説明

車体改装材の構造

【課題】FRP製のパーツなどを用いることなく、自由な発想で車体表面を改装することができ、また、事故などによってボディ表面に生じた凹みを、省資源的、コスト的、特性変化、熟練性、作業性などに問題を生じさせずに修復することのできる車体改造材の構造を提供する。
【解決手段】車体の改装部位に配置される発泡樹脂からなる改装用成形体と、この改装用成形体の表面に積層されて改装用成形体と一体化される補強用クロスとエポキシ樹脂から成る硬化層と、この硬化層の上に塗布される熱硬化性樹脂層と、熱硬化性樹脂層の表面に設けられる化粧層とから成る。熱硬化性樹脂層は、マイクロバルーン入りのエポキシ樹脂が望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車のボディの改装あるいは損傷した部位の修理に関する技術、詳しくは、フェンダーやボンネットの側面に丸みをつけるなどのボディの改装、さらには事故によってボディ表面に生じた凹みを補修する技術に用いられる車体改装材の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自己の所有する自動車の車体を例えば空気抵抗を少なくして運転し易くするために、フェンダーやボンネットの側面に丸みを付けたり、また、車高を低くするために、スポイラーをつけるなど、既製のFRP製のパーツなどを用いて趣味や趣向に合わせて改装する車体のカスタム化が、広く行われている。
【0003】
一方、接触事故などによって損傷を受け、凹みなどを生じた車体の修復は、近年においては、車体の損傷が部位的であってもパーツ単位まで拡張し、新品パーツまたは中古パーツの単位パーツを用いて交換することにより行われている。しかし、この修理方法は、コスト的にも省資源的にも問題のある方法である。
【0004】
また、車体の損傷がパーツの部位的なものであれば、損傷の波及がなく、最も損傷に近い損傷部位を選んでカットし、新品パーツ又は中古パーツから同一部位をカットし、損傷部位のみを取り替えることも考えられるが、損傷部位のみをカットして取り替えることは、長い溶接線によって熱歪みが大きく発生したり、後始末の作業量が大きくなったりする問題がある上、省資源的にも余り意味のないことである。
【0005】
さらに、従来から行われている板金加工による修復手段は、凹んだ部分を、内側から叩くか、手が入らない場合は穴明きワッシャーなどを電気溶接し、ワッシャーに引っ掛けて衝撃ハンマーにて引っ張り出し、約90%程度凹みを解消し、残りの10%には、二液硬化型のポリエステル樹脂に充填剤を加えたパテ状物質を塗布し、硬化させた後、表面を研磨し、仕上塗装を施すというものである。
【0006】
この修復手段は、金属の叩き出しや溶接の熱による歪みが発生し易い方法である上、熟練した技術を必要とし、修復に長時間を要する方法で、例えば、20mm深さで、面積30cm2の凹みを修復するには、通常、引出し作業に約1時間、パテ付けを最低2〜3回必要とし、研磨作業を含め3〜4時間も要するものである。
【0007】
また、叩き出しや溶接の熱による歪みを避けるために、それらによる凹みの回復を50%程度に抑えると、パテをその分厚く塗布しなければならない。しかし、パテを厚く塗布すると、樹脂の硬化熱による歪の問題が発生する。硬化熱によって車体を構成する鉄板が延ばされる一方、パテが硬化に伴い収縮するからである。除熱のためにパテの薄塗りを何回も繰り返すことにすると、作業時間が無限とも云えるような長さになるおそれがあるとともに、積層された塗りによって得られた硬化塗膜は強度的にも問題があり、熱履歴の繰り返しも無視できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明はかかる現状に鑑み、自動車車体の改装又は修復(以下、両者を含めて本明細書では改装という。)に適用される車体改造材の構造を提供するもので、その目的は、FRP製のパーツなどを用いることなく、自由な発想で車体表面を改装することができ、また、事故などによってボディ表面に生じた凹みを、省資源的、コスト的、特性変化、熟練性、作業性などに問題を生じさせずに修復することのできる車体改造材の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記した目的を達成するために次の構成を備える。
