説明

車両用灯具

【課題】従来の車両用灯具では、見栄えや配線板ヒータと前面レンズとの接着力上課題がある。
【解決手段】灯室7を区画するランプハウジング3およびランプレンズ4と、その灯室7内に配置されていて光をランプレンズ4を通して外部に照射するランプユニット2と、そのランプレンズ4に転写により設けられている線ヒータ5と、その線ヒータ5に電流を供給する給電部6、60と、を備える。給電部6、60のフィルム24にエア抜き用の小孔50が設けられている。これにより、給電部6、60のフィルム24をランプレンズ4に接着する際に、フィルム24とランプレンズ4との間に発生する膨れや気泡などを小孔50から外部に逃がすことができる。この結果、見栄えが向上され、給電部6、60をランプレンズ4に確実に接着することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ランプレンズに電気電子部材が設けられている車両用灯具、たとえば、ランプレンズが融雪(解氷、防曇)構造をなす車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用灯具について説明する。従来の車両用灯具は、前面レンズと、前記前面レンズに接着剤により接合一体化された配線板ヒータ(ベースフィルムの上に導電箔パターンが印刷されているもの)と、前記配線板ヒータに固定されている接続端子と、を備えるものである。前記配線板ヒータおよび前記接続端子は、ランプレンズの融雪構造を構成するものであって、電気電子部材を構成する。なお、電気電子部材としては、前記配線板ヒータおよび前記接続端子以外に、たとえば、フィルム状のアンテナやイルミネーション用のフィルム状の発光体などがある。
【0003】
以下、従来の車両用灯具の作用について説明する。接続端子に電源側の接続端子を接続し、配線板ヒータの導電箔パターンに給電すると、その導電箔パターンが発熱し、その熱により、前面レンズに付着した雪や氷や曇りが融かされたり除去されたりする。この結果、前面レンズから外部に照射される光の損失を防ぐことができる。特に、光源として、ハロゲンバルブや白熱バルブと比較して、前面レンズから照射される光の温度が低い光源、たとえば、LEDなどの半導体型光源やHIDなどの放電灯を使用した車両用灯具においては、効果的である。
【0004】
ところが、従来の車両用灯具は、配線板ヒータのフィルムを前面レンズに接着剤により接着するものであるから、フィルムを前面レンズに接着する際に、フィルムと前面レンズとの間に膨れ(膨らみ)や気泡などが発生することがある。この膨れや気泡などが発生すると、見栄えが悪くなり、また、配線板ヒータと前面レンズとの接着力が低下するなどの課題がある。
【0005】
【特許文献1】特開平10−109587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用灯具では、見栄え上課題があり、また、配線板ヒータと前面レンズとの接着力上課題があるという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(請求項1にかかる発明)は、灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、その灯室内に配置されていて光をランプレンズを通して外部に照射する光照射部と、そのランプレンズに設けられている電気電子部材と、を備え、電気電子部材のフィルムにエア抜き用の小孔が設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項2にかかる発明)は、電気電子部材が、ランプレンズに転写により設けられている線ヒータと、線ヒータに電流を供給する給電部と、から構成されており、線ヒータのベースフィルムもしくは給電部のフィルムのうち少なくともいずれか一方にエア抜き用の小孔が設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
また、この発明(請求項3にかかる発明)は、給電部のフィルムの幅が線ヒータのベースフィルムの幅以上であり、その給電部のフィルムのうち少なくともランプレンズに固定する箇所にエア抜き用の小孔が設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
さらに、この発明(請求項4にかかる発明)は、エア抜き用の小孔が線ヒータのベースフィルムをカットする打ち抜き加工と同時に、設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、電気電子部材のフィルムに設けられているエア抜き用の小孔により、電気電子部材のフィルムをランプレンズに接着する際に、電気電子部材のフィルムとランプレンズとの間に発生する膨れや気泡などを小孔から外部に逃がすことができる。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、電気電子部材のフィルムとランプレンズとの間に膨れや気泡など発生するのを確実に防止することができるので、この膨れや気泡などの発生による見栄えが悪くなるのを防ぐことができ、また、電気電子部材のフィルムとランプレンズとの接着力が低下するのを防ぐことができる。特に、接着剤が小穴の中に入ることにより、接着剤とベースフィルムおよびフィルムとの接着面積が大きくなりその分接着力が増し、また、接着剤が固化した時点で接着剤がベースフィルムおよびフィルムに楔状に食い込むのでその分接着力が増し、その結果、電気電子部材のフィルムがランプレンズに確実に接着されることとなる。
