説明

車載内燃機関の制御装置

【課題】シフト時燃料カットをより正確且つ速やかに行うことのできる車載内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】電子制御ユニット17は、1)アクセルオフの継続時間が規定値A以上であること、2)クラッチ操作の継続時間が規定値B以上であること、3)上記1)の成立時における機関回転速度の上昇率が規定の判定値C以上であること、の3つの条件のすべての成立をもってシフト時燃料カットを実施することで、正確且つ速やかにシフト操作の判定を行い、正確且つ速やかなシフト時燃料カットの実施を可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者のクラッチ操作に応じて開放されるクラッチを介して手動変速機に接続される車載内燃機関の制御装置に関し、特にシフト時燃料カットの実施に係るその制御構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転者のクラッチ操作に応じてクラッチを開放した上でシフトチェンジを行う手動変速機を採用する車両にあっては、シフトチェンジに際してのクラッチの開放とともに機関負荷が軽減されて機関回転速度の吹き上がりが発生することがある。そしてその結果、次のギアへの繋がりが悪化して、ドライバビリティの悪化を招くことがある。またこうした機関回転速度の吹き上がりによっては、車両加速には寄与しない無駄な燃料消費を招来し、燃費性能が悪化することにもなる。
【0003】
そこで従来、特許文献1及び2に見られるように、シフト操作時に内燃機関の燃料カットを、いわゆるシフト時燃料カットを実施する車載内燃機関の制御装置が提案されている。こうしたシフト時燃料カットの実施によれば、シフト操作時のクラッチ開放に伴う機関回転速度の吹き上がりを抑えて、ドライバビリティや燃費の悪化を回避することが可能である。なお特許文献1に記載の車載内燃機関の制御装置では、アップシフト時において、アクセルペダルが踏み込まれておらず、すなわちアクセルオフとなり、且つ機関回転速度が燃料カット回転速度以上であれば、クラッチ操作の検出とともにシフト時燃料カットを開始するようにしている。また特許文献2に記載の車載内燃機関の制御装置では、アクセルオフとなり、且つ機関回転速度の上昇率がある程度に大きいときに燃料カットを実施しており、シフトチェンジ時のクラッチ開放に伴う機関回転速度の吹き上がりの発生に応じて燃料カットが実施されるようになっている。
【特許文献1】特開2005−163761号公報
【特許文献2】特開2007−23921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
なお上記のようなシフト時燃料カットを的確に行うには、運転者のシフト操作を正確且つ速やかに判定することが必要となる。例えば、実際にはシフト操作がなされていないにも拘わらず、誤判定によりシフト時燃料カットを実施してしまえば、不必要に燃料カットが行われ、機関回転の減速によりショックが発生する虞がある。またシフト操作の判定が遅れれば、機関回転速度の吹き上がりを十分に抑制することができなくなってしまう。
【0005】
ここで特許文献1の車載内燃機関の制御装置では、基本的にはクラッチ操作(クラッチペダルの踏み込み)のみに基づいてシフト操作を判断している。この場合、クラッチペダルがどの程度踏み込まれた時点でクラッチ操作がなされたと判定するかが問題となる。例えば、クラッチ操作有りの判定点が浅ければ、運転者がシフト操作を意図することなくクラッチペダルに軽く足を載せただけで、燃料カットが実施されてしまうようになる。一方、シフト操作は、クラッチが完全に開放されていなくても実行可能であるため、クラッチ操作有りの判定点が深ければ、シフト操作がなされても燃料カットを実施できないことがある。
【0006】
また特許文献2の車載内燃機関の制御装置では、アクセルオフ後の機関回転速度の上昇率が一定値以上に大きくなった時点でシフト操作がなされたと判断しているが、吸気の応答遅れのため、アクセルオフ後もシリンダに流入する吸気の量は直ちには低下せず、クラッチの開放に依らずとも、アクセルオフ後もしばらくは機関回転速度の上昇が続くことがある。こうした吸気の応答遅れによる機関回転速度の上昇と、クラッチの開放による機関回転速度の上昇とを峻別するには、シフト操作有りと判定する回転速度上昇率をある程度に大きく設定せざるを得なくなる。そしてそうした場合には、クラッチの開放により機関回転速度がある程度に上昇しなければシフト操作有りと判定できないため、燃料カットの開始は自ずと遅れることとなり、機関回転速度の吹き上がりを十分に抑制できなくなってしまうことになる。
【0007】
このように上記従来の車載内燃機関の制御装置でのシフト操作の判定態様では、シフト操作のためのクラッチ操作と偶発的なクラッチペダルへの足載せとの峻別、及びクラッチの開放による機関回転速度の上昇と吸気の応答遅れによる機関回転速度の上昇との峻別がし難く、十分に正確且つ速やかなシフト操作の判定は困難となっている。そしてその結果、シフト操作時の機関回転速度の吹き上がりを必ずしも適正に抑制できない、という問題があった。
【0008】