すなわち、請求項1に係る車体改造材の構造は、車体の改装部位に配置される発泡樹脂からなる改装用成形体と、この改装用成形体の表面に積層されて改装用成形体と一体化される補強用クロスとエポキシ樹脂から成る硬化層と、この硬化層の上に塗布される熱硬化性樹脂層と、熱硬化性樹脂層の表面に設けられる化粧層とから成る。
【0010】
成形体は、本改造材の芯材となるもので、例えば断面が角形で独立気泡を有する発泡スチロール材から成る。
成形体は、例えば断面角形の発泡樹脂材から成り、少なくとも一面にエポキシ樹脂層を介しあるいは介することなく粘着剤層を備える。粘着材層によって成形体は、車体適宜の部位に固着される。成形体は、例えば断面の一辺が20〜60cmの正方形あるいは長方形のものから成る。
【0011】
硬化層(下地層)を構成する補強用クロスは、ガラスクロスが望ましい。
エポキシ樹脂は、成形体である発泡樹脂材を溶かすことなく発泡樹脂材表面に補強用クロスを固着させ、補強用クロスとともに改装用成形体表面に一体化された硬化層を形成する。
硬化層は、未硬化時にナイロンもしくはポリエステルからなるクロスを表面に載置し、硬化後に剥離することにより、表面に布目跡が形成されたものにすると良い。
【0012】
熱硬化性樹脂層は、硬化層の上に塗布されるものでパテ層に相当する。
この層の熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が選択される。特に、触媒や硬化剤による常温硬化型のエポキシ樹脂が望ましい。
熱硬化性樹脂には、マイクロバルーンを含有させると良い。
マイクロバルーンを含有する熱硬化性樹脂は、増粘材により増粘されたものが適当である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば次の効果を奏する。
本発明に係る改造材は、芯材として発泡樹脂から成る改装用成形体を用い、その表面を順に硬化層と熱硬化性樹脂層と化粧層とで覆ってあるので、成形体表面が先ず硬化層によって一体的に強化され、更に熱硬化性樹脂層によって硬化されるので、全体的にFRP製のパーツよりも強度のある改造材を提供できる。
しかも、事故などで生じた凹みに対しては、パーツ交換などをすることなく修復でき、省資源的に優れ、従来の板金加工における溶接の熱による歪み、錆の発生を防止することができる。
【0014】
また、成形体を発泡樹脂材によって形成してあるので、好みの形に容易に製作でき、損傷箇所への充填も成形体を切削することにより容易に対応でき、改造材による補修あるいは組み付け作業をより迅速かつ容易に行うことができる。
【0015】
更に、補修の場合には、パテを必要最小限の範囲で使用するだけであるから、熱硬化性樹脂の硬化熱に伴う車体への影響を可及的に抑制できる。
特に、熱硬化性樹脂層としてマイクロバルーンを含有させた樹脂を用いた場合には、樹脂層の硬化に伴う収縮率を低く抑えることができ、硬化熱による車体への影響をより一層低減できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施例を説明する。
先ず、本発明において、車体の改装とは、既存の車体の外形等を変更するためのカスタム化と、事故などによって車体の表面に発生した凹みの補修を意味する。
本改造材は、図示しないが断面で見ると、最下部から順次、車体の改装部位に配置される発泡樹脂からなる改装用成形体と、硬化層と、熱硬化性樹脂層と、化粧層とからなっている。
改装用成形体としては、発泡樹脂製の成形体、特に、発泡スチロールを角形に成型した成形体を使用する。
【0017】
成形体は発泡樹脂材からなるもので、改装したのちは、車体の表面を構成するものであるので、軽量で、かつ強度やその他の特性に優れていることが望まれるため、極微小の独立気泡からなるものであって、比重が0.03〜0.04程度に小さい発泡樹脂、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ABS樹脂などが挙げられるが、この発明にとり好ましいものは発泡スチロールで、具体的な発泡スチロールとしては、ダウ加工株式会社製のスタイロフォーム(商標)が挙げられる。
【0018】
