説明

車両運行管理システム

【課題】車両が盗難された場合に車両を追跡するのに有効な車両位置情報が得られる車両運行管理システムを提供する。
【解決手段】車両に搭載される車載器によって取得される車両の運行データが車外の運行管理装置に送信される車両運行管理システムであって、車載器11は、車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、車両が走行を停止したか否かを判定する車両停止判定手段(ステップS24、S28、S31) と、この車両停止判定手段により車両が走行を停止したと判定された場合には、車両が走行を停止した車両の位置情報を運行管理装置に送信する車両停止位置送信手段(ステップS29)と、を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載器によって取得される車両の運行データが車外の運行管理装置に送信される車両運行管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両運行管理システムとして、特許文献1には、GPSで車両の位置を所定の時間間隔毎に測位してその位置を記録し、車両が駐車位置から10メートル以上移動すると測定位置データを受信センターに送信するものが記載されている。
【0003】
特許文献2には、車両が地図データ上の分岐点を通過したと判定された場合には、分岐点通過後の車両の位置情報を送信するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−95072号公報
【特許文献2】特開2006−23909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の車両運行管理システムにあっては、車両が移動しているときに車両の位置情報を送信するため、車両が盗難された場合に車両を効率よく追跡することが難しいという問題点があった。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、車両が盗難された場合に車両を追跡するのに有効な車両位置情報が得られる車両運行管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両に搭載される車載器によって取得される車両の運行データが車外の運行管理装置に送信される車両運行管理システムであって、車載器は、車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、車両が停止したか否かを判定する車両停止判定手段と、この車両停止判定手段により車両が停止したと判定された場合には、車両が停止した車両の位置情報を運行管理装置に送信する車両停止位置送信手段と、を備える構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、車両が停止するのに伴って、車載器が車両の位置情報を運行管理装置に送信する。これにより、車両が盗難された場合には、運行管理装置は車両が停止した位置情報がすぐに得られ、車両が停止した状態を続けていれば、速やかに盗難車両を発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態を示すシステム構成図。
【図2】同じく車載器の構成図。
【図3】同じく車載器の表示例を示す正面図。
【図4】同じく不正運行モードに切換えるルーチンを示すフローチャート。
【図5】同じく運行データを送信するルーチンを示すフローチャート。
【図6】同じく車両の運転例を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施の形態に係る車両運行管理システムの構成を示すシステム構成図である。
【0012】
この車両運行管理システムは、複数の車両10にそれぞれ搭載された車載器11と、事業所50に設けられる運行管理端末器(例えばパーソナルコンピュータ)51と、基地局30に設けられる運行管理中継器31と、を備える。車載器11と運行管理端末器51とはコンピュータ機能を有し、運行管理中継器31はサーバ機能を有する。
【0013】
各車載器11と運行管理中継器31とは、無線通信(例えば携帯電話回線を利用したパケット通信網35)を介して無線通信可能に接続される。運行管理端末器51と運行管理中継器31とは、インターネット36を介して通信可能に接続される。運行管理中継器31は、車載器11と運行管理端末器51との間にて情報の送受信を中継する。
【0014】
運行管理端末器51は、各車載器11から運行管理端末器51に送られる車両の位置データ(例えばGPS情報を利用)やその他の運行データから各車両の運行状況を把握し、運行管理端末器51から各車載器11に各種の指令を送ることもできる。
