体にされて、固定部18から上方に起立されている。
【0022】
支持軸20には、図10に詳細に示す回動体22が回動可能に支持されている。
【0023】
回動体22の下側部分には、回動部材としての樹脂製で容器状のケース24(図9参照)が設けられており、ケース24の上面は、開放されている。ケース24の底壁の車幅方向内側部分には、支持体16の支持軸20が貫通かつ嵌合されており、ケース24は、支持軸20に回動可能に支持されている。ケース24の底壁上面の内周側部分には、配置部としての配置凹部26が形成されており、配置凹部26は、上側に開放されている。
【0024】
ケース24の上部内には、図1〜図8に詳細に示す組付部材としての樹脂製のモータベース28が設けられており、モータベース28は、平面視で車幅方向に長尺にされている。
【0025】
モータベース28の車幅方向内側部分には、支持部としての略円筒状の支持筒30が設けられており、支持筒30内には、支持体16の支持軸20が配置されている。支持筒30は、上部が下側の部分に比し縮径されており、支持筒30の上部が支持軸20に嵌合されることで、モータベース28が支持軸20に回動可能に支持されている。また、支持筒30の下端部は、モータベース28の底部28Aを構成している。
【0026】
支持筒30の車幅方向外側には、底部28Aを構成する略矩形板状の底壁32が一体に設けられており、底壁32は、支持筒30の下端部から車幅方向外側へ延出されている。底壁32の上面には、組付部としての略楕円筒状の組付筒34が一体に設けられており、組付筒34は、底壁32から上側に突出されている。また、組付筒34の下端部は、モータベース28の底部28Aを構成している。
【0027】
底壁32の周囲には、底部28Aを構成する平面視U字形板状の外周壁36が一体に設けられており、外周壁36は、長手方向両端部において支持筒30に連結されると共に、底壁32に対し上側及び下側に延出されている。外周壁36の長手方向両端近傍には、U字形平板状の設置板36Aが一体に設けられており、一対の設置板36Aは、車両前後方向において互いに対向している。設置板36Aは、外周壁36から上側に突出されており、設置板36A内は、上側に開放されている。
【0028】
底壁32の上面には、底部28Aを構成する補強部としての長尺平板状の第1補強リブ38が一対一体に設けられており、第1補強リブ38は、車両前後方向に延伸されている。第1補強リブ38は、外周壁36の長手方向両端近傍間(一対の設置板36A間を含む)を連結しており、第1補強リブ38は、底壁32及び外周壁36(一対の設置板36Aを含む)を補強している。
【0029】
底壁32の上面には、底部28Aを構成する補強部としての長尺平板状の第2補強リブ40が一対一体に設けられており、第2補強リブ40は、第1補強リブ38に交差(直交)されつつ、車幅方向に延伸されている。第2補強リブ40は、支持筒30と組付筒34とを連結しており、第2補強リブ40は、底壁32、支持筒30及び組付筒34を補強している。
【0030】
底壁32の上面には、第1補強リブ38の車両後側端部の車幅方向内側近傍と車両前側端部の車幅方向外側近傍とにおいて、固定部としての円柱状の固定凹部42が形成されており、固定凹部42は、上側に開放されると共に、外周壁36を貫通して外周壁36の外側に開放されている。
【0031】
底壁32の下面には、車両前側端部及び車両後側端部において、位置決め部としての矩形板状の押圧リブ44が一体に設けられており、一対の押圧リブ44は、それぞれ底壁32から下側に突出されると共に、互いに対向されている。一対の押圧リブ44は、それぞれ車両前側の固定凹部42の車両後側及び車両後側の固定凹部42の車両前側に配置されており、一対の押圧リブ44は、モータベース28の一対の固定凹部42間の車幅方向(長手方向)範囲に配置されている。
【0032】
底壁32の下面には、長尺柱状の押圧柱46が一体に設けられており、押圧柱46は、一対の押圧リブ44間に延伸されている。押圧柱46は、車両後側の押圧リブ44の近傍において、車両前側部分と車両後側部分とに分離されており、押圧柱46の車両前側部分と車両後側部分との間には、分離凹部46Aが形成されている。
【0033】
モータベース28の車幅方向中央部における外周壁36の長手方向両端近傍(一対の設置板36A形成位置)には、底壁32より下側において、矩形状の変形孔48が貫通形成されており、変形孔48は、下側に開放されている。変形孔48は、外周壁36の下側部分の剛性を低下させて、モータベース28の下面の剛性を低下させており、これにより、モータベース28の成形後の収縮によって、モータベース28の底部28Aが変形(湾曲)されて、モータベース28の底部28Aが車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し上側(ケース24とは反対側)に変位されることで、支持筒30が車幅方向内側へ変位(回動)されると共に、組付筒34が車幅方向外側へ変位(回動)されている。また、一対の変形孔48は、モータベース28の一対の固定凹部42間の車幅方向範囲に配置されている。
【0034】
モータベース28の下側部は、ケース24の周壁内に圧入されており、モータベース28の底部28Aが一対の固定凹部42においてスクリュー50(図7参照)によってケース24の底壁に締結(締付)固定されることで、モータベース28がケース24に取付けられている。また、モータベース28の底部28Aが一対の固定凹部42においてスクリュー50によってケース24の底壁に締結固定されることで、モータベース28の底部28Aが車幅方向両端部をケース24の底壁上面に当接された状態で車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し下側(ケース24側)に変位されて、モータベース28の底部28Aが車幅方向両端部及び車幅方向中央部においてケース24の底壁上面に当接される。これにより、モータベース28の底部28Aの変形が矯正されることで、支持筒30が車幅方向外側へ変位(回動)されると共に、組付筒34が車幅方向内側へ変位(回動)されて、支持筒30の軸方向と組付筒34の軸方向とが平行にされている。
【0035】
図10に示す如く、ケース24及びモータベース28の上側には、被覆部材としての樹脂製で容器状のカバー52が設けられており、カバー52の下面は、開放されている。カバー52の下端は、ケース24の上端部外周に固定されており、カバー52は、ケース24及びモータベース28の上側を被覆している。カバー52の車幅方向内側部分は、モータベース28の支持筒30に嵌合されており、カバー52の車幅方向内側部分は、支持筒30を下側に押圧している。