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであって、その解決しようとする課題は、シフト時燃料カットをより正確且つ速やかに行うことのできる車載内燃機関の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果を記載する。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、運転者のクラッチ操作に応じて開放されるクラッチを介して手動変速機に接続される車載内燃機関の制御装置であって、1)アクセルオフの継続時間が規定値A以上であること、2)クラッチ操作の継続時間が規定値B以上であること、3)上記1)の成立時における機関回転速度の上昇率が規定の判定値C以上であること、の3つの条件のすべての成立をもってシフト時燃料カットを実施するシフト時燃料カット実施手段を備えることをその要旨としている。
【0010】
上記構成では、上記条件1)〜3)のすべての成立をもってシフト操作がなされたと判定して、シフト時燃料カットが実施されるようになっている。ここで正確且つ速やかなシフト操作の判定には、上述したように、シフト操作のためのクラッチ操作と偶発的なクラッチペダルへの足載せとの峻別が必要となる。その点、上記構成では、上記条件2)のクラッチ操作の継続時間が規定値B以上であること、が満されない限り、シフト操作がなされたとは判定されないようになっている。すなわち、上記構成では、クラッチ操作がある程度継続して行なわれていなければ、シフト操作有りとの判定はなされず、シフト操作のためのクラッチ操作と偶発的なクラッチペダルへの足載せとの峻別が可能である。しかも、クラッチペダルの踏み込みの程度ではなく、クラッチ操作の継続時間にてシフト操作を判定しているため、クラッチ操作有りの判定点をあまり深くせずとも、そうした峻別が可能であり、クラッチペダルの浅い踏み込みによるシフト操作についても、確実な判定を可能とすることができる。なお上記規定値Bの値には、クラッチペダルの有効操作時間、すなわち偶発的なクラッチペダルへの足載せではないと判断するのに十分なクラッチ操作の時間を設定すると良い。
【0011】
また正確且つ速やかなシフト操作の判定には、クラッチの開放による機関回転速度の上昇と吸気の応答遅れによる機関回転速度の上昇との峻別も必要となる。その点、上記構成では、上記条件1)のアクセルオフの継続時間が規定値A以上であること、の成立時に、シフト操作の判定に係る機関回転速度の上昇率の判定がなされるようになっている。したがって、アクセルオフによるシリンダ流入空気量の低下が実際に生じてからの機関回転速度の上昇率を見て、シフト操作の判定を行うことが可能となり、クラッチの開放による機関回転速度の上昇と吸気の応答遅れによる機関回転速度の上昇と正確且つ滞りなく峻別することができるようになる。
【0012】
このように、上記構成では、シフト操作のためのクラッチ操作と偶発的なクラッチペダルへの足載せとの峻別、及びクラッチの開放による機関回転速度の上昇と吸気の応答遅れによる機関回転速度の上昇との正確且つ速やかな峻別が可能となる。したがって、上記構成によれば、シフト時燃料カットをより正確且つ速やかに行うことができるようになる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載内燃機関の制御装置において、前記シフト時燃料カット実施手段は、前記条件1)〜3)のすべてが成立する前に、前記アクセルオフの継続時間が前記規定値Aよりも大きい規定値D以上となったときには、その後に前記条件1)〜3)のすべてが成立してもシフト時燃料カットの実施を取り止めることをその要旨としている。
【0014】
アルセルオフ後、ある程度の時間が経過すれば、シリンダ流入空気量が十分に低下して、クラッチが開放されても機関回転速度の吹き上がりは殆んど生じなくなる。その点、上記構成では、アルセルオフ後、ある程度の時間が経過したときには、上記条件1)〜3)のすべてが成立しても、シフト時燃料カットは実施さないようになる。そのため、不必要なシフト時燃料カットの実施を回避することができるようになる。なお上記規定値Dには、クラッチ開放に伴う機関回転速度の吹き上がりが生じない程度までシリンダ流入空気量が低下されるのに必要なアクセルオフの継続時間をその値に設定すると良い。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車載内燃機関の制御装置において、前記シフト時燃料カット実施手段は、前記条件1)〜3)のすべてが成立する前に、前記クラッチ操作の継続時間が前記規定値Bよりも大きい規定値E以上となったときには、その後に前記条件1)〜3)のすべてが成立してもシフト時燃料カットの実施を取り止めることをその要旨としている。
【0016】
上記条件2)が成立しても、上記条件1)、3)がその後、しばらく成立しないときには、運転者にはシフト操作の意図はなく、単にクラッチペダルに軽く足を置いているだけであることがある。その点、上記構成では、そうした状況では、たとえ上記条件1)〜3)のすべてが成立しても、シフト時燃料カットは実施されないため、シフト操作に依らない、誤ったシフト時燃料カットの実施を回避することができるようになる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車載内燃機関の制御装置において、前記シフト時燃料カット実施手段は、そのときの手動変速機のシフト位置に応じて前記判定値Cを可変設定することをその要旨としている。