【0012】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、線ヒータのベースフィルムもしくは給電部のフィルムのうち少なくともいずれか一方に設けられているエア抜き用の小孔により、線ヒータのベースフィルムおよび給電部のフィルムをランプレンズに接着する際に、線ヒータのベースフィルムおよび給電部のフィルムとランプレンズとの間に発生する膨れや気泡などを小孔から外部に逃がすことができる。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、線ヒータのベースフィルムおよび給電部のフィルムとランプレンズとの間に膨れや気泡など発生するのを確実に防止することができるので、この膨れや気泡などの発生による見栄えが悪くなるのを防ぐことができ、また、線ヒータのベースフィルムおよび給電部のフィルムとランプレンズとの接着力が低下するのを防ぐことができる。特に、接着剤が小穴の中に入ることにより、接着剤とベースフィルムおよびフィルムとの接着面積が大きくなりその分接着力が増し、また、接着剤が固化した時点で接着剤がベースフィルムおよびフィルムに楔状に食い込むのでその分接着力が増し、その結果、線ヒータのベースフィルムおよび給電部のフィルムがランプレンズに確実に接着されることとなる。
【0013】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、幅が線ヒータのベースフィルムの幅以上である給電部のフィルムの接着固定部にエア抜き用の小孔を設けることにより、給電部をランプレンズに確実に固定することができる。
【0014】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用灯具は、エア抜き用の小孔を線ヒータのベースフィルムをカットする打ち抜き加工と同時に設けるので、加工コストを安価にすることができ、しかも、小孔を確実にかつ簡単に設けることできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明にかかる車両用灯具の実施例のうちの2例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
図1〜図12は、この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す。以下、この実施例1にかかる車両用灯具の構成について説明する。この実施例1にかかる車両用灯具は、所定の配光パターン、たとえば、すれ違い用の配光パターンを照射する自動車用のヘッドランプ1L、1Rである。前記ヘッドランプ1L、1Rは、図1に示すように、自動車Cの前部の左右両側にそれぞれ装備されている。以下、左側のヘッドランプ1Lについて説明する。なお、右側のヘッドランプ1Rは、左側のヘッドランプ1Lの構造とほぼ左右逆である。
【0017】
前記ヘッドランプ1Lは、図2および図4に示すように、5個のランプユニット2と、ランプハウジング3と、ランプレンズ4と、電気電子部材としての線ヒータ5および給電部6と、を備えるものである。前記ランプハウジング3と前記ランプレンズ4とにより、灯室7が区画されている。前記灯室7内には、前記5個のランプユニット2が上下2段に(この例では、上段に3個、下段に2個)それぞれ配置されている。
【0018】
前記ランプユニット2は、光を前記ランプレンズ4を通して外部に照射する光照射部を構成するものである。前記ランプユニット2は、所定の配光パターン、この例では、すれ違い用の配光パターンを照射(放射、出射)するものである。前記ランプユニット2は、図3に示すように、プロジェクタタイプであって、ユニット構造をなす。前記ランプユニット2は、上側リフレクタ8および下側リフレクタ9と、反射面10およびシェード11と、半導体型光源12と、投影レンズ(凸レンズ、集光レンズ)13と、ヒートシンク部材14と、から構成されている。
【0019】
前記ランプユニット2は、図2に示すように、ホルダ部材15を介して前記ランプハウジング3に取り付けられている。前記ランプハウジング3には、ヒートシンク部材16が設けられている。前記ランプハウジング3側のヒートシンク部材16と、前記ランプユニット2側のヒートシンク部材14とは、前記ホルダ部材15および前記ランプハウジング3を介して接続されている。
【0020】
前記半導体型光源12は、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施例1ではLED)を使用する。このために、前記半導体型光源12自体においては熱が発生するが、前記半導体型光源12からの光には熱がほとんど発生しない。これにより、前記ランプレンズ4には、雪や氷や曇りが付着し易い。
【0021】
前記ランプレンズ4は、ほぼ素通しのレンズであって、いわゆるアウターカバー(アウターレンズ)である。前記ランプレンズ4は、この例では、たとえばPC(ポリカーボネート)などの合成樹脂から成形されている。また、前記ランプレンズ4は、図2に示すように、縦断面(垂直断面)において、上から下にかけて後方から前方にスラント(傾斜)している。さらに、前記ランプレンズ4は、断面凹形状をなしていて、前記ランプユニット2から照射される光が透過する正面部(もしくは前面部)33と、前記正面部33からの全周縁から後方に一体に延設されている側壁部34と、から構成されている。前記正面部33と前記側壁部34との間には、角部が形成されている。なお、前記ランプレンズ4の材質がPCの場合、前記ランプレンズ4の耐熱温度は約130°Cである。
【0022】
電気電子部材としての前記線ヒータ5は、転写式の線ヒータであって、前記ランプレンズ4の前記正面部33の内面に転写により設けられている。前記ランプレンズ4の前記正面部33の内面に転写により設けられている前記線ヒータ5は、図5、図6および図11に示すように、ベースフィルム17と、接着剤18と、ヒータ用導電性部材としての導電性ペースト19と、レジスト20と、から構成されている。また、前記線ヒータ5は、光透過性のものが好ましい。
