説明

車両用空気調和装置

【課題】乗客に不快感を与えることなく、フィルター体を自動的に清掃する車両用空気調和装置を提供する。
【解決手段】空調処理された空気を車両内の吹出口から吹き出し、吹き出された空気を車両内の吸気口から吸引する室内送風機31を有する空調装置本体3と、空調装置本体3の運転を制御する空調制御装置20と、吸気口から吸引された空気を濾過するフィルター体を有するエアフィルター装置10と、エアフィルター装置10のフィルター体に付着した塵埃を吸引し、そのフィルター体を清掃する塵埃吸引装置16と、車両の状態を監視し、監視状態に応じた情報を空調制御装置20に提供する車上モニター装置21とを備え、空調制御装置20は、車両内に乗客無しの判断基準となる所定条件が設定され、少なくとも、車上モニター装置21からの情報が前記所定の条件を満たしているときに、塵埃吸引装置16を駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道車両用の空気調和装置に係わり、さらに詳しくは、車両の天井に設けられた吸気口の近傍に設置されたエアフィルターを清掃する塵埃吸引装置を備えた車両用空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用空気調和装置は、車両内の空気をエアフィルター装置のフィルター体を介して取り込み、空調処理した後に車両内へ戻すようにしている。前述のエアフィルター装置には、フィルター体に付着した塵埃を吸引して回収箱に送り込む塵埃吸引装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−140249号公報(要約書)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の車両用空気調和装置では、塵埃吸引装置の駆動時に騒音が発生し、車両内の乗客に不快感を与えるという課題があった。
【0005】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、乗客に不快感を与えることなく、フィルター体を自動的に清掃する車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用空気調和装置は、空調処理された空気を車両内の吹出口から吹き出し、吹き出された空気を車両内の吸気口から吸引する室内送風機を有する空調装置本体と、空調装置本体の運転を制御する空調制御装置と、吸気口から吸引された空気を濾過するフィルター体を有するエアフィルター装置と、エアフィルター装置のフィルター体に付着した塵埃を吸引し、当該フィルター体を清掃する塵埃吸引装置と、車両の状態を監視し、監視状態に応じた情報を空調制御装置に提供する車上モニター装置とを備え、空調制御装置は、車両内に乗客無しの判断基準となる所定条件が設定され、少なくとも、車上モニター装置からの情報が前記所定の条件を満たしているときに、塵埃吸引装置を駆動させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両内に乗客がいない間に、塵埃吸引装置を駆動させて、エアフィルター装置のフィルター体に付着した塵埃を除去するようにしているので、乗客が車内に乗り込む前にフィルター体の清掃を完了させることができ、乗客に騒音による不快感を与えない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1の車両用空気調和装置が搭載された車両の概略図。
【図2】図1に示す車両用空気調和装置が搭載された車両の平面図。
【図3】図1に示す車両用空気調和装置が搭載された車両の横断面図。
【図4】図1の車両用空気調和装置のエアフィルター装置の概略構成を示す側面図。
【図5】実施の形態1に係る車両用空気調和装置のシステムを示す概略構成図。
【図6】実施の形態1の車両用空気調和装置における空調制御装置の動作を示すフローチャート。
【図7】実施の形態2の車両用空気調和装置における空調制御装置の動作を示すフローチャート。
【図8】実施の形態3の車両用空気調和装置における空調制御装置の動作を示すフローチャート。
【図9】実施の形態4の車両用空気調和装置における空調制御装置の動作を示すフローチャート。
【図10】実施の形態5の車両用空気調和装置における空調制御装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は実施の形態1の車両用空気調和装置が搭載された車両の概略図、図2は図1に示す車両用空気調和装置が搭載された車両の平面図、図3は図1に示す車両用空気調和装置が搭載された車両の横断面図、図4は図1の車両用空気調和装置のエアフィルター装置の概略構成を示す側面図である。
