説明

車両用灯具

【課題】発光ダイオードを光源とする車両用灯具において、部品点数を削減した上で、かつ、所要の配光性能を確保した上で、基板の上面が灯具の前方斜め上方から直接見えてしまわないようにする。
【解決手段】基板32の上面32aに配置された発光ダイオード22からの光を、その上方側に配置されたリフレクタ24により灯具前方へ向けて反射させる構成とする。また、基板32の上方近傍にカバー部材28が配置された構成とする。その際、リフレクタ24およびカバー部材28を、単一の透光部材30で構成する。そして、リフレクタ24を、発光ダイオード22からの光をその後面24bで内面反射させる構成とする。また、カバー部材28に、発光ダイオード22からリフレクタ24への光入射を許容する開口部28aを形成した上で、このカバー部材28の下面に、素通し防止処理として複数のレンズ素子28sを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、発光ダイオードを光源とする車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、発光ダイオードを光源とする車両用灯具として、例えば「特許文献1」に記載されているように、基板の上面に配置された発光ダイオードからの光を、その上方側に配置されたリフレクタにより灯具前方へ向けて反射させるように構成されたものが知られている。
【0003】
このような車両用灯具においては、基板の上面にプリント配線等が形成されることとなるが、上記「特許文献1」に記載された車両用灯具においては、基板の上面が灯具の前方斜め上方から直接見えてしまわないようにするため、基板の上方近傍にカバー部材が配置された構成となっている。そして、このカバー部材には、発光ダイオードからリフレクタへの光入射を許容する開口部が形成された構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−182486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記「特許文献1」に記載された車両用灯具において、その部品点数を削減するため、リフレクタとカバー部材とを単一の部材で構成することも考えられる。
【0006】
しかしながら、このような構成を採用した場合には、リフレクタの後頂部とカバー部材との連結部分における前側の空間がかなり狭くなってしまうので、リフレクタの前面に対する鏡面処理(例えばアルミ蒸着等)を、その後頂部まで適切に行うことが困難となり、このため所要の配光性能を確保することが困難となってしまう、という問題がある。
【0007】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、発光ダイオードを光源とする車両用灯具において、部品点数を削減した上で、かつ、所要の配光性能を確保した上で、基板の上面が灯具の前方斜め上方から直接見えてしまわないようにすることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、リフレクタとカバー部材とを単一の透光部材で構成した上で、その構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0009】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
基板の上面に配置された発光ダイオードと、この発光ダイオードの上方側において該発光ダイオードからの光を灯具前方へ向けて反射させるリフレクタと、上記基板の上方近傍に配置されたカバー部材と、を備えてなる車両用灯具において、
上記リフレクタおよび上記カバー部材が、単一の透光部材で構成されており、
上記リフレクタが、上記発光ダイオードからの光を該リフレクタの後面において内面反射させるように構成されており、
上記カバー部材に、上記発光ダイオードから上記リフレクタへの光入射を許容する開口部または素通し部を残した状態で素通し防止処理が施されている、ことを特徴とするものである。
【0010】
上記「車両用灯具」は、特定種類の車両用灯具に限定されるものではなく、例えば、テールランプ、ストップランプ、クリアランスランプ、ハイマウントストップランプ、デイタイムランニングランプ等が採用可能である。
【0011】
上記「リフレクタ」は、発光ダイオードからの光を該リフレクタの後面において内面反射させるように構成されているが、その後面において内面反射させるための具体的な構成については、特に限定されるものではない。
【0012】
上記「素通し防止処理」は、灯具の前方斜め上方から基板の上面が素通しで見えてしまうのを防止するための処理を意味するものであって、その具体的な処理方法については、特に限定されるものではない。
【0013】
また、この「素通し防止処理」が、カバー部材に対して、開口部または素通し部を残した状態で、その全領域に施された構成となっていてよいことはもちろんであるが、基板の上面が灯具の前方斜め上方から直接見えてしまわないようにするのに必要な範囲に施されていれば、必ずしも全領域に形成されている必要はない。
【発明の効果】
【0014】
