説明

車両通行遮断機

【課題】通常状態時における阻止棒の不用意な回動を防止することができるとともに、リリース動作後の阻止棒を迅速かつ容易に復帰させることが可能な車両通行遮断機を提供する。
【解決手段】アーム21に対してリリース軸を介して支持された阻止棒30を備える遮断機において、リリース状態とされた阻止棒30を通常状態に向かって回動させる復帰駆動部と、アーム21に設けられ通常状態の阻止棒30に向かって付勢されたストッパ手段60と、阻止棒30に設けられ阻止棒30が通常状態にある際にストッパ手段60と係合可能な係合位置と該係合位置から後退した退避位置との間で進退移動可能とされた台座73と、通常状態の際に台座73を係合位置に位置させる一方、リリース状態の際には台座73を退避位置に位置させる台座移動手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路などの料金所に設置され、車両の通行を阻止または許可可能な車両
通行遮断機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路等の有料道路や駐車場等の料金所において、料金の収受を自動化するシステムとしてETC(Electronic Toll Collection Sysem)が導入されている。このETCにおいては、料金所ゲートへの車両の進入を車両検知器が検知すると、車線サーバが路側アンテナに対して通信指令を発し、これに基づいて路側アンテナが車両に搭載された車載器と通信を開始する。次いで、車線サーバは路側アンテナにより車載器から得られた情報に基づいて、正常車両か異常車両かの別を判断する。そして、正常車両と判断した際には車両通行遮断機の阻止棒を開状態とし、異常車両と判断した際には阻止棒を閉状態に維持することで、車両の通行を許可又は阻止する。
【0003】
このETCにおいては、阻止棒が閉じた状態であるにも拘わらず車両が強行的に車両通行遮断機を通過した場合、車両が阻止棒に衝突することによって阻止棒や車両が損傷するという事故が生じる。そこで、このような問題に対処すべく、車両の衝突時に阻止棒が受けた衝撃を逃がすように、該阻止棒がリリース動作を行う車両通行遮断機が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
これら特許文献1,2に記載の車両通行遮断機は、車両が阻止棒に衝突することなく通常に使用されている間は、その阻止棒が鉛直面内で回転し、水平に倒伏した状態で車両の通行を阻止する一方、鉛直に起立した状態で車両の進入を許可するような開閉動作を行う。そして、車両が阻止棒に衝突した際には、その衝撃に従って阻止棒が車両進行方向へと向かって水平面に沿って折れ曲がりリリース状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3594957号公報
【特許文献2】特開2003−336232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1,2の車両通行遮断機においては、リリース動作後の折れ曲がった阻止棒をリリース動作前の状態、即ち、通常状態に復帰させるための機構はなく、例えば料金所係員が車両通行遮断機の箇所まで近寄って、手動にて阻止棒を通常状態に復帰させる作業を行わなければならなかった。したがって、リリース動作後の阻止棒の復帰作業に長時間を要する場合もあり、その間に車両通行路で車両の渋滞が発生してしまうという問題があった。
また、阻止棒が通常状態にある際には不用意な回動を回避すべく該阻止棒を保持状態とすることができるとともに、該阻止棒がリリース状態となった際には通常状態への復帰を容易に行うことのできる機構を実現することが好ましい。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、通常状態時における阻止棒の不用意な回動を防止することができるとともに、リリース動作後の阻止棒を迅速かつ容易に復帰させることが可能な車両通行遮断機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明に係る車両通行遮断機は、遮断機本体に開閉軸を介して支持され、車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容する許可位置との間で開閉制御されるアームと、該アームにリリース軸を介して支持され、前記開閉軸の径方向に延在する通常状態と該通常状態から車両進行方向前方側に折れ曲がるリリース状態との間で回動可能とされる阻止棒と、前記リリース状態とされた前記阻止棒を、前記通常状態に向かって回動させる復帰駆動部と、前記アームに設けられ、前記通常状態の前記阻止棒に向かって付勢されたストッパ手段と、前記阻止棒に設けられ、該阻止棒が前記通常状態にある際に前記ストッパ手段と係合可能な係合位置と、該係合位置から後退した退避位置との間で進退移動可能とされた台座と、前記通常状態の際に前記台座を前記係合位置に位置させる一方、前記リリース状態の際には前記台座を前記退避位置に位置させる台座移動手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような特徴の車両通行遮断機によれば、阻止棒が通常状態の場合には、ストッパ手段と台座とが互いに係合することで、阻止棒は通常状態に保持される。これによって、阻止棒が不用意に回動してしまうことを防止できる。
一方、通常状態の阻止棒に車両が衝突した際には、この衝撃力によってストッパ手段と台座との係合状態が解除され、阻止棒は衝撃力に従って通常状態からリリース状態に回動する。即ち、上記衝撃力によってストッパ手段が付勢力に抗して阻止棒から後退し、次いで、阻止棒が通常状態からリリース状態に遷移することで台座が退避位置に移動する。
そして、阻止棒がリリース状態とされている場合に復帰駆動部が作動すると、該阻止棒は通常位置に向かって回動する。この際、阻止棒がリリース状態から通常状態に遷移すると、台座移動手段によって台座が後退位置から係合位置へと移動させられる。これにより、通常状態に復帰した阻止棒は、台座とストッパ手段が係合することにより、再び当該通常状態に保持される。
【0010】
また、本発明に係る車両通行遮断機において、前記台座移動手段は、前記阻止棒に設けられ、前記台座を前記退避位置に付勢する付勢力を発生させる付勢部材と、前記アームに設けられ、前記阻止棒が前記リリース状態から前記通常状態に回動して復帰する際に、前記付勢力の付勢に抗して前記台座を前記係合位置に案内する案内力を発生させる案内手段とを備えることが好ましい。
【0011】
