説明

車体部材の接合構造

【課題】 水分が両接合端部間に侵入すること、広く行き渡ることを抑えて、接合端部が腐食し接着剤が劣化しにくいようにして、接合端部の接合強度の低下を抑制できる、車体部材の接合構造を提供する。
【解決手段】 車体部材の接合構造1は、特に、第1,第2接合端部3,5の所定部位を他の部位よりも近接させて接合した近接接合部13と、近接接合部13から第1接合端部3の内方に向かって第1,第2接合端部3,5間の間隔を拡大させて接着剤6で接着した内方間隔拡大部14と、内方間隔拡大部14よりも第1接合端部3の内方側において、所定幅に亙って設けられ第1,第2接合端部3,5を接着剤6で接合した主接合部15とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体部材の接合端部同士を重ね合わせて接着剤で接着した車体部材の接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車体において、車体部材の接合端部同士を重ね合わせて接着剤で接着する接合構造が実用に供されている。特に、車体部材がアルミ製の場合、その接合端部同士を溶接すると車体部材に熱歪みが生じる虞があるため、その熱歪みを生じさせないためにも、前記のような接合構造が有効である。ここで、特許文献1には、車両のトルクコンバータのフロントパネルの端部とインペラの端部とを、それら端部に形成された凸部と凹部を係合させて接着した一般的な接合構造が開示されている。
【0003】
車体部材の接合端部同士を接着剤で接着した場合、その接合端部の外端側から接合端部間に水分(例えば、塩水等)が、接合端部と接着剤の間の隙間から、また、吸湿性のある接着剤を伝って侵入し、接合端部が腐食したり接着剤が劣化して、接合端部の接合強度が低下するという虞がある。特に、車体部材がアルミ製の場合、侵入した水分によりアルミ腐食生成物が発生して車体部材が腐食し易く、接合端部の接合強度の低下も著しい。
【0004】
例えば、図20に示すように、本願発明者が、アルミ製の板材、押し出し材、鋳造材を用いて行った塩水噴霧試験の結果から明らかなように、何れの接合強度も所期の接合強度よりも大幅に低下する。そこで、アルミ製の板材、押し出し材、鋳造材に所定の表面処理を施すと、接合強度の低下を抑えることができるが、その表面処理の為の工程数、コストが増大するし、鋳造材の場合には、所望の接合強度を得ることができない。
【特許文献1】特開2002−61733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車体部材の接合端部同士を接着剤で接合した一般的な接合構造では、水分が接合端部の外端側から両接合端部間に侵入し広く行き渡り易いため、接合端部が腐食し接着剤が劣化して、接合端部と接着剤の密着性が低下して、接合端部の接合強度が低下し易いという問題がある。両接合端部間に水分が侵入し易いというのは、接合端部の外端が外部に露出していること、また、侵入した水分が両接合端部間に広く行き渡り易いというのは、両接合端部を単に対向状に近接させて接着剤で接着していることに起因する。
【0006】
前記のように、特に車体部材がアルミ製の場合には、その車体部材に所定の表面処理を施して、接合強度の低下を抑えることができるが、その表面処理の為の工程数、コストが増大するし、鋳造材の場合には、所望の接合強度を得ることができないという問題がある。尚、特許文献1には、上記課題を解決可能な技術は開示、示唆されていない。
本発明の目的は、水分が両接合端部間に侵入したり広く行き渡ったりすることを抑えて、接合端部が腐食し接着剤が劣化しにくいようにして、接合端部の接合強度の低下を抑制できる、車体部材の接合構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の車体部材の接合構造は、車体部材の接合端部同士を重ね合わせて接着剤で接着した車体部材の接合構造において、両接合端部の所定部位を他の部位よりも近接させて接合した近接接合部と、近接接合部から一方の接合端部の内方に向かって両接合端部間の間隔を拡大させて接着剤で接着した内方間隔拡大部と、内方間隔拡大部よりも一方の接合端部の内方側において、所定幅に亙って設けられ両接合端部を接着剤で接合した主接合部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
近接接合部では、両接合端部の所定部位を他の部位よりも近接させて接合したので、水分が近接接合部を通って内方間隔拡大部に侵入できる物理的隙間が小さくなり、内方間隔拡大部に水分が侵入しにくくなる。内方間隔拡大部では、近接接合部から一方の接合端部の内方に向かって両接合端部間の間隔を拡大させて接着剤で接着したので、内方間隔拡大部に侵入した水分が、内方間隔拡大部に充填の接着剤に吸収され分散して、その水分濃度が一方の接合端部の内方側程、つまり主接合部に近くなる程低下し、主接合部に水分が侵入しにくくなる。
【0009】
