説明

車両用泥除け面板

【課題】近年車体ボディを広告媒体として捕らえ、車体のあらゆる部位に、画像・グラフィックを印字し、広告宣伝活動を行う事例があるが、従来の泥除け板は、広告を表示するには、印刷条件上の制約があり利用できなかった。そこで泥除け面板本来の材料色の影響を感受しなく、かつ密着性の高い被覆層を形成し、その面上に直接広告意匠を形成する泥除け面板を提供する。
【解決手段】顔料、樹脂、アクリル酸プレポリマー、アクリル酸オリゴマー、開始剤、増感剤、補助剤からなる白色インクを用い、泥除け板上に印字基礎層を形成し、次に少なくとも藍、紅、黄色インクを用いて、文字・イラストまたは画像類を重ね刷り合わせて被覆層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック、商用車、キャンピングカーなどの特装車両、ワゴン車などに装着される車両用泥除け面板(泥はね防止装置)に関するものである。
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
【0002】
車両用泥除け面板は、雨天走行時に、路面からの雨水の飛沫を防止する為に装着される機能部材であり、タイヤを覆う筺体の後方部に止着する構造になっている。
【0003】
面板は、雨水の拡散を防止する為に、路面近傍までの十分な長さをもって設定されるが、金属製などの硬質の材質では、当該面板が路面などに接触した際に破損してしまう恐れがある為、軟質の材料が用いられている。
【0004】
また、図3、図4に示す様に、タイヤを覆うタイヤ筺体18は、タイヤの位置・幅に対応させて、車両の左右に設置されるため、当該泥除け面板14も同じく左右に別けて止着されるが、車両の左右幅の全幅一杯に設ける場合もある。
【0005】
従来の面板は、ビニールコーティングされた表皮同士の中間に、発泡ウレタンシート類を挟み込み、重ね合わせ、菱形状などにキルティング加工を施し、外周部をテープ状の布を用いて、当該表皮を巻き込みし、縫合した構造になっている。
【0006】
尚、簡易な泥除け面板では、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)などの樹脂類単体の板をそのまま用いている場合もある。
【0007】
コーティングされた泥除け面板14は、雨水の侵入を防止し、キルティング加工により、意匠性を持たせると同時に、面板に一定の剛性を与え、型くずれを防止する機能的要素を与えている。
【0008】
すなわち、例えば、鮮やかな色の表皮4による面板を車両に止着することで、車両にアクセントを付与する、車両を保有する会社の企業色(コーポレートカラー)を用いて社名表示するなどの利用事例が上げられる。
【0009】
上述の事例は枚挙を厭わないが、近年、車両ボディを広告媒体として捕らえ、車体のあらゆる部位に、大判の粘着シートを用いて、画像・グラフィック類を制作・貼付して、広告宣伝活動を展開するなどが活発に行われている。
【0010】
しかしながら、従来の構成による泥除け面板では、面板上に印字する場合は、基盤面の色調に依存する為、指定する鮮やかな色を表現できないといった表現上の制約があった。
【0011】
また、粘着シートを泥除け面板14に貼布する方法では、面板の平面性が確保されない為、粘着シートが剥がれてしまうという、密着性などの技術的課題があり、広告媒体として利用することは困難であった。
【0012】
本発明の泥除け面板14は、上述の様な問題点を解決し、車体広告と同一のレベルで泥除け面板14を利用する為の構成、および製造方法を示している。
【0013】
尚、泥除け面板14の取扱い説明10、品質表示11、製造会社の表示12を同時に実現して、商業的な利用を促進する表示を同時に行っている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による泥除け面板14は、顔料、樹脂、アクリル酸プレポリマー、アクリル酸オリゴマー、開始剤、増感剤、補助剤において構成されるインクを用いて、ゴム、ウレタン、オレフィン、塩ビ、繊維、PVC、EVAまたは、PE類でできた基盤面1の上に白色層を形成し、次に白色層(基盤面1)の上に、文字・イラストまたは画像類で構成した広告を、藍色、紅色、黄色のインクを用いて、重ね刷りする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1から図8に示されるのは本発明による車両用泥除け装置の説明をするために、最良の実施例による構造を示すものである。
