説明

車両組み込み型車載器

【課題】車載器筐体を伝った水滴が当該筐体内に浸入することを簡単な構成で且つ確実に防止する。
【解決手段】下ケース3及び上ケース4における後部を、上ケース4の両側板部4c、4dの下端が下ケース3の両側板部3b、3cの上端の外側に嵌合する外側嵌合部5Aとし、上ケース4の上面後端部に上方へ立ち上がるリブ8を形成し、リブ8の幅寸法はコネクタ用開口部の幅寸法より大きく且つ両端部が外側嵌合部5Aの上方部に対応する位置まで延びる寸法とし、上ケース4上面においてリブ8の無い部分で外側嵌合部5A方向への水滴の流れを許容する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に組み込まれるETC車載器やDSRC車載器などの車両組み込み型車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
ETC(登録商標:Electronic Toll Collection System)車載器やDSRC(登録商標:Dedicated Short Range Communication)車載器など車両に組み込まれる車両組み込み型(いわゆるビルトインタイプ)車載器は、その大部分が車両のインストルメントパネル(以下インパネという)の内部に組み込まれ、車載器において操作部やカード挿入口がある前面部をインパネの開口部から外部に覗かせる構成とされている。
この場合、車載器は、操作性などを考慮して、やや後ろ下がりの傾斜形態に取付けられる。又、前記インパネ内部には、その上方部にエアコンダクト等があって水滴が発生する環境にあることも多い。この場合、その水滴が車載器に直接もしくはインパネ面を伝って滴下することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−221765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、前記車載器は、その筐体の内部後部にコネクタを備えており、このコネクタはそのコネクタ接続部が前記筐体の後面の開口から外部に臨んでおり、この筐体上面に前記水滴が滴下すると、前記傾斜によって当該筐体後面まで水滴が流れ、前記後面の開口から筐体内部つまり車載器内部に浸入しショートなどの不具合が発生するおそれがある。
【0005】
又、前記筐体は下ケースと上ケースとを嵌合して構成されており、前記開口のみならず、この筐体後面における下ケースと上ケースとの嵌合部から筐体内部に水が浸入しないようにする必要もある。さらに、水浸入防止を図るにも構造の複雑化及びコスト高は避ける必要がある。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車載器筐体を伝った水滴が当該筐体内に浸入することを簡単な構成で且つ確実に防止することができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の車両組み込み型車載器においては、筐体の下ケース及び上ケースにおける後部を、上ケースの両側板部の下端が下ケースの両側板部の上端の外側に嵌合する外側嵌合部とし、前記上ケースの上面後端部に上方へ立ち上がるリブを形成し、当該リブの幅寸法は前記コネクタ用開口部の幅寸法より大きく且つ両端部が前記後部の外側嵌合部の上方部に対応する位置まで延びる寸法とし、前記上ケース上面において当該リブの無い部分で前記後部の外側嵌合部方向への水滴の流れを許容する構成とした。
【0007】
これによれば、上ケースに滴下した水滴は、当該筐体の傾斜によって後方へ流れるが、筐体後面のコネクタ用開口部の幅寸法よりも大きなリブが上ケースの上面後端部に存在するから、前記水滴がこのリブによってそのまま流下することを阻止できて当該コネクタ用開口部から筐体内部に水が浸入することを防止できる。
【0008】
この場合、このリブによって流下が阻止された水滴は、リブ両端から該リブの無い部分を通って流下するが、このリブの幅寸法を、リブ両端部が前記後部の外側嵌合部の上方部に対応する位置まで延びる寸法とすることで上ケース上面において当該リブの無い部分で前記後部の外側嵌合部方向への水滴の流れを許容する構成としているから、前記リブで阻止された水を下ケース及び上ケースにおいて前記外側嵌合部から逃がす(流下させる)ことができ、この下ケースと上ケースとの嵌合部分でも筐体内への水浸入を防止することができ、総じて、筐体内つまり車載器内への水の浸入を防止できる。
【0009】