【0018】
クラッチの開放に伴う機関回転速度の上昇度合は、その時点の手動変速機のシフト位置によって変化する。例えば、手動変速機がギア比の小さいシフト位置にあるときには、クラッチ接続状態での内燃機関の負荷が大きく、クラッチの開放に伴い機関回転速度はより大きく上昇する。その点、上記構成では、そのときの手動変速機のシフト位置に応じてシフト時燃料カットの実施に係る機関回転速度の判定値Cが変更されるため、的確なシフト時燃料カットの可否判定を行うことができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車載内燃機関の制御装置において、前記シフト時燃料カット実施手段は、シフト操作が可能な操作量の下限値以上のクラッチ操作がなされたことをもってクラッチ操作有りと判定することをその要旨としている。
【0020】
上記のように本発明では、クラッチ操作の大きさ、すなわちクラッチペダルの踏み込み量ではなく、クラッチ操作の継続時間によりシフト操作の判定を行っており、それにより、シフト操作のためのクラッチ操作と偶発的なクラッチペダルへの足載せとが峻別されている。そのため、偶発的なクラッチペダルへの足載せを峻別するため、クラッチ操作有りの判定点をあまり深く設定する必要はなく、むしろそうした判定点を浅くすることで、より速やかにシフト時燃料カットを開始することができるようになる。その点、上記構成では、シフト操作が可能な操作量の下限値以上のクラッチ操作をもってクラッチ操作有りと判定しており、より正確且つ速やかなシフト時燃料カットの実施が可能となっている。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車載内燃機関の制御装置において、前記シフト時燃料カット実施手段は、前記クラッチ操作の継続時間に関する条件が不成立であっても、アクセル操作に依らない機関回転速度の吹き上がりが確認されたときには、前記シフト時燃料カットを実施することをその要旨としている。
【0022】
上記のように本発明では、クラッチ操作の継続時間からシフト操作の判定を行うようにしている。もっとも、クラッチ操作の継続時間に関する条件が不成立であっても、実際に機関回転速度の吹き上がりが発生してしまったのであれば、これを無視する訳にはいかなくなる。その点、上記構成では、クラッチ操作の継続時間に関する条件が不成立であっても、アクセル操作に依らない機関回転速度の吹き上がりが発生すれば、シフト時燃料カットが実施されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の車載内燃機関の制御装置を具体化した一実施の形態を、図1〜図4を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る制御装置の適用される車載内燃機関の搭載された車両の駆動系及びその制御系の構成を模式的に示したものである。同図に示すように、車載された内燃機関(ENG)10は、運転者のクラッチ操作(クラッチペダル18の踏み込み)に応じて開放されるクラッチ11を介して手動変速機(T/M)12に接続されている。また手動変速機12は、プロペラシャフト13、ディファレンシャル14、車軸15を通じて駆動輪16に駆動連結されている。これにより、クラッチ11の接続時には、内燃機関10の出力回転は、手動変速機12の現状のシフト位置に応じた変速比にて変速された上で、駆動輪16に伝達されるようになっている。
【0024】
こうした駆動系を備える車両には、内燃機関10の制御を司る電子制御ユニット(ECU)17が搭載されてもいる。電子制御ユニット17は、機関制御に係る各種の演算処理を実施する中央演算処理装置(CPU)、機関制御用のプログラムやデータの記憶された読込専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時的に記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、外部との信号の送受に係る入出力ポート(I/O)を備えて構成されている。
【0025】
こうした電子制御ユニット17の入力ポートには、クラッチペダル18の操作量を検出するための2つのスイッチ、すなわちアッパスイッチ19及びロアスイッチ20が接続されている。アッパスイッチ19は、クラッチペダル18の踏み込み量が、シフト操作を許容する程度にクラッチ11が開放されるときの量以上となったときにオンとなるように設置されている。またロアスイッチ20は、クラッチペダル18の踏み込み量が、クラッチ11が完全に開放されるときの量以上となったときにオンとなるように設置されている。また電子制御ユニット17の入力ポートには、アクセルオフ時、すなわちアクセルペダル21の踏み込み量が「0」となったときにオンとなるアイドルスイッチ22が接続されてもいる。更に電子制御ユニット17の入力ポートには、機関出力軸の回転位相(クランク角)を検出するクランク角センサ23や手動変速機12のシフト位置を検出するシフト位置センサ24など、内燃機関10や車両の運転状況を検出する各種のセンサが接続されている。そして電子制御ユニット17は、これらのスイッチ、センサからの信号に基づき、例えば燃料噴射の実行態様を指令する燃料噴射指令信号などの指令信号を内燃機関10に出力して、機関制御を実施している。