上記構成に示すように、本願発明に係る車両用灯具は、基板の上面に配置された発光ダイオードからの光を、その上方側に配置されたリフレクタにより灯具前方へ向けて反射させるように構成されており、その基板の上方近傍にはカバー部材が配置されているが、これらリフレクタおよびカバー部材は単一の透光部材で構成されており、その際、リフレクタは、発光ダイオードからの光をその後面において内面反射させるように構成されており、また、カバー部材には、発光ダイオードからリフレクタへの光入射を許容する開口部または素通し部を残した状態で素通し防止処理が施されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0015】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具を、その前方斜め上方から観察したとき、カバー部材が素通しで見えることはあっても、その下方近傍に配置された基板は、素通し防止処理が施されたカバー部材の存在により、素通しでは見えてしまわないようにすることができる。
【0016】
その際、カバー部材に対する素通し防止処理は、発光ダイオードからリフレクタへの光入射を許容する開口部または素通し部を残した状態で施されているので、発光ダイオードからリフレクタへの光入射については支障なく行われるようにすることができる。
【0017】
また、本願発明のリフレクタは、その後面において発光ダイオードからの光を内面反射させる構成となっているので、リフレクタの前面への鏡面処理を不要とすることができる。このため、リフレクタおよびカバー部材が単一の部材で構成されているにもかかわらず、リフレクタの後頂部まで反射面を適切に形成することができ、これにより所要の配光性能を確保することが容易に可能となる。
【0018】
このように本願発明によれば、発光ダイオードを光源とする車両用灯具において、部品点数を削減した上で、かつ、所要の配光性能を確保した上で、基板の上面が灯具の前方斜め上方から直接見えてしまわないようにすることができる。そしてこれにより、灯具の見映え向上を図ることができる。
【0019】
上記構成において、リフレクタの後面を、発光ダイオードまたはその近傍を通り灯具前後方向に延びる軸線に関して放射状に延びる複数の突条部で構成し、これら各突条部を断面楔形の反射プリズムで構成すれば、リフレクタの表面にアルミ蒸着等の鏡面処理を施す必要をなくすことができ、これにより灯具製造コストの低減を図ることができる。
【0020】
ここで「突条部」とは、線状に延びる突起部を意味するものである。また、この「突条部」を構成する断面楔形の反射プリズムは、必ずしも全反射プリズムとして構成されていなくてもよい。
【0021】
上記構成において、カバー部材における開口部または素通し部以外の領域の下面に、複数のレンズ素子が形成された構成とすれば、カバー部材の表面にアルミ蒸着等の鏡面処理を施すことなく、カバー部材の素通し防止機能を確保することができる。そしてこれにより、灯具製造コストの低減を図ることができる。
【0022】
その際、これら各「レンズ素子」は、基板の上面が灯具の前方斜め上方から素通しで見えてしまわないようにすることができる程度に形成されていれば、その断面形状や配置等の具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0023】
上記構成において、カバー部材における開口部または素通し部以外の領域の下面に、鏡面処理が施された構成とすれば、カバー部材を基板に近接して配置することができる。
【0024】
上記構成において、リフレクタの後面に鏡面処理が施された構成とすることによって、発光ダイオードからの光を内面反射させる構成とすることも可能である。その際、カバー部材における開口部または素通し部以外の領域の下面に鏡面処理が施された構成と組み合わせるようにすれば、透光部材を薄肉でかつ略一定の肉厚で形成することが可能となり、かつ、鏡面処理を一括して行うことが可能となる。そしてこれにより、透光部材の軽量化および灯具製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す部分断面正面図であって、図2のI−I線断面図
【図2】図1のII−II線断面図
【図3】図1のIII−III線断面詳細図
【図4】図3のIV部詳細斜視図
【図5】上記実施形態の第1変形例に係る車両用灯具を示す、図3と同様の図
【図6】上記実施形態の第2変形例に係る車両用灯具を示す、図3と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0027】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す部分断面正面図であって、図2のI−I線断面図である。また、図2は、図1のII−II線断面図である。さらに、図3は、図1のIII−III線断面詳細図である。
【0028】
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両の右前端部に配置されるデイタイムランニングランプであって、ランプボディ12とその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、車両前後方向(すなわち灯具前後方向)に延びる光軸Axを有する4つの灯具ユニット20とが組み込まれた構成となっている。その際、透光カバー14は、その車幅方向内側から車幅方向外側へ向けて灯具後方側へ回り込むように形成されている。
