説明

車両用洗浄装置

【課題】操作性が高く、安価な車両用洗浄装置を提供すること。
【解決手段】車両用洗浄装置は、タンクTに貯留された洗浄液を給送するための電動ポンプPと、給送された洗浄液を車両後部に配置された車載カメラ10のガラス窓10aに向けて噴射するためのカメラ・ウォッシャノズルN2とを備える。又、車両が後進状態であることを示す後進状態信号Xの入力に基づいてディスプレイDSPに車載カメラ10が撮像した画像を表示させるとともにカメラ洗浄用のタッチパネルスイッチTSWを表示させ、該カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチTSWの操作に基づいてカメラ・ウォッシャノズルN2に洗浄液を給送すべく電動ポンプPを駆動する制御部Sを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を後退させる際に、車両後方の状況を車両後部に配置した車載カメラにて撮影して、その撮影映像をカーナビゲーション用のモニタに表示させて確認できるようにしたものが知られている。この車載カメラは、車両の外部に配置されるためにレンズに泥等が付着すると車両の後方状況が十分に撮影できず、確認し難くなるといった問題がある。
【0003】
そこで、車載カメラのレンズに洗浄液を吹き付けて付着物を除去するためのノズルを設けた車両用洗浄装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両用洗浄装置では、スイッチを操作することでノズルから車載カメラの撮像面に洗浄液が噴射され、車載カメラが洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−53448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記車両用洗浄装置におけるカメラ洗浄用のスイッチは、ワイパスイッチ等の洗浄系のスイッチが集約されたレバー等に更に追加して設けることが考えられる。しかしながら、この場合では、カメラ洗浄用のスイッチの操作時に、誤操作や操作の戸惑い(カメラ洗浄用のスイッチがどれだったか?どう操作するか?といった戸惑い)が発生してしまう虞がある。尚、ワイパスイッチ等の洗浄系のスイッチが集約されたレバー以外のステアリング周り等にカメラ洗浄用のスイッチを設けることも考えられるが、この場合も略同様の問題が発生する虞がある。又、カメラ洗浄用の機械的なスイッチを追加して設けることは、車両用洗浄装置を高価としてしまう原因となる。
【0006】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、操作性が高く、安価な車両用洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、タンクに貯留された洗浄液を給送するための電動ポンプと、
給送された洗浄液を車両後部に配置された車載カメラの撮像面に向けて噴射するためのカメラ洗浄ノズルとを備えた車両用洗浄装置において、車両が後進状態であることを示す後進状態信号の入力に基づいてディスプレイに前記車載カメラが撮像した画像を表示させるとともにカメラ洗浄用のタッチパネルスイッチを表示させ、該カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチの操作に基づいて前記カメラ洗浄ノズルに洗浄液を給送すべく前記電動ポンプを駆動する制御部を備えたことを要旨とする。
【0008】
同構成によれば、例えば、制御部に後進状態信号が入力されると、ディスプレイに車載カメラが撮像した画像とカメラ洗浄用のタッチパネルスイッチが表示され、該タッチパネルスイッチが操作されると、電動ポンプが駆動されてカメラ洗浄ノズルに洗浄液が給送されるようにすることができる。よって、運転手は、例えば、車載カメラが撮像した画像が表示されたディスプレイを見て撮像面が汚れていることを確認した際に、同ディスプレイに表示されたカメラ洗浄用のタッチパネルスイッチを操作する(触れる)だけで、車載カメラの撮像面の洗浄を行うことができる。これにより、例えば、ワイパスイッチ等の洗浄系のスイッチが集約されたレバー等にカメラ洗浄用のスイッチをも集約させた場合に発生してしまう虞のある誤操作や操作の戸惑い(カメラ洗浄用のスイッチがどれだったか?どう操作するか?といった戸惑い)を回避することができる。