説明

車載カメラ及びドライブレコーダ

【課題】商用交流電源の周波数で点滅している交通信号機等の発光機器からの光を、安定的にかつ確実に受光素子で受光する車載カメラ及びドライブレコーダを提供する
【解決手段】一定の周期で点灯と消灯を繰り返す発光機器を撮影する電子シャッター付きカメラ1と、カメラ1の撮像側に設けたエレクトロクロミックフィルター2と、エレクトロクロミックフィルター2の濃淡を制御するエレクトロクロミックフィルター制御部6とを有し、エレクトロクロミックフィルター制御部6が、カメラ1の映像信号等から周囲の明るさを判断してECF制御信号を作り、エレクトロクロミックフィルター2の濃淡を制御して、カメラ1に入る入射光を制御して、カメラ1の電子シャッターのスピードが一定以上に速くならないようにして、電子シャッターが開いている期間が、前記発光機器の消灯期間より長くなるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載カメラ及びドライブレコーダに関し、特に、交通信号機の映像を確実に記録することが出来るようにした車載カメラ及びドライブレコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
商用交流電源を用いて発光する発光機器の多くは、蛍光灯のように点灯と消灯を周期的に繰り返す発光方式が用いられている。このことは、LEDを用いた交通信号機においても同様であり、日本では50Hzあるいは60Hzで点滅している。
【0003】
一方、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの受光素子を用いたカメラでは、電荷蓄積期間を59.97Hzという商用交流電源の周波数に近い周波数で繰り返している。すなわち、受光素子に光が当たると、受光素子に電荷がたまる。全ての受光素子に電荷があふれると全体が白くなってしまう。そのため、光量調節のため、ある程度の電荷がたまったところで電子シャッターを動作させている。
【0004】
具体的には、電子シャッターの動作は受光素子に蓄積された電荷を後段の処理回路に転送しないことにより実現される。なお、本明細書において電子シャッターを閉めるとは蓄積された電荷を後段の処理回路に転送しないことを、一方電子シャッターを開くとは蓄積された電荷を後段の処理回路に転送することを表している。
【0005】
このことは、発光機器が商用交流電源の周波数で点滅しているのに対して、受光素子が商用交流電源の周波数に近い周波数で電子シャッターが作動していることになる。そのため、発光機器が点灯しているタイミングと受光素子の電子シャッターが開いているタイミングが常に合致していれば発光機器の光が受光素子に届くが、発光機器が消灯しているタイミングと受光素子の電子シャッターが開いているタイミングが合ったときには、発光機器の光が受光素子に届かない。その場合、ドライブレコーダの記録を見ても交通信号機が消灯していて、何色で点灯していたかが分からない。
【0006】
図6に、従来のLEDを用いた交通信号機の点灯、消灯のタイミングとドライブレコーダの電子シャッターの開閉タイミングを例示したタイミングチャートを示す。図6(a)は、商用交流電源の電圧波形を示している。図6(b)は、商用交流電源の電圧波形を検波したときの波形を示している。図6(c)は、LEDを用いた交通信号機の点灯期間と消灯期間の繰り返し状態を示している。ここでは、説明を簡単にするため、図6(b)の商用交流電源の電圧が所定の閾値(V0)を越えたときにLEDが点灯し、所定の閾値(V0)以下に低下したときにLEDが消灯するとして説明する。なお、図6(d)から図6(g)は、ドライブレコーダの電子シャッターの開閉状態を示している。
【0007】
図6(d)は、交通信号機を含めた道路周辺の明るさが暗い場合の電子シャッターの開閉タイミングを示している。例えば、図7のように夜間の道路では、受光素子に到達する光が少ない。そのため、電子シャッターの開いている時間が長くなる。図6(d)では、LEDが点灯するタイミングと電子シャッターが開くタイミングが合致しているため、LEDの光は受光素子に届き、ドライブレコーダにLEDの光は記録される。そして、図6(e)に示すように、LEDが消灯するタイミングと電子シャッターが開くタイミングが合致したとしても、LEDが消灯している時間より電子シャッターが開いている時間が長いので、LEDの光は受光素子に届く。そして、ドライブレコーダにLEDの光は記録される。
