説明

車内用照明装置

【課題】照明装置の構成部品をベース部材に組み付ける際に、作業を簡素化することで、生産効率の向上ならびに部品の組み付け間違いなどの低減を図る。
【解決手段】車内用照明装置であって、照明装置20のベース部材22と、照明用の光源(バルブ24a)およびスイッチ類を有し、ベース部材22の内部に組み込まれるプリント基板24と、この基板をベース部材22に固定するための取付け部材(ベゼル26)と、ベース部材の内部を被った状態で、その表面側に固定される照明用のレンズ28とを備えている。これらのプリント基板、取付け部材およびレンズがベース部材に対し、その表裏におけるいずれか一方側から積み重ねるようにそれぞれ組み付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車における運転席上方の天井に設置されたオーバーヘッドコンソールのマップランプで代表されるような車内用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の照明装置は、そのベース部材に対して各種の構成部品を組み付け際に、照明用の光源およびスイッチ類を有するプリント基板はベース部材の裏側から組み付けられ、ベース部材に対して複数本のビスで固定されている。一方、照明用のレンズはベース部材の表側(意匠面)から組み付けている。つまり、照明装置の各構成部品はベース部材の表裏両側から組み付けられている。
なお、車内の天井側に設けられる一般的な照明装置については、例えば特許文献1に開示された技術が公知である。
【特許文献1】特開平8−230561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
オーバーヘッドコンソールにおけるマップランプなどの照明装置では、その構成部品をベース部材に組み付けるとき、少なくともプリント基板とレンズとではベース部材の表裏を反転させる手間が余分に必要となる。このことは、特に組み付けラインでの繰り返し作業において生産効率の低下を招き、また部品の組み付け間違いなどによる不良品の発生も生じやすい。
【0004】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、照明装置の構成部品をベース部材に組み付ける際に、作業を簡素化することで、生産効率の向上ならびに部品の組み付け間違いなどの低減を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の目的を達成するためのもので、以下のように構成されている。
第1の発明は、車内用照明装置であって、照明装置のベース部材と、照明用の光源およびスイッチ類を有し、ベース部材の内部に組み込まれるプリント基板と、この基板をベース部材に固定するための取付け部材と、ベース部材の内部を被った状態で、その表面側に固定される照明用のレンズとを備えている。これらのプリント基板、取付け部材およびレンズがベース部材に対し、その表裏におけるいずれか一方側から積み重ねるようにそれぞれ組み付けられている。
【0006】
この構成によれば、ベース部材に対してプリント基板、取付け部材およびレンズを組み付ける作業に際し、このベース部材の表裏を反転させる手間が不要となり、作業の簡素化を図ることができる。これによって生産効率の向上が可能となり、かつ、組み付け作業の単純化によって部品の組み付け間違いなどによる不良品の発生を低減することができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、ベース部材に対してプリント基板、取付け部材およびレンズが、この順番でベース部材の表側からそれぞれ組み付けられている。そしてプリント基板が光源への通電をオンオフするプッシュスイッチを有し、レンズがプッシュスイッチの操作部材としての機能を兼ねている。
【0008】
これにより、プッシュスイッチを切り換えるときのレンズを操作する力の方向と、ベース部材に対するプリント基板の組み付け方向とが同じになる。このため、プッシュスイッチが受ける操作力をベース部材で受け止めることとなり、ベース部材とプリント基板とを固定するビス締めなどが不要となって作業性の向上ならびにコストダウンを図ることができる。
【0009】
第3の発明は、第2の発明において、プリント基板が光源の照度を調整するためのスライドスイッチを有するとともに、取付け部材がレンズの開口部を通じて表側に臨んでおり、この取付け部材に対してスライドスイッチを操作するためのノブがレンズの後からスライド操作可能に組み付けられている。
【0010】
この場合、スライドスイッチを操作するノブを含めてベース部材に対し、その表側から組み付けることができ、組み付け作業がさらに簡素化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を用いて説明する。
