説明

車両用室内照明灯

【課題】回路基板の一端をスイッチ部品の一部とし、各部品の組み付けが簡単であり部品点数の少ないコストパフォーマンスに優れた車両用室内照明灯を提供すること。
【解決手段】ハウジング20にレンズ21とスイッチノブ40を組み付け、灯具ボディ30に光源32を実装した回路基板31を組み付ける。スイッチノブ40に端子42を固定し、回路基板31の側部に接続部43を設ける。ハウジング20と灯具ボディ30が組み付けられ、端子42と接続部43を電気的に接続し、スイッチノブ40の摺動によってスイッチSWの切換を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室を区画する隔壁板(天井板やドアの内装板など)に取り付けられる車両用室内照明灯に関する。
【背景技術】
【0002】
<特許文献1記載の車両用室内照明灯>
車両用室内照明灯のON・OFFを制御するスイッチ構造は公知であり、それによれば、スイッチパネルに回動自在に取り付けられたスイッチノブの押圧部を押し、配線基板に装着されたタクトスイッチを押下することにより、スイッチのON・OFFを行うものである(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−4273号公報
【0004】
<特許文献1記載の発明の問題点>
特許文献1記載の車両用室内照明灯に記載されたスイッチでは、回路基板等のその他の部品構成との組合せが上手いかず、部品点数を少なくできないという欠点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光源を実装した回路基板の一端をスイッチ部品の一部とし、各部品の組み付けが簡単であり部品点数の少ないコストパフォーマンスに優れた車両用室内照明灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車両用室内照明灯は、下記(1)〜(4)を特徴としている。
(1) ハウジングと灯具ボディから成る車両用室内照明灯であって、
前記ハウジングに係合固定されるレンズと、
前記灯具ボディに係合固定される回路基板と、
前記回路基板の一側部に設けられた接続部と、
スイッチノブと前記スイッチノブに固定される端子と、を備え、
前記スイッチノブは前記ハウジングに可動自在に取り付けられ、前記スイッチノブが可動することにより端子と接続部との電気接続が行われ、光源のON・OFF等を行うこと。
(2) 上記(1)の構成の車両用室内照明灯において、前記端子には複数のコンタクトが備えられ、前記接続部には複数の接点が設けられ、前記コンタクトと前記接点とがスイッチノブの可動により選択的に接触すること。
(3) 上記(2)の構成の車両用室内照明灯において、前記接続部は前記回路基板と一体形成され、前記接続部に設けられた前記接点はそれぞれが前記回路基板の内方向に湾曲した形状を成し、前記コンタクトは前記接点の略中央部に弾性付勢すること。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかの構成の車両用室内照明灯において、前記回路基板は一枚の基板に形成されたホールの中心をカットさせた一のパーツから成り、半円状に形成された前記ホールを前記接続部としたこと。
【0007】
上記(1)の構成によれば、ハウジングにレンズとスイッチノブが組み付けられ、灯具ボディに回路基板が組み付けられる簡単な構成により作業性の向上が図れる。また、スイッチノブに固定された端子と回路基板の一側部に設けられた接続部で電気的接続と切換ができるため、簡単で確実なスイッチが提供できる。
上記(2)の構成によれば、複数のコンタクトと複数の接点とを選択的に接触させることにより光源の様々な用途に適用できる。
上記(3)の構成によれば、内方向に湾曲した接点に対してコンタクトが弾性付勢するため電気的接続がより向上する。
上記(4)の構成によれば、回路基板を簡単でロスのない方法で製造できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回路基板の側部にスイッチの電気接続部品を設けることができ、市販のスイッチを利用する必要が無く、車両用室内照明灯の独自のスイッチ構成を確保できる。また、スイッチを車両用室内照明灯の側部に配置させることにより、回路基板に実装される光源とレンズとを近接させることができ、最適な室内照明を提供できる。更に、部品点数も少なく組み付けが容易で作業性も良く、コストパフォーマンスに優れている。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る車両用室内照明灯の一実施形態を示し、(A)は分解斜視図、(B)は組立完了後の断面斜視図である。