【0008】
しかし、図8に示すような日中の明るい場所で走行するような道路では、受光素子に届く光量が多すぎるため、電子シャッターを高速で作動し、図6(f)や図6(g)のように、電子シャッターが開いている時間を短くしている。図6(f)では、LEDが点灯するタイミングと電子シャッターが開くタイミングが合致しているため、LEDの光は受光素子に届き、ドライブレコーダにLEDの光は記録される。しかし、図6(g)のように、LEDが消灯するタイミングと電子シャッターが開くタイミングが合致したときには、受光素子にLEDの光が到達せず、ドライブレコーダにLEDの光が記録されないことになる。
【0009】
この課題を解決する従来の一方法として、交通信号機の消灯期間を求め、CCDの電荷蓄積期間が交通信号機の消灯期間よりも長くなるように電子シャッターを制御する方法が提案されている。この方法によれば、仮に交通信号機が消灯しているタイミングと電子シャッターが開いているタイミングが合ったとしても、CCDにはある程度の光が入ってくるので、何色の信号が点灯していたかを記録することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−161189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記従来の方法は次の(1)から(6)の手順を行なうことが求められる。すなわち、(1)ドライブレコーダで撮影している画面内に交通信号機があるかどうかを識別する。(2)撮影している画面内に交通信号機があれば、必要に応じて、カメラを交通信号機に向ける。(3)カメラで捕らえた交通信号機の消灯期間を計算する。(4)求めた交通信号機の消灯期間をもとに、カメラの電子シャッターを開けておくべき時間を計算する。(5)求めた時間だけカメラの電子シャッターを開く。(6)撮影している画面内に交通信号機が映っていれば、(5)を周期的に繰り返す。
【0011】
上記手順(1)で、ドライブレコーダのカメラに交通信号機が映った都度、上記手順(2)から(6)を繰り返すことは、ドライブレコーダの制御装置に負荷がかかる。そして、交通信号機のある道路では、自動車は例えば時速40Km/hから時速60Km/h程度で走っているため、画面内に交通信号機があることが判別できなかったり、消灯期間の計算等の電子シャッターの一連の計算や制御が間に合わなかったりすることも起こり得る。
【0012】
本発明は、交通信号機の有無を検出したり、消灯時間を計算したりすることなく、商用交流電源の周波数で点滅している交通信号機をはじめとする発光機器からの光を、安定的にかつ確実に受光素子で受光することができる車載カメラ及びドライブレコーダを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、電流や電界を外部刺激として物質が可逆的に色や光透過度を変化させるエレクトロクロミック現象を応用したエレクトロクロミックフィルター、少し簡単に言うと、加えられる電圧に応じて光透過率が変わるというエレクトロクロミック効果を利用したエレクトロクロミックフィルター(以下、ECFと略す)を用い、カメラの映像信号やカメラの電子シャッターのスピードから周囲の明るさを判断し、映像信号検波、重み付けや、ピーク/平均値の切換等をおこない、ECFの制御信号を作り、ECFの濃淡を制御し、カメラに入る入射光を制御し、カメラの電子シャッターのスピードが一定以上に速くならないようにして、電子シャッターが開いている期間が、被写体である発光機器の消灯期間より長くなるようにしている。
【0014】
このことにより、車載カメラやドライブレコーダでLEDを用いた交通信号機を撮影したときに、交通信号機が消灯したタイミングで撮影したり記録したりすることが無くなる。
【0015】
また、本発明は、上記の構成を採る車載カメラやドライブレコーダの他に専用の照度センサーを設け、照度センサーから周囲の明るさを判断し、映像信号検波、重み付けや、ピーク/平均値の切換等をおこない、ECFの制御信号を作り、ECFの濃淡を制御し、カメラに入る入射光を制御し、カメラの電子シャッターのスピードが一定以上に速くならないようにして、電子シャッターが開いている期間が、被写体である発光機器の消灯期間より長くなるようにしている。
