説明

車両用周辺状況記録装置

【課題】実際に車両事故が発生しなくても、運転者以外の例えば事務所に駐在する管理者等が各運転者の走行後に、その走行中の危険運転状態を容易且つ客観的に把握することができ、未然に車両事故に繋がる危険性を低減させることができる車両用周辺状況記録装置を提供する。
【解決手段】衝突のような事故が実際に発生しなくても、危険運転状態になると、この状態を運転状態評価部27が検知し、トリガー信号SG5が出力される。そして、記録制御部25はこの運転状態評価部27が出力したトリガー信号SG5に基づいて、トリガー信号SG5が出力された時点前後の所定時間区間における、カメラ10により出力された画像情報を記録保持する。したがって、例えば運転者以外の例えば事務所に駐在する管理者等は、記録制御部が記録保持した画像情報をその運転者の走行終了後、分析することにより、各運転者に生じた危険運転状態を、運転者自身が気づいていない状況も含め、容易且つ客観的に把握することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に少なくとも1つ搭載されたカメラ(撮像手段)により撮像された、走行方向の前方の周辺の状況を表す画像情報を記録保持するための車両用周辺状況記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、タクシー、バス、トラック等の車両を用いて運送業務を行う運送業者においては、社内の各運転者に対して安全運転を促し、事故を未然に防止することが重要な課題となっている。
【0003】
そこで、各運転者が日常的に実際に安全運転を実施しているかどうかを、運送業者の社内等に駐在する管理者が常時確認できるように、例えば「デジタルタコグラフ」と呼ばれる運行記録機器が実用化され利用されている。
このデジタルタコグラフは、タクシー、バス、トラック等の車両毎に搭載され、一定時間(例えば0.5秒)毎に取得された速度やエンジン回転数等の情報をメモリーカードのような記憶装置に自動的に記録保持するものである。
【0004】
したがって、その管理者はデジタルタコグラフが収集したデータを、例えばパーソナルコンピュータ内に搭載された分析プログラム等を用いて、メモリーカードから読み出し、このデータを詳細に調べることにより、その車両の走行時間、走行距離、最高速度、平均速度、速度オーバー時間、速度オーバー回数、エンジン回転数オーバー時間、回転数オーバー回数、急発進、急加速、急減速、アイドリング時間等を、車両毎しいては運転者毎に把握することができ、その運転者毎に安全運転や経済的な運転を促すことが可能になる。
【0005】
一方、ある運転者が安全運転を行っている場合であっても、他の運転者の無謀運転等の影響により衝突等の交通事故に巻き込まれる可能性がある。しかしながら、実際に交通事故が発生したときにその運転者自身に責任がない場合であっても、その交通事故に係る証拠がなければその運転者自身にも大きな責任を問われる可能性がある。
【0006】
そこで、このような事態を回避するため、「ドライブレコーダ」と呼ばれる運行記録機器も実用化され利用されている。
このドライブレコーダは車両毎に搭載され、衝突時に発生する非常に大きい加速度等の検出により事故の発生を検知したときに、実際の事故の原因が含まれる可能性の高い動画等の画像情報を車載カメラから取得して証拠データとして自動的に記録するものである。
また、このドライブレコーダにより記録される画像情報は、事故の発生を検知したときの前後所定時間のみに限定される。したがって、記憶装置の記憶容量が比較的小さい場合であっても、事故発生前後の証拠として重要な時間帯の画像を保存することが可能になるのである。
【0007】
ここで、例えば、特許文献1に開示された従来技術では、前述したドライブレコーダにおいて、事故発生時の衝撃の大きさに応じて、画像情報の記録時間を自動的に変更することを提案している。これにより、重要な時間帯の画像が欠落するのを防止することが可能になる。
【0008】
さらに、例えば、特許文献2に開示された従来技術では、事故の発生を未然に防止するために、車載装置が危険な状況(危険運転状態)を検出した場合に運転者に対してリアルタイムで警告を行うことを提案している。具体的には、カメラが撮像した画像情報に基づいて、この画像情報に含まれる自己の車両と各車線とを検出し、自己の車両が車線を逸脱するような運転や蛇行運転等の危険運転状態が発生した時に運転者に警告を行う。このため、この種の従来技術では、例えば居眠り運転のような危険運転状態が発生した場合に、その場でリアルタイムに安全運転に戻るように運転者を促し、事故を未然に防ぐことが可能になる。
【0009】
【特許文献1】特開2006−321424号公報
【特許文献2】特開2000−276697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、例えば特許文献2に開示された従来技術を用いれば、危険運転状態の運転者に、その場でリアルタイムに自動的に注意を促し事故の発生を抑制することが可能になる。
しかしながら、このような車載装置を利用する場合であっても、その危険運転状態を管理者等の第三者が把握することができないため、その該当する運転者に対して管理者が注意を促すことができず、このため、その該当する運転者の所属している業者(会社)自体が、その危険運転状態の発生頻度低減するための対策を講じることができないおそれがある。
【0011】
例えば、運送業務が多忙であまり休憩を取ることのできないような環境下に晒される運転者の場合には、睡眠不足又は風邪気味等により体調が悪い場合でも、車両の運転業務を継続せざるを得ない場合等があり、この結果として居眠り運転等の危険運転状態に陥り、事故の発生に繋がるおそれがある。