主接合部では、内方間隔拡大部よりも一方の接合端部の内方側において、所定幅に亙って設けられ両接合端部を接着剤で接合したので、接合端部同士を接合する主要な接合機能を担う。前記のように、内方間隔拡大部に水分が侵入することが抑えられ、内方間隔拡大部に水分が侵入した場合でも、その水分が分散して主接合部に侵入することが抑えられるため、少なくとも主接合部における接合端部が腐食して接着剤が劣化しにくくなり、主接合部による接合機能が確保され、つまり、接合端部の接合強度の低下が抑制される。
【0010】
請求項1の発明においては次の構成を採用可能である。
一方の接合端部の外端側に存在させた接着剤により、この接合端部の外端をシールする外端シール部を備える(請求項2)。外端シール部と近接接合部の間において、両接合端部間の間隔を拡大させて接着剤で接着した外方間隔拡大部を備える(請求項3)。主接合部よりも一方の接合端部の内方側において両接合端部間の間隔を拡大させて接着剤で接着した第2の内方間隔拡大部と、この第2の内方間隔拡大部よりも一方の接合端部の内方側において両接合端部を近接させて接合した第2の近接接合部とを備える(請求項4)。
【0011】
両車体部材がプレス成形されてそれら接合端部に曲率の異なる断面湾曲部が形成されたパネル部材からなり、これら断面湾曲部が嵌合されて近接接合部と内方間隔拡大部とが形成される(請求項5)。近接接合部よりも一方の接合端部の外方側の少なくとも一部に、その接合端部の表面積を増大させる表面成形加工が施されている(請求項6)。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の車体部材の接合構造によれば、一方の接合端部の内方に向かう順に、近接接合部、内方間隔拡大部、主接合部を備え、近接接合部では、両接合端部の所定部位を他の部位よりも近接させて接合したので、水分が近接接合部を通って内方間隔拡大部に侵入できる物理的隙間を小さくして、内方間隔拡大部に水分が侵入することを抑えることができ、内方間隔拡大部では、近接接合部から一方の接合端部の内方に向かって両接合端部間の間隔を拡大させて接着剤で接着したので、内方間隔拡大部に水分が侵入した場合でも、その水分を内方間隔拡大部に充填の接着剤に吸収させ分散させて、その水分濃度が一方の接合端部の内方側程、つまり主接合部に近くなる程低下するようにして、主接合部に水分が侵入することを抑えることができる。
【0013】
主接合部では、内方間隔拡大部よりも一方の接合端部の内方側において、所定幅に亙って設けられ両接合端部を接着剤で接合したので、接合端部同士を接合する主要な接合機能を担うが、前記のように、内方間隔拡大部に水分が侵入することを抑え、また、内方間隔拡大部に水分が侵入した場合でも、その水分を分散させて主接合部に水分が侵入することを抑えることができるので、少なくとも、主接合部における接合端部の腐食、接着剤の劣化を抑えて、主接合部による接合機能を確保することができる。つまり、水分が両接合端部間に広く行き渡ることを抑えて、接合端部の接合強度の低下を抑制することができる。
【0014】
請求項2の車体部材の接合構造によれば、一方の接合端部の外端側に存在させた接着剤により、この接合端部の外端をシールする外端シール部を備えたので、この接合端部の外端側から両接合端部間に水分が侵入することを抑えて、内方間隔拡大部に水分が侵入することを確実に抑えることができる。
【0015】
請求項3の車体部材の接合構造によれば、外端シール部と近接接合部の間において、両接合端部間の間隔を拡大させて接着剤で接着した外方間隔拡大部を備えたので、一方の接合端部の外端側から侵入した水分は、近接接合部に至るには、先ず、外方間隔拡大部に侵入することになるため、その水分を外方間隔拡大部に充填の接着剤に吸収させ分散させて、近接接合部に水分が到達することを抑えて、内方間隔拡大部に水分が侵入することを一層確実に抑えることができる。
【0016】
請求項4の車体部材の接合構造によれば、更に、主接合部から一方の車体部材の内方に向かう順に、第2の内方間隔拡大部、第2の近接接合部を備え、第2の内方間隔拡大部では、主接合部よりも一方の接合端部の内方側において両接合端部間の間隔を拡大させて接着剤で接着し、第2の近接接合部では、第2の内方間隔拡大部よりも一方の接合端部の内方側において両接合端部を近接させて接合したので、これらは、他方の接合端部の外端側から両接合端部間に侵入した水分に対して、前記内方間隔拡大部、近接接合部と同機能を発揮し、依って、主接合部に水分が侵入することを確実に抑えることができる。
【0017】
請求項5の車体部材の接合構造によれば、両車体部材がプレス成形されてそれら接合端部に曲率の異なる断面湾曲部が形成されたパネル部材からなり、これら断面湾曲部が嵌合されて近接接合部と内方間隔拡大部とを形成したので、断面湾曲部の成形をプレス加工により簡単に行うことができ、両接合端部の断面湾曲部を嵌合させることにより、近接接合部と内方間隔拡大部を簡単に形成することができ、しかも、これら接合端部同士を重ね合わす位置の位置決めを簡単、確実に行うことができるため、接合精度も向上する。
【0018】
