説明

車載用の送受信装置

【課題】送受信アンテナからの送信信号が受信アンテナが受信する受信信号に回り込んだ場合に、この回り込んだ信号をキャンセルできる車載用の送受信装置を提供する。
【解決手段】送信アンテナと、受信アンテナとを備えた車載用の送受信装置において、送信アンテナに接続された送信用信号線と、受信アンテナに接続された受信用信号線に接続された合波回路と、送信アンテナと合波回路との間に備えた第1カプラと、受信アンテナと合波回路との間に備えた第2カプラと、第1カプラと第2カプラとを接続する伝送線とを備え、第1カプラから伝送線を通して第2カプラに送信信号である第1信号を送信し、受信アンテナが受信する受信信号は送信アンテナから受信アンテナに回り込んで受信される送信信号からなる第2信号を含み、第2カプラは、第2信号と振幅を同じにすると共に第1信号と第2信号の位相差を180度とする第1信号を受信信号に合成して、受信信号から第2信号をキャンセルすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用の送受信装置に関し、詳しくは、アンテナ間の干渉により送信アンテナから受信アンテナに回り込んだ信号をキャンセルするものである。
【背景技術】
【0002】
近時、カーナビゲーションやETC、携帯電話などの普及に伴い、自動車に搭載される無線アンテナの数が増加する傾向にある。
従来、これらの無線アンテナは、図12に示すようにそれぞれ個別に一対一で無線機と接続して車体に搭載されている。
例えば、カーナビゲーション用のGPSアンテナ1Aは車体ルーフに設置して同軸ケーブル2Aで車内に設置されたカーナビゲーション3Aと接続され、携帯電話用アンテナ1Bは車体ルーフに設置して同軸ケーブル2Bでインスツルメンツパネル内に配置した無線機3Bと接続されている。
車体ルーフに取り付けられる各アンテナ1A,1Bには、車体に設けた開口を通してコネクタ4を取り付け同軸ケーブルを接続されている。
【0003】
しかし、前記接続方法では、各無線アンテナと受信機および送信機をそれぞれ接続するケーブルや配線に用いられるコネクタは、アンテナの数だけ必要となる。無線アンテナが増加すると、ケーブルやコネクタが数多く必要となりコストを押し上げると共に、アンテナの搭載スペースやケーブルの配索スペースが不足する。
【0004】
そこで、特許文献1(特開平10−41719号公報)では、コネクタやケーブルの削減のために、複数のアンテナからの受信信号を合波器によって多重化した後に、各受信機に伝送する構成が開示されている。具体的には、図13に示すように、GPS用のアンテナ5Aと電波ビーコン用のアンテナ5Bを設け、取付基板4上に各アンテナ5A,5Bの給電線6を接続する伝送路7を設けている。このとき、受信機側と接続されるパターン8と伝送路7との交点が合波器9となり、各アンテナ5A、5Bの信号を合成して一本のパターン8により受信機に送信している。
【0005】
【特許文献1】特開平10−41719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のように複数のアンテナが搭載された場合、アンテナ間に干渉が起こる。即ち、一方のアンテナが受信用アンテナ、他方のアンテナが送信用アンテナあるいは送受信用アンテナである場合、送信信号が受信用アンテナに回りこんで受信され、受信アンテナで受信する受信信号にノイズとして送信信号が加わりやすい。
特に、一方のアンテナが携帯電話用の送受信アンテナであり、他方のアンテナが衛星ラジオ用の受信アンテナの場合、携帯電話用の送受信アンテナから送信する送信信号の振幅は衛星ラジオ用の受信アンテナが受信するラジオ信号の振幅に比べて非常に大きい。
衛星ラジオ用の受信アンテナにはラジオ信号増幅用のアンプが接続されているが、携帯電話用の送受信アンテナから衛星ラジオ用の受信アンテナに回り込んだ信号が該アンプに入力されると、アンプは飽和しやすい。その結果、衛星ラジオ用の受信アンテナは受信したラジオ信号を増幅できず、受信性能が悪化し、乗員は衛星ラジオを視聴しにくい問題が生じる。
【0007】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、送信アンテナ(あるいは送受信アンテナ)から送信信号が受信アンテナに信号が回り込んだ場合に、回り込み信号をキャンセルし、受信アンテナの受信性能の悪化を防止することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、
