説明

車両用舵角比可変操舵装置

【課題】ステアリング側に連結される入力軸と、車輪側に連結される出力軸とを備えた舵角比可変ユニットにおいて、モータ等の電気制御機器を用いずに機械的な構成のみで、ステアリングの操舵角に応じて舵角比を変化させる。
【解決手段】入力軸3に対してボールネジ機構19を介して連結される直線移動部材20と、出力軸4に対して連結ベベルギヤ21を介して連動可能に連結される駆動ベベルギヤ23と、直線移動部材20の直線移動量Xが該駆動ベベルギヤ23の回転角θwの正弦関数となるように、該直線移動部材20及び駆動ベベルギヤ23同士を連動可能に連結するレバー部材24とを備えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のステアリングと車輪との間の操舵力伝達経路に設けられ、ステアリングの操舵角に応じて、該操舵角に対する車輪舵角の比である舵角比を変化させる車両用舵角比可変操舵装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の車両用舵角比可変操舵装置として、ステアリング側に連結される入力軸と、車輪側に連結される出力軸とを備え、ステアリングの操舵角に応じて、入力軸及び出力軸間の入力/出力回転比(出力軸の回転量に対する入力軸の回転量の比)を変化させることで舵角比を変化させるようにしたものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1に示す車両用舵角比可変操舵装置では、入力軸と出力軸とが非同軸に配設されていて、入力軸に対してセレーションを介してその軸心方向に移動可能に外挿された進退部材と、該進退部材と出力軸とを互いに連結する2本の直列リンク部材と、進退部材の軸心方向の位置を調整するためのモータとが設けられている。進退部材の外周面には、外輪にナット部材が一体固定されたベアリングが外嵌されており、該ナット部材に螺合するネジ棒をモータで駆動することで、進退部材の軸心方向位置を調整可能になっている。そして、該車両用舵角比可変操舵装置は、ステアリングの操舵角に応じて、進退部材を軸心方向に移動させることで、上記両リンク部材の連結部と上記入力軸及び出力軸との距離を変更して入力/出力回転比を変化させ、延いては舵角比を変化させるように構成されている。
【0004】
また、例えば特許文献2に示す車両用舵角比可変操舵装置では、入力軸に連結されて該入力軸回りに回転する入力側回転円板と、出力軸に連結されて該出力軸回りに回転する出力側回転円板と、該入力側及び出力側回転円板を互いに連動可能に連結するリンク状の揺動部材とが設けられている。揺動部材の一端部は出力側回転円板にその中心軸から所定量だけ偏心してボールジョイントを介して回動可能に固定されている一方、揺動部材の他端部は、入力側回転円板の中心から径方向外側に延びる経路に沿ってスライド可能なボールナットにボールジョイントを介して回動可能に連結されている。該揺動部材他端部の径方向位置(偏心量)は、モータを含む偏心量変更手段により調整可能になっており、上記車両用舵角比可変操舵装置は、ステアリングの操舵角に応じて、上記偏心量を変更することで入力/出力回転比を変化させ、延いては舵角比を変化させるように構成されている。
【特許文献1】特開2000−309280号公報
【特許文献2】特開2000−264228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1及び2に示す車両用舵角比可変操舵装置では、入力/出力回転比を可変とするためのモータが必要であるため、コスト増加や装置全体の大型化を招くという問題がある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両のステアリングと車輪との操舵力伝達経路に設けられる車両用舵角比可変操舵装置に対して、その構成に工夫を凝らすことで、装置全体のコンパクト化及び低コスト化を図ろうとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、入力軸及び出力軸のいずれか一方の軸に対して、回転/直線移動変換可能な移動変換機構を介して連結される直線移動部材と、他方の軸に対して連動可能に連結される回転部材と、該直線移動部材の直線移動量と該回転部材の回転量との関係を非線形とするように、該両部材同士を連動可能に連結するレバー部材とを備えるようにした。
【0008】
具体的には、請求項1の発明では、車両のステアリングから車輪までの操舵力伝達経路に設けられる車両用舵角比可変操舵装置を対象とする。
【0009】
そして、上記車両のステアリング側に連結されて該ステアリングの操舵に連動して回転する入力軸と、上記車両の車輪側に連結されて回転によりステアリング操舵力を車輪側に伝達する出力軸とを備え、上記入力軸及び出力軸のいずれか一方の軸には、回転/直線移動を相互に変換可能な移動変換機構を介して、該一方の軸に沿って直線移動可能な直線移動部材が連結され、他方の軸には、該他方の軸に連動して上記一方の軸に垂直な軸回りに回動可能に構成された回転部材が連結されており、上記回転部材及び上記直線移動部材を連動可能に連結するレバー部材を更に備え、上記レバー部材は、その基端部を上記回転部材の回転中心部に回転一体に固定するとともに、該基端部と、該レバー部材及び上記直線移動部材の連結部との距離を、該レバー部材の回転量に拘わらず一定とすることで、該連結部の移動量のうち該直線移動部材の移動方向成分を該レバー部材の回転量の正弦関数とすることによって、上記回転部材の回転量と上記直線移動部材の直線移動量との関係を非線形にするように構成されているものとする。