【0016】
このことにより、周囲の明るさをより迅速に判断して、車載カメラやドライブレコーダでLEDを用いた交通信号機を撮影したときに、交通信号機が消灯したタイミングで撮影したり記録したりすることを無くすことができる。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明は、被写体である一定、又は商用交流電源周波数の周期で点灯と消灯を繰り返す発光機器を撮影する第一のカメラと第二のカメラをハーフミラー又はプリズムを通して画角が一致する位置に配置し、第一のカメラは、滅光フィルター付きカメラで電子シャッターのスピードが一定以上に速くならないように設定し、
第二のカメラは、滅光フィルターの付いていないカメラで電子シャッターのスピードが一定以上に速くならないように設定し、通常は第二のカメラで撮影し、明るい状況下では第一のカメラに切り換えて撮影することにより、第一のカメラと第二のカメラのそれぞれの電子シャッターのスピードが一定以上に速くならないようにして、電子シャッターが開いている期間が前記被写体である発光機器の消灯期間より長くなるように構成している。
【0018】
この構成により、周囲が明るい場合でも、カメラの電子シャッターのスピードは一定以上速くなることは無く、このカメラシステムで交流点灯のLED信号機を撮影しても、信号機が消灯した状態を撮影することはなくなる。また、メカニカル絞りがないために車載搭載時の信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、交通信号機付近の明るさが明るくなったときには、フィルターを用いて光量を少なくして電子シャッターの速度が一定速度以上に上がらないようにしている。その結果、LEDの消灯期間より電子シャッターが開いている期間を長く保つことができるので、LEDの消灯期間と電子シャッターが開いている期間が重なったとしても、カメラの受光素子に一定量の光が当たるので、LEDの交通信号が消灯したタイミングで記録されることがない。
【0020】
また本発明は、従来のように、交通信号機の有無を検出したり、消灯時間を計算したりすることなく、商用交流電源の周波数で点滅している交通信号機をはじめとする発光機器からの光を、安定的にかつ確実に受光素子で受光することができる車載カメラ及びドライブレコーダを提供することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面と共に本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1に係るドライブレコーダの要部構成図を示す。本発明の実施の形態1は、カメラ1の撮像側に、エレクトロクロミックフィルター(ECF)2を設けている。カメラ1は、CCDやCMOSなどの受光素子を用いたディジタルカメラであり、撮像側から入射する光を受けて電荷を蓄積し、蓄積した電荷をデイジタル信号に変換して映像信号を作り、出力線3を介して、図示しない表示手段や送信手段に送出する。なお、カメラ1には、図示しない電子シャッターを内蔵していて、電子シャッターにより光量調節を行っている。
【0023】
エレクトロクロミックフィルター2は、加えられる電圧に応じて光透過率が変わるというエレクトロクロミック効果を利用したフィルターであり、カメラ1の撮像側に設けたことによりカメラ1に入射する画像の光量を必要量だけ低減することが出来る。
【0024】
なお、出力線3には、フィードバック用のノード4を設け、検波器5で映像信号を検波したのち、エレクトロクロミックフィルター2の明暗を制御するECF制御部6に入力している。ECF制御部6では、第一段階として、カメラ1で撮像した映像信号から撮像した画像の光量の程度、つまり撮像した画像が予め定めた閾値と比べて明るかったか暗かったかを判定する。第二段階として、撮像した画像が明るかった場合にはエレクトロクロミックフィルター2が暗くなる制御電流を送出し、撮像した画像が暗かった場合にはエレクトロクロミックフィルター2を暗くしない電流を送出する。ECF制御部6から送出された制御電流は、増幅器7で増幅され、エレクトロクロミックフィルター2に加えられる。