【0026】
さて本実施の形態では、電子制御ユニット17は、内燃機関10がトルクを発生せずとも車両走行を維持可能な車両減速時等に、内燃機関10での燃料噴射を一時的に停止する燃料カットを実施している。また電子制御ユニット17は、そうした燃料カットの一形態として、手動変速機12のシフト操作に際してのクラッチ11の開放による機関負荷の急低下に起因する機関回転速度の吹き上がりを防止するためのシフト時燃料カットを実施するようにもしている。以下、本実施の形態でのシフト時燃料カットに係る制御の詳細を説明する。
【0027】
上述したように、こうしたシフト時燃料カットを適切に行うには、シフト操作を正確且つ速やかに判定することが必要となる。そのため、本実施の形態では、次の条件1)〜3)のすべての成立をもってシフト操作有りとの判定を行うようにしている。
1)アクセルオフの継続時間が規定値A以上であること。
2)クラッチ操作の継続時間が規定値B以上であること。
3)上記1)の成立時における機関回転速度の上昇率が規定の判定値C以上であること。
【0028】
上記条件2)では、クラッチ操作がある程度継続して行なわれているか否かが判定される。なおここでは、クラッチ操作有りを、上記アッパスイッチ19がオンとなったこをもって判定するようにしている。すなわち、ここでは、シフト操作が可能な操作量の下限値以上のクラッチ操作がなされたことをもってクラッチ操作有りを判定するようにしている。
【0029】
ここでアッパスイッチ19は、クラッチペダル18の踏み込みが比較的浅い段階からオンとなるため、運転者がシフト操作を意図したのではなく、偶発的にクラッチペダル18にその足が載ってしまっただけでもオンとなることがある。そこでここでは、継続時間が規定値B以上であることをもって、検知されたクラッチ操作が、偶発的なクラッチペダルへの足載せではなく、シフト操作のための有効な操作であることを確認するようにしている。そのため、上記規定値Bには、クラッチペダルの有効操作時間、すなわち偶発的なクラッチペダルへの足載せではないと判断するのに十分なクラッチ操作の時間がその値として設定されている。
【0030】
また上記条件3)では、上記条件1)の成立時、すなわちアクセルオフの継続時間が規定値A以上となったときの機関回転速度の上昇率がある程度よりも大きいか否かが判定される。こうした判定条件は、以下の理由で設定されている。
【0031】
シフト時燃料カットは、機関回転速度の吹き上がりの前兆の確認をもって直ちに実施することが望ましい。そのため、アクセルオフ後の機関回転速度の上昇率を見て、アクセル操作に依らない機関回転速度の上昇の有無を確認することが必要となる。ただし、アクセルペダル21に連動して内燃機関10の吸気通路を開閉するスロットルからシリンダまでの吸気流動の応答遅れにより、シリンダに流入する空気量は、アクセルオフ後も直ちには低下せず、アクセルオフ後もしばらくは、機関回転速度の上昇が続くことがある。ここでアクセルオフの直後の機関回転速度の上昇率を見て、機関回転速度の吹き上がりの前兆を確認しようとすると、クラッチ11の開放による機関回転速度の上昇とそうした吸気の応答遅れによる機関回転速度の上昇とを峻別するため、シフト操作有りとの判定に係る機関回転速度上昇率の判定値をある程度に大きくせざるを得なくなる。そしてそうした場合には、シフト操作の判定が遅れ、機関回転速度の吹き上がりを十分に抑制することができなくなる虞がある。
【0032】
そこでここでは、アクセルオフの直後ではなく、アクセルオフからある程度に時間が経過した時点での機関回転速度の上昇率を見てシフト操作の判定を行うようにしている。すなわち、アクセルオフ後、それによるシリンダ流入空気量の低下が実際に生じるようになってからの機関回転速度の上昇率を見てシフト操作の判定を行うようにしている。そのため、アクセルオフによるシリンダ流入空気量の低下が実際に生じてからの機関回転速度の上昇率を見て、シフト操作の判定を行うことが可能となり、クラッチの開放による機関回転速度の上昇と吸気の応答遅れによる機関回転速度の上昇と正確且つ滞りなく峻別することができるようになっている。なお、上記規定値Aには、アクセル操作からその操作に応じたシリンダ流入空気量の変化が実際に生じるまでの時間がその値として設定されている。
【0033】
なおクラッチ11の開放に伴う機関回転速度の上昇度合は、その時点の手動変速機12のシフト位置によって変化する。例えば、手動変速機12がギア比の小さいシフト位置にあるときには、クラッチ11の接続状態での内燃機関10の負荷がより大きく、クラッチ11の開放に伴い機関回転速度はより大きく上昇する。そこで本実施の形態では、そのときの手動変速機12のシフト位置に応じて上記条件3)における機関回転速度上昇率の判定値Cを可変とするように、具体的には、手動変速機12がギア比の小さいシフト位置にあるほど、判定値Cの値を大きくするように設定している。なおこの判定値Cの値は、電子制御ユニット17のROMに予め記憶された、手動変速機12のシフト位置と判定値Cの値との対応関係を示した判定値演算用のマップ(第1マップ)を用いて求められるようになっている。
【0034】
