説明

車両用ルーフパネル

【課題】ルーフパネルの剛性を強化する。
【解決手段】樹脂製アウタパネル3に透過性を有する窓部7を形成する。アウタパネル3の裏側に配置される樹脂製インナパネル13に、開口部15をアウタパネル3の窓部7と重なるように形成するとともに、開口部15を外側から囲む突出部17を設ける。外周縁に突出部17を有するアウタパネル3とインナパネル13とを各々の外周縁が互いに当接するように接合した状態で、突出部17が窓部7外周縁に当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフを構成するルーフパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2に開示されたルーフパネルは、窓部が形成されたアウタパネルと、該アウタパネルの窓部と重なるように開口部が形成されたインナパネルとを各々の外周縁が互いに当接するように接合したものである。上記インナパネルには、窓部からの光を遮断するサンシェード部材がアウタパネルとインナパネルとの間でパネル面に沿ってスライドするように組み付けられている。
【特許文献1】特開平8−192693号公報
【特許文献2】特開2006−341789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、インナパネル及びアウタパネルを樹脂製のパネルで構成した場合、特許文献1及び2のようにインナパネルとアウタパネルの外周縁のみを接合したのでは、ルーフパネルの剛性が不足する。特に、インナパネルの開口部周縁の剛性が不足する。
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ルーフパネルの剛性を強化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、アウタパネルの窓部外周縁に当接する突出部を開口部を外側から囲むようにインナパネルに突設したことを特徴とする。
【0006】
具体的には、本発明は、車両のルーフを構成するルーフパネルを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0007】
すなわち、請求項1に記載の発明は、透過性を有する窓部が形成された樹脂製アウタパネルと、該アウタパネルの裏側に配置され、かつ開口部が上記窓部と重なるように形成された樹脂製インナパネルと、上記インナパネルに上記開口部を開閉可能なように組み付けられ、閉状態で上記窓部からの光を遮断するサンシェード部材とを備え、上記インナパネルは、上記開口部を外側から囲む突出部を有し、上記アウタパネルとインナパネルとを各々の外周縁が互いに当接するように接合した状態で、上記突出部が窓部外周縁に当接していることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ルーフパネルにおいて、上記サンシェード部材は、上記インナパネルに係合片と係合孔との係脱操作により車室内側から着脱可能に組み付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ルーフパネルにおいて、上記サンシェード部材は、上記インナパネルの開口部に対して出退可能なようにパネル面に沿ってスライドするように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、インナパネルの突出部が補強リブの役目をなし、インナパネルの開口部外周りが上記突出部により補強されて剛性が高まっているとともに、アウタパネルの窓部外周縁が上記突出部によって下方から支持されてルーフパネルの中程の支持剛性が高まっているので、樹脂製のルーフパネルであってもその全体の剛性が向上する。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、係合片と係合孔との係脱操作によってサンシェード部材を着脱することにより、開口部を容易に開閉できる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、サンシェード部材をスライドさせることにより、窓部から入射する光の量を容易に調節することができる。また、サンシェード部材がインナパネルに組み付けられているので、不使用時のサンシェード部材を収納するためのスペースを車室内に設ける必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0014】
(実施形態1)
図5はこの発明の実施形態1に係るルーフパネル1を示す。このルーフパネル1は、車両の前後方向に長い略矩形状であり、車両のルーフを構成している。該ルーフパネル1は、図1及び図2に示す樹脂製アウタパネル3と、該アウタパネル3の裏側に配置される図3に示す樹脂製インナパネル13と、該インナパネル13に開口部15を開閉可能なように組み付けられる図4に示す樹脂製サンシェード部材23とを備えている。
【0015】
上記アウタパネル3は、略長方形板状のアウタパネル本体5を有し、該アウタパネル本体5の車両前方寄りには窓部7が形成されている。該アウタパネル本体5は透明樹脂材からなり、該アウタパネル本体5の窓部7を除く領域は、塗装が施されることにより不透明になっている一方、窓部7は塗装が施されず透過性を有している。また、上記窓部7は、アウタパネル本体5の窓部7を除く領域よりも僅かに上方に膨出している。また、アウタパネル本体5の窓部7外周縁には、窓部7外周縁に沿って略矩形の環状リブ9が一体に突設されている。また、アウタパネル本体5の外周縁には、下方に突出する外周突部11が全周に亘って一体に形成されている。
【0016】