また、成形体は、断面が角形の柱状のものがよいが、ボディ表面に沿って並列状態で配置したり、並列配置したものの上にさらに積層することや、凹み内に充填して使用することから、その断面の一辺が20〜60cmの正方形又は長方形であることが好ましい。長さは任意であるが、通常は100cm程度のものを用意し、修復又は改装する部位の大きさにしたがってカットし、あるいは継ぎ足して使用すればよい。
【0019】
また、積み重ねて使用する場合もあるので、その表面は平滑であることが望ましく、必要に応じて研磨して平滑化しておくのが望ましい。積み重ねた際の固定のために、その長手方向の少なくとも一面に粘着剤層を設けておくのがよく、粘着剤の使用により、改装作業の作業性が著しく向上する。
【0020】
粘着剤層を設ける際には、プライマーとして、エポキシ樹脂を塗布してエポキシ樹脂層を設け、その表面に粘着剤を設けるのが、粘着剤と素材である樹脂、特にスチレン樹脂との密着性の上から好ましい。
【0021】
粘着剤層は、粘着剤を塗布して形成しても、あるいは市販の両面粘着テープを貼付することにより形成してもよく、当然のことであるが、粘着剤層の表面には、使用する前に粘着剤が機能しないように剥離紙が設けられる。
【0022】
成形体は、事故などによりボディ表面に生じた凹部に適用する場合には、所要の長さと断面積を有するものを凹みの大きさに合わせてカットし、当該凹みを塞ぐように並列させながらあるいは並列させた成形体の上面に積み重ねて積層するようにして配置するものである。一方、カスタム化に適用するものは、形状を変更させたボディ表面に成形体を並列させながら、あるいは並列させた形成体の上面に積み重ねて積層するようにして配置し、ボディ表面に所望の形状の凹状部を形成するものである。
【0023】
成形体の表面には硬化層が一体的に固着されている。
硬化層は、成形体表面を補強用クロスによって覆いエポキシ樹脂を塗布して形成される。
エポキシ樹脂には、ビスフェノール型、ノボラック型など種々のもの存在するが、最も一般的なビスフェノール型が好ましく、常温硬化用の触媒、例えば、変性脂環式ポリアミンなどが併用される。
【0024】
補強用クロスとしては、各種のガラスクロスを用いることができる、なかでも市販品の目付け量180〜500g/cm2程度のガラスクロスが好ましい。この補強用クロスは、改修箇所に求められる強度などによって使用枚数を変化させるものであるが、通常は1〜5枚程度用いられる。荒めのものと細目のものを併用することは、塗膜とのなじみや強度向上の目的がより良く発現することになり、一層、好ましい。
硬化層内の補強用クロスによって、改修箇所にかかる引張応力に耐える強度が付与され、表面の硬化向上により外力に対する安定性が付与される。
【0025】
硬化層の上には、熱硬化性樹脂層が塗布される。この層は、パテ層を構成する。
熱効化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂として公知のものが適用される。この発明にとり好ましいのは、触媒や硬化剤による常温硬化性に優れたもので、特に好ましいものは、常温硬化型のエポキシ樹脂である。
【0026】
補強用クロスへの浸透性のためには、増粘剤などの添加されていない、常温液状の熱硬化性樹脂が用いられる。
熱硬化性樹脂層においては、硬加熱による車体への熱履歴による悪影響を避けるためには、マイクロバルーンを添加し分散させた熱硬化性樹脂を用いるのが好ましい。
【0027】
マイクロバルーンとしては、ガラスマイクロバルーン、シラスマイクロバルーン、フェノールマイクロバルーンなど無機及び有機の各種のものを用いることができるが、好適なのは、ガラスマイクロバルーンである。
熱硬化性樹脂とマイクロバルーンの併用割合は、熱硬化性樹脂100質量部に対して通常マイクロバルーン10〜40質量部である。
【0028】
マイクロバルーンを分散させた熱硬化性樹脂の塗膜層を形成させる際の熱硬化性樹脂は、塗布作業性の面からも、液だれの面からも、粘度の高い、特にチキソトロピック性を有するものが好ましく、そのために、増粘剤の添加してあるもの、特に、チキソトロピック性を付与できる増粘剤が添加されたものが好ましい。
【0029】
増粘剤としては、無水ケイ酸、無水ケイ酸アルミニウム、雲母微粉末、コットンフロックなどが挙げられ、特にチキソトロピック化剤として知られているコロイダルシリカ、シリカゾルなどが好ましい。