【0029】
4つの灯具ユニット20は、いずれも同様の構成を有しており、車幅方向に並列で配置されている。
【0030】
すなわち、これら各灯具ユニット20は、上面32aにプリント配線(図示せず)が形成された基板32と、この基板32の上面32aに配置された発光ダイオード22と、この発光ダイオード22の上方側において該発光ダイオード22からの光を灯具前方へ向けて反射させるリフレクタ24と、このリフレクタ24で反射した発光ダイオード22からの光を灯具前方へ向けて拡散透過させる拡散レンズ26と、基板32の上方近傍に配置されたカバー部材28とを備えた構成となっている。
【0031】
その際、これら各灯具ユニット20において、リフレクタ24およびカバー部材28は、単一の透光部材30で構成されている。
【0032】
そして、これら各灯具ユニット20の透光部材30は、単一の透光部材集合体50として互いに一体で形成されている。
【0033】
この透光部材集合体50は、無色透明なアクリル樹脂等により構成されている。その際、この透光部材集合体50は、透光カバー14が灯具後方側へ回り込むように形成されているのに対応して、各透光部材30の位置が車幅方向内側から車幅方向外側へ向けて徐々に灯具後方側へ変位するように形成されている。そして、この透光部材集合体50における各透光部材30相互の連結部分50aには、鉛直下方へ向けて突出するボス50bが形成されている。
【0034】
各灯具ユニット20の発光ダイオード22は、基板32を介して単一の光源支持部材40に位置決め固定されている。
【0035】
すなわち、この光源支持部材40は、水平面に沿って延びる板状部材として構成されており、その上面には、各灯具ユニット20に対応する位置に、位置決め用凹部40aがそれぞれ形成されている。そして、各灯具ユニット20において発光ダイオード22を固定支持している基板32は、これら各位置決め用凹部40aに嵌め込まれた状態で、光源支持部材40に位置決め固定されている。
【0036】
光源支持部材40は、アルミニウム等の金属製部材であって、各発光ダイオード22で発生する熱を逃がすためのヒートシンクとして構成されている。この光源支持部材40の下面には、各灯具ユニット20に対応する位置に、位置決め用突起部40bがそれぞれ形成されている。そして、この光源支持部材40は、これら各位置決め用突起部40bをランプボディ12の下面壁に当接させた状態で、その周縁部においてランプボディ12の側面壁および後面壁に形成されたリブ12aと係合しており、これによりランプボディ12に位置決め固定されている。
【0037】
透光部材集合体50は、各灯具ユニット20の透光部材30相互の連結部分50aに形成されたボス50bが、光源支持部材40に形成された貫通孔(図示せず)に挿入された状態で、光源支持部材40に接着されることにより、光源支持部材40に位置決め固定されている。
【0038】
次に、各灯具ユニット20の具体的な構成について説明する。
【0039】
発光ダイオード22は、光軸Ax上において該光軸Axと交差する方向(本実施形態においては鉛直上方)へ向けて配置されている。正確には、この発光ダイオード22は、その発光中心Oを光軸Ax上に位置させた状態で、その発光面を鉛直上方へ向けるようにして配置されている。
【0040】
リフレクタ24は、灯具正面視において略半円弧状の外形形状を有している。
【0041】
このリフレクタ24の前面24aは、光軸Axを中心軸とするとともに発光ダイオード22の発光中心Oを焦点とする回転放物面で構成されている。一方、このリフレクタ24の後面24bは、光軸Axに関して放射状に延びる複数の突条部24sで構成されている。これら各突条部24sは、断面楔形の全反射プリズムで構成されている。
【0042】
図4は、図3のIV部詳細斜視図であって、リフレクタ24の一部を切り出して示す図である。
【0043】
同図に示すように、各突条部24sを構成する1対の斜面は、いずれも凸曲面で構成されており、そのプリズム頂角は、リフレクタ24の前面24aに対して面直な断面内において約90°に設定されている。また、これら各突条部24sは、光軸Axから離れるに従って、その断面形状が徐々に大きくなるように形成されている。そしてこれにより、これら各突条部24sは、発光中心Oからリフレクタ24の前面24aに到達してその内部に進入した光を、該突条部24sで全反射させて、これを光軸Axと平行な方向へ反射させるようになっている。なお、発光中心Oからリフレクタ24の前面24aに到達した光の一部は、この前面24aで表面反射するが、その反射光も光軸Axと平行な方向へ向かう光となる。
【0044】
図1〜3に示すように、リフレクタ24と一体で形成されたカバー部材28は、基板32の上方近傍において水平面に沿って延びる板状部材として構成されている。
【0045】
このカバー部材28には、発光ダイオード22に対応する位置に、該発光ダイオード22よりもやや大きい開口部28aが形成されている。そしてこれにより、発光ダイオード22からリフレクタ24への光入射を許容するようになっている。
【0046】