【0036】
モータベース28の組付筒34内には、モータ54の本体部54Aが嵌合されて組付けられており、モータ54の金属製の出力軸54Bは、モータベース28の底壁32を貫通して、モータベース28の下側に延出されている。
【0037】
モータベース28とカバー52との間には、制御手段としての制御基板56が設置されており、制御基板56は、モータベース28の一対の設置板36A内に嵌合されると共に、カバー52に保持されている。制御基板56は、モータ54に電気的に接続されており、これにより、制御基板56の制御により、モータ54が駆動されて、モータ54の出力軸54Bが回転される。
【0038】
図9及び図10に示す如く、ケース24の底壁の配置凹部26内には、回動機構58(ギア機構)が設けられている。
【0039】
回動機構58には、モータ54の下側において、ギア部材(初段ギア)としての樹脂製のウォームギア60が設けられている。ウォームギア60には、軸心に沿って、挿入孔62が形成されており、挿入孔62には、上側からモータ54の出力軸54Bが挿入されている。ウォームギア60と出力軸54Bとは相対回転不能にされており、出力軸54Bが回転されることで、回動機構58が作動されて、ウォームギア60が出力軸54Bと一体回転可能にされている。
【0040】
ウォームギア60の下部には、円筒状の軸支部60Aが同軸上に形成されており、軸支部60Aは、ケース24の配置凹部26下壁における円柱状の軸支凹部64に嵌入されている。これにより、軸支部60Aが軸支凹部64に回転自在に軸支されると共に、ウォームギア60の下側への移動が軸支凹部64の下面によって制限(係止)されている。
【0041】
回動機構58には、ウォームギア60の車幅方向内側において、連絡ギア(中間ギア)としてのウォームシャフト66が設けられている。ウォームシャフト66の軸方向両端は、ケース24の配置凹部26の側壁に下側及び水平方向両側から支持されると共に、モータベース28の一対の押圧リブ44に上側から押圧(支持)されており、これにより、ウォームシャフト66の軸方向両端が位置決めされて、ウォームシャフト66が回転自在に軸支されている。
【0042】
ウォームシャフト66には、金属製で円軸状のギア軸68が設けられており、ギア軸68の一端側部分(車両後側部分)には、樹脂製のヘリカルギア部70(ウォームホイールギア)が固定されると共に、ギア軸68の他端側部分(車両前側部分)には、金属製のウォームギア部72が固定されている。ヘリカルギア部70は、ウォームギア60に噛合されており、ウォームギア60が回転されることで、ヘリカルギア部70、ギア軸68及びウォームギア部72が一体回転されて、ウォームシャフト66が回転される。また、ヘリカルギア部70の最大径部分(ギヤ歯部分)は、モータベース28の押圧柱46の分離凹部46A内に配置されており、分離凹部46Aによってヘリカルギア部70の軸方向への移動が制限されて、ウォームシャフト66の軸方向への移動が制限されている。
【0043】
回動機構58には、固定ギア(最終ギア)としての金属製のギアプレート74が設けられている。ギアプレート74には、支持体16の支持軸20が貫通されており、ギアプレート74は、支持軸20と同軸上に配置されると共に、回動機構58の作動中は支持軸20に対して回転不能に保持されている。ギアプレート74には、ウォームシャフト66のウォームギア部72が噛合されており、ウォームギア部72が回転されることで、ウォームギア部72がギアプレート74の回りを回動される。これにより、回動体22がウォームギア部72と一体に支持軸20の回りを回動可能にされている。
【0044】
図11に示す如く、回動体22は、被覆部材としての略直方体形容器状のバイザ76の車幅方向内側部分内に収容されており、バイザ76の車両後側面は、開放されている。バイザ76内には、車両後側面(開放部分)近傍において、略矩形板状のミラー78が配置されており、バイザ76は、ミラー78の全周及び車両前側面を被覆している。ミラー78の鏡面78Aは、車両後側へ向けられており、ミラー78によって車両の乗員(特に運転手)が車両後側を視認可能にされている。
【0045】
バイザ76及びミラー78は、回動体22に連結されて支持されており、バイザ76及びミラー78は、回動体22と一体に支持軸20の回りを回動可能にされている。このため、モータ54が駆動されて出力軸54Bが一方向へ回転されることで、バイザ76及びミラー78が回動体22と一体に車両後側かつ車幅方向内側へ回動される。これにより、バイザ76及びミラー78が、サイドドアに対する突出を解除されて、格納される。一方、モータ54が駆動されて出力軸54Bが他方向へ回転されることで、バイザ76及びミラー78が回動体22と一体に車両前側かつ車幅方向外側へ回動される。これにより、バイザ76及びミラー78が、サイドドアに対して突出されて、起立(展開、復帰)される。
【0046】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0047】
以上の構成の車両用ドアミラー装置10では、格納機構14において、モータ54が駆動されて、出力軸54Bが回転されることで、回動機構58が作動される。このため、ウォームギア60が出力軸54Bと一体に回転されて、ウォームシャフト66が回転される(ヘリカルギア部70、ギア軸68及びウォームギア部72が一体回転される)ことで、ウォームギア部72がギアプレート74の回りを回動されて、回動体22がウォームギア部72と一体に支持軸20の回りを回動される。これにより、バイザ76及びミラー78が、回動体22と一体に回動されて、格納又は起立される。
【0048】
ここで、モータベース28の車幅方向中央部における外周壁36の一対の変形孔48が、外周壁36の下側部分の剛性を低下させて、モータベース28の下面の剛性を低下させている。このため、モータベース28の成形後の収縮によって、モータベース28の底部28Aが変形されて、モータベース28の底部28Aが車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し上側に変位されることで、支持筒30が車幅方向内側へ変位(回動)されると共に、組付筒34が車幅方向外側へ変位(回動)されている。
【0049】