【図2】図1に示した車両用室内照明灯を示し、(A)は分解斜視図、(B)(1)は正面斜視図、(B)(2)は裏面斜視図である。
【図3】図1に示した車両用室内照明灯のスイッチを示し、(A)分解斜視図、(B)は断面図、(C)は組立斜視図である。
【図4】図1に示した車両用室内照明灯のスイッチを示し、(A)スイッチがON状態であることを示し、(1)は断面図、(2)は(1)のA−A断面図、(3)は斜視図、(B)はスイッチがOFF状態であることを示し、(1)は断面図、(2)は(1)のB−B断面図、(3)は斜視図である。
【図5】図1に示した車両用室内照明灯の回路基板を示し、(A)は回路基板の製造方法を示す正面図、(B)は回路基板の他の製造方法の手順を示し(1)がカット前の正面図、(2)がカット後の正面図、(3)が完成後の正面図、(C)は接続部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る車両用室内照明灯の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0012】
<本発明の具体的構成>
図1に基づいて、本発明に係る車両用室内照明灯10を説明する。
この車両用室内照明灯10は、車両の車室を区画する隔壁板(天井板やドアの内装板など:図示せず)に取り付けられ、略長方形状のハウジング20と、ハウジング20と係合固定する略長方形状の灯具ボディ30と、から概略構成されている。ハウジング20には、レンズ21とスイッチノブ40とが組み付けられ、灯具ボディ30には、回路基板31が組み付けられる。
ハウジング20の中央部に開口された開口部22内にはレンズ21が係合固定され、ハウジング20の側部に開口された挿通口41には、スイッチノブ40が組み付けられる。スイッチノブ40の底部には端子42が固定される。スイッチノブ40は、挿通口41の側部に設けられた支持部41Sとスイッチノブ40の側部に設けられた係合部40Sとが可動自在(以下、揺動自在と言う)に取り付けられる。すなわち、スイッチノブ40は支持部41Sを支点として摺動する。
灯具ボディ30の中央部には、光源32(LED、EL、等)が複数実装された回路基板31が係合固定される。回路基板31の一側部には接続部43が一体または一体的に設けられ、他側部には外部電源と電気的に接続するターミナル50が実装されている。
【0013】
本発明の一実施形態におけるスイッチSWは、スイッチノブ40および支持部41Sさらに電気接続部品である端子42と接続部43とから構成されている。すなわち、車両用室内照明灯10の側部(図面上左側)のほぼ全体がスイッチノブ40を構成している。また、車両用室内照明灯10のその他の部分(図面上右側)は、主に光源32とレンズ21とから成る照明部ILを構成している。
【0014】
本発明の一実施形態におけるスイッチSWは、シーソースイッチやロッカースイッチと呼ばれているスイッチの一種であり、スイッチノブ40の表面の一端または他端を押すことにより光源32の光りを制御するものであり、例えば光源32のON・OFF、明暗、発光色の切換、等を行うことができる。本発明の一実施形態の説明においては、説明を分かり易くするために、光源32のON・OFFに絞って説明する。
【0015】
図1(B)は、ハウジング20と灯具ボディ30とが組み付けられ、組み付け完了後を示す断面斜視図である。スイッチノブ40の係合部40Sは、支持部41Sに係合され、支持部41Sを支点として左右方向に摺動する。また、レンズ21は、中央部が回路基板31側に窪み、光源32に近接して配置されている。回路基板31に設けられた接続部43と端子42との電気的接続を行えば良いため、端子42の長さを調整することにより、レンズ21と光源32との最適な位置関係を選択することができ、光源32をレンズ21に対して光学的に優れた場所に配置することが可能となる。
【0016】
更に最近では省エネに基づいて、一般的な光源であった白熱電球の使用ができなくなり、LED等が光源として利用する必要が出てきている。特に車両用では顕著であり、本発明の車両用室内照明灯10においても光源32としてLEDを用いている。LEDはフラットな光源であり、LEDを用いる光学設計においては、レンズ(例えば凸レンズ)面を光源に近づける必要がある。その観点で、本発明の一実施形態におけるレンズ21と光源32の近接は、車両用室内照明灯10からの室内への照明を適切なものとしている。