増粘剤の添加量としては、熱硬化性樹脂100質量部に対して通常1〜25質量部、好ましくは、5〜15質量部である。
【0030】
熱硬化性樹脂には、一般の塗料に使用されている顔料、可塑剤、希釈剤、分散剤などの添加剤を、対象に応じて加えることもできる。
【0031】
硬化層と熱硬化性樹脂層との間には、硬化層のエポキシ樹脂硬化前に硬化層表面にナイロンやポリエステルクロスを載置してクロスの布目が転写されるように押し付け、そのままの状態で熱硬化性樹脂を硬化させた後、クロスを剥離して硬化層表面に布目を形成しておく。これにより、硬化層を足付け研磨する必要がなくなる。
【0032】
こうした布目形成用のクロス材としては、ナイロンやポリエステル製のクロス以外に繊維の目が緻密で樹脂が透過し難いもの、例えば、傘地に用いられる素材などが用いられる。
【0033】
熱硬化性樹脂層の表面には、塗料による化粧層が施されている。
化粧層は、主として車体の塗料と同じものが採用される。
【0034】
本発明に係る構造を作り出すための手順は、概略以下のとおりである。
事故などによりボディ表面に生じた凹みを修正するには、凹部に応じて所要の長さと断面積を有する成形体を、凹みの大きさに合わせてカットし、当該凹みを塞ぐように並列させながら、あるいは並列させた成形体の上面に積み重ねて積層するようにして配置する。
【0035】
一方、カスタム化の場合、形状を変更させたボディ表面に成形体を並列させながらあるいは並列させた成形体の上面に積み重ねて積層するようにして配置し、ボディ表面に所望の形状の凸状部を形成する。
【0036】
次いで、いずれの場合も、成形体の表面に硬化層を形成する。成形体の配置に際して、成形体同士の間に生じた隙間などはあらかじめポリエステル又はエポキシ樹脂製のパテで埋めておく。そのような処理を施した後に、成形体の表面にガラスクロスなどの補強用クロスを介在させてエポキシ樹脂を塗布して硬化層を形成する。エポキシ樹脂は、補強用クロスへの浸透性に優れる常温液状の熱硬化性樹脂で、補強用クロス内に十分浸透されて硬化後は成形体と一体化する。
なお、補強用クロスを載置する前に、成形体表面にエポキシ樹脂を薄く塗布することが、成形体と補強用クロスの密着性向上のために好ましい。
【0037】
硬化層が硬化した後、その表面に、さらにマイクロバルーンを分散させた熱硬化性樹脂を塗布して硬化させる。後は、熱硬化性樹脂層の表面に、塗料などの化粧層を設けて目的とする修復や改装が完了する。
【0038】
こうして改装された車体表面の凹部は、発泡樹脂製の成形体で埋められ、その表面は硬化層と熱硬化性樹脂層と化粧層とで覆われる。本改造材は、修復後の車体表面が受ける、熱や冷却により生じる外力に耐える強度と硬化を有し、修復部を安定に維持する作用を有し、しかもこの作用は、車体金属が鉄であれアルミニウムであれ同様に認められる。
【0039】
また、カスタム化のための改装は、改装したい部位に成形体を配置して凸状部を形成し、この凸状部を適宜の手段によって得ようとする形状に補正したのち、その表面に補強用クロスを介在させながら熱硬化性樹脂からなる塗膜層を形成することによって、既製のFRPパーツを使用せずに、自由に所望の形状に改装することができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の使用例の具体的な実施例につき、説明する。
<実施例1>
表面に凹凸がなく平滑で一辺が40mmの正方形を断面とする発泡スチロールからなる成形体の長手方向の一面に粘着剤を塗布し、改装用成形体とした。プライマーとしては、エポキシ樹脂を用いた。
事故により生じた自動車ボディの表面凹部に充填することができるように、長さを調整した上記成形体を、凹部が略消滅し、ボディの表面と充填された成形体の上部表面が略均一になるように配置した。
【0041】
成形体同士の間に生じた間隙、配置された成形体周辺と凹部表面との間隙には、エポキシ樹脂製のパテを充填した。凹部の形状に切断調整されたガラスクロス2枚(荒目1枚、細目1枚)を、上記のようにして配置された成形体の上部表面を覆うように載置した。
【0042】