【0023】
前記ベースフィルム17は、透明なたとえばPET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂製のフィルムからなる。前記ベースフィルム17の一面には、前記接着剤18が設けられている。
【0024】
前記ベースフィルム17の他面には、前記導電性ペースト19が線パターンに形成されている。前記導電性ペースト19の線パターンは、この例では、図4に示すように、相互にほぼ平行である上下4本の横線を、左側の2本の縦線および右側の1本の縦線を介して、左右にジグザグに連続する線パターンである。最上下2本の横線の右側から2本の縦線が端末部として連続して形成されている。前記導電性ペースト19は、導電性インクであって、この例では、銀ペースト、金ペースト、銅ペースト、アルミペーストなどの金属ペーストからなる。前記導電性ペースト19は、電流が供給されることにより、前記導電性ペーストの電気抵抗により発熱するものであって、電気抵抗値が高いと発生熱量が低く、電気抵抗値が低いと発生熱量が高い。
【0025】
前記ベースフィルム17の他面には、前記レジスト20が前記導電性ペースト19を覆うように設けられている。前記レジスト20は、前記導電性ペースト19を電気的に絶縁すると共に外からの衝撃から保護するものであって、すなわち、前記導電性ペースト19の表面保護コートである。前記レジスト20は、この例では、ウレタン系やアクリル系の接着剤などからなる。
【0026】
前記ベースフィルム17もしくは前記レジスト20のうち少なくともいずれか一方が着色されている。すなわち、前記ベースフィルム17の一面またはおよび他面に着色層を設ける。あるいは、前記ベースフィルム17自体もしくは前記レジスト20自体を着色する。
【0027】
前記ベースフィルム17(この例では、前記接着剤18をも含む)は、前記導電性ペースト19の線パターンに倣ったパターンにカットされている。カットされた前記ベースフィルム17の幅Wは、この例では、約0.5mmであって、前記レジスト20の幅とほぼ同等の幅である。そして、図11に示すように、前記ベースフィルム17がカットされた後において、前記レジスト20側に配置したセパレータ21を使用して、前記接着剤18を前記ランプレンズ4の前記正面部33の内面に接着させて線パターンの前記導電性ペースト19を前記ランプレンズ4の前記正面部33の内面に転写させる。これにより、前記線ヒータ5は、前記ランプレンズ4の前記正面部33の内面に転写により設けられる。
【0028】
前記セパレータ21は、図11に示すように、線パターンの前記導電性ペースト19を前記ランプレンズ4の前記正面部33の内面に転写させた後前記レジスト20側から剥がされる。前記セパレータ21は、前記導電性ペースト19の線パターンに倣ったパターン形状をなす前記線ヒータ5を載置することができ、かつ、前記ランプレンズ4の前記正面部33の内面に転写することができる程度の大きさと形状を有しているシート形状をなすものである。また、前記セパレータ21は、前記ランプレンズ4の前記正面部33の内面の曲面に追従し得るように、フレキシブル性の素材、この例では、ウレタンなどのゴム系の素材を使用するものである。
【0029】
前記線ヒータ5には、図4および図8および図9に示すように、電気電子部材としての前記給電部6が設けられている。前記給電部6は、前記線ヒータ5に電流を供給するものである。前記給電部6は、前記線ヒータ5と同様に、前記ランプレンズ4の前記正面部33および前記側壁部34の内面(灯室7側)に設けられている。また、前記給電部6は、前記ランプレンズ4の意匠への影響が小さい箇所、すなわち、前記ランプレンズ4の前記正面部33と前記側壁部34との間の角部付近に設けられている。前記給電部6は、フィルム24と、給電用導電性部材としての導電性ペースト25と、コネクタ26と、から構成されている。
【0030】
前記フィルム24は、前記線ヒータ5の前記ベースフィルム17から延設されている。前記フィルム24は、前記ベースフィルム17と同様に、透明なたとえばPET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂製のフィルムからなる。前記フィルム24の幅W1は、前記ベースフィルム17の幅W(約0.5mm)に対して、この例では、約10mmである。また、前記フィルム24の長さは、前記線ヒータ5から前記ランプレンズ4の前記側壁部34に届く程度の長さである。なお、図4および図8および図9において、前記フィルム24の左側端部が前記線ヒータ5より左側に位置するように図示されているが、実際には、前記フィルム24の左側端部と前記線ヒータ5とは、ほぼ同一線上に位置する。
【0031】
前記フィルム24のうち少なくとも前記ランプレンズ4の前記側壁部34に固定する箇所、すなわち、前記フィルム24の先端(右側端部)には、図10に示すように、エア抜き用の小孔(ピンホール)50が多数個設けられている。前記小孔50は、目視では確認できない程度の大きさで、かつ、エアが通る程度の大きさを有している。前記フィルム24の先端の一面は、十分な耐久性を有する両面テープ(両面接着テープ)などの接着剤32により、前記ランプレンズ4の前記側壁部34の内面に接着固定されている。
【0032】