【0015】
運行管理中継器31と運行管理端末器51とは、情報の送受信をして車両の運行状況を管理する運行管理装置40を構成する。
【0016】
図2は、車載器11の構成図である。車載器11は、CPU(中央演算処理装置)20と記憶部21と送受信部22と操作部13と表示部12とを備える。CPU20は、車両10の運行状況として、車両の地理的位置、車両走行速度、車両走行距離、時刻等の運行データを車内LANを介して取得する。記憶部21には、処理条件、取得した運行データ、ドライバ(運転者)のID(本人確認)情報等が記憶される。
【0017】
車載器11は、車両の地理的位置情報を取得する位置情報取得手段として、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機を介してGPS衛星からの情報を受信することによって車両の地理的位置情報を取得する。
【0018】
車載器11は、ドライバに伝える情報を表示する表示部12(図3参照)と、この表示部12上にドライバによって操作される操作部(タッチパネルやタクトSWなど)13とが設けられる。
【0019】
ドライバは、運転を開始する始業時に車載器11に後述する手順にて始業操作を行い、運転を終了する終業時に終業操作を行う。これに伴って車載器11は、始業操作信号、車両の運行データの信号、終業操作信号を送信する。
【0020】
一方、事業所50に設けられる運行管理端末器51は、始業操作信号、終業操作信号を受信し、この終業操作信号をトリガにして車載器11に必要な運行データを送信させるコマンドを送信し、これに伴って車載器11から送信される運行データを受信し、この運行データを基に例えば時刻と車両走行速度のグラフデータや時刻と車両走行距離のグラフデータ等を作成する。
【0021】
車両が盗難された場合等に対処して、車載器11は、予め設定された始業時の操作がドライバによって行われない不正運行モードを判定する不正運行モード判定手段と、この不正運行モード判定手段によって不正運行モードであることを運行管理装置40に送信する送信手段とを備える。
【0022】
図4のフローチャートは、ドライバが運行を開始する始業時に、ドライバ、車載器11、運行管理端末器51にて行われるルーチンを示している。
【0023】
ステップS1、S2、S10のルーチンでは、ドライバが所定の始業操作を行わないで車両が走行した距離(未始業時の走行距離)が所定値Ljを超えて走行した場合には、不正運行モードに入ったと判定する。
【0024】
このルーチンについて詳述すると、まず、ステップS1にて、車載器11は、車両の運転開始時にドライバによって操作されるイグニッションスイッチがONになった場合には、ステップS2に進んで、車両速度が零となる車両停止時であるか、車両速度が零でない車両走行時であるかを判定する。
【0025】
なお、イグニッションスイッチは、車両の運転開始時にドライバの操作によってONにされ、車両の運転に携わる機器を通電するものである。
【0026】
このステップS2にて、車両走行時であると判定された場合には、ステップS10に進んで、未始業時の走行距離が所定値Lj以下か否かを判定する。
【0027】
このステップS10にて、始業操作が行われない状態における未始業時の走行距離が所定値Lj以下と判定された場合には、ステップS11に進んで、未始業警告表示をする。この未始業警告表示として例えば図3の(b)に示すように、表示部12に「停車中に始業操作を行ってください」という表示をし、ドライバにパスワードを入力する操作を促す。
【0028】
一方、ステップS10にて、未始業時の走行距離が所定値Ljを超えたと判定された場合には、ステップS12に進んで、不正運行モードに入ったことを運行管理装置40に送信するとともに、ドライバに向けた警告をする。この警告として、例えば図3の(d)に示すように、表示部12に「管理者に位置情報などを通報しました」という表示をし、不正運行モードに入ったことをドライバに知らせる。さらに、警告としてブザー音を鳴らし、「管理者に通報をしました」という音声をだすようになっている。
【0029】
また、ステップS1〜S9のルーチンにて、ドライバが誤った始業操作を行った場合には、不正運行モードに入ったと判定される。
【0030】
このルーチンについて詳述すると、ステップS2にて、車両停止時であると判定された場合には、続くステップS3に進んで、始業操作表示をする。この始業操作表示として、例えば図3の(a)に示すように、表示部12に「パスワード入力」という表示をし、ドライバにパスワードを入力する操作を促す。
【0031】