このような特徴の車両通行遮断機によれば、阻止棒がリリース状態とされている際には、付勢部材の付勢力によって台座が退避位置に位置させられる一方、阻止棒が通常状態とされている際には、付勢力の付勢力に抗した案内部材の案内力によって台座は係合位置に位置させられる。
これにより、阻止棒が通常位置にある復帰した際にのみストッパ手段と台座とが係合可能となるため、阻止棒をリリース状態から通常状態に復帰させる際にストッパ手段や台座の存在が妨げとなることはない。これにより、通常状態に復帰させる際に阻止棒に付与されるトルク、即ち、復帰駆動部によって阻止棒に付与されるトルクを低減することができる。
【0012】
さらに、本発明に係る車両通行遮断機において、前記ストッパ手段は、前記リリース軸と平行な方向に突出するように付勢されており、前記係合位置及び前記退避位置は、前記リリース軸と平行な方向に離間しており、前記付勢部材による前記付勢力及び前記案内手段による前記案内力は、伝達手段を介して前記台座に伝達され、該伝達手段は、前記阻止棒の延在方向に離間する第一位置と第二位置との間でスライド移動可能に前記阻止棒に設けられ、前記付勢部材によって前記第二位置に向かって付勢されるとともに、前記阻止棒が前記リリース状態から前記通常状態に回動して復帰する際に前記案内手段によって前記第二位置に案内されるスライド部材と、前記第一位置と前記係合位置とが対応するように、かつ、前記第二位置と前記退避位置とが対応するように、前記スライド部材と前記台座とを連動させるリンク部材とを備えることを特徴とする。
【0013】
このような特徴の車両通行遮断機によれば、リリース軸と平行な方向に突出するように付勢されたストッパ手段と該ストッパ手段とが互いに係合することにより、阻止棒を通常状態に確実に保持することができる。
また、阻止棒が車両衝突の衝撃力により通常状態からリリース状態に遷移する際には、スライド部材の案内部材による第二位置への案内が解除され、該スライド部材は付勢部材に従って第一位置に移動する。そして、このようなスライド部材の第一位置への移動がリンク部材を介して台座に伝達され、該台座は係合位置から退避位置へと移動する。
また、復帰駆動部の寄与によって阻止棒がリリース状態から通常状態に復帰する際には、スライド部材が案内部材によって付勢力の付勢に抗して第二位置に移動する。そして、このようなスライド部材の第二位置への移動がリンク部材を介して台座に伝達こされ、該台座は退避位置から係合位置へと移動する。これによって、通常状態の阻止棒は、ストッパ手段と台座とが互いに係合することにより、該通常状態に保持される。
【0014】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記ストッパ手段が、前記アームにおける前記リリース軸と平行な方向に離間して一対設けられるとともに、これらストッパ手段と係合可能な前記台座が一対設けられ、さらに、これら台座と前記スライド部材とを連動させる前記リンク部材が一対設けられているものであってもよい。
【0015】
一対のストッパ手段がそれぞれ台座と係合することによって、阻止棒をより確実に通常状態に保持することができる。
【0016】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、遮断機本体に開閉軸を介して支持され、車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容する許可位置との間で開閉制御されるアームと、該アームにリリース軸を介して支持され、前記開閉軸の径方向に延在する通常状態と該通常状態から車両進行方向前方側に折れ曲がるリリース状態との間で回動可能とされる阻止棒と、前記リリース状態とされた前記阻止棒を、前記通常状態に向かって回動させる復帰駆動部とを備え、前記復帰駆動部は、電動機と、該電動機によって回動させられた際に、前記リリース状態の前記阻止棒を前記通常状態に向かって押圧する押圧バーとを備えるものであってもよい。
【0017】
このような特徴の車両通行遮断機によれば、阻止棒がリリース状態にある場合に復帰駆動部の電動機が作動すると、これによって回動させられた押圧バーが阻止棒を通常状態に向かって押圧する。これにより、阻止棒を容易かつ円滑に通常状態に復帰させることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の車両通行遮断機によれば、ストッパ手段が通常状態の阻止棒を保持することによって、該通常状態時における阻止棒の不用意な回動を防止することができる。
また、ストッパ手段と係合する阻止棒の台座は、リリース状態とされた際にのみ台座と係合不能な退避位置に移動する。これにより、ストッパ手段及び台座の存在が阻止棒をリリース状態から通常状態に復帰させる際に妨げになることはない。したがって、リリース動作後の阻止棒を迅速かつ容易に通常位置に復帰させることが可能となる。
また、復帰駆動部の押圧バーが阻止棒を通常状態に向かって押圧する構成としたため、これによっても、リリース動作後の阻止棒を迅速かつ容易に通常位置に復帰させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る遮断機の概略構成を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係る遮断機の概略構成を示す平面図である。
【図3】図1に示す遮断機を車両進行方向前方側から見た斜視図である。
【図4】実施形態に係る遮断機の概略構成を示す平面図であって、阻止棒が通常状態からリリース状態に回動する動作を説明する図である。
【図5】阻止棒が通常状態の場合における阻止棒及びアームの正面図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】阻止棒がリリース状態の場合における阻止棒の正面図である。
【図8】図6のA−A断面図である。
【図9】(a)は阻止棒が通常状態の場合のストッパ手段及び係合機構の正面図、(b)は阻止棒がリリース状態の場合の係合機構の正面図である。
【図10】制御装置及びその周辺機器の機能ブロック図である。
【図11】車線サーバが実行するアームの開閉動作のフローチャートである。
【図12】制御装置が実行する阻止棒の復帰動作のフローチャートである。
【図13】リリース軸を傾斜して配置した場合の車両通行遮断機の側面図である。
【図14】カムフォロアを2つ設けた場合の阻止棒及びアームの断面図である。
