説明

車両用灯具のカプラ固定構造

【課題】部品点数や組付工数の増加を招くことなく、カプラをヒートシンクにワンタッチで簡単に取り付けることができる車両用灯具のカプラ固定構造を提供すること。
【解決手段】レンズと、該レンズを保持するレンズホルダ3と、該レンズホルダ3に保持されたリフレクタ4と、前記レンズホルダ3に取り付けられたヒートシンク5と、該ヒートシンク5上に装着されたLED光源と、該LED光源に給電するためのカプラ9,10を含んで構成される車両用灯具1の前記カプラ9,10の前記ヒートシンク5への固定構造として、前記ヒートシンク5に係合孔5b,5cを形成し、該係合孔5b,5cに前記カプラ9,10を係合させてこれらを前記ヒートシンク5に固定する構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドランプ等の車両用灯具のLED光源に給電するためのカプラのヒートシンクへの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省電力で高寿命であるLED(発光ダイオード)を光源として使用する車両用灯具が増えつつある。斯かるLEDを光源とするヘッドランプ等の車両用灯具には、レンズと、該レンズを保持するレンズホルダと、該レンズホルダに保持されたリフレクタと、前記レンズホルダが取り付けられるヒートシンクと、該ヒートシンク上に装着されたLED光源を含んで構成されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−186698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光源としてLED光源を使用し、該LED光源からの熱を放熱するためのヒートシンクを備える車両用灯具においては、LED光源に給電するためのカプラを金属製のステーを介してヒートシンクに取り付けたり、カプラをネジ止めによってヒートシンクに固定していたため、部品点数と組付工数が増加してコストアップを招くという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、部品点数や組付工数の増加を招くことなく、カプラをヒートシンクにワンタッチで簡単に取り付けることができる車両用灯具のカプラ固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、レンズと、該レンズを保持するレンズホルダと、該レンズホルダに保持されたリフレクタと、前記レンズホルダに取り付けられたヒートシンクと、該ヒートシンク上に装着されたLED光源と、該LED光源に給電するためのカプラを含んで構成される車両用灯具の前記カプラの前記ヒートシンクへの固定構造であって、前記ヒートシンクに係合孔を形成し、該係合孔に前記カプラを係合させてこれを前記ヒートシンクに固定することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記カプラは、電源に連なるコネクタが接続される第1のカプラと、該第1のカプラから延びる複数の電源コードの各端部にそれぞれ接続された第2のカプラとで構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ヒートシンクに形成された係合孔にカプラを係合させてこれをヒートシンクに直接固定するようにしたため、従来要していた金属ステー等の部品やネジ等の締結具を用いることなくカプラをヒートシンクにワンタッチで簡単に固定することができ、部品点数と組付工数を削減してコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る車両用灯具の正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明に係る車両用灯具の背面図である。
【図4】本発明に係る車両用灯具のヒートシンクの背面図である。
【図5】本発明に係る車両用灯具のカプラの斜視図である。
【図6】本発明に係る車両用灯具におけるカプラのヒートシンクへの固定要領を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は本発明に係る車両用灯具の正面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は同車両用灯具の背面図、図4は同車両用灯具のヒートシンクの背面図、図5は同車両用灯具のカプラの斜視図、図6は同車両用灯具におけるカプラのヒートシンクへの固定要領を示す斜視図である。
【0012】
本実施の形態に係る車両用灯具1は、車両前部の左右に設けられるヘッドランプの灯室内に組み込まれるロービーム用ランプであって、その構成は左右で同じであるため、以下、一方の車両用灯具1についてのみ図示及び説明する。
【0013】
図1及び図2に示す車両用灯具1は、左右一対のレンズ(投影レンズ)2と、これらのレンズ2をそれぞれ保持する左右一対のレンズホルダ3と、各レンズホルダ3に保持される左右一対のリフレクタ4と、各レンズホルダ3が取り付けられるヒートシンク5と、該ヒートシンク5上に固定された左右一対のLED光源6を含んで構成されている。
【0014】
上記レンズ2は、非球面の凸レンズであって、アクリル樹脂等の透明樹脂によって構成されており、各レンズ2は、樹脂にて一体成形された前記レンズホルダ3に係止構造によって固定されている。
【0015】
前記各リフレクタ4は、光を透過しない不透明樹脂によって一体成形されており、その前方と下方が開口するドーム状を成し、その内面はアルミ蒸着等の反射処理が施されて反射面を形成している。
【0016】
前記ヒートシンク5は、熱伝導性の高いアルミダイカスト等によって一体成形されており、図2に示すように、その前面側には左右一対の前記レンズホルダ3がネジ7によって取り付けられている。そして、図3及び図4に示すように、ヒートシンク5には複数枚の放熱フィン5aが一体に形成されている。