送受信アンテナと、受信アンテナと、前記送受信アンテナへ送信信号を送信する無線機と、前記無線機の送信信号とは異なる周波数の受信信号を前記受信アンテナから受信する受信機とを接続する車載用の送受信装置において、
前記送受信アンテナに接続された伝送線に設けた第1カプラと、
前記受信アンテナに接続させた伝送線に設けた第2カプラと、
前記第1カプラと第2カプラとを接続する伝送線とを備え、
前記第2カプラで、前記第1カプラから前記伝送線を通して伝送される前記送信信号からなる第1信号と、前記送受信アンテナから受信アンテナに回り込んで受信される第2信号を含む前記受信アンテナからの受信信号とを合成し、かつ、前記伝送線の長さ及び前記第1カプラ及び前記第2カプラの結合量を調整して第1信号は第2信号と振幅が同一で且つ第2信号との位相差が180度となるように設定しており、該合成で前記受信信号から第2信号をキャンセルする構成としていることを特徴とする車載用の送受信装置を提供している。
【0009】
前記第1カプラは前記送受信アンテナに近接して設けることが好ましく、同様に第2カプラは前記受信アンテナに近接して設けることが好ましい。
【0010】
前記受信アンテナが受信対象としている信号は、例えば、衛星ラジオ、GPS、AMラジオまたはFMラジオ用のアンテナであり、送受信アンテナは携帯電話用のアンテナである。なお、送受信アンテナが送信専用アンテナの場合も本発明を適用できる。
【0011】
前記受信アンテナが衛星ラジオ用のアンテナで、ラジオ信号を受信アンテナが受信している場合に、前記携帯電話用のアンテナから送信信号を送信すると、受信アンテナはアンテナ間の干渉により送信アンテナから回り込んだ第2信号を受信する場合がある。携帯電話アンテナの出力信号は衛星ラジオアンテナ等の入力信号に比べて振幅が非常に大きいため、携帯電話アンテナから衛星ラジオ用の受信アンテナに回り込む第2信号の影響が大きくなる。即ち、受信アンテナの受信信号は、本来、受信対象としている信号(ラジオ信号)の他に携帯電話で送信する第2信号を含み、受信信号においては第2信号はノイズとなる。
【0012】
本発明では、前記のように、携帯電話用等の送受信アンテナが送信する送信信号の一部を第1信号として第1カプラで取り出し、伝送線により衛星ラジオ用等の受信アンテナに接続して設けられた第2カプラに送信している。
第2カプラで第1信号と受信アンテナの受信信号を合成し、合成により第1信号の振幅と第2信号の振幅とは同一とし、かつ、第1信号を第2信号と位相差を180度とすることにより、受信アンテナに含まれる第2信号をキャンセルして、受信信号のノイズを除去している。即ち、第1信号を衛星ラジオ用の受信アンテナの受信信号に合成することで第2信号をキャンセルし、衛星ラジオをノイズを除去した状態で受信することができる。
【0013】
このように、本発明では、第1信号を第2信号と同振幅で且つ逆位相としておくことで、第1信号を受信アンテナの受信信号と合成すると第2信号をキャンセルすることができる。受信信号は本来受信アンテナが受信対象としている信号(ラジオ信号)のみとすることができ、受信アンテナの受信性能の悪化を防ぐことができる。
【0014】
前記第1カプラと第2カプラとを接続する伝送線の長さを変えて前記位相差を180度に設定することが好ましい。
第1カプラで取り出された第1信号は、伝送線を介して第2カプラに到達するまでに所定の時間を要する。該時間が第1信号と第2信号の位相差になるため、伝送線の長さを調整することで、位相差を180度と設定することができる。
【0015】
前記伝送線、送信用信号線、受信用信号線が基板上にパターンとして配線されている場合には、伝送線の幅を変えることで前記第1信号の振幅を調整することが好ましい。
伝送線の幅が太くなるほど伝送線の断面積は大きくなり、第1信号の振幅は大きくなる。このため、伝送線の幅を変えることで、第1信号の振幅を調整することができる。
【0016】
前記伝送線は、送信用信号線および受信用信号線と比較して十分に幅が細いパターンが好適に用いられる。