しかも、筐体にリブを設けると共に、筐体後部における上下両ケースの嵌合構造を外側嵌合構造とする程度の構成であるから、構造も簡単であってコスト高を抑制できる。
ここで、下ケース及び上ケースを嵌合させて筐体を構成する場合、上述したように筐体後部を外側嵌合部としたことで、全周を外側嵌合部とするのが一般的であるが、車両組み込み型車載器では、振動などに強い構造が要求されるもので、この全周外側嵌合部とするのは強度上不向きである。
【0010】
この点を考慮した請求項2においては、さらに、前記下ケース及び上ケースにおける前部を、上ケースの両側板部下端が下ケースの両側板部上端の外側に嵌合する外側嵌合部とし、前記後部の外側嵌合部と当該前部の外側嵌合部との間の中間部を、上ケースの両側板部下端が下ケースの両側板部上端の内側に嵌合する内側嵌合部とすることで、強度を向上させることができる。
【0011】
この場合、後部の外側嵌合部を流下した水のごく一部が毛細管現象によって内側嵌合部に浸入するおそれがある。この点、この請求項2では、当該内側嵌合部において、上ケースの両側板部下端の外面間寸法に対して下ケースの両側板部上端の内面間寸法を小とし、当該下ケースの両側板部が拡開した状態で前記上ケースに嵌合する構成としたから、下ケースの両側板部上端と上ケースの両側板部下端とが圧接状態に嵌合し、これにより、この内側嵌合部に毛細管現象で水が浸入する隙間がなく、当該内側嵌合部から筐体内部へ水が浸入することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態によるETC車載器を後方から見た斜視図
【図2】ETC車載器を前方から見た斜視図
【図3】ETC車載器をインパネに組み込んだ縦断側面図
【図4】ETC車載器の背面図
【図5】ETC車載器を前方から見た分解斜視図
【図6】ETC車載器を後方から見た分解斜視図
【図7】ETC車載器を後方から見た分解状態での背面図
【図8】図1のR−R線での縦断面図
【図9】図1のS−S線での縦断面図
【図10】後側の係止部分での縦断面図
【図11】前側の係止部分での縦断面図
【図12】下ケース及び上ケースの幅寸法関係を説明するための部分的縦断面図
【図13】リブの高さとETC車載器の許容搭載角度との関係を示す図
【図14】第2の実施形態を示す図2相当図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施形態について図1ないし図13を参照して説明する。図1及び図2に示すように、この実施形態では、車両組み込み型車載器として車両組み込み型ETC車載器1(以下単にETC車載器1という)を示している。このETC車載器1は、後述するが、図3に示すように、車両のインパネ(インストルメントパネル)14に傾斜角度5°〜12°で後ろ下がり形態に配設されている。
【0014】
このETC車載器1の筐体2は、図1及び図2に示すように、下ケース3と上ケース4とを嵌合して構成されている。この筐体2の前面にはETCカード挿入口2a及びイジェクタボタン用孔部2bが形成され、また、後面には第1のコネクタ用開口部2c、及び第2のコネクタ用開口部2dが並んで形成されている。
下ケース3は、図5及び図6に示すように、底板部3aと、左側板部3b、右側板部3cと、後板部3dとを有して構成されており、上面及び前面が開放している。そして、後板部3dには前記第1のコネクタ用開口部2cの下縁部を構成する片部3e及び第2のコネクタ用開口部2dの下縁部を構成する片部3fが形成されている。
【0015】
さらに、この下ケース3の左側板部3bの後部から後板部3dさらに右側板部3cの後部の領域Ea(前記片部3e、3fは除く)にかけて、後側の外側嵌合部5A(図1及び図8にも図示)の一方部分を構成する嵌合内板部3gが形成されている。この嵌合内板部3gは、上記領域Eaにおける各板部3b、3d、3cの上端部の内側部分を上方へ突出した形態となるように形成されている。
【0016】
又、下ケース3の左側板部3bの前部(領域Eb1)及び右側板部3cの前部(領域Eb2)には前側の外側嵌合部5Bの一方部分を構成する嵌合内板部3h、3iが形成されている。この嵌合内板部3h、3iも前記嵌合内板部3g同様、各側板部3b、3cの上端部の内側部分を上方へ突出した形態となるように形成されている。
そしてさらに、当該下ケース3の左側板部3bの中間部(領域Ec1)及び右側板部3cの中間部(領域Ec2)には、内側嵌合部5C(図1及び図9にも図示)の一方部分を構成する嵌合外板部3j、3kが形成されている。この嵌合外板部3j、3kは各板部3b、3cの上端部の外側部分を上方へ突出した形態となるように形成されている。