図1〜図3において、車両1の例えば屋根2に空調装置本体3が搭載されて車両用空気調和装置が構成される。車両1内の上部に張られた天井4のうち、中央寄りの天井4には吹出口5が、側部寄りの天井4には吸気口6が設けられている。また、車両1の屋根2と天井4の間には、空調装置本体3からの空気を吹出口5から吹き出すためのダクト7が配設されている。さらに、車両1の屋根2と天井4の間の吸気口6上方には、それぞれエアフィルター装置10が設けられている。
【0010】
空調装置本体3は、四方弁、圧縮機、室内熱交換器、膨張弁、室外熱交換器などが冷媒配管により順次に接続されてなる冷凍サイクル装置、室内送風機及び室外送風機により構成されている。室内送風機は、車両1内の空気をエアフィルター装置10を介して吸引し、室内熱交換器により熱交換された空気をダクト7内に送り込んで吹出口5から吹き出させる。
【0011】
ここで、前述したエアフィルター装置10の構成について、図4を用いて説明する。なお、図4に示すエアフィルター装置10は一例であって、これに限定されるものではない。
エアフィルター装置10は、例えばサラン材からなるメッシュ地を輪状にして構成されるフィルター体11と、フィルター体11が巻かれた駆動用ローラー12及び従動用ローラー13と、駆動用ローラー12を回転させるモーター(図示せず)と、通過する空気によりフィルター体11が浮き上がらないようにする浮き上がり防止板14と、駆動されるフィルター体11が滑らないように、フィルター体11を押し下げ方向にテンションをかけるアイドラー15と、従動用ローラー13の回転からフィルター体11が1回転したかを検知する巻き取り検知器13aと、塵埃吸引装置16とで構成されている。
【0012】
塵埃吸引装置16は、フィルター体11に付着した塵埃を吸引する吸引ノズル16aと、吸引ノズル16aに吸引力を与える吸引ファンを有する吸引装置16bと、吸引装置16bにより吸引されたフィルター体11の塵埃を回収する回収箱16cとで構成されている。
【0013】
次に、車両用空気調和装置のシステム構成について説明する。
図5は実施の形態1に係る車両用空気調和装置のシステムを示す概略構成図である。
本実施の形態の車両用空気調和装置のシステムは、前述した空調装置本体3及びエアフィルター装置10と、空調制御装置20と、車上モニター装置21とで構成されている。
空調制御装置20は、暖房運転のときには、空調装置本体3の室内熱交換器が凝縮器として、室外熱交換器が蒸発器として動作するように、四方弁を切り替える。また、空調制御装置20は、冷房運転のときには、空調装置本体3の室外熱交換器が凝縮器として、室内熱交換器が蒸発器として動作するように、四方弁を切り替える。また、空調制御装置20は、暖房運転あるいは冷房運転を行っているときには、室内送風機31及び室外送風機の運転を制御する。なお、暖房及び冷房の運転が切り替え可能な空調装置本体3について説明したが、暖房及び冷房の何れか一方を運転する空調装置本体3であっても良い。その場合、前述の四方弁は不要となる。
【0014】
さらに、空調制御装置20は、空調装置本体3の運転がその日の初回運転のときには、車上モニター装置21からの情報に基づいて塵埃吸引装置16を駆動するかどうかを判定する。空調制御装置20は、空調装置本体3の運転が初回運転のときに、所定の条件である車両1のドアが閉の情報を受けたときには、塵埃吸引装置16を駆動し、エアフィルター装置10のモーターを駆動する。また、空調制御装置20は、塵埃吸引装置16を駆動しているときに、車両1のドアが開いた情報を車上モニター装置21から受けたときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止する。また、空調制御装置20は、車両1のドアが開いた情報を受ける前に、塵埃吸引装置16の動作時間が設定時間を経過したときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止する。なお、空調制御装置20は、空調装置本体3を運転した際、その日の運転回数を記録し、その運転記録情報から初回運転かどうかを判定する。
【0015】
車上モニター装置21は、車両1のドアを開閉する装置にドアの開閉を指令し、この指令により、ドアが開いた情報、あるいはドアが閉じた情報を受けたときには、受けた情報を空調制御装置20に伝送する。
【0016】
次に、塵埃吸引装置16を駆動するかどうかの判定動作について、図6のフローチャートに基づいて説明する。
図6は実施の形態1の車両用空気調和装置における空調制御装置の動作を示すフローチャートである。
