車体の屋根構造
【課題】ルーフ部の重量と溶接部の数を減らすことができる車体の屋根構造を提供する。
【解決手段】一対のサイドルーフレール20,21間に、複数のルーフボウ40が車体前後方向に間隔をなして設けられている。ルーフボウ40に略L形のブラケット48が設けられている。スティフナ35は、上フランジ131と下フランジ132と縦壁133とを有し、断面が略Z形である。サイドルーフクロスボウ41は、ハット形断面のクロスボウ本体50と、クロスボウ本体50の下面側に接合された補強プレート51とを有し、閉断面構造をなしている。補強プレート51の車体前後方向の幅をクロスボウ本体50の車体前後方向の幅よりも大きくすることにより、張出し部70が形成されている。張出し部70の上部に支持面70aが形成されている。スティフナ35の上フランジ131がブラケット48の上面壁48aに固定され、スティフナ35の下フランジ132が支持面70aに固定されている。
【解決手段】一対のサイドルーフレール20,21間に、複数のルーフボウ40が車体前後方向に間隔をなして設けられている。ルーフボウ40に略L形のブラケット48が設けられている。スティフナ35は、上フランジ131と下フランジ132と縦壁133とを有し、断面が略Z形である。サイドルーフクロスボウ41は、ハット形断面のクロスボウ本体50と、クロスボウ本体50の下面側に接合された補強プレート51とを有し、閉断面構造をなしている。補強プレート51の車体前後方向の幅をクロスボウ本体50の車体前後方向の幅よりも大きくすることにより、張出し部70が形成されている。張出し部70の上部に支持面70aが形成されている。スティフナ35の上フランジ131がブラケット48の上面壁48aに固定され、スティフナ35の下フランジ132が支持面70aに固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば大型バス等の車両のルーフ部に適用される車体の屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の屋根構造の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の屋根構造では、車体の前後方向に延びる左右一対のサイドルーフレール間に、車体の幅方向に延びるルーフボウが配置されている。そしてこれらルーフボウによって、車体の前後方向に延びる骨格材(スティフナ)を支持し、この骨格材に車内側の内張材を取付けるようにしている。
【0003】
また図8に示す従来の屋根構造の一例では、車体幅方向に延びるルーフボウ1の前面と後面にそれぞれハット形断面のブラケット2を溶接し、このブラケット2によってハット形断面のスティフナ3の端部を支持している。ブラケット2は、上面壁2aと、一対の縦壁2bと、これら縦壁2bの下端から水平方向に延びる一対のフランジ2cとを有している。一方、スティフナ3も、上面壁3aと、一対の縦壁3bと、これら縦壁3bの下端から水平方向に延びる一対のフランジ3cとを有している。そしてスティフナ3の端部が溶接部5によってブラケット2に結合されている。
【特許文献1】実公昭63−33741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば大型観光バスでは乗客の見晴らしを良くするために、客室の床面を高くしたいわゆるハイデッカー車(high deck body)が採用されることがある。しかし床面位置が高くなると、天井が高くなり、車両重心位置も高くなるなど、走行安定性に影響が生じることが考えられる。そのため車体を軽くして車体の剛性を大きくすることが望まれている。
【0005】
特許文献1の屋根構造は、ハイデッカー車のようにルーフ部の高さが大きい車両の場合にルーフ部の剛性が不足することがある。またスティフナに加わる荷重がスティフナとルーフボウとの結合部に入力するため、該結合部の信頼性に懸念がある。一方、図8に示された従来の屋根構造は、スティフナとブラケットの形状が複雑で重量も大きく、しかも溶接部が多数存在するため、ルーフ部を組立てる際の作業の負担が大きい。
【0006】
従って本発明の目的は、スティフナの結合部の剛性が大きくかつ軽量に構成することができる車体の屋根構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の屋根構造は、車体のルーフ部の両側部に設けられ車体前後方向に延在する一対のサイドルーフレールと、前記一対のサイドルーフレール間で車体幅方向に延在し、車体前後方向に間隔をあけて複数配置され、それぞれが閉断面構造をなすルーフボウと、前記サイドルーフレールと前記ルーフボウとを連結するサイドルーフクロスボウと、前記複数のルーフボウ間に車体幅方向に間隔をあけて複数配置され、それぞれが車体前後方向に延在し、上フランジと下フランジおよびこれらフランジ間に設けられた縦壁を有する断面略Z形のスティフナとを具備した車体の屋根構造において、前記ルーフボウの上下方向に沿う壁に、前記スティフナの前記上フランジを支持可能な上面壁を有する略L形のブラケットを設けている。
【0008】
また前記サイドルーフクロスボウは、車体前後方向に沿う断面がハット形断面をなすクロスボウ本体と、前記クロスボウ本体の下面側に重ね合わせて固定することにより前記クロスボウ本体の前記ハット形断面の開口を閉塞する補強プレートとを有し、前記補強プレートの車体前後方向の両側に前記クロスボウ本体の車体前後方向の両側から突出する張出し部を形成し、かつ、該張出し部の上部に前記スティフナの前記下フランジを支持可能な支持面が形成されている。前記スティフナの前記上フランジを前記ブラケットの前記上面壁に重ねるとともに、前記スティフナの前記下フランジを前記補強プレートの前記支持面に重ねることにより、該スティフナの端部を前記ブラケットと前記補強プレートの前記支持面とにわたって結合している。
【0009】
本発明の1つの形態では、前記一対のサイドルーフレール間に、角パイプからなる第1のルーフボウと、この第1のルーフボウよりも上下方向の寸法が大きい角パイプからなる第2のルーフボウとが車体前後方向に交互に配置され、前記スティフナの両端部のうち前記第1のルーフボウに結合される一方の端部のみに、該スティフナの前記下フランジの高さを前記支持面の高さに揃えるための段差部が形成され、前記段差部を前記補強プレートの前記支持面に重ねて溶接している。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の屋根構造によれば、スティフナの端部が前記ブラケットの上面壁とサイドルーフクロスボウの補強プレートの支持面とに結合されていることにより、スティフナに入力する荷重の一部を剛性の高いサイドルーフクロスボウによって支持することができる。このためスティフナとブラケットとの結合部の信頼性が向上し、かつ、ブラケットの形状を簡単なものにすることができる。しかも断面が略Z形のスティフナと略L形のブラケットを採用したことにより、スティフナとブラケットを軽量化することができるとともに、スティフナとブラケットとの溶接部の数が減るため、車体を組立てる際に必要な溶接作業が軽減される。
【0011】
請求項2の屋根構造によれば、上下方向の寸法が異なる角パイプからなる第1のルーフボウと第2のルーフボウとが車体前後方向に交互に配置されている場合に、第1のルーフボウの下面壁の高さと第2のルーフボウの下面壁の高さが互いに異なっていても、スティフナの両端部をそれぞれの支持面に結合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の1つの実施形態に係る屋根構造について、図1から図7を参照して説明する。
図1は、車両10の一例として大型バスを示している。この車両10の車体11の上部に、本発明に係る屋根構造を備えたルーフ部12が設けられている。ルーフ部12は、骨組構体13と、骨組構体13の外側に設けられたルーフパネル14などによって構成されている。
【0013】
図2は、ルーフ部12を構成する骨組構体13の一部を示している。骨組構体13は、車体11の前後方向に延在する左右一対のサイドルーフレール20,21と、上下方向に延びる複数のウインドピラー22を含んでいる。サイドルーフレール20,21は、車体11の両側部に設けられ、それぞれが矩形断面の金属パイプからなり、閉断面構造をなしている。
【0014】