【0016】
先ず、基盤面1となる、ゴム、ウレタン、オレフィン、塩ビ、繊維、PVC、EVAまたは、PE製の板の寸法(縦横寸法、厚さ)および色調を決定する。
【0017】
基盤面1の寸法は、最大3200mm×1600mmまで、基盤面1の厚さは、0.1〜50mmまで選定することが可能である。
【0018】
図7に示す様に、本実施例では使用する基盤面1は平面であるが、図8に示す様に、使用する基盤面1は、表面に凹凸または、溝を有するものでも良く、部分的に厚さが変化するものでも良い。
【0019】
次に、泥除け面板14に表現したい文字・絵柄などのデザイン8を決定し、作成する。
【0020】
このデザインには、予め、泥除けの外径線(泥除け面板仕上り外径切断線)15、車両への取付穴13の位置、取扱説明10、品質表示11、および販売・製造会社名の表示12を折り込むことができる点が、本発明の進歩性上の重要なポイントである。
【0021】
すなわち、図1に示す様に、泥除けの外径線(泥除け面板仕上り外径切断線)15、車両への取付穴13位置が原寸で表示されることで、測定治具を用いず、指定寸法への切断仕上げが可能になり、工程を短縮すると同時に、加工ミスをも撲滅する。
【0022】
また、図2に示す様に、取扱説明10、品質表示11、または販売・製造会社名の表示12を行う事で、取扱説明書、品質表示ラベルの欠落を未然に防止し、販売・製造会社の表示により、企業の認知度の向上、広告効果につなげることができる。
【0023】
これらの泥除け面板14の基盤面1への表現は、顔料が15W%以上で25W%以内、樹脂が10W%以上で30W%以内、アクリル酸プレポリマーが0W%以上30W%以内、アクリル酸オリゴマーが30W%以上60W%以内の成分を主材とし、開始剤および、増感剤を5W%以上15W%以内、補助剤を5W%以上10W%以内において構成される白色インクを用いて、基盤面1の全面または部分に、印字に適した一次被覆層2を形成する。
【0024】
この一次被覆層2は、基盤面1の色調が、例えば黒などの濃色であったり、あるいはオレンジ色などの鮮やかな色であったりしても、文字・絵柄などのデザイン8の表現を妨げない為に設けるものである。
【0025】
一次被覆層の役割を、図5、図6に示す様な家の絵、および社名含む広告を事例として、以下に説明する。
【0026】
図5に示す様に、白色の一次被覆層2を設けた場合は、背景色が白の為、屋根、壁がくっきり表示され、また窓のおよび社名文字は白色で表示される。
【0027】
一方、図6に示す様に、白色の一次被覆層2を設けない場合は、背景色の影響を受け、屋根、壁の表示は、コントラストが低く、暗く表示され、また窓のおよび社名文字は基盤面1の色となり、視認性に劣ることがわかる。
【0028】
次に一次被覆層2の上に、同様の処方のインクで、少なくとも藍、紅、黄色、一般的には、藍、紅、黄色、黒、微細な色調表現では、更に淡藍、淡紅を加えて構成されるインクを用いて、文字・絵柄などのデザインを重ね刷り合わせて、意匠性のある二次被覆層3を形成する。
【0029】
形成された被覆層を保持するメカニズムは、紫外線を被覆層に照射すると、光開始剤が活性化されて反応開始点ができ、次に、反応開始点がアクリル酸オリゴマーの二重結合を活性化させ、アクリル酸オリゴマー同士が架橋する。
【0030】
最終的に、アクリル酸オリゴマーが網目状に連結する事によって、分子が自由に動けなくなり、インキは固体に変化し、硬化皮膜となる。
【0031】
図7に示す様に、最後に、セラミック粒子をシリコン系樹脂に配合し、耐摩耗性および非粘着性を両立した、耐久性に優れた樹脂保護被覆層20をロールコーティング等でコーティングする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、以下に記述の通りの効果を奏し得る。
【0033】
1)図1に示す様に、泥除け面板14の外径線(泥除け面板仕上り外径切断線)を原寸で印刷することで、治具類、計測機器類を用いず、正確に商品の外径寸法を表わせ、また、外径形状が、図10に示す様な曲面、あるいは任意の形状であっても、加工が可能である。
【0034】
