説明

車体フレーム及びそれを備える鞍乗り型車両,並びに車体フレームの製作方法

【課題】クロスメンバの軽量化及び剛性強化と,車体フレームの製作性の両方を満足させる得る車体フレームを提供する。
【解決手段】それぞれ車幅方向に貫通する連結孔45を有すると共に,それら連結孔45を同軸上に配置しながら互いに車幅方向に間隔を存して並ぶ左右一対のフレーム部材6と,これらフレーム部材6間に橋渡しされるよう両連結孔45に嵌挿されて,両フレーム部材6に溶接して結合されるクロスメンバ12とを備える車体フレームにおいて,クロスメンバ12を,両端を開放した中空部12aを有するパイプ材で構成し,このクロスメンバ12の中空部12a開放端近傍の内周面12bにキャップ状のパッチ部材43を嵌合すると共に,内周面12bに開放端に連なる溶接代Lを設け,この溶接代Lの範囲に溶接ビード44を収めるようにして内周面12bにパッチ部材43を溶接した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,それぞれ車幅方向に貫通する連結孔を有すると共に,これら連結孔を同軸上に配置しながら互いに車幅方向に間隔を存して並ぶ左右一対のフレーム部材と,これらフレーム部材間に橋渡しされるよう前記両連結孔に嵌挿されて,前記両フレーム部材に溶接して結合されるクロスメンバとを備える車体フレーム及びそれを備える鞍乗り型車両,車体フレームの製作方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来,かゝる車体フレームにおいて,クロスメンバを中実の棒状部材で構成したものが知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3534279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで,かゝる車体フレームでは,その軽量化のために,クロスメンバを中空のパイプ材で構成することが良い。しかしながら,単にクロスメンバを中空のパイプ材で構成するだけでは,クロスメンバの剛性が不足することがあり,それを補強するため,クロスメンバの端面に,その中空部を閉鎖する,クロスメンバと同径の円板状パッチ部材を突き当て,その突き当て部を相互に溶接することが考えられるが,そうした場合には,溶接ビードがクロスメンバの外周面から多少ともはみ出すことになるので,その溶接ビードが,クロスメンバの,フレーム部材の連結孔への嵌挿を阻害する。したがって,この場合は,先ずクロスメンバをフレーム部材の連結孔に嵌挿し,それをフレーム部材に溶接した後,クロスメンバの端面にパッチ部材を溶接する工程をとることを余儀なくされので,パッチ部材の溶接時に,溶接器具がフレーム部材と干渉することがあって,その溶接作業を困難にし,車体フレームの製作性が低下する。そこで,溶接ビードがクロスメンバの外周面よりはみ出さないよう,円板状パッチ部材をクロスメンバの外径より小径に形成することも考えられるが,そうするとパッチ部材によるクロスメンバの補強効果を充分に得ることが困難となる。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,クロスメンバの軽量化及び剛性強化と,車体フレームの製作性の両方を満足させる得る前記車体フレーム及びそれを備える鞍乗り型車両,並びに前記車体フレームの製作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために,本発明は,それぞれ車幅方向に貫通する連結孔を有すると共に,それら連結孔を同軸上に配置しながら互いに車幅方向に間隔を存して並ぶ左右一対のフレーム部材と,これらフレーム部材間に橋渡しされるよう前記両連結孔に嵌挿されて,前記両フレーム部材に溶接して結合されるクロスメンバとを備える車体フレームにおいて,前記クロスメンバを,両端を開放した中空部を有するパイプ材で構成し,このクロスメンバの中空部開放端近傍の内周面にキャップ状のパッチ部材を嵌合すると共に,前記内周面に前記開放端に連なる溶接代を設け,この溶接代の範囲に溶接ビードを収めるようにして前記内周面に前記パッチ部材を溶接したことを第1の特徴とする。尚,前記クロスメンバは,後述する本発明の実施形態中の第3クロスメンバ12に対応する。
【0007】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記クロスメンバの中空部開放端部近傍の内周面に前記パッチ部材を圧入したことを第2の特徴とする。
【0008】