請求項6の車体部材の接合構造によれば、近接接合部よりも一方の接合端部の外方側の少なくとも一部に、その接合端部の表面積を増大させる表面成形加工が施されているので、表面積を増大させた接合端部の接着剤による接着強度を高めることができると共に、近接接合部よりも一方の接合端部の外方側において、接合端部の表面を伝って近接接合部(主接合部)に向かって進行する、水分進行時間、車体部材の腐食進行時間を遅延できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の車体部材の接合構造(以下の実施例では、接合構造という)は、車体部材の接合端部同士を重ね合わせて接着剤で接着したものであり、特に、両接合端部の所定部位を他の部位よりも近接させて接合した近接接合部と、近接接合部から一方の接合端部の内方に向かって両接合端部間の間隔を拡大させて接着剤で接着した内方間隔拡大部と、内方間隔拡大部よりも一方の接合端部の内方側において、所定幅に亙って設けられ両接合端部を接着剤で接合した主接合部とを備えたものである。
【実施例1】
【0020】
図1〜図3に示すように、実施例1の接合構造1は、金属製(例えば、アルミ製)のパネル部材からなる第1車体部材2の第1接合端部3と、金属製(例えば、アルミ製)パネル部材からなる第2車体部材4の第2接合端部5とを重ね合わせて接着剤6で接合した構造である。例えば、第1,第2接合端部3,5の面直交方向側から視た形状は帯状(矩形状)となり、第1接合端部3が第2接合端部5よりも水分の影響を受け易い側(車体表側等)に位置し、第1接合端部3が特許請求の範囲の一方の接合端部に相当する。尚、第1接合端部3の内方が矢印aの方向であり、第2接合端部5の内方が矢印bの方向である。
【0021】
接合構造1は、第1接合端部3の外端側から内方に向かう順に、外端シール部10、外方接合部11、外方間隔拡大部12、近接接合部13、内方間隔拡大部14、主接合部15、第2の内方間隔拡大部16、第2の近接接合部17、第2の外方間隔拡大部18、第2の外方接合部19、第2の外端シール部20を備えている。これら各部10〜20は、第1,第2接合端部3,5の端縁の長手方向と平行に長く延びるように形成されている。
【0022】
外端シール部10は、第1接合端部3の外端側に存在させた接着剤6a(シール用接着剤6a)により、この第1接合端部3の外端をシールした部位であり、第2の外端シール部20は、第2接合端部5の外端側に存在させた接着剤6b(シール用接着剤6b)により、この第2接合端部5の外端をシールした部位である。
【0023】
シール用接着剤6a,6bの厚みは、第1,第2接合端部3,5の厚さ以上とされて断面塊状に造形され、シール用接着剤6aが、第1接合端部3の外端面全体と第2車体部材4の表面に密着され、シール用接着剤6bが、第2接合端部5の外端面全体と第1車体部材2の裏面に密着されている。シール用接着剤6a,6bとしては、第1,第2接合端部3,5を重ね合わせたとき、第1接合端部3又は第2接合端部5に予め塗布された接着剤6のうち、加圧されて第1接合端部3の外端側と第2接合端部5の外端側へはみ出して造形された接着剤6が適用されている。
【0024】
ここで、第1接合端部3又は第2接合端部5に予め塗布する接着剤6の厚みについて、第1接合端部3又は第2接合端部5のうちの外方側部分と内方側部分が他の部分よりも厚くなるように接着剤6を塗布し、更には、第1,第2接合端部3,5の重ね合わせ時、これら第1,第2接合端部3,5を複数回ずらす作業を行うことにより、第1接合端部3の外端側と第2接合端部5の外端側への接着剤6のはみ出し量を安定化することができる。
【0025】
第1,第2車体部材2,4はプレス成形されて、第1接合端部3には、その外方側部分に第2接合端部5と反対側に凹んで曲率が大きな外方断面湾曲部7aと、その内方側部分に第2接合端部5側に凸で曲率が小さな内方断面湾曲部7bが形成され、また、第2接合端部5には、その内方側部分に第1接合端部3側に凸で第1接合端部3の外方断面湾曲部7aよりも曲率が小さな内方断面湾曲部8aと、その外方側部分に第1接合端部3と反対側に凹んで第1接合端部3の内方断面湾曲部7bよりも曲率が大きな外方断面湾曲部8bが形成されている。
【0026】
これら断面湾曲部7a,7b,8a,8bは、第1,第2接合端部3,5の端縁の長手方向と平行に長く延びるように形成されている。そして、第1,第2接合端部3,5同士を重ね合わせることにより、曲率の異なる第1接合端部3の外方断面湾曲部7aと第2接合端部5の内方断面湾曲部8aが嵌合されて、前記外方間隔拡大部12と近接接合部13と内方間隔拡大部14が形成され、また、曲率の異なる第1接合端部3の内方断面湾曲部7bと第2接合端部5の外方断面湾曲部8bとが嵌合されて、前記第2の内方間隔拡大部16と近接接合部17と外方間隔拡大部18が形成される。
【0027】
外方接合部11は、第1接合端部3の外方断面湾曲部7aよりも外方側において、第1,第2接合端部3,5の比較的幅狭の平滑部分同士を接着剤6で接合した部位であり、第2の外方接合部19は、第2接合端部5の外方断面湾曲部8bよりも外方側において、第1,第2接合端部3,5の比較的幅狭の平滑部分同士を接着剤6で接合した部位である。
【0028】
外方間隔拡大部12は、外端シール部10と近接接合部13の間において、第1,第2接合端部3,5間の間隔を拡大させて接着剤6で接着した部位であり、第2の外方間隔拡大部18は、第2の外端シール部20と近接接合部17の間において、第1,第2接合端部3,5間の間隔を拡大させて接着剤6で接着した部位である。
【0029】