更に、カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチとしたことで、例えば、カメラ洗浄用の機械的なスイッチを設ける場合に比べて、車両用洗浄装置を安価とすることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用洗浄装置において、前記電動ポンプに主配管を介して接続され、給送された洗浄液を車両ウィンドに噴射するためのウィンド洗浄ノズルと、前記主配管から分岐して前記カメラ洗浄ノズルに接続される分岐配管と、前記主配管と前記分岐配管の分岐部分に設けられ、前記電動ポンプからの洗浄液が前記ウィンド洗浄ノズルに給送される状態から前記カメラ洗浄ノズルに給送される状態に切り替え可能な切替手段とを備え、前記制御部は、前記カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチの操作に基づいて、前記電動ポンプからの洗浄液が前記カメラ洗浄ノズルに給送される状態に前記切替手段を切り替えることを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、例えば、カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチが操作されると、電動ポンプからの洗浄液がウィンド洗浄ノズルに給送される状態からカメラ洗浄ノズルに給送される状態に切替手段が切り替えられるようにすることができる。又、カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチが操作されない状態では、電動ポンプからの洗浄液がウィンド洗浄ノズルに給送される状態とすることができる。これらのことから、例えば、ウィンド洗浄用とカメラ洗浄用の電動ポンプを共通のものとすることができる。又、例えば、分岐部分までの主配管を共通とすることができるので、配管部材(ホース等)の総使用長を(それぞれ別々の配管とした場合に比べて)短くすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両用洗浄装置において、前記電動ポンプに主配管を介して接続され、給送された洗浄液を車両ウィンドに噴射するためのウィンド洗浄ノズルと、前記主配管から分岐して前記カメラ洗浄ノズルに接続される分岐配管と、前記主配管と前記分岐配管の分岐部分に設けられ、前記電動ポンプからの洗浄液が前記ウィンド洗浄ノズルに給送される状態から前記カメラ洗浄ノズルに給送される状態に切り替え可能な切替手段とを備え、前記制御部は、前記後進状態信号の入力に基づいて、前記電動ポンプからの洗浄液が前記カメラ洗浄ノズルに給送される状態に前記切替手段を切り替えることを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、例えば、車両が後進状態であることを示す後進状態信号が制御部に入力されると、電動ポンプからの洗浄液がウィンド洗浄ノズルに給送される状態からカメラ洗浄ノズルに給送される状態に切替手段が切り替えられるようにすることができる。又、車両が後進状態であることを示す後進状態信号が制御部に入力されていない状態では、電動ポンプからの洗浄液がウィンド洗浄ノズルに給送される状態とすることができる。これらのことから、例えば、ウィンド洗浄用とカメラ洗浄用の電動ポンプを共通のものとすることができる。又、例えば、分岐部分までの主配管を共通とすることができるので、配管部材(ホース等)の総使用長を(それぞれ別々の配管とした場合に比べて)短くすることができる。更に、後進状態信号が制御部に入力されると、カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチが操作されて電動ポンプが駆動されることに先立って電動ポンプからの洗浄液がカメラ洗浄ノズルに給送される状態に切替手段が切り替えられることで、例えば、ウィンド洗浄ノズルから洗浄液が僅かに垂れてしまうといったことを防止することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用洗浄装置において、前記制御部は、前記カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチの操作に基づいて、予め設定された噴射時間だけ前記カメラ洗浄ノズルに洗浄液を給送すべく前記電動ポンプを駆動することを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、例えば、カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチが操作されると、予め設定された噴射時間(例えば3秒)だけカメラ洗浄ノズルに洗浄液が給送されるようにすることができる。