空調制御装置20は、空調装置本体3の運転を開始した際に、その日の初回運転かどうかを空調装置本体3の運転記録情報から判定する(S1)。空調制御装置20は、空調装置本体3の運転が初回運転でないと判定したときには、塵埃吸引装置16を駆動することなく、このフローチャートに基づく動作を終了する。また、空調制御装置20は、空調装置本体3の運転が初回運転と判定したときには、車両1のドアが閉じているかどうかを車上モニター装置21からの情報に基づいて判定する(S2)。なお、車両1のドアが閉じているかどうかの判定は、ドアが開いていれば、乗客が乗車している可能性があり、車両1の内部に乗客がいないことを確認するためである。
【0017】
空調制御装置20は、S2において、車上モニター装置21からの情報がドアの開であったときには、前記と同様に塵埃吸引装置16を駆動することなく終了するが、車両1のドアが閉じている情報を受けたときには、塵埃吸引装置16を駆動し(S3)、エアフィルター装置10のモーターを駆動する。そのモーターの駆動により、フィルター体11は、図4に示す矢印の方向に回転し、塵埃吸引装置16の吸引ノズル16aにより、フィルター体11に付着した塵埃が吸引され、回収箱16cに送り込まれる。空調制御装置20は、塵埃吸引装置16を駆動した際に動作時間の積算を開始し、積算した動作時間が設定時間を経過したかどうかを判定する(S4)。空調制御装置20は、動作時間が設定時間を経過したときにはS6に進むが、動作時間が設定時間を経過していないときには、車両1のドアが開いたかどうかを車上モニター装置21からの情報に基づいて判定する(S5)。
【0018】
空調制御装置20は、車上モニター装置21からの情報がドアの開であったときにはS6に進むが、その情報がドアの閉であったときには、塵埃吸引装置16の動作を継続させる(S3)。空調制御装置20は、ドアが開いた情報を受ける前に、動作時間が設定時間に達したときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止する(S6)。また、空調制御装置20は、動作時間が設定時間に達する前に、ドアが開いた情報を受けたときには、前記と同様に、エアフィルター装置10のモーターの駆動及び塵埃吸引装置16の駆動を停止し(S6)、前述した一連の動作を終了する。
【0019】
以上のように実施の形態1においては、空調装置本体3の運転が初回運転で、所定の条件である車両1のドアが閉の情報を受けたときに、塵埃吸引装置16及びエアフィルター装置10を駆動して、フィルター体11に付着した塵埃を除去するようにしている。これにより、乗客が車内に乗り込む前にフィルター体11の清掃を完了させることができ、乗客に騒音による不快感を与えるということがない。
【0020】
実施の形態2.
実施の形態1では、空調装置本体3の運転が初回運転で、車両1のドアが閉じているときに塵埃吸引装置16を動作させるようにしたが、実施の形態2は、空調装置本体3の運転が初回運転で、車両1の乗客の乗車率が0%のときに塵埃吸引装置16を動作させるようにしたものである。なお、本実施の形態においては、実施の形態1で説明した図1乃至図5を用いて説明する。
【0021】
本実施の形態における空調制御装置20は、空調装置本体3の運転がその日の初回運転のときには、車上モニター装置21からの情報に基づいて塵埃吸引装置16を駆動するかどうかを判定する。車上モニター装置21は、車両に設けられた応荷重センサー(図示せず)からの信号に基づいて、空調制御装置20に乗車率の情報を伝える。前述の応荷重センサーは、車両1に乗車する乗客数に応じて変化する荷重を検出し、その荷重に基づいて信号に変換する機器である。
【0022】
空調制御装置20は、空調装置本体3の運転がその日の初回運転のときに、所定の条件である乗客の乗車率が0%の情報を受けたときには、塵埃吸引装置16を駆動し、エアフィルター装置10のモーターを駆動する。また、空調制御装置20は、塵埃吸引装置16が動作しているときに、乗客の乗車率が0%を超える情報を車上モニター装置21から受けたときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止する。また、空調制御装置20は、乗客の乗車率が0%を超える前に、塵埃吸引装置16の動作時間が設定時間を経過したときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止する。なお、空調制御装置20は、空調装置本体3を運転した際、その日の運転回数を記録し、その情報から初回運転かどうかを判定する。
【0023】
次に、塵埃吸引装置16を駆動するかどうかの判定動作について、図7のフローチャートに基づいて説明する。
図7は実施の形態2の車両用空気調和装置における空調制御装置の動作を示すフローチャートである。