【0010】
上記の構成により、モータ等を用いずに機械的な構成のみで、ステアリングの操舵角に応じて、該操舵角に対する車輪舵角の比である舵角比を確実に変化させることができる。
【0011】
すなわち、例えば入力軸に直線移動部材が連結され、出力軸に回転部材が連結されている場合において、乗員のステアリング操作(操舵)により入力軸が回転すると、上記移動変換機構により該回転が直線移動に変換され、この結果、直線移動部材が該入力軸に沿って直線移動する。該直線移動は、レバー部材を介して回転部材に伝達されて回転を生じさせる。そして、この回転部材の回転に連動して出力軸が回転することとなる。
【0012】
一方、入力軸に回転部材が連結され、出力軸に直線移動部材が連結されている場合において、乗員のステアリング操作(操舵)により入力軸が回転すると、該入力軸の回転に連動して回転部材が回転する。該回転部材の回転は、レバー部材を介して直線移動部材に伝達されて直線移動を生じさせる。この直線移動部材の直線移動は、移動変換機構により回転に変換されて出力軸に伝達され、この結果、出力軸が回転することとなる。
【0013】
ここで、上記いずれの場合においても、レバー部材は、上記回転部材及び直線移動部材間の移動伝達に際して、レバー部材の基端部と、該レバー部材及び直線移動部材の連結部との距離を、該レバー部材の回転量に拘わらず一定とするように構成されている。つまり、該連結部は、レバー部材の基端部を支点とする円軌道を描いて移動する。このため、該連結部の移動量のうち直線移動部材の移動方向成分(つまり直線移動部材の直線移動量)は、該レバー部材の回転量(つまり回転部材の回転量)の正弦関数となる。
【0014】
従って、回転部材の回転量と、上記直線移動部材の直線移動量との関係を正弦関数を含む非線形な関係とすることができる。よって、直線移動部材の直線移動量に対応する上記一方の軸(入力軸又は出力軸)の回転量と、回転部材の回転量に対応する上記他方の軸(入力軸又は出力軸)の回転量との関係も非線形にすることができて、入力軸の回転量と出力軸の回転量との関係を非線形化することができる。そうして、入力軸の回転量(つまりステアリングの操舵角)に応じて、出力軸の回転量に対する入力軸の回転量の比である入力/出力回転比を変化させ、延いては舵角比を変化させることが可能となる。
【0015】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記レバー部材は、該レバー部材に結合固定された、上記回転部材及び直線移動部材の連結部を構成する結合ピンを介して上記直線移動部材に連結されており、上記直線移動部材は、上記結合ピンが該直線移動部材の直線移動方向を横切る方向にスライドするのを許容するように構成されているものとする。
【0016】
この構成によれば、ステアリングが操舵されると、レバー部材はその基端部を支点として、該レバー部材に結合された結合ピンを直線移動部材に対してその直線移動方向を横切る方向にスライドさせながら回転することとなる。そうして、レバー部材の基端部と、レバー部材及び直線移動部材の連結部である結合ピンとの距離を、レバー部材の回転量に拘わらず確実に一定に保つことができる。よって、請求項1の発明と同様の作用効果を確実に得ることが可能となる。
【0017】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、上記入力軸及び出力軸は同軸に配設されており、上記入力軸及び出力軸に対して平行に配設された中間軸を更に備え、上記回転部材は、上記中間軸の一端部に、回転軸方向を変換可能な回転軸変換機構を介して連結され、上記中間軸の他端部は、遊星歯車機構を介して上記出力軸に連結されているものとする。
【0018】
こうすることで、遊星歯車機構を利用して、入力軸と出力軸とを同軸に配設して装置全体のコンパクト化を図ることができる。また、遊星歯車機構の入力ギヤと出力ギヤの組合せを変更するだけで、入力/出力回転比を容易に変更することができる。
【0019】
請求項4の発明では、車両のステアリングから車輪までの操舵力伝達経路に設けられる車両用舵角比可変操舵装置を対象とする。
【0020】
そして、上記車両のステアリング側に連結されて該ステアリングの操舵に連動して回転する入力軸と、上記車両の車輪側に連結されて回転によりステアリング操舵力を車輪側に伝達する出力軸とを備え、上記入力軸及び出力軸のいずれか一方の軸には、回転/直線移動を相互に変換可能な移動変換機構を介して、該一方の軸に沿って直線移動可能な直線移動部材が連結され、他方の軸には、該他方の軸に連動して上記一方の軸に垂直な軸回りに回動可能に構成された回転部材が連結されており、上記回転部材及び上記直線移動部材を連動可能に連結するレバー部材を更に備え、上記レバー部材は、その基端部を上記回転部材の回転中心部に回転一体に固定するとともに、該レバー部材及び上記直線移動部材の連結部を、該レバー部材の回転に伴って、上記直線移動部材の移動軸である上記一方の軸に沿って移動させることで、該連結部の移動量を該レバー部材の回転量の正接関数とすることによって、上記回転部材の回転量と上記直線移動部材の直線移動量との関係を非線形にするように構成されているものとする。
【0021】