【0012】
しかしながら、従来のドライブレコーダでは実際に事故が発生しない限り、その危険運転状態が記録として残らず、また、特許文献2のような技術を用いても、危険運転状態が発生したことが運転者以外には報知されないので、管理者はそれぞれの運転者の危険運転状態を容易に把握することは難しく、この種のシステムは未だ改善の余地があった。
【0013】
一方、例えば、運転者がデジタルタコグラフを利用している場合には、デジタルタコグラフにより収集されたデータを分析することにより、管理者は運転の状況をある程度把握することが可能である。
しかしながら、膨大な量のデータを細かく分析するには非常に大きな負担(時間、労力及びこれに伴うコスト)がかかるので、現実的には管理者が各運転者の危険運転状態を容易に把握するのは困難であった。
【0014】
本発明は、前述した問題を鑑みてなされた発明であり、その目的は、実際に車両事故が発生しなくても、運転者以外の例えば事務所に駐在する管理者等が各運転者の走行後に、その走行中の危険運転状態を容易且つ客観的に把握することができ、未然に車両事故に繋がる危険性を低減させることができる車両用周辺状況記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の前述した目的は、下記構成により達成される。
(1) 車両に少なくとも1つ搭載され、且つ当該車両の走行方向前方の周辺の状況を撮像して画像情報を出力する撮像手段と、
前記車両の走行中の蛇行状況、前記車両の走行中の速度状況、前記車両と前方車両との走行中の車間距離状況、のうち少なくともいずれかを把握して、これら状況の運転状況情報を出力する運転状況監視部と、
当該運転状況監視部が出力した当該運転状況情報に基づいて、前記車両の安全運転上、車両事故に繋がるおそれのある危険運転状態の発生の有無を判定し、そして当該危険運転状態が発生したと判定されるときに所定のトリガー信号を出力するトリガー信号生成部と、
当該トリガー信号生成部が出力した当該トリガー信号に基づいて、当該トリガー信号が出力された時点前後の所定時間区間における、前記撮像手段により出力された前記画像情報を記録保持する画像記録制御部と、
を備えた
ことを特徴とする車両用周辺状況記録装置。
(2) 前記撮像手段により出力された前記画像情報を処理して、当該画像情報に含まれる、前記車両の走行中自車線の両側に位置する一対の区切線を検出する区切線検出部を、更に備え、
前記運転状況監視部は、当該区切線検出部により検出された前記一対の区切線により、当該一対の区切線と前記車両との相対的な位置関係を認識し、そして当該相対的な位置関係の変化に基づいて前記蛇行状況を把握する
ことを特徴とする上記(1)の車両用周辺状況記録装置。
(3) 前記撮像手段により出力された前記画像情報を処理して、当該画像情報に含まれる、前記車両の走行方向の前方に存在する前方車両を検出する前方車両検出部と、
前記車両の走行速度を検出する車速検出手段と、
を、更に備え、
前記運転状況監視部は、当該前方車両検出部により検出された前方車両により、当該前方車両の位置を認識して当該前方車両と前記車両との車間距離を検出し、且つこの検出した車間距離と、前記車速検出手段により検出された走行速度と、に基づいて前記車間距離状況を把握する
ことを特徴とする上記(1)又は(2)の車両用周辺状況記録装置。
(4) 記録部を有し、前記車両の衝突発生を検出した時に当該記録部に前記車両に係る各種情報を記録保持するための運行記録装置が、前記画像記録制御部として用いられ、そして
前記トリガー信号が出力された時点前後の所定時間区間の前記画像情報が当該記録部に記録保持される
ことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つの車両用周辺状況記録装置。
【0016】
上記(1)の構成によれば、衝突のような事故が実際に発生しなくても、安全運転上、車両事故に繋がるおそれのある危険運転状態(蛇行運転、車間距離異常等)になると、この状態をトリガー信号生成部が検知し、トリガー信号が出力される。そして、画像記録制御部は、このトリガー信号生成部が出力したトリガー信号に基づいて、トリガー信号が出力された時点前後の所定時間区間における、撮像手段により出力された画像情報を記録保持する。したがって、管理者等は、画像記録制御部が記録保持した画像情報をその運転者の走行終了後、分析することにより、各運転者に生じた危険運転状態を、運転者自身が気づいていない状況も含め、容易且つ客観的に把握することができる。これにより、例えば居眠り運転等を予防するための対策を講じることが可能になり、事故の発生を未然に防ぐことができる。加えて、記録保持される画像情報はそのトリガー信号が出力される時点前後の所定時間区間に限られるので、大容量の記憶装置を設ける必要がない。また、管理者等が分析すべきデータが、そのトリガー信号が出力された時点の近傍の範囲のみに限定されるので、データの分析にかかる負担が大幅に低減される。
上記(2)の構成によれば、例えば、居眠り運転等により発生する蛇行運転を行っている状況かどうかを容易且つ客観的に認識することができ、危険運転状態かどうかの判断に役立つ情報が自動的に得られる。また、その撮像手段により撮像された画像情報をそのまま利用して検出を行うので、装置のコストを低減することができる。