一方、カバー部材28には、その開口部28aを残した状態で素通し防止処理が施されている。この素通し防止処理は、カバー部材28の下面28bに複数のレンズ素子28sが形成されることにより行われている。その際、これら複数のレンズ素子28sは、灯具前後方向に延びるようにして縦縞状に形成されている。これら各レンズ素子28sは、その断面形状が、下向きにやや膨らんだ略V字形状に設定されている。そしてこれにより、灯具の前方斜め上方からカバー部材28に入射する光を、これら各レンズ素子28sにおいて全反射させて、基板32の上面32aが灯具の前方斜め上方から素通しで見えてしまわないようにしている。
【0047】
図1〜3に示すように、各灯具ユニット20において、拡散レンズ26は、灯具正面視において矩形の外形形状を有しており、その大きさはリフレクタ24の前端開口部を覆う大きさに設定されている。その際、この拡散レンズ26は、リフレクタ24の前面24aの左右幅よりもやや広幅で形成されており、かつ、その上端縁がリフレクタ24の前面24aの上端縁よりも僅かに高い位置に設定されている。
【0048】
この拡散レンズ26は、リフレクタ24から前方に離れた位置において鉛直方向に延びるように形成されており、平面視においては、灯具前方側へ向けてやや凸状に膨らむようにして円弧状に形成されている。
【0049】
この拡散レンズ26の前面26aには、複数の拡散レンズ素子26sが形成されている。これら各拡散レンズ素子26sは、縦横の格子状に区分けされた複数のセグメントに割り付けられた魚眼レンズで構成されており、リフレクタ24からの反射光を上下方向および左右方向に拡散させるようになっている。
【0050】
各灯具ユニット20の拡散レンズ26は、インナレンズ60として互いに一体で形成されている。
【0051】
このインナレンズ60は、無色透明なアクリル樹脂等により構成されている。その際、このインナレンズ60も、透光部材集合体50と同様、透光カバー14が灯具後方側へ回り込むように形成されているのに対応して、各透光部材30の位置が車幅方向内側から車幅方向外側へ向けて徐々に灯具後方側へ変位するように形成されている。このインナレンズ60の下端部には、灯具後方側へ向けて水平に延びるフランジ部60aが形成されており、このフランジ部60aにおいてランプボディ12の下面壁に固定支持されている。
【0052】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0053】
本実施形態に係る車両用灯具10は、基板32の上面32aに配置された発光ダイオード22からの光を、その上方側に配置されたリフレクタ24により灯具前方へ向けて反射させるように構成されており、その基板32の上方近傍にはカバー部材28が配置されているが、これらリフレクタ24およびカバー部材28は単一の透光部材30で構成されており、その際、リフレクタ24は、発光ダイオード22からの光をその後面24bにおいて内面反射させるように構成されており、また、カバー部材28には、発光ダイオード22からリフレクタ24への光入射を許容する開口部28aが形成されるとともに、その下面28bに素通し防止処理として複数のレンズ素子28sが形成さているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0054】
すなわち、本実施形態に係る車両用灯具10を、その前方斜め上方から観察したとき、カバー部材28が素通しで見えることはあっても、その下方近傍に配置された基板32は、下面28bに複数のレンズ素子28sが形成されたカバー部材28の存在により、素通しでは見えてしまわないようにすることができる。
【0055】
その際、カバー部材28には、開口部28aが形成されているので、発光ダイオード22からリフレクタ24への光入射については支障なく行われるようにすることができる。
【0056】
また、本実施形態のリフレクタ24は、その後面24bにおいて発光ダイオード22からの光を内面反射させる構成となっているので、リフレクタ24の前面24aへの鏡面処理を不要とすることができる。このため、リフレクタ24およびカバー部材28が単一の部材で構成されているにもかかわらず、リフレクタ24の後頂部までその後面24bを反射面として適切に形成することができ、これにより所要の配光性能を確保することが容易に可能となる。
【0057】
このように本実施形態によれば、発光ダイオード22を光源とする車両用灯具10において、部品点数を削減した上で、かつ、所要の配光性能を確保した上で、基板32の上面32aが灯具の前方斜め上方から直接見えてしまわないようにすることができる。そしてこれにより、灯具の見映え向上を図ることができる。
【0058】
本実施形態においては、リフレクタ24の後面24bが、発光ダイオード22の発光中心Oを通り灯具前後方向に延びる軸線である光軸Axに関して放射状に延びる複数の突条部24sで構成されており、これら各突条部24sは断面楔形の全反射プリズムで構成されているので、リフレクタ24の表面にアルミ蒸着等の鏡面処理を施す必要をなくすことができ、これにより灯具製造コストの低減を図ることができる。
【0059】