車体11の一方の側部に設けられたウインドピラー22の上端は、一方のサイドルーフレール20に結合されている。車体11の他方の側部に設けられたウインドピラー22の上端は、他方のサイドルーフレール21に結合されている。
【0015】
サイドルーフレール20,21間に、互いにサイズが異なる2種類のルーフボウユニット31,32が車体11の前後方向(図2に矢印Xで示す方向)に間隔をあけて交互に配置されている。これら2種類のルーフボウユニット31,32は、車体11の幅方向(図2に矢印Yで示す方向)に延びている。これ以降、矢印Xで示す方向を車体前後方向と呼び、矢印Yで示す方向を車体幅方向と呼ぶ。
【0016】
各ルーフボウユニット31,32間に、車体前後方向に延びる第1のスティフナ(stiffener)35と第2のスティフナ36とが、車体前後方向に交互に配置されている。第1のスティフナ35は車体幅方向に間隔をなして複数配置されている。第2のスティフナ36も車体幅方向に間隔をなして複数配置されている。後述するように第1のスティフナ35と第2のスティフナ36は、互いに左右対称形である。
【0017】
前記2種類のルーフボウユニット31,32のうち一方のルーフボウユニット31は、サイドルーフレール20,21のウインドピラー22が設けられていない個所において、サイドルーフレール20,21の上面側に配置されている。これ以降、一方のルーフボウユニット31を第1のルーフボウユニットと呼ぶ。図3から図6に第1のルーフボウユニット31が示されている。
【0018】
前記2種類のルーフボウユニット31,32のうち他方のルーフボウユニット32は、サイドルーフレール20,21のウインドピラー22が設けられている個所、すなわち大きな剛性が必要とされる箇所において、サイドルーフレール20,21の上面側に配置されている。これ以降、このルーフボウユニット32を第2のルーフボウユニットと呼ぶ。図7は第2のルーフボウユニット32を示している。
【0019】
第1のルーフボウユニット31と第2のルーフボウユニット32のそれぞれの一方の端部が、一方のサイドルーフレール20に結合されている。ルーフボウユニット31,32のそれぞれの他方の端部が、他方のサイドルーフレール21に結合されている。
【0020】
以下に、車体11の一方の側部におけるサイドルーフレール20とルーフボウユニット31,32との結合部について説明する。なお、車体11の他方の側部におけるサイドルーフレール21とルーフボウユニット31,32との結合部も同様に構成されているため説明は省略する。
【0021】
図3から図6に示されるように、第1のルーフボウユニット31は、車体幅方向に延在する第1のルーフボウ40と、第1のサイドルーフクロスボウ41とによって構成されている。第1のルーフボウ40はパイプ状をなし、車体幅方向に延びている。このルーフボウ40は、矩形断面の金属パイプ、例えば一辺の長さW1が40mmの断面ほぼ正方形の角パイプからなり、上面壁40aと、前面壁40bと、後面壁40cと、下面壁40dとを有し、閉断面構造をなしている。
【0022】
図4に示すように第1のルーフボウ40の端部に、車体幅方向に向けて開口する開口端45が形成されている。また第1のルーフボウ40の上下方向に沿う壁、具体的には前面壁40bと後面壁40cとに、それぞれ断面が略L形のブラケット48が溶接によって固定されている。ブラケット48は、ほぼ水平方向に延びる上面壁48aと、上下方向に延びる縦フランジ48bとを有している。上面壁48aは、スティフナ35,36の上フランジ131,151を支持できるように、略水平方向に延びている。
【0023】
図5に示すように、第1のサイドルーフクロスボウ41は、車体前後方向から見て、サイドルーフレール20と第1のルーフボウ40との間で外側に凸の円弧を描くように湾曲した形状をなし、このサイドルーフクロスボウ41によって、サイドルーフレール20と第1のルーフボウ40とが連結されている。この第1のサイドルーフクロスボウ41は、プレスによって成形されたハット形断面のクロスボウ本体50と、補強プレート51とによって構成されている。
【0024】
クロスボウ本体50は、車体11の側方から見て、上部側の一端から下部側の他端に向って、扇形に広がる形状をなしている。クロスボウ本体50の車体前後方向の幅W2(図2と図6に示す)は、ルーフボウ40の幅W1よりも大きい。クロスボウ本体50は、車体前後方向に沿う断面がハット形断面をなし、図6に示すように、前側壁50aと、後側壁50bと、外側壁50cと、前後方向の両側(前縁と後縁)に形成されたフランジ部55などを有している。
【0025】
補強プレート51は、図5に示すように車体前後方向から見て、クロスボウ本体50に応じて湾曲した形状に成形されている。この補強プレート51は、クロスボウ本体50の前記ハット形断面の開口を閉塞することができる大きさを有している。補強プレート51をクロスボウ本体50の下面側からフランジ部55に重ね、両者を溶接し接合することにより、クロスボウ本体50と補強プレート51とによって閉断面が構成されている。図3中の符号P1は、その溶接部の一例を示している。
【0026】
クロスボウ本体50の上部側の一端に、第1のルーフボウ40の開口端45に嵌合可能な大きさの挿入部60が形成されている。挿入部60は、前壁61と、後壁62と、上壁63とを有し、下面側が開口した形状をなしている。この挿入部60を第1のルーフボウ40の開口端45に挿入し、開口端45の周囲を溶接することにより、第1のサイドルーフクロスボウ41の上部側が第1のルーフボウ40に固定されている。図3中の符号P2は、その溶接部の一例を示している。
【0027】
このように第1のサイドルーフクロスボウ41を第1のルーフボウ40に結合することなどにより、第1のルーフボウユニット31が予め製作(サブアッシー)されたのち、第1のルーフボウユニット31がサイドルーフレール20,21に結合される。
【0028】
補強プレート51の車体前後方向の幅W3(図6に示す)は、クロスボウ本体50の車体前後方向の幅W2よりも大きい。補強プレート51の車体前後方向の両側(前縁部と後縁部)に、それぞれ張出し部70が形成されている。張出し部70は、クロスボウ本体50のフランジ部55から車体前後方向の両側に突出している。またこの補強プレート51には、曲げ剛性を高めるために上下方向に沿うリブ71が形成されている。
【0029】
図6に示すように、補強プレート51の上部、すなわち張出し部70の上部に、一対の支持面70aが設けられている。支持面70aは平坦な形状をなし、スティフナ35,36の下フランジ132,152の段差部140,160を支持できるように、略水平方向に延びている。
【0030】
補強プレート51の上部に、第1接合しろ75が形成されている。第1接合しろ75は一対の支持面70aの間に形成されている。この第1接合しろ75の上方から第1のルーフボウ40の端部の下面壁40dを重ね、第1接合しろ75とルーフボウ40の端部とが溶接されている。図3中の符号P3は、その溶接部の一例を示している。
【0031】
補強プレート51の下部側の他端には、サイドルーフレール20の車体幅方向の内側の面20aに重ねて固定される第2接合しろ76が形成されている。第2接合しろ76は、クロスボウ本体50の下縁50dの下方に突出している。第2接合しろ76をサイドルーフレール20の内側の面20aに当接させるとともに、クロスボウ本体50の下縁50dをサイドルーフレール20の上面20bに当接させることにより、サイドルーフレール20に対するサイドルーフクロスボウ41の位置決めをなすことができる。
【0032】
このようにサイドルーフレール20とサイドルーフクロスボウ41との位置決めがなされた状態のもとで、クロスボウ本体50の下縁50dとサイドルーフレール20の上面20bとを溶接によって結合することにより、クロスボウ本体50とサイドルーフレール20とが互いに結合されている。図3中の符号P4は、その溶接部の一例を示している。溶接部P4は、クロスボウ本体50の下縁50dの車体前後方向の全長と、サイドルーフレール20の上面20bの車体幅方向のほぼ全域にわたっている。第2接合しろ76はサイドルーフレール20の内側の面20aに、車体前後方向のほぼ全域にわたって溶接されている。
【0033】
図7に示された第2のルーフボウユニット32は、前記第1のルーフボウユニット31と比較してサイズが大きい点を除き、基本的な構成は第1のルーフボウユニット31と共通である。