近接接合部13は、第1接合端部3の外方断面湾曲部7aの頂部と第2接合端部5の内方断面湾曲部8aの頂部とを他の部位(但し、第2の近接接合部17以外)よりも近接させて線接触状に接合した部位であり、第2の近接接合部17は、第1接合端部3の内方断面湾曲部7bの頂部と第2接合端部5の外方断面湾曲部8bの頂部とを他の部位(但し、近接接合部13以外)よりも近接させて線接触状に接合した部位である。
【0030】
内方間隔拡大部14は、近接接合部13から第1接合端部3の内方に向かって第1,第2接合端部3,5間の間隔を拡大させて接着剤6で接着した部位であり、第2の内方間隔拡大部16は、第2の近接接合部17から第2接合端部5の内方に向かって第1,第2接合端部3,5間の間隔を拡大させて接着剤6で接着した部位である。
【0031】
主接合部5は、内方間隔拡大部14と第2の内方間隔拡大部16の間(内方間隔拡大部14よりも第1接合端部3の内方側で、第2の内方間隔拡大部16よりも第2接合端部5の内方側)において、所定幅に亙って設けられ、第1,第2接合端部3,5の比較的幅広の平滑部分同士を接着剤6で接合した部位である。
【0032】
以上説明した接合構造1の各部10〜20の機能を含む効果について説明する。
外端シール部10では、第1接合端部3の外端側に存在させた接着剤6aにより、第1接合端部3の外端をシールしたので、第1接合端部3の外端側から第1,第2接合端部3,5間に水分が侵入することを抑えることができる。
【0033】
外方接合端部11では、第1接合端部3の外端側から水分が侵入した場合でも、その水分が外方間隔拡大部12に到達することを抑えることができ、しかも、第1,第2接合端部3,5の接合強度の増加に寄与することができる。
【0034】
外方間隔拡大部12では、外端シール部10(外方接合部11)と近接接合部13の間において、第1,第2接合端部3,5間の間隔を拡大させて接着剤6で接着したので、第1接合端部3の外端側から水分が外方接合部11を通って侵入した場合でも、その水分を外方間隔拡大部12に充填の接着剤6に吸収させ分散させて、近接接合部13に水分が到達することを抑えることができる。
【0035】
近接接合部13では、第1,第2接合端部3,5の所定部位を他の部位よりも近接させて接合したので、水分が近接接合部13を通って内方間隔拡大部14に侵入できる物理的隙間を小さくして、内方間隔拡大部14に水分が侵入することを抑えることができる。
【0036】
内方間隔拡大部14では、近接接合部13から第1接合端部3の内方に向かって第1,第2接合端部3,5間の間隔を拡大させて接着剤6で接着したので、近接接合部13を通って内方間隔拡大部14に水分が侵入した場合でも、その水分を内方間隔拡大部14に充填の接着剤6に吸収させ分散させて、その水分濃度が第1接合端部3の内方側程、つまり主接合部15に近くなる程低下するようにして、主接合部15に水分が侵入することを抑えることができる。
【0037】
主接合部15では、内方間隔拡大部14よりも第1接合端部3の内方側において、所定幅に亙って設けられ第1,第2接合端部3,5を接着剤6で接合したので、第1,第2接合端部3,5同士を接合する主要な接合機能を担うが、前記のように、第1接合端部3の外端側からの水分が、外方接合部11、外方間隔拡大部12、近接接合部13、内方間隔拡大部14に侵入することを、主接合部15に近い部位ほど確実に抑えて、少なくとも、主接合部15における第1,第2接合端部3,5の腐食、接着剤6の劣化を抑えて、主接合部15による接合機能を確保することができる。
【0038】
第2の外端シール部20、外方接合部19、外方間隔拡大部18、近接接合部17、内方間隔拡大部16では、第2接合端部5の外端側から第1,第2接合端部3,5間に侵入した水分に対して、前記外端シール部10、外方接合部11、外方間隔拡大部12、近接接合部13、内方間隔拡大部14と同機能を発揮し、依って、主接合部15に水分が侵入することを確実に抑えることができる。その結果、この接合構造1によれば、水分が第1,第2接合端部3,5間に侵入し、広く行き渡ることを確実に抑えて、第1,第2接合端部3,5の接合強度の低下を確実に抑制することが可能になる。
【0039】
また、第1,第2車体部材2,4がプレス成形されてそれら第1,第2接合端部3,5に曲率の異なる断面湾曲部7a,7b,8a,8bが形成されたパネル部材からなり、断面湾曲部7a,8aが嵌合されて外方間隔拡大部12と近接接合部13と内方間隔拡大部14とを形成し、断面湾曲部7b,8bが嵌合されて第2の外方間隔拡大部18と近接接合部17と内方間隔拡大部16とを形成したので、断面湾曲部7a,7b,8a,8bの成形をプレス加工により簡単に行うことができ、断面湾曲部7aと7b,8aと8bを嵌合させることにより、これらの部位12〜14,16〜18を簡単に形成することができ、しかも、第1,第2接合端部3,5同士を重ね合わす位置の位置決めを簡単、確実に行うことができるため、接合精度も向上する。
【0040】
ここで、第1,第2接合端部3,5に2組(合計4つ)の断面湾曲部7a,7b,8a,8bが形成され、断面湾曲部7a,7bの頂部同士が当接すると共に、断面湾曲部8a,8bの頂部同士が当接した状態で、外方接合部11、主接合部15、第2の外方接合部19における第1,第2接合端部3,5間の間隔が決定され保持されるが、断面湾曲部7a,7b,8a,8bの形状(張出量)を変更することにより、その間隔を必要な接合強度に応じた適切な間隔に変更することが可能になる。