さらに、モータベース28の底部28Aが一対の固定凹部42においてスクリュー50によってケース24の底壁に締結固定されることで、モータベース28の底部28Aが車幅方向両端部をケース24の底壁上面に当接された状態で車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し下側に変位されて、モータベース28の底部28Aが車幅方向両端部及び車幅方向中央部においてケース24の底壁上面に当接される。これにより、モータベース28の底部28Aの変形が矯正されることで、支持筒30が車幅方向外側へ変位(回動)されると共に、組付筒34が車幅方向内側へ変位(回動)されて、支持筒30の軸方向と組付筒34の軸方向とが平行にされている。
【0050】
このため、モータ54の出力軸54Bがウォームギア60の挿入孔62に適切に挿入されて、出力軸54B、ウォームギア60(軸支部60Aを含む)及びケース24の軸支凹部64が同軸上に配置される。これにより、出力軸54Bの回転によってウォームギア60及びウォームシャフト66が適切に回転できて、回動機構58が適切に作動でき、格納機構14によってバイザ76及びミラー78を適切に格納及び起立させることができる。
【0051】
また、モータベース28の成形後の収縮によるモータベース28の底部28Aの変形にバラツキがあっても、モータベース28の底部28Aが一対の固定凹部42においてスクリュー50によってケース24の底壁に締結固定されることで、モータベース28の底部28Aの変形が矯正される。これにより、モータベース28を高精度に成形する必要がなく、モータベース28を簡単に製造できる。
【0052】
さらに、上述の如く、モータベース28の外周壁36に変形孔48を形成することで、モータベース28の成形後の収縮によって、モータベース28の底部28Aが変形されて、モータベース28の底部28Aが車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し上側に変位される。このため、簡単な構成で、モータベース28の車幅方向中央側をモータベース28の車幅方向両端側に対し上側に変位させることができる。
【0053】
また、一対の変形孔48が、モータベース28の一対の固定凹部42間の車幅方向範囲に配置されている。このため、モータベース28のケース24に固定する車幅方向範囲の剛性を低下させることができ、モータベース28を一対のスクリュー50によってケース24に固定することで、モータベース28の車幅方向中央側をモータベース28の車幅方向両端側に対し効果的に下側に変位させることができる。
【0054】
さらに、一対の押圧リブ44が、モータベース28の一対の固定凹部42間の車幅方向範囲に配置されている。このため、モータベース28を一対のスクリュー50によってケース24に固定することで、一対の押圧リブ44がそれぞれウォームシャフト66の軸方向両端を強固に押圧できて、ウォームシャフト66の軸方向両端を強固に位置決めでき、ウォームシャフト66を適切に回転自在に軸支できる。これにより、ウォームシャフト66が一層適切に回転できて、回動機構58が一層適切に作動でき、格納機構14によってバイザ76及びミラー78を一層適切に格納及び起立させることができる。
【0055】
[第2の実施の形態]
図12には、本発明の第2の実施の形態に係る車両用ミラー装置としての車両用ドアミラー装置80におけるモータベース28が下方から見た下面図にて示されている。
【0056】
本実施の形態に係る車両用ドアミラー装置80は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0057】
本実施の形態に係る車両用ドアミラー装置80では、モータベース28の車幅方向中央部における底壁32の下面に、一対の設置板36A形成位置間において、長尺矩形状の変形孔48(変形凹部)が形成されており、変形孔48は、底壁32の押圧柱46形成部分を除く部分において車両前後方向(幅方向)に沿って延伸されると共に、下側に開放されている。変形孔48は、底壁32の下側部分の剛性を低下させて、モータベース28の下面の剛性を低下させており、これにより、モータベース28の成形後の収縮によって、モータベース28の底部28Aが変形(湾曲)されて、モータベース28の底部28Aが車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し上側(ケース24とは反対側)に変位されることで、支持筒30が車幅方向内側へ変位(回動)されると共に、組付筒34が車幅方向外側へ変位(回動)されている。また、変形孔48は、モータベース28の一対の固定凹部42間の車幅方向範囲に配置されている。
【0058】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、モータベース28の底壁32の押圧柱46形成部分を除く部分において変形孔48を車両前後方向(幅方向)に沿って形成した。しかしながら、モータベース28の底壁32の車両前後方向(幅方向)全体に亘って変形孔48を形成してもよい。
【0060】
[第3の実施の形態]
図13には、本発明の第3の実施の形態に係る車両用ミラー装置としての車両用ドアミラー装置90におけるモータベース28が車両後方から見た正面図にて示されている。
【0061】
本実施の形態に係る車両用ドアミラー装置90は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0062】
本実施の形態に係る車両用ドアミラー装置90では、モータベース28の車幅方向外側部における外周壁36に、車両後側部分(車両前側部分でもよい)において、矩形状の変形孔48が貫通形成されており、変形孔48は、上側及び下側に開放されている。変形孔48は、外周壁36の下側部分の剛性を低下させて、モータベース28の下面の剛性を低下させており、これにより、モータベース28の成形後の収縮によって、モータベース28の底部28Aが変形(湾曲)されて、モータベース28の底部28Aが車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し上側(ケース24とは反対側)に変位されることで、支持筒30が車幅方向内側へ変位(回動)されると共に、組付筒34が車幅方向外側へ変位(回動)されている。
【0063】
ここで、本実施の形態でも、変形孔48がモータベース28の一対の固定凹部42間の車幅方向範囲に配置されることによる作用及び効果を除き、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0064】