【図15】台座がスライド部材から最も離間する位置以外の箇所を台座の係合位置とした際のストッパ手段及び係合機構の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る遮断機10について、図面を参照して詳細に説明する。
遮断機10は、図1〜図3に示すように、遮断機本体11と、該遮断機本体11に支持された支持アーム部20と、該支持アーム部20に支持された阻止棒30とを備えている。さらに、この遮断機10には、復帰駆動部40と、ストッパ手段60及び係合機構70(図1〜3において図示省略、図6参照)と、制御装置90(図1〜3において図示省略、図10参照)とが設けられている。
【0021】
遮断機本体11は、高速道路の料金所における車両通行路の側方に立設されている。この遮断機本体11における車両進行方向G後方側を向く面には、開閉軸12(図2及び図3参照)が設けられている。
この開閉軸12は、遮断機本体11内に設けられた開閉用モータ13(図1〜図3において図示省略、図10参照)によって車両進行方向Gに沿った水平軸回りに回転駆動可能とされている。開閉用モータ13は回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータであって、制御装置90の指令に基づいて正逆回転するように構成されている。なお、遮断機本体11を設置する箇所は、高速道路の料金所に限られず、例えば駐車場の料金所等であってもよい。
【0022】
支持アーム部20は、アーム21とリリース軸22(図1において図示省略)とを備えている。
アーム21は開閉軸12の直径方向を長手方向とするように該開閉軸12に固定支持されている。このアーム21は、開閉軸12の回転に伴って該アーム21の長手方向が水平方向に平行な阻止位置と鉛直方向に平行な許可位置との間で移動する。即ち、アーム21は、開閉軸12の回転に伴って阻止位置と許可位置との間で回動するように構成されている。
【0023】
このアーム21は、阻止位置にある場合において上下方向に対向する上板部21a、下板部21b、及び、これら上板部21aと下板部21bとを接続する中板部21cを備えている。即ち、アーム21は、長手方向に直交する断面形状が略コの字状をなしている。そして、上記断面コの字状において上下に対抗する二辺を接続する一辺となる中板部21cが開閉軸12に固定支持されている
【0024】
リリース軸22は、図2及び図3に示すように、アーム21の先端側に設けられており、即ち、本実施形態においては中板部21cにおける車両通行路側の部分に設けられている。より詳細には、リリース軸22は、図6及び図8に示すように、アームの中板部21cから車両進行方向G前方側に突出するように設けられた軸支持部22aに設けられている。
このリリース軸22は、アーム21の長手方向に直交し、かつ、鉛直面に沿って延びる軸線回りに回転可能とされている。即ち、リリース軸22は、アーム21の開閉軸12回りの回転軌跡の接線方向に延びる軸線回りに回動可能とされている。これによって、アーム21が阻止状態とされている際にはリリース軸22は鉛直軸回りに回動可能とされる。
【0025】
阻止棒30は、リリース軸22の直径方向に沿って延在するように該リリース軸22に固定支持されている。そして、支持アーム部20が阻止位置とされている場合における阻止棒30のリリース軸22から見た車両通行路側の部分が、長尺状をなして車両の進行を阻止する棒部31とされている。また、阻止棒30におけるリリース軸22を挟んで棒部31の反対側の部分が、アーム21の上記断面コの字状の内側に収納可能な基部32とされている。
なお、より詳細には図6及び図8に示すように、阻止棒30の延在方向に直交する方向に向かって突出するように該阻止棒30に一体に設けられた被支持部30aがリリース軸22に支持されている。これにより阻止棒30は、リリース軸22の回転に伴って該リリース軸22の軸線回りに回動可能とされている。
【0026】
この阻止棒30においては、図1及び図3に示すように、該阻止棒30の延在方向がアーム21の長手方向と平行な状態、即ち、阻止棒30が開閉軸12の径方向に延在する状態が通常状態とされている。
阻止棒30の基部32は、該阻止棒30がこの通常状態にある際にアーム21の内側に収納されるように配置されている。
【0027】
また、阻止棒30においては、リリース軸22の回動に伴って通常状態から車両進行方向Gに回動した状態がリリース状態とされている。本実施形態の阻止棒30は、阻止棒30の延在方向が支持アーム部20の長手方向と直交する状態、即ち、阻止棒30が開閉軸12及び車両進行方向Gと平行に延在する状態まで回動する。
【0028】
以下では、図4に示すように、阻止棒30が通常状態からリリース状態に回動する方向、即ち、リリース動作を行う方向をリリース方向T1とし、これとは逆にリリース状態から通常状態に回動する方向、即ち、復帰動作を行う方向を復帰方向T2とする。
【0029】
このような遮断機10においては、該阻止棒30が通常状態とされるとともにアーム21が阻止位置にある際に車両の進行を阻止する。これに対して、阻止棒30が通常状態とされるとともにアーム21が許可位置にある際に車両の通行を許可する。
以下では、アーム21が阻止位置から許可位置に向かって回動する動作を開動作とし、該アーム21が許可位置から阻止位置に向かって回動する動作を閉動作とする。
【0030】
次に、復帰駆動部40について説明する。本実施形態の復帰駆動部40は、図1〜図4に示すように、復帰用モータ(電動機)41と、押圧バー42と、プッシャープレート43とから構成されている。
復帰用モータ41は、遮断機本体11の車両通行路側を向く面に固定されている。この復帰用モータ41は、上方に向かって突出するように延びる出力軸41aを備えており、制御装置90からの指令に基づいて出力軸41aが正回転及び逆回転するようになっている。
【0031】
押圧バー42は、遮断機本体11の車両通行路を向く面における上記電動機の上方に設けられている。より詳細には、遮断機本体11の車両通行路を向く面には、上下方向に延びる第一回転支持軸42aが取り付けられており、押圧バー42はこの第一回転支持軸42aに基端が回動可能に連結されて該第一回転支持軸42aの半径方向に延在するように設けられている。そして、この押圧バー42の先端には、上下方向に延びる略円柱状をなす押圧部42bが一体に設けられている。
また、上記第一回転支持軸42aは、電動機の出力軸41aに連結されており、該出力軸41aの正回転又は逆回転に連動して同方向に回転するようになっている。これに伴って、押圧バー42は、阻止棒30のリリース動作及び復帰動作と同様、リリース方向T1及び復帰方向T2に回動するようになっている。
【0032】
