車両用部品
【課題】従来の車両用部品では有色が得られない点にある。
【解決手段】車両用部品1は、合成樹脂の基材2と、合成樹脂の基材2の表面に形成された第1密着膜3と、第1密着膜3の表面に形成された反射膜4と、反射膜4に表面に形成された保護膜5と、保護膜5の表面に形成された第2密着膜6と、第2密着膜6の表面に形成された有色塗膜7と、から構成されている。この結果、この車両用部品1は、第2密着層6に有色塗膜7が形成されるので、有色が得られる。また、この車両用部品1は、第1密着膜3および第2密着膜6により、有色塗膜7が合成樹脂の基材2から剥がれず、耐久性がよい。
【解決手段】車両用部品1は、合成樹脂の基材2と、合成樹脂の基材2の表面に形成された第1密着膜3と、第1密着膜3の表面に形成された反射膜4と、反射膜4に表面に形成された保護膜5と、保護膜5の表面に形成された第2密着膜6と、第2密着膜6の表面に形成された有色塗膜7と、から構成されている。この結果、この車両用部品1は、第2密着層6に有色塗膜7が形成されるので、有色が得られる。また、この車両用部品1は、第1密着膜3および第2密着膜6により、有色塗膜7が合成樹脂の基材2から剥がれず、耐久性がよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、合成樹脂の基材に有色塗料を施してなる車両用部品であって、たとえば、リフレクタ、インナーパネル、エクステンション、化粧板、ハウジングなどの車両用部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用部品は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、この車両用部品について説明する。なお、括弧つきの符号は、特許文献1にそれぞれ対応する。この車両用部品である反射基板(1)は、合成樹脂製の基板(2)と、前記基板(2)の表面に形成されたチタンやクロムからなる中間層(6)と、前記中間層(6)の表面に形成されたアルミニウムや銀からなる反射膜(4)と、前記反射膜(4)の表面に形成された膜厚200〜300nmのプラズマ重合膜の保護膜(5)と、から構成されているものである。この車両用部品は、量産性がよく、製造コストを安価にすることができる。また、この車両用部品は、前記保護膜(5)にスモーク色を付加すれば、スモーク色が得られる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−133613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、前記の車両用部品の改良にかかるものであって、この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用部品では有色が得られない点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明(請求項1にかかる発明)は、合成樹脂の基材と、合成樹脂の基材の表面に形成された第1密着膜と、第1密着膜の表面に形成された反射膜と、反射膜に表面に形成された保護膜と、保護膜の表面に形成された第2密着膜と、第2密着膜の表面に形成された有色塗膜と、から構成されている、ことを特徴とする。
【0006】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、合成樹脂の基材がポリカーボネートやシクロオレフィンポリマーからなり、第1密着膜がクロムやチタンをスパッタもしくは蒸着により形成されており、反射膜がアルミニウムや銀をスパッタもしくは蒸着により形成されており、保護膜がプラズマ重合膜からなり、第2密着膜が親水処理膜やプラズマ処理層からなり、有色塗膜がアクリル系やウレタン系の塗膜からなる、ことを特徴とする。
【0007】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、第1密着膜の膜厚が2〜5nmであり、保護膜の膜厚が2〜10nmであり、有色塗膜の膜厚が5〜20μmである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用部品は、第2密着層に有色塗膜が形成されるので、有色が得られる。しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用部品は、第1密着膜および第2密着膜により、有色塗膜が合成樹脂の基材から剥がれず、耐久性がよい。
【0009】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用部品は、ポリカーボネートやシクロオレフィンポリマーとアルミニウムや銀との密着性が非常によいクロムやチタンの第1密着膜により、反射膜が合成樹脂性の基材に密着し、かつ、アクリル系やウレタン系の塗膜が撥水性のプラズマ重合膜に非常によく密着するために保護膜に親水処理膜やプラズマ処理層からなる第2密着膜を形成することにより、有色塗膜が反射膜に形成された保護膜に密着する。この結果、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用部品は、有色塗膜と合成樹脂基材との密着性が非常によい。
