説明

車体のフロアパネル構造

【課題】 フロアパネルの振動エネルギを効果的に低減させ、フロアパネルからの音響放射を低減することができる車体のフロアパネル構造を提供する。
【解決手段】 本発明は、車体前後方向及び車幅方向に配設された複数のフレーム部材(22,24,27-32等)に連結されたフロアパネル(2,4,6,12)により自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、フロアパネルには少なくともその一部がフレーム部材により囲まれたパネル領域(S1,S2,S4,S5,S6,S8)が形成され、フロアパネルのパネル領域にはその中央部にそれ自身が上方向又は下方向に突出された高剛性部84が形成されると共にこの高剛性部の周りに低剛性部86が形成され、高剛性部には凹凸部90が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体のフロアパネル構造に係り、特に、車体前後方向及び車幅方向に配設された複数のフレーム部材に連結されたフロアパネルにより自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造に係る。
【背景技術】
【0002】
エンジンやサスペンションが連結されたフレーム部材からの振動がフロアパネルに伝達され、このフロアパネルが振動し、その結果、不快な車室内振動や騒音が発生することが知られている。この場合、振動源として、エンジン自体の振動や、サスペンションから伝わるロードノイズが問題となり、このロードノイズには、一般に、タイヤの空洞共鳴によるものと、サスペンションの共振によるものとがある。このようなエンジンやサスペンションから伝達される不快な振動は、自動車では主に400Hz以下であり、特にタイヤの空洞共鳴に起因したロードノイズである250Hz付近の周波数にピークを有している。
【0003】
従来、これらの振動騒音を抑制するためにフロアパネル及びその近傍の車体各部に、種々の防振及び防音対策として、制振材や防振材を貼付けることが一般的に行われている。
また、フロアパネルにビードを多数形成したり、パネル厚を大きくすることでその剛性を高め、それにより、フロアパネルの固有振動数を400Hzよりも高い高帯域にずらすことも知られている。つまり、フロアパネルがサスペンションの共振周波数やタイヤの空洞共鳴周波数帯域等で共振しないようにして、不快な振動騒音を低減するようにしているのである。
また、特許文献1に記載の車体パネル構造では、パネルに、曲げ、圧縮、引張りに強い複数のシェル構造の凸部と、これらの凸部の間に縦横に延びる凹部とを形成し、凹部に振動を集中させ、この凹部に制振材を設けることにより振動を減衰させている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−107235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フロアパネル及びその近傍の車体各部に制振材や防振材を貼付ける技術では、振動及び騒音の低減が可能であるが、一方で非常に大量の制振材や防振材を必要とするため、車両重量が増加し、それにより、様々な悪影響やコストの面で大きな問題があった。また、フロアパネルにビードを多数形成したりパネル厚を大きくする技術では、低周波の領域における共振ピークを抑制できる利点があるが、一方で、高音域の振動が逆に多くなるため、高周波領域における振動騒音を抑制するための制振材や防振材が多く必要となり、車両重量が増加し、それにより、様々な悪影響やコストの面で問題があった。
【0006】
また、特許文献1記載の車体パネル構造を適用しても振動及び騒音の低減が困難な以下のような場合があった。つまり、フロアパネルに凸部を形成する場合、フロアパネルの車体下方及び上方に配置された排気管や補機類等と干渉しない高さ、或いは、乗員の足の踏み心地を悪化させない高さに抑える必要があり、凸部をそれらのような高さに抑えた結果、曲げ、圧縮、引張りに十分に強い凸部を形成することが出来ない場合があった。このような場合、凹部に振動が集中せず、振動を効果的に低減することが出来なかった。さらに、凸部自体に低次モードの振動が生じて音響放射の要因となり、特に、400Hz以下の周波数で低次モードの振動が生じて、ロードノイズが増大する場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、車体のフレーム部材から伝わった振動によるフロアパネルの振動エネルギを効果的に低減させ、フロアパネルからの音響放射を低減することができる車体のフロアパネル構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明は、車体前後方向及び車幅方向に配設された複数のフレーム部材に連結されたフロアパネルにより自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、フロアパネルには少なくともその一部がフレーム部材により囲まれたパネル領域が形成され、フロアパネルのパネル領域にはその中央部にそれ自身が上方向又は下方向に突出された高剛性部が形成されると共にこの高剛性部の周りに低剛性部が形成され、高剛性部には凹凸部が形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、フロアパネルのパネル領域の中央部にそれ自身が上方向又は下方向に突出された高剛性部が形成されると共にこの高剛性部の周りに低剛性部が形成されているので、高剛性部と低剛性部との剛性差により、低剛性部に振動エネルギが集中し、振動の歪みが大きくなる。その低剛性部では、フロアパネルを構成する材質自体の減衰能により振動エネルギが熱エネルギに変換される。その結果、フロアパネルの振動エネルギが低減されるので、フロアパネルからの音響放射が低減される。そして、例えば、低剛性部に制振材を設けてさらにフロアパネルの振動エネルギを低減させることも出来る。
さらに、本発明においては、高剛性部には凹凸部が形成されているので、高剛性部の高さを大きくとらなくても、高剛性部の剛性を効果的に高めることが出来る。つまり、フロアパネルの車体下方及び上方に設けられた排気管や補機類等に干渉することなく、或いは、乗員の足の踏み感を悪化させることなく高剛性部の剛性を高めることが出来、その結果、上述した剛性差を確実に得て、フロアパネルからの音響放射を低減させることが出来る。さらに、凹凸部により剛性が高まるので、高剛性部自体に低次モードの振動が生じにくくなり、そのような低次モードの振動による音響放射を抑制することが出来る。この場合、比較的低周波である例えば400Hz以下の周波数で低次モードの振動の発生を抑制することが可能であり、その結果、ロードノイズの増大を防止することが出来る。特に、高剛性部の面積が大きい場合に低次モードの振動が生じ易くなるが、凹凸部を設けることにより、そのような低次モードの振動の発生を抑制することが出来る。これらの結果、フロアパネルからの音響放射を効果的に低減させて不快な車室内振動や騒音を抑制することが出来る。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、凹凸部は高剛性部においていかなる方向に直線状の横断面をとっても少なくとも1つ現れるように形成されている。