給電用の前記導電性ペースト25は、前記フィルム24の他面に線パターンに形成されていてかつ一端がヒータ用の前記導電性ペースト19の端末部に電気的に接続されている。給電用の前記導電性ペースト25は、ヒータ用の前記導電性ペースト19と同様に、導電性インクであって、この例では、銀ペースト、金ペースト、銅ペースト、アルミペーストなどの金属ペーストからなる。給電用の前記導電性ペースト25は、ヒータ用の前記導電性ペースト19よりも太く(厚く、幅広)して、ヒータ用の前記導電性ペースト19よりも電気抵抗値を小さくしている。前記フィルム24の先端において、給電用の前記導電性ペースト25の他端には、電極用もしくは給電用の幅広部49が一体に設けられている。
【0033】
なお、前記フィルム24の他面にレジスト(図示せず)を給電用の前記導電性ペースト25を覆うように設けても良い。前記レジストは、前記レジスト20と同様に、給電用の前記導電性ペースト25を電気的に絶縁すると共に外からの衝撃から保護するものであって、すなわち、給電用の前記導電性ペースト25の表面保護コートである。前記レジストは、前記レジスト20と同様に、この例では、ウレタン系やアクリル系の接着剤などからなる。
【0034】
また、前記フィルム24もしくは前記レジストのうち少なくともいずれか一方が着色されている。すなわち、前記フィルム24の一面またはおよび他面に着色層を設ける。あるいは、前記フィルム24自体もしくは前記レジスト自体を着色する。
【0035】
前記コネクタ26は、給電用の前記導電性ペースト25の他端の前記幅広部49に電気的に接続されていてかつ前記フィルム24の先端に固定されている。また、前記コネクタ26は、前記フィルム24と共に前記ランプレンズ4の前記側壁部34の内面に固定されている。たとえば、表面実装タイプの前記コネクタ26は、導電性接着剤(図示せず)および封止剤(図示せず)により、前記給電部6の前記フィルム24の先端の一面に固定されかつ前記導電性ペースト25の前記幅広部49に電気的に接続されている。また、表面実装タイプの前記コネクタ26は、前記線ヒータ5を前記ランプレンズ4の前記正面部33に転写した後に、前記フィルム24の先端の他面を前記接着剤32により前記ランプレンズ4の前記側壁部34の内面に接着固定することにより、前記フィルム24と共に前記ランプレンズ4の前記側壁部34の内面に固定されている。一方、ばね圧タイプの前記コネクタ26は、一面にばね(図示せず)を設けたものであって、前記線ヒータ5を前記ランプレンズ4の前記正面部33に転写し、前記給電部6の前記フィルム24の先端の一面を前記接着剤32により前記ランプレンズ4の前記側壁部34の内面に接着固定した後に、前記ばねが前記フィルム24の他面に弾性当接するように、両面接着テープ(図示せず)により、前記フィルム24の先端の他面に固定されかつ導電性ペースト25の幅広部49に電気的に接続されるものである。これにより、ばね圧タイプの前記コネクタ26は、前記フィルム24と共に前記ランプレンズ4の前記側壁部34の内面に接着固定されている。
【0036】
このとき、図7に示すように、前記給電部6の前記フィルム24の両端は、前記線ヒータ5と前記コネクタ26を介して、前記ランプレンズ4の前記正面部33の内面と前記側壁部34の内面にそれぞれ固定されている。また、前記給電部6の前記フィルム24の中間部は、前記ランプレンズ4の前記正面部33と前記側壁部34との間の角部に沿って折り曲げられている。この結果、前記給電部6の前記フィルム24は、弾性復帰力(図7中の実線矢印Aを参照)により、前記ランプレンズ4の角部に沿った状態で確実に固定される。これにより、前記給電部6は、前記ランプレンズ4の前記正面部33および前記側壁部34の内面に確実に固定されることとなる。
【0037】
前記コネクタ26には、2本のヒータ側ハーネス35の一端が電気的に接続されている。2本の前記ヒータ側ハーネス35の他端には、ヒータ側コネクタ37が取り付けられていてかつ電気的に接続されている。2本の前記ヒータ側ハーネス35は、図7に示すように、前記ランプレンズ4の前記側壁部34に設けられている防水構造、この例では、たとえばゴム製の防水グロメット38を介して、前記灯室7内から前記灯室7外に引き出されている。また、2本の前記ヒータ側ハーネス35は、図12に示すように、前記ランプハウジング3に設けられている防水構造、この例では、たとえばゴム製の防水グロメット38を介して、前記灯室7内から前記灯室7外に引き出されていても良い。
【0038】
図7において、符号「39」は、一端が電源に電気的に接続されている2本の電源側ハーネスである。2本の前記電源側ハーネス39の他端には、電源側コネクタ40が取り付けられていてかつ電気的に接続されている。前記ヒータ側コネクタ37が前記電源側コネクタ40に着脱可能に結合されている。この結果、前記線ヒータ5は、前記給電部6を介して電源に電気的に接続される。
【0039】
前記電源側コネクタ40は、前記ランプハウジング3の灯室7外に固定されている。この結果、前記ヒータ側ハーネス35の一部および前記ヒータ側コネクタ37および前記電源側コネクタ40および前記電源側ハーネス39は、前記ランプハウジング3の灯室7外に位置する。
【0040】
この実施例1にかかる車両用灯具の前記ヘッドランプ1Lの外側には、その他の車両用部品(たとえば、他の車両用灯具、バンパー、装飾部品など)41が隣接して設けられている。前記ランプハウジング3の灯室7外に位置する前記ヒータ側ハーネス35の一部および前記ヒータ側コネクタ37および前記電源側コネクタ40および前記電源側ハーネス39は、この実施例1にかかる車両用灯具の前記ヘッドランプ1Lとその他の車両用部品41との間に位置するので、外側から見えず、見栄え上問題はない。
【0041】
前記線ヒータ5は、前記給電部6を介して、手動スイッチ(図示せず)またはおよび自動スイッチ(図示せず)に接続されている。前記手動スイッチは、手動により、前記線ヒータ5への電流供給をオンしたりオフしたりするものである。前記自動スイッチは、自動的に、前記線ヒータ5への電流供給をオンしたりオフしたりするものである。