送信用信号線および受信用信号線に対して伝送線の幅を太くすると、第1信号を取り出す伝送線に多くの電流が流れ、送信用信号線および受信用信号線を通る送信信号の振幅が小さくなり、送受信アンテナから出力される送信信号の振幅が小さくなるからである。
【0017】
前記第1カプラおよび/または前記第2カプラは、前記送信用信号線および/または前記受信用信号線と、前記伝送線との分岐接続部で構成していることが好ましい。
また、前記第1カプラおよび/または前記第2カプラは、前記送信用信号線および/または前記受信用信号線と、前記伝送線を並行に近接配置して電磁結合したものであってもよい。
また、第1カプラは送信用信号線と伝送線との分岐接続部、第2カプラは受信用信号線と、前記伝送線を並行に近接配置して電磁結合したものであってもよく、その逆であってもよい。
第1カプラ、第2カプラがいずれの構成であっても、第1カプラにおいては送信用信号線の送信信号から伝送線に第1信号を取り出すことができる。また、第2カプラにおいては伝送線から受信用信号線に第1信号を合成することができる。
【0018】
また、前記第1カプラおよび/または前記第2カプラが、前記送信用信号線および/または前記受信用信号線と、前記伝送線を並行に近接配置して電磁結合したものである場合には、前記伝送線と前記送信用信号線および/または受信用信号線との距離を変えることで前記第1信号の振幅を調整してもよい。
電磁結合においては、伝送線と送信用信号線および受信用信号線との距離により電磁結合の強さが変わり、距離が長くなるほど電磁結合が弱まり第1信号の振幅は小さくなる。
このため、伝送線と送信用信号線および受信用信号線との距離を変えることで、第1信号の振幅を調整することができる。
【0019】
本発明の送受信装置において、前記送受信アンテナに接続された送受信用信号線と、前記受信アンテナに接続された受信用信号線とに接続された合波回路とを備えている場合、
前記第1カプラは前記送信アンテナと合波回路との間に設け、前記第2カプラは前記受信アンテナと合波回路との間に設けていることが好ましい。
なお、本発明は、前記合波回路が無い場合にも、送受信アンテナと受信アンテナとの干渉で、送受信アンテナからの送信信号が受信アンテナの受信信号に回り込む場合に好適に適用できる。
【発明の効果】
【0020】
前述したように、本発明の送受信装置によれば、アンテナ間の干渉により送受信アンテナから出力する送信信号が受信アンテナに回り込んだノイズである第2信号を、送受信アンテナの送信信号を用いてキャンセルしているので、受信アンテナの受信信号から第2信号を除くことができ、受信アンテナから受信する本来の受信信号からノイズを除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図6は本発明の第1実施形態を示す。
図1は車両に搭載される本発明の送受信装置10のブロック図、図2は要部拡大図である。送受信用の携帯電話用アンテナ11Aは送信用信号線12Aにより合波回路13に接続し、受信用の衛星ラジオアンテナ11Bはアンプ14を介して受信用信号線12Bにより前記合波回路13に接続している。
前記携帯電話用アンテナ11Aと衛星ラジオアンテナ11Bとは、後述するように、1つのアンテナユニット内に設けている。
【0022】
衛星ラジオアンテナ11Bはラジオ信号Srを受信するものであるが、携帯電話アンテナ11Aから送信される送信信号SAが、衛星ラジオアンテナ11Bに回り込で受信する場合がある。この回り込む信号を、以下に第2信号S2と称す。
このように、受信信号はラジオ信号Srと第2信号S2の合成信号の受信信号SBとなる場合がある。
携帯電話アンテナ11Aの送信信号SAの出力は約30dB、衛星ラジオアンテナ11Bのラジオ信号Srの出力は−100dBであり、衛星ラジオアンテナ11Bのラジオ信号Srに比べて携帯電話アンテナ11Aの送信信号SAの出力は大きい。
【0023】
携帯電話アンテナ11Aと合波回路13の間には第1カプラ15Aを設けている。また、衛星ラジオアンテナ11Bとアンプ14の間には第2カプラ15Bを設けている。
前記第1カプラ15Aと第2カプラ15Bとを伝送線16で接続している。
【0024】
図3に示すように、第1カプラ15Aは送信用信号線12Aと伝送線16との分岐接続部である。第1カプラ15Aにおいて送信信号SAの一部を第1信号S1として取り出している。