よって、例えば、運転手はタッチパネルスイッチに一瞬触れただけで、車載カメラの撮像面の洗浄を良好に行うことが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用洗浄装置において、前記制御部は、前記カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチの操作が行われ続けている時間だけ前記カメラ洗浄ノズルに洗浄液を給送すべく前記電動ポンプを駆動することを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチの操作が行われ続けている時間だけカメラ洗浄ノズルに洗浄液が給送されるようにすることができる。よって、例えば、運転手はディスプレイに表示された(車載カメラが撮像した)画像を見ながら、車載カメラの撮像面が綺麗になるまでその洗浄を行い続けることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、操作性が高く、安価な車両用洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)一実施形態の車両用洗浄装置を備えた車両の概略構成図。(b)一実施形態におけるディスプレイの模式図。
【図2】一実施形態の車両用洗浄装置の信号及び動作のタイムチャート。
【図3】別例の車両用洗浄装置を備えた車両の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の車両用洗浄装置の実施形態を図1及び図2に従って説明する。
図1(a)に示すように、車両1には、運転席の横に変速装置2のシフトレバー3が設けられ、同シフトレバー3を各ポジションに操作することによって車両1は変速する。シフトレバー3を1速位置に操作すると、変速装置2は車両1の変速比を1速にシフトチェンジさせる。シフトレバー3を2速位置に操作すると、変速装置2は車両1の変速比を2速にシフトチェンジさせる。また、シフトレバー3を中立位置に操作すると、変速装置2は車両1の変速比を中立にシフトチェンジさせる。
【0020】
さらに、シフトレバー3を後進位置(後進ポジション)に操作すると、変速装置2は車両1を後進させる(後進可能な後進状態とする)。この時、シフトレバー3が後進位置にシフトされている間、車両1の後部に設けられたバックランプBLが点灯されるようになっている。
【0021】
また、車両1のコンソールパネルには、ナビゲーション装置において現在位置やその他地図表示等に利用される表示装置Hが設置されている。この表示装置Hは、運転席側に露出したディスプレイDSPと該ディスプレイDSPと一体的に設けられて該ディスプレイDSPを制御するディスプレイ制御部ECU1とからなる。
【0022】
車両1の後部中央位置であって車両ウィンドとしてのリアウィンド4の下側には、リア用のワイパ装置6が設けられている。ワイパ装置6は、ワイパモータMが駆動されることによってワイパ(ワイパブレード)7がリアウィンド4の外側面を払拭動作する。
【0023】
車両1の後部中央位置であってリアウィンド4の上側には、ウィンド洗浄ノズルとしてのリア・ウォッシャノズルN1が設けられている。リア・ウォッシャノズルN1は、そのノズル口が下方のリアウィンド4に向けられ、そのノズル口から洗浄液がリアウィンド4の払拭面に噴射されるようになっている。
【0024】
リア・ウォッシャノズルN1は、車両1の前部エンジンルームに設けられた電動ポンプPと主配管8を介して接続されている。電動ポンプPは、同じくエンジンルームに設けられたタンクTに貯留された洗浄液を、主配管8を介してリア・ウォッシャノズルN1に給送する電動ポンプである。
【0025】
又、運転席には、前記リア・ウォッシャノズルN1に洗浄液を給送すべく電動ポンプPを駆動するためのウォッシャスイッチSW1が設けられている。