空調制御装置20は、空調装置本体3の運転を開始した際に、その日の初回運転かどうかを空調装置本体3の運転記録情報から判定する(S11)。空調制御装置20は、空調装置本体3の運転が初回運転でないと判定したときには、塵埃吸引装置16を駆動することなく、このフローチャートに基づく動作を終了する。また、空調制御装置20は、空調装置本体3の運転が初回運転と判定したときには、乗客の乗車率が0%かどうかを車上モニター装置21からの情報に基づいて判定する(S12)。空調制御装置20は、乗車率が0%でないときには塵埃吸引装置16を駆動することなく終了する。
【0024】
空調制御装置20は、乗客の乗車率が0%のときには、塵埃吸引装置16を駆動し(S13)、エアフィルター装置10のモーターを駆動する。前述したように、モーターの駆動により、フィルター体11は、図4に示す矢印の方向に回転し、塵埃吸引装置16の吸引ノズル16aにより、フィルター体11に付着した塵埃が吸引され、回収箱16cに送り込まれる。空調制御装置20は、塵埃吸引装置16を駆動した際に動作時間の積算を開始し、積算した動作時間が設定時間を経過したかどうかを判定する(S14)。空調制御装置20は、動作時間が設定時間を経過したときにはS16に進むが、動作時間が設定時間を経過していないときには、乗客の乗車率が0%かどうかを車上モニター装置21からの情報に基づいて判定する(S15)。
【0025】
空調制御装置20は、車上モニター装置21からの情報が0%を超えていたときにはS16に進むが、その情報が0%のときには、塵埃吸引装置16の動作を継続させる(S13)。空調制御装置20は、乗客の乗車率が0%を超える前に、動作時間が設定時間に達したときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止する(S16)。また、空調制御装置20は、動作時間が設定時間に達する前に、乗客の乗車率が0%を超える情報を受けたときには、前記と同様に、エアフィルター装置10のモーターの駆動及び塵埃吸引装置16の駆動を停止し(S16)、前述した一連の動作を終了する。
【0026】
以上のように実施の形態2においては、空調装置本体3の運転が初回運転で、所定の条件である乗客の乗車率が0%の情報を受けたときに、塵埃吸引装置16及びエアフィルター装置10を駆動して、フィルター体11に付着した塵埃を除去するようにしている。これにより、乗客が車内に乗り込む前にフィルター体11の清掃を完了させることができ、乗客に騒音による不快感を与えるということがない。
【0027】
実施の形態3.
実施の形態3は、車両1の状態が「検査中」に塵埃吸引装置16を駆動するようにしたものである。なお、本実施の形態においては、実施の形態1で説明した図1乃至図5を用いて説明する。
【0028】
本実施の形態における空調制御装置20は、空調装置本体3の運転がその日の初回運転のときには、車上モニター装置21からの情報に基づいて塵埃吸引装置16を駆動するかどうかを判定する。車上モニター装置21は、車両1の状態が乗客がいない「検査中」であるかどうかの情報を空調制御装置20に提供する。車上モニター装置21における「検査中」の情報の提供は、例えば、車両1の運転室に設けられたスイッチが車両検査員によりオン操作されたときである。なお、スイッチのオン操作による「検査中」の情報を直接空調制御装置20に送るようにしても良い。
【0029】
空調制御装置20は、空調装置本体3の運転がその日の初回運転のときに、所定の条件である車両1の状態が「検査中」である情報を受けたときには、塵埃吸引装置16を駆動し、エアフィルター装置10のモーターを駆動する。また、空調制御装置20は、塵埃吸引装置16が動作しているときに、車両1の検査完了の情報を車上モニター装置21から受けたときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止する。また、空調制御装置20は、車両1の検査完了の情報を受ける前に、塵埃吸引装置16の動作時間が設定時間を経過したときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止する。なお、空調制御装置20は、空調装置本体3を運転した際、その日の運転回数を記録し、その情報から初回運転かどうかを判定する。
【0030】
次に、塵埃吸引装置16を駆動するかどうかの判定動作について、図8のフローチャートに基づいて説明する。
図8は実施の形態3の車両用空気調和装置における空調制御装置の動作を示すフローチャートである。