【0042】
前記自動スイッチは、ECUなどの制御部と、温度センサや光センサなどの検出部と、から構成されている。前記検出部は、自動車Cの周囲環境、たとえば、自動車Cの外の温度や前記ランプレンズ4から照射される光などを検出してその検出信号を前記制御部に出力する。前記制御部は、前記検出部からの検出信号に基づいて前記ランプレンズ4に雪や氷や曇りなどが付着しているか否か、あるいは、前記ランプレンズ4に雪や氷や曇りなどが付着する程度の温度か否かを判断する。そして、前記制御部は、前記ランプレンズ4に雪や氷や曇りなどが付着している、あるいは、前記ランプレンズ4に雪や氷や曇りなどが付着する程度の温度であると判断すると、前記給電部6を介して前記線ヒータ5に電流を供給する。一方、前記制御部は、前記ランプレンズ4に雪や氷や曇りなどが付着していない、あるいは、前記ランプレンズ4に雪や氷や曇りなどが付着する程度の温度でないと判断すると、前記給電部6を介して前記線ヒータ5への電流供給を遮断する。
【0043】
前記線ヒータ5の1個の端末部には、温度制御部(図示せず)が設けられている。前記温度制御部は、前記導電性ペースト19の発熱温度を制御するものである。前記温度制御部としては、たとえば、PTCサーミスターを使用する。このPTCサーミスターは、温度が上昇すると抵抗値が高くなって所定の抵抗値に達すると電流が流れなくなる特性を有するものである。たとえば、前記ランプレンズ4の材質がPCの場合、前記ランプレンズ4の耐熱温度は約130°Cであるから、前記導電性ペースト19の発熱温度が約60°C付近に達した時点で電流が流れなくなる抵抗特性を有するPTCサーミスターを前記温度制御部として使用する。
【0044】
以下、この実施例1にかかる車両用灯具のヘッドランプ1L、1Rの前記ランプレンズ4に転写する前記線ヒータ5(前記給電部6)の製造工程と、前記ランプレンズ4に前記線ヒータ5を転写する転写工程を図11を参照して説明する。まず、フィルム中の前記ベースフィルム17に対応する部分の一面に前記接着剤(接着層)18を設け、かつ、前記接着剤18に剥離フィルムや剥離紙などの剥離シート22を剥離可能に接着してなるシート部材23を製造する(図11(A)参照)。なお、前記シート部材23の大きさは、前記導電性ペースト19の線パターンに倣ったパターン形状をなす前記線ヒータ5を形成することができる程度の大きさを有している。また、フィルム中の前記フィルム24、すなわち、前記ベースフィルム17から延設されている前記フィルム24の一面(下面)には、前記接着剤18は設けられていない。
【0045】
つぎに、前記シート部材23の前記ベースフィルム17の他面(上面)および前記ベースフィルム17から延設されている前記フィルム24の他面(上面)に、ヒータ用の前記導電性ペースト19および給電用の前記導電性ペースト25を、たとえば、スクリーン印刷やホットスタンプ印刷などの工法により印刷して、線パターンに形成する(図11(B)参照)。
【0046】
つづいて、前記シート部材23の前記ベースフィルム17の他面(上面)に前記レジスト(絶縁層兼保護膜)20を、たとえば、スクリーン印刷やホットスタンプ印刷などの工法により印刷して、前記導電性ペースト19を覆うように設ける(図11(C)参照)。なお、このとき、前記フィルム24の他面(上面)に前記レジスト(絶縁層兼保護膜)を、たとえば、スクリーン印刷やホットスタンプ印刷などの工法により同時に印刷して、給電用の前記導電性ペースト25を覆うように設けても良い。
【0047】
それから、前記シート部材23の前記ベースフィルム17および前記接着剤18を、たとえば、打ち抜き(型抜き)加工により、前記導電性ペースト19の線パターンに倣ったパターンでカットする(図11(D)参照)。すなわち、型のカッタ(図示せず)を前記レジスト20側から前記ベースフィルム17および前記接着剤18に押し込んで前記接着剤18と前記剥離シート22との境で止めて前記ベースフィルム17および前記接着剤18をカットする。なお、図11(C)中において、実線CLで前記ベースフィルム17および前記接着剤18のカット箇所を示す。前記カッタを前記シート部材23から離すと共に、カットされた前記ベースフィルム17および前記接着剤18のうち、前記導電性ペースト19の線パターンに倣ったパターンの部分以外の余分な部分を前記剥離シート22から除く。
【0048】
このとき、前記フィルム24も同一型のカッタにより所定幅W1および所定長さに同時にカットされる。また、前記フィルム24の先端には、同一型のピン(図示せず)により多数個の小孔50が同時に設けられている。すなわち、前記ベースフィルム17をカットするカッタと、前記フィルム24をカットするカッタと、前記フィルム24に多数個の小孔50を開けるピンとは、同一の型に設けられている。これにより、前記多数個の小孔50を前記導電性ペースト25から避けた箇所に設けることが可能かつ容易となる。
【0049】
これにより、図11(D)に示すように、カットされなかった前記シート部材23の前記剥離シート22と、前記導電性ペースト19の線パターンに倣ったパターンでカットされた前記ベースフィルム17および前記接着剤18と、線パターンの前記導電性ペースト19と、前記導電性ペースト19の線パターンに倣ったパターンに設けられている前記レジスト20とが残される。前記ベースフィルム17および前記接着剤18のカット幅Wは、この例では、前記レジスト20の幅とほぼ同等の幅であって、前記レジスト20が前記導電性ペースト19を覆い得る幅、すなわち、前記レジスト20が前記導電性ペースト19を封止して電気的に絶縁し得ると共に外からの衝撃から保護し得る幅である。なお、前記ベースフィルム17のカット幅は、前記カット幅Wに限定されない。