上記インナパネル13は、略長方形状のインナパネル本体14を備え、該インナパネル本体14には、開口部15が上記アウタパネル3の窓部7と重なるように形成されている。また、上記インナパネル本体14には、上記アウタパネル3の裏面に向けて突出する略矩形の環状突出部17が上記開口部15を外側から囲むように形成されている。該突出部17の車両前側部分には、車両前後方向に貫通する1対の係合孔19aが形成されているとともに、突出部17の車両後側部分には、車両前後方向に貫通する1対の係合孔19bが形成されている。該突出部17の先端には、接着剤が載置される水平面部21aが形成されている。また、インナパネル本体14の外周縁には、上記アウタパネル3の裏面に向けて突出する略矩形環状の外周突部22が全周に亘って一体に形成されている。該外周突部22の先端には、接着剤が載置される水平面部22aが形成されている。
【0017】
上記サンシェード部材23は、閉状態で上記窓部7からの光を遮断するものであり、略長方形板状のサンシェード部材本体25を有している。このサンシェード部材本体25の車両後側寄りの車幅方向中央には、上方に凹んだ把持用の凹部29が形成されている。また、サンシェード部材本体25の外周縁には環状突出部27が一体に突設されている。該突出部27には、上記アウタパネル3の係合孔19aに係合する矩形板状の係合片27aが、サンシェード部材本体25の板面に沿う方向に向けて一体に1対突設されているとともに、上記アウタパネル3の係合孔19bに係合する爪状の係合片27bがサンシェード部材本体25の板面に対して直交する方向に向けて一体に1対突設されている。
【0018】
上記のように構成されたアウタパネル3とインナパネル13とは、各々の外周縁が互いに当接するように水平面部21a,22aとアウタパネル3裏面との間に接着剤31を介在させて接合されている。この状態で、アウタパネル3の裏側にインナパネル13が位置して、インナパネル13の突出部17がアウタパネル3のリブ9に外側から嵌合している。また、突出部17の先端面は、該リブ9外側のアウタパネル本体5に当接している。
【0019】
また、サンシェード部材23は、仮想線で示すように、係合片27aをインナパネル13の係合孔19aに開口内側から差し込んで係合させた状態でサンシェード部材本体25の板面車両後方側を下方から押し上げることにより係合片27bを係合孔19bに係合させてインナパネル13に組み付けられている。
【0020】
採光する際、インナパネル13に組み付けられたサンシェード部材23は、凹部29に手を掛けて下方に引っ張ることにより係合片27bを係合孔19bから離脱させ、その後、係合片27aを係合孔19aから離脱させることによりインナパネル13から取り外すことができる。これにより、直射日光を車室内に取り入れることができる。このように、係合片27a,27bと係合孔19a,19bとの係脱操作によってサンシェード部材23を着脱して開口部15を容易に開閉できる。
【0021】
したがって、本実施形態によれば、インナパネル13の突出部17が補強リブの役目をなし、インナパネル13の開口部15外周りが上記突出部17により補強されて剛性が高まっているとともに、アウタパネル3の窓部7外周縁が上記突出部17によって下方から支持されてルーフパネル1の中程の支持剛性が高まっているので、その全体の剛性が向上する。
【0022】
(実施形態1の変形例)
図6は、本発明の実施形態1の変形例に係るルーフパネル1を示す。実施形態1では、アウタパネル本体5の窓部7が、窓部7を除く領域よりも上方に膨出していたが、この変形例では、アウタパネル本体5の窓部7が、窓部7を除く領域と面一に構成されている。窓部7の周縁には、凹部8が環状に形成され、この凹部8の範囲で塗装の見切りを行っている。そのほかの構成は実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0023】
したがって、本実施形態によれば、実施形態1と同様の作用効果を奏することに加え、アウタパネル3の表面がフラットでスマートな形状になるので、ルーフパネル1の車両の外部からの見栄えが向上する。
【0024】
(実施形態2)
図7〜図9は、本発明の実施形態2に係るルーフパネル1を示す。この実施形態2では、実施形態1と同様にルーフパネル1は、アウタパネル3とインナパネル13とサンシェード部材23とから構成され、アウタパネル3は実施形態1のものと同じ構成を有している。
【0025】
上記インナパネル13のインナパネル本体14は、上記開口部15よりも大きい開口28を有する第1パネル14aと、該第1パネル14aの開口28に嵌合される第2パネル14bとで構成されている。
【0026】
上記第1パネル14aの開口28の外周縁には、突出部17が形成され、該突出部17の車両前後方向両側は2段の段差状に構成されている一方、該突出部17の車幅方向両側は3段の段差状に構成されている。また、上記第1パネル14aの開口28の車幅方向両側縁は、車幅方向に延びる断面略H状の橋絡部37によって橋絡されている。該橋絡部37の下側端縁の車幅方向中程には切欠部39が形成されている。また、突出部17の基端側段部には、上下方向に貫通するボルト挿通孔18が互いに間隔を空けて複数形成されている。
【0027】
上記第2パネル14bには、上記窓部7に対応する開口部15が形成されている。また、上記第2パネル14bの周縁には、ボルト挿通孔16が互いに間隔を空けて複数形成される。
【0028】
上記サンシェード部材23は、突出部27及び係合片27a,27bを有しておらず、サンシェード部材本体25の表裏面に、突条33が車幅方向両側で車両前後方向に延びるように突設されている。また、サンシェード部材本体25の車両後端縁の車幅方向中程に、突出片35が突出されている。また、凹部29がサンシェード部材本体25の車両前側寄りに形成されている。
【0029】