【0010】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用部品は、第1密着膜の膜厚を2〜5nmに、保護膜の膜厚を2〜10nmに、有色塗膜の膜厚を5〜20μmにすることにより、有色塗膜をムラ無く均一に塗布することができ、しかも、有色塗料と合成樹脂基材との密着性が日本工業規格JIS K 5600−5−6:1999(ISO 2409:1992)の試験による付着性能を満足することができる。すなわち、試験結果の評価において、表1「試験結果の分類」中の「0」分類を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明にかかる車両用部品の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。なお、図面中の基材の厚さや膜厚は、実際のものと異なって図示されている。
【実施例】
【0012】
図1は、この発明にかかる車両用部品の実施例を示す。以下、この実施例における車両用部品の構成について説明する。図中、符号1は、この実施例における車両用部品ある。前記車両用部品1は、図1に示すように、合成樹脂の基材2と、前記合成樹脂の基材2の表面に形成された第1密着膜3と、前記第1密着膜3の表面に形成された反射膜4と、前記反射膜4に表面に形成された保護膜5と、前記保護膜5の表面に形成された第2密着膜6と、前記第2密着膜6の表面に形成された有色塗膜7と、から構成されているものである。
【0013】
前記合成樹脂の基材2は、リフレクタ、インナーパネル、エクステンション、化粧板、ハウジングなどの車両用部品の基材であって、この例では、ポリカーボネート(PC)やシクロオレフィンポリマー(COP)などからなるものである。
【0014】
前記第1密着膜3は、この例では、クロムやチタンをスパッタもしくは蒸着により形成されてなるものであり、前記第1密着膜の膜厚は、2〜5nmである。
【0015】
前記反射膜4は、この例では、アルミニウムや銀をスパッタもしくは蒸着により形成されてなるものであり、前記反射膜4の膜厚は、約100nmである。
【0016】
前記保護膜5は、この例では、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)などのモノマーをプラズマ重合されてなるものであり、前記保護膜5の膜厚は、2〜10nmである。
【0017】
前記第2密着膜6は、この例では、撥水性のプラズマ重合膜の前記保護膜5の表面を親水処理してなる親水化の親水処理膜やプラズマ処理層からなるものである。
【0018】
前記有色塗膜7は、この例では、アクリル系(アクリルやアクリルシリコーン)やウレタン系(ウレタンやウレタンシリコーン)の塗膜からなるものであり、前記有色塗膜7の膜厚は、5〜20μmである。
【0019】
つぎに、この実施例における車両用部品の製造工程について説明する。まず、成形工程において、合成樹脂の基材2を成形する。
【0020】
つぎに、真空工程において、真空中で、合成樹脂の基材2の表面にクロムやチタンをスパッタもしくは蒸着して膜厚が2〜5nmの第1密着膜3を形成する。つづいて、真空中で、第1密着膜3の表面にアルミニウムや銀をスパッタもしくは蒸着して膜厚が約100nmの反射膜4を形成する。
【0021】
また、RFやDCの電源を用い、プラズマ中(プラズマ真空中)で、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)などのモノマー(モノマーガス)を導入してプラズマ重合を行って、反射膜4の表面にプラズマ重合膜を析出させて膜厚が2〜10nmの保護膜5を形成する。さらに、同様に、プラズマ中で、大気やエアーまたはアルゴン(アルゴンガス)を導入して保護膜5の表面を親水処理し、保護膜5の表面に第2密着膜6を形成する。
【0022】
そして、塗装と乾燥工程において、第2密着膜6の表面にアクリル系(アクリルやアクリルシリコーン)やウレタン系(ウレタンやウレタンシリコーン)の塗料を用いて塗装を施して膜厚が5〜20μmの塗膜7を形成する。つづけて、塗膜7を乾燥させる。これにより、この実施例における車両用部品1が製造される。ここで、塗装工程において、マスクを用いることにより、塗膜7を部分的に形成することができる。なお、図中の符号8および二点鎖線にしめすように、マスクを用いずに塗膜7および8を全体に形成してもよい。
【0023】
この実施例における車両用部品1は、上記のごとき構成からなり、以下、この実施例における車両用部品1の作用効果について説明する。
【0024】
この実施例における車両用部品1は、第2密着層6に有色塗膜7が形成されるので、有色が得られる。これにより、この実施例における車両用部品1は、見栄えなどの意匠性が向上される。特に、この実施例のように、マスクを用いて有色塗膜を形成すれば、さらに意匠性が向上される。しかも、反射膜4により、金属光沢感が得られる。その上、有色塗膜7および8にスモーク有色を用いることによりスモーク有色が得られる。
【0025】