車両1の後部外側であって、本実施形態では前記ワイパ装置6よりもさらに後部位置には、バックモニタ用の車載カメラ10が設置されている。車載カメラ10は、本実施形態では、後方視認用のリアビューカメラであって、車載カメラ10が撮像した画像は、画像データとして前記表示装置Hのディスプレイ制御部ECU1に出力される。ディスプレイ制御部ECU1は、その画像データに基づいて車載カメラ10が撮像した画像をディスプレイDSPに表示するようになっている。
【0026】
車載カメラ10に隣接した位置であって、車載カメラ10の後方撮像視野角から外れた位置には、カメラ洗浄ノズルとしてのカメラ・ウォッシャノズルN2が設けられている。カメラ・ウォッシャノズルN2は、そのノズル口が車載カメラ10のレンズを泥、埃、塵等から保護するために設けられた撮像面としてのガラス窓10aに向けられ、そのノズル口から洗浄液が車載カメラ10のガラス窓10aに噴射されるようになっている。
【0027】
カメラ・ウォッシャノズルN2は、前記主配管8から分岐した分岐配管8aに接続されている。又、分岐配管8aが主配管8から分岐した分岐部分には、前記電動ポンプPからの洗浄液が前記リア・ウォッシャノズルN1に給送される状態から前記カメラ・ウォッシャノズルN2に給送される状態に切り替え可能な切替手段としての電磁バルブBが設けられている。尚、本実施の形態の分岐部分の位置であって電磁バルブBが設けられる位置は、車両後部とされている。
【0028】
又、車両1は、後進状態信号Xの入力に基づいて、ディスプレイDSPに車載カメラ10が撮像した画像を表示させるとともにカメラ洗浄用のタッチパネルスイッチTSW(図1(b)参照)を表示させ、該タッチパネルスイッチTSWの操作に基づいてカメラ・ウォッシャノズルN2に洗浄液を給送すべく電動ポンプPを駆動する制御部Sを備える。
【0029】
詳しくは、本実施の形態の制御部Sは、前記表示装置Hのディスプレイ制御部ECU1と、リレー等を含む回路又は電子回路等からなり前記電動ポンプP及び前記電磁バルブBを駆動制御する洗浄駆動制御部11とを備える。
【0030】
前記後進状態信号Xは、後進状態(後進可能な状態)であることを示す信号であり、本実施の形態ではシフトレバー3が後進位置(後進ポジション)に操作された際の動作に伴った電気信号であって、直接、又は図示しない車両ECUを介してディスプレイ制御部ECU1に入力される。
【0031】
制御部Sのディスプレイ制御部ECU1は、前記後進状態信号Xが入力されると、図1(b)に示すように、ディスプレイDSPに前記車載カメラ10が撮像した画像を表示させるとともにカメラ洗浄用のタッチパネルスイッチTSWを表示させる。そして、ディスプレイ制御部ECU1は、前記タッチパネルスイッチTSWが操作されると前記洗浄駆動制御部11にカメラ洗浄駆動信号Yを出力する。尚、本実施の形態のディスプレイ制御部ECU1は、タッチパネルスイッチTSWが操作されると(運転手が触れると)、予め設定された噴射時間(例えば3秒)だけカメラ洗浄駆動信号Yを出力する。
【0032】
制御部Sの洗浄駆動制御部11は、前記カメラ洗浄駆動信号Yが入力されると、前記電動ポンプPからの洗浄液が前記カメラ・ウォッシャノズルN2に給送される状態に前記電磁バルブBを切り替えるとともに、前記電動ポンプPを駆動する。尚、本実施の形態の洗浄駆動制御部11は、前記カメラ洗浄駆動信号Yが入力されている間(例えば3秒)だけ電動ポンプPを駆動する。
【0033】
又、この洗浄駆動制御部11は、前記カメラ洗浄駆動信号Yが入力されていない状態で前記ウォッシャスイッチSW1が操作されると、前記電動ポンプPからの洗浄液がリア・ウォッシャノズルN1に給送される状態のまま(電磁バルブBを切り替えず)、前記電動ポンプPを駆動する。
【0034】
次に、上記実施の形態の作用(動作)について説明する。
例えば、シフトレバー3が後進位置に操作されると、図1(b)に示すように、ディスプレイDSPに車載カメラ10が撮像した画像が表示されるとともにカメラ洗浄用のタッチパネルスイッチTSWが表示される。そして、タッチパネルスイッチTSWが操作されると、図2に示すように、電動ポンプPからの洗浄液がカメラ・ウォッシャノズルN2に給送される状態に電磁バルブBが切り替えられるとともに、電動ポンプPが駆動され、洗浄液がカメラ・ウォッシャノズルN2から車載カメラ10のガラス窓10aに噴射(カメラウォッシャ噴射)される。
【0035】