【0025】
本発明の実施の形態1に係るドライブレコーダは、上記のように構成されているため、暗い場面を撮像しているときはエレクトロクロミックフィルター2を実質的に動作させないで、カメラ1に入射する光量を電子シャッターで調整して撮像する。そして、明るい場面を撮像しているときはエレクトロクロミックフィルター2を動作させて、カメラ1に入る光量を減じた上で、電子シャッターを調整して撮像する。
【0026】
図2に、LEDを用いた交通信号機の点灯、消灯のタイミングと、本発明の実施の形態1に係るドライブレコーダの電子シャッターの開閉タイミングのタイミングチャートを示す。図2(a)は、商用交流電源の電圧波形を示している。図2(b)は、商用交流電源の電圧波形を検波したときの波形を示している。図2(c)は、LEDを用いた交通信号機の点灯期間と消灯期間の繰り返し状態を示している。ここでは、従来例の図6(c)と同様に、図2(b)の商用交流電源の電圧が所定の閾値(V0)を越えたときにLEDが点灯し、所定の閾値(V0)以下に低下したときにLEDが消灯するとして説明する。なお、図2(d)から図2(g)は、ドライブレコーダの電子シャッターの開閉状態を示している。
【0027】
図2(d)と図2(e)は、交通信号機を含めた周辺の明るさが暗い場合の電子シャッターの開閉タイミングを示している。周辺の明るさが暗い場合は、ECF制御部6がエレクトロクロミックフィルター2を暗くしない電流を送出する。カメラ1に入射する光は、カメラ1に内蔵されている図示しない電子シャッターが光量調整行なう。
【0028】
周辺の明るさが暗い場合は、電子シャッターが動作しても、開いている期間がLEDが消灯している期間より長くなるように設定している。なお、図2(d)では、LEDが点灯するタイミングと電子シャッターが開くタイミングが合致しているため、LEDの光は受光素子に届き、ドライブレコーダにLEDの光は記録される。そして、図2(e)に示すように、LEDが消灯するタイミングと電子シャッターが開くタイミングが合致したとしても、LEDが消灯している時間より電子シャッターが開いている時間が長いので、光量が少ないとはいえ、LEDの光は受光素子に届き、ドライブレコーダにLEDの光は記録される。
【0029】
一方、LEDの交通信号機の周辺が明るいときは、ECF制御部6がエレクトロクロミックフィルター2を暗くする電流を送出する。エレクトロクロミックフィルター2を暗くすると、カメラ1に入射する光量は減る。結局、カメラ1としてはLEDの交通信号機の周辺が暗いときと同じ光量が入射するので、カメラ1に内蔵してある電子シャッターは、LEDの交通信号機の周辺が暗いときと同様に、電子シャッターが動作して、開いている期間がLEDが消灯している期間より長くなるようにしている。
【0030】
そのため、図2(f)や図2(g)のように、LEDの交通信号機の周辺が明るいときであっても、LEDが消灯している時間より電子シャッターが開いている時間が長いので、LEDの光は受光素子に届き、ドライブレコーダにLEDの光は記録される。
【0031】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、図3に示すように実施の形態1で示した車載カメラやドライブレコーダの構成に、更に専用の照度センサー8を設け、照度センサー8から周囲の明るさを判断し、映像信号検波、重み付けや、ピーク/平均値の切換等をおこない、ECFの制御信号を作り、ECFの濃淡を制御し、カメラに入る入射光を制御し、カメラの電子シャッターのスピードが一定以上に速くならないようにして、電子シャッターが開いている期間が、被写体である発光機器の消灯期間より長くなるようにしている。照度センサー8からの信号は、映像信号とともに検波器5で検波され、ECF制御部6に出力される。以下の動作は、実施の形態1と同じである。
【0032】
このことにより、周囲の明るさをより迅速に判断して、車載カメラやドライブレコーダでLEDを用いた交通信号機を撮影したときに、交通信号機が消灯したタイミングで撮影したり記録したりすることを無くすことができる。
【0033】
(実施の形態3)