この表示を見たドライバは、車載器11を操作して予め設定された例えば4つの数字からなるパスワードを入力する、始業操作を行う。
【0032】
続くステップS4にて、入力されたパスワードが正しいか否かを判定する。ここでは、車載器11のデータベース21DBに予め設定されたデータに基づき、入力されたパスワードが正しいか否かを判定する。
【0033】
このステップS4にて、入力されたパスワードが正しいと判定された場合には、ステップS13に進み、正しい始業操作が行われたことを運行管理装置40に送信する。
【0034】
一方、ステップS4にて、入力されたパスワードが誤っていると判定された場合は、続くステップS5に進み、既に不正運行モードに入っているか否かを判定する。
【0035】
このステップS5にて、既に不正運行モードに入っていることが判定された場合には、ステップS12に進んで、不正運行モードにおいて誤った始業操作が行われたことを運行管理装置40に送信する。
【0036】
こうして、既に不正運行モードに入っている場合には、イグニッションスイッチがONになった時点から、ドライバが始業操作を行う機会が1回だけ与えられる。
【0037】
一方、ステップS5にて、不正運行モードに入っていないことが判定された場合には、続くステップS6に進んで、図3の(c)に示すように、表示部12に「パスワードが違います」という表示をした後に、2回目の始業操作表示(図3の(a)参照)をし、ドライバにパスワードを入力する操作を促す。
【0038】
この表示を見たドライバは、車載器11を操作して予め設定された所定のパスワードを入力する、2回目の始業操作を行う。
【0039】
続くステップS7にて、再び、入力されたパスワードが正しいか否かを判定する。
【0040】
このステップS7にて、入力されたパスワードが正しいと判定された場合には、ステップS13に進み、正しい始業操作が行われたことを運行管理装置40に送信する。
【0041】
一方、ステップS7にて、入力されたパスワードが誤っていると判定された場合は、続くステップS8に進で、図3の(c)に示すように、表示部12に「パスワードが違います」という表示をした後に、3回目の始業操作表示(図3の(a)参照)をし、ドライバにパスワードを入力する操作を促す。
【0042】
この表示を見たドライバは、車載器11を操作して予め設定された所定のパスワードを入力する、3回目の始業操作を行う。
【0043】
続くステップS9にて、入力されたパスワードが正しいか否かを判定する。
【0044】
このステップS9にて、入力されたパスワードが正しいと判定された場合には、ステップS13に進み、正しい始業操作が行われたことを運行管理装置40に送信する。
【0045】
一方、ステップS9にて、入力されたパスワードが誤っていると判定された場合は、ステップS12に進んで、不正運行モードに入ったことを運行管理装置40に送信するとともに、ドライバに前記の警告をする。
【0046】
こうして、不正運行モードに入っていない場合には、イグニッションスイッチがONになった時点から、ドライバが始業操作を行う機会が所定の複数回として3回だけ与えられる。
【0047】
運行管理装置40では、ステップS14にて、不正運行モードに入ったというデータを入力し、運行管理端末器51に不正運行モードに入ったことを知らせる表示をする。
【0048】
管理者は、運行管理端末器51の表示を見て不正運行モードに入ったことを知り、ステップS15にて、追跡モードに切換えるかどうかを任意に決められる。管理者が運行管理端末器51を操作して追跡モードに切換えると、ステップS16に進んで、車載器11に追跡モードに対応した運行データを送信させるコマンドを送信する。
【0049】
車載器11は、不正運行モードにて、以下のタイミングで運行データを送信する。
・イグニッションスイッチがOFFからONになった車両の運転開始時。
・イグニッションスイッチがONからOFFになった車両の運転停止時。
・車両の走行速度が零となる車両停止時。
・車両の走行速度が零から高まった車両発進時。
・車両の走行時間が所定の設定時間TMを超えた時。
【0050】
なお、上記の設定時間TMは、追跡モードにて短くなる。例えば、追跡モードにない場合の設定時間TMは30分に設定され、追跡モードにある場合の設定時間TMは1分に設定される。
【0051】
図5のフローチャートは、不正運行モードにて、車載器11が運行データを送信するルーチンを示している。
【0052】
まず、ステップS21にて、イグニッションスイッチがOFFからONになった車両の運転開始時を判定し、車両の運転開始時にステップS22に進んで、運行データを送信する。
【0053】