上記(3)の構成によれば、例えば、居眠り運転等により発生する自己の車両と前方車両との車間距離の異常(異常接近等)が生じている状況かどうかを容易且つ客観的に認識することができ、危険運転状態かどうかの判断に役立つ情報が自動的に得られる。また、その撮像手段により撮像された画像情報をそのまま利用して検出を行うので、装置のコストを低減できる。加えて、この認識を、走行速度をも用いて行っているので、自己の車両と前方車両との車間距離の異常が生じている状況かどうかをより正確に認識することが可能になる。即ち、走行速度が速くなると安全を維持できる車間距離は大きくなる傾向があるが、本構成によれば、異常かどうかを識別する際の判断基準は車間距離と走行速度との両者に基づいて行っているので、自己の車両と前方車両との車両距離に係る危険運転状態をより正確に認識することができる。
上記(4)の構成によれば、運行記録装置、より具体的には、前述したドライブレコーダを利用してその画像情報の記録保持をも行うので、予めドライブレコーダを搭載している車両であれば、装置全体のコストを大幅に低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、実際に車両事故が発生しなくても、運転者以外の例えば事務所に駐在する管理者等が各運転者の走行後に、その走行中の危険運転状態を容易且つ客観的に把握することができ、未然に車両事故に繋がる危険性を低減させることができる。
加えて、危険運転状態が発生した時間帯を除いて、画像情報を保存する必要がないので、大容量の記憶装置を搭載する必要はない。また、管理者が分析すべき情報の量も大幅に減少するので、労力、及びこの労力に伴うコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る好適な複数の好適な実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0019】
(第1実施形態)
本発明の車両用記録装置係る1つの具体的な実施形態について、図1〜図6を参照しながら以下に説明する。
図1は第1実施形態におけるシステム主要部の構成を示すブロック図であり、図2は図1に示すQOD制御装置の動作の概略を示すフローチャートであり、図3は図1に示す記憶制御部の動作を示すフローチャートであり、図4は図1に示すデジタルタコグラフの構成例を示すブロック図であり、図5はカメラの撮像により得られる画像の具体例を表す正面図であり、図6は図5に示す画像を処理して得られる情報の内容を示す模式図である。
【0020】
図1に示す車両用周辺記録装置1Aは車載装置であり、この車載装置は例えばトラック、バス、タクシーのような営業用の車両に搭載されて使用される。
なお、図1に示す例では、自己の車両に搭載されたカメラ(撮像手段)と、互いに独立して動作するQOD(Quality Of Driving)制御装置20とデジタルタコグラフ30と、が主に組み合わされて、本発明に係る車両用周辺記録装置1Aのシステム全体が構成されている。このように構成された車両用周辺状況記録装置1Aは、カメラ10の撮像により出力される画像情報に基づいて、運転者の運転の状況を検出する機能を有している。即ち、この車両用周辺状況記録装置1Aは、居眠り運転等の、車両の安全運転上、車両事故に繋がるおそれのある状態(以下、危険運転状態ともいう。)を検出したときには、この前後の時間帯にこのカメラ10により得られた画像情報を動画として保存するものである。
以下、詳細に、この車両用周辺状況記録装置1Aについて説明する。
【0021】
カメラ10は、被写体を短い周期で連続的に撮像し2次元の画像情報として出力することが可能な撮像装置である。このカメラ10は、自己の車両の前方窓ガラスの近傍に配置され、車両の走行方向の前方(進行方向)、及びその周辺としてこの進行方向の側方を含む所定画角の範囲を、被写体として撮像できるように自己の車両内に固定されている。このため、この車両を運転する運転者の目から見える範囲と同等の車外の状況が、このカメラ10により撮像される。
【0022】
QOD制御装置20は、運転者の運転の状況を検出するための機能を有しており、図1に示すように前方車両検出部21と、白線検出部(区切線検出部)22と、走行速度検出部23と、内部記憶装置24と、記憶制御部(画像記録制御部)25と、メモリーカード26と、運転状態評価部(運転状況監視部、トリガー信号生成部)27と、時計回路28と、を備えて構成されている。
なお、QOD制御装置20における主要な制御要素(制御機能)は、図示しないマイクロコンピュータのハードウェアとこのマイクロコンピュータが実行する予め用意されたプログラムに基づいて実施される。
【0023】
前方車両検出部21は、カメラ10により出力された画像情報を処理して、この画像情報に含まれる、自己の車両の走行方向の前方に存在する他の車両(前方車両)を検出する。
【0024】
白線検出部22は、カメラ10により出力された画像情報を処理して、この画像情報に含まれる、自己の車両の走行中の自車線の両側に位置する一対の白線(区切線:車線の区切りを表す表示線)を検出する。
【0025】
走行速度検出部23は、自己の車両に搭載されている車速センサ11から出力される車速信号(車両が一定量移動する毎にパルスが現れる信号)SG11に基づいて自己の車両の走行速度を検出する。
【0026】
内部記憶装置24及びメモリーカード26は、カメラ10から出力される画像情報等を記憶保持することができる。
なお、メモリーカード26はQOD制御装置20に対して着脱自在に構成されている。このため、収集されたデータを、メモリーカード26を介して車両の外に持ち運ぶことができ、これにより、管理者等は事務所内等でメモリーカード26からデータを読み出して運転状況の分析を行うことができる。
【0027】
記憶制御部25は、内部記憶装置24及びメモリーカード26に対する画像情報の記憶を運転状態評価部27からの指示に基づき制御する。