【0034】
第2のルーフボウユニット32は、車体幅方向に延在する第2のルーフボウ80と、第2のサイドルーフクロスボウ81とによって構成されている。第2のルーフボウ80はパイプ状をなし、車体幅方向に延びている。第2のルーフボウユニット32は、第1のルーフボウ40よりも外形寸法の大きい矩形断面の金属パイプによって構成されている。例えば第2のルーフボウ80は一辺の長さW5が50mmの断面ほぼ正方形の角パイプからなり、上面壁80aと、前面壁80bと、後面壁80cと、下面壁80dとを有している。
【0035】
第2のルーフボウ80の端部に、車体幅方向に向けて開口する開口端85が形成されている。また第2のルーフボウ80の上下方向に沿う壁、具体的には前面壁80bと後面壁80cとに、それぞれ断面が略L形のブラケット88が溶接によって固定されている。ブラケット88は、ほぼ水平方向に延びる上面壁88aと、上下方向に延びる縦フランジ88bとを有している。上面壁88aは、スティフナ35,36の上フランジ131,151を支持できるように、略水平方向に延びている。
【0036】
第2のサイドルーフクロスボウ81は、車体前後方向から見て、サイドルーフレール20と第2のルーフボウ80との間で外側に凸の円弧を描くように湾曲した形状をなし、このサイドルーフクロスボウ81によって、サイドルーフレール20と第2のルーフボウ80とが連結されている。この第2のサイドルーフクロスボウ81は、プレスによって成形されたハット形断面のクロスボウ本体90と、補強プレート91とによって構成されている。
【0037】
クロスボウ本体90は、車体11の側方から見て、上部側の一端から下部側の他端に向って、扇形に広がる形状をなしている。クロスボウ本体90の車体前後方向の幅W6(図7に示す)は、第1のサイドルーフクロスボウ41のクロスボウ本体50の幅W2(図2と図6に示す)よりも大きい。クロスボウ本体90は、車体前後方向に沿う断面がハット形断面をなし、前側壁90aと、後側壁90bと、外側壁90cと、前後方向の両側(前縁と後縁)に形成されたフランジ部95などを有している。
【0038】
補強プレート91は、車体前後方向から見て、クロスボウ本体90に応じて湾曲した形状に成形されている。この補強プレート91は、クロスボウ本体90の前記ハット形断面の開口を閉塞することができる大きさを有している。補強プレート91をクロスボウ本体90の下面側からフランジ部95に重ね、両者を溶接し接合することにより、クロスボウ本体90と補強プレート91とによって閉断面が構成されている。図7中の符号P5は、その溶接部の一例を示している。
【0039】
クロスボウ本体90の上部側の一端に、第2のルーフボウ80の開口端85に嵌合可能な大きさの挿入部100が形成されている。挿入部100は、前壁101と、後壁102と、上壁103とを有し、下面側が開口した形状をなしている。この挿入部100を第2のルーフボウ80の開口端85に挿入し、開口端85の周囲を溶接することにより、第2のサイドルーフクロスボウ81の上部側が第2のルーフボウ80に固定されている。図7中の符号P6は、その溶接部の一例を示している。
【0040】
このように第2のサイドルーフクロスボウ81を第2のルーフボウ80に結合することなどにより、第2のルーフボウユニット32が予め製作(サブアッシー)されたのち、第2のルーフボウユニット32がサイドルーフレール20,21に結合される。
【0041】
補強プレート91の車体前後方向の幅は、クロスボウ本体90の車体前後方向の幅W6よりも大きい。補強プレート91の車体前後方向の両側(前縁部と後縁部)に、それぞれ張出し部110が形成されている。張出し部110は、クロスボウ本体90のフランジ部95から車体前後方向の両側に突出している。またこの補強プレート91には、曲げ剛性を高めるために上下方向に沿うリブ(図示せず)が形成されている。
【0042】
補強プレート91の上部、すなわち張出し部110の上部に、一対の支持面110aが設けられている。支持面110aは平坦な形状をなし、スティフナ35,36の下フランジ132,152を支持できるように、略水平方向に延びている。
【0043】
補強プレート91の上部に、第1接合しろ115が形成されている。第1接合しろ115は一対の支持面110aの間に形成されている。この第1接合しろ115の上方から第2のルーフボウ80の端部の下面壁80dを重ね、第1接合しろ115とルーフボウ80の端部とが溶接されている。図7中の符号P7は、その溶接部の一例を示している。
【0044】
補強プレート91の下部側の他端には、サイドルーフレール20の車体幅方向の内側の面20aに重ねて固定される第2接合しろ116が形成されている。第2接合しろ116は、クロスボウ本体90の下縁90dの下方に突出している。第2接合しろ116をサイドルーフレール20の内側の面20aに当接させるとともに、クロスボウ本体90の下縁90dをサイドルーフレール20の上面20bに当接させることにより、サイドルーフレール20に対するサイドルーフクロスボウ81の位置決めをなすことができる。
【0045】
このようにサイドルーフレール20とサイドルーフクロスボウ81との位置決めがなされた状態のもとで、クロスボウ本体90の下縁90dとサイドルーフレール20の上面20bとを溶接によって結合することにより、クロスボウ本体90とサイドルーフレール20とが互いに結合されている。図7中の符号P8は、その溶接部の一例を示している。溶接部P8は、クロスボウ本体90の下縁90dの車体前後方向の全長と、サイドルーフレール20の上面20bの車幅方向のほぼ全域にわたっている。第2接合しろ116はサイドルーフレール20の内側の面20aに、車体前後方向のほぼ全域にわたって溶接されている。
【0046】
以上説明した第1のルーフボウ40の前面壁40bと第2のルーフボウ80の後面壁80cとの間に、車体前後方向に延びる第1のスティフナ35が配置されている。第1のスティフナ35は、上フランジ131と、下フランジ132と、上下方向に延びる縦壁133とを備え、断面が略Z形をなしている。図3に示すように第1のスティフナ35の一方の端部35aは、第1のルーフボウユニット31のブラケット48と、第1のサイドルーフクロスボウ41の張出し部70に固定されている。図7に示すように第1のスティフナ35の他方の端部35bは、第2のルーフボウユニット32のブラケット88と、第2のサイドルーフクロスボウ81の張出し部110に固定されている。
【0047】
第1のルーフボウ40は、第2のルーフボウ80よりも各辺のサイズが小さい角パイプからなる。つまり第1のルーフボウ40は、第2のルーフボウ80よりも上下方向の寸法が小さい角パイプによって構成されている。このため第1のスティフナ35の両端部35a,35bのうち一方の端部35aのみに、下フランジ132を補強プレート51の支持面70aの高さに揃えるために、一段高い段差部140が形成されている。段差部140の高さは、第1のルーフボウ40の下面壁40dの高さと同等である。第1のスティフナ35の他方の端部35bにはこの段差部140は形成されず、車体前後方向にストレートな形状となっている。
【0048】
第1のルーフボウ40の後面壁40cと第2のルーフボウ80の前面壁80bとの間に、車体前後方向に延びる第2のスティフナ36が配置されている。第2のスティフナ36は、上フランジ151と、下フランジ152と、上下方向に延びる縦壁153とを備え、断面が略Z形をなしている。第2のスティフナ36の一方の端部36aは、第1のルーフボウユニット31のブラケット48と、第1のサイドルーフクロスボウ41の張出し部70に固定されている。スティフナ36の他方の端部36bは、第2のルーフボウユニット32のブラケット88と、第2のサイドルーフクロスボウ81の張出し部110に固定されている。
【0049】
第2のスティフナ36の両端部36a,36bのうち一方の端部36aには、下フランジ152を補強プレート51の支持面70aの高さに揃えるために、一段高い段差部160が形成されている。段差部160の高さは、第1のルーフボウ40の下面壁40dの高さと同等である。第2のスティフナ36の他方の端部36bにはこの段差部160は形成されず、車体前後方向にストレートな形状となっている。
【0050】