又、シフトレバー3が後進位置に操作されていない状態、又は、カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチTSWが操作されていない状態で、ウォッシャスイッチSW1が操作されると、電磁バルブBが切り替えられずに電動ポンプPが駆動され、洗浄液がリア・ウォッシャノズルN1からリアウィンド4に噴射(ウィンドウォッシャ噴射)される。
【0036】
次に、上記実施形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)運転手は、例えば、車載カメラ10が撮像した画像が表示されたディスプレイDSPを見て車載カメラ10のガラス窓10aが汚れていることを確認した際に、同ディスプレイDSPに表示されたカメラ洗浄用のタッチパネルスイッチTSWを操作する(触れる)だけで、車載カメラ10のガラス窓10aの洗浄を行うことができる。これにより、例えば、ワイパスイッチやウォッシャスイッチSW1等の洗浄系のスイッチが集約されたレバー等にカメラ洗浄用のスイッチをも集約させた場合に発生してしまう虞のある誤操作や操作の戸惑い(カメラ洗浄用のスイッチがどれだったか?どう操作するか?といった戸惑い)を回避することができる。更に、カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチTSWとしたことで(ディスプレイ制御部ECU1のソフトを変更するのみでよいため)、例えば、カメラ洗浄用の機械的なスイッチを設ける場合に比べて、車両用洗浄装置を安価とすることができる。
【0037】
(2)上記実施形態では、ウィンド洗浄用とカメラ洗浄用の電動ポンプPを共通のものとすることができるので、それぞれの電動ポンプを別々に設けた場合に比べて、例えば、安価とすることができる。又、分岐部分(電磁バルブB)までの主配管8を共通とすることができるので、配管部材(ホース等)の総使用長を(それぞれ別々の配管とした場合に比べて)短くすることができる。尚、本実施の形態では、分岐部分の位置であって電磁バルブBが設けられる位置が車両後部とされているため、分岐配管8aを大幅に短くでき、配管部材(ホース等)の総使用長を(それぞれ別々の配管とした場合に比べて)大幅に短くすることができる。
【0038】
(3)カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチTSWが操作されると、予め設定された噴射時間(例えば3秒)だけカメラ・ウォッシャノズルN2に洗浄液が給送される。よって、例えば、運転手はタッチパネルスイッチTSWに一瞬触れただけで、車載カメラ10のガラス窓10aの洗浄を良好に行うことが可能となる。
【0039】
上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、対象となる車両ウィンドをリアウィンド4とするとともにウィンド洗浄ノズルをリア・ウォッシャノズルN1としたが、対象となる車両ウィンドをフロントウィンドとするとともにウィンド洗浄ノズルをフロント・ウォッシャノズルとしてもよい。
【0040】
具体的には、図3に示すように変更してもよい。この例(図3参照)では、フロントウィンド21の下側に、ウィンド洗浄ノズルとしてのフロント・ウォッシャノズルN3が一対設けられている。フロント・ウォッシャノズルN3は、そのノズル口が上方のフロントウィンド21に向けられ、そのノズル口から洗浄液がフロントウィンド21の払拭面に噴射されるようになっている。このようにしても、上記実施形態と略同様の効果を得ることができる。
【0041】
尚、この例では、上記実施形態のワイパ装置6がフロントウィンド21の下側に設けられ、そのワイパモータMが駆動されることによって一対のワイパ(ワイパブレード)7がフロントウィンド21の外側面を払拭動作するようになっている。そして、上記実施形態及びこの別例(図3参照)においては、ウィンド洗浄ノズル(リア・ウォッシャノズルN1又はフロント・ウォッシャノズルN3)から洗浄液を噴射する際(例えば、噴射直後)に、自動的に、例えば予め設定された時間だけワイパモータMを駆動するようにしてもよい。
【0042】