【0050】
そして、前記シート部材23の前記ベースフィルム17および前記接着剤18を前記導電性ペースト19の線パターンに倣ったパターンでカットした後、前記レジスト20側に前記セパレータ21を配置させる(図11(E)参照)。これにより、カットされなかった前記シート部材23の前記剥離シート22と、前記導電性ペースト19の線パターンに倣ったパターンでカットされた前記ベースフィルム17および前記接着剤18と、線パターンの前記導電性ペースト19と、前記導電性ペースト19の線パターンに倣ったパターンに設けられている前記レジスト20とが、前記セパレータ21上に前記レジスト20側を下にして載置される。この結果、ユニットの前記線ヒータ5(前記給電部6)が製造される。前記ユニットは、前記ベースフィルム17および前記接着剤18および前記導電性ペースト19および前記レジスト20から構成されている前記線ヒータ5と、前記セパレータ21および前記シート部材23の前記剥離シート22と、からなるものである。
【0051】
つぎに、上記のようにして製造された前記ユニットの前記剥離シート22を剥がす(図11(F)参照)。それから、前記レジスト20側に配置した前記セパレータ21を使用して、前記接着剤18を前記ランプレンズ4の内面に接着させて線パターンの前記導電性ペースト19を前記ランプレンズ4の前記正面部33の内面に転写させる(図11(G)参照)。そして、前記セパレータ21を前記レジスト20から剥がす。これにより、図4〜図7に示すように、前記ランプレンズ4の前記正面部33の内面に前記線ヒータ5が転写される。
【0052】
この実施例1にかかる車両用灯具は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0053】
5個のランプユニット2の半導体型光源12をそれぞれ点灯する。すると、5個のランプユニット2の半導体型光源12からの光が上側リフレクタ8の反射面10で反射され、その反射光の一部が下側リフレクタ9のシェード11によりカットオフされ、残りの反射光が投影レンズ13およびランプレンズ4の正面部33を透過して外部にカットオフラインを有する所定の配光パターン、すなわち、すれ違い用の配光パターンで照射される。このすれ違い用の配光パターンのカットオフラインは、シェード11のエッジにより形成される。また、シェード11に反射面を設けることにより、反射面10からの反射光であってシェード11の反射面で反射された反射光を利用することができる。
【0054】
ここで、ランプレンズ4の正面部33に転写に設けられている線ヒータ5は、線状のパターンからなるので、光がランプレンズ4の正面部33を透過する際に、光の損失や配光の影響などを最小限に抑えることができる。しかも、半導体型光源12を光源とするランプユニット2を使用するので、ランプユニット2から照射される光の幅が小さい。このために、幅が小さい光を線ヒータ5の線状のパターンとパターンとの間に通すことにより、光の損失や配光の影響などをさらに防ぐことができる。
【0055】
そして、半導体型光源12からの光には熱がほとんど発生しないので、ランプレンズ4には、雪や氷や曇りが付着し易い。この場合、手動スイッチまたはおよび自動スイッチにより、ランプレンズ4の正面部33に転写により設けられている線ヒータ5に電流が供給される。
【0056】
線ヒータ5に電流が供給されると、線ヒータ5の電気抵抗により、線ヒータ5が発熱する。この線ヒータ5の発熱作用により、ランプレンズ4が暖められ、ランプレンズ4に雪や氷や曇りが付着するのが防止され、あるいは、ランプレンズ4に付着している雪や氷や曇りが融かされたり除去されたりする。この結果、ランプレンズ4の正面部33から照射される光の損失を防ぐことができる。
【0057】
このとき、ランプレンズ4の正面部33のうち、導電性ペースト19に対応する箇所の雪や氷を溶すことにより、この溶けた雪や氷がランプレンズ4の正面部33の表面上を滑って、いわゆる雪崩現象で、ランプレンズ4の正面部33のうち、導電性ペースト19に対応しない箇所に付着している雪や氷をランプレンズ4の正面部33の表面上から剥がして落とす。この結果、ランプレンズ4に付着している雪や氷や曇りを確実に除去することができる。
【0058】
線ヒータ5の発熱作用中において、この線ヒータ5の発熱温度が所定温度に達すると、温度制御部の温度制御作用により、線ヒータ5への電流供給が制御され、線ヒータ5の発熱温度が所定温度付近に保持される。この結果、耐熱温度が比較的低い樹脂製のランプレンズ4を過熱から保護することができる。
【0059】
ランプレンズ4に雪や氷や曇りが付着するのが防止され、また、ランプレンズ4に付着した雪や氷や曇りが融かされたり除去されたりしたところで、手動スイッチまたはおよび自動スイッチにより、ランプレンズ4に設けられている線ヒータ5への電流供給が遮断される。
【0060】
この実施例1にかかる車両用灯具は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0061】
この実施例1にかかる車両用灯具は、給電部6のフィルム24の先端にエア抜き用の小孔50を設けたので、給電部6のフィルム24の先端をランプレンズ4の側壁部34に接着剤32により接着する際に、フィルム24とランプレンズ4との間に発生する膨れや気泡などを小孔50から外部に逃がすことができる。この結果、この実施例1にかかる車両用灯具は、給電部6のフィルム24の先端とランプレンズ4の側壁部34との間に膨れや気泡など発生するのを確実に防止することができるので、この膨れや気泡などの発生による見栄えが悪くなるのを防ぐことができ、また、フィルム24とランプレンズ4との接着力が低下するのを防ぐことができる。特に、接着剤32が小孔50の中に入ることにより、接着剤32とフィルム24との接着面積が大きくなりその分接着力が増し、また、接着剤32が固化した時点で接着剤32がフィルム24に楔状に食い込むのでその分接着力が増し、その結果、給電部6のフィルム24の先端がランプレンズ4に確実に接着されることとなる。