【0028】
時計回路28は、現在時刻及び日付の情報を出力したり、タイマーの機能を提供したりする。
【0029】
そして、運転状態評価部27は、前方車両検出部21が検出した前方車両により、この前方車両の位置を認識して前方車両と自己の車両との車間距離状況を検出したり、或いは、白線検出部22が検出した一対の白線により、この一対の白線と自己の車両との相対的な位置関係を認識し、そしてこの相対的な位置関係の変化に基づいて、蛇行や車線逸脱等の蛇行状況を検出したり、或いは、走行速度検出部23が検出した走行速度に基づいて速度状況を検出したりして、自己の車両の運転に係る状況(運転状況情報)の把握を行う。
また、運転状態評価部27は、他車両に自己の車両の車線変更等を知らせるためのウインカースイッチ12が出力する信号(左右のウインカーのランプ点滅のオンオフを表す信号)SG12、SG13を監視することにより、運転者の自己意志に従って車線変更したのか、それとも居眠り運転等の無意識のうちに車線を逸脱したのかを区別する。
【0030】
また、運転状態評価部27が検出した、前方車両との走行中の車間距離状況、蛇行状況(車線逸脱も含む)、速度状況は、QOD制御装置20から出力され、これら状況に係る運転状況情報がデジタルタコグラフ30に自動的に記録されることになる。また、運転状態評価部27は、前述の運転状況情報に基づき、居眠り運転等の危険運転状態を検出すると、トリガー信号SG5を出力する。このトリガー信号SG5により、この危険運転状態発生時の画像情報が内部記憶装置24及びメモリーカード26に保存されることになる。また、これに合わせて、この危険運転状態発生時に運転状態評価部27から出力される信号により、デジタルタコグラフ30は、その危険運転状態が発生したことを示す所定のフラグを、収集した情報(後述)に対し時系列で対応した位置に記録する。
【0031】
ここで、デジタルタコグラフ30は、運転の状況を表す各種の情報を常時収集して管理者等が分析に利用可能なデータを自動的に記録する装置である。
具体的には、前述した車速センサ11が出力する車速信号SG11により検出された走行速度、エンジン回転センサ13が出力する信号SG14により検出されたエンジン回転数、GPS受信機14が検出した車両の位置情報及び地図情報等を、デジタルタコグラフ30は定期的に収集してメモリーカード31に時系列情報として記録する。
【0032】
図4には、このデジタルタコグラフ30の構成の具体例が示されている。
図4に示すように、デジタルタコグラフ30は、特開2004−34938号公報に開示されたものと同様な構成を有しており、CPU41、ROM42、EEPROM43、RAM44、操作部45、表示部46、警告部47、インタフェース部48及びカード挿入部49を備えて構成されている。
【0033】
また、図1に示したQOD制御装置20が蛇行運転や車線逸脱等の蛇行状況を把握するための技術については、例えば、特許文献2に開示されている従来技術を利用することができる。即ち、次に説明するような処理が実施される。
【0034】
カメラ10の撮像により出力される画像情報には、例えば、図5に示すように、左右両側の一対の白線101、102、前方車両103等の車外風景等が含まれている。そこで、進行方向に対する左右方向の自己の車両の位置の変化を把握するために一対の白線101、102が検出され、これらの白線101、102と自己の車両の位置との左右方向の位置関係が検出される。
【0035】
即ち、画像情報中のエッジ(或いは、輪郭)に関する特徴点の検出を容易にするために、前処理として画像情報中の明るさを2値化して図6(a)に示すような微分画像が生成される。つまり、図5に示すような元の画像情報が水平方向に順次に走査され、隣接する画素との明るさが所定以上変化した位置の画素が特徴点として記録される。
【0036】
次に、図6(a)に示す画像情報の水平方向中央付近に基準線が割り当てられる。そして、一対の白線101、102を構成する各特徴点を検出するために前記基準線から左及び右に向かって特徴点の探索が実施される。画像情報の最も下の行から上に向かって各行で特徴点の探索が行われる。これにより、無限遠点を表す1つの点FOE(Focus Of Expansion)に向かって直線的に延びる白線101、102が検出されることになる。
【0037】
そして、所定時間Δtだけ異なる時点で撮像された2つの画像を用いてオプティカルフローが取得される。即ち、異なる時点で撮像された2つの画像情報における同一点に注目すると、車両の移動により生じる変化が速度ベクトルとして得られる。このオプティカルフローは1点であるFOEから放射状の方向に現れることになる。
【0038】
このオプティカルフローの情報を利用することにより、例えば図6(a)に示すような画像情報は図6(b)に示す画像のように修正され、一対の白線101、102以外の不要な情報等が除去されることになる。
【0039】
次に、一対の白線101、102それぞれが延びる方向と水平方向とに挟まれる角度θL、θR(図5参照)が検出される。カメラ10の位置は車両内に固定されておりカメラ10が撮像する範囲を表す画角も一定であるので、自己の車両の車線内での位置と一対の白線101、102との横方向の相対的な位置関係に応じて角度θL、θRが変化することになる。そこで、この特性を利用し、即ち検出した白線の角度θL、θRを用いて、蛇行状況や車線逸脱の有無が識別される。
【0040】
車線逸脱、つまり自己の車両が左右いずれかの白線101、102から外側の他の車線にはみ出したかどうかについては、角度θL、θRの差分を予め定めた左側の閾値及び右側の閾値それぞれが比較されることにより、判別される。