さらに本発明は,第1又は第2の特徴に加えて,前記車体フレームは,前輪を軸支するフロントフォークを操向可能に支持するヘッドパイプと,このヘッドパイプから後方に延出するメインフレームと,このメインフレームの後部から垂下して,後輪を軸支するリアフォークをピボット軸を介して上下揺動自在に支持する,前記一対のフレーム部材としての左右一対のピボットフレームと,これらピボットフレームに橋渡しされて溶接される前記クロスメンバとを備え,そのクロスメンバに,リアフォークの上下揺動を緩衝する懸架装置中のクッションユニットの下端部を支持する揺動部材を軸支したことを第3の特徴とする。
【0009】
さらにまた本発明は,第3の特徴に加えて,前記パッチ部材の外周面の下部には,該パッチ部材の内外を連通する水抜き用の第1切欠きを設けたことを第4の特徴とする。
【0010】
さらにまた本発明は,第3の特徴に加えて,前記車体フレームの塗装時,前記クロスメンバの中空部開放端近傍の内周面に嵌合,溶接される前記パッチ部材の外周面の下方に来る部分に,該パッチ部材の内外を連通する塗装液流入・流出用の第2切欠きを設けたことを第5の特徴とする。
【0011】
さらにまた本発明は,それぞれ車幅方向に貫通する連結孔を有すると共に,それら連結孔を同軸上に配置しながら互いに車幅方向に間隔を存して並ぶ左右一対のフレーム部材と,これらフレーム部材間に橋渡しされるよう前記両連結孔に嵌挿されて,前記両フレーム部材に溶接して結合されるクロスメンバとを備える車体フレームを製作するに当たり,両端を開放した中空部を有するパイプ材製の前記クロスメンバを用意する工程と,このクロスメンバの中空部開放端近傍の内周面にキャップ状のパッチ部材を嵌合する工程と,前記内周面に前記パッチ部材を溶接する工程と,前記クロスメンバを前記フレーム部材の連結孔に嵌挿する工程と,前記連結孔から外方に突出した前記クロスメンバの外端部を前記フレーム部材の外側面に溶接する工程とを順次実行することを第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の特徴によれば,パッチ部材をクロスメンバの内周面に結合した溶接ビードは,前記内周面に設定される溶接代の範囲に収められるので,その溶接ビードに邪魔されることなくクロスメンバをフレーム部材の連結孔に容易に嵌挿することができ,その嵌挿後,連結孔から外方に突出したクロスメンバの両外端部と左右のフレーム部材とを溶接することができる。しかもパッチ部材は,剛性の高いキャップ状をなしているので,クロスメンバの剛性を効果的に強化することができ,したがって,クロスメンバの剛性強化と,車体フレームの製作性の向上を同時に図ることができる。
【0013】
本発明の第2の特徴によれば,クロスメンバの中空部開放端部近傍の内周面にパッチ部材を圧入したので,そのパッチ部材の圧入後の溶接の際,特別な治具を用いることなくパッチ部材の無用な動きを抑えることができ,その溶接を容易,的確に行うことができ,溶接作業の能率向上に寄与し得る。
【0014】
本発明の第3の特徴によれば,パッチ部材により剛性を強化されたクロスメンバは,左右のピボットフレームに連結してそれらの剛性をも効果的に強化することになり,クッションユニットから揺動部材に作用する大なる荷重に充分に耐え,懸架装置の作動を安定させることができる。
【0015】
本発明の第4の特徴によれば,第1切欠きは,第3クロスメンバ内に浸入した雨水等を外部に排出する役割を果たし,クロスメンバ内に雨水が残留することを防ぐことができる。
【0016】
本発明の第5の特徴によれば,第2切欠きは,車体フレームを塗装液に浸漬するとき,塗装液をクロスメンバの中空部内へ流入させたり,その中空部から外部に流出させたりする役割を果たし,クロスメンバの内周面の塗装を良好にすると共に,クロスメンバ内から余分な塗装液を外部に排出することができる。
【0017】
本発明の第6の特徴によれば,前記車体フレームの製作に当たり,クロスメンバ内周面にキャップ状のパッチ部材を嵌合し,溶接すること,その溶接後,クロスメンバのフレーム部材の連結孔に嵌挿すること,その嵌挿後,連結孔から外方に突出したクロスメンバの外端部をフレーム部材の外側面に溶接することを順次行うことで,車体フレームを能率的に製作することができる。即ち,クロスメンバ内周面へのパッチ部材の嵌合,溶接は,クロスメンバをフレーム部材の連結孔に嵌挿する前に行うので,その溶接時,溶接器具がフレーム部材に干渉するような問題もなく,溶接作業を容易に行うことができる。しかも,その際,クロスメンバの内周面に形成される溶接ビードは,クロスメンバの外周側にはみ出すことがないので,パッチ部材の溶接後のクロスメンバをフレーム部材の連結孔に嵌挿することが可能になる。しかもパッチ部材は,剛性の高いキャップ状をなしているので,クロスメンバの剛性を効果的に強化することができ,したがって,クロスメンバの剛性強化と,車体フレームの製作性の向上を同時に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る自動二輪車の左側面図。