図1は自動車用のオーバーヘッドコンソールを表側(意匠面側)から見た外観斜視図である。この図面で示すオーバーヘッドコンソールの構成は、コンソールボックス10と照明装置20とに大別される。コンソールボックス10は、内部に眼鏡やその他の小物を収納するためのもので、その表側から開閉操作可能な蓋12を備えている。照明装置20は例えばマップランプであって、表側から照明のオンオフおよび照度を調整する操作が可能である。
【0012】
図2は照明装置20の構成部品を分解して表した外観斜視図である。図3は図1のA-A矢視方向の断面図である。これらの図面からも明らかなように、照明装置20のベース部材22は、コンソールボックス10の本体部分と一体に樹脂成形されている。そしてベース部材22は、その表側で開放された箱形状の空間部22aを有する。この空間部22aを構成する底板部分には、後述するベゼル26の4個の係止爪26aを個別に差し込むことが可能な同数の貫通孔22bが開けられている(図2)。
【0013】
ベース部材22の空間部22aに組み込まれるプリント基板24(サブアッセンブリ)は、照明装置20の光源である二つのバルブ24a、一つのスライドスイッチ24bおよび二つのプッシュスイッチ24cをそれぞれ有する。スライドスイッチ24bは、プリント基板24のほぼ中央に位置し、その両側に二つのバルブ24aおよび二つのプッシュスイッチ24cがそれぞれ位置している。両プッシュスイッチ24cは、両バルブ24aへの通電をオンオフすることができ、スライドスイッチ24bは両バルブ24aの照度を調整することができる。
【0014】
またプリント基板24には、つぎに説明するベゼル26の各凹部26bを個別に差し込み可能な4個の貫通孔24dが開けられている(図2)。プリント基板24をベース部材22の空間部22aに組み込んだ状態において、ベース部材22の各貫通孔22bとプリント基板24の各貫通孔24dとが個々に一致するように設定されている。
【0015】
ベース部材22の空間部22aに組み込まれる樹脂製のベゼル26は、その背面側において4個の係止爪26aをそれぞれ備えている(図2)。これらの各係止爪26aは、既に述べたようにプリント基板24の各貫通孔24dおよびベース部材22の各貫通孔22bに挿通させることが可能である。そしてベース部材22の各貫通孔22bに差し込まれた各係止爪26aは、ベース部材22(空間部22aの底板部分)に係止(スナップフィット)して抜け止め状態となる。
【0016】
ベゼル26の前面側には、スライドスイッチ用のノブ30を組み込むための凹部26bが設けられている。またベゼル26は中空になっており、凹部26bの底部には中空内に通じる挿通孔26cが開けられている(図3)。なおベゼル26の背面側は、各係止爪26aが形成されている箇所を除いて開放されていて、中空内にプリント基板24のスライドスイッチ24bが収まるようになっている。
【0017】
照明用のレンズ28は、ベース部材22の空間部22aを被った状態で、このベース部材22の表面側に組み付けられる。このレンズ28の中央部に開けられている開口部28aには、ベゼル26の前面側が嵌り込むようになっている(図3)。レンズ28における開口部28aの両側は、素材の弾性によって撓むようになっており、プリント基板24の両プッシュスイッチ24cを入り切りするための操作面28bとなっている。一方、スライドスイッチ用のノブ30は、ベゼル26の挿通孔26cを通じてプリント基板24のスライドスイッチ24bに結合される結合部30aを備えている。
【0018】
つづいて、照明装置20の各構成部品を組み付ける手順について説明する。
ベース部材22の空間部22aに対して、まずプリント基板24をセットし、その後からベゼル26を組み付ける。このベゼル26の組み付けについては、既に説明したようにベゼル26の各係止爪26aをプリント基板24の各貫通孔24dおよびベース部材22の各貫通孔22bに差し込むことにより、各係止爪26aがベース部材22に係止する。したがってプリント基板24は、ベース部材22とベゼル26とによって挟み付けられた状態でベース部材22にしっかりと固定される。なお、このベゼル26は、本発明においてベース部材にプリント基板を固定するための「取付け部材」に相当する。
【0019】
ベゼル26によってベース部材22にプリント基板24を固定した状態では、すでに述べたようにベゼル26の中空内にはプリント基板24のスライドスイッチ24bが収まっている(図3)。そこでベース部材22に対し、その空間部22aを被った状態でレンズ28を組み付けた後、スライドスイッチ用のノブ30をレンズ28の開口部28aからベゼル26の凹部26bに組み付ける。このとき、ノブ30の結合部30aがベゼル26の挿通孔26cを通じてスライドスイッチ24bに結合される(図3)。またレンズ28の両操作面28bは、プリント基板24の両プッシュスイッチ24cにそれぞれ対向している。