このように構成された本発明においては、凹凸部は高剛性部においていかなる方向に直線状の横断面をとっても少なくとも1つ現れるように形成されているので、高剛性部に低次の振動モードが生じることをより確実に防止することが出来る。即ち、このように形成された凹凸部は、例えば図4に示すような低次の振動モードの振動の腹が生じる領域(振動によってたわむ領域)に確実に延び且つ横断するので、そのような振動の腹が生じにくくなる。この結果、車室内の不快な振動や騒音が増大することを防止することが出来る。また、このように形成された凹凸部により、高剛性部の剛性をより確実に高めることが出来、上述した排気管等への干渉や乗員の踏み感の悪化等を防止することが出来る。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、凹凸部は複数のビードである。
このように構成された本発明においては、凹凸部は複数のビードであるので、簡易な構造で高剛性部の剛性を高めることが出来る。また、ビード自身の剛性が高いので、高剛性部が例えば400Hz以下のような低周波数で共振しにくくなり、低次の振動モードの振動が生じることをより確実に防止することが出来る。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、複数のビードは高剛性部の中央部から放射状に延びる。
このように構成された本発明においては、複数のビードは高剛性部の中央部から放射状に延びるので、簡易な構成で、高剛性部の剛性をその全体にわたってより確実に高めることが出来ると共に低次の振動モードが生じることをより確実に防止することが出来る。つまり、複数のビードが高剛性部の中央部から放射状に延びることにより、高剛性部が特定の部分で折れ曲がりにくくなり、その結果、低次の振動モードの振動の腹が生じることをより確実に防止することが出来る。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、複数のビードは、それぞれ、その軸線が隣り合う他のビードの軸線と交わるように配置されている。
このように構成された本発明においては、複数のビードは、それぞれ、その軸線が隣り合う他のビードの軸線と交わるように配置されているので、簡易な構成で、高剛性部の剛性をその全体にわたってより確実に高めることが出来ると共に低次の振動モードが生じることをより確実に防止することが出来る。つまり、複数のビードがそれぞれその軸線が隣り合う他のビードの軸線と交わるように配置されていることにより、高剛性部が特定の部分で折れ曲がりにくくなり、その結果、低次の振動モードの振動の腹が生じることをより確実に防止することが出来る。また、高剛性部においていかなる方向に直線状に横断面をとっても少なくとも1つのビードが現れるように形成し易くなる。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、複数のビードは、それぞれ、高剛性部の中央部からその半径方向に対して所定の角度傾いて延びるように配置されている。
このように構成された本発明においては、複数のビードは、それぞれ、高剛性部の中央部からその半径方向に対して所定の角度傾いて延びるように配置されているので、簡易な構成で、高剛性部の剛性をその全体にわたってより確実に高めることが出来ると共に低次の振動モードが生じることをより確実に防止することが出来る。つまり、複数のビードがそれぞれ高剛性部の中央部からその半径方向に対して所定の角度傾いて延びるように配置されていることにより、高剛性部が特定の部分で折れ曲がりにくくなり、その結果、低次の振動モードの振動の腹が生じることをより確実に防止することが出来る。また、高剛性部においていかなる方向に直線状に横断面をとっても少なくとも1つのビードが現れるように形成し易くなる。
【0014】
また、本発明において、好ましくは、複数のビードは、それぞれ、その一端部が隣合う他のビードの辺内に近接し或いは当接するように配置されている。
このように構成された本発明においては、複数のビードは、それぞれ、その一端部が隣合う他のビードの辺内に近接し或いは当接するように配置されているので、簡易な構成で、高剛性部の剛性をその全体にわたってより確実に高めることが出来ると共に低次の振動モードが生じることをより確実に防止することが出来る。つまり、複数のビードがそれぞれその一端部が隣合う他のビードの辺内に近接し或いは当接するように配置されていることにより、高剛性部が特定の部分で折れ曲がりにくくなり、その結果、低次の振動モードの振動の腹が生じることをより確実に防止することが出来る。また、高剛性部においていかなる方向に直線状に横断面をとっても少なくとも1つのビードが現れるように形成し易くなる。
【0015】
また、本発明において、好ましくは、凹凸部は複数のディンプルである。
このように構成された本発明においては、凹凸部は複数のディンプルであるので、簡易な構造で高剛性部の剛性を高めることが出来る。また、ディンプルは複数設けられ、これらのディンプル自身の剛性が高いので、高剛性部が例えば400Hz以下のような低周波数で共振しにくくなり、低次の振動モードの振動が生じることをより確実に防止することが出来る。
【0016】
また、本発明において、好ましくは、複数のディンプルは不規則に配置されている。
このように構成された本発明においては、複数のディンプルは不規則に配置されているので、高剛性部が特定の部分で折れ曲がりにくくなり、高剛性部の剛性をより確実に高めることが出来ると共に低次の振動モードの振動の腹が生じることをより確実に防止することが出来る。また、高剛性部においていかなる方向に直線状に横断面をとっても少なくとも1つのディンプルが現れるように形成し易くなる。
【0017】
また、本発明において、好ましくは、凹凸部は互いに平行に直線状に延びる複数のビードである。
このように構成された本発明においては、凹凸部は互いに平行に直線状に延びる複数のビードであるので、簡易な構造で高剛性部の剛性を高めることが出来る。また、ビード自身の剛性が高く、さらに、複数のビードが互いに平行に直線状に延びるので、そのビードが延びる方向に折れ曲がりにくくなり、低次の振動モードの振動が生じることをより確実に防止することが出来る。
【0018】
また、本発明において、好ましくは、高剛性部は長方形状に形成され、互いに平行に直線状に延びる複数のビードは長方形状の高剛性部の長辺に平行に延びる。
このように構成された本発明においては、互いに平行に直線状に延びる複数のビードは長方形状の高剛性部の長辺に平行に延びるので、例えば図4(e)に示すような2×1モードの振動の腹が生じる領域にビードが延びることになり、長方形状の高剛性部の長手方向に2×1モードの振動が生じることをより確実に防止することが出来る。
【0019】
また、本発明において、好ましくは、互いに平行に直線状に延びる複数のビードは長方形状の高剛性部の長辺とほぼ同じ長さで延びる。
このように構成された本発明においては、互いに平行に直線状に延びる複数のビードは長方形状の高剛性部の長辺とほぼ同じ長さで延びるので、高剛性部の剛性をより確実に高めることが出来ると共に長方形状の高剛性部の長手方向に2×1モードの振動が生じることをより確実に防止することが出来る。
【0020】
また、本発明において、好ましくは、凹凸部は、高剛性部が上方向に突出して形成されているときは下方向に突出するように形成され、高剛性部が下方向に突出して形成されているときは上方向に突出するように形成されている。