プッシャープレート43は、棒部31のリリース方向T1前方側を向く面における基部32側の部分において、阻止棒30に固定されている。このプッシャープレート43は、阻止棒30に対してリリース方向T1前方側から当接可能な板状をなしており、このプッシャープレート43における阻止棒30と反対側の面、即ちリリース方向T1前方側を向く面には、上記押圧バー42の押圧部42bが当接可能とされている。なお、このプッシャープレート43は、阻止棒30に対して容易に取り外し可能な構成とされていることが好ましい。
【0033】
次にストッパ手段60について説明する。
ストッパ手段60は、図5に示すように、支持アーム部20のアーム21に一対が設けられており、即ち、アーム21が阻止位置とされた場合の上下方向(以下、ストッパ手段60の説明においては単に上下方向と称する。)に離間して一対が設けられている。
【0034】
これら一対のストッパ手段60は、ナット61及びボルト62を介してアーム21の上板部21a、下板部21bにそれぞれ設けられた付勢突起63を備えている。この付勢突起63は、上板部21a、下板部21bをアーム21の上下方向の外側から内側に向かって、即ち、リリース軸22と平行な方向に向かって互いに近接する方向に向かって付勢されており、上板部21a及び下板部21bそれぞれに形成された貫通孔(図示省略)を介してアーム21の内側に突出した状態とされている。なお、付勢突起63の先端は丸みを帯びた形状をなしている。
【0035】
次に係合機構70について説明する。係合機構70は、図5から図9に示すように、阻止棒30に設けられたスライド部材71、付勢部材72、台座73及びリンク部材74と、アーム21に設けられた案内部材80とから構成されている。なお、スライド部材71、付勢部材72、リンク部材74及び案内部材80によって本実施形態の台座移動機構が構成されている。この台座移動機構は、阻止棒30の通常状態の際に台座73を後述する係合位置に位置させる一方、阻止棒30のリリース状態の際には台座73を後述する退避位置に位置させる。
【0036】
スライド部材71は、図5、図7及び図9に示すように、阻止棒30の基部32内において該阻止棒30の延在方向にスライド移動可能に設けられている。即ち、基部32の内側には、アーム21が阻止位置とされている場合の上下方向、即ち、リリース軸22と平行な方向(以下、係合機構70の説明においては単に上下方向と称する。)に離間して配置された一対のブロック75を備えており、スライド部材71はこれらブロック75に上下方向から挟まれるように配置されている。
【0037】
これにより、スライド部材71は、一対のブロック75に案内されるようにして阻止棒30の延在方向にスライド移動する。本実施形態においては、スライド部材71は、リリース軸22に最も近接した第一位置(図9(a)参照)とリリース軸22から最も離間した第二位置(図9(b)参照)との間でスライド移動するようになっている。
また、このスライド部材71は、図6及び図8に示すように、平面視にて外形略四角形をなす枠状をなしている。
【0038】
付勢部材72は、阻止棒30の延在方向に延びるコイルスプリング等の弾性部材であって、スライド部材71のスライド移動方向の一方側(図5、図7及び図9における左側、即ち、リリース軸22に近接した側)に設けられている。この付勢部材72は、その一方側の端部が基部32内に突設された支持突起72aに接続されており、他方側の端部がスライド部材71の一方側の端部に接続されている。これにより、付勢部材72はスライド部材71をスライド移動方向の他方側(図6における右側、リリース軸22に離間した側)に向かって付勢している。
【0039】
台座73は、スライド部材71の上下方向に一対が設けられており、即ち、スライド部材71を上下方向から挟むようにして一対が設けられている。これら台座73は、それぞれブロック75に対して上下方向にスライド移動可能に設けられている。具体的には、台座73にはそれぞれ上下方向に延びる長孔(図示省略)が形成されており、台座73に一体に設けられた第一軸部73aが当該長孔に挿入されている。これにより、第一軸部73aは長孔の形成範囲内で移動可能とされており、即ち、当該第一軸部73aと一体とされた台座73が長孔の形成範囲内で上下方向にスライド移動するようになっている。
【0040】
このような台座73それぞれにおけるスライド部材71とは反対側を向く面、即ち、アーム21の上下方向外側を向く面には、上記ストッパ手段60の付勢突起63が係合可能とされた係合凹部73bが形成されている。
そして、本実施形態においては、台座73が最もスライド部材71から離間した位置、即ち、アーム21の上下方向の最も外側に配置された位置が該台座73の係合位置とされ、この係合位置にて台座73の係合凹部73bとストッパ手段60の付勢突起63とが係合する。なお、この係合位置においては、一対の台座73は、基部21を上下方向に貫通する貫通孔(図示省略)を介して該基部21の上下方向外側に露出している。
一方、台座73が最もスライド部材71に近接した位置、即ち、アーム21の上下方向の最も内側に配置された位置が該台座73の退避位置とされ、この退避位置では台座73の係合凹部73bとストッパ手段60の付勢突起63とが係合不能とされる。
【0041】
リンク部材74は、スライド部材71と一方の台座73とを連結するように、また、スライド部材71と他方の台座73とを連結するように一対が設けられている。即ち、このリンク部材74は、一端がスライド部材71に一体に設けられた第二軸部71aに対して回動可能に連結されており、他端が台座73に一体に設けられた第一軸部73aに回動可能に連結されている。なお、スライド部材71の第二軸部71aと台座73の第一軸部73aとは、それぞれ阻止棒30の延在方向に直交し、かつ、リリース軸22に直交する方向に延びている。
【0042】
このようなリンク部材74により、スライド部材71の阻止棒30の延在方向へのスライド移動に連動して、台座73はアーム21の上下方向にスライド移動する。これにより、リンク部材74は、スライド部材71が第一位置にある場合には台座73が係合位置に位置するように、かつ、スライド部材71が第二位置にある場合には台座73が退避位置にあるように、これらスライド部材71と台座73とを連動させる。
【0043】
案内部材80は、図5、図6、図8及び図9(a)に示すように、アーム21の内側において中板部21cから車両進行方向G後方側に突出するように設けられた支持部81と、該支持部81の先端に設けられたカムフォロア82とから構成されている。
【0044】