一方、エポキシ樹脂(シェル社製;エピコート815)から成る硬化層形成用樹脂主剤と、エポキシ樹脂(上と同じ製品)100質量部、シリカゾルを10質量部、ガラスマイクロバルーン15質量部からなる熱硬化性樹脂主剤を用意した。また、変性脂環式ポリアミン及び該ポリアミン100質量部、シリカゾル5質量部からなる2種の熱硬化性樹脂常温硬化用触媒を調整した。
【0043】
得られた硬化層形成用樹脂主剤と常温硬化用触媒を混合し、未増粘品の熱硬化性樹脂を得た。また、熱硬化性樹脂主剤と常温硬化用触媒とを混合して増粘品の熱硬化性樹脂を得た。
未増粘の熱硬化性樹脂を、配置された成形材の上部表面を覆うように載置したガラスクロスのうえに、ガラスクロスの内部に樹脂が十分に浸透するように塗布した。
【0044】
ガラスクロスに浸透させた熱硬化性樹脂が半硬化した硬化層の表面に、ガラスマイクロバルーンを含有し増粘された熱硬化性樹脂を塗布して熱硬化性樹脂層を形成した。
熱硬化性樹脂層をパテとぎするなどして車体面と面一になるように平滑にした後、塗料を塗布して化粧層を形成した。
修復されたボディは、外観的にも強度的にも、損傷のない新品のボディと同様であった。
【0045】
<実施例2>
カスタマイズしようとするボディ側面の中央部に、フロント部からリア部に向けて、一辺が20mmの正方形を断面とする長さが100cmの発泡スチロールからなる成形体を直線状になるよう配置固定したのち、その表面ならびに側面部にガラスクロスを載せるとともに、実施例1と同様の未増粘の熱硬化性樹脂主剤と常温硬化用触媒を混合したものを塗布し浸透させた。硬化層が形成された後、その表面にガラスマイクロバルーンを含有し増粘された熱硬化性樹脂主剤と常温硬化用触媒を混合したものを円弧状になるよう塗布して全体を円弧の緩やかな凸状にした。その後、そのままの状態で硬化させ、パテとぎした後、化粧層を施した。
【0046】
改装されたボディの側面は、その中央部に、フロントからリア方向に向けて緩やかな円弧状の美麗な凸状部が形成された特別仕様車となった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の改装部位に配置される発泡樹脂からなる改装用成形体と、
この改装用成形体の表面に積層されて改装用成形体と一体化される補強用クロスとエポキシ樹脂から成る硬化層と、
この硬化層の上に塗布される熱硬化性樹脂層と、
熱硬化性樹脂層の表面に設けられる化粧層とから成る、
車体改装材の構造。
【請求項2】
前記成形体は、断面が角型であって独立気泡を有する発泡スチロールから成る、
請求項1記載の車体改装材の構造。
【請求項3】
前記補強用クロスは、ガラスクロスである、
請求項1もしくは2記載の車体改装材の構造。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂層は、マイクロバルーンを含有する熱硬化性樹脂材より成る、
請求項1から3のいずれかに記載の車体改装材の構造。
【請求項5】
前記マイクロバルーンを含有する熱硬化性樹脂材は、増粘剤により増粘されたものである、
請求項4記載の車体改造材の構造。
【請求項6】
前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である、
請求項1から5のいずれかに記載の車体改装材の構造。
【請求項7】
前記硬化層は、未硬化時にナイロンもしくはポリエステルからなるクロスを表面に載置し、硬化後に剥離することにより、表面に布目跡が形成されている、
請求項1記載の車体改造材の構造。
【請求項8】
前記成形体は、断面角形の発泡樹脂材から成り、少なくとも一面にエポキシ樹脂層を介しあるいは介することなく粘着剤層を備える、
請求項1もしくは2記載の車体改装材の構造。

【公開番号】特開2006−272981(P2006−272981A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−111536(P2004−111536)
【出願日】平成16年4月5日(2004.4.5)
【分割の表示】特願2001−204441(P2001−204441)の分割
【原出願日】平成13年7月5日(2001.7.5)
【出願人】(397035173)有限会社コンクエスト (2)
【出願人】(598096245)ジョイボンド株式会社 (5)
【Fターム(参考)】