【0017】
又、この下ケース3の左側板部3bの内面には、図5及び図6に示すように、下係止爪部6a(図10にも図示)、6b(図11にも図示)が形成され、又、右側板部3cには、これら下係止爪部6a、6bと夫々左右対称形をなす下係止爪部6c、6dが形成されている。
又、上ケース4は、図5及び図6に示すように、上板部4aと、前板部4bと、左側板部4cと、右側板部4dと、後板部4eとを有して構成されている。又、前記上板部4aの後部にはコネクタ用隆起部4mが形成されている。
【0018】
さらに、後板部4eには、下開放形の第1の凹部4f及び第2の凹部4gが並んで形成されており、図4に示すように、第1の凹部4fの上縁部、左右縁部は前記第1のコネクタ用開口部2cの上縁部及び左右縁部を構成し、もって、この第1の凹部4fと前記片部3eとでコネクタ用開口部に相当する前記第1のコネクタ用開口部2cが構成されている。又、前記第2の凹部4gの上縁部、左右縁部は前記第2のコネクタ用開口部2dの上縁部及び左右縁部を構成し、もって、この第2の凹部4gと前記片部3fとでコネクタ用開口部に相当する前記第2のコネクタ用開口部2dが構成されている。
【0019】
さらに、この上ケース4の左側板部4cの後部から後板部3dさらに右側板部3cの後部の領域Ea´(前記領域Eaに対応)にかけて、後側の外側嵌合部5Aの他方部分を構成する嵌合外板部4hが形成されている。この嵌合外板部4hは、上記領域Ea´における各板部4c、4e、4dの下端部の外側部分を下方へ突出した形態となるように形成されている。
【0020】
又、上ケース4の左側板部4cの前部の領域Eb1´(これは前記領域Eb1に対応)及び右側板部4dの前部の領域Eb2´(これは前記領域Eb2に対応)には前側の外側嵌合部5Bの他方部分を構成する嵌合外板部4i、4jが形成されている。この嵌合外板部4i、4jも前記嵌合外板部4h同様、各側板部4c、4dの下端部の外側部分を下方へ突出した形態となるように形成されている。
【0021】
そしてさらに、当該上ケース4の左側板部4cの中間部の領域Ec1´(前記領域Ec1に対応)及び右側板部4dの中間部の領域Ec2´(前記領域Ec2に対応)には、内側嵌合部5Cの他方部分を構成する嵌合内板部4k、4lが形成されている。この嵌合内板部4k、4lは各板部4c、4dの下端部の内側部分を下方へ突出した形態となるように形成されている。
又、この上ケース4の左側板部4cの内面には図6に示すように上係止爪部7a(図10にも図示)、7b(図11にも図示)が形成され、又、右側板部4dには図5に示すように、前記上係止爪部7a、7bと左右対称形をなす上係止爪部7c、7dが形成されている。
【0022】
図12に示すように、前述した内側嵌合部5Cにおいて、上ケース4の両側板部4c、4d下端の外面間寸法H4(嵌合内板部4k、4lの外面間寸法)に対して下ケース3の両側板部3b、3c上端の内面間寸法H3(嵌合外板部3j、3k内面間寸法)を小としている。この場合、片側での圧接代(寸法差)αは0、04〜0.1mmとしている。換言すると、両側での圧接代2αは0.08〜0.2mm程度としている。
【0023】
さて、図1〜図6に示すように、前記上ケース4の上板部4a上面後端部には、上方へ立ち上がるリブ8を形成している。このリブ8の幅寸法H8は、コネクタ用開口部の幅寸法Hbc(第1のコネクタ用開口部2c及び第2のコネクタ用開口部2dの最外縁間寸法)より大きく且つ両端部8a、8bが前記後部の外側嵌合部5Aの上方部に対応する位置まで延びる寸法としている。又、前記リブ8の高さ(上ケース4の上面からの高さ)は2mm程度あれば良い。つまり、コネクタ用隆起部4mの上面、及び上ケース4の上面から2mm程度立ち上がっていれば良い。なお、この実施形態では、リブ8におけるコネクタ用隆起部4mの上面からの高さを2mmとし、そして該リブ8の上端を直線状としていることで、上ケース4の上面からの高さは2mm以上としている。
【0024】
前記筐体2内に収容される主要部品としては、図5及び図6に示すように、回路基板9及びカードコネクタ10がある。回路基板9の上面後部には、第1のコネクタ11及び第2のコネクタ12が取り付けられており、又、回路基板9の下面に前記カードコネクタ10が取り付けられている。さらに、このカードコネクタ10の前部には、前記イジェクタボタン用孔部2bに挿入配置されるイジェクタボタン10aが設けられている。
【0025】