空調制御装置20は、空調装置本体3の運転を開始した際に、その日の初回運転かどうかを空調装置本体3の運転記録情報から判定する(S21)。空調制御装置20は、空調装置本体3の運転が初回運転でないと判定したときには、塵埃吸引装置16を駆動することなく、このフローチャートに基づく動作を終了する。また、空調制御装置20は、空調装置本体3の運転が初回運転と判定したときには、車両1の状態が「検査中」かどうかを車上モニター装置21からの情報に基づいて判定する(S22)。空調制御装置20は、「検査中」でないときには塵埃吸引装置16を駆動することなく終了する。
【0031】
空調制御装置20は、車両1の状態が「検査中」のときには、塵埃吸引装置16を駆動し(S23)、エアフィルター装置10のモーターを駆動する。前述したように、モーターの駆動により、フィルター体11は、図4に示す矢印の方向に回転し、塵埃吸引装置16の吸引ノズル16aにより、フィルター体11に付着した塵埃が吸引され、回収箱16cに送り込まれる。空調制御装置20は、塵埃吸引装置16を駆動した際に動作時間の積算を開始し、積算した動作時間が設定時間を経過したかどうかを判定する(S24)。空調制御装置20は、動作時間が設定時間を経過したときにはS26に進むが、動作時間が設定時間を経過していないときには、車両1の状態が「検査中」かどうかを車上モニター装置21からの情報に基づいて判定する(S25)。
【0032】
空調制御装置20は、車両1の状態が「検査中」でないときにはS26に進むが、「検査中」のときには、塵埃吸引装置16の動作を継続させる(S23)。空調制御装置20は、「検査中」でない情報を受ける前に、動作時間が設定時間に達したときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止する(S26)。また、空調制御装置20は、動作時間が設定時間に達する前に、「検査中」でない情報を受けたときには、前記と同様に、エアフィルター装置10のモーターの駆動及び塵埃吸引装置16の駆動を停止し(S26)、前述した一連の動作を終了する。
【0033】
以上のように実施の形態3においては、空調装置本体3の運転が初回運転で、所定の条件である車両1の状態が「検査中」である情報を受けたときに、塵埃吸引装置16及びエアフィルター装置10を駆動して、フィルター体11に付着した塵埃を除去するようにしている。これにより、乗客が車内に乗り込む前にフィルター体11の清掃を完了させることができ、乗客に騒音による不快感を与えるということがない。
【0034】
実施の形態4.
実施の形態4は、車両1が整備や点検等を行う車両基地内に入っているときに、塵埃吸引装置16を駆動するようにしたものである。なお、本実施の形態においては、実施の形態1で説明した図1乃至図5を用いて説明する。
【0035】
本実施の形態における空調制御装置20は、空調装置本体3の運転がその日の初回運転のときには、車上モニター装置21からの情報に基づいて塵埃吸引装置16を駆動するかどうかを判定する。車上モニター装置21は、空調装置本体3の運転がその日の初回運転である通知を空調制御装置20から受けたときに、車両1が車両基地内かどうかを判定し、その判定結果に基づく位置情報を空調制御装置20に提供する。前述の車両1の位置情報は、例えば、車輪の回転数により発駅からの距離を計測し、内部に有する路線図と照会させて、現在の位置を割り出したり、GPSにより位置を割り出して得られたものである。
【0036】
空調制御装置20は、空調装置本体3の運転がその日の初回運転のときに、所定の条件である車両1が車両基地内に入っている位置情報を受けたときには、塵埃吸引装置16を駆動し、エアフィルター装置10のモーターを駆動する。また、空調制御装置20は、塵埃吸引装置16が動作しているときに、車両1が車両基地の外にいる位置情報を車上モニター装置21から受けたときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止する。また、空調制御装置20は、車両1が車両基地の外にいる位置情報を受ける前に、塵埃吸引装置16の動作時間が設定時間を経過したときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止する。なお、空調制御装置20は、空調装置本体3を運転した際、その日の運転回数を記録し、その情報から初回運転かどうかを判定する。
【0037】
次に、塵埃吸引装置16を駆動するかどうかの判定動作について、図9のフローチャートに基づいて説明する。
図9は実施の形態4の車両用空気調和装置における空調制御装置の動作を示すフローチャートである。
空調制御装置20は、空調装置本体3の運転を開始した際に、その日の初回運転かどうかを空調装置本体3の運転記録情報から判定する(S31)。空調制御装置20は、空調装置本体3の運転が初回運転でないと判定したときには、塵埃吸引装置16を駆動することなく、このフローチャートに基づく動作を終了する。また、空調制御装置20は、空調装置本体3の運転が初回運転と判定したときには、車両1が車両基地内かどうかを車上モニター装置21からの情報に基づいて判定する(S32)。空調制御装置20は、車両1が車両基地内でないときには塵埃吸引装置16を駆動することなく終了する。