・上記実施形態では、制御部Sは、タッチパネルスイッチTSWが操作されると、電動ポンプPからの洗浄液がカメラ・ウォッシャノズルN2に給送される状態に電磁バルブBを切り替えるとしたが、これに限定されず、後進状態信号Xの入力に基づいて、カメラ・ウォッシャノズルN2に給送される状態に電磁バルブBを切り替えてもよい。このようにすると、シフトレバー3が後進位置に操作されると、カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチTSWが操作されて電動ポンプPが駆動されることに先立って電磁バルブBが切り替えられることで、例えば、リア・ウォッシャノズルN1から洗浄液が僅かに垂れてしまうといったことを防止することができる。
【0043】
・上記実施形態では、制御部Sは、カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチTSWの操作に基づいて、予め設定された噴射時間(例えば3秒)だけカメラ・ウォッシャノズルN2に洗浄液を給送すべく電動ポンプPを駆動するとしたが、電動ポンプPを駆動する時間は変更してもよい。例えば、制御部Sは、カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチTSWの操作が行われ続けている時間だけカメラ・ウォッシャノズルN2に洗浄液を給送すべく電動ポンプPを駆動するようにしてもよい。このようにすると、例えば、運転手はディスプレイDSPに表示された(車載カメラが撮像した)画像を見ながら、車載カメラ10のガラス窓10aが綺麗になるまでその洗浄を行い続けることができる。
【0044】
又、前記予め設定された噴射時間(例えば3秒)は、設定変更可能としてもよく、例えば、ディスプレイDSPに表示される時間設定用のタッチパネルスイッチにて設定変更可能としてもよい。このようにすると、運転手が車両利用状況や好み等に応じて容易に洗浄時間(噴射時間)を変更することができる。又、時間設定用のタッチパネルスイッチとすることで、例えば、機械的な時間設定用のスイッチを設ける場合に比べて、車両用洗浄装置を安価とすることができる。
【0045】
・上記実施形態では、切替手段(電磁バルブB)及びリア・ウォッシャノズルN1(ウィンド洗浄ノズル)を備えた車両用洗浄装置に具体化したが、単に車載カメラ10のガラス窓10a(撮像面)を洗浄するだけの車両用洗浄装置としてもよい。例えば、リア・ウォッシャノズルN1に洗浄液を給送する電動ポンプと、カメラ・ウォッシャノズルN2に洗浄液を給送する電動ポンプとを別々に設け、カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチTSWが操作されるとカメラ・ウォッシャノズルN2に洗浄液を給送する側の電動ポンプを駆動するようにしてもよい。又、例えば、正逆転駆動可能な電動モータの回転方向によって2つの吐出口から択一的に洗浄液を吐出することが可能なダブルアウトレットポンプ(電動ポンプ)を用いて、カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチTSWが操作されるとカメラ・ウォッシャノズルN2側に洗浄液を給送するようにしてもよい。
【0046】
・上記実施形態では、車両1が後進状態であることを示す後進状態信号Xは、シフトレバー3の後進位置(後進ポジション)の電気信号であるとしたが、後進(可能)状態であることを示す他の信号であってもよく、例えば、機械的に変更された後進ギヤの検知信号等に変更してもよい。
【0047】
・上記実施形態では、後進状態信号Xの入力に基づいてディスプレイDSPに車載カメラ10が撮像した画像を表示させるとともにカメラ洗浄用のタッチパネルスイッチTSWを表示させ、該タッチパネルスイッチTSWの操作に基づいてカメラ洗浄を行うようにしたが、後進状態信号Xの入力に基づいて前記タッチパネルスイッチTSWと前記ウォッシャスイッチSW1の両方をカメラ洗浄用のスイッチとして有効にし、何れかのスイッチの操作に基づいてカメラ洗浄を行うようにしてもよい。
【0048】
上記各実施形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項4に記載の車両用洗浄装置において、前記予め設定された噴射時間は、前記ディスプレイに表示される時間設定用のタッチパネルスイッチにて設定変更可能とされたことを特徴とする車両用洗浄装置。
【0049】
