説明

車両用光源装置

【課題】光が運転者にとってより視認し易くなり、情報の伝達効率を煩雑な調整を伴わずに向上させることができる車両用光源装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本実施形態によれば、光源パネル10の形状は、フロントウインドウガラス20のうち虚像31の表示部分の断面の湾曲(曲面)に合わせた、湾曲した、手前側が凹んだ形状となっている。そして、個々の光源10aも、光源パネル10内に、虚像31の表示部分の断面の湾曲(曲面)に合わせて、湾曲して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および2には、複数の点光源をインストルメントパネルとウインドシールドとの境界付近に直線状に配置してウインドシールドに直線状に虚像を映し出す車両用視認補助装置が開示されている。
【0003】
なお、その他の先行技術文献としては、特許文献3から6が挙げられる。特許文献3には、反射板の傾斜角度が調整可能なヘッドアップディスプレイ装置が開示されている。特許文献4には、反射板が傾斜して配置されているヘッドアップディスプレイが開示されている。特許文献5および6には、ウインドシールドの枠に沿って導光管を配置した車両用表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−13163号公報
【特許文献2】特開2008−189201号公報
【特許文献3】特開2008−197403号公報
【特許文献4】特開2002−287076号公報
【特許文献5】特開2002−274216号公報
【特許文献6】特開2003−54334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および2によれば、ウインドシールドに虚像を直線状に映し出すために必要な、点光源の光放射方向の角度調整が煩雑であったり、また、外光が運転者に反射する虞があったりする。つまり、特許文献1および2によれば、情報の伝達効率およびこれを向上させるための手法について改善の余地が残されているという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、情報の伝達効率を、煩雑な調整を伴わずに向上させることができる車両用光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、インストルメントパネルに設置される、光源を備えた車両用光源装置であって、前記光源を、ウインドシールドにおける光の照射位置の湾曲に合わせて配置すること、を特徴とする。本発明は、インストルメントパネルに設置される、光源および光放射板を備えた車両用光源装置であって、前記光放射板を、当該光放射板の光放射面が運転者側に傾いた状態となるように配置すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、光源を、ウインドシールにおける光の照射位置の湾曲の状態に合わせて配置しているので、光が運転者にとってより視認し易くなり、情報の伝達効率を煩雑な調整を伴わずに向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、光源パネル10の搭載位置の一例を示す図である。
【図2】図2は、光源パネル10の搭載位置の一例を示す図である。
【図3】図3は、アイポイント30の定義の一例を示す図である。
【図4】図4は、光源パネル10の搭載位置の一例を示す図である。
【図5】図5は、光源パネル10の構造の一例を示す図である。
【図6】図6は、光源パネル10の構造の一例を示す図である。
【図7】図7は、光源パネル10の構造の一例を示す図である。
【図8】図8は、光源パネル10の搭載位置の一例を示す図である。
【図9】図9は、光源パネル10の搭載位置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる車両用光源装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
以下では、本実施形態にかかる光源パネルが、自車両周辺に在る危険対象(例えば、歩行者、自転車、自動車、および死角など)の存在位置または存在方向を光に因る虚像で運転者に告知する車両用情報伝達システムで用いられる場合を一例として説明する。
【0012】
図1および2は、光源パネルの搭載位置の一例を示す図である。図1および2において、符号1は車両であり、符号10は光源パネルであり、符号20はフロントウインドウガラスであり、符号21はボンネットであり、符号22はインストルメントパネルであり、符号23はメーターパネルであり、符号24はステアリングホイールであり、符号25はデフロスタ吹出部であり、符号30は運転者のアイポイントであり、符号31は光源パネル10からの光に因る虚像であり、符号32は外乱光の光路であり、符号33は光源パネル10からの光の光路である。図1に示すように、光源パネル10は、インストルメントパネル22に設置されるが、特に、運転者の周辺視野の最下層で運転者に虚像31を認識させることが可能となる位置に設置される。例えば、光源パネル10は、メーターパネル23よりフロントウインドウガラス20側(換言すると、アイポイント30から見てインストルメントパネル22の奥側)の位置に設置される。例えば、光源パネル10は、アイポイント30から見てデフロスタ吹出部25の手前(図1参照)または奥側(図2参照)の位置に設置される。
【0013】
また、図1に示すように、光源パネル10は、外乱光32がアイポイント30へ入射しないような状態でインストルメントパネル22に設置される。例えば、光源パネル10は、光源パネル10の光放射面(光反射面)が運転者側に傾いた状態で、しかもインストルメントパネル22の表面より下(換言すると、インストルメントパネル22の内部)に設置される。例えば、光源パネル10は、インストルメントパネル22に埋め込まれる。このように設置することにより、実像を運転者に見えないようにすることができ、また実像を他車等からも見えないようにすることができる。
【0014】