このように構成された本発明においては、凹凸部は、高剛性部が突出する方向と反対側の方向に突出して形成されているので、凹凸部が高剛性部の内方の空間に形成されることになる。その結果、凹凸部が排気管や補機類等と干渉しないようにすることが出来ると共に、高剛性部の高さをフロアパネルの車体下方及び上方に設けられた排気管や補機類等と干渉しない高さまで最大限に高く形成することが可能となる。従って、高剛性部自体の剛性を最大限に高めることが出来る。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、車体のフレーム部材から伝わった振動によるフロアパネルの振動エネルギを効果的に低減させ、フロアパネルからの音響放射を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の各実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の各実施形態によるフロアパネル構造を備えた自動車のアンダボディを示す斜視図である。図1に示すように、自動車のアンダボディ1は、車室の床部分(フロア部分)を構成する複数のフロアパネル2、4、6、8、10、12、14、16と、これらのフロアパネルが接続された複数のフレーム部材とから構成されている。複数のフレーム部材は、車体前後方向に延びるフロントサイドフレーム18、サイドシル20、フロアサイドフレーム22、リアサイドフレーム24と、車幅方向に延びるNo.1乃至No.9クロスメンバ26〜34と、これらのクロスメンバ間に設けられた車体前後方向に延びるNo.1乃至No.3トンネルサイドメンバ36〜38である。
【0023】
先ず、図1により、フレーム部材を説明する。自動車のアンダボディ1の車体前方部分には、エンジンルームを左右両側から囲むように車体前後方向に延びる閉断面構造の一対のフロントサイドフレーム18が設けられている。これらのフロントサイドフレーム18の車体前端部には閉断面構造のNo.1クロスメンバ26が接合され、さらに、これらのフロントサイドフレーム18には、エンジン40及びフロントサスペンションクロスメンバ42が取り付けられ、このフロントサスペンションクロスメンバ42には、フロントサスペンション44が取り付けられている。
一対のフロントサイドフレーム18の後端部は、フロア部分の車体前側の端縁部で車幅方向に延びるNo.2クロスメンバ27に接合されている。このNo.2クロスメンバ27は、車室とエンジンルームを仕切るダッシュパネル(図示せず)の下方傾斜部に取り付けられ、各フロントサイドフレーム18の車体外側に設けられた閉断面構造の一対のトルクボックスメンバ27aと、各フロントサイドフレーム18の中間に挟まるように配置された閉断面構造のダッシュロアクロスメンバ27bとから構成されている。
【0024】
このNo.2クロスメンバ27より車体後方のフロア部分に設けられた一対のサイドシル20は、閉断面構造のものであり、その前端部がNo.2クロスメンバ27の車幅方向の両端部に接合されている。これらのサイドシル20の間には、それぞれ車体前後方向に延びる一対の断面コ字状のフロアサイドフレーム22が設けられ、これらのフロアサイドフレーム22の前端部は、フロントサイドフレーム18の後端部に接合されると共にNo.2クロスメンバ27に接合されている。これらのフロアサイドフレーム22は、No.3クロスメンバ28とNo.4クロスメンバ29との間22aで車幅方向内方に張り出すように湾曲し、No.5クロスメンバ30との連結部30aにおいて車幅方向に折り曲げられ、その他の部分は直線状に延びている。
【0025】
これらのフロアサイドフレーム22の後端部には、それぞれ断面コ字状の車体前後方向に延びるリアサイドフレーム24の前端部が接合されている。また、これらのリアサイドフレーム24の前端部は、車幅方向外方に向けて曲がり、サイドシル20の車幅方向内方の側面にも接合され、この前端部には、車幅方向に延びる補強部材24aが設けられている。これらのリアサイドフレーム24は、フロア部分の車体後側の端縁部まで延び、これらのリアサイドフレーム24には、そのNo.7クロスメンバ32とNo.8クロスメンバ33との間にリアサスペンションクロスメンバ46が取り付けられ、このリアサスペンションクロスメンバ46には、リアサスペンション48が取り付けられている。
【0026】
また、No.2クロスメンバ27の車体後方側には、No.2クロスメンバ27に平行に車幅方向に直線状に延びNo.3クロスメンバ28が設けられている。このNo.3クロスメンバ28は、その車幅方向の左右両端部がそれぞれサイドシル20に接合され、また、その車幅方向の左右両側においてフロアサイドフレーム22と交差すると共にフロアサイドフレーム22に接合されている。このNo.3クロスメンバ28の車体後方側には、No.3クロスメンバ28に平行に車幅方向に直線状に延びるNo.4クロスメンバ29が設けられ、その車幅方向の左右両端部はサイドシル20に接合されている。また、No.4クロスメンバ29は、その車幅方向の左右両側においてフロアサイドフレーム22と交差すると共にフロアサイドフレーム22に接合されている。これらのNo.3及びNo.4クロスメンバ28、29は、フロアトンネル部50が設けられる車幅方向のほぼ中央位置において上方に突出している。
【0027】
No.4クロスメンバ29の車体後方側には、No.5乃至No.7クロスメンバ30、31、32が設けられ、各クロスメンバ30〜32は、互いに平行に車幅方向に直線状に延びている。No.5クロスメンバ30の車幅方向の左右両端部は、それぞれフロアサイドフレーム22に接合され、No.6及びNo.7クロスメンバ31、32の車幅方向の左右両端部は、それぞれリアサイドフレーム24に接合されている。No.7クロスメンバ32の車体後方側には、その車幅方向のほぼ中央が前方側に湾曲したNo.8クロスメンバ33が車幅方向に延びるように設けられ、その車幅方向の左右両端部がそれぞれリアサイドフレーム24に接合されている。
このNo.8クロスメンバ33の車体後方側には、フロア部分の車体後側の端縁部で車幅方向に直線状に延びる閉断面構造のNo.9クロスメンバ34が設けられ、その車幅方向の左右両端部がそれぞれリアサイドフレーム24の後端部に接合されている。
【0028】
さらに、車体前後方向の補強部材として、上述したフロントサイドフレーム18、サイドシル20、フロアサイドフレーム22及びリアサイドフレーム24に加えて、フロアトンネル部50の車幅方向の両側の縁部でそれぞれ車体前後方向に延びる断面コ字状のNo.1乃至No.3トンネルサイドメンバ36〜38が配設されている。No.1トンネルサイドメンバ36は、No.2クロスメンバ27とNo.3クロスメンバ28との間にわたって直線状に延び、その車体前後方向の両端部は、それぞれ、No.2クロスメンバ27及びNo.3クロスメンバ28に接合されている。No.2トンネルサイドメンバ37は、No.4クロスメンバ29とNo.5クロスメンバ30との間にわたって直線状に延び、その車体前後方向の両端部は、それぞれ、No.4クロスメンバ29及びNo.5クロスメンバ30に接合されている。No.3トンネルサイドメンバ38は、No.6クロスメンバ31とNo.7クロスメンバ32との間にわたって直線状に延び、その車体前後方向の両端部は、それぞれ、No.6クロスメンバ31及びNo.7クロスメンバ32に接合されている。
【0029】
上述した断面コ字状のフレーム部材、即ち、フロアサイドフレーム22、リアサイドフレーム24、No.3乃至No.8クロスメンバ28〜33、及び、No.1乃至No.3トンネルサイドメンバ36〜38は、いずれも、断面コ字状の開放部が車体上方に向くように形成され、各フロアパネル2、4、6、8、10、12、14、16の下面が、これらの各フレーム部材のフランジ部に接合され、略矩形の閉断面が構成される。
【0030】
次に、図1により、フロアパネルを説明する。図1に示すように、自動車のアンダボディ1には、それぞれ鋼板を一体でプレス成形した第1乃至第8フロアパネル2、4、6、8、10、12、14、16が設けられている。なお、本実施形態においては、フロアトンネル部50の車幅方向の左右両側のフロアは、互いに対称な形状に形成されており、以下では、その一方の側のパネルについてのみ説明し、他方の側のパネルについては説明を省略する。
【0031】