【0017】
而して、図4に示すように、ヒートシンク5の背面の幅方向中央には平坦な設置面5Aが形成されており、この設置面5Aの中央には円孔状の係合孔5bが形成されている。又、ヒートシンク5の背面の前記設置面5Aの左右上方(前記LED光源6が配置される箇所)には横方向に長い矩形の係合孔5cがそれぞれ形成されている。
【0018】
左右の前記各LED光源6は、図2に示すように、熱伝導性及び絶縁性が高いセラミック等から成る矩形平板状のLED基板6a上にLEDチップ6bを実装して構成されており、LED基板6aは金属製のクリップ8によってヒートシンク5に固定されている。
【0019】
ところで、左右の各LED光源6には電源である不図示の車載バッテリから給電されるが、ヒートシンク5には給電のための1つの第1のカプラ9と2つの第2のカプラ10が係合構造によってワンタッチで簡単に固定される。ここで、図5に示すように、矩形ブロック状の第1のカプラ9の端面にはクリップ9aが一体に突設されており、該第1のカプラ9からは左右2本の電源コード11が延びている。そして、左右の電源コード11の各端部には扁平な矩形ブロック状の前記第2のカプラ10がそれぞれ接続されており、各第2のカプラ10の左右両側部には弾性変形可能な係止爪10aがそれぞれ一体に形成されている。
【0020】
而して、図6に示すように、第1のカプラ9は、これに突設された前記クリップ9aをヒートシンク5の前記係合孔5bに背面側から差し込んで係合させることによってヒートシンク5の設置面5Aに図3に示すようにワンタッチで簡単に固定される。
【0021】
又、左右2つの第2のカプラ10をヒートシンク5に形成された左右の前記係合孔5cに背面側からそれぞれ差し込めば、その左右両側部に形成された係止爪10aが係合孔5cに係止されるため、これらの第2のカプラ10が図3に示すようにヒートシンク5にワンタッチで簡単に固定される。尚、図2に示すように、第2のカプラ10がヒートシンク5の係合孔5cに差し込まれて固定された状態では、第2のカプラ10側の端子10bがLED基板6aの不図示の接点に電気的に接続される。
【0022】
以上のようにして第1のカプラ9と第2のカプラ10がヒートシンク5の背面に固定されると、第1のカプラ9には車載バッテリに連なる不図示のコネクタが差し込まれて接続され、左右のLED光源6は、車載バッテリに電気的に接続される。
【0023】
而して、夜間での車両の走行において運転者が不図示の点灯スイッチをON操作すれば、車載バッテリから電流が左右の各LED光源6へと供給され、各LED光源6のLEDチップ6bが起動されて発光する。すると、各LED光源6からの光は、各リフレクタ4の反射面及びレンズホルダ3の反射面によって反射してロービーム用に配光された後、車両前方へと進んで左右の各レンズ2を通過することによって集光され、不図示のハウジングの前面開口部を覆う不図示のアウタレンズを通って前方へと照射される。このとき、各LED光源6のLEDチップ6bが発する熱は、LED基板6aからヒートシンク5へと伝導し、ヒートシンク5の放熱フィン5aから外部に効率良く放熱されるため、LEDチップ6bの温度上昇が抑えられ、該LEDチップ6bに高い発光効率と寿命が確保される。
【0024】
以上において、本発明に係る車両用灯具1においては、ヒートシンク5に形成された係合孔5b,5cに第1及び第2のカプラ9,10をそれぞれ係合させてこれらをヒートシンク5に直接固定するようにしたため、従来要していた金属ステー等の部品やネジ等の締結具を用いることなく第1及び第2のカプラ9,10をヒートシンク5にワンタッチで簡単に固定することができ、部品点数と組付工数を削減してコストダウンを図ることができるという効果が得られる。
【0025】
尚、以上は本発明をヘッドランプのロービーム用ランプに対して適用した形態について説明したが、本発明は、ヘッドランプのハイビーム用ランプの他、ヘッドランプ以外の他の任意の車両用灯具に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0026】
1 車両用灯具
2 レンズ
3 レンズホルダ
4 リフレクタ
5 ヒートシンク
5A ヒートシンクの設置面
5a ヒートシンクの放熱フィン
5b,5c ヒートシンクの係合孔
6 LED光源
6a LED基板
6b LEDチップ
7 ネジ
8 クリップ
9 第1のカプラ
9a 第1のカプラのクリップ
10 第2のカプラ
10a 第2のカプラの係止爪
10b 第2のカプラの端子
11 電源コード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、該レンズを保持するレンズホルダと、該レンズホルダに保持されたリフレクタと、前記レンズホルダに取り付けられたヒートシンクと、該ヒートシンク上に装着されたLED光源と、該LED光源に給電するためのカプラを含んで構成される車両用灯具の前記カプラの前記ヒートシンクへの固定構造であって、
前記ヒートシンクに係合孔を形成し、該係合孔に前記カプラを係合させてこれを前記ヒートシンクに固定することを特徴とする車両用灯具のカプラ固定構造。
【請求項2】
前記カプラは、電源に連なるコネクタが接続される第1のカプラと、該第1のカプラから延びる複数の電源コードの各端部にそれぞれ接続された第2のカプラとで構成されることを特徴とする請求項1記載の車両用灯具のカプラ固定構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−45688(P2013−45688A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183536(P2011−183536)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】