また、回路基板31の一端をスイッチSWの構成部品の一部として活用していることにより、部品点数の削減並びに組み付けのし易さを向上させ、コストパフォーマンスに優れた車両用室内照明灯10を提供している。
【0017】
図2は、ハウジング20と灯具ボディ30の組み付け状態を分かりやすく説明するための斜視図である。レンズ21とスイッチノブ40はハウジング20に組み付けられ、回路基板31は灯具ボディ30に組み付けられた後、ハウジング20と灯具ボディ30とが係合固定され、本発明の車両用室内照明灯10となる。そして、車両用室内照明灯10の側部がスイッチSWと成り、その他の部分が照明部ILと成る(図2(B)参照)。
【0018】
<スイッチ詳細>
図3に基づいて、本発明のスイッチSWについて詳述する。
端子42は、その先端に向かって二股に分かれ、2つのコンタクト、第1コンタクト42Sと第2コンタクト42Tと、を備えている。回路基板31の端子42が配置される側には接続部43が一体または一体的に設けられている。本発明の一実施形態においては、接続部43は、回路基板31の内側に向かってそれぞれが湾曲した凹状の3つの接点、第1接点43Sと第2接点43Tと第3接点43Vと、を備える。
基板の側面を使用し、側面の形状を変えることにより接点のクリック感を容易に設計・変更が可能となる。
【0019】
ハウジング20と灯具ボディ30とが組み付けられると、コンタクト42S、42Tと接点43S、43T、43Vとが接触し、本発明のスイッチSWの構成が完成する(図3(B)(1)参照)。その際、凹状の接点43S、43T、43Vの各中心に向かって弾性付勢されているコンタクト42S、42Tが、接点43S、43T、43Vに選択的に当接し、端子42と接続部43との電気的接続が可能となる。
【0020】
スイッチノブ40は、ハウジング20の支持部41Sを軸として左右に揺動する(曲線矢印および実線と破線参照)。その動きに合わせて、電気接続部品であるコンタクト42S、42Tと接点43S、43T、43Vとの選択的な電気接続が行われる。
【0021】
図4に基づいてスイッチSWのON・OFFについて説明する。
図4(A)はスイッチSWがON状態、すなわち光源32が点灯状態にあることを示している。スイッチノブ40は左側(図面上で)に傾いている。端子42に備えられた第1コンタクト42Sは第1接点43Sと電気的に接続し、第2コンタクト42Tは第2接点43Tと電気的に接続している。
【0022】
図4(B)はスイッチSWがOFF状態、すなわち光源32が非点灯状態にあることを示している。スイッチノブ40は右側(図面上で)に傾いている。端子42に備えられた第1コンタクト42Sは第2接点43Tと電気的に接続し、第2コンタクト42Tは第3接点43Vと電気的に接続している。
【0023】
本発明の一実施形態において、図4(A)をON、図4(B)をOFFと説明したが、逆であっても良く、また、ON・OFF動作に限るものではない。
【0024】
<回路基板の製造方法>
図5に基づいて回路基板31の製造方法を2例詳述する。
図5(A)は、一例である。回路基板31を製造する一例として、回路基板31の元になる基板Dの端部Aをカットする方法がある。その際、凹状の接続部43も同時に形成する。
【0025】
図5(B)は、他例である。回路基板31の元になる基板Dに複数のホール60を形成する。次にホール60の中央(図5(B)(1)の一点鎖線参照)を横方向(図面横方向)にカットする。カットされた一つのパーツが回路基板31となる。カットされた半円状のホール60の内部を湾曲状にして形状を整え、金属メッキや半田等を施すことにより接続部43を完成させる。この二つ目の方法によれば、図5(A)で示された端部Aのロスを防ぎ、コストダウンと成る。
【0026】
また、図5(C)に示すように、接続部43の各接点43S、43T、43Vの形状を傾斜面43Aと円弧状面43Bとすれば、端子42のコンタクト42S、42Tが接点43S、43T、43V上をスムーズに移動でき、かつ円弧状面43Bでコンタクト42S、42Tが確実に接点43S、43T、43Vに対して弾性付勢した当接となりコンタクト42S、42Tと接点43S、43T、43Vの優れた電気的接続が可能となる。
【0027】
<本発明のまとめ>