第1フロアパネル2は、No.2クロスメンバ27、一対のサイドシル20及びNo.3クロスメンバ28により囲まれた空間を覆うように設けられ、その車幅方向のほぼ中央位置で車体前後方向に延びるように上方に膨出するフロアトンネル部50が形成されている。第1フロアパネル2は、その前縁部がNo.2クロスメンバ27の車体後方側面に接合され、残りの3辺の縁部の下面が、一対のサイドシル20及びNo.3クロスメンバ28にそれぞれ接合され、さらに、その車幅方向の左右両側において、No.1トンネルサイドメンバ36及びフロアサイドフレーム22に、その下面が接合されている。
第1フロアパネル2には、各フレーム部材20、22、27、28、36により囲まれたパネル領域S1及びS2がそれぞれ形成されている。
【0032】
第2フロアパネル4は、No.3クロスメンバ28、一対のサイドシル20及びNo.4クロスメンバ29により囲まれた空間を覆うように設けられ、その車幅方向のほぼ中央位置で車体前後方向に延びるように上方に膨出するフロアトンネル部50が形成されている。この第2フロアパネル4は、その4辺の縁部の下面が、No.3クロスメンバ28、一対のサイドシル20及びNo.4クロスメンバ29にそれぞれ接合され、さらに、その車幅方向の左右両側において、フロアサイドフレーム22にその下面が接合されている。
【0033】
また、第2フロアパネル4のフロアトンネル部50の車幅方向の両縁部には、一直線状に折り曲げられた折れ部54が形成され、この折れ部54からフロアトンネル部50が立ち上がっている。さらに、第2フロアパネル4には、上述したフロアサイドフレーム22の湾曲部22aに沿って、その両側に直線状のビード部56が形成されている。このビード部56は、第2フロアパネル4自身を車体上方に突出して形成され、No.3クロスメンバ28からNo.4クロスメンバ29まで延びている。
第2フロアパネル4には、各フレーム部材20、22、28、29、折れ部54及びビード部56により囲まれたパネル領域S3及びS4がそれぞれ形成されている。
【0034】
第3フロアパネル6は、No.4クロスメンバ29、フロアサイドフレーム22及びNo.5クロスメンバ30により囲まれた空間を覆うように設けられ、その車幅方向のほぼ中央位置で車体前後方向に延びるように上方に膨出するフロアトンネル部50が形成されている。この第3フロアパネル6は、その4辺の縁部の下面が、No.4クロスメンバ29、各フロアサイドフレーム22及びNo.5クロスメンバ30にそれぞれ接合され、さらに、その車幅方向の左右両側において、No.2トンネルサイドメンバ37に、その下面が接合されている。
【0035】
さらに、この第3フロアパネル6には、フロアトンネル部50の左右両側において、No.4クロスメンバ29及びNo.5クロスメンバ30に平行に車幅方向に直線状に延びるビード部58が形成されている。このビード部58は、第3フロアパネル6自身を車体上方に突出して形成したものである。
第3フロアパネル6には、各フレーム部材22、29、30、37及びビード部58により囲まれたパネル領域S5及びS6がそれぞれ形成されている。
【0036】
第4フロアパネル8は、第3フロアパネル6の車幅方向外方にそれぞれ設けられ、No.4クロスメンバ29、サイドシル20、フロアサイドフレーム22及びリアサイドフレーム24により囲まれた空間を覆うように車体前後方向に延び、その後縁部がNo.8クロスメンバ33の近傍まで延びている。これらの第4フロアパネル8は、各フレーム部材20、22、24、29に接合されている。
第5フロアパネル10は、No.5クロスメンバ30、No.6クロスメンバ31、一対のフロアサイドフレーム22及び一対のリアサイドフレーム24により囲まれた空間を覆うように設けられ、その4辺の縁部の下面が、それぞれ、それらのフレーム部材22、24、30、31に接合されている。
また、第5フロアパネル10のフロアトンネル部50の車幅方向の両縁部には、一直線状に折り曲げられた折れ部54が形成され、この折れ部54からフロアトンネル部50が立ち上がっている。
第5フロアパネル10には、各フレーム部材22、24、30、31及び折れ部54により囲まれたパネル領域S7が形成されている。
【0037】
第6フロアパネル12は、No.6クロスメンバ31、No.7クロスメンバ32及び一対のリアサイドフレーム24により囲まれた空間を覆うように設けられ、その4辺の縁部の下面が、それぞれ、それらのフレーム部材24、31、32にそれぞれ接合され、さらに、その車幅方向の左右両側において、No.3トンネルサイドメンバ38に、その下面が接合されている。
第6フロアパネル12には、各フレーム部材24、31、32、38により囲まれたパネル領域S8が形成されている。
【0038】
第7フロアパネル14は、No.7クロスメンバ32、No.8クロスメンバ33及び一対のリアサイドフレーム24により囲まれた空間を覆うように設けられ、その4辺の縁部の下面が、それぞれ、それらのフレーム部材24、32、33に接合されている。
第8フロアパネル16は、No.8クロスメンバ33、No.9クロスメンバ34及び一対のリアサイドフレーム24により囲まれた空間を覆うように設けられ、その4辺の縁部の下面が、それぞれ、それらのフレーム部材24、33、34に接合されている。
【0039】
このような自動車のアンダボディ1において、エンジン40、フロントサスペンション44及びリアサスペンション48の振動は、それぞれ、フロントサスペンションクロスメンバ42、フロントサイドフレーム18、リアサスペンションクロスメンバ46を経由して、一対のフロアサイドフレーム22及びリアサイドフレーム24に大きく伝達され、さらに、各クロスメンバ26〜34、サイドシル20、各トンネルサイドメンバ36〜38に伝達され、これらの振動が第1乃至第8フロアパネル2、4、6、8、10、12、14、16に伝達される。各フロアパネルに伝達される振動は、上述したように、特にタイヤの空洞共鳴に起因したロードノイズである250Hz付近の周波数にピークを有する主に400Hz以下の振動であり、このような振動によりフロアパネルからの音響放射が生じ、車室内の振動騒音を悪化させる要因となる。
本発明の各実施形態では、フロアパネル2、4、6、12の各パネル領域S1、S2、S4、S5、S6及びS8に振動低減構造を設けることにより、フレーム部材から伝達された振動によりそれらのパネル領域から放射される音響放射を抑制するようにしている。なお、フロアパネル8、10、14、16は、従来のパネルで構成されている。
【0040】
ここで、振動低減構造を説明する。振動低減構造は、フレーム部材などで囲まれたフロアパネルの所定の領域(パネル領域)に、所定の剛性の高い部分(高剛性部)と所定の剛性の低い部分(低剛性部)とを設けたものである。この領域に伝達された振動の振動エネルギは、高剛性部と低剛性部との剛性差により低剛性部に集中し、この集中した振動エネルギにより生じる大きな振動ひずみとフロアパネルを構成する材質(鋼板)自体の減衰能により、振動エネルギが熱エネルギに変換され、その結果、振動が低減される(振動低減効果)。このように振動が低減した結果、フロアパネルからの音響放射が低減される。さらに、低剛性部に制振材を設けることにより、振動がさらに大きく低減される。このような振動低減効果により、フロアパネルから放射される音響放射が効果的に低減されるようになっている。
【0041】
このような振動低減構造による音響放射の低減の効果を実験により確認した結果を、図2及び図3により説明する。図2は、振動低減構造を有するフロアパネルの実験モデルを示す平面図(a)及びA-A線に沿って見た断面図(b)であり、図3は、図2の実験モデル及び従来のパネルの実験モデルから得た実験結果を示す線図である。