また、この実施例における車両用部品1は、第1密着膜3および第2密着膜6により、有色塗膜7が合成樹脂の基材2から剥がれず、耐久性がよい。以下、この実施例における車両用部品1における試験結果の評価について説明する。この試験は、日本工業規格JIS K 5600−5−6:1999(ISO 2409:1992)、すなわち、塗料一般試験方法−第5部:堵膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)によるものである。この試験結果の評価は、表1「試験結果の分類」中の「0」分類を得ることができた。これにより、この実施例における車両用部品1は、有色塗膜7が合成樹脂の基材2から剥がれないものである。
【0026】
さらに、この実施例における車両用部品1は、成形工程で合成樹脂の基材2を形成し、真空工程で第1密着膜3および反射膜4および保護膜5および第2密着膜6を形成し、塗装乾燥工程で有色塗膜7を形成するものである。このために、この実施例における車両用部品1は、成形工程と、真空工程と、塗装乾燥工程との3工程で構成されるので、成形設備と、真空設備と、塗装乾燥設備との少なくとも3設備で製造可能である。この結果、この実施例における車両用部品1は、製造コストを安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明にかかる車両用部品の実施例を示す模擬断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 車両用部品
2 合成樹脂の基材
3 第1密着膜
4 反射膜
5 保護膜
6 第2密着膜
7 塗膜
8 マスクを用いない場合の塗膜
【技術分野】
【0001】
この発明は、合成樹脂の基材に有色塗料を施してなる車両用部品であって、たとえば、リフレクタ、インナーパネル、エクステンション、化粧板、ハウジングなどの車両用部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用部品は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、この車両用部品について説明する。なお、括弧つきの符号は、特許文献1にそれぞれ対応する。この車両用部品である反射基板(1)は、合成樹脂製の基板(2)と、前記基板(2)の表面に形成されたチタンやクロムからなる中間層(6)と、前記中間層(6)の表面に形成されたアルミニウムや銀からなる反射膜(4)と、前記反射膜(4)の表面に形成された膜厚200〜300nmのプラズマ重合膜の保護膜(5)と、から構成されているものである。この車両用部品は、量産性がよく、製造コストを安価にすることができる。また、この車両用部品は、前記保護膜(5)にスモーク色を付加すれば、スモーク色が得られる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−133613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、前記の車両用部品の改良にかかるものであって、この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用部品では有色が得られない点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明(請求項1にかかる発明)は、合成樹脂の基材と、合成樹脂の基材の表面に形成された第1密着膜と、第1密着膜の表面に形成された反射膜と、反射膜に表面に形成された保護膜と、保護膜の表面に形成された第2密着膜と、第2密着膜の表面に形成された有色塗膜と、から構成されている、ことを特徴とする。
【0006】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、合成樹脂の基材がポリカーボネートやシクロオレフィンポリマーからなり、第1密着膜がクロムやチタンをスパッタもしくは蒸着により形成されており、反射膜がアルミニウムや銀をスパッタもしくは蒸着により形成されており、保護膜がプラズマ重合膜からなり、第2密着膜が親水処理膜やプラズマ処理層からなり、有色塗膜がアクリル系やウレタン系の塗膜からなる、ことを特徴とする。
【0007】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、第1密着膜の膜厚が2〜5nmであり、保護膜の膜厚が2〜10nmであり、有色塗膜の膜厚が5〜20μmである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用部品は、第2密着層に有色塗膜が形成されるので、有色が得られる。しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用部品は、第1密着膜および第2密着膜により、有色塗膜が合成樹脂の基材から剥がれず、耐久性がよい。
