説明

車群制御装置及び車群制御システム

【課題】車群の配列を適切に制御することができる車群制御装置及び車群制御システムを提供する。
【解決手段】路側装置2は、路側無線装置22a,22bと、制御装置24とを備えている。路側無線装置22a,22bは、複数の車両の目的地を示す目的地情報及び車両に関する車両情報を、料金所を通過する車両Mから受信する。制御装置24は、路側無線装置22a,22bによって受信した目的地情報及び車両情報に基づいて、任意の車両の後に料金所を通過する後続車両の速度を制限するための速度制限情報を算出する。そして、路側無線装置22a,22bは、制御装置24によって算出された速度制限情報を後続車両に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料金所等といった車両の合流地点における車群の配列を制御する車群制御装置及び車群制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、料金所通過後の車両を制御するシステムとして、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1に記載のシステムでは、料金所に進入するECT搭載車両の車両情報を取得し、料金所を通過して走行車線に進入しようとする車両に対して、隣接する車線の車両の車両情報を送信し、車両同士の接触の防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−145823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、料金所のゲートを通過した車両は、走行車線において目的地に応じた進行方向に走行する際、隣接するゲートを通過した他車両と交差することがしばしばある。このような状況において、車両同士の接触を回避するためには、上記従来のシステムのように、料金所を出て走行車線に進入した周辺車両の情報を送信し、運転者に他車両の存在を知らしめることが有効である。しかしながら、上記従来のシステムでは、料金所から走行車線に進入する際に、隣接する車線を走行する他車両の速度等の車両情報しか送信されていないため、運転者は十分な情報を得られず、車両同士の接触を回避するための車群の配列制御を適切に行うことが困難である。
【0005】
そこで、本発明の目的は、車群の配列を適切に制御することができる車群制御装置及び車群制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の車両が合流する合流地点に設けられ、合流地点を通過する複数の車両により形成される車群の配列を制御する車群制御装置であって、複数の車両の目的地を示す目的地情報及び車両に関する車両情報を受信する情報受信手段と、情報受信手段によって受信した目的地情報及び車両情報に基づいて、任意の車両の後に合流地点を通過する後続車両の速度を制限するための速度制限情報を算出する制限情報算出手段と、制限情報算出手段によって算出された速度制限情報を、後続車両に送信する制限情報送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係わる車群制御装置においては、車両の目的地情報及び車両情報を受信し、これらの情報に基づいて速度制限情報を算出し、この速度制限情報を任意の車両の後に合流地点を通過する後続車両に送信する。すなわち、先行する車両の目的地方向に基づいて算出された速度制限情報が、後続の車両に送信されることになる。そのため、例えば任意の車両が目的地方向に向かうために後続車両の走行する車線を交差して通過する場合において、任意車両が後続車両の前方を通過するまで後続車両の速度が制限されることになる。このように、先行する車両の目的地情報や車両情報に基づいて後続車両の速度制限を実施させることにより、合流地点を通過した複数の車両によって形成される車群の配列を適切に制御することが可能となる。
【0008】
好ましくは、制限情報算出手段は、情報受信手段が目的地情報及び車両情報を受信したタイミングと目的地情報及び車両情報とに基づいて、速度制限情報を算出する。この場合には、車両同士が確実に接触しないための速度制限情報が算出されることになる。従って、車群の配列をより適切に制御することができる。
【0009】