この構成によれば、レバー部材は、上記回転部材及び直線移動部材間の移動伝達に際して、該レバー部材及び該直線移動部材の連結部を、該直線移動部材の移動軸(一方の軸)に沿って移動させるように構成されており、このため、該連結部の移動量(つまり直線移動部材の直線移動量)は、該レバー部材の回転角(つまり回転部材の回転量)の正接関数となる。従って、回転部材の回転量と、上記直線移動部材の直線移動量との関係を正接関数を含む非線形な関係とすることができる。よって、直線移動部材の直線移動量に対応する上記一方の軸(入力軸又は出力軸)の回転量と、回転部材の回転量に対応する上記他方の軸(入力軸又は出力軸)の回転量との関係も非線形にすることができて、入力軸の回転量と出力軸の回転量との関係を非線形化することができる。よって、請求項1の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0022】
請求項5の発明では、請求項4の発明において、上記レバー部材は、上記直線移動部材に結合固定された、上記回転部材及び直線移動部材の連結部を構成する結合ピンを介して該直線移動部材に連結されていて、該レバー部材の回転に伴って、該結合ピンが該レバー部材に対してその延設方向にスライド移動するのを許容するように構成されているものとする。
【0023】
この構成によれば、ステアリングが操舵されると、レバー部材はその基端部(回転部材の中心部)を支点として回転部材と一体で回転し、該回転に伴い、結合ピンは、レバー部材に対してその延設方向に相対的にスライドしながら、直線移動部材と共に直線移動する。そうして、レバー部材及び直線移動部材の連結部である結合ピンを、レバー部材の回転に伴って、該直線移動部材の移動軸である上記一方の軸に沿って確実に移動させることができる。よって、請求項4の発明と同様の作用効果をより一層確実に得ることが可能となる。
【0024】
請求項6の発明では、請求項1乃至5のいずれかの発明において、上記レバー部材は、上記ステアリングの操舵角が大きくなるにしたがって、上記出力軸の回転量に対する上記入力軸の回転量の比を小さくするように、上記直線移動部材及び上記回転部材を連結するよう構成されているものとする。
【0025】
このことにより、ステアリングの操舵角が大きくなるにしたがって、入力軸及び出力軸間の入力/出力回転比が小さくなる。
【0026】
従って、車両の高速走行時等のように、ステアリングの操舵角が小さくなる状況においては、入力軸及び出力軸間の入力/出力回転比を大きくして、ステアリングの舵角変化に対する車両の進路変更特性を鈍らせることで、車両の直進安定性を向上させることができる一方、車庫入れ時等のように、大きなステアリング操舵角が必要とされる状況では、入力/出力回転比を小さくしてステアリングの舵角変化に対する車両の進路変更特性を敏感にすることで、少ないステアリング操作量で車両の進路を確実に変更させることができて、操舵時の取り回し性を向上させることができる。
【0027】
請求項7の発明では、請求項1乃至6のいずれかの発明において、上記移動変換機構は、ボールネジ機構からなるものとする。
【0028】
この構成によれば、移動変換機構による回転/直線移動変換を、高精度に且つ確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明の車両用舵角比可変操舵装置によると、入力軸及び出力軸のいずれか一方の軸に対して、回転/直線移動変換可能な移動変換機構を介して連結される直線移動部材と、他方の軸に対して連動可能に連結される回転部材と、該直線移動部材の直線移動量と該回転部材の回転量との関係が非線形となるように、該両部材同士を連動可能に連結するレバー部材とを備えるようにしたことで、モータ等の電気制御機器を用いずに機械的な構成のみで、ステアリングの操舵角に応じて舵角比を変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る車両用舵角比可変操舵装置としての舵角比可変ユニット1を備えたステアリング装置100を示す。2は車両の乗員により回転操舵されるステアリングホイール(以下、単にステアリングという)であり、このステアリング2の回転運動は、舵角比可変ユニット1の入力軸3から出力軸4に伝達され、さらに該出力軸4から連接シャフト5を経てステアリングギヤボックス7のギヤ入力シャフト6に伝達されて、該ギヤボックス7にて車幅方向の直線運動に変換された後に、ギヤボックス7の車幅方向両側に車幅方向に延びるように配設されたタイロッド8を介して車輪9(操舵輪である前輪)に伝達される。詳しくは、上記ステアリングギヤボックス7は全体として車幅方向に長く、その内部には、図示しないが車幅方向に延びるラックとこれに噛み合うピニオンとが配設されていて、そのピニオンの回転中心部が上記ギヤ入力シャフト6に連結されている。一方、ラックの車幅方向両端部はそれぞれタイロッド8の車両内側の端部に連接され、タイロッド8はナックルアーム10を介して車輪9の車両内側に連結されており、ピニオンの回転によりラック及びタイロッド8が車幅方向に移動し、これにより車輪9が転舵される。尚、舵角比可変ユニット1の出力軸4及び連接シャフト5同士、並びに連接シャフト5及びギヤ入力シャフト6同士は、自在継手11を介して連結されている。
【0032】
上記舵角比可変ユニット1は、ステアリング2から車輪9までの操舵力伝達経路(本実施形態では、ステアリング2に直接結合されるステアリングシャフトに相当する部分)に設けられていて、ステアリング2の操舵角に応じて、出力軸4の回転量に対する入力軸3の回転量の比(入力/出力回転比)を変化させることで、ステアリング2の操舵角に対する車輪舵角の比である舵角比を変化させるものである。