図3と図5に示すように、第1のスティフナ35の一方の端部35aについては、上フランジ131をブラケット48の上面壁48aに重ね、かつ、下フランジ132の段差部140を張出し部70の支持面70aに重ね、さらにスティフナ35の縦壁133をブラケット48の縦フランジ48bに沿わせることにより、ルーフボウ40に対するスティフナ35の位置決めを、ブラケット48を介してなすことができる。この状態で、上フランジ131とブラケット48の上面壁48aとを、溶接部P10においてスポット溶接によって結合する。また、下フランジ132の段差部140と支持面70aとを溶接部P11においてスポット溶接する。こうして第1のスティフナ35の一方の端部35aがブラケット48と支持面70aとにわたって結合される。
【0051】
図7に示すように第1のスティフナ35の他方の端部35bは、第2のルーフボウユニット32のブラケット88と、第2のサイドルーフクロスボウ81の張出し部110とに固定されている。第2のルーフボウ80は第1のルーフボウ40よりも一辺のサイズが大きい角パイプからなるため、第1のスティフナ35の下フランジ132に段差部140を設けていなくても、下フランジ132の高さが第2のルーフボウ80の下面壁80dと揃っている。
【0052】
第1のスティフナ35の上フランジ131をブラケット88の上面壁88aに重ね、かつ、下フランジ132を張出し部110の支持面110aに重ね、さらにスティフナ35の縦壁133をブラケット88の縦フランジ88bに沿わせることにより、ルーフボウ80に対するスティフナ35の位置決めを、ブラケット88を介してなすことができる。この状態で、上フランジ131とブラケット88の上面壁88aとを、溶接部P12においてスポット溶接によって結合する。また、下フランジ132と支持面110aとを、スポット溶接する。こうすることにより、第1のスティフナ35の他方の端部35bが第2のルーフボウユニット32に固定される。
【0053】
図3に示すように第2のスティフナ36の一方の端部36aについては、上フランジ151をブラケット48の上面壁48aに重ね、かつ、下フランジ152の段差部160を支持面70aに重ね、さらにスティフナ36の縦壁153をブラケット48の縦フランジ48bに沿わせることにより、ルーフボウ40に対するスティフナ36の位置決めがなされる。この状態で、上フランジ151とブラケット48の上面壁48aとを、溶接部P15においてスポット溶接によって結合する。また、下フランジ152の段差部160と支持面70aとをスポット溶接する。こうして第2のスティフナ36の一方の端部36aがブラケット48と支持面70aとにわたって結合される。
【0054】
図7に示すように第2のスティフナ36の他方の端部36bは、第2のルーフボウユニット32のブラケット88と、第2のサイドルーフクロスボウ81の張出し部110とに固定されている。第2のルーフボウ80は第1のルーフボウ40よりも一辺のサイズが大きい角パイプからなるため、第2のスティフナ36の下フランジ152に段差部160を設けていなくても、下フランジ152の高さが第2のルーフボウ80の下面壁80dと揃っている。
【0055】
第2のスティフナ36の上フランジ151をブラケット88の上面壁88aに重ね、かつ、下フランジ152を支持面110aに重ね、さらにスティフナ36の縦壁153をブラケット88の縦フランジ88bに沿わせることにより、ルーフボウ80に対するスティフナ36の位置決めがなされる。この状態で、上フランジ151とブラケット88の上面壁88aとを、溶接部P12においてスポット溶接によって結合する。また、下フランジ152と支持面110aとを、溶接部P13においてスポット溶接する。こうすることにより、第2のスティフナ36の他方の端部36bが第2のルーフボウユニット32に固定される。
【0056】
以上説明したように本実施形態のルーフ部12によれば、ルーフボウ40,80の開口端45,85にサイドルーフクロスボウ41,81の挿入部60,100が嵌合された状態で、ルーフボウ40,80とサイドルーフクロスボウ41,81とが溶接されるため、ルーフボウ40,80とサイドルーフクロスボウ41,81との結合部の剛性が大きい。
【0057】
そしてサイドルーフクロスボウ41,81の一部である補強プレート51,91の支持面70a,110aに、スティフナ35,36の下フランジ132,152が結合されていることにより、スティフナ35,36に加わる負荷の一部を剛性の高いサイドルーフクロスボウ41,81によって支持することができる。よって、ブラケット48,88に加わる負荷を減らすことができ、ルーフボウ40,80に対するブラケット48,88の結合部の信頼性が向上する。また、ブラケット48,88の形状を簡単なものにすることができる。
【0058】
しかも断面が略Z形のスティフナ35,36と略L形のブラケット48,88を用いているため、従来のハット形断面のスティフナとブラケットと比較して軽量化することができるとともに、ブラケット48,88の溶接部の数が減るため、ルーフ部12を組立てる際に必要な溶接作業が軽減される。
【0059】
なお本発明を実施するに当たって、サイドルーフレール、ルーフボウ、サイドルーフクロスボウ、スティフナ、ブラケットをはじめとして、本発明の構成要素の構造及び配置等を適宜に変更して実施できることは言うまでもない。また、車体の態様についても前記実施形態に制約されることはなく、種々に変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の1つの実施形態に係るルーフ部の一部を破断して示す車両の斜視図。
【図2】図1に示された車両のルーフ部の一部の斜視図。
【図3】図2に示されたルーフ部の第1のルーフボウユニットの一部を拡大して示す斜視図。
【図4】図3に示された第1のルーフボウユニットを分解して示す斜視図。
【図5】図3に示された第1のルーフボウユニットの正面図。
【図6】図3に示された第1のルーフボウユニットのクロスボウ本体と補強プレートを分解して示す斜視図。
【図7】図2に示されたルーフ部の第2のルーフボウユニットの一部を拡大して示す斜視図。
【図8】従来のルーフ部の一部の斜視図。
【符号の説明】
【0061】
11…車体
12…ルーフ部
20,21…サイドルーフレール
31…第1のルーフボウユニット
32…第2のルーフボウユニット
35,36…スティフナ
40…第1のルーフボウ
41…第1のサイドルーフクロスボウ
48…ブラケット
48a…上面壁
48b…縦フランジ
51…補強プレート
70…張出し部
70a…支持面
80…第2のルーフボウ
81…第2のサイドルーフクロスボウ
88…ブラケット
88a…上面壁
88b…縦フランジ
90…クロスボウ本体
91…補強プレート
110…張出し部
110a…支持面
131,151…上フランジ
132,152…下フランジ
133,153…縦壁
140,160…段差部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば大型バス等の車両のルーフ部に適用される車体の屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の屋根構造の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の屋根構造では、車体の前後方向に延びる左右一対のサイドルーフレール間に、車体の幅方向に延びるルーフボウが配置されている。そしてこれらルーフボウによって、車体の前後方向に延びる骨格材(スティフナ)を支持し、この骨格材に車内側の内張材を取付けるようにしている。
【0003】
また図8に示す従来の屋根構造の一例では、車体幅方向に延びるルーフボウ1の前面と後面にそれぞれハット形断面のブラケット2を溶接し、このブラケット2によってハット形断面のスティフナ3の端部を支持している。ブラケット2は、上面壁2aと、一対の縦壁2bと、これら縦壁2bの下端から水平方向に延びる一対のフランジ2cとを有している。一方、スティフナ3も、上面壁3aと、一対の縦壁3bと、これら縦壁3bの下端から水平方向に延びる一対のフランジ3cとを有している。そしてスティフナ3の端部が溶接部5によってブラケット2に結合されている。