また、本発明は、複数の車両が合流する合流地点に設けられ、合流地点を通過する複数の車両により形成される車群の配列を制御する車群制御装置であって、複数の車両の目的地を示す目的地情報及び車両に関する車両情報を受信する情報受信手段と、情報受信手段によって受信した目的地情報及び車両情報に基づいて、複数の車両が通過する通行ゲートの開閉のタイミングを算出するタイミング算出手段と、タイミング算出手段によって算出された通行ゲートの開閉のタイミングに応じて、通行ゲートの開閉を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係わる車群制御装置においては、車両の目的地情報及び車両情報を受信し、これらの情報に基づいて通行ゲートを開閉のタイミングを算出し、このタイミングに応じて通行ゲートの開閉を制御する。そのため、例えば任意の車両が目的地方向に向かうために後続車両の走行する車線を交差して通過する場合において、任意車両が後続車両の前方を通過するまで、後続車両は通行ゲートが閉じられることによって通行ゲートの通過が制限されることになる。従って、合流地点を通過する車両によって形成される車群の配列を適切に制御することができる。
【0011】
また、好ましくは、複数の車両が合流する地点は、料金所である。この場合には、料金所の通行ゲートを通過した複数の車両によって形成される車群の制御を行うことができる。
【0012】
また、本発明は、合流地点を通過する複数の車両により形成される車群の配列を制御する車群制御システムであって、複数の車両の目的地を示す目的地情報及び車両に関する車両情報を受信する情報受信手段と、情報受信手段によって受信した目的地情報及び車両情報に基づいて、任意の車両の後に合流地点を通過する後続車両の速度を制限するため速度制限情報を算出する制限情報算出手段と、制限情報算出手段によって算出された速度制限情報を、後続車両に送信する制限情報送信手段と、制限情報送信手段によって送信された速度制限情報を受信し、速度制限情報に応じて速度制限を行うように運転支援を実施する支援実施手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係わる車群制御システムにおいては、車両の目的地情報及び車両情報を受信し、これらの情報に基づいて速度制限情報を算出し、この速度制限情報を任意の車両の後に合流地点を通過する後続車両に送信する。すると、後続車両は、速度制限情報を受信し、その速度制限情報に応じて速度制限を行うように運転支援を実施する。そのため、例えば任意の車両が目的地方向に向かうために後続車両の走行する車線を交差して通過する場合において、後続車両の速度が制限されることになる。このように、先行する車両の目的地情報や車両情報に基づいて後続車両の速度制限を実施させることにより、合流地点を通過した複数の車両によって形成される車群の配列を適切に制御することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車群の配列を適切に制御することができる。これにより、例えば合流地点通過後の車両同士による接触を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる車群制御システムの概要を示す図である。
【図2】車群制御システムの概要構成を示す図である。
【図3】路側装置の概略構成を示す概略構成図である。
【図4】運転支援装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】車群制御システムによって実行される車群の配列制御の処理手順の詳細を示すシーケンス図である。
【図6】侵入不可領域の設定を説明するための図である。
【図7】速度制限情報の算出を説明するための図である。
【図8】従来のシステムにおける車両の通過例と、車群制御システムにおける車両の通過例を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係わる車群制御システムの概要を示す図である。
【図10】第2実施形態に係る車群制御システムによって実行される車群の配列制御の処理手順の詳細を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係わる車群制御システムの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係わる車群制御システムの概要を示す図である。図1において、車群制御システム1は、高速道路等の有料道路の料金所に適用されるものであり、料金所の通行ゲートを通過後の複数の車両によって形成される車群の配列を制御するためのシステムである。
【0018】
具体的には、図1に示すように、料金所を通過しようとする車両M1〜M5において、料金所への進入のタイミングや車種に基づいて、料金所を通過する優先順位が設定される。例えば、1:車両M2、2:車両M5、3:車両M1、4:車両M3、5:車両M4の順に料金所を通過して分岐地点Jまで到達するように順位が設定される。そして、その優先順位に応じて各車両M1〜M5が料金所を通過するように、各車両M1〜M5の速度及びこの速度を維持する時間を制限する速度制限情報が各車両M1〜M5に送信され、図1の実線の矢印P〜Pで示す速度制限時間だけ速度が制限される。これにより、速度制限が解除された後の各車両M1〜M5は、図1の破線矢印P11〜P55に示すように、通常走行(加速走行)によって優先順位に応じて分岐地点Jまで到達する。従って、料金所の出口から分岐地点Jまで目的地方向に応じた車群の配列が成されることになる。このようなシステムを実現する構成について、以下に詳細に示す。