上記支持部81は、阻止棒30が通常状態にある場合においては、阻止棒30の基部32に形成された連通孔33を介して基部32の内側に位置するようになっている。そして、この通常状態においては、図5、図6及び図9(a)に示すように、当該支持部81の先端に設けられたカムフォロア82は基部32の内側に位置している。そして、阻止棒30がリリース状態に遷移した際には、支持部81及びカムフォロア82は、図8及び図9(b)に示すように、基部32内から脱出した状態となる。
【0045】
上記カムフォロア82は、アーム21の上下方向に延びる軸線を中心とした略円筒状をなしており、その外周面がスライド部材71が当接可能とされた当接外周面82aとされている。
阻止棒30が通常状態にある際には、図5、図6及び図9(a)に示すように、カムフォロア82の当接外周面82aが、スライド部材71の他方側の端部に当接している。即ち、カムフォロア82は、スライド部材71の他方側の端部を該スライド部材71のスライド方向一方側に押圧しており、これによって、カムフォロア82はスライド部材71を付勢部材72の付勢力に抗して第一位置に保持している。
【0046】
次に、制御装置90について、遮断機10の機能構成を踏まえて説明する。図10は遮断機10及び周辺機器の機能構成を示す機能ブロック図である。遮断機10における制御装置90には、開閉用モータ13と、復帰駆動部40の復帰用モータ41とが接続されている。
【0047】
ここで、遮断機10の外部には、周辺機器として、車両検知器131、路側アンテナ132及び操作部133がそれぞれ接続された車線サーバ130が設けられている。この車線サーバ130は、遮断機10内における制御装置90に接続されており、車両検知器131、路側アンテナ132及び操作部133からの入力に応じて制御装置90に対して信号を送出する。
【0048】
車両検知器131は、例えば車両通行路の両側に設置された複数対の光センサにより構成されており、料金所ゲートへの車両の進入と退出を検知するように構成されている。即ち、車両検知器131は、例えば料金所ゲートの入り口側(遮断機10の車両進行方向G後方側)に設置された第一の光センサによって該料金所ゲートへの車両の進入を検知する一方、料金所ゲートの出口側(遮断機10の車両進行方向G前方側)に設置された第二の光センサによって該料金所ゲートからの車両の退出を検知するようになっている。車両検知器131は、この車両の進入と退出との検知に基づいて、車両の進入と退出に応じた信号を車線サーバ130に対して出力する。
【0049】
路側アンテナ132は、例えば遮断機10よりも車両進行方向G後方側に設置されており、車両が料金所ゲートを通過する際、該車両に搭載された車載器と必要な情報を送受信し、当該情報の送受信に基づく信号を車線サーバ130に対して出力する。
そして、車線サーバ130は、これら車両検知器131及び路側アンテナ132からの信号の入力に基づいて、制御装置90に対して車両通行許可指令及び車両退出検知信号を送出する。制御装置90は、車両通行許可指令に基づいて開閉用モータ13を正回転駆動させることにより阻止棒30に開動作を行わせる。一方、制御装置90は、車両退出検知信号に基づいて開閉用モータ13を逆回転駆動させることにより、開動作後の阻止棒30に閉動作を行わせる。
【0050】
また、操作部133は、料金所周辺に設置された料金所係員の居室に設置されており、例えば「開ボタン」や「閉ボタン」の押下に基づいて、車線サーバ130に対して阻止棒30の開閉要求を出力する。車線サーバ130は、この開閉要求に基づいて制御装置90に対し開閉指令を送出し、制御装置90はこの開閉指令に基づいて開閉用モータ13を回転駆動させることで阻止棒30の開閉動作を行う。なお、操作部133は、料金所から離れた位置にある監視センター等に設置した構成であってもよい。
【0051】
さらに、この操作部133は、上記制御装置90に対しても接続されており、例えば「リリース復帰ボタン」を押下に基づいて制御装置90に対して阻止棒30のリリース復帰指令を送出する。制御装置90は、このリリース復帰指令が入力された際には、復帰用モータ41を駆動させる。
【0052】
次に、本実施形態の遮断機10の作用について説明する。
車両通行路に車両が進入しておらず遮断機10が待機状態の際には、図1〜図3に示すように、アーム21が阻止位置とされるとともに阻止棒30が通常状態とされ、遮断機10は車両の通行を阻止した状態とされている。
【0053】
この待機状態において、ストッパ手段60及び係合機構70は、図5、図6及び図9(a)に示すように、係合機構70の一対の台座73が係合位置に位置しており、これら台座73の係合凹部73bにストッパ手段60の付勢突起63が係合している。これによって、阻止棒30の通常状態が保持されている。なお、この際、スライド部材71は、案内部材80のカムフォロア82によって押圧されることで付勢部材72の付勢力に抗して第一位置に位置している。これにより付勢部材72は圧縮状態とされている。
【0054】
また、復帰駆動部40は、図1〜図3に示すように、押圧バー42を第一回転支持軸42aから車両進行方向G前方側に向かって延在させた状態、即ち、通常状態の阻止棒30の延在方向から車両進行方向Gに90°回動させた状態である初期状態に位置させている。
【0055】
始めに、上記のように待機状態の遮断機10を備えた料金所ゲートに車両が進入した際の阻止棒30の開閉動作の処理手順について説明する。この阻止棒30の開閉動作は、車線サーバ130の制御によって行われる。図11は、車線サーバ130が実行する阻止棒30の開閉動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【0056】
まず、車線サーバ130は、車両検知器131が料金所ゲートへの車両の進入を検知したか否か、即ち、車両検知器131からのON信号(車両検知信号)が入力されたか否かを判定する(S11)。その結果、車両検知器131からOFF信号が入力されていると判定した場合(S11:No)、車線サーバ130は、車両検知器131からON信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器131からからON信号が入力されたと判断した場合(S11:Yes)、車線サーバ130は、路側アンテナ132に対して車載器情報の受信指令を送出し(S12)、路側アンテナ132はこの信号に基づいて車両に搭載された車載器と通信を開始する。
【0057】