【特許文献1】実公昭63−33741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば大型観光バスでは乗客の見晴らしを良くするために、客室の床面を高くしたいわゆるハイデッカー車(high deck body)が採用されることがある。しかし床面位置が高くなると、天井が高くなり、車両重心位置も高くなるなど、走行安定性に影響が生じることが考えられる。そのため車体を軽くして車体の剛性を大きくすることが望まれている。
【0005】
特許文献1の屋根構造は、ハイデッカー車のようにルーフ部の高さが大きい車両の場合にルーフ部の剛性が不足することがある。またスティフナに加わる荷重がスティフナとルーフボウとの結合部に入力するため、該結合部の信頼性に懸念がある。一方、図8に示された従来の屋根構造は、スティフナとブラケットの形状が複雑で重量も大きく、しかも溶接部が多数存在するため、ルーフ部を組立てる際の作業の負担が大きい。
【0006】
従って本発明の目的は、スティフナの結合部の剛性が大きくかつ軽量に構成することができる車体の屋根構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の屋根構造は、車体のルーフ部の両側部に設けられ車体前後方向に延在する一対のサイドルーフレールと、前記一対のサイドルーフレール間で車体幅方向に延在し、車体前後方向に間隔をあけて複数配置され、それぞれが閉断面構造をなすルーフボウと、前記サイドルーフレールと前記ルーフボウとを連結するサイドルーフクロスボウと、前記複数のルーフボウ間に車体幅方向に間隔をあけて複数配置され、それぞれが車体前後方向に延在し、上フランジと下フランジおよびこれらフランジ間に設けられた縦壁を有する断面略Z形のスティフナとを具備した車体の屋根構造において、前記ルーフボウの上下方向に沿う壁に、前記スティフナの前記上フランジを支持可能な上面壁を有する略L形のブラケットを設けている。
【0008】
また前記サイドルーフクロスボウは、車体前後方向に沿う断面がハット形断面をなすクロスボウ本体と、前記クロスボウ本体の下面側に重ね合わせて固定することにより前記クロスボウ本体の前記ハット形断面の開口を閉塞する補強プレートとを有し、前記補強プレートの車体前後方向の両側に前記クロスボウ本体の車体前後方向の両側から突出する張出し部を形成し、かつ、該張出し部の上部に前記スティフナの前記下フランジを支持可能な支持面が形成されている。前記スティフナの前記上フランジを前記ブラケットの前記上面壁に重ねるとともに、前記スティフナの前記下フランジを前記補強プレートの前記支持面に重ねることにより、該スティフナの端部を前記ブラケットと前記補強プレートの前記支持面とにわたって結合している。
【0009】
本発明の1つの形態では、前記一対のサイドルーフレール間に、角パイプからなる第1のルーフボウと、この第1のルーフボウよりも上下方向の寸法が大きい角パイプからなる第2のルーフボウとが車体前後方向に交互に配置され、前記スティフナの両端部のうち前記第1のルーフボウに結合される一方の端部のみに、該スティフナの前記下フランジの高さを前記支持面の高さに揃えるための段差部が形成され、前記段差部を前記補強プレートの前記支持面に重ねて溶接している。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の屋根構造によれば、スティフナの端部が前記ブラケットの上面壁とサイドルーフクロスボウの補強プレートの支持面とに結合されていることにより、スティフナに入力する荷重の一部を剛性の高いサイドルーフクロスボウによって支持することができる。このためスティフナとブラケットとの結合部の信頼性が向上し、かつ、ブラケットの形状を簡単なものにすることができる。しかも断面が略Z形のスティフナと略L形のブラケットを採用したことにより、スティフナとブラケットを軽量化することができるとともに、スティフナとブラケットとの溶接部の数が減るため、車体を組立てる際に必要な溶接作業が軽減される。
【0011】
請求項2の屋根構造によれば、上下方向の寸法が異なる角パイプからなる第1のルーフボウと第2のルーフボウとが車体前後方向に交互に配置されている場合に、第1のルーフボウの下面壁の高さと第2のルーフボウの下面壁の高さが互いに異なっていても、スティフナの両端部をそれぞれの支持面に結合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の1つの実施形態に係る屋根構造について、図1から図7を参照して説明する。
図1は、車両10の一例として大型バスを示している。この車両10の車体11の上部に、本発明に係る屋根構造を備えたルーフ部12が設けられている。ルーフ部12は、骨組構体13と、骨組構体13の外側に設けられたルーフパネル14などによって構成されている。
【0013】
図2は、ルーフ部12を構成する骨組構体13の一部を示している。骨組構体13は、車体11の前後方向に延在する左右一対のサイドルーフレール20,21と、上下方向に延びる複数のウインドピラー22を含んでいる。サイドルーフレール20,21は、車体11の両側部に設けられ、それぞれが矩形断面の金属パイプからなり、閉断面構造をなしている。
【0014】
車体11の一方の側部に設けられたウインドピラー22の上端は、一方のサイドルーフレール20に結合されている。車体11の他方の側部に設けられたウインドピラー22の上端は、他方のサイドルーフレール21に結合されている。
【0015】
サイドルーフレール20,21間に、互いにサイズが異なる2種類のルーフボウユニット31,32が車体11の前後方向(図2に矢印Xで示す方向)に間隔をあけて交互に配置されている。これら2種類のルーフボウユニット31,32は、車体11の幅方向(図2に矢印Yで示す方向)に延びている。これ以降、矢印Xで示す方向を車体前後方向と呼び、矢印Yで示す方向を車体幅方向と呼ぶ。
【0016】
各ルーフボウユニット31,32間に、車体前後方向に延びる第1のスティフナ(stiffener)35と第2のスティフナ36とが、車体前後方向に交互に配置されている。第1のスティフナ35は車体幅方向に間隔をなして複数配置されている。第2のスティフナ36も車体幅方向に間隔をなして複数配置されている。後述するように第1のスティフナ35と第2のスティフナ36は、互いに左右対称形である。
【0017】
前記2種類のルーフボウユニット31,32のうち一方のルーフボウユニット31は、サイドルーフレール20,21のウインドピラー22が設けられていない個所において、サイドルーフレール20,21の上面側に配置されている。これ以降、一方のルーフボウユニット31を第1のルーフボウユニットと呼ぶ。図3から図6に第1のルーフボウユニット31が示されている。
【0018】
前記2種類のルーフボウユニット31,32のうち他方のルーフボウユニット32は、サイドルーフレール20,21のウインドピラー22が設けられている個所、すなわち大きな剛性が必要とされる箇所において、サイドルーフレール20,21の上面側に配置されている。これ以降、このルーフボウユニット32を第2のルーフボウユニットと呼ぶ。図7は第2のルーフボウユニット32を示している。
【0019】
第1のルーフボウユニット31と第2のルーフボウユニット32のそれぞれの一方の端部が、一方のサイドルーフレール20に結合されている。ルーフボウユニット31,32のそれぞれの他方の端部が、他方のサイドルーフレール21に結合されている。
【0020】
以下に、車体11の一方の側部におけるサイドルーフレール20とルーフボウユニット31,32との結合部について説明する。なお、車体11の他方の側部におけるサイドルーフレール21とルーフボウユニット31,32との結合部も同様に構成されているため説明は省略する。
【0021】
図3から図6に示されるように、第1のルーフボウユニット31は、車体幅方向に延在する第1のルーフボウ40と、第1のサイドルーフクロスボウ41とによって構成されている。第1のルーフボウ40はパイプ状をなし、車体幅方向に延びている。このルーフボウ40は、矩形断面の金属パイプ、例えば一辺の長さW1が40mmの断面ほぼ正方形の角パイプからなり、上面壁40aと、前面壁40bと、後面壁40cと、下面壁40dとを有し、閉断面構造をなしている。
【0022】