【0038】
空調制御装置20は、車両1が車両基地内に入っている位置情報を受けたときには、塵埃吸引装置16を駆動し(S33)、エアフィルター装置10のモーターを駆動する。前述したように、モーターの駆動により、フィルター体11は、図4に示す矢印の方向に回転し、塵埃吸引装置16の吸引ノズル16aにより、フィルター体11に付着した塵埃が吸引され、回収箱16cに送り込まれる。空調制御装置20は、塵埃吸引装置16を駆動した際に動作時間の積算を開始し、積算した動作時間が設定時間を経過したかどうかを判定する(S34)。空調制御装置20は、動作時間が設定時間を経過したときにはS36に進むが、動作時間が設定時間を経過していないときには、車両1が車両基地内に入っているかどうかを車上モニター装置21からの情報に基づいて判定する(S35)。
【0039】
空調制御装置20は、車両1が車両基地の外にいる位置情報を受けたときにはS36に進むが、その位置情報が車両基地内のときには、塵埃吸引装置16の動作を継続させる(S33)。空調制御装置20は、車両1が車両基地の外にいる位置情報を受ける前に、動作時間が設定時間に達したときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止する(S36)。また、空調制御装置20は、動作時間が設定時間に達する前に、車両1が車両基地の外にいる位置情報を受けたときには、前記と同様に、エアフィルター装置10のモーターの駆動及び塵埃吸引装置16の駆動を停止し(S36)、前述した一連の動作を終了する。
【0040】
以上のように実施の形態4においては、空調装置本体3の運転が初回運転で、所定の条件である車両1が車両基地内に入っている位置情報を受けたときに、塵埃吸引装置16及びエアフィルター装置10を駆動して、フィルター体11に付着した塵埃を除去するようにしている。これにより、乗客が車内に乗り込む前にフィルター体11の清掃を完了させることができ、乗客に騒音による不快感を与えるということがない。
【0041】
実施の形態5.
実施の形態5は、空調装置本体3の運転が初回運転で、乗客の乗車率が0%、及び室内送風機31の累積運転時間が予め設定された第1の時間に達しているとき、かつ、車両1のドアが閉のときに、塵埃吸引装置16を駆動するようにしたものである。なお、本実施の形態においては、実施の形態1で説明した図1乃至図5を用いて説明する。
【0042】
本実施の形態における空調制御装置20は、空調装置本体3の運転がその日の初回運転のときには、車上モニター装置21からの情報に基づいて塵埃吸引装置16を駆動するかどうかを判定する。車上モニター装置21は、車両に設けられた応荷重センサー(図示せず)からの信号に基づいて、空調制御装置20に乗車率の情報を伝える。また、車上モニター装置21は、車両1のドアを開閉する装置にドアの開閉を指令し、この指令により、ドアが開いた情報、あるいはドアが閉じた情報を受けたときには、受けた情報を空調制御装置20に伝送する。前述の応荷重センサーは、車両1に乗車する乗客数に応じて変化する荷重を検出し、その荷重に基づいて信号に変換する機器である。
【0043】
空調制御装置20は、空調装置本体3の運転がその日の初回運転のときに、所定の条件である乗客の乗車率が0%の情報、及びドアが閉の情報を受けると、空調装置本体3に設けられた室内送風機31の累積運転時間が予め設定された第1の時間に達しているかどうかを判定する。空調制御装置20は、室内送風機31の累積運転時間が第1の時間に達しているときには、フィルター体11に一定量以上の塵埃が付着しているとして、塵埃吸引装置16を駆動し、エアフィルター装置10のモーターを駆動する。
【0044】
また、空調制御装置20は、塵埃吸引装置16が動作しているときに、乗客の乗車率が0%を超える情報、あるいはドアが開いた情報を車上モニター装置21から受けたときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止する。
【0045】
さらに、空調制御装置20は、乗車率が0%を超える情報、あるいはドアが開いた情報を受ける前に、塵埃吸引装置16の運転時間が予め設定された第2の時間に達したときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止する。
【0046】