なお、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態の少なくとも1つの変形孔48をモータベース28に形成した構成であればよい。
【0065】
さらに、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、モータベース28に変形孔48を形成することで、モータベース28の成形後の収縮によってモータベース28を変形させた。しかしながら、必ずしもモータベース28に変形孔48を形成する必要はなく、例えばモータベース28を変形させた形状に成形してもよい。
【0066】
また、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、本発明の車両用ミラー装置を車両用ドアミラー装置10、80、90に適用した。しかしながら、本発明の車両用ミラー装置を車両外部の他の車両用アウタミラー装置(例えば車両用フェンダミラー装置)又は車両内部の車両用インナミラー装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
24 ケース(回動部材)
28 モータベース(組付部材)
34 組付筒(組付部)
48 変形孔
54 モータ
58 回動機構
78 ミラー
80 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
90 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のミラーが格納又は起立される車両用ミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のドアミラー装置では、モータベースの長手方向一側部にモータが組付けられると共に、ケース内に回動機構が設けられており、モータベースがケースに取付けられることで、モータが回動機構に連絡されている。このため、モータが駆動されることで、回動機構が作動されて、ミラーが格納又は起立される。
【0003】
しかしながら、このドアミラー装置では、モータベースの成形後の収縮によってモータベースの底部が変形されて長手方向両端側において長手方向中央側に対しケースとは反対側へ変位され易い。
【0004】
ここで、モータベースの底部が長手方向両端側において長手方向中央側に対しケースとは反対側へ変位された場合には、モータベースがケースに取付けられた際に、モータが回動機構に適切に連絡されない可能性がある。このため、モータが回動機構に適切に連絡されるための対策が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−5915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、モータを回動機構に適切に連絡させることができる車両用ミラー装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の車両用ミラー装置は、作動されることで車両のミラーが格納又は起立される回動機構が設けられた回動部材と、組付部が設けられると共に、変形された形状にされることで前記組付部が一側に変位され、前記回動部材に固定されることで前記組付部が他側に変位される組付部材と、前記組付部に組付けられると共に、前記回動機構に連絡され、駆動されることで前記回動機構が作動されるモータと、を備えている。
【0008】
請求項2に記載の車両用ミラー装置は、請求項1に記載の車両用ミラー装置において、前記組付部材に形成され、前記組付部材の成形後の収縮時に前記組付部材を変形させて前記組付部を一側に変位させる変形孔を備えている。
【0009】
請求項3に記載の車両用ミラー装置は、請求項2に記載の車両用ミラー装置において、前記組付部材の前記回動部材への固定範囲に変形孔を形成している。
【0010】
請求項4に記載の車両用ミラー装置は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用ミラー装置において、前記組付部材の前記回動部材への固定範囲が前記回動機構を位置決めする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の車両用ミラー装置では、組付部材の組付部にモータが組付けられると共に、回動部材に回動機構が設けられており、組付部材が回動部材に固定されて、モータが回動機構に連絡されている。これにより、モータが駆動されることで、回動機構が作動されて、ミラーが格納又は起立される。
【0012】
ここで、組付部材が変形された形状にされることで、組付部が一側に変位されており、組付部材が回動部材に固定されることで、組付部が他側に変位される。このため、モータを回動機構に適切に連絡させることができる。
【0013】
請求項2に記載の車両用ミラー装置では、組付部材に変形孔が形成されており、組付部材の成形後の収縮時に、変形孔が、組付部材を変形させて、組付部を一側に変位させる。このため、簡単な構成で、組付部を一側に変位させることができる。
【0014】
請求項3に記載の車両用ミラー装置では、組付部材の回動部材への固定範囲に変形孔を形成している。このため、組付部材の回動部材への固定範囲の剛性を低下させることができ、組付部材を回動部材に固定することで、組付部を他側に効果的に変位させることができる。
【0015】
請求項4に記載の車両用ミラー装置では、組付部材の回動部材への固定範囲が回動機構を位置決めする。