【0041】
次に、前記接合構造1を部分的に変更した形態について説明する。
1]図4に示すように、この接合構造1Aは、前記接合構造1の外端シール部10と、第2の外端シール部20を省略したものである。尚、外端シール部10と第2の外端シール部20の何れか一方のみを省略したものとしてもよい。この接合構造1Aによれば、接合構造1に比べると、第1,第2接合端部3,5間にその外端側から水分が多少侵入し易いが、その他の部位11〜19が存在しているため、接合構造1と略同様の効果を奏する。
【0042】
2]図5に示すように、この接合構造1Bは、前記接合構造1において、第2の内方間隔拡大部16、近接接合部17、外方間隔拡大部18、外方接合部19、外端シール部20を省略したものである。つまり、接合構造1Bにおいて、第1接合端部3に外方断面湾曲部7aのみが形成され、第2接合端部5に内方断面湾曲部8aのみが形成されている。主接合部15Bについては、その幅を大きくすることができるため、第1,第2接合端部3,5の接合強度を高めることができる。尚、第2接合端部5の外端側に存在させた接着剤により、この第2接合端部5の外端をシールする外端シール部を設けてもよい。
【0043】
3]図6に示すように、この接合構造1Cにおいて、第1車体部材2Cの第1接合端部3Cには、その外方側部分に第2接合端部5と反対側に凹んで曲率が大きな外方断面湾曲部7cと、その内方側部分に第2接合端部5と反対側に凹んで曲率が大きな内方断面湾曲部7dが形成され、また、第2車体部材4Cの第2接合端部5Cには、その内方側部分に第1接合端部3側に凸で第1接合端部3Cの外方断面湾曲部7cよりも曲率が小さな内方断面湾曲部8cと、その外方側部分に第1接合端部3側に凸で第1接合端部3Cの内方断面湾曲部7dよりも曲率が小さな外方断面湾曲部8dが形成されている。
【0044】
第1接合端部3Cの外方断面湾曲部7cと第2接合端部5Cの内方断面湾曲部8cとが嵌合して、前記外方間隔拡大部12、近接接合部13、内方間隔拡大部14に相当する部位が形成され、第1接合端部3Cの内方断面湾曲部7dと第2接合端部5Cの外方断面湾曲部8dとが嵌合して、前記第2の内方間隔拡大部16、近接接合部17、外方間隔拡大部18に相当する部位が形成される。尚、全ての断面湾曲部を第1,第2接合端部の裏側に凸となるように形成してもよい。
【0045】
4]その他、前記接合構造1の外方接合部11、外方間隔拡大部12、第2の外方間隔拡大部18、第2外方接合部19、のうちの少なくとも1つを省略した接合構造を構成することも可能である。
【0046】
5]図示省略するが、近接接合部13よりも第1接合端部3の外方側の少なくとも一部に、その第1接合端部3の表面積を増大させる表面成形加工が施されているようにしてもよい。これにより、表面積を増大させた第1接合端部3の接着剤6による接着強度を高めることができると共に、近接接合部13よりも第1接合端部3の外方側において、第1接合端部3の表面を伝って近接接合部13(主接合部15)に向かって進行する、水分進行時間、車体部材2,4の腐食進行時間を遅延することができる。
【0047】
尚、表面積を増大させる表面成形加工が施される部位として、第2の近接接合部17よりも第2接合端部5の外方側の少なくとも一部、近接接合部13と第2の近接接合部17の間における第1接合端部3又は及び第2接合端部5としてもよい。
【実施例2】
【0048】
図7〜図9に示すように、実施例2の接合構造1Dは、金属製(例えば、アルミ製)のパネル部材からなる第1車体部材22の第1接合端部23と、金属製(例えば、アルミ製)パネル部材からなる第2車体部材24の第2接合端部25とを重ね合わせて接着剤26で接合した構造である。例えば、第1,第2接合端部23,25の面直交方向側から視た形状は矩形状となり、第1接合端部23が特許請求の範囲の一方の接合端部に相当する。尚、第1接合端部23の内方が矢印aの方向で外方が矢印b,c,dの方向であり、第2接合端部25の内方が矢印bの方向で外方が矢印a,c,dの方向である。
【0049】
接合構造1Dにおいては、第1,第2車体部材22,24はプレス成形されて、第1接合端部23には、第2接合端部25と反対側に凹んで曲率が大きな断面湾曲部27が環状(矩形枠状)に形成され、第2接合端部25には、第1接合端部23側に凸で曲率が第1接合端部23の断面湾曲部27よりも小さな断面湾曲部28が形成されている。そして、第1,第2接合端部23,25同士を重ね合わせることにより、曲率の異なる第1接合端部23の断面湾曲部27と第2接合端部25の断面湾曲部28とが嵌合されて、環状外方間隔拡大部32と環状近接接合部33と環状内方間隔拡大部34とが形成され、環状外方間隔拡大部32の外周側に環状外方接合部31が形成され、環状内方間隔拡大部34で囲まれた部分に矩形状の主接合部35が形成される。
【0050】