図4に示すように第1のルーフボウ40の端部に、車体幅方向に向けて開口する開口端45が形成されている。また第1のルーフボウ40の上下方向に沿う壁、具体的には前面壁40bと後面壁40cとに、それぞれ断面が略L形のブラケット48が溶接によって固定されている。ブラケット48は、ほぼ水平方向に延びる上面壁48aと、上下方向に延びる縦フランジ48bとを有している。上面壁48aは、スティフナ35,36の上フランジ131,151を支持できるように、略水平方向に延びている。
【0023】
図5に示すように、第1のサイドルーフクロスボウ41は、車体前後方向から見て、サイドルーフレール20と第1のルーフボウ40との間で外側に凸の円弧を描くように湾曲した形状をなし、このサイドルーフクロスボウ41によって、サイドルーフレール20と第1のルーフボウ40とが連結されている。この第1のサイドルーフクロスボウ41は、プレスによって成形されたハット形断面のクロスボウ本体50と、補強プレート51とによって構成されている。
【0024】
クロスボウ本体50は、車体11の側方から見て、上部側の一端から下部側の他端に向って、扇形に広がる形状をなしている。クロスボウ本体50の車体前後方向の幅W2(図2と図6に示す)は、ルーフボウ40の幅W1よりも大きい。クロスボウ本体50は、車体前後方向に沿う断面がハット形断面をなし、図6に示すように、前側壁50aと、後側壁50bと、外側壁50cと、前後方向の両側(前縁と後縁)に形成されたフランジ部55などを有している。
【0025】
補強プレート51は、図5に示すように車体前後方向から見て、クロスボウ本体50に応じて湾曲した形状に成形されている。この補強プレート51は、クロスボウ本体50の前記ハット形断面の開口を閉塞することができる大きさを有している。補強プレート51をクロスボウ本体50の下面側からフランジ部55に重ね、両者を溶接し接合することにより、クロスボウ本体50と補強プレート51とによって閉断面が構成されている。図3中の符号P1は、その溶接部の一例を示している。
【0026】
クロスボウ本体50の上部側の一端に、第1のルーフボウ40の開口端45に嵌合可能な大きさの挿入部60が形成されている。挿入部60は、前壁61と、後壁62と、上壁63とを有し、下面側が開口した形状をなしている。この挿入部60を第1のルーフボウ40の開口端45に挿入し、開口端45の周囲を溶接することにより、第1のサイドルーフクロスボウ41の上部側が第1のルーフボウ40に固定されている。図3中の符号P2は、その溶接部の一例を示している。
【0027】
このように第1のサイドルーフクロスボウ41を第1のルーフボウ40に結合することなどにより、第1のルーフボウユニット31が予め製作(サブアッシー)されたのち、第1のルーフボウユニット31がサイドルーフレール20,21に結合される。
【0028】
補強プレート51の車体前後方向の幅W3(図6に示す)は、クロスボウ本体50の車体前後方向の幅W2よりも大きい。補強プレート51の車体前後方向の両側(前縁部と後縁部)に、それぞれ張出し部70が形成されている。張出し部70は、クロスボウ本体50のフランジ部55から車体前後方向の両側に突出している。またこの補強プレート51には、曲げ剛性を高めるために上下方向に沿うリブ71が形成されている。
【0029】
図6に示すように、補強プレート51の上部、すなわち張出し部70の上部に、一対の支持面70aが設けられている。支持面70aは平坦な形状をなし、スティフナ35,36の下フランジ132,152の段差部140,160を支持できるように、略水平方向に延びている。
【0030】
補強プレート51の上部に、第1接合しろ75が形成されている。第1接合しろ75は一対の支持面70aの間に形成されている。この第1接合しろ75の上方から第1のルーフボウ40の端部の下面壁40dを重ね、第1接合しろ75とルーフボウ40の端部とが溶接されている。図3中の符号P3は、その溶接部の一例を示している。
【0031】
補強プレート51の下部側の他端には、サイドルーフレール20の車体幅方向の内側の面20aに重ねて固定される第2接合しろ76が形成されている。第2接合しろ76は、クロスボウ本体50の下縁50dの下方に突出している。第2接合しろ76をサイドルーフレール20の内側の面20aに当接させるとともに、クロスボウ本体50の下縁50dをサイドルーフレール20の上面20bに当接させることにより、サイドルーフレール20に対するサイドルーフクロスボウ41の位置決めをなすことができる。
【0032】
このようにサイドルーフレール20とサイドルーフクロスボウ41との位置決めがなされた状態のもとで、クロスボウ本体50の下縁50dとサイドルーフレール20の上面20bとを溶接によって結合することにより、クロスボウ本体50とサイドルーフレール20とが互いに結合されている。図3中の符号P4は、その溶接部の一例を示している。溶接部P4は、クロスボウ本体50の下縁50dの車体前後方向の全長と、サイドルーフレール20の上面20bの車体幅方向のほぼ全域にわたっている。第2接合しろ76はサイドルーフレール20の内側の面20aに、車体前後方向のほぼ全域にわたって溶接されている。
【0033】
図7に示された第2のルーフボウユニット32は、前記第1のルーフボウユニット31と比較してサイズが大きい点を除き、基本的な構成は第1のルーフボウユニット31と共通である。
【0034】
第2のルーフボウユニット32は、車体幅方向に延在する第2のルーフボウ80と、第2のサイドルーフクロスボウ81とによって構成されている。第2のルーフボウ80はパイプ状をなし、車体幅方向に延びている。第2のルーフボウユニット32は、第1のルーフボウ40よりも外形寸法の大きい矩形断面の金属パイプによって構成されている。例えば第2のルーフボウ80は一辺の長さW5が50mmの断面ほぼ正方形の角パイプからなり、上面壁80aと、前面壁80bと、後面壁80cと、下面壁80dとを有している。
【0035】
第2のルーフボウ80の端部に、車体幅方向に向けて開口する開口端85が形成されている。また第2のルーフボウ80の上下方向に沿う壁、具体的には前面壁80bと後面壁80cとに、それぞれ断面が略L形のブラケット88が溶接によって固定されている。ブラケット88は、ほぼ水平方向に延びる上面壁88aと、上下方向に延びる縦フランジ88bとを有している。上面壁88aは、スティフナ35,36の上フランジ131,151を支持できるように、略水平方向に延びている。
【0036】
第2のサイドルーフクロスボウ81は、車体前後方向から見て、サイドルーフレール20と第2のルーフボウ80との間で外側に凸の円弧を描くように湾曲した形状をなし、このサイドルーフクロスボウ81によって、サイドルーフレール20と第2のルーフボウ80とが連結されている。この第2のサイドルーフクロスボウ81は、プレスによって成形されたハット形断面のクロスボウ本体90と、補強プレート91とによって構成されている。
【0037】
クロスボウ本体90は、車体11の側方から見て、上部側の一端から下部側の他端に向って、扇形に広がる形状をなしている。クロスボウ本体90の車体前後方向の幅W6(図7に示す)は、第1のサイドルーフクロスボウ41のクロスボウ本体50の幅W2(図2と図6に示す)よりも大きい。クロスボウ本体90は、車体前後方向に沿う断面がハット形断面をなし、前側壁90aと、後側壁90bと、外側壁90cと、前後方向の両側(前縁と後縁)に形成されたフランジ部95などを有している。
【0038】
補強プレート91は、車体前後方向から見て、クロスボウ本体90に応じて湾曲した形状に成形されている。この補強プレート91は、クロスボウ本体90の前記ハット形断面の開口を閉塞することができる大きさを有している。補強プレート91をクロスボウ本体90の下面側からフランジ部95に重ね、両者を溶接し接合することにより、クロスボウ本体90と補強プレート91とによって閉断面が構成されている。図7中の符号P5は、その溶接部の一例を示している。
【0039】
クロスボウ本体90の上部側の一端に、第2のルーフボウ80の開口端85に嵌合可能な大きさの挿入部100が形成されている。挿入部100は、前壁101と、後壁102と、上壁103とを有し、下面側が開口した形状をなしている。この挿入部100を第2のルーフボウ80の開口端85に挿入し、開口端85の周囲を溶接することにより、第2のサイドルーフクロスボウ81の上部側が第2のルーフボウ80に固定されている。図7中の符号P6は、その溶接部の一例を示している。
【0040】