【0009】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用部品は、ポリカーボネートやシクロオレフィンポリマーとアルミニウムや銀との密着性が非常によいクロムやチタンの第1密着膜により、反射膜が合成樹脂性の基材に密着し、かつ、アクリル系やウレタン系の塗膜が撥水性のプラズマ重合膜に非常によく密着するために保護膜に親水処理膜やプラズマ処理層からなる第2密着膜を形成することにより、有色塗膜が反射膜に形成された保護膜に密着する。この結果、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用部品は、有色塗膜と合成樹脂基材との密着性が非常によい。
【0010】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用部品は、第1密着膜の膜厚を2〜5nmに、保護膜の膜厚を2〜10nmに、有色塗膜の膜厚を5〜20μmにすることにより、有色塗膜をムラ無く均一に塗布することができ、しかも、有色塗料と合成樹脂基材との密着性が日本工業規格JIS K 5600−5−6:1999(ISO 2409:1992)の試験による付着性能を満足することができる。すなわち、試験結果の評価において、表1「試験結果の分類」中の「0」分類を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明にかかる車両用部品の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。なお、図面中の基材の厚さや膜厚は、実際のものと異なって図示されている。
【実施例】
【0012】
図1は、この発明にかかる車両用部品の実施例を示す。以下、この実施例における車両用部品の構成について説明する。図中、符号1は、この実施例における車両用部品ある。前記車両用部品1は、図1に示すように、合成樹脂の基材2と、前記合成樹脂の基材2の表面に形成された第1密着膜3と、前記第1密着膜3の表面に形成された反射膜4と、前記反射膜4に表面に形成された保護膜5と、前記保護膜5の表面に形成された第2密着膜6と、前記第2密着膜6の表面に形成された有色塗膜7と、から構成されているものである。
【0013】
前記合成樹脂の基材2は、リフレクタ、インナーパネル、エクステンション、化粧板、ハウジングなどの車両用部品の基材であって、この例では、ポリカーボネート(PC)やシクロオレフィンポリマー(COP)などからなるものである。
【0014】
前記第1密着膜3は、この例では、クロムやチタンをスパッタもしくは蒸着により形成されてなるものであり、前記第1密着膜の膜厚は、2〜5nmである。
【0015】
前記反射膜4は、この例では、アルミニウムや銀をスパッタもしくは蒸着により形成されてなるものであり、前記反射膜4の膜厚は、約100nmである。
【0016】
前記保護膜5は、この例では、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)などのモノマーをプラズマ重合されてなるものであり、前記保護膜5の膜厚は、2〜10nmである。
【0017】
前記第2密着膜6は、この例では、撥水性のプラズマ重合膜の前記保護膜5の表面を親水処理してなる親水化の親水処理膜やプラズマ処理層からなるものである。
【0018】
前記有色塗膜7は、この例では、アクリル系(アクリルやアクリルシリコーン)やウレタン系(ウレタンやウレタンシリコーン)の塗膜からなるものであり、前記有色塗膜7の膜厚は、5〜20μmである。
【0019】
つぎに、この実施例における車両用部品の製造工程について説明する。まず、成形工程において、合成樹脂の基材2を成形する。
【0020】
つぎに、真空工程において、真空中で、合成樹脂の基材2の表面にクロムやチタンをスパッタもしくは蒸着して膜厚が2〜5nmの第1密着膜3を形成する。つづいて、真空中で、第1密着膜3の表面にアルミニウムや銀をスパッタもしくは蒸着して膜厚が約100nmの反射膜4を形成する。
【0021】
また、RFやDCの電源を用い、プラズマ中(プラズマ真空中)で、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)などのモノマー(モノマーガス)を導入してプラズマ重合を行って、反射膜4の表面にプラズマ重合膜を析出させて膜厚が2〜10nmの保護膜5を形成する。さらに、同様に、プラズマ中で、大気やエアーまたはアルゴン(アルゴンガス)を導入して保護膜5の表面を親水処理し、保護膜5の表面に第2密着膜6を形成する。
【0022】
そして、塗装と乾燥工程において、第2密着膜6の表面にアクリル系(アクリルやアクリルシリコーン)やウレタン系(ウレタンやウレタンシリコーン)の塗料を用いて塗装を施して膜厚が5〜20μmの塗膜7を形成する。つづけて、塗膜7を乾燥させる。これにより、この実施例における車両用部品1が製造される。ここで、塗装工程において、マスクを用いることにより、塗膜7を部分的に形成することができる。なお、図中の符号8および二点鎖線にしめすように、マスクを用いずに塗膜7および8を全体に形成してもよい。
【0023】
この実施例における車両用部品1は、上記のごとき構成からなり、以下、この実施例における車両用部品1の作用効果について説明する。
【0024】