【0033】
具体的には、舵角比可変ユニット1は、図2に示すように、ステアリング2側に連結され(本実施形態では、ステアリング2に直結され)且つ該ステアリング2の操舵(回転操作)に連動して回転する上記入力軸3と、車輪9側(本実施形態では、連接シャフト5)に連結された上記出力軸4と、入力軸3の中間部にボールネジ機構19を介して連結され、該入力軸3の回転によりその軸心(図2のZ軸)方向に直線移動する直線移動部材20と、出力軸4の一端部に回転一体で取付けられた連結ベベルギヤ21と、該連結ベベルギヤ21に噛合して該ベベルギヤ21を介して出力軸4に連動可能に連結された回転部材としての駆動ベベルギヤ23と、駆動ベベルギヤ23と直線移動部材20とを連動可能に連結するレバー部材24と、これらを収容するための収容ボックス25とを備えている。
【0034】
尚、以下の説明では、舵角比可変ユニット1の入力軸3の側を入力側(図2の左側)と定義し、出力軸4の側(図2の右側)を出力側と定義して説明を行う。
【0035】
入力軸3は、収容ボックス25の入力側壁部25bに形成された挿通孔25dに挿通する状態で配設されている。入力軸3の出力側部分には、ボールネジ部3a(ボールネジ機構19)が形成されており、該入力軸3は、ボールネジ部3a該が収容ボックス25内に位置するように配設されている。
【0036】
出力軸4は、収容ボックス25の出力側壁部25aに形成された挿通孔25cに挿通する状態で配設されている。出力軸4は、入力軸3に対して平行に所定距離D(D≠0)を隔てて配設されており、その入力側端部に上記連結ベベルギヤ21が同軸に取付けられている。
【0037】
連結ベベルギヤ21に噛合する駆動ベベルギヤ23は、出力軸4に直交する回転軸22(入力軸3に対して所定距離Dを隔てて垂直に配設された軸22)に対して回動可能に支持されている。
【0038】
直線移動部材20は、入力軸3のボールネジ部3a(ボールネジ機構19)に螺合するボールネジナットからなるものであって、本実施形態では、略円筒状のブロック体からなるものとされている。尚、直線移動部材20は、円筒状に限ったものでないことは言うまでもない。直線移動部材20の外周面には、回転軸22の軸心方向から見て、該移動部材20の直線移動方向(Z軸方向)に直交するように延びるカム溝20aが形成されており、後述するように、カム溝20aには、レバー部材24の先端部に結合された結合ピン26がスライド可能に係合している。
【0039】
レバー部材24は、基端部が上記駆動ベベルギヤ23の中心部に結合される一方、先端部が直線移動部材20に対してその直線移動方向(Z軸方向)に直交する方向にスライド可能に連結されている。具体的には、レバー部材24の先端部には、回転軸22に対して平行に延びる結合ピン26が結合固定されており、レバー部材24の先端部は、結合ピン26を直線移動部材20のカム溝20aにスライド可能に係合させることで、直線移動部材20に対してスライド可能に連結されている。
【0040】
以上のように構成された舵角比可変ユニット1を備えたステアリング装置100のステアリング2をその中立位置(ステアリング2の操舵角が0で、車両が直進する状態に対応する位置)から乗員視で時計回り方向に操舵した場合には、該ステアリング2に直結された入力軸3がU方向に回動し、これに伴って、該入力軸3のボールネジ部3aに螺合する直線移動部材20が初期位置(ステアリング2の操舵角0に対応する位置であって、図2でθw=0°に対応する位置)から一側(本実施形態においては入力側)に向かって直線移動する。この結果、レバー部材24の先端部には、直線移動部材20から結合ピン26を介してP方向の回転トルクが付与され、レバー部材24は、駆動ベベルギヤ23と共に回転軸22回りにP方向に回動する。そうして、駆動ベベルギヤ23のP方向の回動に連動して、駆動ベベルギヤ23に噛合する連結ベベルギヤ21が出力軸4と一体でT方向に回動することとなる。
【0041】
一方、ステアリング2をその中立位置から乗員視で反時計回り方向に操舵した場合には、入力軸3がV方向に回動し、これに伴って、直線移動部材20が初期位置から一側(本実施形態においては出力側)に向かって直線移動する。この結果、レバー部材24の先端部には、直線移動部材20から結合ピン26を介してQ方向の回転トルクが付与され、レバー部材24は、駆動ベベルギア23と共に回転軸22回りにQ方向に回動し、これに連動して、駆動ベベルギヤ23に噛合する連結ベベルギヤ21が出力軸4と一体でS方向に回動することとなる。
【0042】
ここで、入力軸3の中立位置(ステアリング2の操舵角が0に対応する位置)からの回転角(回転量)をθhとすると、直線移動部材20の直線移動量Xは、回転角θhを用いて次式(1)で表すことができる。
【0043】
X=a×θh・・・(1)
式(1)において、aは、ボールネジ部3a(ボールネジ機構19)のリードから決まる定数である。
【0044】
また、レバー部材24の回転中心から結合ピン26(軸心I)までの距離をGとし、レバー部材24の中立位置からの回転角(回転量)をθwとすると、直線移動部材20の直線移動量Xは、幾何学的関係を基に次式(2)で表すことができる。
【0045】
X=G×sinθw・・・(2)
従って、式(1)及び(2)より、θhとθwとの関係は次式(3)で表すことができる。