【0019】
車群制御システム1は、図2に示されるように、料金所に設けられる路側装置(車群制御装置)2と、車両Mに搭載される運転支援装置3とによって構成されている。
【0020】
図3は、路側装置2の概略構成を示す概略構成図である。路側装置2は、ETC(electronic toll collection)のシステムに応じて通行する車両に対して通行料金を収受する装置である。
【0021】
路側装置2は、通行ゲート21と、路側無線装置22a,22bと、車両検知器23a〜23dと、制御装置24とを備えている。なお、路側装置2は、車高計25、図示しないインターホン、路側表示器及び監視カメラ等を更に備えている。
【0022】
通行ゲート21は、開閉バー21aを有し、車両Mの通過を制御する装置である。具体的には、通行ゲート21は、開閉バー21aを上げることにより車両Mが料金所を通過できるようにし、開閉バー21aを下げることにより車両の料金所通過を防止する。通行ゲート21は、制御装置24から送出された制御信号を受け取り、その制御信号に応じて開閉バー21aの開閉を実行する。
【0023】
路側無線装置22a,22bは、車両Mに搭載されるETC車載器32(後述)と無線通信を行う装置である。路側無線装置22a,22bは、ETC車載器32から目的地情報、車両情報及び料金情報等を受信し、この受信した各情報を制御装置24に送出する。また、路側無線装置22a,22bは、制御装置24から送出された速度制限情報を受け取り、その速度制限情報をETC車載器32に送信する。なお、目的地情報及び車両情報については、後に詳細に説明する。
【0024】
車両検知器23a〜23dは、車両Mの通過を検知する機器であり、料金所の通過レーンに沿って複数(本実施形態では4つ)設置されている。車両検知器23a〜23dは、車両Mの通過を検知したことを示す通過検知情報を制御装置24に送出する。
【0025】
制御装置24は、例えば車線サーバ装置であり、通行ゲート21の開閉制御を行う装置である。制御装置24は、路側無線装置22a,22bから送出された料金情報及び各車両検知器23a〜23dから送出された通過検知情報を受け取り、料金情報及び通過検知情報に基づいて所定の処理を行うことで、通行ゲート21における開閉バー21aの開閉を制御するための制御信号を生成する。制御装置24は、生成した制御信号を通行ゲート21に送出する。
【0026】
また、制御装置24は、路側無線装置22a,22bから送出された目的地情報及び車両情報に基づいて、通行ゲート21を通過する車両Mの速度を所定の時間(距離)制御する速度制御情報(速度制限プロファイル)を算出する。具体的には、制御装置24は、路側無線装置22a,22bが目的地情報及び車両情報を受信したタイミングと、目的地情報及び車両情報とに基づいて、通行ゲート21通過時における先行車両との間の安全車間距離(侵入不可領域)を確保するための制限速度及びその制限時間を含む速度制限情報を算出する。制御装置24は、算出した速度制限情報を路側無線装置22a,22bに送出する。
【0027】
次に、運転支援装置3について説明する。図4は、運転支援装置3の概略構成を示すブロック図である。同図において、運転支援装置3は、路側装置2から送信される速度制限情報に基づいて、車両Mの運転支援を行う装置である。
【0028】
運転支援装置3は、ECU(Electronic Control Unit)31を備えている。このECU31には、ETC車載器32と、周辺監視センサ33と、車両位置検出器34と、案内装置35と、介入制御部36とが接続されている。
【0029】
ETC車載器32は、路側装置2と路車間通信を行う機器であり、上述した路側装置2の路側無線装置22a,22bと通信可能なアンテナ32aが接続されている。ETC車載器32は、自車両Mが通過した料金所の位置、種類等の料金情報や速度制限情報を路側無線装置22a,22bから受信する。また、ETC車載器32は、料金所における車両Mの目的地(例えば、東京方面、名古屋方面)を示す目的地情報、自車両Mに関する車両情報及び料金情報等を路側無線装置22a,22bに送信する。ETC車載器32は、受信した速度制限情報をECU31に送出する。なお、車両情報には、車両Mの車種を特定する車種情報が含まれている。
【0030】