図2に示すように、実験モデルは、平面視で正方形状に配置した断面矩形の実験用のフレーム部材60に、振動低減構造を有するパネル62を設けたものである。パネル62は、厚さ約0.7mmの鋼鈑をプレス成形したものであり、フレーム部材60に囲まれたパネルの大きさは、いずれも、縦横の長さがそれぞれ約300mmの大きさとなっている。このパネル62には、高剛性部64と、この高剛性部64の周囲の全域の平らな低剛性部66とが形成され、低剛性部66に制振材68が貼付けられている。
【0042】
また、従来のパネルとして、このパネル62と同じ厚さの鋼鈑で全面を平らに形成したパネルをフレーム部材60に設けた実験モデルも用意した(図示せず)。この従来のパネルには、その全面に、パネル62と同量の制振材を貼付けた。実験では、フロアパネルが取り付けられているフレーム部材60の一部を加振器で500Hz以下の周波数(ホワイトノイズ)の加振力を与えて、フレームの振動の大きさに対するパネルの振動の大きさの比(振動率)を測定した。
図3に示すように、振動低減構造を有するパネル62の振動率は、従来のパネルに対し、400Hz以下の周波数の比較的全域に亘って低下し、特に、タイヤの空洞共鳴に起因するロードノイズにより250Hz付近に現れるピークの高さが大きく低下している。このように、振動低減構造によりパネルから放射される音響放射が低減されると言える。
【0043】
ここで、図4により、後述する凹凸部(例えば、図5の符号90参照)が形成されていない高剛性部に生じる振動モードについて説明する。図4は、凹凸部が形成されていない高剛性部に生じる振動モードを説明するための高剛性部の部分拡大平面図である。図4(a)〜(e)において、破線は振動の腹が生じる領域を示し、図中の「+」と「−」は、それぞれの振動の腹の変位が、高剛性部の面外方向に互いに反対側の方向に生じることを示す。
図4に示す高剛性部74は、いずれも矩形状に形成され、この高剛性部74には、後述する凹凸部(例えば、図5の符号90参照)が形成されていない。このような高剛性部74において、その上方或いは下方への突出高さを大きくとれず、その剛性を十分に高めることが出来ない場合、高剛性部74には、1×1モード(図4(a))、2×1モード(図4(b)、(c))、或いは、2×2モード(図4(d))の振動がそれぞれ生じ易くなる。また、高剛性部74が長方形状である場合には、2×1モード(図4(e))が生じ易くなる。
【0044】
このような低次の振動モードがロードノイズ等で問題となる400Hz以下の周波数で生じる場合、そのような振動に起因してロードノイズが放射され、上述した振動低減効果を弱めてしまう場合がある。そこで、本発明の実施形態では、これらの低次の振動モードが高剛性部に生じないように凹凸部を高剛性部に設けた振動低減構造を上述したパネル領域S1、S2、S4、S5、S6及びS8に適用して、上述した振動低減効果を確実に得られるようにするようにしている。
【0045】
次に、本発明の第1実施形態によるフロアパネル構造を具体的に説明する。本発明の第1実施形態は、パネル領域S8に適用され、また、パネル領域S4乃至S6にも適用されている。
先ず、図5により、パネル領域S8のフロアパネル構造を説明する。図5は、本実施形態によるパネル領域S8を示す拡大平面図(a)及びそのV-V線に沿って見たパネル領域S8の車幅方向の断面構造を示す断面図(b)である。
図5(a)に示すように、パネル領域S8は、フレーム部材24、31、32、38に囲まれて形成され、各フレーム部材24、31、32、38がそれぞれ直線状に延びると共に対向するフレーム部材が互いに平行に延びる矩形状に形成されている。
【0046】
このパネル領域S8には、その中央部に矩形状の高剛性部84が形成されると共にこの高剛性部84の周りの全域にロ字状に延びる低剛性部86が形成されている。
図5(b)に示すように、高剛性部84は、フロアパネル自身を車体上方に突出して形成されて剛性が高められている。具体的には、その断面形状は、その中央部がほぼ平らであり、その周縁部が低剛性部86から不連続な角度で立ち上がると共に曲線状に延びている。なお、高剛性部84は、車体下方に突出するようにしても良い。一方、低剛性部86は、その剛性が高剛性部84より小さくなるように、ほぼ平らに形成されている。
【0047】
また、図5(a)に示すように、高剛性部84の低剛性部86との境界をなす直線状に延びる4つの辺が、それぞれ、各フレーム部材24、31、32、38と平行になるように形成されており、低剛性部86の剛性を高めないようにしている。即ち、高剛性部の低剛性部との境界部が円弧状であると低剛性部の剛性を高めてしまうが、本実施形態では、高剛性部84をそのパネル領域S8の形状に相似させたほぼ矩形状に形成し、高剛性部の各辺と各フレーム部材24、31、32、38とが平行になるようにして、高剛性部84と低剛性部86との剛性差が確実に得られるようにしている。
【0048】
また、図5(a)及び(b)に示すように、低剛性部86には、そのほぼ全域に制振材88が設けられており、低剛性部86に集中した振動を効果的に低減するようになっている。この制振材88は、本実施形態では、アスファルト系制振材であり、高剛性部84の外周縁(低剛性部86との境界)に沿った矩形状の開口を有すると共に、低剛性部84の外形に合わせてロ字状に延びるシート状に形成され、低剛性部86に貼り付けられている。なお、制振材88は、塗布型制振材などの他の制振材でも良い。
【0049】
ここで、図5(a)に示すように、高剛性部84には複数の凹凸部90が形成されている。本実施形態では、これらの凹凸部90により、高剛性部84の剛性をより確実に高めると共に高剛性部84に主に400Hz以下の周波数で低次の振動モード(図4参照)が生じないようにしている。
具体的には、凹凸部90は、直線状に延びる複数のビード90である。図5(b)に示すように、これらのビード90は、高剛性部84を車体下方、つまり、高剛性部84が突出する方向と反対側の方向に突出して形成されている。
【0050】
図5(a)に示すように、これらのビード90は、それぞれ、高剛性部84の中心に対し互いに同じ相対角度の位置に配置され、高剛性部84の中央部から外方に向けて延びている。各ビード90の延びる方向は、高剛性部84の中心に対する半径方向に対し、所定の角度で傾いた方向である。即ち、各ビード90は、高剛性部84の中心に対する半径方向には延びないように形成されている。そして、各ビード90は、それぞれ、その軸線が隣り合う他のビード90の軸線と交わり、且つ、その一端部が隣り合う他のビード90の辺内に近接するように配置されている。また、各ビード90の他端部は、高剛性部84の各辺(低剛性部86との境界)に近接するように配置されている。なお、ビード90の一端部が隣り合う他のビード90に当接し、他端部が高剛性部84の各辺に当接するようにしても良い。
このようにして高剛性部84に形成されたビード90は、高剛性部84においていかなる方向に直線状の横断面をとっても少なくとも1つ現れるように、言い換えれば、高剛性部84においていかなる方向に直線を引いても少なくとも1つのビード90を横切るように配置されている。
【0051】
次に、図6及び図7により、パネル領域S4乃至S6のフロアパネル構造を説明する。図6は、本実施形態によるパネル領域S4を示す拡大平面図(a)及びそのVI-VI線に沿って見た車幅方向の断面図(b)であり、図7は、本実施形態によるパネル領域S5及びS6を示す拡大平面図(a)及びそのVII-VII線に沿って見たパネル領域S5の車体前後方向の断面図(b)である。ここで、各パネル領域S4乃至S6に設けた振動低減構造の基本的な形状及び配置は、パネル領域S8と同じであるので、ここでは、主にパネル領域S8と異なる点について説明する。