このため、組付部材を回動部材に固定することで、組付部材が回動機構を適切に位置決めできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベース及びモータを示す車両後斜め左方から見た斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す車両後方から見た正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す車両右方から見た側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す車両左方から見た側面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す上方から見た平面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す下方から見た下面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す車両後斜め上方から見た斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す車両前斜め下方から見た斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構の主要部を示す上方から見た平面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構を示す車両後方から見た断面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置を示す車両後方から見た正面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す下方から見た下面図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構のモータベースを示す車両後方から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
図10には、本発明の第1の実施の形態に係る車両用ミラー装置としての車両用ドアミラー装置10の主要部が車両後方から見た断面図にて示されており、図11には、車両用ドアミラー装置10が車両後方から見た正面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示している。
【0018】
本実施の形態に係る車両用ドアミラー装置10は、車両のドアとしてのサイドドア(特にフロントサイドドア)の上下方向中間部かつ車両前側端に設けられて、車両外側に配置されている。
【0019】
図11に示す如く、車両用ドアミラー装置10は、ステー12を備えており、ステー12の車幅方向内側端がサイドドアに固定されることで、車両用ドアミラー装置10がサイドドアに支持されている。
【0020】
ステー12の車幅方向外側部分の上側には、格納機構14(電動格納機構)が支持されている。
【0021】
図10にも示す如く、格納機構14には、金属製の支持体16(スタンド)が設けられている。支持体16の下端には、固定部18が設けられており、固定部18がステー12に固定されることで、支持体16がステー12に固定されて、格納機構14がステー12に支持されている。固定部18の上側には、円筒状の支持軸20が設けられており、支持軸20は、固定部18と一体にされて、固定部18から上方に起立されている。
【0022】
支持軸20には、図10に詳細に示す回動体22が回動可能に支持されている。
【0023】
回動体22の下側部分には、回動部材としての樹脂製で容器状のケース24(図9参照)が設けられており、ケース24の上面は、開放されている。ケース24の底壁の車幅方向内側部分には、支持体16の支持軸20が貫通かつ嵌合されており、ケース24は、支持軸20に回動可能に支持されている。ケース24の底壁上面の内周側部分には、配置部としての配置凹部26が形成されており、配置凹部26は、上側に開放されている。
【0024】
ケース24の上部内には、図1〜図8に詳細に示す組付部材としての樹脂製のモータベース28が設けられており、モータベース28は、平面視で車幅方向に長尺にされている。
【0025】
モータベース28の車幅方向内側部分には、支持部としての略円筒状の支持筒30が設けられており、支持筒30内には、支持体16の支持軸20が配置されている。支持筒30は、上部が下側の部分に比し縮径されており、支持筒30の上部が支持軸20に嵌合されることで、モータベース28が支持軸20に回動可能に支持されている。また、支持筒30の下端部は、モータベース28の底部28Aを構成している。
【0026】
支持筒30の車幅方向外側には、底部28Aを構成する略矩形板状の底壁32が一体に設けられており、底壁32は、支持筒30の下端部から車幅方向外側へ延出されている。底壁32の上面には、組付部としての略楕円筒状の組付筒34が一体に設けられており、組付筒34は、底壁32から上側に突出されている。また、組付筒34の下端部は、モータベース28の底部28Aを構成している。
【0027】
底壁32の周囲には、底部28Aを構成する平面視U字形板状の外周壁36が一体に設けられており、外周壁36は、長手方向両端部において支持筒30に連結されると共に、底壁32に対し上側及び下側に延出されている。外周壁36の長手方向両端近傍には、U字形平板状の設置板36Aが一体に設けられており、一対の設置板36Aは、車両前後方向において互いに対向している。設置板36Aは、外周壁36から上側に突出されており、設置板36A内は、上側に開放されている。
【0028】
底壁32の上面には、底部28Aを構成する補強部としての長尺平板状の第1補強リブ38が一対一体に設けられており、第1補強リブ38は、車両前後方向に延伸されている。第1補強リブ38は、外周壁36の長手方向両端近傍間(一対の設置板36A間を含む)を連結しており、第1補強リブ38は、底壁32及び外周壁36(一対の設置板36Aを含む)を補強している。
【0029】
底壁32の上面には、底部28Aを構成する補強部としての長尺平板状の第2補強リブ40が一対一体に設けられており、第2補強リブ40は、第1補強リブ38に交差(直交)されつつ、車幅方向に延伸されている。第2補強リブ40は、支持筒30と組付筒34とを連結しており、第2補強リブ40は、底壁32、支持筒30及び組付筒34を補強している。
【0030】
底壁32の上面には、第1補強リブ38の車両後側端部の車幅方向内側近傍と車両前側端部の車幅方向外側近傍とにおいて、固定部としての円柱状の固定凹部42が形成されており、固定凹部42は、上側に開放されると共に、外周壁36を貫通して外周壁36の外側に開放されている。
【0031】
底壁32の下面には、車両前側端部及び車両後側端部において、位置決め部としての矩形板状の押圧リブ44が一体に設けられており、一対の押圧リブ44は、それぞれ底壁32から下側に突出されると共に、互いに対向されている。一対の押圧リブ44は、それぞれ車両前側の固定凹部42の車両後側及び車両後側の固定凹部42の車両前側に配置されており、一対の押圧リブ44は、モータベース28の一対の固定凹部42間の車幅方向(長手方向)範囲に配置されている。
【0032】