周辺監視センサ33は、車両Mの前部及び後部に設けられ、自車両周辺に存在する障害物(周辺車両や物体等)を監視するセンサである。周辺監視センサ33は、例えばミリ波レーダやレーザレーダである。周辺監視センサ33は、検出信号(監視信号)をECU31に送出する。
【0031】
車両位置検出器34は、自車両Mの位置を検出する機器である。車両位置検出器34は、例えばナビゲーションシステムにおけるGPS(Global Positioning System)や、カメラによって撮像された画像に基づく白線認識等によって自車両の位置を検出する。車両位置検出器34は、検出した検出信号(位置信号)をECU31に送出する。
【0032】
案内装置35は、運転者に対して情報を教示するための装置である。案内装置35は、例えばナビゲーションシステムのディスプレイやヘッドアップディスプレイ等である。案内装置35は、ECU31から送出された速度制限情報を受け取ると、その速度制限情報が示す例えば制限速度及びこの制限速度を維持すべき制限時間を表示する。案内装置35は、制限速度情報を表示した後、表示した旨を示す表示情報をECU31に送出する。なお、案内装置35は、音声によって運転者に速度制限情報を教示するスピーカー等であってもよい。
【0033】
介入制御部36は、例えば制動制御や操舵制御等といった介入制御を実行する装置である。介入制御部36は、例えばブレーキアクチュエータ、スロットルアクチュエータ及びステアリングアクチュエータ等である。介入制御部36は、ACC(Adaptive Cruise Control:追従制御)機能、PCS(Pre-Crash System:衝突軽減制御)機能、IPA(IntelligentParking Assist:自動駐車)機能、LKA(Lane Keeping Assist:車線維持支援制御)機能を有する装置に接続されている。介入制御部36は、ECU31から介入制御を指示する介入制御信号を受け取ると、この介入制御信号に応じた介入制御を実行する。
【0034】
ECU31は、ETC車載器32から送出された速度制限情報を受け取ると、この速度制限情報を案内装置35に送出する。そして、ECU31は、速度制限情報を送出したことに応じて、案内装置35から送出された表示情報を受け取ると、ETC車載器32、周辺監視センサ33、車両位置検出器34から送出された速度制限情報及び各検出信号に基づいて、速度制限情報に応じた介入制御を指示する介入制御信号を生成する。ECU31は、生成した介入制御信号を介入制御部36に送出する。
【0035】
図5は、車群制御システム1によって実行される車群の配列制御の処理手順の詳細を示すシーケンス図である。
【0036】
図5において、まず路側装置2の制御装置24において、速度制限プロファイル(速度制限情報)の更新(算出)が実行される(手順S01)。具体的には、図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、侵入不可領域の設定を説明するための図である。図7は、速度制限情報の算出を説明するための図である。なお、図6においては、任意の車両の前に先行車両が存在しない場合、つまり任意の車両が先頭車両である場合を示している。
【0037】
図6に示すように、まず任意の車両において、料金所から分岐地点Jまでのダイアグラム(時間−距離)が作成される。具体的には、簡易的に初期設定速度V(例えば、20km/h)と、分岐地点Jまでの平均速度V(例えば、30km/h)とを設定することで、破線で示すダイアグラム(予測線図)が作成される。
【0038】
次に、路側無線装置22a,22bによって受信された目的地情報及び車両情報に基づいて、侵入不可領域Aが設定される。侵入不可領域Aは、ダイアグラムに沿って設定され、時間軸で後続車両と重ならないための領域である。より詳細には、車両情報における車種情報から車両の全長を特定すると共に、目的地情報及び通過タイミングに基づいて必要車間距離を設定し、車両の全長と必要車間距離とから侵入不可領域Aが設定される。例えば、車両の全長が6m、必要車間距離が5mである場合には、侵入不可車間距離=車両の全長(6m)+必要車間距離(5m)=11mと設定され、これに応じて図6に示す侵入不可領域Aが設定される。
【0039】
続いて、任意の車両の侵入不可領域Aが設定されると、図7に示すように、任意の車両が料金所を通過したTa[s]後に後続車両が料金所に進入した場合における速度制限プロファイルが算出される。すなわち、後続車両によって維持されるべき初期設定速度(制限速度)及びその制限時間が算出される。具体的には、後続車両が任意の車両の侵入不可領域A内を走行中である場合には、初期設定速度で走行するように制限時間を設定するダイアグラムが作成される。
【0040】