【0062】
すなわち、この実施例1にかかる車両用灯具は、幅W1が線ヒータ5のベースフィルム17の幅W以上、この例では、約20倍以上である給電部6のフィルム24の先端の接着固定部にエア抜き用の小孔50を設けることにより、給電部6をランプレンズ4の側壁部34に確実に固定することができる。
【0063】
さらに、この実施例1にかかる車両用灯具は、エア抜き用の小孔50を線ヒータ5のベースフィルム17をカットする打ち抜き加工と同一の型で同時に設けることができるので、加工コストを安価にすることができ、しかも、小孔50を低圧で確実にかつ簡単に設けることできる。
【0064】
なお、この実施例1においては、図10に示すように、給電部6のフィルム24の先端の接着固定部にエア抜き用の小孔50を設けるものである。ところが、給電部6のフィルム24のうち、図10中の二点鎖線に示す部分をもランプレンズ4(正面部33)に接着剤により接着する場合。この場合においても、給電部6のフィルム24のうち、図10中の二点鎖線に示す部分にエア抜き用の小孔を多数個設ける。
【実施例2】
【0065】
図13および図14は、この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す。図中、図1〜図12と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例2にかかる車両用灯具について説明する。
【0066】
この実施例2にかかる車両用灯具は、線ヒータ5に設ける給電部60のフィルム24の長さが前記の実施例1にかかる車両用灯具の給電部6のフィルム24よりも短い。すなわち、この実施例2における前記給電部60において、前記フィルム24の幅W1は、前記の実施例1と同様に、前記ベースフィルム17の幅W(約0.5mm)に対して、この例では、約10mmである。一方、前記フィルム24の長さは、コネクタが固定されるのに十分の長さで、かつ、コネクタが電気的に接続される幅広部49を設けるのに十分な長さである。なお、図13および図14において、前記フィルム24の左側端部が前記線ヒータ5より左側に位置するように図示されているが、実際には、前記フィルム24の左側端部と前記線ヒータ5とは、ほぼ同一線上に位置する。この実施例2にかかる車両用灯具は、コネクタが線ヒータ5の近くに固定されることとなる。
【0067】
この実施例2にかかる車両用灯具は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施例1にかかる車両用灯具とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0068】
以下、前記の実施例1、2以外の例について説明する。前記の実施例1、2においては、線ヒータ5をランプレンズ4の正面部33の内面に設けるものである。ところが、この発明においては、線ヒータ5をランプレンズ4の外面もしくは内外両面に設けても良い。
【0069】
また、前記の実施例1、2においては、線ヒータ5をランプレンズ4の正面部33の内面に設けるものである。ところが、この発明においては、線ヒータに高温発熱部と低温発熱部との少なくとも2つの発熱部を形成しても良い。
【0070】
さらに、前記の実施例1、2は、自動車Cのヘッドランプ1L、1Rのランプレンズ4に使用した例を説明するものである。ところが、この発明においては、自動車Cのヘッドランプ1L、1R以外の車両用灯具、たとえば、ストップランプなどの信号灯、カーブランプなどの照明灯、フロントコンビネーションランプ、リアコンビネーションランプ、また、オートバイのヘッドランプなどのランプレンズに使用しても良い。
【0071】
さらにまた、前記の実施例1、2においては、光を前記ランプレンズ4の正面部33を通して外部に照射する光照射部として、半導体型光源12を光源とするプロジェクタタイプのランプユニット2について説明するものである。ところが、この発明においては、光照射部として、前記のランプユニット2以外の光照射部、たとえば、光源が半導体型光源やHIDなどの放電灯やハロゲンバルブや白熱バルブであって、プロジェクタタイプや反射タイプや直射タイプのランプユニットであっても良いし、あるいは、プロジェクタタイプや反射タイプや直射タイプの車両用灯具において、半導体型光源やHIDなどの放電灯やハロゲンバルブや白熱バルブの光源、および、その光源と反射面との組み合わせのものであっても良い。
【0072】
さらにまた、前記の実施例1、2においては、給電部6、60のフィルム24のうちランプレンズ4に接着固定する箇所にエア抜き用の小孔50を多数個設けるものである。ところが、この発明においては、線ヒータ5のベースフィルム17にも、また、給電部6のフィルム24の接着固定箇所以外の部分にも、エア抜き用の小孔を設けてもよい。
【0073】
さらにまた、前記の実施例1、2においては、電気電子部材が線ヒータ5および給電部6、60から構成されているものである。ところが、この発明においては、電気電子部材として、線ヒータ5および給電部6、60から構成されているもの以外、たとえば、フィルムアンテナや線状アンテナなどからなるいわゆる貼付けアンテナや、フィルム状の発光体などであっても良い。すなわち貼り付ける構造の給電部を有するものであれば、同等の効果を奏することが可能であり、この場合においても前記実施例1、2と同様に膨れや気泡などの発生による見栄えの低下を防ぐと共に、接着力が増加する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示し、自動車のヘッドランプに使用されている状態の説明図である。