【図2】上記自動二輪車の車体フレームの拡大側面図。
【図3】図2の3−3線断面図。
【図4】図2の4矢視図。
【図5】図2の5−5線拡大断面図。
【図6】図5の6矢視拡大図。
【図7】前記車体フレームの浸漬塗装状態説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下,本発明を,鞍乗り型車両としての自動二輪車に適用した実施形態について添付図面に基づき説明する。尚,以下の説明中,前後左右とは,自動二輪車を基準にして言うものとする。
【0020】
先ず図1〜図4において,自動二輪車の車体フレームFは,ヘッドパイプ1と,このヘッドパイプ1の下端部から緩勾配で下がりつゝ後方へ延出する左右一対のメインフレーム2,2と,これらメインフレーム2,2の前端部から急勾配で下方へ延出する左右一対のダウンフレーム3,3と,ヘッドパイプ1の上端部から延びて,ダウンフレーム3,3のメインフレーム2,2との結合点より後方でメインフレーム2,2に結合されるステー4,4と,これらステー4,4のメインフレーム2,2との結合点より後方でメインフレーム2,2及びダウンフレーム3,3間を連結するステー5,5と,メインフレーム2,2の後端から下方に延出する左右一対のピボットフレーム6,6と,これらピボットフレーム6,6の上部から後上がりに延びる左右一対のシートレール7,7と,左右各同側の各ピボットフレーム6の中間部及び各シートレール7の後部間を結ぶステー8と,左右のメインフレーム2,2の各中間部間を連結する第1クロスメンバ10と,左右のピボットフレーム6,6の各上端部間を連結する第2クロスメンバ11と,同ピボットフレーム6,6の各下端部間を連結する第3クロスメンバ12と,左右のシートレール7,7の後端部間を連結する第4クロスメンバ13とで構成され,左右の前記ピボットフレーム6,6の各上下方向中間部には,それを車幅方向に沿って貫通して互いに同軸に並ぶピボット軸受筒14,14が溶接される。
【0021】
前記ヘッドパイプ1では,前輪Wfを軸支するフロントフォーク15が操向可能に支承され,また左右の前記ピボット軸受筒14,14では,後輪Wrを軸支するリアフォーク16を上下揺動可能に支持するピボット軸17の両端部が支承される。
【0022】
前記メインフレーム2,2,ダウンフレーム3,3及びピボットフレーム6,6に囲まれる領域にエンジンEが配置され,このエンジンEをボルトを介して支持する複数のエンジンハンガ20a〜20dが第1クロスメンバ10,メインフレーム2,2,ダウンフレーム3,3及び第2クロスメンバ12にそれぞれ溶接により固設される。
【0023】
前記エンジンEは,車幅方向に延びる軸線を有するクランクシャフト21と,それを支承するクランクケース22と,前傾したシリンダ軸線Yを有してクランクケース22の前部上端に結合されるシリンダブロック23と,このシリンダブロック23の上端に結合されるシリンダヘッド24と,このシリンダヘッド24の上端に結合されるヘッドカバー25と,クランクケース22の下部に結合されるオイルパン26とを備える。またクランクケース22内には変速機Mが配設され,その変速機Mのカウンタシャフト28の一端部がクランクケース22の左側壁を貫通した外部に突出し,それがチェーン伝動装置29を介して後輪Wrに連結され,後輪Wrを駆動するようになっている。
【0024】
またピボットフレーム6及びリアフォーク16間には,リアフォーク16の上下揺動を緩衝する懸架装置Sが介装される。この懸架装置Sは,第3クロスメンバ12に固設される下部クッションブラケット31に第1支軸32を介して上下揺動自在に支持される揺動部材35と,この下部クッションブラケット31の中間部とリアフォーク16との間に第2及び第3支軸33,34を介して揺動自在に連結されるテンションリンク36と,揺動部材35の先端部と第2クロスメンバ11の中間部に固設される上部クッションブラケット37とに介装されるクッションユニット38とで構成される。そのクッションユニット38の上端部は,第2クロスメンバ11の中間に固設される上部クッションブラケット37に第4支軸39を介して連結され,クッションユニット38の下端部は,揺動部材35の先端部に第5支軸40を介して連結される。