例えば、先行する任意の車両が初期設定速度で走行する時間がTs[s](例えば、走行距離11m)である場合、まず後続車両が料金所に進入した時間との差であるTt(=Ts−Ta)[s]が初期設定速度で走行する第1制限時間として算出される。次に、初期設定速度を維持した状態において、先行車両の侵入不可領域Aを抜けるまでの時間Tt(=(Tt・V)/(V−V))[s]が第2制限時間として算出される。これら第1及び第2制限時間より、後続車両が初期設定速度で走行する制限時間Tt(=Tt+Tt)[s]が算出される。なお、このようにして求められる制限時間Ttは、図1における例えば矢印P〜Pに相当する。
【0041】
以上のように更新された速度制限プロファイルは、路側装置2の路側無線装置22a,22bによって料金所を通過する任意の車両に送信される(手順S02)。手順S01及び手順02の処理は、例えば100ms周期で更新される。路側装置2から送信された速度制限情報は、運転支援装置3のETC車載器32によって受信される(手順S03)。そして、速度制限情報を受信したことに応じて、運転支援装置3から目的地情報及び車両情報がETC車載器32によって路側装置2へ送信される(手順S04)。その後、運転支援装置3においては、速度制限情報に基づいた速度の制限が実施される(手順S05)。
【0042】
また、運転支援装置3において速度制限情報が受信されると同時に、路側装置2の車両検知器23a〜23dによって速度制限情報を受信した車両の通過が検知され(手順S06)、他の通行ゲートを通過する車両への上記速度制限情報の送信が停止される(手順S07)。
【0043】
そして、路側装置2では、運転支援装置3から送信された目的地情報及び車両情報が路側無線装置22a,22bによって受信される(手順S08)。受信された目的地情報及び車両情報には、この目的地情報及び車両情報を送信した車両が通過するゲートを特定するゲート情報が追加される(手順S09)。その後、手順S01に戻り、ゲート情報が追加された目的情報及び車両情報に基づいて、速度制限プロファイルの更新が実施される。以上のように、車群制御システム1において車群の配列制御が実施される。
【0044】
図8(a)は、従来のシステムにおける料金所の車両の通過例を示す図である。同図において、横軸は時間、縦軸は距離を示しており、各折れ線L1〜L5が各車両の挙動を示している。図8(a)に示すように、従来のシステムにあっては、破線L1で示す先行車両から後に通過する後続車両になるにつれて、料金所を出てから減速又は停車する時間が増えている。特に、折れ線L4で示す先行車両から3番目の後続車両に関しては、停車する時間が長くなっている。
【0045】
これに対して、本実施形態の車群制御システム1では、図8(b)に示すように、先行する車両の侵入不可領域を後続車両が走行中である場合、初期設定速度で走行する制限時間が設定されるため、各車両が停車することなく分岐点Jまで走行することが可能となる。従って、料金所を通過した車両の無駄な加減速がなくなり、交通流の向上を図ることができる。
【0046】
以上において、路側無線装置22a,22b、及び制御装置24の手順S08は、複数の車両の目的地を示す目的地情報及び車両に関する車両情報を受信する情報受信手段を構成する。制御装置24の手順S01は、情報受信手段によって受信した目的地情報及び車両情報に基づいて、任意の車両の後に合流地点を通過する後続車両の速度を制限するための速度制限情報を算出する制限情報算出手段を構成する。路側無線装置22a,22b、及び制御装置24の手順S02は、制限情報算出手段によって算出された速度制限情報を、後続車両に送信する制限情報送信手段を構成する。ETC車載器31、案内装置35、介入制御部36、及びECU31の手順S03,S05は、制限情報送信手段によって送信された速度制限情報を受信し、速度制限情報に応じて速度制限を行うように運転支援を行う支援実施手段を構成する。
【0047】
以上のように本実施形態の車群制御システム1にあっては、車両の目的地情報及び車両情報を受信し、これらの情報に基づいて速度制限情報を算出し、この速度制限情報を任意の車両の後に料金所を通過する後続車両に送信する。すると、後続車両は、速度制限情報を受信し、その速度制限情報に応じた制限時間だけ初期設定速度で走行することになる。そのため、例えば隣接する車線の一つを走行する任意車両が、目的地方向に向かうために後続車両が走行する車線を交差して通過する場合において、後続車両の速度が制限されることで一定の車間距離が保たれることになる。このように、先行する車両の目的地情報や車両情報に基づいて後続車両の速度制限を実施させることにより、各車両の配置が明確になるため、料金所を通過した複数の車両によって形成される車群の配列を適切に制御することが可能となる。
【0048】