これら回路基板9及びカードコネクタ10は、下ケース3と上ケース4とで筐体2を組み立てる折りに、予めこの筐体2内に配設される。すなわち、筐体2を組み立てる場合、この下ケース3内に前記回路基板9及びカードコネクタ10を配置し、そして、上ケース4を嵌合し、下係止爪部6a〜6dに上係止爪部7a〜7dを係止させることにより、筐体2を組み立てる。
【0026】
この場合、前記領域Ea及びEa´においては、図8に示すように、下ケース3の嵌合内板部3gの外側に上ケース4の嵌合外板部4hが嵌合する。つまり、後側の外側嵌合部5Aが構成されている。又、前記領域Eb1及びEb1´においては、下ケース3の嵌合内板部3hの外側に上ケース4の嵌合外板部4iが嵌合し、さらに又、前記領域Eb2及びEb2´においては、下ケース3の嵌合内板部3iの外側に上ケース4の嵌合外板部4jが嵌合する。つまり、夫々前側の外側嵌合部5Bが構成されている。
【0027】
そしてさらに、領域Ec1及びEc1´においては、図9に示すように、下ケース3の嵌合外板部3jの内側に上ケース4の嵌合内板部4kが嵌合し、領域Ec2及びEc2´においては、下ケース3の嵌合外板部3kの内側に上ケース4の嵌合内板部4lが嵌合する。つまり、内側嵌合部5Cが構成されている。
【0028】
なお、上述した下ケース3と上ケース4との嵌合の際には、前述の圧接代αがあることから、上記内側嵌合部5Cにおいては、下ケース3の両側板部3b、3cが拡開した状態で前記上ケース4に嵌合する。その拡開から戻ろうとする弾性力によって、嵌合外板部3jと嵌合内板部4kとが圧接すると共に、嵌合外板部3kと嵌合内板部4lとが圧接する。
又、図4に示すように、第1のコネクタ11及び第2のコネクタ12はコネクタ用隆起部4m内に位置し、第1のコネクタ11は前記第1のコネクタ用開口部2cから外部に臨み、又、第2のコネクタ12は前記第2のコネクタ用開口部2dから外部に臨んでいる。
【0029】
上述のように組み立てられた筐体2つまりETC車載器1には、ブラケット13がねじ13aにより取付けられ、このブラケット13により、図3に示すように、車両のインパネ14の内部に配設されている。この場合、このETC車載器1は傾斜角度5°〜12°で後ろ下がり形態に配設される。又、このETC車載器1の前面はインパネ14の開口14aから外部に臨んでいる。なお、このインパネ14内におけるETC車載器1の上方部にはエアコンダクト15が存在する。
【0030】
さて、ETC車載器1のインパネ組込状態において、例えばエアコンダクト15外面に結露した水滴が滴下してETC車載器1の上ケース4上面(コネクタ用隆起部4m上面を含む)に落ちた場合、その水滴は、図3に矢印で示すように、筐体2の傾斜によって後方へ流れるが、本実施形態によれば、筐体2後面のコネクタ用開口部の幅寸法Hbcよりも大きなリブ8が上ケース4の上面後端部に存在するから、前記水滴がこのリブ8によってそのまま流下することを阻止できて第1のコネクタ用開口部2c及び第2のコネクタ用開口部2dから筐体2内部に水が浸入することを防止できる。
【0031】
このリブ8によって流下が阻止された水滴は、図1及び図2に矢印で示すように、当該リブ8の両端部8a、8bから該リブ8の無い部分を通って流下する。この場合、リブ8の幅寸法H8を、当該リブ8の両端部が前記後部の外側嵌合部5Aの上方部に対応する位置まで延びる寸法とし、もって、前記上ケース4上面において当該リブ8の無い部分で前記後部の外側嵌合部5A方向への水滴の流れを許容する構成としたから、前記リブ8で阻止された水を、下ケース3及び上ケース4において前記外側嵌合部5Aから逃がす(流下させる)ことができ、この下ケース3と上ケース4との嵌合部分でも筐体2内への水浸入を防止することができ、総じて、筐体2内つまりETC車載器1内への水の浸入を防止できる。
しかも、筐体2にリブ8を設けると共に、筐体2後部における上下両ケース3、4の嵌合構造を外側嵌合構造(外側嵌合部5A)とする程度の構成であるから、構造も簡単であってコスト高を抑制できる。
【0032】
この場合、前記リブ8の高さを2mmとしたことで、筐体2の傾斜角度がほぼ23°までは、予想される最大水滴落下量を考慮しても、十分に水の各開口部2c、2dへの流下を阻止できる。なお、図13には、ETC車載器1の取付角度(搭載角度)と、リブ8を水滴が乗り越える高さとの関係を示している。通常のETC車載器1の取付角度が5°〜12°である。この図13から、リブ8の高さが2mmで取付角度23°まではリブ8に対する水滴の乗り越えはないことが判る。なお、前記リブ8の高さは上述の2mm以上でも良い。
【0033】