この実施例における車両用部品1は、第2密着層6に有色塗膜7が形成されるので、有色が得られる。これにより、この実施例における車両用部品1は、見栄えなどの意匠性が向上される。特に、この実施例のように、マスクを用いて有色塗膜を形成すれば、さらに意匠性が向上される。しかも、反射膜4により、金属光沢感が得られる。その上、有色塗膜7および8にスモーク有色を用いることによりスモーク有色が得られる。
【0025】
また、この実施例における車両用部品1は、第1密着膜3および第2密着膜6により、有色塗膜7が合成樹脂の基材2から剥がれず、耐久性がよい。以下、この実施例における車両用部品1における試験結果の評価について説明する。この試験は、日本工業規格JIS K 5600−5−6:1999(ISO 2409:1992)、すなわち、塗料一般試験方法−第5部:堵膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)によるものである。この試験結果の評価は、表1「試験結果の分類」中の「0」分類を得ることができた。これにより、この実施例における車両用部品1は、有色塗膜7が合成樹脂の基材2から剥がれないものである。
【0026】
さらに、この実施例における車両用部品1は、成形工程で合成樹脂の基材2を形成し、真空工程で第1密着膜3および反射膜4および保護膜5および第2密着膜6を形成し、塗装乾燥工程で有色塗膜7を形成するものである。このために、この実施例における車両用部品1は、成形工程と、真空工程と、塗装乾燥工程との3工程で構成されるので、成形設備と、真空設備と、塗装乾燥設備との少なくとも3設備で製造可能である。この結果、この実施例における車両用部品1は、製造コストを安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明にかかる車両用部品の実施例を示す模擬断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 車両用部品
2 合成樹脂の基材
3 第1密着膜
4 反射膜
5 保護膜
6 第2密着膜
7 塗膜
8 マスクを用いない場合の塗膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂の基材に有色塗料を施してなる車両用部品において、
前記合成樹脂の基材と、
前記合成樹脂の基材の表面に形成された第1密着膜と、
前記第1密着膜の表面に形成された反射膜と、
前記反射膜に表面に形成された保護膜と、
前記保護膜の表面に形成された第2密着膜と、
前記第2密着膜の表面に形成された有色塗膜と、
から構成されている、ことを特徴とする車両用部品。
【請求項2】
前記合成樹脂の基材は、ポリカーボネートやシクロオレフィンポリマーからなり、
前記第1密着膜は、クロムやチタンをスパッタもしくは蒸着により形成されており、
前記反射膜は、アルミニウムや銀をスパッタもしくは蒸着により形成されており、
前記保護膜は、プラズマ重合膜からなり、
前記第2密着膜は、親水処理膜からなり、
前記有色塗膜は、アクリル系やウレタン系の塗膜からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用部品。
【請求項3】
前記第1密着膜の膜厚は、2〜5nmであり、
前記保護膜の膜厚は、2〜10nmであり、
前記有色塗膜の膜厚は、5〜20μmである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用部品。
【請求項1】
合成樹脂の基材に有色塗料を施してなる車両用部品において、
前記合成樹脂の基材と、
前記合成樹脂の基材の表面に形成された第1密着膜と、
前記第1密着膜の表面に形成された反射膜と、
前記反射膜に表面に形成された保護膜と、
前記保護膜の表面に形成された第2密着膜と、
前記第2密着膜の表面に形成された有色塗膜と、
から構成されている、ことを特徴とする車両用部品。
【請求項2】
前記合成樹脂の基材は、ポリカーボネートやシクロオレフィンポリマーからなり、
前記第1密着膜は、クロムやチタンをスパッタもしくは蒸着により形成されており、
前記反射膜は、アルミニウムや銀をスパッタもしくは蒸着により形成されており、
前記保護膜は、プラズマ重合膜からなり、
前記第2密着膜は、親水処理膜からなり、
前記有色塗膜は、アクリル系やウレタン系の塗膜からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用部品。
【請求項3】
前記第1密着膜の膜厚は、2〜5nmであり、
前記保護膜の膜厚は、2〜10nmであり、
前記有色塗膜の膜厚は、5〜20μmである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用部品。
【図1】
【公開番号】特開2006−222037(P2006−222037A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36454(P2005−36454)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】
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