2)図2に示す様に、泥除け面板14を車両本体16または、タイヤ筺体18に取り付ける際に利用するネジ類の孔位置、外径、数量を原寸で表現する事により、取り付けを行う際に、必要なネジ類の仕様、孔明けの為のドリル等の工具の準備を明示することができる。
【0035】
3)図2に示す様に、泥除け面板14の面上に、取り扱い時の注意事項等を表示することで、取扱説明書を別途設けることを不要とし、経済的であると同時に、取扱説明書の紛失を生じない。
【0036】
4)顧客の要望に従って、基盤面1上の意匠を自由に変更することが可能であり、商品価値が向上する。
【0037】
5)例えば、図9に示す様に、在来の泥除け面板14に見られる菱クロス状の意匠19を望む場合でも、本発明の方法を用いて、図10に示す様に、菱クロス状の意匠を、縫い糸を使わなくても表現することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、トラック、商用車、キャンピングカーなどの特装車両、ワゴン車などに装着される車両用泥はね防止装置(泥除け面板)であるが、鉄道車両、路面電車、バス、二輪車、自転車、ゴルフカート、車椅子などでも利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る実施例の正面図1である。
【図2】本発明に係る実施例の正面図2である。
【図3】本発明に係る泥除け面板を装着した車両の斜視図1である。
【図4】本発明に係る泥除け面板を装着した車両の斜視図2である。
【図5】本発明に係る泥除け面板への印刷実施例の正面図1である。
【図6】本発明に係る泥除け面板への印刷実施例の正面図2である。
【図7】本発明に係る実施例の断面図1である。
【図8】本発明に係る実施応用例の断面図2である。
【図9】従来の泥除け面板を示した正面図である。
【図10】本発明に係る実施例を示した正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 基盤面
2 一次被覆層
3 二次被覆層
4 表皮
5 クッション体
6 縫い糸
7 マチ布
8 文字・絵柄などのデザイン
9 寸法線(寸法補助線)および数値の表示
10 取扱説明
11 品質表示
12 製造企業・販売会社名の表示
13 取付穴
14 泥除け面板
15 外径線(泥除け面板仕上り外径切断線)
16 車体
17 タイヤ
18 タイヤ筺体
19 菱クロス状の意匠
20 樹脂保護被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料が15W%以上で25W%以内、樹脂が10W%以上で30W%以内、アクリル酸プレポリマーが0W%以上30W%以内、アクリル酸オリゴマーが30W%以上60W%以内の成分を主材とし、開始剤および、増感剤を5W%以上15W%以内、補助剤を5W%以上10W%以内において構成されるインクを用いて、厚さが0.1mm以上50mm未満であるゴム、ウレタン、オレフィン、塩ビ、繊維、PVC、EVAまたは、PE、カーボンクロス、アラミッドクロス製の当該泥除け製品の基盤面の全面または部分に、白色たる印字基礎層を形成し、次に印字基礎層上に、同様処方からなり、少なくとも藍、紅、黄色で構成されるインクを用いて、文字・イラストまたは画像類の意匠を重ね刷り合わせて、被覆層を形成した車両用泥除け面板。
【請求項2】
請求項1において、少なくとも藍、紅、黄色で構成されるインクを用いて、文字・イラストまたは画像類の意匠を重ね刷り合わせて、被覆層を形成する際、同時に黒色インクを用いて、製品の外径仕上げ線図の原寸印字を行った車両用泥除け面板。
【請求項3】
請求項2において、少なくとも藍、紅、黄色で構成されるインクを用いて、文字・イラストまたは画像類の意匠を重ね刷り合わせて、被覆層を形成する際、同時に黒色インクを用いて、製品の外径仕上げ線図の原寸印字および製品の原寸寸法図、取扱い説明書を印字した車両用泥除け面板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−1004(P2010−1004A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187896(P2008−187896)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(505024730)株式会社オオカワ (2)
【Fターム(参考)】