ただし、ウインカースイッチ12からの信号SG12、SG13によりウインカーがオンであることが検出されている場合には、運転者の意志に従った車線変更又は右折、左折の可能性が高いので車線逸脱の状態から除外される。
【0041】
車線逸脱以外の蛇行状況については、角度θL、θRから求められる、自己の車両と一対の白線101、102との相対的な位置関係の時間的な推移が、蛇行の度合いとして定量化される。例えば、図5の画像中に示す間隔L、Rの大きさは次式から求めることができる。
L=1/(tan θL)
R=1/(tan θR)
この間隔L、Rの比率(L/R)を一対の白線101、102間における自己の車両の左右方向位置を表す値として用いることができる。
なお、蛇行とは、左右方向位置がそれまでの平均的な左右方向位置に比べて大きく変化している状態であるので、その把握にあたっては平均的な左右方向位置を求める。より具体的には、ある時点から過去所定時間(T1)の間の左右方向位置の値(L/R)を平均化することにより、左右方向位置に係るスムージング値が得られる。そして、自己の車両の現在位置(最新のL/R)とスムージング値との差の2乗を過去所定時間(T2)について平均化した結果が蛇行量として求められ、この値により自己の車両の蛇行状況が把握される。
【0042】
一方、自己の車両と前方車両との車間距離状況の把握については、次に説明する方法により算出することができる。
【0043】
例えば、図6(a)に示す画像情報のように、自己の車両が走行している車線内(白線101、102の間の領域)の情報を取り出し、この中から水平方向及び垂直方向のそれぞれについて像(前方車両等)のエッジ成分の情報が抽出される。そして、像のエッジを強調するために、垂直方向の行毎の画素の明るさ分布を表すヒストグラム及び水平方向の列毎の画素の明るさ分布を表すヒストグラムが作成され、必要な像の位置が特定される。
【0044】
例えば、垂直方向の行毎の画素の明るさ分布を表すヒストグラムにおいては、前方車両103の領域と路面に表示されている文字104の領域とが強調されて現れているので、前方車両103の垂直方向の位置が特定される。
また、路面に表示されている文字104等は移動しないので、オプティカルフローの情報を用いることによりノイズ成分として文字104等が除去され、図6(b)に示すような画像情報が取得される。
【0045】
このとき、図6(b)に示すように、画像領域の下端(自己の車両の先頭位置に相当)から前方車両103の領域の下端までの高さHが、車間距離と関連のある情報として取得される。カメラ10は自己の車両内に固定され、撮像方向及び画角は一定であるので、撮像された画像上の垂直方向の距離(寸法)を実際の自己の車両から前方車両までの進行方向の距離を表す車間距離に換算することができる。
【0046】
また、自己の車両の速度状況の把握については、車速センサ11が出力する信号SG11から走行速度が求められ、この走行速度は、現時点から過去所定時間内の期間について平均化される。この平均化された値に基づいて、自己の車両の速度状況が把握されることになる。
【0047】
次に、図1に示したQOD制御装置20の具体的な動作について説明する。
QOD制御装置20内の運転状態評価部27が行う動作が図2に示されており、記憶制御部25が行う動作が図3に示されている。
【0048】
運転状態評価部27は、図2に示すステップS11で、画像情報の取得及び保存の開始を指示する。具体的には、運転状態評価部27はト前述したトリガー信号SG5とは別の信号を用いて動作開始の指示を記憶制御部25に与える。
【0049】
記憶制御部25は、図3に示すステップS31で運転状態評価部27からの動作開始指示を検出すると、ステップS32の処理に進む。ステップS32では、記憶制御部25はカメラ10から出力される画像情報を1フレーム毎に取り込んで内部記憶装置24内に設けられた第1記憶領域24aに保存する。また、次のステップS33で所定のトリガー信号SG5を検出するまでは記憶制御部25はステップS32の動作を繰り返す。
【0050】
内部記憶装置24の第1記憶領域24aは、例えば、15秒間程度の長さにわたって多数の画像情報のフレームを時系列順に記憶することが可能な十分な記憶容量を有している。記憶制御部25は、ステップS32の処理を繰り返すことにより、カメラ10から順次に出力される画像情報の各フレームを第1記憶領域24a内の互いに異なる位置に順々に記録する。また、第1記憶領域24a内の全ての領域に対して画像の書き込みが終了すると、時系列的に最も古い画像が記録されている領域から順に、その領域のデータを上書きするように、画像情報を書き込む位置を変更する。このように、時系列に古い画像は自動的に削除され、現時点から過去15秒間程度の長さに渡る新しい画像のデータのみが第1記憶領域24a内に保持されることになる。
【0051】
一方、運転状態評価部27は、図2のステップS12で蛇行状況の検出及び評価を行う。即ち、前述のようにカメラ10から出力される画像情報に基づいて白線検出部22が検出した一対の白線と自己の車両との相対的な位置関係を表す角度θL、θRを利用して、前述の蛇行量や車線逸脱を検出し、この結果について居眠り運転等の危険運転状態を評価する。
【0052】
ステップS13では、運転状態評価部27は走行速度検出部23が検出した自己の車両の走行速度の情報を取り込んで速度状況の検出及び評価を行う。即ち、居眠り運転等の危険運転状態で生じる不安定な速度変化の有無を調べる。
【0053】
ステップS14では、運転状態評価部27はカメラ10が出力する画像情報から前方車両検出部21が検出した前方車両の位置と自己の車両の位置とに基づいて、前述のように車間距離を検出し、車間距離状況の検出及び評価を行う。