また、第2カプラ15Bについても第1カプラ15Aと同様に受信用信号線12Bと伝送線16との分岐接続部としており、第2カプラ15Bでは伝送線16を介して第1カプラ15Aから送信された第1信号S1を、衛星ラジオアンテナ11Bが受信した受信信号SBに合成している。
【0025】
合波回路13は携帯電話アンテナ11A、衛星ラジオアンテナ11Bの信号を合成して1つの信号としており、一本のアンテナコード17を介して分波回路18と接続している。 分波回路18は内部にフィルタ18a、18bを備えており、フィルタ18a、18bは無線機である携帯電話ユニット19Aと受信機である衛星ラジオ受信機19Bとに接続している。
【0026】
前記分波回路18は合成信号を、携帯電話ユニット19Aおよび衛星ラジオ受信機19Bが受信する信号に分波している。フィルタ18a、18bは、携帯電話ユニット19Aおよび衛星ラジオ受信機19Bが受信する信号の周波数に応じて、ローパスフィルタまたはハイパスフィルタとしている。
【0027】
図4は本発明の送受信装置10を自動車20に搭載した図であり、図5はアンテナユニット21の断面図である。
アンテナユニット21を自動車20のルーフ20aに設け、アンテナユニット21のカバー26には棒状の前記携帯電話アンテナ11Aを突設しており、カバー26と底面27に囲まれた内部に基板22を設けている。
基板22上には平板状の衛星ラジオアンテナ11B、合波回路13を設けると共に伝送線16、送信用信号線12A、受信用信号線12Bをパターン配線し、パターンを図3のように分岐接続して第1カプラ15A、第2カプラ15Bを設けている。
【0028】
前記のように、携帯電話アンテナ11Aと衛星ラジオアンテナ11Bはアンテナユニット21に固定しており、携帯電話アンテナ11Aと衛星ラジオアンテナ11Bの位置関係は変わらないため、携帯電話ユニット19Aからの送信信号SAの発信時に、携帯電話アンテナ11Aから衛星ラジオアンテナ11Bに回り込む第2信号S2の振幅は常に一定である。
【0029】
アンテナユニット21はアンテナコード17を車両内に配索して送受信機ユニット23と接続している。送受信機ユニット23は分波回路18、衛星ラジオ受信機19B、携帯電話ユニット19Aを備え、自動車20内のインスツルメンツパネル20bに設けている。
【0030】
携帯電話ユニット19Aはナビゲーション等に接続されており、自動車20の運転者が必要な情報を要求すると、ナビゲーション等は携帯電話ユニット19Aにデータの送信を指示し、携帯電話ユニット19Aは送信信号SAを出力している。
【0031】
次に、本発明の送受信装置10の第2信号S2のキャンセル方法について説明する。
図6(A)〜(D)は携帯電話ユニット19Aの送信信号SA、第1信号S1、第2信号S2の振幅と位相の関係の説明図である。
衛星ラジオアンテナ11Bが衛星ラジオのラジオ信号Srを受信している場合に、携帯電話24から電話をかけると、携帯電話ユニット19Aから携帯電話アンテナ11Aに図6(A)に示す送信信号SAが送信される。
【0032】
衛星ラジオアンテナ11Bはラジオ信号Srを受信すると同時に、衛星ラジオアンテナ11Bと携帯電話アンテナ11Aの間の干渉により携帯電話ユニット19Aの送信信号SAの一部が衛星ラジオアンテナ11Bに回り込んだ第2信号S2も受信する。
第2信号S2は図6(B)に示すように、図6(A)の送信信号SAとは若干位相にずれが生じる。
衛星ラジオアンテナ11Bと携帯電話アンテナ11Aの位置関係は変わらないため、衛星ラジオアンテナ11Bに回り込む第2信号S2の振幅はほぼ一定に定まる。そこで、あらかじめ第2信号S2の振幅と位相を測定しておく。
【0033】
第1カプラ15Aでは、図6(A)の携帯電話ユニット19Aが送信した送信信号SAを分岐し、図6(C)に示すように第1信号S1として取り出す。第1信号S1と送信信号SAは位相が同じである。
第1信号S1の振幅は、第1信号S1の伝送線16のパターンの幅Wを変えることで調整し、第2信号S2の振幅と同じとする。図6(A)に示す第1信号S1は図6(B)に示す第2信号S2と振幅が同じである。
【0034】
第1カプラ15Aで取り出した第1信号S1は、伝送線16を介して第2カプラ15Bに送信される。