上記のステップS21にて行われる処理が、車両が運転を開始したか否かを判定する車両運転開始判定手段に相当し、ステップS22にて行われる処理が、車両が運転を開始したと判定された場合には、車両が運転を開始した車両の位置情報を運行管理装置40に送信する車両運転開始位置送信手段に相当する。
【0054】
続く、ステップS23に進んで車両の走行速度が零から高まった車両発進時か否かを判定する。
【0055】
このステップS23にて、車両の走行速度が零となっている車両停止時と判定された場合には、ステップS24に進んで、イグニッションスイッチがONからOFFになった車両の運転停止時を判定し、車両の運転停止時にステップS29に進んで運行データを送信する。
【0056】
上記のステップS24にて行われる処理が、車両が運転を停止したか否かを判定する車両停止判定手段に相当し、ステップS29にて行われる処理が車両が運転を停止したと判定された場合には、車両が運転を停止した車両の位置情報を運行管理装置40に送信する車両停止位置送信手段に相当する。
【0057】
一方、ステップS23にて、車両の走行速度が零から高まった車両発進時と判定された場合には、ステップS25に進んで、運行データを送信する。
【0058】
上記のステップS23にて行われる処理が、車両が走行を開始したか否かを判定する車両走行開始判定手段に相当し、ステップS25にて行われる処理が車両が走行を開始したと判定された場合には、車両が走行を開始した車両の位置情報を運行管理装置40に送信する車両走行開始位置送信手段に相当する。
【0059】
続く、ステップS26に進んで、追跡モード(Chases Mode)か否かを判定する。
【0060】
このステップS26にて、追跡モードと判定された場合には、ステップS27に進んで、車両の走行時間が追跡モードの設定時間TM(例えば1分)を超えたか否かを判定する。
【0061】
車両の走行時間が追跡モードの設定時間TMを超えた場合には、ステップS29に進んで、運行データを送信する。
【0062】
車両の走行時間が追跡モードの設定時間TMを超えない場合には、ステップS28に進んで、車両の走行速度が零となる車両走行停止時か否かを判定し、車両走行停止時と判定された場合には、ステップS29に進んで、運行データを送信する。
【0063】
一方、ステップS26にて、追跡モードでないと判定された場合には、ステップS30に進んで、車両の走行時間が設定時間TM(例えば30分)を超えたか否かを判定する。
【0064】
車両の走行時間が設定時間TMを超えた場合には、ステップS29に進んで、運行データを送信する。
【0065】
車両の走行時間が追跡モードの設定時間TMを超えない場合には、ステップS31に進んで、車両の走行速度が零となる車両停止時か否かを判定し、車両停止時と判定された場合には、ステップS29に進んで、運行データを送信する。
【0066】
ステップS27、S30の処理が、車両の走行時間が所定の設定時間TMを超える否かを判定する車両走行時間判定手段に相当し、ステップS29の処理が、車両の走行時間が設定時間TMを超える毎に車両の位置情報を運行管理装置40に送信する車両走行時間毎送信手段に相当する。
【0067】
車両の走行時間が追跡モードの設定時間TMを超えない場合には、ステップS31に進んで、車両の走行速度が零となる車両走行停止時か否かを判定し、車両走行停止時と判定された場合には、ステップS29に進んで、運行データを送信する。
【0068】
上記のステップS28、S31にて行われる処理が、車両が走行を停止したか否かを判定する車両停止判定手段に相当し、ステップS29にて行われる処理が、車両が走行を停止したと判定された場合には、車両の走行が停止した車両の位置情報を運行管理装置40に送信する車両停止位置送信手段に相当する。
【0069】
図6は、パスワードが正しく入力されず、不正運行モードに入った場合における車載器11の動作を示すタイミングチャートである。
【0070】
これについて説明すると、まず、T1〜T7の間では、運行開始直後の状態であり、正常運行モードと不正運行モードのどちらにあるかが決められていない。
【0071】
T1の時点では、イグニッションスイッチがONにされるのに伴って、図3の(a)に示すように、表示部12に「パスワード入力」という表示をするとともに、警告としてブザー音を鳴らし、「始業操作を行いましょう」という音声をだし、ドライバにパスワードを入力する操作を促す。
【0072】
T2の時点では、車両が走行を始めるのに伴って、図3の(b)に示すように、表示部12に「停車中に始業操作を行ってください」という表示をし、ドライバにパスワードを入力する操作を促す。
【0073】
T3の時点では、車両が走行を停止するのに伴って、図3の(a)に示すように、表示部12に「パスワード入力」という表示をするとともに、音声の警告をだし、ドライバにパスワードを入力する操作を促す。