ところで、アルセルオフ後、ある程度の時間が経過すれば、シリンダ流入空気量が十分に低下して、クラッチが開放されても機関回転速度の吹き上がりは殆んど生じなくなる。すなわち、そのような状況では、シフト時燃料カットの実施はもはや不要となる。また運転者が、シフト操作を意図することなく、単にクラッチペダルに軽く足を置いているだけであることがある。こうした状況では、クラッチ操作が一応なされているとはいえ、シフト操作には繋がらず、こうした場合にも燃料カットを実施すれば、不用意に機関回転速度が低下して運転者に違和を感じさせることになる。
【0035】
そこで本実施の形態では、上記条件1)〜3)のすべての成立以前に、以下の条件4)、5)のいずれかが成立したときには、その後に上記条件1)〜3)が成立しても、シフト時燃料カットの実施は取り止めるようにしている。なお下記条件4)における規定値Dには、クラッチ開放に伴う機関回転速度の吹き上がりが生じない程度までシリンダ流入空気量が低下されるのに必要なアクセルオフの継続時間がその値として設定されている。また下記条件5)における規定値Eには、シフト操作のためのクラッチ操作としては長過ぎると判断される時間がその値として設定されている。
4)アクセルオフの継続時間が上記規定値Aよりも大きい規定値D以上となったとき。
5)クラッチ操作の継続時間が上記規定値Bよりも大きい規定値E以上となったとき。
【0036】
このように本実施の形態では、アクセルオフの継続時間、クラッチ操作の継続時間、及びアクセルオフ後、ある程度の時間が経過した時点での機関回転速度の上昇率に基づいてシフト操作判定を行うようにしている。ただし、たとえ上記判定条件では、シフト操作無しと判定されていたとしても、現実に機関回転速度の吹き上がりが発生しているのであれば、シフト時燃料カットを実施すべきである。そこで本実施の形態では、上記条件1)〜5)によっては、シフト操作無しと判定されるときであっても、下記条件6)及び7)が共に成立したときには、シフト操作有りと判定してシフト時燃料カットを実施させるようにしている。
6)アクセルオフの継続時間が規定値A以上、且つ規定値D未満であること。すなわち、クラッチ11の開放による機関回転速度の吹き上がりが発生し得る状況にあること。
7)機関回転速度の上昇率が規定の判定値Fを越えていること。すなわち、クラッチ11の開放による機関回転速度の吹き上がりの発生を予見するに足る、顕著な機関回転速度の上昇が生じていること。
【0037】
なおここでは、上記条件7)における判定値Fも、上記条件3)における判定値Cと同様に、そのときの手動変速機12のシフト位置に応じて可変設定するようにしている。ただし、ここでの判定値Fは、同じシフト位置における上記判定値Cよりも大きい値に設定される。なお、こうした判定値Fの値は、電子制御ユニット17のROMに予め記憶された、手動変速機12のシフト位置と判定値Fの値との対応関係を示した判定値演算用のマップ(第2マップ)を用いて求められるようになっている。
【0038】
図2は、こうした本実施の形態の制御態様の一例を示している。同図のタイムチャートは、シフト操作時における機関回転速度、アッパスイッチ、アクセル操作量、アイドルスイッチ及び燃料カットの指示の推移を示している。同図の時刻t1には、運転者がシフト操作のためのクラッチペダル18の踏み込みを行い、アッパスイッチ(アッパSW)19がオン(ON)とされている。またその後の時刻t2には、アクセルペダル21が踏み離され、アイドルスイッチ(アイドルSW)22がオンとされている。そして、アッパスイッチ19のオンの継続時間P1が上記規定値B以上となり、且つアイドルスイッチ22のオンの継続時間P2が上記規定値A以上となった時刻t3には、そのときの機関回転速度の上昇率が確認され、その値が上記判定値C以上であるか否かが確認される。ここでは、このときの機関回転速度の上昇率は、判定値C以上であったため、これにより上記条件1)〜3)のすべてが成立することとなり、この時点でシフト操作有りと判定される。そのため、この時刻t3より燃料カット指示がオンとなり、シフト時燃料カットが開始される。その後、燃料カットは、機関回転速度が燃料カット復帰回転速度を下回ったり、アクセルペダル21が踏み込まれたりして燃料カットの実行条件が不成立となるまで継続される。なお上記判定態様により、シフト操作が正確且つ速やかに判定されるため、シフト操作時のクラッチ11の開放に伴う機関回転速度の吹き上がりは、好適に回避されるようになる。
【0039】
図3は、こうした本実施の形態でのシフト操作判定を行うべく実行されるシフト操作判定ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。本ルーチンの処理は、内燃機関10の運転中、電子制御ユニット17により周期的に実行されるものとなっている。
【0040】
さて本ルーチンが開始されると、電子制御ユニット17はまず、ステップS10において、アクセルオフ(アイドルスイッチ22 オン)の継続時間が上記規定値A以上、且つ上記規定値D未満であるか否かを確認する。ここでアクセルオフの継続時間が上記範囲(A〜D)内になければ(S10:NO)、電子制御ユニット17はステップS80においてシフト操作無しと判定して今回の本ルーチンの処理を終了する。
【0041】