ところで、環状外方接合部31、環状外方間隔拡大部32、環状近接接合部33、環状内方間隔拡大部34において、主接合部35よりも第1接合端部23の略外方(矢印b,c,d方向)側の部分が、前記外方接合部、外方間隔拡大部、近接接合部、環状内方間隔拡大部に相当する部分となり、また、主接合部35よりも第1接合端部23の略内方(矢印a方向)側の部分が、前記第2の内方間隔拡大部、第2の近接接合部、第2の外方間隔拡大部、第2の外方接合部に相当する部分となる。
【0051】
また、接合構造1Dは、第1接合端部23の外端側のうち、第2接合端部25の内方(矢印b)側に存在させた接着剤26a(シール用接着剤26a)により、この第1接合端部23の外端をシールした外端シール部30と、第2接合端部25の外端側のうち、第1接合端部23の内方(矢印a)側に存在させた接着剤26b(シール用接着剤26b)により、この第2接合端部25の外端をシールした外端シール部36とを備えている。この接合構造1Dによれば、主接合部35に水分が侵入することを一層確実に抑制することができ、その他、接合構造1と同様の効果を奏する。
【0052】
この変更形態として、図10に示すように、接合端部1Eは、第1車体部材22Eの第1接合端部23Eと第2車体部材24Eの第2接合端部25Eにおいて、前記接合構造1Dの環状外方接合部31、環状外方間隔拡大部32、環状近接接合部33、環状内方間隔拡大部34を小型化したものを夫々有する複数の接合構造分割部1Eaを備え、更に、外端シール部30と第2の外端シール部36を備えたものである。ここでは、複数の接合構造分割部1Eaを1列状に並べて配置したが、その他種々の配置構造としてもよい。
【実施例3】
【0053】
図11に示すように、実施例3の接合構造1Fは、厚肉板状又はブロック状の第1車体部材42の第1接合端部43と、厚肉板状又はブロック状の第2車体部材44の第2接合端部45とを重ね合わせて接着剤46で接合した構造である。
【0054】
第1接合端部43は、第1車体部材42の本体部42aに対して壁部43aを介して段状に薄肉に形成され、第2接合端部45は、第2車体部材44の本体部44aに対して壁部45aを介して段状に薄肉に形成され、第1接合端部43の先端部が第2接合端部45の壁部45aに突き合わされ、第2接合端部45の先端部が第1接合端部43の壁部43aに突き合わされるように、第1,第2接合端部43,45が重ね合わされている。
【0055】
この接合構造1Fは、外端シール部50、近接接合部51、内方間隔拡大部52、主接合部53、第2の内方間隔拡大部54、第2の近接接合部55、第2の外端シール部56を備え、前記外方接合部、外方間隔拡大部、第2の外方間隔拡大部、第2の外方接合部に相当する部位を省略した構造となっている。
【0056】
外端シール部50は、第1接合端部43の外端側に存在させた接着剤46a(シール用接着剤46a)により、第1接合端部53の外端をシールした部位であり、第2の外端シール部56は、第2接合端部45の外端側に存在させた接着剤46b(シール用接着剤6b)により、第2接合端部45の外端をシールした部位である。
【0057】
近接接合部51は、第1接合端部43の先端部を第2接合端部45の壁部45aに突き合わすことにより、他の部位よりも近接させて接合した部位であり、第2の近接接合部55は、第2接合端部45の先端部を第1接合端部43の壁部43aに突き合わすことにより、他の部位よりも近接させて接合した部位である。
【0058】
内方間隔拡大部52は、近接接合部51から第1接合端部43の内方に向かって第1,第2接合端部43,45間の間隔を拡大させて接着剤46で接着した部位であり、第2の内方間隔拡大部54は、第2の近接接合部55から第2接合端部45の内方に向かって第1,第2接合端部43,45間の間隔を拡大させて接着剤46で接着した部位である。
【0059】
前記近接接合部51、内方間隔拡大部52、第2の内方間隔拡大部54、第2の近接接合部55については、第1車体部材42の第1接合端部43の壁部43aと先端部分の形状、第2車体部材44の第2接合端部45の壁部45aと先端部分の形状によって、構成することができる。その形状について、図11では、壁部43a,45aが、第1,第2接合端部43,45の重ね合わせ面と直交し、第1,第2接合端部43,45の先端部分が湾曲状に先端程薄肉になるように形成されている。
【0060】
ここで、その他、第1接合端部43として、図12−1〜図12−4に示す形状を適用し、第2接合端部45として、図13−1〜図12−4に示す形状を適用可能である。但し、図12−1〜図12−3の第1接合端部43の何れか1つと、図13−1〜図13−3の第2接合端部45の何れか1つとを組み合わせて適用可能であり、図12−4の第1接合端部43の場合には、図13−4の第2接合端部45を適用するものとする。
【0061】
主接合部53は、内方間隔拡大部52と第2の内方間隔拡大部54の間(内方間隔拡大部52よりも第1接合端部43の内方側で、第2の内方間隔拡大部54よりも第2接合端部45の内方側)において、所定幅に亙って設けられ、第1,第2接合端部43,45の幅広の平滑部分同士を接着剤46で接合した部位である。
【0062】