【0052】
図6(a)に示すように、パネル領域S4は、フレーム部材であるNo.3クロスメンバ28及びNo.4クロスメンバ29と、フロアトンネル部50の縁部に形成された直線状に延びる折れ部54と、フロアサイドフレーム22の湾曲部22aに沿って形成された直線状のビード部56とに囲まれて台形状に形成されている。ここで、折れ部54及びビード部56は、いずれもパネル領域S4の振動領域を規制する振動規制部としての役割を果たしている。
また、図7(a)に示すように、パネル領域S5及びS6はビード部58を共有し、パネル領域S5及びS6は、このビード部58と、各フレーム部材22、29、30、37とに囲まれて、それぞれ、台形状に形成されている。ここで、ビード部58は、パネル領域S5に生じる振動と隣り合うパネル領域S6に生じる振動とが互いに連成しないように振動を規制する振動規制部としての役割を果たしている。
【0053】
図6(a)及び図7(a)に示すように、パネル領域S4乃至S6には、それぞれ、高剛性部84と、この高剛性部84の周囲の全域にほぼロ字状に延びる低剛性部86とが形成されている。高剛性部84は、各パネル領域S4乃至S6の形状とそれぞれほぼ相似する台形状に形成され、その各辺が、各フレーム部材22、28、29、30、37、折れ部54或いはビード部56、58とそれぞれ平行になるように配置されている。このようにして低剛性部86の剛性が高まらないようになっており、その結果、高剛性部84と低剛性部86との剛性差が確実に得られるようになっている。
【0054】
また、図6(b)に示すように、パネル領域S4に形成された高剛性部84の断面形状は、その中央部がほぼ平らであり、その周縁部が低剛性部86から不連続な角度で立ち上がると共に曲線状に延びている。また、図7(b)に示すように、パネル領域S5に形成された高剛性部84は、曲面高さが連続的に変化するドーム状の断面形状となるように形成され、図示しないが、パネル領域S6も同様の形状に形成されている。また、図6(b)及び図7(b)に示すように、低剛性部86は、パネル領域S8と同様に平らに形成され、そのほぼ全域に制振材88が設けられている。
【0055】
さらに、図6(a)及び図7(a)に示すように、各パネル領域S4乃至S6の高剛性部84には、パネル領域S8と同様に凹凸部(ビード)90が形成されており、高剛性部84の剛性をより確実に高めると共に高剛性部84に主に400Hz以下の周波数で低次の振動モード(図4参照)が生じないようにしている。
以上説明したこれらのパネル領域S4乃至S6のように、フレーム部材に加えて、振動規制部である折れ部54やビード部56、58に囲まれた領域においても、本実施形態の振動低減構造により振動エネルギを低減することが出来るようになっている。
【0056】
次に、第1実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態のパネル領域S4、S5、S6及びS8には、高剛性部84と、この高剛性部84の周りに形成された低剛性部86とが設けられているので、高剛性部84と低剛性部86との剛性差により、低剛性部86に振動エネルギが集中する。そして、低剛性部86で、集中した振動エネルギにより生じる大きな振動ひずみとフロアパネルを構成する材質自体の減衰能により振動エネルギが熱エネルギに変換される。さらに、低剛性部86の歪みに伴って低剛性部84に設けた制振材88が歪み、低剛性部86に集中した振動エネルギが熱エネルギに変換される。これらの結果、パネル領域の振動エネルギが低減されるので、パネル領域からの音響放射を低減させることが出来る。
【0057】
次に、高剛性部84には凹凸部90が設けられているので、高剛性部84の剛性をより高めることが出来る。ここで、高剛性部の剛性を高めるには、高剛性部の高さを大きくとるのが有効であるが、フロアパネルの車体下方或いは上方に設けられた排気管や補機類等と干渉し、或いは、乗員の足の踏み感を悪化させてしまう場合がある。しかし、本実施形態によれば、凹凸部90により、高剛性部84の高さを排気管等と干渉せず或いは乗員の足の踏み感を悪化させない高さに抑えつつ、高剛性部84の剛性を確実に高めることが出来る。特に、パネル領域の面積が大きい場合、低剛性部に振動を集中させるために高剛性部の面積を大きくとるのが有効であり、その場合、高剛性部の剛性を高めるために面積が小さい場合よりも高さを大きくとる必要があるが、このような場合でも、本実施形態の凹凸部90によれば、高剛性部の高さを抑えつつ、高剛性部の剛性を確実に高めることが出来る。このようにして、排気管等との干渉や乗員の足の踏み心地を防止しつつ、低剛性部との剛性差をより確実に大きく得ることが出来、上述した振動の低減効果により、フロアパネルからの音響放射をより確実に低減させることが出来る。
【0058】
さらに、凹凸部90により剛性が高まるので、高剛性部自体に比較的低い周波数、例えば400Hz以下の周波数で、上述した図4に示すような低次モードの振動の発生を抑制することが出来る。特に、高剛性部の面積が大きい場合に低次モードの振動が生じ易くなるが、凹凸部を設けることにより、そのような低次モードの振動の発生を抑制することが出来る。その結果、高剛性部84の低次モードの振動の発生によるロードノイズの増大を防止することが出来る。
【0059】
次に、この凹凸部90は、高剛性部84においていかなる方向に直線状に横断面をとっても少なくとも1つ現れるように配置されているので、低次の振動モードが生じることをより確実に防止することが出来る。即ち、このように配置された凹凸部90は、図4に示すような低次の振動モードの振動の腹が生じる領域に確実に形成され、或いは、振動たわみが生じる領域を横断するように形成されるので、振動の腹が生じにくくなるのである。また、高剛性部84において凹凸部90が形成されていない部分が残るが、そのような部分は、高剛性部84の端から端まで一直線状につながらないように形成されるので、そのような部分を境に折れ曲がるような特定のモードが生じにくくなるとも言える。
【0060】
次に、凹凸部は、車体下方或いは上方に突出して形成されて剛性が高められたビード90であるので、簡易な構造で、低次の振動モードの振動の腹が生じることを確実に防止することが出来る。また、ビード90は、高剛性部84が突出する方向と反対側の方向に突出して形成され、高剛性部84の内方の空間に形成されるので、ビード90が排気管等と干渉することが防止される。さらに、高剛性部84の高さを、フロアパネルの車体下方及び上方に設けられた排気管や補機類等と干渉しない高さまで最大限に高く形成することが可能となる。従って、高剛性部84自体の剛性を最大限に高めることが出来る。
【0061】
次に、このビード90は、それぞれ、高剛性部84の中心に対し互いに同じ相対角度の位置に配置され、高剛性部84の中央部から外方に向けて延びている。また、ビード90の延びる方向は、高剛性部84の中心に対する半径方向に対し、所定の角度で傾いた方向であり、高剛性部84の中心に対する半径方向には延びないように形成されている。また、ビード90は、それぞれ、その軸線が隣り合う他のビード90の軸線と交わり、且つ、その一端部が隣り合う他のビード90の辺内に近接するように配置されている。また、ビード90は、その他端部が高剛性部84の各辺(低剛性部86との境界)に近接するように配置されている。
【0062】