【0046】
θh=(G/a)×sinθw・・・(3)
また、式(3)より、レバー部材24の回転量に対する入力軸3の回転量の比(=dθh/dθw)は次式(4)で表される。
【0047】
dθh/dθw=(Gcosθw)/a・・・(4)
また、出力軸4の中立位置からの回転角(回転量)θsは、レバー部材24の回転角θwを用いて次式(5)で表される。
【0048】
θs=k×θw・・・(5)
式(5)において、kは、両ベベルギヤ21,23の歯数から決まる回転比であり、本実施形態においては、
k=1・・・(6)
とされている。
【0049】
従って、式(4)乃至(6)より、出力軸の回転量に対する入力軸の回転量の比である入力/出力回転比(=dθh/dθs)は、次式(7)で表される。
【0050】
dθh/dθs=(G/a)cosθw・・・(7)
式(3),(5)及び(6)より、ステアリング2の操舵角(入力軸3の回転角θh)と、出力軸の回転角θsとの関係をグラフ化したものが図3に示すグラフであり、両者(回転角θh及びθs)の関係は、ステアリング2の操舵角(回転角θh)が大きいほど、出力軸4の回転角θsの変化量が大きくなる非線形な関係であることがわかる。
【0051】
従って、入力/出力回転比(=dθh/dθs)は、ステアリング2の操舵角が大きいほど低くなり、このことは、式(3)及び式(7)を基に、ステアリング2の操舵角(入力軸3の回転角θh)と入力/出力回転比との関係をグラフ化した図4からも読み取れる。
【0052】
以上の如く、上記実施形態1では、入力軸3には、直線移動部材20がボールネジ機構19を介して連結されており、出力軸4には、駆動ベベルギヤ23が連結ベベルギヤ21を介して連結されており、駆動ベベルギヤ23は、入力軸3に略垂直な回転軸22に回動可能に支持されている。そして、駆動ベベルギヤ23と直線移動部材20とは、レバー部材24を介して連動可能に連結されている。具体的には、レバー部材24は、その基端部を、駆動ベベルギヤ23の回転中心部に結合固定するとともに、先端部に結合された結合ピン26を直線移動部材20のカム溝20aにスライド可能に係合して、駆動ベベルギヤ23及び直線移動部材20同士を連結している。
【0053】
こうすることで、モータ等の電気制御機器を用いずに機械的な構成のみで、直線移動部材20の直線移動量Xと、駆動ベベルギヤ23の回転角θwとの関係を、式(2)に示す如く、正弦関数(sin関数)を含む非線形な関係とすることができ、これによって、直線移動部材20の直線移動量に対応する入力軸3の回転角θhと、駆動ベベルギヤ23の回転角θwに対応する出力軸4の回転角θsとの関係を非線形にすることができる。具体的には、上述のように、入力軸3の回転角θhが大きいほど(つまりステアリング2の操舵角が大きいほど)、入力/出力回転比(=dθh/dθs)を小さくすることができる。
【0054】
従って、車両の高速走行時等のように、ステアリング2の操舵角が小さくなる状況においては、入力/出力回転比を大きくして、ステアリングの舵角変化に対する車両の進路変更特性を鈍らせることで、車両の直進安定性を向上させることができる一方、車庫入れ時等のように、大きなステアリング操舵角が必要とされる状況では、入力/出力回転比を小さくしてステアリング2の舵角変化に対する車両の進路変更特性を敏感にすることで、少ないステアリング操作量で車両の進路を確実に変更させることができて、操舵時の取り回し性を向上させることができる。
【0055】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2を示し、入力軸3及び出力軸4間の移動伝達機構の構成を上記実施形態1とは異ならせたものである。尚、図2と実質的に同じ構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明を適宜省略する。
【0056】
すなわち、本実施形態2では、回転部材としての駆動ベベルギヤ23は、連結ベベルギヤ21を介して入力軸3に連動可能に連結されており、直線移動部材20は、出力軸4に対してボールネジ機構19を介して連結されて該出力軸4に沿って移動可能になっている。
【0057】
レバー部材24には、その先端部から基端部側に向かって延びる(レバー部材24の延設方向に延びる)長孔24aが形成されている。
【0058】
直線移動部材20の外周面には、駆動ベベルギヤ23の回転軸22と略平行に延びる結合ピン26が突設されており、レバー部材24は、基端部を駆動ベベルギヤ23の中心部に結合固定した状態で、結合ピン26を長孔24aにスライド可能に係合することで、駆動ベベルギヤ23と直線移動部材20とを連動可能に連結している。
【0059】
以上のように構成された舵角比可変ユニット1を備えたステアリング装置100のステアリング2をその中立位置から乗員視で時計回り方向に操舵した場合には、入力軸3が連結ベベルギヤ21と共にU方向に回動し、これに伴って、連結ベベルギヤ21に噛合する駆動ベベルギヤ23がレバー部材24と共にP方向に回動する。そして、該回動に伴って、結合ピン26は、レバー部材24の長孔24aに沿ってH方向にスライドしながら、直線移動部材20と共に入力側に移動する。この直線移動部材20の直線移動は、ボールネジ機構19を介して出力軸4に伝達されてS方向の回転を生じさせる。
【0060】