このように第2のサイドルーフクロスボウ81を第2のルーフボウ80に結合することなどにより、第2のルーフボウユニット32が予め製作(サブアッシー)されたのち、第2のルーフボウユニット32がサイドルーフレール20,21に結合される。
【0041】
補強プレート91の車体前後方向の幅は、クロスボウ本体90の車体前後方向の幅W6よりも大きい。補強プレート91の車体前後方向の両側(前縁部と後縁部)に、それぞれ張出し部110が形成されている。張出し部110は、クロスボウ本体90のフランジ部95から車体前後方向の両側に突出している。またこの補強プレート91には、曲げ剛性を高めるために上下方向に沿うリブ(図示せず)が形成されている。
【0042】
補強プレート91の上部、すなわち張出し部110の上部に、一対の支持面110aが設けられている。支持面110aは平坦な形状をなし、スティフナ35,36の下フランジ132,152を支持できるように、略水平方向に延びている。
【0043】
補強プレート91の上部に、第1接合しろ115が形成されている。第1接合しろ115は一対の支持面110aの間に形成されている。この第1接合しろ115の上方から第2のルーフボウ80の端部の下面壁80dを重ね、第1接合しろ115とルーフボウ80の端部とが溶接されている。図7中の符号P7は、その溶接部の一例を示している。
【0044】
補強プレート91の下部側の他端には、サイドルーフレール20の車体幅方向の内側の面20aに重ねて固定される第2接合しろ116が形成されている。第2接合しろ116は、クロスボウ本体90の下縁90dの下方に突出している。第2接合しろ116をサイドルーフレール20の内側の面20aに当接させるとともに、クロスボウ本体90の下縁90dをサイドルーフレール20の上面20bに当接させることにより、サイドルーフレール20に対するサイドルーフクロスボウ81の位置決めをなすことができる。
【0045】
このようにサイドルーフレール20とサイドルーフクロスボウ81との位置決めがなされた状態のもとで、クロスボウ本体90の下縁90dとサイドルーフレール20の上面20bとを溶接によって結合することにより、クロスボウ本体90とサイドルーフレール20とが互いに結合されている。図7中の符号P8は、その溶接部の一例を示している。溶接部P8は、クロスボウ本体90の下縁90dの車体前後方向の全長と、サイドルーフレール20の上面20bの車幅方向のほぼ全域にわたっている。第2接合しろ116はサイドルーフレール20の内側の面20aに、車体前後方向のほぼ全域にわたって溶接されている。
【0046】
以上説明した第1のルーフボウ40の前面壁40bと第2のルーフボウ80の後面壁80cとの間に、車体前後方向に延びる第1のスティフナ35が配置されている。第1のスティフナ35は、上フランジ131と、下フランジ132と、上下方向に延びる縦壁133とを備え、断面が略Z形をなしている。図3に示すように第1のスティフナ35の一方の端部35aは、第1のルーフボウユニット31のブラケット48と、第1のサイドルーフクロスボウ41の張出し部70に固定されている。図7に示すように第1のスティフナ35の他方の端部35bは、第2のルーフボウユニット32のブラケット88と、第2のサイドルーフクロスボウ81の張出し部110に固定されている。
【0047】
第1のルーフボウ40は、第2のルーフボウ80よりも各辺のサイズが小さい角パイプからなる。つまり第1のルーフボウ40は、第2のルーフボウ80よりも上下方向の寸法が小さい角パイプによって構成されている。このため第1のスティフナ35の両端部35a,35bのうち一方の端部35aのみに、下フランジ132を補強プレート51の支持面70aの高さに揃えるために、一段高い段差部140が形成されている。段差部140の高さは、第1のルーフボウ40の下面壁40dの高さと同等である。第1のスティフナ35の他方の端部35bにはこの段差部140は形成されず、車体前後方向にストレートな形状となっている。
【0048】
第1のルーフボウ40の後面壁40cと第2のルーフボウ80の前面壁80bとの間に、車体前後方向に延びる第2のスティフナ36が配置されている。第2のスティフナ36は、上フランジ151と、下フランジ152と、上下方向に延びる縦壁153とを備え、断面が略Z形をなしている。第2のスティフナ36の一方の端部36aは、第1のルーフボウユニット31のブラケット48と、第1のサイドルーフクロスボウ41の張出し部70に固定されている。スティフナ36の他方の端部36bは、第2のルーフボウユニット32のブラケット88と、第2のサイドルーフクロスボウ81の張出し部110に固定されている。
【0049】
第2のスティフナ36の両端部36a,36bのうち一方の端部36aには、下フランジ152を補強プレート51の支持面70aの高さに揃えるために、一段高い段差部160が形成されている。段差部160の高さは、第1のルーフボウ40の下面壁40dの高さと同等である。第2のスティフナ36の他方の端部36bにはこの段差部160は形成されず、車体前後方向にストレートな形状となっている。
【0050】
図3と図5に示すように、第1のスティフナ35の一方の端部35aについては、上フランジ131をブラケット48の上面壁48aに重ね、かつ、下フランジ132の段差部140を張出し部70の支持面70aに重ね、さらにスティフナ35の縦壁133をブラケット48の縦フランジ48bに沿わせることにより、ルーフボウ40に対するスティフナ35の位置決めを、ブラケット48を介してなすことができる。この状態で、上フランジ131とブラケット48の上面壁48aとを、溶接部P10においてスポット溶接によって結合する。また、下フランジ132の段差部140と支持面70aとを溶接部P11においてスポット溶接する。こうして第1のスティフナ35の一方の端部35aがブラケット48と支持面70aとにわたって結合される。
【0051】
図7に示すように第1のスティフナ35の他方の端部35bは、第2のルーフボウユニット32のブラケット88と、第2のサイドルーフクロスボウ81の張出し部110とに固定されている。第2のルーフボウ80は第1のルーフボウ40よりも一辺のサイズが大きい角パイプからなるため、第1のスティフナ35の下フランジ132に段差部140を設けていなくても、下フランジ132の高さが第2のルーフボウ80の下面壁80dと揃っている。
【0052】
第1のスティフナ35の上フランジ131をブラケット88の上面壁88aに重ね、かつ、下フランジ132を張出し部110の支持面110aに重ね、さらにスティフナ35の縦壁133をブラケット88の縦フランジ88bに沿わせることにより、ルーフボウ80に対するスティフナ35の位置決めを、ブラケット88を介してなすことができる。この状態で、上フランジ131とブラケット88の上面壁88aとを、溶接部P12においてスポット溶接によって結合する。また、下フランジ132と支持面110aとを、スポット溶接する。こうすることにより、第1のスティフナ35の他方の端部35bが第2のルーフボウユニット32に固定される。
【0053】
図3に示すように第2のスティフナ36の一方の端部36aについては、上フランジ151をブラケット48の上面壁48aに重ね、かつ、下フランジ152の段差部160を支持面70aに重ね、さらにスティフナ36の縦壁153をブラケット48の縦フランジ48bに沿わせることにより、ルーフボウ40に対するスティフナ36の位置決めがなされる。この状態で、上フランジ151とブラケット48の上面壁48aとを、溶接部P15においてスポット溶接によって結合する。また、下フランジ152の段差部160と支持面70aとをスポット溶接する。こうして第2のスティフナ36の一方の端部36aがブラケット48と支持面70aとにわたって結合される。
【0054】
図7に示すように第2のスティフナ36の他方の端部36bは、第2のルーフボウユニット32のブラケット88と、第2のサイドルーフクロスボウ81の張出し部110とに固定されている。第2のルーフボウ80は第1のルーフボウ40よりも一辺のサイズが大きい角パイプからなるため、第2のスティフナ36の下フランジ152に段差部160を設けていなくても、下フランジ152の高さが第2のルーフボウ80の下面壁80dと揃っている。
【0055】
