説明

車両用リヤアンダーミラー装置

【課題】走行中、運転者に煩わしさを感じさせることがないリヤアンダーミラー装置を提供する。
【解決手段】車体2の後部開口3の上部に回動可能に支持されて後部開口3を開閉するテールゲート4を備えた車両1に設置され、鏡体13を介して車両1の後方下部を視認可能にする車両用リヤアンダーミラー装置であって、テールゲート4の回動中心の近傍であるテールゲート4の上部にハイマウントストップランプ9を設け、ハイマウントストップランプ9の上面12に鏡体13を設け、テールゲート4の閉状態のときに乗員から鏡体13が視認不可であり、テールゲート4の開状態のときに鏡体13が視認可能となるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の後方下部を視認するためのリヤアンダーミラー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車室内から車両の後方下部を視認するためのリヤアンダーミラー装置として、車体の後部開口を開閉するテールゲートの内面下部に鏡体を設置し、テールゲートを開状態にしたときに、運転席から前記鏡体を介して車両の後方下部を視認可能にしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭62−111245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来のリヤアンダーミラー装置では、鏡体がテールゲートの下部に設置されているので、テールゲートを閉じ操作した際に、荷室に収容された荷物に鏡体が当たって鏡体を損傷したり、損傷しないまでも鏡体が汚れる虞があるという課題があった。
【0004】
また、テールゲートの内面上部に鏡体を設置し、テールゲートを閉じ状態にしたときに、運転席から前記鏡体を介して車両の後方下部を視認可能にしたものもあるが、この場合には、走行中に運転者がルームミラーで後方を視認したときに、ルームミラーに前記鏡体が映り、煩わしいという課題がある。
【0005】
そこで、この発明は、鏡体を汚染等から防止できるとともに、走行中、運転者に煩わしさを感じさせることがないリヤアンダーミラー装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両用リヤアンダーミラー装置では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明は、車体(例えば、後述する実施例における車体2)の後部開口(例えば、後述する実施例における後部開口3)の上部に回動可能に支持されて該後部開口を開閉するテールゲート(例えば、後述する実施例におけるテールゲート4)を備えた車両(例えば、後述する実施例における車両1)に設置され、鏡体(例えば、後述する実施例における鏡体13)を介して車両の後方下部を視認可能にする車両用リヤアンダーミラー装置であって、前記テールゲートの回動中心の近傍であって該テールゲートの車内側に、該テールゲートの回動に連動して回動するホルダ(例えば、後述する実施例におけるガーニッシュ11)を設け、このホルダの外面であって、前記テールゲートの閉状態のときに乗員から視認不可となり、開状態のときに視認可能となる被取付面(例えば、後述する実施例における上面12)に、前記鏡体を設けたことを特徴とする車両用リヤアンダーミラー装置である。
このように構成することにより、鏡体を車内後部の上方に設置することができるので、鏡体が汚れ難くすることができ、また、鏡体を物体に接触し難くすることができる。また、鏡体を車内後部の上方に設置しながらも、走行時に鏡体を乗員の視界に入らないようにすることができる。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記ホルダは、前記テールゲートに設けられたハイマウントストップランプ(例えば、後述する実施例におけるハイマウントストップランプ9)のガーニッシュ(例えば、後述する実施例におけるガーニッシュ11)であり、前記被取付面は、前記テールゲートの閉状態のときに車体の天井方向を向く前記ガーニッシュの上面(例えば、後述する実施例における上面12)であることを特徴とする。
このように構成することにより、鏡体をハイマウントストップランプのガーニッシュに設置することができるので、省スペース化や見栄えの向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、鏡体を車内後部の上方に設置することができるので、鏡体が汚れ難くすることができ、また、鏡体を物体に接触し難くすることができる。また、走行時に鏡体を乗員の視界に入らないようにすることができるので、走行時に乗員が後方を視認する際に、車両用リヤアンダーミラー装置の鏡体に映る像に起因する煩わしさを解消することができる。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、車両用リヤアンダーミラー装置の省スペース化により車内空間を大きくすることができる。また、見栄えが向上し、商品性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明に係る車両用リヤアンダーミラー装置(以下、リヤアンダーミラー装置と略す)の実施例を図1から図4の図面を参照して説明する。
図1、図2は、リヤアンダーミラー装置を備えた車両1を模式的に示す側面図である。車両1はミニバンタイプの車両であり、車体2の後部には、車体2の後部開口3を開閉する跳ね上げ式のテールゲート4が設けられている。テールゲート4は、車体2のルーフ5の後端であって後部開口3の上部に位置する部位に、ヒンジ装置(図示略)を介して上下方向に回動可能に取り付けられている。したがって、テールゲート4の回動中心は、ルーフ5の後端およびテールゲート4の上端の近傍に位置している。
【0011】
テールゲート4には、その略上半部分にリヤウィンドウガラス6が設けられている。乗員は車両後方に振り向くことで、リヤウィンドウガラス6を透して後方を直接視認することができる。また、運転者は走行中に、車両のフロントウィンドウガラス7の上部内側に設置されたルームミラー8を介し、リヤウィンドウガラス6を透して後方を視認することができる。
【0012】
テールゲート4の上部にはハイマウントストップランプ9が設置されている。ハイマウントストップランプ9は、そのランプ照射面10をリヤウィンドウガラス6の車室側の面に密接させるようにして設置されている。また、ハイマウントストップランプ9のガーニッシュ(ホルダ)11は、図1に示すようにテールゲート4を閉ざしたときに、ガーニッシュ11の先端を車体2の前方に向かって車内側に略水平に延出させている。