一方、ステアリング2をその中立位置から乗員視で反時計回り方向に操舵した場合には、入力軸3が連結ベベルギヤ21と共にV方向に回動し、これに伴って、駆動ベベルギヤ23がレバー部材24と共にQ方向に回動する。そして、該回動に伴って、結合ピン26が、レバー部材24の長孔24aに沿ってJ方向にスライドしながら、直線移動部材20と共に入力側に移動する。そうして、直線移動部材20の直線移動は、ボールネジ機構19を介して出力軸4に伝達されてT方向の回転を生じさせる。
【0061】
ここで、直線移動部材20の直線移動量Xは、出力軸4の回転角θsを用いて、次式(8)で表される。
【0062】
X=a×θs・・・(8)
また、幾何学的関係により、直線移動部材20の直線移動量Xは、レバー部材24の回転角θwを用いて次式(9)で表すことができる。
【0063】
X=D×tanθw・・・(9)
ここで、
θw=k×θh・・・(10)
式(10)において、kは、両ベベルギヤ21,23の歯数から決まる回転比であって、本実施形態においては、
k=1・・・(11)
とされている。
【0064】
よって、式(8)乃至(10)より、入力軸3の回転角θhは次式(12)で表される。
【0065】
θh=arctan(a×θs/D)・・・(12)
そうして、式(12)の両辺を、出力軸4の回転角θsで微分して、入力/出力回転比(=dθh/dθs)を次式(13)により算出することができる。
【0066】
dθh/dθs={arctan(a×θs/D)}´・・・(13)
こうして、算出される入力/出力回転比は、実施形態1と同様に、ステアリング2の操舵角が大きいほど低くなる非線形特性を有することとなる。
【0067】
以上の如く上記実施形態2では、駆動ベベルギヤ23は、入力軸3に対して連結ベベルギヤ21を介して連動可能に連結されるとともに、出力軸4に略垂直な回転軸22に回動可能に支持されている。そして、直線移動部材20は、出力軸4に対してボールネジ機構19を介して連結されており、駆動ベベルギヤ23と直線移動部材20とは互いに、レバー部材24を介して連動可能に連結されている。すなわち、レバー部材24は、その基端部を駆動ベベルギヤ23の回転中心部に固定するとともに、直線移動部材20に突設された結合ピン26を長孔24aにスライド可能に係合させることで、駆動ベベルギヤ23及び直線移動部材20同士を連結している。
【0068】
こうすることで、モータ等の電気制御機器を用いずに機械的な構成のみで、直線移動部材20の直線移動量Xと、駆動ベベルギヤ23の回転角θwとの関係を、式(9)に示す如く、正接関数(tan関数)を含む非線形な関係とすることができるとともに、式(13)に示す如く、入力軸3の回転角θhと出力軸4の回転角θsとの関係を、ステアリング2の操舵角(入力軸3の回転角θh)が大きいほど入力/出力回転比が小さくなるような非線形な関係とすることができる。よって、上記実施形態1と同様の作用効果を確実に得ることが可能となる。
【0069】
(実施形態3)
図6は、本発明の実施形態3を示し、入力軸3及び出力軸4の配置、並びに、該入力軸及び出力軸3,4間の移動伝達機構の構成を上記実施形態1とは異ならせたものである。尚、図2と実質的に同じ構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明を適宜省略する。
【0070】
すなわち、本実施形態3では、入力軸3及び出力軸4は同軸上(Z軸上)に配設されており、入力軸3の回転を、直線移動部材20、レバー部材24、ベベルギヤ21,23、中間軸27、及び遊星歯車機構30を介して出力軸4に伝達するようになっている。
【0071】
尚、以下の説明では、ユニット1側面から見て、入力軸3(Z軸)に直交する方向(図6の上下方向)を、ユニット高さ方向と定義し、特に断らない限り、「上側」、「下側」はそれぞれ、ユニット1上側(図6の上側)、ユニット1下側(図6の下側)を意味するものとする。
【0072】
上記中間軸27は、ユニット1側面から見て、入力軸3に対して上下対称に配設されており、各中間軸27はそれぞれ、入力軸3に平行に所定距離D(D≠0)を隔てて配設されている。
【0073】
各中間軸27の入力側端部にはそれぞれ、駆動ベベルギヤ23に噛合する連結ベベルギヤ21が回転一体で同軸に配設されており、駆動ベベルギヤ23は、中間軸27に直交し且つ入力軸3との距離が所定距離Dとなる回転軸22に回動可能に支持されている。
【0074】
ここで、上側の中間軸27に連結された連結ベベルギヤ21は、Z軸方向から見てギヤ面が入力側を向くように配設されており、下側の中間軸27に連結された連結ベベルギヤ21は、Z軸方向から見てギヤ面が出力側を向くように配設されている。
【0075】
各駆動ベベルギヤ23の回転中心部には、上記実施形態1と同様に、レバー部材24の基端部が結合固定されており、レバー部材24の先端部には、回転軸22と平行に延びる結合ピン26が突設され、結合ピン26は、直線移動部材20のカム溝20aにスライド可能に係合している。
【0076】
中間軸27の出力側端部には、ギヤ28が回転一体で取付けられており、ギヤ28は、遊星歯車機構30を構成するリングギヤ31の外周側ギヤ面31aに噛合している。
【0077】
上記遊星歯車機構30は、外周側及び内周側の双方にギヤ面31a,31bが形成された上記リングギヤ31と、出力軸4と同軸に回転一体に連結されたサンギヤ32と、サンギヤ32とリングギヤ31との間に、周方向に等間隔に配設された3つのピニオンギヤ33とを備えている。
【0078】