図4に、本発明の実施の形態3に係るドライブレコーダの要部構成図を示す。本発明の実施の形態3は、滅光フィルター(ND)付きカメラで電子シャッターのスピードが一定以上に速くならないように設定されたNDつきカメラ(A)11と、NDなしカメラで電子シャッターのスピードが一定以上に速くならないNDなしカメラ(B)12とをハーフミラー13を通して画角が一致する位置に配置している。なお、滅光フィルターはレンズに入る光の量を減少させる。これを使う事で、ND付きカメラ(A)11では、シャッタースピードを下げる事が可能になる。
【0034】
ハーフミラー13の前方には、共用のレンズ14を配置している。レンズ14を通ってきた光はハーフミラーで分けられる。なお、ハーフミラーを用いているため、NDなしカメラ(B)は鏡像になるように左右反転している。
【0035】
NDつきカメラ(A)11は、フレームメモリー15に接続している。また、NDなしカメラ(B)12は、同期制御手段16及び前記フレームメモリー15に接続していて、NDつきカメラ(A)11とNDなしカメラ(B)12を同期結合している。そのため、NDつきカメラ(A)11とNDなしカメラ(B)12をバーチカルインターバルで切り換えることにより、切換時の同期乱れがないようにしている。NDつきカメラ(A)11の映像信号(A)17と、NDなしカメラ(B)12の映像信号(B)18はそれぞれ映像信号切換機19に出力するように接続している。そして、映像信号切換機19で切り換えられた切換映像信号20が、図示しない表示手段あるいは送信手段に出力される。
【0036】
このように構成した本発明の実施の形態3に係るドライブレコーダでは、通常は、NDなしカメラ(B)12で撮影しているが、明るい状況下でNDなしカメラ(B)12の映像信号が飽和状態に近づいた場合、その映像信号を検出して、NDつきカメラ(A)11にバーチカルインターバルで切り換え、NDつきカメラ(A)11の映像を出力し続けることにしている。
【0037】
また、周囲の明るさが暗くなりNDなしカメラ(B)12の映像が飽和状態を脱して、正常に戻ると、NDつきカメラ(A)11からNDなしカメラ(B)12に切り換えて、撮影を続けるようにしている。
【0038】
この構成により、周囲が明るい場合でも、カメラの電子シャッターのスピードは一定以上速くなることは無く、このカメラシステムで交流点灯のLED信号機を撮影しても、信号機が消灯することはない。また、メカニカル絞りがないために車載搭載時の信頼性が向上する。
【0039】
図5に、LEDを用いた交通信号機の点灯、消灯のタイミングと、本発明の実施の形態3に係るドライブレコーダの電子シャッターの開閉タイミングのタイミングチャートを示す。図5(a)は、商用交流電源の電圧波形を示している。図5(b)は、商用交流電源の電圧波形を検波したときの波形を示している。図5(c)は、LEDを用いた交通信号機の点灯期間と消灯期間の繰り返し状態を示している。図5(a)から図5(c)は、既に説明した図2(a)から図2(c)の内容と同じなので説明を省略する。なお、図5(d)から図5(g)は、ドライブレコーダの電子シャッターの開閉状態を示している。
【0040】
交通信号機を含めた周辺の明るさが暗い場合は、図5(d)と図5(e)に示すとおり、NDなしカメラ(B)12では、電子シャッターが動作しても開いている期間がLEDが消灯している期間より長くなるように設定している。
【0041】
図5(d)では、LEDが点灯するタイミングと電子シャッターが開くタイミングが合致しているため、LEDの光は受光素子に届き、ドライブレコーダにLEDの光は記録される。そして、図5(e)に示すように、LEDが消灯するタイミングと電子シャッターが開くタイミングが合致したとしても、LEDが消灯している時間より電子シャッターが開いている時間が長いので、光量が少ないとはいえ、LEDの光は受光素子に届き、ドライブレコーダにLEDの光は記録される。
【0042】
一方、LEDの交通信号機の周辺が明るいときはNDつきカメラ(A)11を用いるので、入射する光量は減り、LEDの交通信号機の周辺が暗いときと同じ光量が入射するので、NDつきカメラ(A)11の電子シャッターは、LEDの交通信号機の周辺が暗いときと同様に、開いている期間がLEDが消灯している期間より長くなる。