ここで、シール用接着剤46a,46bとしては、第1,第2接合端部43,45を重ね合わせたとき、第2接合端部45(又は第1接合端部43)に予め塗布された接着剤46のうち、加圧されて第1接合端部43の外端側と第2接合端部45の外端側へはみ出して造形された接着剤46が適用されている。この場合、図14に示すように、第2接合端部45(又は第1接合端部43)に予め塗布する接着剤46の厚みについて、第2接合端部45(又は第1接合端部43)のうちの外方側部分と内方側部分が他の部分よりも厚くなるように接着剤46を塗布する。特に、第2接合端部45の内方側部分にはその壁部45aにも接着剤46を多く塗布しておくことになる。
【0063】
このように接着剤46を塗布するために、例えば、図15の接着剤塗布装置60が使用される。この接着剤塗布装置60は、取付部材61、この取付部材61に対して接近・離隔可能な可動部材62、取付部材61と可動部材62に夫々蝶番63a,63bを介して連結された取付部材63、取付部材63に取り付けられたノズル64A、取付部材61に取り付けられたノズル64Bと、取付部材61に対して可動部材62を接近・離隔する方向に駆動する駆動機構65を有する。
【0064】
駆動機構65は、駆動モータ66と、駆動モータ66で回動されるギヤ67と、ギヤ67に内嵌されたスクリューシャフト68と、スクリューシャフト68に外嵌螺合され可動部材62に連結されたナット部材69を有する。この駆動機構65により可動部材62が駆動されると、ノズル64Aに対してノズル64Bが取付部材63と共に傾動し、ノズル64Aの接着剤噴射方向に対するノズル64Bの接着剤噴射方向を変更することができる。この接着剤塗布装置60を用いて、特に、第2接合端部45の壁部45aへの接着剤46の塗布をノズル64Bにより容易に行い、この塗布動作と並行してノズル64Aにより第2接合端部45の重ね合わせ面への接着剤46の塗布を行うことが可能になる。
【実施例4】
【0065】
図16〜図18に示すように、実施例4の接合端部1Gは、アルミダイキャスト製の第1車体部材72の第1接合端部73A〜73Cと、アルミ押し出し材からなる第2車体部材74の第2接合端部75A〜75Cとを夫々重ね合わせて接着剤76で接合した構造である。第1接合端部73A〜73Cは、夫々、第1車体部材72の本体部72aから突出状に形成され、第2接合端部75A〜75Cは、夫々、第1接合端部73A〜73Cを内嵌可能に第2車体部材74の端部に凹状に形成されている。
【0066】
第1接合端部73Aに4つの凸条部からなる第1断面湾曲部77a〜77dが、第1接合端部73Bに2つの凸条部からなる第1断面湾曲部77e,77fが、第1接合端部73Cに2つの凸条部からなる第1断面湾曲部77g,77hが夫々形成されている。これら第1断面湾曲部77a〜77hに対応するように、第2接合端部75Aに4つの凹部からなる第2断面湾曲部78a〜78dが、第2接合端部75Bに2つの凹部からなる第2断面湾曲部78e,78fが、第2接合端部75Cに2つの凹部からなる第2断面湾曲部78g,78hが夫々形成されている。
【0067】
第1接合端部73A〜73Cが第2接合端部75A〜75Cに挿入され重ね合わされると、第1断面湾曲部77a,77d〜77hと、この曲率よりも曲率が大きな第2断面湾曲部78a,78d〜78hが夫々嵌合され、図18−1に示すように、これら嵌合部付近の各々において、外端シール部80、外方接合部81、外方間隔拡大部82、近接接合部83、内方間隔拡大部84が順に形成され、また、内方間隔拡大部84よりも第2接合端部75A〜75Cの内方側部分に主接合部85が形成される。
【0068】
また、第1断面湾曲部77b,77cと、この曲率よりも曲率が大きな第2断面湾曲部78b,78cとが夫々嵌合され、図18−2に示すように、これら嵌合部付近の各々において、間隔拡大部86、近接接合部87、間隔拡大部88が順に形成され、これら86〜88の両側に主接合部89が形成される。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の車体部材の接合構造は、例えば、図19に示すように、車体のアルミドア90において、ドア本体91にドアパネル92を接合する場合、また、ドア本体91において、その本体部材93,94の上下両端部に、展伸材95,96の両端部を接合する場合に適用することができる。また、アルミ製以外のドアの車両部材同士を接合する場合、ドア以外の種々の車体部材同士を接合する場合、本発明を適用することがきる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施例1の接合構造の斜視図である。
【図2】接合構造の平面図である。
【図3】図2のIII −III 線断面図である。
【図4】変更形態1の接合構造の縦断面図である。
【図5】変更形態2の接合構造の縦断面図である。
【図6】変更形態3の接合構造の縦断面図である。
【図7】実施例2の接合構造の平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図7のIX−IX線断面図である。
【図10】変更形態の接合構造の平面図である。
【図11】実施例3の接合構造の縦断面図である。
【図12−1】第1接合端部の適用形状を示す図である。
【図12−2】第1接合端部の適用形状を示す図である。
【図12−3】第1接合端部の適用形状を示す図である。