各ピニオンギヤ33はそれぞれ、サンギヤ32及びリングギヤ31に噛合していて、支持軸35に回動可能に支持されており、各支持軸35は、連結キャリア36(図6参照)を介して入力軸3の出力側端部に結合されている。
【0079】
以上のように構成された舵角比可変ユニット1を備えたステアリング装置100のステアリング2をその中立位置から乗員視で反時計回り方向に操舵した場合には、該ステアリング2に直結された入力軸3がV方向に回動し、これに伴って、該入力軸3のボールネジ部3aに螺合する直線移動部材20が初期位置(ステアリング2の舵角0に対応する位置であって、図6でθw=0°に対応する位置)から一側(本実施形態においては入力側)に向かって直線移動する。
【0080】
この結果、上側のレバー部材24の先端部には、直線移動部材20から結合ピン26を介してP方向の回転トルクが付与され、下側のレバー部材24の先端部には、直線移動部材20から結合ピン26を介してQ方向の回転トルクが付与される。そうして、上側及び下側レバー部材24がそれぞれP方向、Q方向に回動すると、2つの連結ベベルギヤ21がそれぞれ、中間軸27及びギヤ28と共にB方向に回動することとなる。
【0081】
そうして、各ギヤ28がB方向に回動することで、リングギヤ31(図7参照)がM方向に回動し、各ピニオンギヤ33は、支持軸35回りにW方向に自転しながら、サンギヤ32回りをV方向(入力軸3の回転方向と同方向)に回動(公転)し、これによって、サンギヤ32が出力軸4と共にT方向に回動することとなる。
【0082】
一方、ステアリング2をその中立位置から乗員視で時計回り方向に操舵した場合には、入力軸3がU方向に回動し、これによって、直線移動部材20は、上述のステアリング2を反時計回り方向に回動した場合とは逆側(出力側)に移動し、この結果、中間軸27及びギヤ28、並びに、遊星歯車機構30を構成する各ギヤ要素31乃至33が、上述の場合と逆方向に回動して、出力軸4がS方向に回動することとなる。
【0083】
以上の如く上記実施形態3では、入力軸3及び出力軸4は同軸に配設され、舵角比可変ユニット1は、入力軸3及び出力軸4に対して所定距離Dを隔てて平行に配設された中間軸27を備えており、中間軸27の入力側端部は、連結ベベルギヤ21を介して駆動ベベルギヤ23に連結される一方、出力側端部は、ギヤ28及び遊星歯車機構30を介して出力軸4に連結されている。
【0084】
こうすることで、遊星歯車機構30を利用して、入力軸3と出力軸4とを同軸に配設してユニット1全体のコンパクト化を図りつつ、機械的構成のみで、ステアリング2操舵角に対する入力/出力回転比を変化させて上記実施形態1と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【0085】
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記各実施形態において、入力軸3と出力軸4とを逆にする、つまり上記各実施形態の入力軸3とされる軸を出力軸として車輪9側に連結して、出力軸4とされる軸を入力軸としてステアリング2側に連結するようにしてもよい。この場合には、図3に示す、ステアリング2の操舵角と出力軸4の出力角θsとの関係が逆になる。つまり、ステアリング2の操舵角が増加するにしたがって、入力/出力回転比が大きくなる。こうすることで、高速走行時(直進時)のようにステアリング操舵角が小さい状況では、ステアリング2の操舵感を重たくして直進時における乗員の安心感を増すことができる一方、車庫入れ時等のように、大きな操舵角が必要とされる状況では、ステアリング2を軽い力で操作(操舵)することができる。
【0086】
また、上記各実施形態では、入力軸3及び出力軸4は互いに平行とされているが、必ずしも平行である必要はない。
【0087】
また、上記実施形態1では、レバー部材24の先端部は、直線移動部材20に対してその直線移動方向に垂直な方向にスライド可能になっているが、必ずしも垂直方向にスライドさせる必要はない。
【0088】
また、上記実施形態3では、レバー部材24を入力軸3の上下両側に設けるようにしているが、これに限ったものではなく、例えば片側にのみ設けるようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態3では、入力軸3は、遊星歯車機構30のピニオンギヤ33に連結された連結キャリア36に連結されているが、これに限ったものではなく、例えば、入力軸3と連結キャリア36とを連結せずに、連結キャリア36を収容ボックス25に固定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、車両用舵角比可変操舵装置に有用であり、特にステアリングに連結される入力軸と車輪側に連結される出力軸とを有する車両用舵角比可変操舵装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用舵角比可変操舵装置を備えたステアリング装置を車両前方斜め左側から見た斜視図である。
【図2】実施形態1に係る車両用舵角比可変操舵装置を示す、図1のII-II線断面図である。
【図3】ステアリング操舵角と出力軸の回転角との関係を示すグラムである。
【図4】ステアリング操舵角に対する入力/出力回転比の変化を示すグラフである。
【図5】実施形態2を示す、図2相当図である。
【図6】実施形態3を示す、図3相当図である。
【図7】図6のVII方向矢視図である。
【符号の説明】
【0092】