底壁32の下面には、長尺柱状の押圧柱46が一体に設けられており、押圧柱46は、一対の押圧リブ44間に延伸されている。押圧柱46は、車両後側の押圧リブ44の近傍において、車両前側部分と車両後側部分とに分離されており、押圧柱46の車両前側部分と車両後側部分との間には、分離凹部46Aが形成されている。
【0033】
モータベース28の車幅方向中央部における外周壁36の長手方向両端近傍(一対の設置板36A形成位置)には、底壁32より下側において、矩形状の変形孔48が貫通形成されており、変形孔48は、下側に開放されている。変形孔48は、外周壁36の下側部分の剛性を低下させて、モータベース28の下面の剛性を低下させており、これにより、モータベース28の成形後の収縮によって、モータベース28の底部28Aが変形(湾曲)されて、モータベース28の底部28Aが車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し上側(ケース24とは反対側)に変位されることで、支持筒30が車幅方向内側へ変位(回動)されると共に、組付筒34が車幅方向外側へ変位(回動)されている。また、一対の変形孔48は、モータベース28の一対の固定凹部42間の車幅方向範囲に配置されている。
【0034】
モータベース28の下側部は、ケース24の周壁内に圧入されており、モータベース28の底部28Aが一対の固定凹部42においてスクリュー50(図7参照)によってケース24の底壁に締結(締付)固定されることで、モータベース28がケース24に取付けられている。また、モータベース28の底部28Aが一対の固定凹部42においてスクリュー50によってケース24の底壁に締結固定されることで、モータベース28の底部28Aが車幅方向両端部をケース24の底壁上面に当接された状態で車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し下側(ケース24側)に変位されて、モータベース28の底部28Aが車幅方向両端部及び車幅方向中央部においてケース24の底壁上面に当接される。これにより、モータベース28の底部28Aの変形が矯正されることで、支持筒30が車幅方向外側へ変位(回動)されると共に、組付筒34が車幅方向内側へ変位(回動)されて、支持筒30の軸方向と組付筒34の軸方向とが平行にされている。
【0035】
図10に示す如く、ケース24及びモータベース28の上側には、被覆部材としての樹脂製で容器状のカバー52が設けられており、カバー52の下面は、開放されている。カバー52の下端は、ケース24の上端部外周に固定されており、カバー52は、ケース24及びモータベース28の上側を被覆している。カバー52の車幅方向内側部分は、モータベース28の支持筒30に嵌合されており、カバー52の車幅方向内側部分は、支持筒30を下側に押圧している。
【0036】
モータベース28の組付筒34内には、モータ54の本体部54Aが嵌合されて組付けられており、モータ54の金属製の出力軸54Bは、モータベース28の底壁32を貫通して、モータベース28の下側に延出されている。
【0037】
モータベース28とカバー52との間には、制御手段としての制御基板56が設置されており、制御基板56は、モータベース28の一対の設置板36A内に嵌合されると共に、カバー52に保持されている。制御基板56は、モータ54に電気的に接続されており、これにより、制御基板56の制御により、モータ54が駆動されて、モータ54の出力軸54Bが回転される。
【0038】
図9及び図10に示す如く、ケース24の底壁の配置凹部26内には、回動機構58(ギア機構)が設けられている。
【0039】
回動機構58には、モータ54の下側において、ギア部材(初段ギア)としての樹脂製のウォームギア60が設けられている。ウォームギア60には、軸心に沿って、挿入孔62が形成されており、挿入孔62には、上側からモータ54の出力軸54Bが挿入されている。ウォームギア60と出力軸54Bとは相対回転不能にされており、出力軸54Bが回転されることで、回動機構58が作動されて、ウォームギア60が出力軸54Bと一体回転可能にされている。
【0040】
ウォームギア60の下部には、円筒状の軸支部60Aが同軸上に形成されており、軸支部60Aは、ケース24の配置凹部26下壁における円柱状の軸支凹部64に嵌入されている。これにより、軸支部60Aが軸支凹部64に回転自在に軸支されると共に、ウォームギア60の下側への移動が軸支凹部64の下面によって制限(係止)されている。
【0041】
回動機構58には、ウォームギア60の車幅方向内側において、連絡ギア(中間ギア)としてのウォームシャフト66が設けられている。ウォームシャフト66の軸方向両端は、ケース24の配置凹部26の側壁に下側及び水平方向両側から支持されると共に、モータベース28の一対の押圧リブ44に上側から押圧(支持)されており、これにより、ウォームシャフト66の軸方向両端が位置決めされて、ウォームシャフト66が回転自在に軸支されている。
【0042】
ウォームシャフト66には、金属製で円軸状のギア軸68が設けられており、ギア軸68の一端側部分(車両後側部分)には、樹脂製のヘリカルギア部70(ウォームホイールギア)が固定されると共に、ギア軸68の他端側部分(車両前側部分)には、金属製のウォームギア部72が固定されている。ヘリカルギア部70は、ウォームギア60に噛合されており、ウォームギア60が回転されることで、ヘリカルギア部70、ギア軸68及びウォームギア部72が一体回転されて、ウォームシャフト66が回転される。また、ヘリカルギア部70の最大径部分(ギヤ歯部分)は、モータベース28の押圧柱46の分離凹部46A内に配置されており、分離凹部46Aによってヘリカルギア部70の軸方向への移動が制限されて、ウォームシャフト66の軸方向への移動が制限されている。
【0043】
回動機構58には、固定ギア(最終ギア)としての金属製のギアプレート74が設けられている。ギアプレート74には、支持体16の支持軸20が貫通されており、ギアプレート74は、支持軸20と同軸上に配置されると共に、回動機構58の作動中は支持軸20に対して回転不能に保持されている。ギアプレート74には、ウォームシャフト66のウォームギア部72が噛合されており、ウォームギア部72が回転されることで、ウォームギア部72がギアプレート74の回りを回動される。これにより、回動体22がウォームギア部72と一体に支持軸20の回りを回動可能にされている。
【0044】