なお、塵埃吸引装置16の運転時間である第2の時間は、室内送風機31の累積運転時間である第1の時間よりも短い時間である。また、空調制御装置20の制御による空調装置本体3の運転が初回かどうかの判定は、実施の形態1〜4と同様に、空調装置本体3を運転した際に記録する運転回数を基に行っている。
【0047】
次に、塵埃吸引装置16を駆動するかどうかの判定動作について、図10のフローチャートに基づいて説明する。
図10は実施の形態5の車両用空気調和装置における空調制御装置の動作を示すフローチャートである。
空調制御装置20は、空調装置本体3の運転を開始した際に、その日の初回運転かどうかを空調装置本体3の運転記録情報から判定する(S41)。空調制御装置20は、空調装置本体3の運転が初回運転でないと判定したときには、塵埃吸引装置16を駆動することなく、このフローチャートに基づく動作を終了する。また、空調制御装置20は、空調装置本体3の運転が初回運転と判定したときには、乗客の乗車率が0%かどうかを車上モニター装置21からの情報に基づいて判定する(S42)。空調制御装置20は、乗車率が0%を超えるときには塵埃吸引装置16を駆動することなく終了するが、乗車率が0%のときには室内送風機31の累積運転時間が第1の時間に達しているかどうかを判定する(S43)。
【0048】
空調制御装置20は、室内送風機31の累積運転時間が第1の時間に達していないと判定したきには、塵埃吸引装置16を駆動することなく、このフローチャートに基づく動作を終了する。また、空調制御装置20は、室内送風機31の累積運転時間が第1の時間に達していると判定したときには、車両1のドアが閉じているかどうかを車上モニター装置21からの情報に基づいて判定する(S44)。なお、車両1のドアが閉じているかどうかの判定は、ドアが開いていれば、乗客が乗車している可能性があり、車両1の内部に乗客がいないことを確認するためである。
【0049】
空調制御装置20は、車両1のドアが開いた情報を受けたときには、塵埃吸引装置16を駆動することなく、このフローチャートに基づく動作を終了するが、車両1のドアが閉じている情報を受けたときには塵埃吸引装置16を駆動し(S45)、エアフィルター装置10のモーターを駆動する。前述したように、モーターの駆動により、フィルター体11は、図4に示す矢印の方向に回転し、塵埃吸引装置16の吸引ノズル16aにより、フィルター体11に付着した塵埃が吸引され、回収箱16cに送り込まれる。
【0050】
一方、空調制御装置20は、塵埃吸引装置16を駆動した際に、乗客の乗車率が0%かどうかを車上モニター装置21からの情報に基づいて判定する(S46)。空調制御装置20は、乗車率が0%を超えるときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止する(S49)。
【0051】
また、空調制御装置20は、乗車率が0%のときには、ドアが開いたかどうかを車上モニター装置21からの情報に基づいて判定する(S47)。空調制御装置20は、ドアが開いているときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止し(S49)、ドアが閉じているときには、塵埃吸引装置16の運転時間が第2の時間に達したかどうかを判定する(S48)。空調制御装置20は、乗客の乗車率が0%で、ドアが閉で、かつ塵埃吸引装置16の運転時間が第2の時間に達していないときには、塵埃吸引装置16の動作を継続させる(S45)。また、空調制御装置20は、塵埃吸引装置16の運転時間が第2の時間に達したときには、エアフィルター装置10のモーターの駆動を停止すると共に、塵埃吸引装置16の駆動を停止し(S49)、前述した一連の動作を終了する。
【0052】
以上のように実施の形態5においては、空調装置本体3の運転が初回運転で、所定の条件である乗客の乗車率が0%で、ドアが閉じているときに、室内送風機31の累積運転時間が第1の時間に達していると、フィルター体11に付着した塵埃を除去するようにしている。これにより、無用なフィルター体11の清掃動作を削減することができ、また、乗客が車内に乗り込む前にフィルター体11の清掃を完了させることができ、乗客に騒音による不快感を与えるということがない。
【符号の説明】
【0053】
1 車両、2 屋根、3 空調装置本体、4 天井、5 吹出口、6 吸気口、7 ダクト、10 エアフィルター装置、11 フィルター体、12 駆動用ローラー、13 従動用ローラー、13a 巻き取り検知器、14 浮き上がり防止板、15 アイドラー、16 塵埃吸引装置、16a 吸引ノズル、16b 吸引装置、16c 回収箱、20 空調制御装置、21 車上モニター装置、31 室内送風機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調処理された空気を車両内の吹出口から吹き出し、吹き出された空気を車両内の吸気口から吸引する室内送風機を有する空調装置本体と、