上記第2パネル14bは、第2パネル14bのボルト挿通孔16と第1パネル14aのボルト挿通孔18とを対応させてボルトを挿通することにより、第1パネル14aに組み付けられている。この状態で、突出部17の車幅方向両側の中間段部と第2パネル14bとの間にサンシェード部材23の突条33が位置する隙間が形成されている。上記サンシェード部材23の両端縁が上記隙間に挿入されて上記中間段部に当接した状態で、アウタパネル3と第2パネル14bとの間をサンシェード部材23が、開口部15に対して出退可能なように突条33を突出部17の車幅方向両側の中間段部に摺接させながらパネル面に沿ってスライドする。このとき、サンシェード部材23の突出片35が橋絡部37の切欠部39を通過する。また、サンシェード部材23が開口部15を完全に閉じた状態で、上記橋絡部37の車両前側部分がサンシェード部材23の突出片35に当接してサンシェード部材23の車室内側への落下を防止する。
【0030】
また、上記のように構成されるルーフパネル1は、上記第1パネル14aと第2パネル14bとの間にサンシェード部材23を挟んだ状態で、第2パネル14bのボルト挿通孔16及び第1パネル14aのボルト挿通孔18にボルトを挿通することにより組み立てられる。
【0031】
したがって、本実施形態によれば、サンシェード部材23をスライドさせることにより、窓部7から入射する光の量を容易に調節することができる。また、サンシェード部材23がインナパネル13に組み付けられているので、不使用時のサンシェード部材23を収納するためのスペースを車室内に設ける必要がない。
【0032】
(実施形態2の変形例)
図10は、本発明の実施形態2の変形例に係るルーフパネル1を示す。この変形例では、突出部17の突出端が二股に分岐して間に凹溝21bが構成され、該凹溝21bにアウタパネル3のリブ9が嵌合している。
【0033】
したがって、本変形例によれば、突出部17の凹溝21bにアウタパネル3のリブ9が嵌合しているので、突出部17がインナパネル13に対してより確実に固定され、インナパネル13の開口部15外周りが突出部17によってより確実に補強される。
【0034】
また、上記実施形態2では、開口部15の端末部、すなわち突出部17の先端と窓部7のリブ9との間に製作誤差等により隙間が生じて下方に露出し、車室側からの見栄えが悪化するおそれがあるが、本変形例によれば、突出部17の先端が窓部7のリブ9を下方から覆っているので、車室側(下方)からの見栄えがより向上する。
【0035】
なお、上記実施形態1では、サンシェード部材23に係合片27a,27bを設け、インナパネル13に係合孔19a,19bを設けたが、係合片及び係合孔の形状は上記実施形態1の例に限られない。また、サンシェード部材23に係合孔を設け、インナパネル13に係合片を設けてもよい。
【0036】
また、実施形態2の変形例は、実施形態1及び実施形態1の変形例に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、例えば、車両のルーフを構成するルーフパネルとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施形態1に係るアウタパネルを表側から見た斜視図である。
【図2】実施形態1に係るアウタパネルを裏側から見た斜視図である。
【図3】実施形態1に係るインナパネルを裏側から見た斜視図である。
【図4】実施形態1に係るサンシェード部材を裏側から見た斜視図である。
【図5】実施形態1に係るルーフパネルの図1のA−A線相当断面図である。
【図6】実施形態1の変形例に係る図5相当図である。
【図7】(a)は、実施形態2に係る第2パネルを外した状態のインナパネルを表側から見た斜視図、(b)は、実施形態2の図4相当図、(c)は、実施形態2に係る第2パネルを表側から見た斜視図である。
【図8】実施形態2の図5相当図である。
【図9】図8のB−B線相当断面図である。
【図10】実施形態2の変形例に係る図9のC部相当拡大図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ルーフパネル
3 アウタパネル
7 窓部
13 インナパネル
15 開口部
17 突出部
19a,19b 係合孔
23 サンシェード部材
27a,27b 係合片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフを構成するルーフパネルであって、
透過性を有する窓部が形成された樹脂製アウタパネルと、
該アウタパネルの裏側に配置され、かつ開口部が上記窓部と重なるように形成された樹脂製インナパネルと、
上記インナパネルに上記開口部を開閉可能なように組み付けられ、閉状態で上記窓部からの光を遮断するサンシェード部材とを備え、
上記インナパネルは、上記開口部を外側から囲む突出部を有し、
上記アウタパネルとインナパネルとを各々の外周縁が互いに当接するように接合した状態で、上記突出部が窓部外周縁に当接していることを特徴とする車両用ルーフパネル。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ルーフパネルにおいて、
上記サンシェード部材は、上記インナパネルに係合片と係合孔との係脱操作により車室内側から着脱可能に組み付けられていることを特徴とする車両用ルーフパネル。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用ルーフパネルにおいて、
上記サンシェード部材は、上記インナパネルの開口部に対して出退可能なようにパネル面に沿ってスライドするように構成されていることを特徴とする車両用ルーフパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−234954(P2010−234954A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84821(P2009−84821)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】