ここで、アイポイント30は、図3に示すように、ISO6549−1980に基づいて人体模型を座席に着座させたときの当該人体模型の股関節点であるシーティングレファレンスポイント34の垂直上方635(mm)の高さの点である(ホームページアドレス“http://www.mlit.go.jp/jidosha/kijyun/saimokubetten/saibet_081_00.pdf”で開示されている“道路運送車両の保安基準の細目を定める告示〔2005.11.09〕別添81(直前直差確認鏡の技術基準)”を参照)。
【0015】
図4は、光源パネルの搭載位置の別の一例を示す図である。図4において、符号35は運転者の注視方向である。例えば、光源パネル10は、インストルメントパネル22における、運転者の略正面の位置に設置される。光源パネル10は、運転者(アイポイント30)から見て虚像31が水平となるように光源10aの配置を湾曲させた構造を有する。ここで、光源パネル10の構造の一例について図5、6、および7を参照して説明する。
【0016】
図5に示すように、光源パネル10には、複数の光源10a(例えばLEDまたはバルブ等)がアレイ状(複数行・複数列)に配置されている。また、図7に示すように、光源パネル10には、光源10aの光を外部へ放射するための光放射板10bが、光源10aと一定の距離を設けて配置されている。
【0017】
また、図5に示すように、光源パネル10の形状は、フロントウインドウガラス20のうち虚像31の表示部分の断面の湾曲(曲面)に合わせた、湾曲した、手前側が凹んだ形状となっている。そして、個々の光源10aも、光源パネル10内に、虚像31の表示部分の断面の湾曲(曲面)に合わせて、湾曲して配置されている。光源パネル10の形状は、設置されたときに距離dLが長く、距離dRが短くなるように(図5参照)、運転者(アイポイント30)から見て光源パネル10の左側Lの長さ(幅)が最も短く(狭く)、右側に向って徐々に長く(広く)なり、右側Rの長さが最も長い(広い)形状となっている(図6参照)。このような光源パネル10の形状および光源10aの配置を採ることで、フロントウインドウガラス20に虚像31を運転者から見て水平に映し出すことができる。ここで、距離dLは、設置された状態の光源パネル10を運転者(アイポイント30)から見たときに左側・手前側に在る光源10aから、フロントウインドウガラス20における当該光源10aからの光の照射位置までの距離である。また、距離dRは、設置された状態の光源パネル10を運転者(アイポイント30)から見たときに右側・手前側に在る光源10aから、フロントウインドウガラス20における当該光源10aからの光の照射位置までの距離である。
【0018】
図8および9は、光源パネルの搭載位置の別の一例を示す図である。図8において符号36はアイポイント30を通過する水平ラインである、図9において、符号26はバックミラーであり、符号27はAピラーである。光源パネル10は、インストルメントパネル22における、水平ライン36からの俯角αが5度以下で運転者に虚像31を認識させることが可能となる位置に設置される。光源パネル10は、アイポイント30から見て虚像31の全部または一部の背景が自車両1のボンネット21となるようにインストルメントパネル22に設置される。光源パネル10は、虚像31がフロントウインドウガラス20のうち水平ライン36以下の領域に表示されるようにインストルメントパネル22に設置される。
【0019】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、光源10aを、フロントウインドウガラス20における光の照射位置の湾曲に合わせてインストルメントパネル22に配置する。これにより、光の放射方向の角度調整などの煩雑な調整を行わずに、虚像31をフロントウインドウガラス20に直線状に映し出すことができる。また、光源パネル10は、光放射板10bの光放射面が運転者側に傾いた状態となるようにインストルメントパネル22の内部に設置する。これにより、外光を運転者側に反射させなくすることができる。つまり、これらにより、光源10aからの光が運転者にとってより視認し易くなり、情報の伝達効率を煩雑な調整を伴わずに向上させることができる。
【0020】
また、本実施形態によれば、光源10aの光を、フロントウインドウガラス20のうち、アイポイント30から見て虚像31の背景が自車両1のボンネット21となる領域(ボンネット領域)に照射する。これにより、車外背景の変化の影響を受けなくなるので、光源10aからの光が運転者にとってより視認し易くなる。また、光源10aの光を、当該ボンネット領域外の領域であり且つアイポイント30を通過する水平面(水平ライン36)をフロントウインドウガラス20と交わらせたときにできる線分の下側の領域に照射する。これにより、運転者の注視方向と重ならない位置に虚像31を映し出すことができる。つまり、これらにより、光の視認性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上のように、本発明にかかる車両用光源装置は、自動車製造産業において有用であり、特に、フロントウインドウガラスを利用して運転者に光で情報伝達を行う際の利用に適している。
【符号の説明】
【0022】
10 光源パネル
10a 光源
10b 光放射板
20 フロントウインドウガラス
21 ボンネット
22 インストルメントパネル
31 虚像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネルに設置される、光源を備えた車両用光源装置であって、
前記光源を、ウインドシールドにおける光の照射位置の湾曲に合わせて配置すること、
を特徴とする車両用光源装置。
【請求項2】
インストルメントパネルに設置される、光源および光放射板を備えた車両用光源装置であって、
前記光放射板を、当該光放射板の光放射面が運転者側に傾いた状態となるように配置すること、
を特徴とする車両用光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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