また、目的地情報及び車両情報を受信したタイミングと目的地情報及び車種情報を含む車両情報とに基づいて、速度制限情報を算出するため、車両同士が確実に接触しないための速度制限情報が算出されることになる。従って、車群の配列をより適切に制御することができる。
【0049】
また、各車両の速度制限に時間差(又は距離差)を設け、時間軸で各車両の位置をずらすことにより、分岐地点Jにおいて軌跡交差がなくなるので、目的流入路に向かう際に他車両との接触や衝突を防止することができる。
【0050】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態において、図中、第1実施形態と同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。
【0051】
図9は、本発明の第2実施形態に係わる車群制御システム1Aの概要を示す図である。図9に示される第2実施形態に係わる車群制御システム1Aは、通行ゲート21(図3参照)により車両によって形成される車群の配列を制御する点で第1実施形態と異なっている。
【0052】
具体的には、図9に示すように、車群制御システム1Aは、料金所を通過しようとする車両M1〜M5において、車両M1〜M5から受信される目的地情報及び車両情報に基づいて、通行ゲート21の開閉順序が制御される。例えば、1:車両M2、2:車両M5、3:車両M1、4:車両M3、5:車両M4の順に車両M1〜M5料金所を通過して分岐地点Jまで到達するように通行ゲート21の開閉順序が設定される。この開閉順序及び通行ゲート21を開けるタイミングは、上述した速度制限情報(図6及び図7参照)に基づいて設定される。このように、通行ゲート21の開閉が制御されることにより、通行ゲート21が開いた後の各車両M1〜M5は、図9の破線矢印P11〜P55に示すように、開閉順序に基づいて分岐地点Jまで到達する。従って、料金所の出口から分岐地点Jまで目的地方向に応じた車群の配列が成されることになる。
【0053】
図10は、車群制御システム1Aによって実行される車群の配列制御の処理手順の詳細を示すシーケンス図である。
【0054】
図10において、まず路側装置2Aの制御装置24(図3参照)において、速度制限プロファイル(速度制限情報)の更新が実行される(手順S11)。速度制限プロファイルの更新は、上述の処理と同様の手順によって行われる。速度制限プロファイルは、路側装置2Aの路側無線装置22a,22bによって料金所を通過する任意の車両に送信される(手順S12)。路側装置2Aから送信された速度制限情報は、運転支援装置3のETC車載器32によって受信される(手順S13)。そして、速度制限情報を受信したことに応じて、運転支援装置3から目的地情報及び車両情報がETC車載器32によって路側装置2Aへ送信される(手順14)。
【0055】
運転支援装置3から送信された目的地情報及び車両情報は、路側無線装置22a,22bによって受信される(手順S15)。そして、受信された目的地情報及び車両情報に、目的地情報及び車両情報を送信した車両が通過するゲートを特定するゲート情報が追加される(手順S16)。その後、手順S11に戻り、ゲート情報が追加された目的情報及び車両情報に基づいて、速度制限プロファイルの更新が実施される。
【0056】
また、手順S11において更新された速度制限プロファイルに基づいて、ゲートの開閉が制御される(手順S17)。具体的には、先行車両の侵入不可領域に入らないように、速度制限プロファイルが示す制限時間が経過した後に通行ゲート21が開けられることになる。このとき、運転者には、通行ゲートが開けられるまでの時間(カウントダウン)を表示して発進準備を促がす。これにより、発進効率の向上を図ることができる。以上のように、車群制御システム1Aにおいて車群の配列制御が実施される。
【0057】
以上において、路側装置2Aの制御装置24の手順15は、複数の車両の目的地を示す目的地情報及び車両に関する車両情報を受信する情報受信手段を構成する。同手順S11は、情報受信手段によって受信した目的地情報及び車両情報に基づいて、複数の車両が通過する通行ゲートの開閉のタイミングを算出するタイミング算出手段を構成する。同手順S17は、タイミング算出手段によって算出された通行ゲートの開閉のタイミングに基づいて、通行ゲートの開閉を制御する制御手段を構成する。
【0058】
以上のように第2実施形態の車群制御システム1Aにあっては、第1実施形態の車群制御システム1と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、車群制御システム1Aでは、車両の目的地情報及び車両情報を受信し、これらの情報に基づいて通行ゲート21の開閉のタイミングを算出し、このタイミングで通行ゲート21の開閉を制御する。そのため、例えば隣接する車線の一つを走行する任意車両が、目的地方向に向かうために後続車両が走行する車線を交差して通過する場合において、任意車両が後続車両の前方を通過するまで、後続車両は、通行ゲート21が閉じられることによって通行ゲートの通過が制限されることになる。従って、料金所を通過する車両によって形成される車群の配列を適切に制御することができる。