前記空調装置本体の運転を制御する空調制御装置と、
前記吸気口から吸引された空気を濾過するフィルター体を有するエアフィルター装置と、
前記エアフィルター装置のフィルター体に付着した塵埃を吸引し、当該フィルター体を清掃する塵埃吸引装置と、
車両の状態を監視し、監視状態に応じた情報を前記空調制御装置に提供する車上モニター装置とを備え、
前記空調制御装置は、車両内に乗客無しの判断基準となる所定条件が設定され、少なくとも、前記車上モニター装置からの情報が前記所定の条件を満たしているときに、前記塵埃吸引装置を駆動させることを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項2】
前記空調制御装置は、前記所定の条件として、車両のドアが閉であるという条件が設定され、前記車上モニター装置からの情報が前記所定の条件を満たしているときに、前記塵埃吸引装置を駆動させることを特徴とする請求項1記載の車両用空気調和装置。
【請求項3】
前記空調制御装置は、前記所定の条件として、乗客の乗車率が0%であるという条件が設定され、前記車上モニター装置からの情報が前記所定の条件を満たしているときに、前記塵埃吸引装置を駆動させることを特徴とする請求項1記載の車両用空気調和装置。
【請求項4】
前記空調制御装置は、前記所定の条件として、車両が検査中であるという条件が設定され、前記車上モニター装置からの情報が前記所定の条件を満たしているときに、前記塵埃吸引装置を駆動させることを特徴とする請求項1記載の車両用空気調和装置。
【請求項5】
前記空調制御装置は、前記所定の条件として、車両の位置が車両基地内であるという条件が設定され、前記車上モニター装置からの情報が前記所定の条件を満たしているときに、前記塵埃吸引装置を駆動させることを特徴とする請求項1記載の車両用空気調和装置。
【請求項6】
前記空調制御装置は、前記所定の条件として、乗客の乗車率が0%、及び車両のドアが閉であるという条件が設定され、前記車上モニター装置からの情報が前記所定の条件を満たしているときに、前記塵埃吸引装置を駆動させることを特徴とする請求項1記載の車両用空気調和装置。
【請求項7】
前記空調制御装置は、前記フィルター体に付着した塵埃の量が一定量以上のときに、前記車上モニター装置からの情報が前記所定の条件を満たすと、前記塵埃吸引装置を駆動させることを特徴とする請求項6記載の車両用空気調和装置。
【請求項8】
前記空調制御装置は、前記室内送風機の累積運転時間が予め設定された第1の時間に達したときに、塵埃の量が一定量以上と判定することを特徴とする請求項7記載の車両用空気調和装置。
【請求項9】
前記空調制御装置は、前記車上モニター装置からの情報が車両のドアの開であるときに、塵埃吸引装置の駆動を停止させることを特徴とする請求項2及び6乃至8の何れか一項に記載の車両用空気調和装置。
【請求項10】
前記空調制御装置は、前記車上モニター装置からの情報が乗客の乗車率0%を超えるものであるときに、前記塵埃吸引装置の駆動を停止させることを特徴とする請求項3及び6乃至8の何れか一項に記載の車両用空気調和装置。
【請求項11】
前記空調制御装置は、車両の検査完了の情報を受けたときに、前記塵埃吸引装置の駆動を停止させることを特徴とする請求項4記載の車両用空気調和装置。
【請求項12】
前記空調制御装置は、車両の位置が車両基地外である情報を受けたときに、前記塵埃吸引装置の駆動を停止させることを特徴とする請求項5記載の車両用空気調和装置。
【請求項13】
前記空調制御装置は、前記塵埃吸引装置の運転時間が予め設定された第2の時間に達したときに、前記塵埃吸引装置の駆動を停止させることを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載の車両用空気調和装置。
【請求項14】
前記空調制御装置は、前記空調装置本体の運転がその日の初回運転で、かつ、前記車上モニター装置からの情報が前記所定の条件を満たしているときに、前記塵埃吸引装置を駆動させることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載の車両用空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−107425(P2013−107425A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251839(P2011−251839)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】