1 舵角比可変ユニット(舵角比可変操舵装置)
2 ステアリング
3 入力軸
3a ボールネジ部(移動変換機構)
4 出力軸
9 車輪
19 ボールネジ機構(移動変換機構)
20 直線移動部材
21 連結ベベルギヤ(回転軸変換機構)
22 回転軸(一方の軸に垂直な軸)
23 駆動ベベルギヤ(回転部材)
24 レバー部材
26 結合ピン(連結部)
27 中間軸
30 遊星歯車機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングから車輪までの操舵力伝達経路に設けられる車両用舵角比可変操舵装置であって、
上記車両のステアリング側に連結されて該ステアリングの操舵に連動して回転する入力軸と、
上記車両の車輪側に連結されて回転によりステアリング操舵力を車輪側に伝達する出力軸とを備え、
上記入力軸及び出力軸のいずれか一方の軸には、回転/直線移動を相互に変換可能な移動変換機構を介して、該一方の軸に沿って直線移動可能な直線移動部材が連結され、他方の軸には、該他方の軸に連動して上記一方の軸に垂直な軸回りに回動可能に構成された回転部材が連結されており、
上記回転部材及び上記直線移動部材を連動可能に連結するレバー部材を更に備え、
上記レバー部材は、その基端部を上記回転部材の回転中心部に回転一体に固定するとともに、該基端部と、該レバー部材及び上記直線移動部材の連結部との距離を、該レバー部材の回転量に拘わらず一定とすることで、該連結部の移動量のうち該直線移動部材の移動方向成分を該レバー部材の回転量の正弦関数とすることによって、上記回転部材の回転量と上記直線移動部材の直線移動量との関係を非線形にするよう構成されていることを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用舵角比可変操舵装置において、
上記レバー部材は、該レバー部材に結合固定された、上記回転部材及び直線移動部材の連結部を構成する結合ピンを介して上記直線移動部材に連結されており、
上記直線移動部材は、上記結合ピンが該直線移動部材の直線移動方向を横切る方向にスライドするのを許容するように構成されていることを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両用舵角比可変操舵装置において、
上記出力軸は上記入力軸の延長線上に同軸に配設されており、
上記入力軸及び出力軸に対して平行に配設された中間軸を更に備え、
上記回転部材は、上記中間軸の一端部に、回転軸方向を変換可能な回転軸変換機構を介して連結され、
上記中間軸の他端部は、遊星歯車機構を介して上記出力軸に連結されていることを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。
【請求項4】
車両のステアリングから車輪までの操舵力伝達経路に設けられる車両用舵角比可変操舵装置であって、
上記車両のステアリング側に連結されて該ステアリングの操舵に連動して回転する入力軸と、
上記車両の車輪側に連結されて回転によりステアリング操舵力を車輪側に伝達する出力軸とを備え、
上記入力軸及び出力軸のいずれか一方の軸には、回転/直線移動を相互に変換可能な移動変換機構を介して、該一方の軸に沿って直線移動可能な直線移動部材が連結され、他方の軸には、該他方の軸に連動して上記一方の軸に垂直な軸回りに回動可能に構成された回転部材が連結されており、
上記回転部材及び上記直線移動部材を連動可能に連結するレバー部材を更に備え、
上記レバー部材は、その基端部を上記回転部材の回転中心部に回転一体に固定するとともに、該レバー部材及び上記直線移動部材の連結部を、該レバー部材の回転に伴って、上記直線移動部材の移動軸である上記一方の軸に沿って移動させることで、該連結部の移動量を該レバー部材の回転量の正接関数とすることによって、上記回転部材の回転量と上記直線移動部材の直線移動量との関係を非線形にするよう構成されていることを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。
【請求項5】
請求項4記載の車両用舵角比可変操舵装置において、
上記レバー部材は、上記直線移動部材に結合固定された、上記回転部材及び直線移動部材の連結部を構成する結合ピンを介して該直線移動部材に連結されていて、該レバー部材の回転に伴って、該結合ピンが該レバー部材に対してその延設方向にスライド移動するのを許容するように構成されていることを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両用舵角比可変操舵装置において、
上記レバー部材は、上記ステアリングの操舵角が大きくなるにしたがって、上記出力軸の回転量に対する上記入力軸の回転量の比を小さくするように、上記回転部材及び上記直線移動部材を連結するよう構成されていることを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の車両用舵角比可変操舵装置において、
上記移動変換機構は、ボールネジ機構からなることを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−208613(P2009−208613A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53497(P2008−53497)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】