【0025】
図5及び図6に示すように,前記第3クロスメンバ12は,両端を開放した中空部12aを有するパイプ材で構成され,その中空部12a開放端部近傍の内周面12bには,キャップ状のパッチ部材43の外周に形成される円筒部43aが圧入される。その際,前記第3クロスメンバ12の内周面12bには,パッチ部材43から中空部12aの開放端に達する所定の溶接代Lが設定され,この溶接代Lの範囲に溶接ビード44を収めるようにして前記内周面12bに前記円筒部43aが溶接される。而して,第3クロスメンバ12の内周面12bに定位置に圧入されたパッチ部材43は,溶接中,濫りに動くことがないから,前記内周面12bへの定位置での溶接を容易,的確に行うことができる。特に,ピボットフレーム6,6との結合前の単独の第3クロスメンバ12の周囲には,溶接器具と干渉するようなものは存在しないので,第3クロスメンバ12内周面へのパッチ部材43の嵌合,溶接を能率的に行うことができる。
【0026】
その後,第3クロスメンバ12は,左右のピボットフレーム6,6に橋渡しされるように,ピボットフレーム6,6の下端部にそれぞれ設けられて同軸上に並ぶ連結孔45,45に嵌挿される。その際,第3クロスメンバ12の内周面12bの溶接代Lに収められた前記溶接ビード44は,第3クロスメンバ12の外面に現れていないから,前記溶接ビード44に邪魔されることなく第3クロスメンバ12を連結孔45,45に容易に嵌挿することができる。その嵌挿後,第3クロスメンバ12の両端部が左右のピボットフレーム6,6の外側面に溶接される。
【0027】
而して,両端開放の中空部12aを有する第3クロスメンバ12の両端部は,剛性の高いキャップ状をなすパッチ部材43により効果的に補強され,この補強された第3クロスメンバ12によって左右のピボットフレーム6,6は連結され,これにより両ピボットフレーム6,6の剛性も効果的に強化される。そして第3クロスメンバ12の下部クッションブラケット31には,懸架装置S中,クッションユニット38の下端を支持する揺動部材35が軸支されるので,第3クロスメンバ12及びピボットフレーム6,6は,クッションユニット38から揺動部材35に作用する後向きの大なる荷重に充分に耐え,懸架装置Sの作動を安定させることができる。かくして,中空パイプ材よりなる第3クロスメンバ12の剛性強化と,車体フレームFの製作性の向上を同時に図ることができる。
【0028】
図5及び図6に示すように,前記パッチ部材43外周面の下部には第1切欠き46,同後部には第2切欠き47がそれぞれ設けられる。第1及び第2切欠き46,47は,何れもパッチ部材43の内外を連通させるものであり,第1切欠き46は,第3クロスメンバ12内に浸入した雨水等を外部に排出する役割を果たし,第3クロスメンバ12内に雨水が残留することを防ぐ。
【0029】
また第2切欠き47は,図7に示すように,車体フレームFの浸漬塗装時,塗装コンベア50のフック50aをヘッドパイプ1内に挿通して車体フレームFを吊り下げたときパッチ部材43の下部にくるようになっており,したがって車体フレームFを塗装液51に浸漬するとき,その塗装液51が第2切欠き47を通して第3クロスメンバ12の中空部12a内へ流入したり,その中空部12aから外部に流出したりすることになり,第3クロスメンバ12の内周面の塗装を良好にすると共に,第3クロスメンバ12内から余分な塗装液を外部に排出することができる。
【0030】
再び図1において,前記エンジンEの上方でメインフレーム2,2に収納ボックス28が搭載され,この収納ボックス52の後方でタンデム型の乗車用シート53が前記シートレール7,7上に開閉可能に取り付けられ,このシート53の直下に,シートレール7,7に支持される燃料タンクTが配設される。
【0031】
以上,本発明の実施形態を説明したが,本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0032】
F・・・・・・車体フレーム
L・・・・・・溶接代
S・・・・・・懸架装置
Wf・・・・・前輪
Wr・・・・・後輪
1・・・・・・ヘッドパイプ
2・・・・・・メインフレーム
6・・・・・・フレーム部材(ピボットフレーム)
12・・・・・クロスメンバ(第3クロスメンバ)
12a・・・・中空部
12b・・・・内周面
15・・・・・フロントフォーク
16・・・・・リアフォーク
17・・・・・ピボット軸
35・・・・・揺動部材
38・・・・・クッションユニット