また、本実施形態においては、カバー部材28における開口部28a以外の領域の下面28bに、複数のレンズ素子28sが形成された構成となっているので、カバー部材28の表面にアルミ蒸着等の鏡面処理を施すことなく、カバー部材28の素通し防止機能を確保することができ、これにより灯具製造コストの低減を図ることができる。
【0060】
特に、本実施形態においては、リフレクタ24およびカバー部材28からなる透光部材30に対して、アルミ蒸着等の鏡面処理を全く施す必要がないので、灯具製造コストの大幅な低減を図ることができる。
【0061】
上記実施形態においては、カバー部材28の下面28bに形成された複数のレンズ素子28sが、縦縞状に形成されているものとして説明したが、これ以外の配置で形成された構成とすることももちろん可能である。
【0062】
上記実施形態においては、カバー部材28の下面28bに形成された各レンズ素子28sが、灯具の前方斜め上方からカバー部材28に入射する光を全反射させる構成となっているものとして説明したが、このように全反射させる構成となっていない場合であっても、基板32の上面32aが灯具の前方斜め上方から素通しで見えてしまわないようにすることが可能である。
【0063】
上記実施形態においては、発光ダイオード22の発光中心Oが光軸Ax上に位置しているものとして説明したが、発光中心Oが光軸Axからずれた位置にある場合においても、上記実施形態と略同様の作用効果を得ることができる。
【0064】
上記実施形態においては、発光ダイオード22が鉛直上方へ向けて配置されている場合について説明したが、鉛直上方に対して前後方向または左右方向に傾斜した方向へ向けて配置されている場合においても、上記実施形態と略同様の作用効果を得ることができる。
【0065】
上記実施形態においては、各灯具ユニット20が、発光ダイオード22からの光をリフレクタ24により光軸Axと平行な光として灯具前方へ向けて反射させた後、この反射光を拡散レンズ26により拡散させる構成となっているものとして説明したが、発光ダイオード22からの光をリフレクタ24により灯具前方へ向けて拡散反射させる構成とすることも可能である。
【0066】
上記実施形態においては、車両用灯具10として4つの灯具ユニット20を備えている場合について説明したが、これ以外の個数の灯具ユニット20を備えている場合においても、上記実施形態と略同様の作用効果を得ることができる。
【0067】
上記実施形態においては、車両用灯具10が車両の右前端部に配置されるデイタイムランニングランプである場合について説明したが、車両の左前端部に配置されるデイタイムランニングランプである場合、あるいは他の種類の灯具である場合においても、上記実施形態と略同様の作用効果を得ることができる。さらに、上記実施形態に係る車両用灯具10を、昼間走行時にはデイタイムランニングランプとして用いる一方、夜間走行時には各発光ダイオード22の輝度を低くしてクリアランスランプとして用いるようにすることも可能である。
【0068】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0069】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0070】
図5は、本変形例に係る車両用灯具110を示す、図3と同様の図である。
【0071】
同図に示すように、この車両用灯具110の基本的な構成は、上記実施形態に係る車両用灯具10の場合と同様であるが、各灯具ユニット120における透光部材130の構成が上記実施形態の場合と異なっている。
【0072】
すなわち、本変形例においても、各灯具ユニット120は、リフレクタ124およびカバー部材128が単一の透光部材130で構成されており、そのカバー部材128には、発光ダイオード22からリフレクタ124への光入射を許容する開口部128aが形成されている。
【0073】
ただし、本変形例の透光部材130は、略一定の肉厚で形成されている。その際、本変形例のリフレクタ124は、その前面124aの構成については上記実施形態の場合と同様であるが、その後面124bには、上記実施形態のような複数の突条部が形成される代わりにアルミ蒸着による鏡面処理が施されている。また、本変形例のカバー部材128は、その下面128bに、上記実施形態のような複数のレンズ素子が形成される代わりにアルミ蒸着による鏡面処理が施されている。
【0074】
そして、本変形例においては、発光ダイオード22からの光を、鏡面処理が施されたリフレクタ124の後面124bで内面反射させるようなっている。また、本変形例においては、灯具の前方斜め上方からカバー部材128に入射する光を、鏡面処理が施されたカバー部材128の下面128bで内面反射させるようになっている。
【0075】
本変形例の構成を採用した場合においても、車両用灯具110の部品点数を削減した上で、かつ、所要の配光性能を確保した上で、基板32の上面32aが灯具の前方斜め上方から直接見えてしまわないようにすることができる。
【0076】
特に、本変形例においては、透光部材130が、薄肉でかつ略一定の肉厚で形成されているので、その軽量化および成形の容易化を図ることができる。また、この透光部材130に対する鏡面処理を一括して行うことができるので、その灯具製造コストの低減を図ることができる。
【0077】