以上に説明した車両用室内照明灯10では、ハウジング20にレンズ21を係合固定させ、灯具ボディ30に回路基板31を係合固定させ、回路基板31の一側部に接続部43を設け、端子42が固定されたスイッチノブ50をハウジング20に可動自在に取り付けている。従って、組み付け用の部品点数も少なく極めて簡単な構成により作業性の向上が図れる。また、端子42と接続部43による選択的な電気接続によりスイッチSWの切換が簡単にできるため、市販のスイッチを用いる必要がない。更に、車両用室内照明灯10の側部にスイッチノブ40や端子42および接続部43を設けたことにより、回路基板31に実装された光源32とレンズ21とが光学的に適切な配置となり、優れた室内照明を提供できる。
【0028】
また、端子42に複数のコンタクト、第1コンタクト42S、第2コンタクト42T、を備えさせ、また、接続部43には複数の接点、第1接点43S、第2接点43T、第3接点43Vを設けさせ、これらコンタクト42S、42Tと接点43S、43T、43Vとをスイッチノブ40の可動により選択的に接触させることにより、光源32の様々な用途、例えばON・OFF、明暗、発光色の切換、等、に適用できる。
【0029】
更に、接続部33を回路基板31と一体形成させ、接続部33に設けられた各接点43S、43T、43Vの形状を回路基板31の内方向に湾曲させ、コンタクト42S、42Tを接点43S、43T、43Vの略中央部に弾性付勢させて、コンタクト42S、42Tと接点43S、43T、43Vの電気接続を向上させることができる。
【0030】
また、スイッチノブ40の動きを揺動自在としてシーソースイッチ等に適用できる。
そして、一枚の基板Dに形成されたホール60の中心をカットさせ、一つのパーツを回路基板31とすれば、ロスのない回路基板31を製造することができる。
【0031】
本発明の一実施形態のスイッチSWとして、スイッチノブ40が摺動するシーソースイッチを説明したが、スライドスイッチ等、種々のスイッチに適用できる。
【0032】
2つのコンタクト42S、42Tと3つの接点43S、43T、43Vとについて上述したが、本発明と同様な効果、目的が達成できればこれら電気接続部材の数や配列には限定されない。
【0033】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0034】
10:車両用室内照明灯
20:ハウジング
21:レンズ
30:灯具ボディ
31:回路基板
32:光源
40:スイッチノブ
40S:係合部
41:挿通口
41S:支持部
42:端子
42S:第1コンタクト
42T:第2コンタクト
43:接続部
43S:第1接点
43T:第2接点
43V:第3接点
60:ホール
D:基板
SW:スイッチ
IL:照明部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと灯具ボディから成る車両用室内照明灯であって、
前記ハウジングに係合固定されるレンズと、
前記灯具ボディに係合固定される回路基板と、
前記回路基板の一側部に設けられた接続部と、
スイッチノブと前記スイッチノブに固定される端子と、を備え、
前記スイッチノブは前記ハウジングに可動自在に取り付けられ、前記スイッチノブが可動することにより端子と接続部との電気接続が行われ、光源のON・OFF等を行うことを特徴とする車両用室内照明灯。
【請求項2】
前記端子には複数のコンタクトが備えられ、前記接続部には複数の接点が設けられ、前記コンタクトと前記接点とがスイッチノブの可動により選択的に接触することを特徴とする請求項1記載の車両用室内照明灯。
【請求項3】
前記接続部は前記回路基板と一体形成され、前記接続部に設けられた前記接点はそれぞれが前記回路基板の内方向に湾曲した形状を成し、前記コンタクトは前記接点の略中央部に弾性付勢することを特徴とする請求項2記載の車両用室内照明灯。
【請求項4】
前記回路基板は一枚の基板に形成されたホールの中心をカットさせた一のパーツから成り、半円状に形成された前記ホールを前記接続部としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車両用室内照明灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−174652(P2012−174652A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38587(P2011−38587)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】