図11に示す如く、回動体22は、被覆部材としての略直方体形容器状のバイザ76の車幅方向内側部分内に収容されており、バイザ76の車両後側面は、開放されている。バイザ76内には、車両後側面(開放部分)近傍において、略矩形板状のミラー78が配置されており、バイザ76は、ミラー78の全周及び車両前側面を被覆している。ミラー78の鏡面78Aは、車両後側へ向けられており、ミラー78によって車両の乗員(特に運転手)が車両後側を視認可能にされている。
【0045】
バイザ76及びミラー78は、回動体22に連結されて支持されており、バイザ76及びミラー78は、回動体22と一体に支持軸20の回りを回動可能にされている。このため、モータ54が駆動されて出力軸54Bが一方向へ回転されることで、バイザ76及びミラー78が回動体22と一体に車両後側かつ車幅方向内側へ回動される。これにより、バイザ76及びミラー78が、サイドドアに対する突出を解除されて、格納される。一方、モータ54が駆動されて出力軸54Bが他方向へ回転されることで、バイザ76及びミラー78が回動体22と一体に車両前側かつ車幅方向外側へ回動される。これにより、バイザ76及びミラー78が、サイドドアに対して突出されて、起立(展開、復帰)される。
【0046】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0047】
以上の構成の車両用ドアミラー装置10では、格納機構14において、モータ54が駆動されて、出力軸54Bが回転されることで、回動機構58が作動される。このため、ウォームギア60が出力軸54Bと一体に回転されて、ウォームシャフト66が回転される(ヘリカルギア部70、ギア軸68及びウォームギア部72が一体回転される)ことで、ウォームギア部72がギアプレート74の回りを回動されて、回動体22がウォームギア部72と一体に支持軸20の回りを回動される。これにより、バイザ76及びミラー78が、回動体22と一体に回動されて、格納又は起立される。
【0048】
ここで、モータベース28の車幅方向中央部における外周壁36の一対の変形孔48が、外周壁36の下側部分の剛性を低下させて、モータベース28の下面の剛性を低下させている。このため、モータベース28の成形後の収縮によって、モータベース28の底部28Aが変形されて、モータベース28の底部28Aが車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し上側に変位されることで、支持筒30が車幅方向内側へ変位(回動)されると共に、組付筒34が車幅方向外側へ変位(回動)されている。
【0049】
さらに、モータベース28の底部28Aが一対の固定凹部42においてスクリュー50によってケース24の底壁に締結固定されることで、モータベース28の底部28Aが車幅方向両端部をケース24の底壁上面に当接された状態で車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し下側に変位されて、モータベース28の底部28Aが車幅方向両端部及び車幅方向中央部においてケース24の底壁上面に当接される。これにより、モータベース28の底部28Aの変形が矯正されることで、支持筒30が車幅方向外側へ変位(回動)されると共に、組付筒34が車幅方向内側へ変位(回動)されて、支持筒30の軸方向と組付筒34の軸方向とが平行にされている。
【0050】
このため、モータ54の出力軸54Bがウォームギア60の挿入孔62に適切に挿入されて、出力軸54B、ウォームギア60(軸支部60Aを含む)及びケース24の軸支凹部64が同軸上に配置される。これにより、出力軸54Bの回転によってウォームギア60及びウォームシャフト66が適切に回転できて、回動機構58が適切に作動でき、格納機構14によってバイザ76及びミラー78を適切に格納及び起立させることができる。
【0051】
また、モータベース28の成形後の収縮によるモータベース28の底部28Aの変形にバラツキがあっても、モータベース28の底部28Aが一対の固定凹部42においてスクリュー50によってケース24の底壁に締結固定されることで、モータベース28の底部28Aの変形が矯正される。これにより、モータベース28を高精度に成形する必要がなく、モータベース28を簡単に製造できる。
【0052】
さらに、上述の如く、モータベース28の外周壁36に変形孔48を形成することで、モータベース28の成形後の収縮によって、モータベース28の底部28Aが変形されて、モータベース28の底部28Aが車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し上側に変位される。このため、簡単な構成で、モータベース28の車幅方向中央側をモータベース28の車幅方向両端側に対し上側に変位させることができる。
【0053】
また、一対の変形孔48が、モータベース28の一対の固定凹部42間の車幅方向範囲に配置されている。このため、モータベース28のケース24に固定する車幅方向範囲の剛性を低下させることができ、モータベース28を一対のスクリュー50によってケース24に固定することで、モータベース28の車幅方向中央側をモータベース28の車幅方向両端側に対し効果的に下側に変位させることができる。
【0054】
さらに、一対の押圧リブ44が、モータベース28の一対の固定凹部42間の車幅方向範囲に配置されている。このため、モータベース28を一対のスクリュー50によってケース24に固定することで、一対の押圧リブ44がそれぞれウォームシャフト66の軸方向両端を強固に押圧できて、ウォームシャフト66の軸方向両端を強固に位置決めでき、ウォームシャフト66を適切に回転自在に軸支できる。これにより、ウォームシャフト66が一層適切に回転できて、回動機構58が一層適切に作動でき、格納機構14によってバイザ76及びミラー78を一層適切に格納及び起立させることができる。
【0055】
[第2の実施の形態]
図12には、本発明の第2の実施の形態に係る車両用ミラー装置としての車両用ドアミラー装置80におけるモータベース28が下方から見た下面図にて示されている。
【0056】
本実施の形態に係る車両用ドアミラー装置80は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0057】