次いで、車線サーバ130は、路側アンテナ132が受信した車載器情報に基づいて、料金所ゲートを通過しようとしている車両が正常車両であるか異常車両であるかの別を判断する(S13)。その結果、異常車両であると判断した場合(S13:No)、車線サーバ130は異常処理を行い(S14)、阻止棒30の開動作を行うことなく該阻止棒30を阻止位置に維持する。これにより、S13にて異常車両と判断した際の車線サーバ130の処理が終了する。
【0058】
一方、Sにて正常車両であると判断した場合(S13:Yes)、車線サーバ130は、制御装置90に対して車両通行許可指令を送出する。これにより、制御装置90は、開閉用モータ13の出力軸41aを正回転させることにより、アーム21を阻止位置から許可位置へと回動させる(S15)。これによって、遮断機10が、車両の通行を許可した状態となる。
【0059】
S15の後、車線サーバ130は、車両が料金所ゲートから退出を検知したか否か、即ち、車両検知器131による車両の検知が終了した結果、車両検知器131からOFF信号が入力されたか否かを判定する(S16)。そして、車両検知器131から依然としてON信号が入力されていると判断した場合(S16:No)、車線サーバ130は、車両検知器131からOFF信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器131からOFF信号が入力されたと判断した場合(S16:Yes)、車線サーバ130は、制御装置90に対して車両退出検知信号を送出する。この車両退出検知信号に基づいて制御装置90は開閉用モータ13の出力軸41aを逆回転させることにより、アーム21を許可位置から阻止位置へと回動させる(S17)。これによって、遮断機10が、車両の通行を阻止した状態となり、S13にて正常車両と判断した際の車線サーバ130の処理が終了する。
【0060】
ここで、上記のように、車線サーバ130が異常車両と判断して異常処理を行った際には、アーム21が阻止位置に維持されることにより、該阻止棒30に車両が衝突する場合がある。また、車線サーバ130が正常車両と判断してアーム21に開動作を行わせた際であっても、車両の進入速度が速すぎる場合には、阻止棒30に車両が衝突し得る。この際、本実施形態においては、阻止棒30のリリース動作が行われる。
【0061】
即ち、阻止棒30の棒部31に対して車両進行方向Gに進行する車両が衝突すると、当該衝撃力が阻止棒30をリリース方向T1に回動させる回転モーメントとして作用する。そして、この回転モーメントによりストッパ手段60がその付勢力に抗してアーム21の上下方向外側、即ち、阻止棒30から上下方向に離間する側に後退する。これにより、ストッパ手段60の付勢突起63と台座73の係合凹部73bとの係合状態が解除され、これらストッパ手段60及び係合機構70による阻止棒30の通常状態における保持が解除される。
【0062】
そして、阻止棒30が通常状態からリリース状態に遷移すると、台座移動手段における係合機構70においては、図9に示すように、案内部材80が基部32の内側から外れることによって、即ち、阻止棒30の基部32が案内部材80の設置箇所から離脱することによって、スライド部材71に対するカムフォロア82の押圧が解除される。これによって、阻止棒30の通常状態時に第一位置とされていたスライド部材71は、付勢部材72の付勢に従って第二位置へと移動する。すると、当該スライド部材71の第一位置から第二位置へのスライド移動がリンク部材74を介して一対の台座73に伝達されることで、これら台座73が、図7及び図9(b)に示すように、係合位置から退避位置へとスライド移動する。
以上により、阻止棒30のリリース動作が終了する。
【0063】
次に、リリース動作の完了後、阻止棒30がリリース状態にある場合において、当該阻止棒30を復帰方向T2に回転させて通常状態に戻す復帰動作について説明する。
この復帰動作は、リリース動作後の阻止棒30がリリース状態にある場合において、例えば料金所の係員による操作部133の操作によって送出されるリリース復帰指令に基づいて行われる。図12は、制御装置90が実行する阻止棒30の復帰動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【0064】
まず、制御装置90は、操作部133からON信号が入力されたか否か、即ち、操作部133からリリース復帰指令が入力されたか否かを判定する(S21)。その結果、操作部133からOFF信号が入力されていると判断した場合(S21:No)、操作部133からON信号が入力されるまで待機する。
【0065】
制御装置90が、操作部133からON信号が入力されたと判断した場合(S21:Yes)、該制御装置90は、復帰駆動部40における復帰用モータ41の出力軸41aを正回転させる(S22)。すると、当該出力軸41aに連結された第一回転支持軸42aが回転し、これに伴って押圧バー42が復帰方向T2に回動する。このように押圧バー42が復帰方向T2に回動する際には、押圧バー42の先端に設けられた押圧部42bがプッシャープレート43に当接する。そして、押圧バー42がさらに復帰方向T2に回動すると、プッシャープレート43を介して押圧部42bによる押圧力が阻止棒30に伝達され、プッシャープレート43及び阻止棒30が復帰方向T2に回動する復帰動作を行う。
【0066】
このように阻止棒30が復帰動作を行うことによって、該阻止棒30が最終的には通常状態に復帰する。
ここで、阻止棒30が復帰方向T2に回動する際には、案内部材80が連通孔33を介して阻止棒30の基部32内に侵入し、当該案内部材80のカムフォロア82がスライド部材71に当接する。そして、さらに阻止棒30が復帰方向T2に回動すると、スライド部材71はカムフォロア82に案内されるようにして第二位置から第一位置へと向かって付勢部材72の付勢力に抗してスライド移動させられる。即ち、阻止棒30の復帰方向T2への回動に伴ってアーム21側に設けられた案内部材80がスライド部材71に当接し、さらに阻止棒30が復帰方向T2に回動することによって案内部材80からスライド部材71に押圧力が付与され、当該押圧力を案内力としてスライド部材71が第一位置へと案内されるのである。そして、阻止棒30が通常状態に完全に復帰した際には、カムフォロア82によってスライド部材71が第一位置に保持された状態となる。
【0067】
このようにスライド部材71が第二位置から第一位置にスライド移動すると、該スライド部材71にリンク部材74を介して連結された台座73は退避位置から係合位置へとスライド移動する。そして、台座73が係合位置に移動することによって、ストッパ手段60の付勢突起63が台座73の係合凹部73bに係合する。即ち、阻止棒30が通常状態に復帰して初めてストッパ手段60と台座73とが係合可能な状態になる。これによって、阻止棒30がストッパ手段60及び係合機構70により、再び通常状態に保持された状態となる。