【0074】
T4の時点では、イグニッションスイッチがOFFにされるが、T5の時点では、イグニッションスイッチがONにされるのに伴って、図3の(a)に示すように、表示部12に「パスワード入力」という表示をし、ドライバにパスワードを入力する操作を促す。
【0075】
T6の時点では、車両が走行を始めるのに伴って、図3の(b)に示すように、表示部12に「停車中に始業操作を行ってください」という表示をするとともに、音声の警告をだし、ドライバにパスワードを入力する操作を促す。
【0076】
T7の時点では、ドライバが所定の始業操作を行わないで車両が走行した距離(未始業時の走行距離L1+L2)が所定値Ljを超えて走行した場合には、不正運行モードに入ったと判定する。これに伴って、不正運行モードに入ったことを運行管理装置40に送信するとともに、図3の(d)に示すように、表示部12に「管理者に位置情報などを通報しました」という表示をし、警告としてブザー音を鳴らし、「管理者に通報をしました」という音声をだして、不正運行モードに入ったことをドライバに知らせる。
【0077】
未始業時の走行距離が所定値Ljを超えるまでは、不正運行モードに入らないため、例えば車庫で車両を移動させるような場合には、不正運行モードに入ることが避けられる。
【0078】
なお、未始業時の走行距離を判定する所定値Ljは、管理者によって例えば500〜3000mといった値に任意に設定される。
【0079】
T8の時点では、車両が走行を停止するのに伴って、運行データを運行管理装置40に送信する。これにより、車両が盗難された場合には、運行管理装置40は車両が走行を停止した位置情報がすぐに得られ、車両が走行を停止した状態を続けていれば、速やかに盗難車両を発見することができる。
【0080】
また、車両が走行を停止した状態を続けていれば、車両の走行時間が加算されず、車載器11は運行データを運行管理装置40に送信することがないため、通信回数が無駄に増えることがなく、通信コストが削減される。
【0081】
T9の時点では、車両が走行を開始するのに伴って、運行データを運行管理装置40に送信するとともに、警告としてブザー音を鳴らし、「管理者に通報をしました」という音声をだす。
【0082】
これにより、運行管理装置40は車両が走行を開始した位置情報がすぐに得られ、追跡者が盗難車両の移動に対処することができる。
【0083】
T10の時点では、車両が走行しているが、計測される車両の走行時間が設定時間TMを超えるのに伴って、運行データを運行管理装置40に送信する。これにより、車両が走行している間に、運行管理装置40は定期的に車両の位置情報が得られ、追跡者が盗難車両の移動に対処することができる。
【0084】
T11の時点では、車両が走行を停止するのに伴って、運行データを運行管理装置40に送信する。
【0085】
T12の時点では、イグニッションスイッチがOFFにされるのに伴って、運行データを運行管理装置40に送信する。これにより、不正運行モードでは、イグニッションスイッチをOFFにする操作が行われる毎に運行データが運行管理装置40に送信されるため、車両が盗難された場合には、運行管理装置40は車両が運転を停止した位置情報がすぐに得られ、盗難車両を追跡するのに有効な情報が得られ、車両が運転を停止した状態を続けていれば、速やかに盗難車両を発見することができる。
【0086】
イグニッションスイッチがOFFにされている間は、車両の走行時間が加算されず、車載器11は運行データを運行管理装置40に送信することがないため、通信回数が無駄に増えることがなく、通信コストが削減される。
【0087】
T14の時点では、イグニッションスイッチがONにされるのに伴って、運行データを運行管理装置40に送信するとともに、図3の(a)に示すように、表示部12に「パスワード入力」という表示をするとともに、音声の警告をだし、ドライバにパスワードを入力する操作を促す。
【0088】
このように、不正運行モードでは、イグニッションスイッチをONの操作が行われる毎に運行データが運行管理装置40に送信されるため、運行管理装置40は車両が運転を開始した位置情報がすぐに得られ、追跡者が盗難車両の移動に対処することができる。
【0089】
また、不正運行モードではイグニッションスイッチがONにされる毎に1度だけパスワードを入力する始業操作を行う機会が与えられる。
【0090】
T15の時点では、ドライバが誤ったパスワードを入力するが、これに伴って図3の(d)に示すように、表示部12に「管理者に位置情報などを通報しました」という表示をだし、警告としてブザー音を鳴らし、「管理者に通報をしました」という音声をだす。このとき、イグニッションスイッチがONにされてから既にパスワードの誤入力が1度行われているので、再度パスワードを入力する始業操作を行う機会は与えられない。