本実施の形態に係る車両用ドアミラー装置80では、モータベース28の車幅方向中央部における底壁32の下面に、一対の設置板36A形成位置間において、長尺矩形状の変形孔48(変形凹部)が形成されており、変形孔48は、底壁32の押圧柱46形成部分を除く部分において車両前後方向(幅方向)に沿って延伸されると共に、下側に開放されている。変形孔48は、底壁32の下側部分の剛性を低下させて、モータベース28の下面の剛性を低下させており、これにより、モータベース28の成形後の収縮によって、モータベース28の底部28Aが変形(湾曲)されて、モータベース28の底部28Aが車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し上側(ケース24とは反対側)に変位されることで、支持筒30が車幅方向内側へ変位(回動)されると共に、組付筒34が車幅方向外側へ変位(回動)されている。また、変形孔48は、モータベース28の一対の固定凹部42間の車幅方向範囲に配置されている。
【0058】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、モータベース28の底壁32の押圧柱46形成部分を除く部分において変形孔48を車両前後方向(幅方向)に沿って形成した。しかしながら、モータベース28の底壁32の車両前後方向(幅方向)全体に亘って変形孔48を形成してもよい。
【0060】
[第3の実施の形態]
図13には、本発明の第3の実施の形態に係る車両用ミラー装置としての車両用ドアミラー装置90におけるモータベース28が車両後方から見た正面図にて示されている。
【0061】
本実施の形態に係る車両用ドアミラー装置90は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0062】
本実施の形態に係る車両用ドアミラー装置90では、モータベース28の車幅方向外側部における外周壁36に、車両後側部分(車両前側部分でもよい)において、矩形状の変形孔48が貫通形成されており、変形孔48は、上側及び下側に開放されている。変形孔48は、外周壁36の下側部分の剛性を低下させて、モータベース28の下面の剛性を低下させており、これにより、モータベース28の成形後の収縮によって、モータベース28の底部28Aが変形(湾曲)されて、モータベース28の底部28Aが車幅方向中央側を車幅方向両端側に対し上側(ケース24とは反対側)に変位されることで、支持筒30が車幅方向内側へ変位(回動)されると共に、組付筒34が車幅方向外側へ変位(回動)されている。
【0063】
ここで、本実施の形態でも、変形孔48がモータベース28の一対の固定凹部42間の車幅方向範囲に配置されることによる作用及び効果を除き、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0064】
なお、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態の少なくとも1つの変形孔48をモータベース28に形成した構成であればよい。
【0065】
さらに、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、モータベース28に変形孔48を形成することで、モータベース28の成形後の収縮によってモータベース28を変形させた。しかしながら、必ずしもモータベース28に変形孔48を形成する必要はなく、例えばモータベース28を変形させた形状に成形してもよい。
【0066】
また、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、本発明の車両用ミラー装置を車両用ドアミラー装置10、80、90に適用した。しかしながら、本発明の車両用ミラー装置を車両外部の他の車両用アウタミラー装置(例えば車両用フェンダミラー装置)又は車両内部の車両用インナミラー装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
24 ケース(回動部材)
28 モータベース(組付部材)
34 組付筒(組付部)
48 変形孔
54 モータ
58 回動機構
78 ミラー
80 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
90 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動されることで車両のミラーが格納又は起立される回動機構が設けられた回動部材と、
組付部が設けられると共に、変形された形状にされることで前記組付部が一側に変位され、前記回動部材に固定されることで前記組付部が他側に変位される組付部材と、
前記組付部に組付けられると共に、前記回動機構に連絡され、駆動されることで前記回動機構が作動されるモータと、
を備えた車両用ミラー装置。
【請求項2】
前記組付部材に形成され、前記組付部材の成形後の収縮時に前記組付部材を変形させて前記組付部を一側に変位させる変形孔を備えた請求項1記載の車両用ミラー装置。
【請求項3】
前記組付部材の前記回動部材への固定範囲に変形孔を形成した請求項2記載の車両用ミラー装置。
【請求項4】
前記組付部材の前記回動部材への固定範囲が前記回動機構を位置決めする請求項1〜請求項3の何れか1項記載の車両用ミラー装置。
【請求項1】
作動されることで車両のミラーが格納又は起立される回動機構が設けられた回動部材と、
組付部が設けられると共に、変形された形状にされることで前記組付部が一側に変位され、前記回動部材に固定されることで前記組付部が他側に変位される組付部材と、
前記組付部に組付けられると共に、前記回動機構に連絡され、駆動されることで前記回動機構が作動されるモータと、
を備えた車両用ミラー装置。
【請求項2】
前記組付部材に形成され、前記組付部材の成形後の収縮時に前記組付部材を変形させて前記組付部を一側に変位させる変形孔を備えた請求項1記載の車両用ミラー装置。
【請求項3】
前記組付部材の前記回動部材への固定範囲に変形孔を形成した請求項2記載の車両用ミラー装置。
【請求項4】
前記組付部材の前記回動部材への固定範囲が前記回動機構を位置決めする請求項1〜請求項3の何れか1項記載の車両用ミラー装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−67278(P2013−67278A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207548(P2011−207548)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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