同構成によれば、前記予め設定された噴射時間は、ディスプレイに表示される時間設定用のタッチパネルスイッチにて設定変更可能とされるため、運転手が車両利用状況や好み等に応じて容易に洗浄時間を変更することができる。又、時間設定用のタッチパネルスイッチとすることで、例えば、機械的な時間設定用のスイッチを設ける場合に比べて、車両用洗浄装置を安価とすることができる。
【符号の説明】
【0050】
1…車両、4…リアウィンド(車両ウィンド)、8…主配管、8a…分岐配管、10…車載カメラ、10a…ガラス窓(撮像面)、21…フロントウィンド(車両ウィンド)、B…電磁バルブ(切替手段)、N1…リア・ウォッシャノズル(ウィンド洗浄ノズル)、N2…カメラ・ウォッシャノズル(カメラ洗浄ノズル)、N3…フロント・ウォッシャノズル(ウィンド洗浄ノズル)、P…電動ポンプ、S…制御部、T…タンク、X…後進状態信号、DSP…ディスプレイ、TSW…タッチパネルスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクに貯留された洗浄液を給送するための電動ポンプと、
給送された洗浄液を車両後部に配置された車載カメラの撮像面に向けて噴射するためのカメラ洗浄ノズルと
を備えた車両用洗浄装置において、
車両が後進状態であることを示す後進状態信号の入力に基づいてディスプレイに前記車載カメラが撮像した画像を表示させるとともにカメラ洗浄用のタッチパネルスイッチを表示させ、該カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチの操作に基づいて前記カメラ洗浄ノズルに洗浄液を給送すべく前記電動ポンプを駆動する制御部を備えたことを特徴とする車両用洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用洗浄装置において、
前記電動ポンプに主配管を介して接続され、給送された洗浄液を車両ウィンドに噴射するためのウィンド洗浄ノズルと、
前記主配管から分岐して前記カメラ洗浄ノズルに接続される分岐配管と、
前記主配管と前記分岐配管の分岐部分に設けられ、前記電動ポンプからの洗浄液が前記ウィンド洗浄ノズルに給送される状態から前記カメラ洗浄ノズルに給送される状態に切り替え可能な切替手段とを備え、
前記制御部は、前記カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチの操作に基づいて、前記電動ポンプからの洗浄液が前記カメラ洗浄ノズルに給送される状態に前記切替手段を切り替えることを特徴とする車両用洗浄装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用洗浄装置において、
前記電動ポンプに主配管を介して接続され、給送された洗浄液を車両ウィンドに噴射するためのウィンド洗浄ノズルと、
前記主配管から分岐して前記カメラ洗浄ノズルに接続される分岐配管と、
前記主配管と前記分岐配管の分岐部分に設けられ、前記電動ポンプからの洗浄液が前記ウィンド洗浄ノズルに給送される状態から前記カメラ洗浄ノズルに給送される状態に切り替え可能な切替手段とを備え、
前記制御部は、前記後進状態信号の入力に基づいて、前記電動ポンプからの洗浄液が前記カメラ洗浄ノズルに給送される状態に前記切替手段を切り替えることを特徴とする車両用洗浄装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用洗浄装置において、
前記制御部は、前記カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチの操作に基づいて、予め設定された噴射時間だけ前記カメラ洗浄ノズルに洗浄液を給送すべく前記電動ポンプを駆動することを特徴とする車両用洗浄装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用洗浄装置において、
前記制御部は、前記カメラ洗浄用のタッチパネルスイッチの操作が行われ続けている時間だけ前記カメラ洗浄ノズルに洗浄液を給送すべく前記電動ポンプを駆動することを特徴とする車両用洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−82358(P2013−82358A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224256(P2011−224256)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】