ただし、安全な車間距離は走行速度に応じて大きく変化するので、本実施形態では評価対象のパラメータとして(車速/車間距離)の値が用いられる。なお、実際には所定時間内の累積値あるいは平均値が評価対象とされ、即ち(車速/車間距離)の値が所定の閾値を超えた場合に、危険運転状態として評価する。
【0054】
ステップS15では、ステップS12で検出された蛇行状況と、ステップS13で検出された速度状況と、ステップS14で検出された車間距離状況と、を1組の運転状況情報としてデジタルタコグラフ30に出力する。これらの情報はデジタルタコグラフ30により時系列で並ぶ情報としてメモリーカード31に記録されることになる。
【0055】
次に、ステップS16では、蛇行状況に基づき危険運転状態を検出した(例えば、蛇行量が閾値以上又は車線逸脱あり)かどうかを運転状態評価部27が判断し、危険運転状態を検出した時にはステップS19に進み、検出してなければステップS17に進む。
【0056】
ステップS17では、速度状況に基づき危険運転状態を検出した(例えば、走行速度が不安定)かどうかを運転状態評価部27が判断し、危険運転状態を検出した時にはステップS19に進み、検出してなければステップS18に進む。
【0057】
ステップS18では、車間距離状況に基づき危険運転状態を検出した(例えば車速/車間距離の平均値が閾値以上)かどうかを運転状態評価部27が判断し、危険運転状態を検出した時にはステップS19に進み、検出してなければステップS12に戻り処理を繰り返す。
【0058】
そして、ステップS19では、運転状態評価部27は、走行中の自己の車両が危険運転状態にあると判定して、トリガー信号SG5を記憶制御部25に出力する。
【0059】
一方、記憶制御部25は運転状態評価部27からのトリガー信号SG5を検出すると、図3のステップS33からステップS34に進む。ステップS34では時計回路28により記録時間を調べるためのタイマーの動作が開始される。
【0060】
次のステップS35では、ステップS32と同様に、記憶制御部25はカメラ10から出力される画像情報を1フレーム毎に取り込んで内部記憶装置24に保存する。ただし、ステップS35では保存先が内部記憶装置24内の第2記憶領域24bに変更される。また、ステップS34で動作を開始したタイマーが所定時間(例えば15秒)の経過したことをステップS36で検出するまで、記憶制御部25はステップS35の動作を繰り返す。
【0061】
内部記憶装置24の第2記憶領域24bは、例えば15秒間程度の長さに渡って多数の画像フレームを時系列順に記憶することが可能な十分な記憶容量を有している。記憶制御部25は、ステップS35の処理を繰り返すことにより、カメラ10から逐次出力される画像情報の各フレームを第2記憶領域24b内の互いに異なる位置に順々に記録する。
なお、第2記憶領域24b内の全ての領域に対して画像の書き込みが終了した場合には、所定時間が経過する前であってもこの処理を終了することも考えられる。したがって、トリガー信号SG5が発生した時点から所定時間(例えば15秒)を経過するまでの期間の画像情報が第2記憶領域24b内に保持されることになる。
【0062】
トリガー信号SG5が発生してから所定時間が経過すると、ステップS37に進む。ステップS37では、記憶制御部25は内部記憶装置24の第1記憶領域24aに保存されている画像情報と第2記憶領域24bに保存されている画像情報とを合わせて1組のデータとしてメモリーカード26に転送し保存する。
つまり、運転状態評価部27が危険運転状態を検出した時点前後の所定時間にわたってカメラ10の撮像により得られた画像情報のデータがメモリーカード26に保存されることになる。
【0063】
また、運転状態評価部27は図2のステップS19でトリガー信号SG5を出力した後、デジタルタコグラフ30に対して所定の制御信号を出力し、危険運転状態を表す所定のフラグ(目印)を、デジタルタコグラフ30を介してメモリーカード31に記録する。
【0064】
そして、運転状態評価部27は、記憶制御部25がメモリーカード26に対する画像情報の保存を完了したことをステップS21で検出すると、ステップS11に戻って前述した一連の処理を繰り返す。
【0065】
このように、運転状態評価部27が危険運転状態を検出するたびに、トリガー信号SG5が出力され、その度トリガー信号SG5が現れた時点前後の所定時間の画像情報がメモリーカード26に保存されることになる。また、運転状態評価部27が危険運転状態を検出するたびに、デジタルタコグラフ30が、危険運転状態が発生したことを表すフラグをメモリーカード31に記録することになる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、衝突のような事故が実際に発生しなくても、危険運転状態になると、この状態を運転状態評価部27が検知し、トリガー信号SG5が出力される。そして、記録制御部25はこの運転状態評価部27が出力したトリガー信号SG5に基づいて、トリガー信号SG5が出力された時点前後の所定時間区間における、カメラ10により出力された画像情報を記録保持する。したがって、例えば運転者以外の例えば事務所に駐在する管理者等は、記録制御部が記録保持した画像情報をその運転者の走行終了後、分析することにより、各運転者に生じた危険運転状態を、運転者自身が気づいていない状況も含め、容易且つ客観的に把握することができる。これにより、例えば居眠り運転等を予防するための対策を講じることが可能になり、事故の発生を未然に防ぐことができる。
【0067】