一方、アクセルオフの継続時間が上記範囲(A〜D)内にあれば、電子制御ユニット17は、続くステップS20において、クラッチ操作(アッパスイッチ19 オン)の継続時間が上記規定値B以上、且つ上記規定値E未満であるか否かを確認する。ここでクラッチ操作の継続時間が上記範囲(B〜E)内にあれば(S20:YES)、電子制御ユニット17は、ステップS30において、上記第1マップを用いてそのときの手動変速機12のシフト位置に基づき判定値Cを算出し、ステップS40にて、そのときの機関回転速度の上昇率がその算出した判定値C以上であるか否かを確認する。そして電子制御ユニット17は、機関回転速度の上昇率が判定値C以上であれば(S40:YES)、ステップS70でシフト操作有りと判定し、そうでなければ(S40:NO)、ステップS80でシフト操作無しと判定して、今回の本ルーチンの処理を終了する。
【0042】
なお、ステップS20において、クラッチ操作の継続時間が上記範囲(B〜E)内になければ(S20:NO)、電子制御ユニット17は、ステップS50において上記第2マップを用いてそのときの手動変速機12のシフト位置に基づき判定値Fを算出し、ステップS60にて、そのときの機関回転速度の上昇率がその算出した判定値F以上であるか否かを確認する。そして電子制御ユニット17は、そのときの機関回転速度の上昇率が判定値F以上であれば(S60:YES)、すなわち機関回転速度の吹き上がりが実際に発生しているのであれば、ステップS70でシフト操作有りと判定し、そうでなければ(S60:NO)、ステップS80でシフト操作無しと判定して、今回の本ルーチンの処理を終了する。
【0043】
図4は、本実施の形態において燃料カットの開始の可否を判定すべく実行される燃料カット開始判定ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。本ルーチンは、アクセルオフであること、燃料カット可能車速以上であることなどといった燃料カットの実行条件が満されている期間に、電子制御ユニット17により周期的に実行されるものとなっている。
【0044】
本ルーチンが開始されると、電子制御ユニット17はまず、ステップS100において、機関回転速度が規定の燃料カット実施回転速度以上であるか否かを確認する。ここで電子制御ユニット17は、機関回転速度が規定の燃料カット実施回転速度未満であれば(S100:NO)、今回の本ルーチンの処理をそのまま終了する。
【0045】
そして機関回転速度が規定の燃料カット実施回転速度以上であれば(S100:YES)、電子制御ユニット17はステップS110において、上述のシフト操作判定ルーチンにてシフト操作有りとの判定がなされているか否かを確認する。ここでシフト操作有りとの判定がなされていれば(S110:YES)、電子制御ユニット17はその時点で直ちに燃料カットを開始する(S120)。
【0046】
一方、シフト操作有りとの判定がなされていないのであれば(S110:NO)、電子制御ユニット17は、アクセルオフの継続時間が規定値G以上となり(S130:YES)、且つ機関トルクが十分に低下する(S140:YES)のを待ってから、燃料カットを開始する(S120)。なおこれは、シフト時ではない、通常時の燃料カットの処理である。
【0047】
なおシフト時燃料カットに限らず、燃料カットは、機関回転速度が規定の燃料カット実施回転速度以上であることを条件に開始され、機関回転速度が燃料カット復帰回転速度未満となると中止されるようになっている。本実施の形態では、シフト時燃料カットに当っては、それら燃料カット実施回転速度、燃料カット復帰回転速度がシフト時以外の通常の燃料カット時よりも低く設定されるようになっており、シフト操作に伴う機関回転速度の吹き上がりをより好適に抑制可能とされている。
【0048】
ちなみに、こうした本実施の形態では、電子制御ユニット17が上記シフト時燃料カット実施手段としての処理を実施するものとなっている。
以上説明した本実施の形態の車載内燃機関の制御装置によれば、次の効果を奏することができる。
【0049】
(1)本実施の形態では、電子制御ユニット17は、1)アクセルオフの継続時間が規定値A以上であること、2)クラッチ操作の継続時間が規定値B以上であること、3)上記1)の成立時における機関回転速度の上昇率が規定の判定値C以上であること、の3つの条件のすべての成立をもってシフト時燃料カットを実施するようにしている。こうした本実施の形態では、シフト操作のためのクラッチ操作と偶発的なクラッチペダル18への足載せとを峻別すること、及びクラッチ11の開放による機関回転速度の上昇と吸気の応答遅れによる機関回転速度の上昇とを峻別することが可能となる。そのため、本実施の形態の車載内燃機関の制御装置によれば、シフト時燃料カットをより正確且つ速やかに行うことができるようになる。
【0050】
(2)本実施の形態では、電子制御ユニット17は、上記条件1)〜3)のすべてが成立する前に、アクセルオフの継続時間が規定値Aよりも大きい規定値D以上となったときには、その後に前記条件1)〜3)のすべてが成立してもシフト時燃料カットの実施を取り止めるようにしている。アルセルオフ後、ある程度の時間が経過すれば、シリンダ流入空気量が十分に低下して、クラッチが開放されても機関回転速度の吹き上がりは殆んど生じなくなる。その点、本実施の形態では、アルセルオフ後、ある程度の時間が経過したときには、上記条件1)〜3)のすべてが成立しても、シフト時燃料カットは実施さないようになっており、不必要なシフト時燃料カットの実施を回避することができるようになる。