本実施形態では、これらのようにビード90を配置することにより、簡易な構成で、高剛性部84の剛性をその全体にわたってより確実に高めることが出来ると共に図4に示すような低次の振動モードが生じることをより確実に防止することが出来る。つまり、これらのように配置されたビード90により、高剛性部が特定の部分で折れ曲がりにくくなり、その結果、低次の振動モードの振動の腹が生じることをより確実に防止することが出来るのである。また、これらのように配置することにより、ビード90が高剛性部84の全体にわたって延びるように形成することが容易となり、特に、高剛性部84においていかなる方向に直線状に横断面をとっても少なくとも1つのビード90が現れるように形成し易くなる。
これらの結果、高剛性部84に主に400Hz以下の周波数で低次の振動モード(図4参照)が生じないようにすることが出来、不快な車室内振動や騒音が発生することをより確実に防止することが出来る。
【0063】
なお、ビード90の一端部が隣り合う他のビード90に当接し、或いは、他端部が高剛性部84の各辺に当接するようにしても同様の作用効果が得られる。
また、上述したように凹凸部90を構成すれば、その本数によらず上述した作用効果が得られる。例えば、図8に変形例を示すように、凹凸部(ビード)90の数は4本でも良く、さらに、図示しないが、例えば3本或いは6本以上形成しても良い。また、図8に示す変形例では、ビード90が、高剛性部84の中心に対する半径方向に対し、図5に示すビード90とは異なる角度で傾いた方向に延びている。このようにビード部90が延びる方向によらず上述した作用効果が得られる。
【0064】
次に、本発明の第2実施形態によるフロアパネル構造を具体的に説明する。第2実施形態は、パネル領域S1及びS2に適用されており、図1及び図9により、パネル領域S1及びS2のフロアパネル構造を説明する。図9は、パネル領域S1を示す拡大平面図(a)及びそのIX-IX線に沿って見た車幅方向の断面図(b)である。
図9(a)に示すように、パネル領域S1は、各フレーム部材20、22、27、28とに囲まれて、車体前後方向に延びる長方形状に形成されている。また、図1に示すように、パネル領域S2も、各フレーム部材22、27、28、36に囲まれて長方形状に形成されている。
【0065】
図1及び図9(a)に示すように、パネル領域S1及びS2には、それぞれ、高剛性部84と、この高剛性部84の周囲の全域にロ字状に延びる低剛性部86とが形成されている。高剛性部84は、各パネル領域S1及びS2の形状とそれぞれほぼ相似する長方形状に形成され、その各辺が、各フレーム部材20、22、27、28、36とそれぞれ平行になっている。このようにして低剛性部86の剛性が高まらないようになっており、その結果、高剛性部84と低剛性部86との剛性差が確実に得られるようになっている。
また、図9(b)に示すように、高剛性部84は、曲面高さが連続的に変化するドーム状の断面形状となるように、車体下方に突出して形成されている。また、図9(b)に示すように、低剛性部86は、パネル領域S8と同様に平らに形成され、そのほぼ全域に制振材88が設けられている。図示しないが、パネル領域S2に形成された高剛性部84も同様に形成されている。
【0066】
ここで、図1及び図9(a)に示すように、各パネル領域S1及びS2の高剛性部84には、凹凸部90が形成されており、高剛性部84の剛性をより確実に高めると共に高剛性部84に主に400Hz以下の周波数で低次の振動モード(図4参照)が生じないようにしている。具体的には、凹凸部90は2本のビード90であり、これらのビード90は、互いに平行に延びると共に高剛性部84の長辺と平行に直線状に延びている。また、これらのビード90は、高剛性部84の長辺とほぼ同じ長さで延びている。即ち、ビード90の一端部が高剛性部84の一方の短辺に近接すると共にビード90の他端部が高剛性部84の他方の短辺に近接するように、高剛性部84の長手方向にわたって延びている。また、図9(b)に示すように、これらのビードは、高剛性部84を車体上方、つまり、高剛性部84が突出する方向と反対側の方向に突出して形成されている。
【0067】
次に、第2実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態のパネル領域S1及びS2においては、上述した第1実施形態の作用効果と同様に、高剛性部84と低剛性部86により、パネル領域の振動エネルギが低減されて、パネル領域からの音響放射を低減させることが出来る。また、制振材88により、さらにパネル領域の振動エネルギが低減される。
また、上述した第1実施形態の作用効果と同様に、高剛性部84には凹凸部90が設けられているので、高剛性部84の高さを排気管等と干渉せず或いは乗員の足の踏み感を悪化させない高さに抑えつつ、高剛性部84の剛性を確実に高めることが出来る。さらに、高剛性部自体に比較的低い周波数、例えば400Hz以下の周波数で、上述した図4に示すような低次モードの振動の発生を抑制してロードノイズの増大を防止することが出来る。
【0068】
また、上述した第1実施形態の作用効果と同様に、凹凸部は、車体下方或いは上方に突出して形成されて剛性が高められたビード90であるので、簡易な構造で、低次の振動モードの振動の腹が生じることを確実に防止することが出来る。また、ビード90は、高剛性部84が突出する方向と反対側の方向に突出して形成されているので、排気管や補機類等との干渉を防止しつつ高剛性部84の高さを最大限に高く形成することが出来る。
【0069】
次に、パネル領域S1及びS2に設けた凹凸部90は、長方形状の高剛性部84の長辺と平行に直線状に延びるように形成されているので、上述した図4に示すような低次の振動モードが生じることをより確実に防止することが出来る。即ち、このような凹凸部90により、図4(e)に示すような2×1モードの振動の腹が生じる領域に凹凸部90が延びることになり、振動の腹が生じにくくなるのである。また、これらの凹凸部90は、高剛性部84の長辺とほぼ同じ長さで延びているので、より確実に2×1モードの振動の腹が生じる領域に延びて、図4に示すような低次の振動モードが生じることを防止することが出来る。
【0070】
なお、ビード90を、その長手方向の端部の両方或いは片方が、高剛性部84の短辺に当接するように形成しても同様の作用効果が得られる。また、上述したように凹凸部90を構成すれば、その本数によらず上述した作用効果が得られる。
また、高剛性部84の長辺に平行に延びるビード90と、上述したパネル領域S8に設けたような高剛性部84の中央部から放射状に延びるビード90との両方を同一の高剛性部84に形成しても良い。この場合には、第1実施形態で上述したような作用効果も得られる。
【0071】
また、図10に変形例を示すように、正方形状の高剛性部84に、上述したパネル領域S1と同様の凹凸部90を設けても同様の作用効果が得られる。特に、正方形状の高剛性部84の辺に平行に直線状に延びる複数のビード90を形成することにより、図4(a)〜(d)に示すような低次モードの振動の腹が生じる領域に凹凸部90が延びることになり、振動の腹を生じにくくすることが出来る。従って、高剛性部84の剛性をより確実に高めると共に高剛性部84に低次の振動モードが生じないようにすることが出来る。
【0072】
次に、図11により、本発明の第3実施形態によるフロアパネル構造の凹凸部について説明する。図11は、本実施形態によるフロアパネル構造の高剛性部を示す部分拡大平面図である。
図11に示すように、本実施形態では、凹凸部として複数のビード90が形成され、これらのビード90が、高剛性部84のほぼ中心で互いにつながるように形成されると共に高剛性部のほぼ中心から半径方向外方に直線状に延びるように形成されている。その他の基本的な構成は、上述した第1実施形態と同様であり、特に、ビード90が、高剛性部84においていかなる方向に直線状の横断面をとっても少なくとも1つ現れるように配置されている。