また、本変形例においては、カバー部材128の下面128bに、複数のレンズ素子が形成される代わりに鏡面処理が施された構成となっているので、カバー部材128を基板32に対してより近接して配置することができる。
【0078】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0079】
図6は、本変形例に係る車両用灯具210を示す、図3と同様の図である。
【0080】
同図に示すように、この車両用灯具210の基本的な構成は、上記実施形態に係る車両用灯具10の場合と同様であるが、各灯具ユニット220における透光部材230および発光ダイオード222の構成が上記実施形態の場合と異なっている。
【0081】
すなわち、本変形例においても、各灯具ユニット220は、リフレクタ224およびカバー部材228が単一の透光部材230で構成されており、そのリフレクタ224の後面224bには、複数の突条部224sが形成されている。
【0082】
ただし、本変形例のカバー部材228は、その下面228bに、上記第1変形例の場合と同様の鏡面処理が施された構成となっている。また、このカバー部材228には、発光ダイオード22からリフレクタ224への光入射を許容するための素通し部228aが、上記実施形態の開口部28aの代わりに形成されている。
【0083】
この素通し部228aは、カバー部材228の下面228bにおいて、上記実施形態の開口部28aの形成位置に対応する部分に、マスキングをしてアルミ蒸着を行うことにより形成されている。
【0084】
なお、本変形例においては、カバー部材228が発光ダイオード222と干渉してしまわないようにするため、発光ダイオード222として、上記実施形態の発光ダイオード22のような半円球面状の封止カバーを備えていないものが用いられており、また、カバー部材228は、上記実施形態のカバー部材228よりも多少上方側へ変位した位置に配置されている。
【0085】
本変形例の構成を採用した場合においても、車両用灯具210の部品点数を削減した上で、かつ、所要の配光性能を確保した上で、基板32の上面32aが灯具の前方斜め上方から直接見えてしまわないようにすることができる。
【0086】
なお、上記実施形態および各変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【符号の説明】
【0087】
10、110、210 車両用灯具
12 ランプボディ
12a リブ
14 透光カバー
20、120、220 灯具ユニット
22、222 発光ダイオード
24、124、224 リフレクタ
24a、26a、124a 前面
24b、124b、224b 後面
24s、224s 突条部
26 拡散レンズ
26s 拡散レンズ素子
28、128、228 カバー部材
28a、128a 開口部
28b、128b、228b 下面
28s レンズ素子
30、130、230 透光部材
32 基板
32a 上面
40 光源支持部材
40a 位置決め用凹部
40b 位置決め用突起部
50 透光部材集合体
50a 連結部分
50b ボス
60 インナレンズ
60a フランジ部
228a 素通し部
Ax 光軸
O 発光中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面に配置された発光ダイオードと、この発光ダイオードの上方側において該発光ダイオードからの光を灯具前方へ向けて反射させるリフレクタと、上記基板の上方近傍に配置されたカバー部材と、を備えてなる車両用灯具において、
上記リフレクタおよび上記カバー部材が、単一の透光部材で構成されており、
上記リフレクタが、上記発光ダイオードからの光を該リフレクタの後面において内面反射させるように構成されており、
上記カバー部材に、上記発光ダイオードから上記リフレクタへの光入射を許容する開口部または素通し部を残した状態で素通し防止処理が施されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記リフレクタの後面が、上記発光ダイオードまたはその近傍を通り灯具前後方向に延びる軸線に関して放射状に延びる複数の突条部で構成されており、
これら各突条部が、断面楔形の反射プリズムで構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記カバー部材における上記開口部または上記素通し部以外の領域の下面に、複数のレンズ素子が形成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記カバー部材における上記開口部または上記素通し部以外の領域の下面に、鏡面処理が施されている、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の車両用灯具。
【請求項5】
上記リフレクタの後面に、鏡面処理が施されている、ことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−119284(P2012−119284A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270882(P2010−270882)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】