また、蛇行状況や、車間距離状況等に関連する情報が運行記録としてメモリーカード31に記録され、このメモリーカード26はQOD制御装置20から取り外して車外に持ち出すことができる。このため、運転者の走行終了後、その車両から取り外したメモリーカード26を管理者等が受け取り、所定の分析システムを利用してメモリーカード26から画像情報データを読み込むことによりデータを分析することができるので、危険運転状態の評価の取扱性を高めることができる。
【0068】
加えて、記録保持される画像情報はそのトリガー信号SG5が出力される時点前後の所定時間区間に限られるので、内部記憶装置24やメモリーカード26に大容量の記憶装置を設ける必要はない。また、管理者等が分析すべきデータが、そのトリガー信号SG5が出力される時点の近傍の範囲のみに限定されるので、データの分析にかかる負担が大幅に低減される。
【0069】
また、メモリーカード31に記録された運行記録データのうち、危険な状況が発生した位置にはフラグが記録されるので、管理者等は大量の運行記録データの中から危険な状況が発生した箇所だけを簡単に見つけ出すことができ、労力、及びこの労力に伴うコストを低減することができる。
なお、前記フラグの記録に関する指示を運転状態評価部27が発生しない場合であっても、メモリーカード31に記録されている運行記録データに含まれている蛇行状況や、車間距離状況等に関連する情報に基づいて運転状態評価部27と同様の評価処理を実施することにより、後処理で運行記録データにフラグを追加することができる。このような後処理については、QOD制御装置20やデジタルタコグラフ30とは別の分析装置(例えば管理事務所内のパソコンと所定の分析プログラムとの組み合わせ)を用いて実施することが考えられる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、本発明の車両用周辺状況記録装置に係る第2実施形態について、図7を参照しながら以下に説明する。
図7は第2実施形態におけるシステム主要部の構成を示すブロック図である。
【0071】
第2実施形態は第1実施形態の変形例であり、図7に示すように構成が変更されている。なお、図7において第1実施形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第2実施形態と第1実施形態との違いについて以下に説明する。
【0072】
本実施形態に係る車両用周辺状況記録装置1Bでは、図7に示すようにQOD制御装置20Bの中にデジタルタコグラフ30とドライブレコーダ50とが内蔵されており、またこのドライブレコーダ50には、前述のカメラ10とは別に車両内に設けられたカメラ52が接続されている。
なお、デジタルタコグラフ30の動作については第1実施形態と同様である。
【0073】
ドライブレコーダ50は、一般的等ライブレコーダと同様に、車内に搭載された加速度センサ51により非常に大きい加速度が検出された(事故が発生した)時に、このドライブレコーダ50に直接接続されたカメラ52から出力される画像情報のうち、その前後の画像情報を記録保持するものである。つまり、ドライブレコーダ50は図1に示した記憶制御部25と同様な機能を一部に有して構成されている。
【0074】
そこで、本実施形態では記憶制御部25の代わりにドライブレコーダ50を利用している。即ち、第2実施形態の運転状態評価部27は、前述の危険運転状態を検出したときに、トリガー信号SG5をドライブレコーダ50に対して出力する。ドライブレコーダ50は、トリガー信号SG5が入力されたときに、その時点前後の所定時間の画像情報(をメモリーカード26に保存する。つまり、ドライブレコーダ50は実際に事故が発生したときの画像だけでなく、危険運転状態が発生した時の画像情報もメモリーカード26に保存する。
【0075】
本実施形態によれば、危険運転状態を検出したときの画像を記録するためにドライブレコーダ50の機能の一部を流用することにより、システム全体の構成を簡略化し装置のコストを低減することが可能になる。
【0076】
(第3実施形態)
次に、本発明の車両用記録装置に係る第3実施形態について、図8を参照しながら以下に説明する。
図8は第3実施形態におけるシステム主要部の構成を示すブロック図である。
【0077】
第3実施形態は第1実施形態の変形例であり、図8に示すように構成が変更されている。
なお、図8において第1実施形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第3実施形態と第1実施形態との違いについて以下に説明する。
【0078】
本実施形態に係る車両用周辺状況記録装置1Cでは、図8に示すようにドライブレコーダ50Bの中にQOD制御装置20Cが内蔵されて構成されている。デジタルタコグラフ30の動作については第1実施形態と同様である。
【0079】
図8に示すドライブレコーダ50B内の記憶制御部25は、一般的なドライブレコーダと同様に、加速度センサ51により非常に大きい加速度が検出された(事故が発生した)時に、その前後の画像データを保存する。また、記憶制御部25は、ドライブレコーダ50B内に設けられているQOD制御装置20Cによりトリガー信号SG5が出力されると、その時間前後の所定時間の画像情報をメモリーカード26に保存する。つまり、ドライブレコーダ50Bは事故が発生したときの画像情報だけでなく、危険運転状態が発生した時の画像情報もメモリーカード26に保存する。
【0080】
本実施形態によれば、危険運転状態を検出したときの画像情報を記録するためにドライブレコーダの機能の一部を流用することにより、システム全体の構成を簡略化し装置のコストを低減することが可能になる。