そのため、図5(f)や図5(g)のように、LEDの交通信号機の周辺が明るいときであっても、LEDが消灯している時間より電子シャッターが開いている時間が長いので、LEDの光は受光素子に届き、ドライブレコーダにLEDの光は記録される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、商用交流電源で点滅するLEDを用いた交通信号機をはじめ発光機器を撮影する車載カメラ及びドライブレコーダ、ディジタルカメラやディジタルビデオカメラなどに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態1に係るドライブレコーダの要部構成図
【図2】本発明の実施の形態1に係るドライブレコーダの電子シャッターの開閉タイミングと交通信号機のLEDの点滅タイミングを示すタイミングチャート
【図3】本発明の実施の形態2に係るドライブレコーダの要部構成図
【図4】本発明の実施の形態3に係るドライブレコーダの要部構成図
【図5】本発明の実施の形態3に係るドライブレコーダの電子シャッターの開閉タイミングと交通信号機のLEDの点滅タイミングを示すタイミングチャート
【図6】従来のドライブレコーダの電子シャッターの開閉タイミングと交通信号機のLEDの点滅タイミングを示すタイミングチャート
【図7】従来のドライブレコーダの使用環境を示す図
【図8】従来のドライブレコーダの使用環境を示す図
【符号の説明】
【0045】
1 カメラ
2 エレクトロクロミックフィルター(ECF)
5 検波器
6 ECF制御部
7 増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体である一定、又は商用交流電源周波数の周期で点灯と消灯を繰り返す発光機器を撮影する電子シャッター付きカメラと、
前記カメラの撮像側に設けたエレクトロクロミックフィルターと、
前記エレクトロクロミックフィルターの濃淡を制御するエレクトロクロミックフィルター制御手段と、を有し、
前記エレクトロクロミックフィルター制御手段が、前記カメラの映像信号や前記カメラの電子シャッターのスピードから周囲の明るさを判断してECF制御信号を作り、前記エレクトロクロミックフィルターの濃淡を制御して、カメラに入る入射光を制御することにより、
前記カメラの電子シャッターのスピードが一定以上に速くならないようにして、電子シャッターが開いている期間が、前記発光機器の消灯期間より長くなるようにしたことを特徴とする車載カメラ。
【請求項2】
上記請求項1に記載の構成に照度センサーを更に設け、
前記照度センサーにより周囲の明るさを判断してECFの制御信号を作り、前記エレクトロクロミックフィルターの濃淡を制御し、カメラに入る入射光を制御することにより、
前記カメラの電子シャッターのスピードが一定以上に速くならないようにして、電子シャッターが開いている期間が、前記発光機器の消灯期間より長くなるようにしたことを特徴とする車載カメラ。
【請求項3】
被写体である一定、又は商用交流電源周波数の周期で点灯と消灯を繰り返す発光機器を撮影する第一のカメラと第二のカメラをハーフミラー又はプリズムを通して画角が一致する位置に配置し、
前記第一のカメラは、滅光フィルター付きカメラで電子シャッターのスピードが一定以上に速くならないように設定し、
前記第二のカメラは、滅光フィルターの付いていないカメラで電子シャッターのスピードが一定以上に速くならないように設定し、
通常は前記第二のカメラで撮影し、明るい状況下では前記第一のカメラに切り換えて撮影することにより、前記第一のカメラと第二のカメラのそれぞれの電子シャッターのスピードが一定以上に速くならないようにして、電子シャッターが開いている期間が前記被写体である発光機器の消灯期間より長くなるように構成したことを特徴とする車載カメラ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の車載カメラを搭載したドライブレコーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−253316(P2009−253316A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94693(P2008−94693)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】