【0051】
(3)本実施の形態では、電子制御ユニット17は、上記条件1)〜3)のすべてが成立する前に、クラッチ操作の継続時間が前記規定値Bよりも大きい規定値E以上となったときにも、その後に前記条件1)〜3)のすべてが成立してもシフト時燃料カットの実施を取り止めるようにしている。上記条件2)が成立しても、上記条件1)、3)がその後、しばらく成立しないときには、運転者にはシフト操作の意図はなく、単にクラッチペダルに軽く足を置いているだけであることがある。その点、本実施の形態では、そうした状況では、たとえ上記条件1)〜3)のすべてが成立しても、シフト時燃料カットは実施されないため、シフト操作に依らない、誤ったシフト時燃料カットの実施を回避することができるようになる。
【0052】
(4)本実施の形態では、電子制御ユニット17は、そのときの手動変速機12のシフト位置に応じて、上記条件3)における判定値Cを可変設定するようにしている。クラッチ11の開放に伴う機関回転速度の上昇度合は、その時点の手動変速機12のシフト位置によって変化する。例えば、手動変速機12がギア比の小さいシフト位置にあるときには、クラッチ接続状態での内燃機関10の負荷が大きく、クラッチの開放に伴い機関回転速度はより大きく上昇する。その点、本実施の形態では、そのときの手動変速機12のシフト位置に応じてシフト時燃料カットの実施に係る機関回転速度の判定値Cが変更されるため、的確なシフト時燃料カットの可否判定を行うことができる。
【0053】
(5)本実施の形態では、電子制御ユニット17は、アッパスイッチ19がオンとなることで、すなわちシフト操作が可能な操作量の下限値以上のクラッチ操作がなされたことをもってクラッチ操作有りと判定するようにしている。上記のように本実施の形態では、クラッチ操作の大きさ、すなわちクラッチペダル18の踏み込み量ではなく、クラッチ操作の継続時間によりシフト操作の判定を行っており、それにより、シフト操作のためのクラッチ操作と偶発的なクラッチペダル18への足載せとを峻別している。そのため、偶発的なクラッチペダル18への足載せを峻別するため、クラッチ操作有りの判定点をあまり深く設定する必要はなく、むしろそうした判定点を浅くすることで、より速やかにシフト時燃料カットを開始することができるようになる。その点、本実施の形態では、アッパスイッチ19がオンによりクラッチ操作有りと判定しており、より正確且つ速やかなシフト時燃料カットの実施が可能となっている。
【0054】
(6)本実施の形態では、電子制御ユニット17は、クラッチ操作の継続時間に関する条件が不成立であっても、アクセル操作に依らない機関回転速度の吹き上がりが確認されたときには、シフト時燃料カットを実施するようにしている。クラッチ操作の継続時間に関する条件が不成立であっても、実際に機関回転速度の吹き上がりが発生してしまったのであれば、これを無視する訳にはいかなくなる。その点、本実施の形態では、クラッチ操作の継続時間に関する条件が不成立であっても、アクセル操作に依らない機関回転速度の吹き上がりが発生すれば、シフト時燃料カットを実施可能となっている。
【0055】
(7)本実施の形態では、シフト時燃料カットに当っては、燃料カット実施回転速度、燃料カット復帰回転速度がシフト時以外の通常の燃料カット時よりも低く設定されるようになっている。そのため、シフト操作に伴う機関回転速度の吹き上がりをより好適に抑制することができるようになっている。
【0056】
なお上記実施の形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態では、上記条件3)における判定値Cを手動変速機12のシフト位置に応じて可変設定するようにしていたが、車速や機関回転速度などを考慮してその設定を行うようにしても良い。またシフト操作に伴う機関回転速度の吹き上がりの前兆を十分確認できるのであれば、判定値Cを定数としても良い。なお、これは上記条件7)における判定値Fについても同様である。
【0057】
・上記実施の形態では、クラッチ操作の継続時間に関する条件が不成立であっても、アクセル操作に依らない機関回転速度の吹き上がりが確認されたときには、シフト時燃料カットを実施するようにしていた。もっとも、クラッチ操作の継続時間に関する条件の不成立時における機関回転速度の吹き上がり発生の蓋然性が十分無視し得るのであれば、そうした処置は割愛しても良い。
【0058】
・上記実施の形態では、アッパスイッチ19のオンによりクラッチ操作有りと判定するようにしていた。ただし、シフト操作判定の正確さが特に優先される場合などには、ロアスイッチ20のオンによりクラッチ操作有りと判定するようにしても良い。また車両によっては、クラッチペダル18に、クラッチ11が完全に開放されるときの踏み込み量にてオンとなるの単一のスイッチ(インヒビタスイッチ)のみが設けられるものもあり、そうした車両では、そうしたインヒビタスイッチのオンをもってクラッチ操作有りと判定するようにしても良い。またクラッチペダル18の踏み込み量を検出するセンサが設置されている場合には、そのセンサの検出する踏み込み量が適度な値以上となったことをもって、クラッチ操作有りとの判定を行うようにしても良い。
【0059】