【図12−4】第1接合端部の適用形状を示す図である。
【図13−1】第2接合端部の適用形状を示す図である。
【図13−2】第2接合端部の適用形状を示す図である。
【図13−3】第2接合端部の適用形状を示す図である。
【図13−4】第2接合端部の適用形状を示す図である。
【図14】接合端部に塗布した接着剤の状態を示す図である。
【図15】接着剤塗布装置の正面図である。
【図16】実施例4の接合構造の分解図である。
【図17】第2接合端部の断面図である。
【図18−1】接合構造の要部の断面図である。
【図18−2】接合構造の要部の断面図である。
【図19】本発明の適用可能箇所を示す車体部材の斜視図である。
【図20】従来技術に係る塩水噴霧試験の結果を示す図表である。
【符号の説明】
【0071】
1,1A〜1G 接合構造
2,2B,2C,22,22E,42,72 第1車体部材
3,3B,3C,23,23E,43,73A〜73C 第1接合端部
4,4B,4C,24,24E,44,74 第2車体部材
5,5B,5C,25,25E,45,75A〜75C 第2接合端部
7a〜7d,8a〜8d,27,28,77a〜77h,78a〜78h 断面湾曲部
10,30,50,80 外端シール部
11,81 外方接合部
12,82 外方間隔拡大部
13,51,83,87 近接接合部
14,52,84,88 内方間隔拡大部
15,15B,35,53,85,89 主接合部
16,54 第2の内方間隔拡大部
17,55 第2の近接接合部
18 第2の外方間隔拡大部
19 第2の外方接合部
20,36,56 第2の外端シール部
31 環状外方接合部
32 環状外方間隔拡大部
33 環状近接接合部
34 環状内方間隔拡大部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体部材の接合端部同士を重ね合わせて接着剤で接着した車体部材の接合構造において、
前記両接合端部の所定部位を他の部位よりも近接させて接合した近接接合部と、
前記近接接合部から一方の接合端部の内方に向かって両接合端部間の間隔を拡大させて接着剤で接着した内方間隔拡大部と、
前記内方間隔拡大部よりも一方の接合端部の内方側において、所定幅に亙って設けられ両接合端部を接着剤で接合した主接合部と、
を備えたことを特徴とする車体部材の接合構造。
【請求項2】
前記一方の接合端部の外端側に存在させた接着剤により、この接合端部の外端をシールする外端シール部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車体部材の接合構造。
【請求項3】
前記外端シール部と近接接合部の間において、両接合端部間の間隔を拡大させて接着剤で接着した外方間隔拡大部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の車体部材の接合構造。
【請求項4】
前記主接合部よりも一方の接合端部の内方側において両接合端部間の間隔を拡大させて接着剤で接着した第2の内方間隔拡大部と、この第2の内方間隔拡大部よりも一方の接合端部の内方側において両接合端部を近接させて接合した第2の近接接合部とを備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車体部材の接合構造。
【請求項5】
前記両車体部材がプレス成形されてそれら接合端部に曲率の異なる断面湾曲部が形成されたパネル部材からなり、これら断面湾曲部が嵌合されて前記近接接合部と内方間隔拡大部とが形成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車体部材の接合構造。
【請求項6】
前記近接接合部よりも一方の接合端部の外方側の少なくとも一部に、その接合端部の表面積を増大させる表面成形加工が施されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の車体部材の接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図12−3】
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【図12−4】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図13−3】
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【図13−4】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18−1】
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【図18−2】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−175929(P2006−175929A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−369418(P2004−369418)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】