【0059】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、車群制御システム1,1Aを高速道路の料金所に適用しているが、複数の車両が合流する合流地点であれば料金所に限定されない。
【0060】
また、上記第1実施形態では、車両の走行に介入する介入制御部36を設けているが、介入制御は必ずしも実行されなくてもよい。つまり、案内装置35に表示された情報に基づいて、運転者の操作により速度が制限されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1,1A…車群制御システム、2,2A…路側装置(車群制御装置)、3…運転支援装置、21…通行ゲート、22a,22b…路側無線装置(情報受信手段、制限情報送信手段)、24…制御装置(情報受信手段、制限情報算出手段、制限情報送信手段、タイミング算出手段、制御手段)、31…ETC車載器(支援実施手段)、35…案内装置(支援実施手段)、36…介入制御部(支援実施手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両が合流する合流地点に設けられ、当該合流地点を通過する複数の車両により形成される車群の配列を制御する車群制御装置であって、
前記複数の車両の目的地を示す目的地情報及び当該車両に関する車両情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段によって受信した前記目的地情報及び前記車両情報に基づいて、任意の車両の後に前記合流地点を通過する後続車両の速度を制限するための速度制限情報を算出する制限情報算出手段と、
前記制限情報算出手段によって算出された前記速度制限情報を、前記後続車両に送信する制限情報送信手段と、
を備えることを特徴とする車群制御装置。
【請求項2】
前記制限情報算出手段は、前記情報受信手段が前記目的地情報及び前記車両情報を受信したタイミングと前記目的地情報及び前記車両情報とに基づいて、前記速度制限情報を算出することを特徴とする請求項1記載の車群制御装置。
【請求項3】
複数の車両が合流する合流地点に設けられ、当該合流地点を通過する複数の車両により形成される車群の配列を制御する車群制御装置であって、
前記複数の車両の目的地を示す目的地情報及び当該車両に関する車両情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段によって受信した前記目的地情報及び前記車両情報に基づいて、前記複数の車両が通過する通行ゲートの開閉のタイミングを算出するタイミング算出手段と、
前記タイミング算出手段によって算出された前記通行ゲートの開閉のタイミングに応じて、前記通行ゲートの開閉を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする車群制御装置。
【請求項4】
前記複数の車両が合流する地点は、料金所であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の車群制御装置。
【請求項5】
合流地点を通過する複数の車両により形成される車群の配列を制御する車群制御システムであって、
前記複数の車両の目的地を示す目的地情報及び当該車両に関する車両情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段によって受信した前記目的地情報及び前記車両情報に基づいて、任意の車両の後に前記合流地点を通過する後続車両の速度を制限するため速度制限情報を算出する制限情報算出手段と、
前記制限情報算出手段によって算出された前記速度制限情報を、前記後続車両に送信する制限情報送信手段と、
前記制限情報送信手段によって送信された前記速度制限情報を受信し、前記速度制限情報に応じて速度制限を行うように運転支援を実施する支援実施手段と、
を備えることを特徴とする車群制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−34129(P2011−34129A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176717(P2009−176717)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】