ここで、下ケース3及び上ケース4を嵌合させて筐体2を構成する場合、全周を外側嵌合部とするのが一般的であるが、車両組み込み型のETC車載器1では、振動などに強い構造が要求されるもので、この全周外側嵌合部とするのは強度上不向きである。
この点を考慮した本実施形態においては、さらに、後側の外側嵌合部5Aの他に、前記下ケース3及び上ケース4における前部を、上ケース4の両側板部4c、4d下端が下ケース3の両側板部3b、3c上端の外側に嵌合する外側嵌合部5Bとし、さらに前記後部の外側嵌合部5Aと当該前部の外側嵌合部5Bとの間の中間部を、上ケース3の両側板部4c、4d下端が下ケース3の両側板部3b、3c上端の内側に嵌合する内側嵌合部5Cとすることで、強度を向上させることができる。
【0034】
この場合、後部の外側嵌合部5Aを流下した水のごく一部が毛細管現象によって内側嵌合部5Cに浸入するおそれがある。この点、この実施形態では、当該内側嵌合部5Cにおいて、上ケース4の両側板部4c、4d下端(嵌合内板部4k、4l)の外面間寸法H4に対して下ケース3の両側板部3b、3c上端(嵌合外板部3j、3k)の内面間寸法H3を小とし、当該下ケース3の両側板部3b、3cが拡開した状態で前記上ケース4に嵌合する構成としたから、下ケース3の両側板部3b、3c上端(嵌合外板部3j、3k)と上ケース4の両側板部4c、4d下端(嵌合内板部4k、4l)とが圧接状態に嵌合し、これにより、この内側嵌合部5Cに毛細管現象で水が浸入する隙間がなく、当該内側嵌合部5Cから筐体2内部へ水が浸入することを防止できる。
【0035】
上述したように、ETC車載器1の筐体2を伝った水滴が当該筐体2内に浸入することを簡単な構成で且つ確実に防止することができる。
本発明の実施形態は、上記実施形態に限られず、例えば第2実施形態として示す図14のように、上ケース4に前述のコネクタ用隆起部4mがない構成、つまりほぼ上面全体が平坦面をなす構成でも良い。この場合前記リブ8に代わるリブ18は上板部4a上面から2mm以上であれば良い。又、本発明はDSRC車載器に適用しても良い。その他本発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適宜変更して適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
図面中、1はETC車載器(車両組み込み型車載器)、2は筐体、2cは第1のコネクタ用開口部(コネクタ用開口部)、2dは第2のコネクタ用開口部(コネクタ用開口部)、3は下ケース、3g、3h、3iは嵌合内板部、3j、3kは嵌合外板部、4は上ケース、4h、4iは嵌合外板部、4k、4lは嵌合内板部、4mはコネクタ用隆起部、5Aは後側の外側嵌合部、5Bは前側の外側嵌合部、5Cは内側嵌合部、8、18はリブを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下ケースと上ケースとを嵌合して構成され、車両に後ろ下がり形態に取付けられ、後面にコネクタ用開口部を形成した筐体を備え、
前記下ケース及び上ケースにおける後部を、上ケースの両側板部の下端が下ケースの両側板部の上端の外側に嵌合する外側嵌合部とし、
前記上ケースの上面後端部に上方へ立ち上がるリブを形成し、
当該リブの幅寸法は前記コネクタ用開口部の幅寸法より大きく且つ両端部が前記後部の外側嵌合部の上方部に対応する位置まで延びる寸法とし、前記上ケース上面において当該リブの無い部分で前記後部の外側嵌合部方向への水滴の流れを許容する構成としたことを特徴とする車両組み込み型車載器。
【請求項2】
さらに、前記下ケース及び上ケースにおける前部を、上ケースの両側板部下端が下ケースの両側板部上端の外側に嵌合する外側嵌合部とし、前記後部の外側嵌合部と当該前部の外側嵌合部との間の中間部を、上ケースの両側板部下端が下ケースの両側板部上端の内側に嵌合する内側嵌合部とし、
当該内側嵌合部において、前記上ケースの両側板部下端の外面間寸法に対して下ケースの両側板部上端の内面間寸法を小とし、当該下ケースの両側板部が拡開した状態で前記上ケースに嵌合していることを特徴とする請求項1に記載の車両組み込み型車載器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−228903(P2012−228903A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97083(P2011−97083)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(390001812)アンデン株式会社 (97)
【Fターム(参考)】