なお、システムの構成や動作については上記以外にも様々な変形が考えられる。例えば、前述した第2実施形態のようにQOD制御装置20が利用するカメラとドライブレコーダ50が利用するカメラとを別々に設けても良い。また、カメラの設置位置や撮像方向を変更し、自己の車両の後部窓ガラスから後方側を撮像した画像を取得するように変更することも考えられる。
【0081】
以上説明したように、本発明に係る車両用周辺状況記録装置は、例えば、タクシー、バス、トラック等の主として業務用の車両に搭載して使用することが想定でき、事故が発生する前の危険運転状態を管理者等が容易且つ客観的に把握するのに役立ち、各運転者に対して安全運転を促し、事故を未然に防止するために利用できる。
【0082】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1実施形態におけるシステム主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すQOD制御装置の動作の概略を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す記憶制御部の動作を示すフローチャートである。
【図4】図1に示すデジタルタコグラフの構成例を示すブロック図である。
【図5】カメラの撮像により得られる画像の具体例を表す正面図である。
【図6】図5に示す画像を処理して得られる情報の内容を示す模式図である。
【図7】第2実施形態におけるシステム主要部の構成を示すブロック図である。
【図8】第3実施形態におけるシステム主要部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0084】
10 カメラ(撮像手段)
11 車速センサ(車速検出手段)
12 ウインカースイッチ
13 エンジン回転センサ
14 GPS受信機
20 QOD制御装置
21 前方車両検出部
22 白線検出部(区切線検出部)
23 走行速度検出部
24 内部記憶装置
25 記憶制御部
26 メモリーカード
27 運転状態評価部(運転状況監視部、トリガー信号生成部)
28 時計回路
30 デジタルタコグラフ
31 メモリーカード
41 CPU
42 ROM
43 EEPROM
44 RAM
45 操作部
46 表示部
47 警告部
48 インタフェース部
49 カード挿入部
50 ドライブレコーダ(運行記録装置)
51 加速度センサ
52 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に少なくとも1つ搭載され、且つ当該車両の走行方向前方の周辺の状況を撮像して画像情報を出力する撮像手段と、
前記車両の走行中の蛇行状況、前記車両の走行中の速度状況、前記車両と前方車両との走行中の車間距離状況、のうち少なくともいずれかを把握して、これら状況の運転状況情報を出力する運転状況監視部と、
当該運転状況監視部が出力した当該運転状況情報に基づいて、前記車両の安全運転上、車両事故に繋がるおそれのある危険運転状態の発生の有無を判定し、そして当該危険運転状態が発生したと判定されるときに所定のトリガー信号を出力するトリガー信号生成部と、
当該トリガー信号生成部が出力した当該トリガー信号に基づいて、当該トリガー信号が出力された時点前後の所定時間区間における、前記撮像手段により出力された前記画像情報を記録保持する画像記録制御部と、
を備えた
ことを特徴とする車両用周辺状況記録装置。
【請求項2】
前記撮像手段により出力された前記画像情報を処理して、当該画像情報に含まれる、前記車両の走行中自車線の両側に位置する一対の区切線を検出する区切線検出部を、更に備え、
前記運転状況監視部は、当該区切線検出部により検出された前記一対の区切線により、当該一対の区切線と前記車両との相対的な位置関係を認識し、そして当該相対的な位置関係の変化に基づいて前記蛇行状況を把握する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用周辺状況記録装置。
【請求項3】
前記撮像手段により出力された前記画像情報を処理して、当該画像情報に含まれる、前記車両の走行方向の前方に存在する前方車両を検出する前方車両検出部と、
前記車両の走行速度を検出する車速検出手段と、
を、更に備え、
前記運転状況監視部は、当該前方車両検出部により検出された前方車両により、当該前方車両の位置を認識して当該前方車両と前記車両との車間距離を検出し、且つこの検出した車間距離と、前記車速検出手段により検出された走行速度と、に基づいて前記車間距離状況を把握する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用周辺状況記録装置。
【請求項4】
記録部を有し、前記車両の衝突発生を検出した時に当該記録部に前記車両に係る各種情報を記録保持するための運行記録装置が、前記画像記録制御部として用いられ、そして
前記トリガー信号が出力された時点前後の所定時間区間の前記画像情報が当該記録部に記録保持される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両用周辺状況記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−181420(P2009−181420A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20937(P2008−20937)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】