【0091】
T16の時点では、車両が走行を開始するのに伴って、運行データを運行管理装置40に送信する。
【0092】
T17の時点では、車両が走行を停止し、イグニッションスイッチがOFFにされるのに伴って、運行データを運行管理装置40に送信する。
【0093】
T19の時点では、イグニッションスイッチがONにされるのに伴って、運行データを運行管理装置40に送信するとともに、図3の(a)に示すように、表示部12に「パスワード入力」という表示をするとともに、音声の警告をだし、ドライバにパスワードを入力する操作を促す。
【0094】
T20の時点では、ドライバが正しいパスワードを入力するのに伴って、不正運行モードが解除される。そして、車載器11は、不正運行モードが解除されたことを運行管理装置40に送信するとともに、ドライバのID情報を認証するために、表示部12にドライバがID番号を入力する表示をだす。ドライバが自分のID番号を入力すると、車載器11がこのID情報を送信する。運行管理端末器51は受信したID情報から登録されたID情報を検索し、受信したID情報を認証するか否かを判定する。この認証は、例えば検索したID番号と受信したID番号が一致することを判定することによって行われる。
【0095】
以上のように、本実施形態では、車両に搭載される車載器11によって取得される車両の運行データが車外の運行管理装置40に送信される車両運行管理システムであって、車載器11は、車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、車両が停止したか否かを判定する車両停止判定手段と、この車両停止判定手段により車両が停止したと判定された場合には、車両が停止した車両の位置情報を運行管理装置40に送信する車両停止位置送信手段と、を備える構成とした。
【0096】
上記構成に基づき、車両が停止するのに伴って、車載器11が車両の位置情報を運行管理装置40に送信する。これにより、車両が盗難された場合には、運行管理装置40は車両が停止した位置情報がすぐに得られ、車両が停止した状態を続けていれば、速やかに盗難車両を発見することができる。
【0097】
本実施形態では、車両停止判定手段は、車両速度が零以上の値から零になる車両走行停止時を判定する構成とした。
【0098】
上記構成に基づき、車両が走行を停止するのに伴って、車載器11が車両の位置情報を運行管理装置40に送信する。これにより、車両が盗難された場合には、運行管理装置40は車両が走行を停止した位置情報がすぐに得られ、車両が走行を停止した状態を続けていれば、速やかに盗難車両を発見することができる。
【0099】
本実施形態では、車両停止判定手段は、車両のイグニッションスイッチがONからOFFにされる運転停止時を判定する構成とした。
【0100】
上記構成に基づき、車両が運転を停止するのに伴って、車載器11が車両の位置情報を運行管理装置40に送信する。これにより、車両が盗難された場合には、運行管理装置40は車両が運転を停止した位置情報がすぐに得られ、車両が運転を停止した状態を続けていれば、速やかに盗難車両を発見することができる。
【0101】
本実施形態では、車載器11は、車両が走行を開始したか否かを判定する車両走行開始判定手段と、この車両走行開始判定手段により車両が走行を開始したと判定された場合には、車両が走行を開始した車両の位置情報を運行管理装置40に送信する車両走行開始位置送信手段と、をさらに備える構成とした。
【0102】
上記構成に基づき、車両が走行を開始するのに伴って、車載器11が車両の位置情報を運行管理装置40に送信し、運行管理装置40は車両が走行を開始した位置情報がすぐに得られる。
【0103】
本実施形態では、車載器11は、車両のイグニッションスイッチがOFFからONにされる運転開始時か否かを判定する車両運転開始判定手段と、この車両運転開始判定手段により車両が運転を開始したと判定された場合には、車両が運転を開始した車両の位置情報を運行管理装置40に送信する車両運転開始位置送信手段と、をさらに備える構成とした。
【0104】
上記構成に基づき、車両が運転を開始するのに伴って、車載器11が車両の位置情報を運行管理装置40に送信し、運行管理装置40は車両が運転を開始した位置情報がすぐに得られる。
【0105】
本実施形態では、車載器11は、車両の走行時間が所定の設定時間TMを超える否かを判定する車両走行時間判定手段と、
この車両走行時間判定手段により車両の走行時間が設定時間TMを超える毎に車両の位置情報を運行管理装置40に送信する車両走行時間毎送信手段と、をさらに備える構成とした。