【0013】
テールゲート4の閉状態において、ガーニッシュ11の上面(被取付面)12はルーフ5の内面(天井)に対向し、上面12における前半部分は凸面に形成されている。この凸面に、凸面鏡からなる鏡体13が取り付けられている。したがって、テールゲート4が閉状態のときには、乗員は鏡体13を視認することはできない。また、運転者がルームミラー8を介して後方を視認したときにも、ルームミラー8に鏡体13は全くあるいは殆ど映らない。
【0014】
このハイマウントストップランプ9は、テールゲート4を開閉すると、テールゲート4と一体となって回動する。したがって、鏡体13もテールゲート4と一体となって(すなわち連動して)回動する。
そして、図2に示すように、テールゲート4を開くと、ハイマウントストップランプ9のガーニッシュ11はその先端を斜め下後方に向ける姿勢となる。この状態で運転者が車両後方を振り向いたときには運転者は鏡体13を視認することができ、そのときに、鏡体13に車両1のラッゲージルーム14のフロア15の一部と、車体2のリヤバンパ16に近接した後方下部領域の地面Gの像が映るように、鏡体13の曲率および寸法が設定されている。なお、図2において、符号Pは、車両1の後方下部の地面Gの上に置かれている物体を示す。
【0015】
図3は、テールゲート4の開状態において車内運転席側から後部開口3を見たときの図であり、図4は、テールゲート4の開状態において鏡体13に映った像を示す図であり、符号G’は地面Gの像、符号P’は物体Pの像、符号3’は後部開口3の像、符号15’はフロア15の像を、それぞれ示している。
【0016】
このように構成されたリヤアンダーミラー装置では、鏡体13を車内後部の上方に設置することができるので、鏡体13が汚れ難くなる。また、テールゲート4を開閉したときに、ラッゲージルーム14内に収容されている荷物などが鏡体13に接触する可能性を極めて低くすることができ、したがって、鏡体13を損傷し難くすることができる。
【0017】
そして、テールゲート4を開いたときに、運転者は車両後方に振り向いて鏡体13を見ることにより、リヤシート17により遮蔽されているラッゲージルーム14内の荷物を確認することができるとともに、リヤバンパ16に近接した後方下部領域を視認することができ、リヤバンパ16付近の障害物の有無を確認することができる。
しかも、鏡体13を凸面鏡で構成しているので、その曲率の設定により、ラッゲージルーム14側にもあるいは車両後方側にも視野範囲を自由に広げることができる。
【0018】
一方、走行時にはテールゲート4を閉じているので、鏡体13が取り付けられているハイマウントストップランプ9の上面はルーフ5の天井に向いており、したがって、乗員は鏡体13を見ることができない。これにより、車内の見栄えが向上し、商品性が向上する。
【0019】
また、走行中に運転者がルームミラー8を介して後方を視認したときにも、ルームミラー8に鏡体13が映り込むことがない。つまり、鏡体13を車内後部の上方に設置しながらも、鏡体13が走行時に運転者の視界に入らないので、走行時にルームミラー8を介して後方視認する際に鏡体13に映る像に起因する煩わしさを解消することができる。
【0020】
また、鏡体13をハイマウントストップランプ9のガーニッシュ11に設置しているので、ガーニッシュ11が鏡体13を支持するホルダを兼用することができる。その結果、リヤアンダーミラー装置の省スペース化が可能となり、車内空間を大きくすることができる。
【0021】
〔他の実施例〕
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、前述した実施例では鏡体13を凸面鏡で構成したが、平面鏡で構成することも可能である。
また、前述した実施例では鏡体13をハイマウントストップランプ9に設けたが、ハイマウントストップランプ9とは別に専用のホルダを設け、このホルダに鏡体を設けてもよい。
その場合に、ホルダをテールゲートに設けてもよいし、あるいは、例えばルーフの内面(天井面)にホルダを回動可能に設置し、テールゲートとホルダとをリンク機構等によって連係し、テールゲートの回動に連動してホルダを回動するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明に係るリヤアンダーミラー装置を備えた車両の側面図であり、テールゲートの閉状態を示す図である。
【図2】テールゲートを開状態としたときの前記車両の側面図である。
【図3】テールゲートの開状態において運転席側から車体の後部開口を見たときの図である。
【図4】テールゲートの開状態において鏡体に映った像を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1 車両
2 車体
3 後部開口
4 テールゲート
5 ルーフ(天井)
9 ハイマウントストップランプ
11 ガーニッシュ(ホルダ)
12 上面(被取付面)
13 鏡体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の後部開口の上部に回動可能に支持されて該後部開口を開閉するテールゲートを備えた車両に設置され、鏡体を介して車両の後方下部を視認可能にする車両用リヤアンダーミラー装置であって、
前記テールゲートの回動中心の近傍であって該テールゲートの車内側に、該テールゲートの回動に連動して回動するホルダを設け、
このホルダの外面であって、前記テールゲートの閉状態のときに乗員から視認不可となり、開状態のときに視認可能となる被取付面に、前記鏡体を設けたことを特徴とする車両用リヤアンダーミラー装置。
【請求項2】
前記ホルダは、前記テールゲートに設けられたハイマウントストップランプのガーニッシュであり、前記被取付面は、前記テールゲートの閉状態のときに車体の天井方向を向く前記ガーニッシュの上面であることを特徴とする請求項1に記載の車両用リヤアンダーミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−248815(P2009−248815A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100601(P2008−100601)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】