【0020】
このように照明装置20の各構成部品を組み付けた状態において、レンズ28の両操作面28bのいずれかを押すことにより、個々に対応するプッシュスイッチ24cの入り切りが交互に繰り返され、バルブ24aのオンオフを切り換えることができる。一方、ベゼル26の凹部26bに位置するノブ30をスライドさせてスライドスイッチ24bを操作することにより、両バルブ24aの照度を調整することができる。
【0021】
以上の説明から明らかなように、照明装置20の構成部品であるプリント基板24、ベゼル26、レンズ28およびノブ30をベース部材22に対して、その表側から積み重ねるようにそれぞれ組み付けることにより、その作業中にベース部材22の表裏を反転させる手間が不要となる。これは照明装置20の組み付けラインなどでは、かなりの労力軽減となって生産効率が向上するとともに、組み付け作業の単純化によって部品の組み付け間違いなどによる不良品の発生率が低減する。
【0022】
また、この組み付け構造によれば、プリント基板24の両プッシュスイッチ24cを切り換えるためにレンズ28の操作面28bを押す方向と、ベース部材22に対するプリント基板24の組み付け方向とが共に同じ方向になる。したがってプリント基板24のスライドスイッチ24bが受ける操作力をベース部材22によって受け止めることができ、プリント基板24を固定するためのビス締めなどが不要となる。
【0023】
以上は本発明を実施するための最良の形態を図面に関連して説明したが、この実施の形態は本発明の趣旨から逸脱しない範囲で容易に変更または変形できるものである。
例えば、本発明の照明装置20はオーバーヘッドコンソールのマップランプなどに限定されるものではなく、各種の車内用照明に適用することができる。またプッシュスイッチ24cの切り換え手段としては、レンズ28の操作面28bに代えて専用操作部材をレンズ28の表面側に組み付けた構成であってもよい。ただし、その場合でも専用操作部材を押す方向とプリント基板24の組み付け方向とを同じにすることで、前記と同様の機能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】オーバーヘッドコンソールの外観斜視図
【図2】照明装置の構成部品を分解して表した外観斜視図
【図3】図1のA-A矢視方向の断面図
【符号の説明】
【0025】
20 照明装置
22 ベース部材
24 プリント基板
24a バルブ(光源)
24b スライドスイッチ
24c プッシュスイッチ
26 ベゼル(取付け部材)
28 レンズ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置のベース部材と、照明用の光源およびスイッチ類を有し、ベース部材の内部に組み込まれるプリント基板と、この基板をベース部材に固定するための取付け部材と、ベース部材の内部を被った状態で、その表面側に固定される照明用のレンズとを備え、これらのプリント基板、取付け部材およびレンズがベース部材に対し、その表裏におけるいずれか一方側から積み重ねるようにそれぞれ組み付けられている車内用照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載された車内用照明装置であって、
ベース部材に対してプリント基板、取付け部材およびレンズが、この順番でベース部材の表側からそれぞれ組み付けられているとともに、プリント基板が光源への通電をオンオフするプッシュスイッチを有し、レンズがプッシュスイッチの操作部材としての機能を兼ねている車内用照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載された車内用照明装置であって、
プリント基板が光源の照度を調整するためのスライドスイッチを有するとともに、取付け部材がレンズの開口部を通じて表側に臨んでおり、この取付け部材に対してスライドスイッチを操作するためのノブがレンズの後からスライド操作可能に組み付けられている車内用照明装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−44431(P2008−44431A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219666(P2006−219666)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】