【図2】同じく、ヘッドランプの垂直断面図(縦断面図)である。
【図3】同じく、ヘッドランプに使用されているランプユニットの垂直断面図(縦断面図)である。
【図4】同じく、ヘッドランプに使用されているランプレンズを示す斜視図である。
【図5】同じく、図4におけるV部の拡大図である。
【図6】同じく、図5におけるVI−VI線断面図である。
【図7】同じく、ヘッドランプの一部、特に、給電部と電源側との配線状態を示す水平断面図(横断面図)である。
【図8】同じく、線ヒータと給電部を示す平面図である。
【図9】同じく、線ヒータと給電部とコネクタとを示す平面図である。
【図10】同じく、エア抜き用の小孔を示す線ヒータの一部と給電部の拡大平面図である。
【図11】同じく、ランプレンズに転写する線ヒータの製造工程と、ランプレンズに線ヒータを転写する転写工程を示す説明図である。
【図12】同じく、ヘッドランプの一部、特に、給電部と電源側との配線状態の変形例を示す水平断面図(横断面図)である。
【図13】この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す線ヒータと給電部との平面図である。
【図14】同じく、エア抜き用の小孔を示す線ヒータの一部と給電部の拡大平面図である。
【符号の説明】
【0075】
C 自動車
CL カット箇所
W ベースフィルムの幅
W1 フィルムの幅
1L、1R ヘッドランプ(車両用灯具)
2 ランプユニット
3 ランプハウジング
4 ランプレンズ
5 線ヒータ
6、60 給電部
7 灯室
8 上側リフレクタ
9 下側リフレクタ
10 反射面
11 シェード
12 半導体型光源(LED)
13 投影レンズ
14 ヒートシンク部材
15 ホルダ部材
16 ヒートシンク部材
17 ベースフィルム
18 接着剤
19 導電性ペースト(ヒータ用導電性部材)
20 レジスト
21 セパレータ
22 剥離シート
23 シート部材
24 フィルム
25 導電性ペースト(給電用導電性部材)
26 コネクタ
32 接着剤
33 正面部
34 側壁部
35 ヒータ側ハーネス
37 ヒータ側コネクタ
38 防水グロメット
39 電源側ハーネス
40 電源側コネクタ
41 車両用部品
49 幅広部
50 エア抜き用の小孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されており、光を前記ランプレンズを通して外部に照射する光照射部と、
前記ランプレンズに設けられている電気電子部材と、
を備え、
前記電気電子部材は、フィルムと、前記フィルムの一面に設けられている接着剤と、前記フィルムの他面に設けられている電気電子部品と、から構成されており、前記接着剤により前記ランプレンズに固定されており、
前記フィルムには、エア抜き用の小孔が設けられている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記電気電子部材は、前記ランプレンズに転写により設けられている線ヒータと、前記線ヒータに電流を供給する給電部と、から構成されており、
前記線ヒータは、ベースフィルムと、前記ベースフィルムの一面に設けられている接着剤と、前記ベースフィルムの他面に線パターンに形成されていて電流が供給されることにより発熱するヒータ用導電性部材と、前記ベースフィルムの他面に前記ヒータ用導電性部材を覆うように設けられているレジストと、から構成されており、少なくとも前記ベースフィルムが前記ヒータ用導電性部材の線パターンに倣ったパターンにカットされていて、前記接着剤を前記ランプレンズに接着させて線パターンの前記ヒータ用導電性部材を前記ランプレンズに転写させる転写式の線ヒータであり、
前記給電部は、前記ベースフィルムから延設されていてかつ接着剤により前記ランプレンズに固定されているフィルムと、前記フィルムの一面に線パターンに形成されていてかつ前記ヒータ用導電性部材に電気的に接続されている給電用導電性部材と、前記給電用導電性部材に電気的に接続されていてかつ前記フィルムと共に前記ランプレンズに固定されているコネクタと、から構成されており、
前記線ヒータの前記ベースフィルムもしくは前記給電部の前記フィルムのうち少なくともいずれか一方には、エア抜き用の小孔が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記給電部の前記フィルムの幅が前記線ヒータの前記ベースフィルムの幅以上であり、前記給電部の前記フィルムのうち少なくとも前記ランプレンズに固定する箇所に前記エア抜き用の小孔が設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記エア抜き用の小孔は、前記線ヒータの前記ベースフィルムをカットする打ち抜き加工と同時に、設けられている、ことを特徴とする請求項2または3に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−52921(P2008−52921A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225274(P2006−225274)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【出願人】(000165848)原田工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】