【0068】
そして、上記のように復帰駆動部40における復帰用モータ41の正回転に次いで、制御装置90は復帰用モータ41の出力軸41aを逆回転させる(S23)。すると、当該出力軸41aに連結された回転支持軸が回転し、これに伴って押圧バー42がリリース方向T1に回動する。この結果、押圧バー42は、第一回転支持軸42aから車両進行方向G前方側に向かって延在した初期状態に復帰する。これにより、制御装置90によって実行される阻止棒30の復帰動作が終了する。
【0069】
以上のような遮断機10によれば、阻止棒30が通常状態の場合には、ストッパ手段60と台座73とが互いに係合することで、阻止棒30は通常状態に保持される。これによって、阻止棒30の不用意な回動を防止することができる。
【0070】
一方、通常状態の阻止棒30に車両が衝突した際には、この衝撃力によってストッパ手段60と台座73との係合状態が解除され、阻止棒30は衝撃力に従って通常状態からリリース状態に回動する。即ち、上記衝撃力によってストッパ手段60が付勢力に抗して阻止棒30から後退し、次いで、阻止棒30が通常状態からリリース状態に遷移することで台座73が退避位置に移動する。
そして、阻止棒30がリリース状態とされている場合に復帰駆動部40が作動すると、該阻止棒30は通常位置に向かって回動する。この際、阻止棒30がリリース状態から通常状態に遷移すると、台座73移動手段によって台座73が後退位置から係合位置へと移動させられる。これにより、通常状態に復帰した阻止棒30は、台座73とストッパ手段60が係合することにより、再び当該通常状態に保持される。
【0071】
即ち、阻止棒30がリリース状態とされている際には、付勢部材72の付勢力によって台座73が退避位置に位置させられる一方、阻止棒30が通常状態とされている際には、付勢力の付勢力に抗した案内部材80の案内力によって台座73は係合位置に位置させられる。
これにより、阻止棒30が通常位置にある復帰した際にのみストッパ手段60と台座73とが係合可能となるため、阻止棒30をリリース状態から通常状態に復帰させる際にストッパ手段60や台座73の存在が妨げとなることはない。したがって、通常状態に復帰させる際に阻止棒30に付与されるトルク、即ち、復帰駆動部40によって阻止棒30に付与されるトルクを低減することができる。
したがって、リリース動作後の阻止棒30を迅速かつ容易に通常位置に復帰させることが可能となる。
【0072】
また、本実施形態においては、リリース軸22と平行な方向に突出するように付勢された一対のストッパ手段60とこれらストッパ手段60に対応する台座73とが互いに係合することにより、阻止棒30を通常状態により確実に保持することができる。
さらに、係合機構70においては、阻止棒30の延在方向に沿ったスライド部材71のスライド移動をリンク部材74によって、当該スライド移動方向に直交する方向の台座73の移動、即ち、係合位置と退避位置との間での台座73の移動に変換することができる。これによって、阻止棒30の通常状態又はリリース状態に対応して、台座73を係合位置と通常位置との間で円滑に移動させることができる。
【0073】
そして、本実施形態においては、阻止棒30がリリース状態にある場合に復帰駆動部40の復帰用モータ41が作動すると、これによって回動させられた押圧バー42がプッシャープレート43を介して、阻止棒30を通常状態に向かって押圧する。これにより、阻止棒30を容易かつ円滑に通常状態に復帰させることが可能となる。
また、このように押圧バー42がプッシャープレート43を介して阻止棒30を押圧する構成のため、押圧バー42によって阻止棒30にキズが付いてしまうことを防止することができる。さらに、阻止棒30を柔軟性のある材質で形成した場合であっても、該阻止棒30を確実に通常状態に復帰させることができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
【0075】
例えば図13に示すように、リリース軸22が車両進行方向G前方側に向かうに従って上方に向かって傾斜していてもよい。この場合、リリース状態の阻止棒30は、車両進行方向G前方側に向かうに従って漸次下方に向かって傾斜するように延在している。このように構成することで、車両の衝突に伴って阻止棒30がリリース方向T1に回動する際に、阻止棒30自体に作用する重力の寄与を得ることができ、該阻止棒30に円滑にリリース動作をさせることができる。
【0076】
また、例えば図14に示すように、案内部材80が複数(本例においては2つ)のカムフォロア82を備えた構成であってもよい。図14においては、阻止棒30のリリース方向T1に向かって2個のカムフォロア82が支持部81材に対して連接されている。これに伴って、スライド部材71のスライド方向他方側の面には、阻止棒30が通常状態とされている場合において上記2個のカムフォロア82に当接可能な2つの傾斜面71bが形成されている。
【0077】
このような構成とすることにより、阻止棒30がリリース状態から通常状態に回動する際に、スライド部材71の傾斜面71bが連接された2個のカムフォロア82に順次当接することになる。したがって、スライド部材71がカムフォロア82に当接する毎に第一位置へ向かって徐々に案内されることになるため、当該スライド部材71をより円滑に第一位置に移動させることができる。したがって、当該スライド部材71とリンク部材74を介して連動する台座73の移動を滑らかなものとすることができ、例えば台座73とストッパ手段60とが勢いよく係合することにより両者に破損が生じてしまう等のトラブルを回避することができる。
【0078】
また、実施形態においては、図9(a)に示すように、リンク部材74がスライド部材71のスライド方向に直交して延びる状態の際に台座73が係合位置に位置する構成とし、即ち、台座73がスライド部材71からアーム21の上下方向に最も離間する際の該台座73の位置を係合位置とした。これに対して、例えば図15に示すように、リンク部材74がスライド部材71のスライド方向に傾斜して延びる状態の際に台座73が係合位置に位置する構成とし、即ち、台座73がスライド部材71からアーム21の上下方向に最も離間する位置以外の台座73の位置を係合位置としてもよい。これによっても、阻止棒30が通常状態を確実に保持することができるとともに、阻止棒30が通常状態に復帰する際にストッパ手段60及び台座73の存在が妨げになることを回避することができる。
【0079】