【0106】
上記構成に基づき、車両の走行時間が所定の設定時間TMを超える毎に定期的に車載器11が車両の位置情報を運行管理装置40に送信し、運行管理装置40は車両の位置情報が定期的に得られる。車両が運転を停止した状態(イグニッションスイッチがOFFの状態)または走行を停止した状態を続けていれば、車両の走行時間が加算されず、車載器11は運行データを運行管理装置40に送信することがないため、通信回数が無駄に増えることがなく、通信コストが削減される。
【0107】
なお、車両の走行、停止に関わらず、不正運行モードに切換ってからの運転時間が所定値を超えるタイミングT10と、イグニッションスイッチがOFFからONになった運転開始時からの運転時間が所定値を超えるタイミングT13、T18にて車載器11は運行データを運行管理装置40に送信する構成としてもよい。
【0108】
この場合には、イグニッションスイッチがOFFにされている間は、車両の運転時間が加算されず、車載器11は運行データを運行管理装置40に送信することがないため、通信回数が無駄に増えることがなく、通信コストが削減される。
【0109】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【符号の説明】
【0110】
10 車両
11 車載器
12 表示部
13 操作部
20 CPU(中央演算処理装置)
21 記憶部
22 送受信部
30 基地局
31 運行管理中継器
35 パケット通信網
36 インターネット
40 運行管理装置
50 事業所
51 運行管理端末器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載器によって取得される車両の運行データが車外の運行管理装置に送信される車両運行管理システムであって、
前記車載器は、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記車両が停止したか否かを判定する車両停止判定手段と、
この車両停止判定手段により前記車両が停止したと判定された場合には、前記車両が停止した前記車両の位置情報を前記運行管理装置に送信する車両停止位置送信手段と、を備えたことを特徴とする車両運行管理システム。
【請求項2】
前記車両停止判定手段は、車両速度が零になる車両走行停止時を判定することを特徴とする請求項1に記載の車両運行管理システム。
【請求項3】
前記車両停止判定手段は、前記車両のイグニッションスイッチがONからOFFにされる運転停止時を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の車両運行管理システム。
【請求項4】
前記車載器は、
前記車両が走行を開始したか否かを判定する車両走行開始判定手段と、
この車両走行開始判定手段により前記車両が走行を開始したと判定された場合には、前記車両が走行を開始した前記車両の位置情報を前記運行管理装置に送信する車両走行開始位置送信手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の車両運行管理システム。
【請求項5】
前記車載器は、
前記車両のイグニッションスイッチがOFFからONにされる運転開始時か否かを判定する車両運転開始判定手段と、
この車両運転開始判定手段により前記車両が運転を開始したと判定された場合には、前記車両が運転を開始した前記車両の位置情報を前記運行管理装置に送信する車両運転開始位置送信手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の車両運行管理システム。
【請求項6】
前記車載器は、
前記車両の走行時間が所定の設定時間を超える否かを判定する車両走行時間判定手段と、
この車両走行時間判定手段により前記車両の走行時間が設定時間を超える毎に前記車両の位置情報を前記運行管理装置に送信する車両走行時間毎送信手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の車両運行管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−8697(P2012−8697A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142594(P2010−142594)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000003908)UDトラックス株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】