43・・・・・パッチ部材
44・・・・・溶接ビード
45・・・・・連結孔
46・・・・・第1切欠き
47・・・・・第2切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ車幅方向に貫通する連結孔(45,45)を有すると共に,それら連結孔(45,45)を同軸上に配置しながら互いに車幅方向に間隔を存して並ぶ左右一対のフレーム部材(6,6)と,これらフレーム部材(6,6)間に橋渡しされるよう前記両連結孔(45,45)に嵌挿されて,前記両フレーム部材(6,6)に溶接して結合されるクロスメンバ(12)とを備える車体フレームにおいて,
前記クロスメンバ(12)を,両端を開放した中空部(12a)を有するパイプ材で構成し,このクロスメンバ(12)の中空部(12a)開放端近傍の内周面(12b)にキャップ状のパッチ部材(43)を嵌合すると共に,前記内周面(12b)に前記開放端に連なる溶接代(L)を設け,この溶接代(L)の範囲に溶接ビード(44)を収めるようにして前記内周面(12b)に前記パッチ部材(43)を溶接したことを特徴とする車体フレーム。
【請求項2】
請求項1記載の車体フレームにおいて,
前記クロスメンバ(12)の中空部(12a)開放端部近傍の内周面(12b)に前記パッチ部材(43)を圧入したことを特徴とする車体フレーム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車体フレームを備える鞍乗り型車両であって,
前記車体フレーム(F)は,前輪(Wf)を軸支するフロントフォーク(15)を操向可能に支持するヘッドパイプ(1)と,このヘッドパイプ(1)から後方に延出するメインフレーム(2)と,このメインフレーム(2)の後部から垂下して,後輪(Wr)を軸支するリアフォーク(16)をピボット軸(17)を介して上下揺動自在に支持する,前記一対のフレーム部材としての左右一対のピボットフレーム(6,6)と,これらピボットフレーム(6,6)に橋渡しされて溶接される前記クロスメンバ(12)とを備え,そのクロスメンバ(12)に,前記リアフォーク(16)の上下揺動を緩衝する懸架装置(S)中のクッションユニット(38)の下端部を支持する揺動部材(35)を軸支したことを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項4】
請求項3記載の鞍乗り型車両において,
前記パッチ部材(43)の外周面の下部には,該パッチ部材(43)の内外を連通する水抜き用の第1切欠き(46)を設けたことを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項5】
請求項3記載の鞍乗り型車両において,
前記車体フレーム(F)の塗装時,前記パッチ部材(43)の外周面の下方に来る部分に,該パッチ部材(43)の内外を連通する塗装液流入・流出用の第2切欠き(47)を設けたことを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項6】
それぞれ車幅方向に貫通する連結孔(45,45)を有すると共に,それら連結孔(45,45)を同軸上に配置しながら互いに車幅方向に間隔を存して並ぶ左右一対のフレーム部材(6,6)と,これらフレーム部材(6,6)間に橋渡しされるよう前記両連結孔(45,45)に嵌挿されて,前記両フレーム部材(6,6)に溶接して結合されるクロスメンバ(12)とを備える車体フレームを製作するに当たり,
両端を開放した中空部(12a)を有するパイプ材製の前記クロスメンバ(12)を用意する工程と,このクロスメンバ(12)の中空部(12a)開放端近傍の内周面(12b)にキャップ状のパッチ部材(43)を嵌合する工程と,前記内周面(12b)に前記パッチ部材(43)を溶接する工程と,前記クロスメンバ(12)を前記フレーム部材(6,6)の連結孔(45,45)に嵌挿する工程と,前記連結孔(45,45)から外方に突出した前記クロスメンバ(12)の外端部を前記フレーム部材(6,6)の外側面に溶接する工程とを順次実行することを特徴とする,車体フレームの製作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−22996(P2013−22996A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157614(P2011−157614)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】