第2のスティフナ36の上フランジ151をブラケット88の上面壁88aに重ね、かつ、下フランジ152を支持面110aに重ね、さらにスティフナ36の縦壁153をブラケット88の縦フランジ88bに沿わせることにより、ルーフボウ80に対するスティフナ36の位置決めがなされる。この状態で、上フランジ151とブラケット88の上面壁88aとを、溶接部P12においてスポット溶接によって結合する。また、下フランジ152と支持面110aとを、溶接部P13においてスポット溶接する。こうすることにより、第2のスティフナ36の他方の端部36bが第2のルーフボウユニット32に固定される。
【0056】
以上説明したように本実施形態のルーフ部12によれば、ルーフボウ40,80の開口端45,85にサイドルーフクロスボウ41,81の挿入部60,100が嵌合された状態で、ルーフボウ40,80とサイドルーフクロスボウ41,81とが溶接されるため、ルーフボウ40,80とサイドルーフクロスボウ41,81との結合部の剛性が大きい。
【0057】
そしてサイドルーフクロスボウ41,81の一部である補強プレート51,91の支持面70a,110aに、スティフナ35,36の下フランジ132,152が結合されていることにより、スティフナ35,36に加わる負荷の一部を剛性の高いサイドルーフクロスボウ41,81によって支持することができる。よって、ブラケット48,88に加わる負荷を減らすことができ、ルーフボウ40,80に対するブラケット48,88の結合部の信頼性が向上する。また、ブラケット48,88の形状を簡単なものにすることができる。
【0058】
しかも断面が略Z形のスティフナ35,36と略L形のブラケット48,88を用いているため、従来のハット形断面のスティフナとブラケットと比較して軽量化することができるとともに、ブラケット48,88の溶接部の数が減るため、ルーフ部12を組立てる際に必要な溶接作業が軽減される。
【0059】
なお本発明を実施するに当たって、サイドルーフレール、ルーフボウ、サイドルーフクロスボウ、スティフナ、ブラケットをはじめとして、本発明の構成要素の構造及び配置等を適宜に変更して実施できることは言うまでもない。また、車体の態様についても前記実施形態に制約されることはなく、種々に変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の1つの実施形態に係るルーフ部の一部を破断して示す車両の斜視図。
【図2】図1に示された車両のルーフ部の一部の斜視図。
【図3】図2に示されたルーフ部の第1のルーフボウユニットの一部を拡大して示す斜視図。
【図4】図3に示された第1のルーフボウユニットを分解して示す斜視図。
【図5】図3に示された第1のルーフボウユニットの正面図。
【図6】図3に示された第1のルーフボウユニットのクロスボウ本体と補強プレートを分解して示す斜視図。
【図7】図2に示されたルーフ部の第2のルーフボウユニットの一部を拡大して示す斜視図。
【図8】従来のルーフ部の一部の斜視図。
【符号の説明】
【0061】
11…車体
12…ルーフ部
20,21…サイドルーフレール
31…第1のルーフボウユニット
32…第2のルーフボウユニット
35,36…スティフナ
40…第1のルーフボウ
41…第1のサイドルーフクロスボウ
48…ブラケット
48a…上面壁
48b…縦フランジ
51…補強プレート
70…張出し部
70a…支持面
80…第2のルーフボウ
81…第2のサイドルーフクロスボウ
88…ブラケット
88a…上面壁
88b…縦フランジ
90…クロスボウ本体
91…補強プレート
110…張出し部
110a…支持面
131,151…上フランジ
132,152…下フランジ
133,153…縦壁
140,160…段差部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のルーフ部の両側部に設けられ車体前後方向に延在する一対のサイドルーフレールと、
前記一対のサイドルーフレール間で車体幅方向に延在し、車体前後方向に間隔をあけて複数配置され、それぞれが閉断面構造をなすルーフボウと、
前記サイドルーフレールと前記ルーフボウとを連結するサイドルーフクロスボウと、
前記複数のルーフボウ間に車体幅方向に間隔をあけて複数配置され、それぞれが車体前後方向に延在し、上フランジと下フランジおよびこれらフランジ間に設けられた縦壁を有する断面略Z形のスティフナと、
を具備した車体の屋根構造において、
前記ルーフボウの上下方向に沿う壁に、前記スティフナの前記上フランジを支持可能な上面壁を有する略L形のブラケットを設け、
前記サイドルーフクロスボウは、
車体前後方向に沿う断面がハット形断面をなすクロスボウ本体と、
前記クロスボウ本体の下面側に重ね合わせて固定することにより前記クロスボウ本体の前記ハット形断面の開口を閉塞する補強プレートとを有し、
前記補強プレートの車体前後方向の両側に前記クロスボウ本体の車体前後方向の両側から突出する張出し部を形成し、かつ、該張出し部の上部に前記スティフナの前記下フランジを支持可能な支持面が形成され、
前記スティフナの前記上フランジを前記ブラケットの前記上面壁に重ねるとともに、前記スティフナの前記下フランジを前記補強プレートの前記支持面に重ねることにより、該スティフナの端部を前記ブラケットと前記補強プレートの前記支持面とにわたって結合したことを特徴とする車体の屋根構造。
【請求項2】
前記一対のサイドルーフレール間に、角パイプからなる第1のルーフボウと、この第1のルーフボウよりも上下方向の寸法が大きい角パイプからなる第2のルーフボウとが車体前後方向に交互に配置され、
前記スティフナの両端部のうち前記第1のルーフボウに結合される一方の端部のみに、該スティフナの前記下フランジの高さを前記支持面の高さに揃えるための段差部が形成され、
前記段差部を前記補強プレートの前記支持面に重ねて溶接したことを特徴とする請求項1に記載の車体の屋根構造。
【請求項1】
車体のルーフ部の両側部に設けられ車体前後方向に延在する一対のサイドルーフレールと、
前記一対のサイドルーフレール間で車体幅方向に延在し、車体前後方向に間隔をあけて複数配置され、それぞれが閉断面構造をなすルーフボウと、
前記サイドルーフレールと前記ルーフボウとを連結するサイドルーフクロスボウと、
前記複数のルーフボウ間に車体幅方向に間隔をあけて複数配置され、それぞれが車体前後方向に延在し、上フランジと下フランジおよびこれらフランジ間に設けられた縦壁を有する断面略Z形のスティフナと、
を具備した車体の屋根構造において、
前記ルーフボウの上下方向に沿う壁に、前記スティフナの前記上フランジを支持可能な上面壁を有する略L形のブラケットを設け、
前記サイドルーフクロスボウは、
車体前後方向に沿う断面がハット形断面をなすクロスボウ本体と、
前記クロスボウ本体の下面側に重ね合わせて固定することにより前記クロスボウ本体の前記ハット形断面の開口を閉塞する補強プレートとを有し、
前記補強プレートの車体前後方向の両側に前記クロスボウ本体の車体前後方向の両側から突出する張出し部を形成し、かつ、該張出し部の上部に前記スティフナの前記下フランジを支持可能な支持面が形成され、
前記スティフナの前記上フランジを前記ブラケットの前記上面壁に重ねるとともに、前記スティフナの前記下フランジを前記補強プレートの前記支持面に重ねることにより、該スティフナの端部を前記ブラケットと前記補強プレートの前記支持面とにわたって結合したことを特徴とする車体の屋根構造。
【請求項2】
前記一対のサイドルーフレール間に、角パイプからなる第1のルーフボウと、この第1のルーフボウよりも上下方向の寸法が大きい角パイプからなる第2のルーフボウとが車体前後方向に交互に配置され、
前記スティフナの両端部のうち前記第1のルーフボウに結合される一方の端部のみに、該スティフナの前記下フランジの高さを前記支持面の高さに揃えるための段差部が形成され、
前記段差部を前記補強プレートの前記支持面に重ねて溶接したことを特徴とする請求項1に記載の車体の屋根構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2010−89755(P2010−89755A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264467(P2008−264467)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】
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