また、図15に示すように構成した場合、図9(a)に示す場合に比べて阻止棒30をより強固に通常状態に保持することができる。即ち、図15に示すように一対のリンク部材74がスライド部材71のスライド方向に傾斜して延びている場合、これらリンク部材74によって付勢部材72の付勢力に抗する力が発生する。これによって、スライド部材71が第一位置から第二位置に移動し難くなるため、台座73とストッパ手段60との係合が解除され難くなり、結果として阻止棒30をより強固に通常状態に保持することができる。
【0080】
さらに、実施形態においては、ストッパ手段60及びこれに係合する台座73をそれぞれ一対設けたが、ストッパ手段60及び台座73を一つずつ設けた構成であってもよいし、それぞれ複数対設けた構成であってもよい。
【0081】
また、ストッパ手段60はリリース軸22と平行な方向に突出するように付勢された構成としたが、例えば阻止棒30の延在方向に突出するように付勢された構成や、阻止棒30の回動方向に付勢された構成等、他の構成としてもよい。
さらに、実施形態では、付勢手段による付勢力及び案内手段による案内力を、それぞれスライド部材71及びリンク部材74を介して台座73に伝達させる構成としたが、これら付勢力及び案内力が直接的に台座73に対して伝達される構成であってもよい。特に、台座73のスライド方向が付勢部材72による付勢力、案内部材80による案内力の方向と一致する場合には、スライド部材71やリンク部材74を介さずとも台座73を係合位置と退避位置との間で移動させることができる。
【符号の説明】
【0082】
10 遮断機
11 遮断機本体
12 開閉軸
13 開閉用モータ
20 支持アーム部
21 アーム
21a 上板部
21b 下板部
21c 中板部
22 リリース軸
22a 軸支持部
30 阻止棒
30a 被支持部
31 棒部
32 基部
33 連通孔
40 復帰駆動部
41 復帰用モータ(電動機)
41a 出力軸
42 押圧バー
42a 第一回転支持軸
42b 押圧部
43 プッシャープレート
60 ストッパ手段
61 ナット
62 ボルト
63 付勢突起
70 係合機構
71 スライド部材
71a 第二軸部
71b 傾斜面
72 付勢部材
72a 支持突起
73 台座
73a 第一軸部
73b 係合凹部
74 リンク部材
75 ブロック
80 案内部材
81 支持部
82 カムフォロア
82a 当接外周面
90 制御装置
130 車線サーバ
131 車両検知器
132 路側アンテナ
133 操作部
T1 リリース方向
T2 復帰方向
G 車両進行方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮断機本体に開閉軸を介して支持され、車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容する許可位置との間で開閉制御されるアームと、
該アームにリリース軸を介して支持され、前記開閉軸の径方向に延在する通常状態と該通常状態から車両進行方向前方側に折れ曲がるリリース状態との間で回動可能とされる阻止棒と、
前記リリース状態とされた前記阻止棒を、前記通常状態に向かって回動させる復帰駆動部と、
前記アームに設けられ、前記通常状態の前記阻止棒に向かって付勢されたストッパ手段と、
前記阻止棒に設けられ、該阻止棒が前記通常状態にある際に前記ストッパ手段と係合可能な係合位置と、該係合位置から後退した退避位置との間で進退移動可能とされた台座と、
前記通常状態の際に前記台座を前記係合位置に位置させる一方、前記リリース状態の際には前記台座を前記退避位置に位置させる台座移動手段とを備えることを特徴とする車両通行遮断機。
【請求項2】
前記台座移動手段は、
前記阻止棒に設けられ、前記台座を前記退避位置に付勢する付勢力を発生させる付勢部材と、
前記アームに設けられ、前記阻止棒が前記リリース状態から前記通常状態に回動して復帰する際に、前記付勢力の付勢に抗して前記台座を前記係合位置に案内する案内力を発生させる案内手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の車両通行遮断機。
【請求項3】
前記ストッパ手段は、前記リリース軸と平行な方向に突出するように付勢されており、
前記係合位置及び前記退避位置は、前記リリース軸と平行な方向に離間しており、
前記付勢部材による前記付勢力及び前記案内手段による前記案内力は、伝達手段を介して前記台座に伝達され、
該伝達手段は、
前記阻止棒の延在方向に離間する第一位置と第二位置との間でスライド移動可能に前記阻止棒に設けられ、前記付勢部材によって前記第二位置に向かって付勢されるとともに、前記阻止棒が前記リリース状態から前記通常状態に回動して復帰する際に前記案内手段によって前記第二位置に案内されるスライド部材と、
前記第一位置と前記係合位置とが対応するように、かつ、前記第二位置と前記退避位置とが対応するように、前記スライド部材と前記台座とを連動させるリンク部材とを備えることを特徴とする請求項2に記載の車両通行遮断機。
【請求項4】
前記ストッパ手段が、前記アームにおける前記リリース軸と平行な方向に離間して一対設けられるとともに、
これらストッパ手段と係合可能な前記台座が一対設けられ、
さらに、これら台座と前記スライド部材とを連動させる前記リンク部材が一対設けられていることを特徴とする請求項3に記載の車両通行遮断機。
【請求項5】
遮断機本体に開閉軸を介して支持され、車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容する許可位置との間で開閉制御されるアームと、
該アームにリリース軸を介して支持され、前記開閉軸の径方向に延在する通常状態と該通常状態から車両進行方向前方側に折れ曲がるリリース状態との間で回動可能とされる阻止棒と、
前記リリース状態とされた前記阻止棒を、前記通常状態に向かって回動させる復帰駆動部とを備え、
前記復帰駆動部は、
電動機と、
該電動機によって回動させられた際に、前記リリース状態の前記阻止棒を前記通常状態に向かって押圧する押圧バーとを備えることを特徴とする車両通行遮断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−207460(P2012−207460A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74200(P2011−74200)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000142115)株式会社協豊製作所 (26)
【Fターム(参考)】