・上記実施の形態では、クラッチ操作の継続時間が余りに長いときには、上記条件1)〜3)のすべてが成立してもシフト時燃料カットの実施を取り止めるようにしていた。そしてこれにより、クラッチペダル18への単なる足載せだけでシフト時燃料カットが実施されることを回避するようにしていた。もっとも、ロアスイッチ20やインヒビタスイッチのオンをもってクラッチ操作有りと判定する場合などには、確実にクラッチペダル18が踏み込まれたときにクラッチ操作有りと判定する場合には、単なる足載せをクラッチ操作と誤認する虞はそもそもないため、こうした処置を省略するようにしても良い。
【0060】
・上記実施の形態では、アクセルオフの継続時間がある程度以上に長いときには、上記条件1)〜3)のすべてが成立してもシフト時燃料カットの実施を取り止めるようにしていた。そしてこれにより、シリンダ流入空気量が十分低減されて、機関回転速度の吹き上がりがもはや生じなくなったときには、シフト時燃料カットを実施しないようにしていた。もっとも、シリンダ流入空気量が低減されても機関回転速度の吹き上がりの可能性を無視できないときや、燃料消費量の削減を特に優先する場合などには、こうした処置を割愛するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の車載内燃機関の制御装置を具体化した一実施形態についてその適用対象となる車両の駆動系及び制御系の構成を模式的に示す略図。
【図2】同実施形態のシフト操作時の制御態様の一例を示すタイムチャート。
【図3】同実施形態に採用されるシフト操作判定ルーチンの処理手順を示すフローチャート。
【図4】同実施形態に採用される燃料カット開始判定ルーチンの処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0062】
10…内燃機関、11…クラッチ、12…手動変速機、13…プロペラシャフト、14…ディファレンシャル、15…車軸、16…駆動輪、17…電子制御ユニット(シフト時燃料カット実施手段)、18…クラッチペダル、19…アッパスイッチ、20…ロアスイッチ、21…アクセルペダル、22…アイドルスイッチ、23…クランク角センサ、24…シフト位置センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者のクラッチ操作に応じて開放されるクラッチを介して手動変速機に接続される車載内燃機関の制御装置であって、
1)アクセルオフの継続時間が規定値A以上であること、
2)クラッチ操作の継続時間が規定値B以上であること、
3)上記1)の成立時における機関回転速度の上昇率が規定の判定値C以上であること、
の3つの条件のすべての成立をもってシフト時燃料カットを実施するシフト時燃料カット実施手段を備える
ことを特徴とする車載内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記シフト時燃料カット実施手段は、前記条件1)〜3)のすべてが成立する前に、前記アクセルオフの継続時間が前記規定値Aよりも大きい規定値D以上となったときには、その後に前記条件1)〜3)のすべてが成立してもシフト時燃料カットの実施を取り止める
ことを特徴とする請求項1に記載の車載内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記シフト時燃料カット実施手段は、前記条件1)〜3)のすべてが成立する前に、前記クラッチ操作の継続時間が前記規定値Bよりも大きい規定値E以上となったときには、その後に前記条件1)〜3)のすべてが成立してもシフト時燃料カットの実施を取り止める
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車載内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記シフト時燃料カット実施手段は、そのときの手動変速機のシフト位置に応じて前記判定値Cを可変設定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車載内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記シフト時燃料カット実施手段は、シフト操作が可能な操作量の下限値以上のクラッチ操作がなされたことをもってクラッチ操作有りと判定する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車載内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記シフト時燃料カット実施手段は、前記クラッチ操作の継続時間に関する条件が不成立であっても、アクセル操作に依らない機関回転速度の吹き上がりが確認されたときには、前記シフト時燃料カットを実施する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車載内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−19097(P2010−19097A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178195(P2008−178195)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】