この第3実施形態による凹凸部90によっても、上述した第1実施形態の作用効果と同様の作用効果が得られ、特に、高剛性部84の剛性をより確実に高めると共に高剛性部84に低次の振動モード(図4参照)が生じないようにすることが出来る。なお、本実施形態においても、ビード90の本数によらず同様の作用効果が得られる。
【0073】
次に、図12により、本発明の第4実施形態によるフロアパネル構造の凹凸部について説明する。図12は、本実施形態によるフロアパネル構造の高剛性部を示す部分拡大平面図である。
図12に示すように、本実施形態では、凹凸部として高剛性部84に複数のディンプル92が形成されている。これらのディンプル92は、平面視で円形状に形成され、また、図示しないが、その断面は、高剛性部84が突出する方向と反対側の方向に円弧状に突出して形成されている。さらに、これらのディンプル92は、高剛性部84においていかなる方向に直線状の横断面をとっても少なくとも1つのディンプル90が現れるように、言い換えれば、高剛性部84においていかなる方向に直線を引いても少なくとも1つのディンプル92を横切るように不規則に配置されている。なお、ディンプル90を例えば千鳥状に規則的に配置して高剛性部84においていかなる方向に直線状の横断面をとっても少なくとも1つのディンプル90が現れるようにしても良い。
【0074】
このように、ディンプルの凹凸部92は、図4に示すような低次の振動モードの振動の腹が生じる領域に形成されることになり、そのような振動のたわみを抑制することが出来る。また、高剛性部84においてディンプル92が形成されていない部分が残るが、そのような部分が、高剛性部84の端から端まで一直線状につながるように形成されないので、そのような部分を境に折れ曲がるような特定のモードが生じにくくなるとも言える。また、ディンプル92が円弧状に突出して形成されているので、それ自体の剛性が高い。これらの結果、本実施形態においても、上述した第1実施形態の作用効果と同様に、高剛性部84の剛性をより確実に高めると共に高剛性部84に低次の振動モードが生じないようにすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態によるフロアパネル構造を備えた自動車のアンダボディを示す斜視図である。
【図2】振動低減構造を有するフロアパネルの実験モデルを示す平面図(a)及びA-A線に沿って見た断面図(b)である。
【図3】図2の実験モデル及び従来のパネルの実験モデルから得た実験結果を示す線図である。
【図4】凹凸部が形成されていない高剛性部に生じる振動モードを説明するための高剛性部の部分拡大平面図である。
【図5】第1実施形態によるフロアパネル構造が適用されたパネル領域S8を示す拡大平面図(a)及びそのV-V線に沿って見たパネル領域S8の車幅方向の断面構造を示す断面図(b)である。
【図6】第1実施形態によるフロアパネル構造が適用されたパネル領域S4を示す拡大平面図(a)及びそのVI-VI線に沿って見た車幅方向の断面図(b)である。
【図7】第1実施形態によるフロアパネル構造が適用されたパネル領域S5及びS6を示す拡大平面図(a)及びそのVII-VII線に沿って見たパネル領域S5の車体前後方向の断面図(b)である。
【図8】第1実施形態によるフロアパネル構造の凹凸部の変形例を示す高剛性部の部分拡大平面図である。
【図9】第2実施形態によるフロアパネル構造が適用されたパネル領域S1を示す拡大平面図(a)及びそのIX-IX線に沿って見た車幅方向の断面図(b)である。
【図10】第2実施形態によるフロアパネル構造の変形例を示す高剛性部の部分拡大平面図である。
【図11】第3実施形態によるフロアパネル構造の高剛性部を示す部分拡大平面図である。
【図12】第4実施形態によるフロアパネル構造の高剛性部を示す部分拡大平面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 自動車のアンダボディ
2 第1フロアパネル
4 第2フロアパネル
6 第3フロアパネル
12 第6フロアパネル
18 フロントサイドフレーム
20 サイドシル
22 フロアサイドフレーム
24 リアサイドフレーム
26〜34 No.1〜No.9クロスメンバ
36〜38 No.1〜No.3トンネルサイドメンバ
40 エンジン
42 フロントサスペンションクロスメンバ
46 リアサスペンションクロスメンバ
54 折れ部(振動規制部)
56、58 ビード(振動規制部)
64、74、84 高剛性部
66、86 低剛性部
68、88 制振材
90 凹凸部(ビード)
92 凹凸部(ディンプル)
S1〜S8 パネル領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前後方向及び車幅方向に配設された複数のフレーム部材に連結されたフロアパネルにより自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、
上記フロアパネルには少なくともその一部が上記フレーム部材により囲まれたパネル領域が形成され、
上記フロアパネルのパネル領域にはその中央部にそれ自身が上方向又は下方向に突出された高剛性部が形成されると共にこの高剛性部の周りに低剛性部が形成され、
上記高剛性部には凹凸部が形成されていることを特徴とする車体のフロアパネル構造。
【請求項2】
上記凹凸部は上記高剛性部においていかなる方向に直線状の横断面をとっても少なくとも1つ現れるように形成されている請求項1記載の車体のフロアパネル構造。
【請求項3】
上記凹凸部は複数のビードである請求項1又は請求項2記載の車体のフロアパネル構造。
【請求項4】
上記複数のビードは上記高剛性部の中央部から放射状に延びる請求項3記載のフロアパネル構造。
【請求項5】
上記複数のビードは、それぞれ、その軸線が隣り合う他のビードの軸線と交わるように配置されている請求項3又は請求項4記載の車体のフロアパネル構造。
【請求項6】
上記複数のビードは、それぞれ、上記高剛性部の中央部からその半径方向に対して所定の角度傾いて延びるように配置されている請求項3乃至5のいずれか1項記載の車体のフロアパネル構造。
【請求項7】
上記複数のビードは、それぞれ、その一端部が隣合う他のビードの辺内に近接し或いは当接するように配置されている請求項3乃至6のいずれか1項記載の車体のフロアパネル構造。
【請求項8】
上記凹凸部は複数のディンプルである請求項1又は請求項2記載の車体のフロアパネル構造。
【請求項9】
上記複数のディンプルは不規則に配置されている請求項8記載の車体のフロアパネル構造。
【請求項10】
上記凹凸部は互いに平行に直線状に延びる複数のビードである請求項1記載の車体のフロアパネル構造。
【請求項11】
上記高剛性部は長方形状に形成され、
上記互いに平行に直線状に延びる複数のビードは上記長方形状の高剛性部の長辺に平行に延びる請求項10記載の車体のフロアパネル構造。
【請求項12】
上記互いに平行に直線状に延びる複数のビードは上記長方形状の高剛性部の長辺とほぼ同じ長さで延びる請求項11記載の車体のフロアパネル構造。
【請求項13】
上記凹凸部は、上記高剛性部が上方向に突出して形成されているときは下方向に突出するように形成され、上記高剛性部が下方向に突出して形成されているときは上方向に突出するように形成されている請求項1乃至12のいずれか1項記載の車体のフロアパネル構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−240586(P2006−240586A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62565(P2005−62565)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】