ここで、伝送線16の長さを変えることで、第2カプラ15Bに到達した第1信号S1の位相をあらかじめ測定した第2信号S2の位相と位相差が180度(逆位相)になるよう、伝送線16の長さを調整している。
図6(B)の第2信号S2の位相に対して、図6(D)の第2カプラ15Bでの第1信号S1は位相差が180度であり、かつ振幅は同じである。
【0035】
第2カプラ15Bでは、伝送線16を介して送信された該第1信号S1を衛星ラジオアンテナ11Bが受信した受信信号SBに合成する。
前述したように衛星ラジオアンテナ11Bが受信した受信信号SBにはラジオ信号Srの他に第2信号S2が含まれており、第2カプラ15Bでの第1信号S1は第2信号S2と同じ振幅であり逆位相である。このため、受信信号SBに第1信号S1を合成することで、第2信号S2はキャンセルされ、受信信号SBはラジオ信号Srのみが残る。アンプ14にはラジオ信号Srが入力されるので、アンプ14が飽和せずにラジオを受信することができる。
【0036】
なお、伝送線16および送信用信号線12A、受信用信号線12Bは基板22上にパターンとして構成するのではなく、丸電線としてもよい。この場合、第1信号S1の振幅は伝送線16の断面積の大きさにより定まる。
【0037】
図7は本発明の第2実施形態を示す。
第1カプラ15Aおよび第2カプラ15Bの構成は第1実施形態と相違させている。
第1カプラ15Aは送信用信号線12Aと伝送線16とを並行に距離r1をあけて配置して、電磁結合している。第2カプラ15Bも同様の構成とし、受信用信号線12Bと伝送線16を並行に距離r2をあけて配置して電磁結合している。
【0038】
第1信号S1の振幅の調整は伝送線16と送信用信号線12Aとの距離r1または伝送線16と受信用信号線12Bとの距離r2を変えることで行っている。
距離r1を大きくすると第1カプラ15Aで取り出す第1信号S1の振幅が小さくなり、距離r2を大きくすると第2カプラ15Bで合成する第1信号S1の振幅が小さくなる。
第2カプラ15Bで衛星ラジオアンテナ11Bの受信信号SBに合成される第1信号S1の振幅が、受信信号SBに含まれる第2信号S2の振幅と同じになるように、距離r1、r2を調整している。
【0039】
また、距離r1、r2だけでなく、伝送線の幅Wを変えることによって第1信号S1の振幅を調整してもよい。
なお、他の構成および作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
図8に本発明の第3実施形態を示す。
第1カプラ15Aは送信用信号線12Aと伝送線16を分岐接続し、第2カプラ15Bは受信用信号線12Bと伝送線16を並行に距離r2で配置して電磁結合している。
受信信号SBと合成される第1信号S1の振幅が第2信号S2の振幅と同じになるように、伝送線16の幅Wと伝送線16と受信用信号線12Bとの距離r2とを調整している。 なお、他の構成および作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
図9および図10に本発明の第4実施形態を示す。
携帯電話アンテナ11A、衛星ラジオアンテナ11Bに加えて、ETCアンテナ11Cをアンプ14Cを介して受信用信号線12Cにより合波回路13に接続している。また、分波回路18にはETCユニット19Cを接続している。
ETCアンテナ11CはETC信号Seを受信する他に、携帯電話アンテナ11Aから送信される送信信号SAであってETCアンテナ11Cに回り込む第4信号S4を受信する。
【0042】
携帯電話アンテナ11Aと合波回路13の間には第1カプラ15Aに加えて第3カプラ15Cを設けている。ETCアンテナ11Cとアンプ14Cの間には第4カプラ15Dを設けている。また、第3カプラ15Cと第4カプラ15Dは伝送線16Bで接続している。 第3カプラ15Cおよび第4カプラ15Dの構成は、送信用信号線12Aまたは受信用信号線12Cと伝送線16Bが分岐接続する構成としている。
【0043】
第3カプラ15Cで送信用信号線12Aから第3信号S3を取り出し、伝送線16Bの幅Wを調整して、第3信号S3の振幅を携帯電話アンテナ11AからETCアンテナ11Cに回り込んだ第4信号S4の振幅と同じとしている。また、位相差が180度となるように伝送線16Bの長さを調整している。
第4カプラ15Dで第3信号S3をETCアンテナ11Cの受信信号SCに合成することで、第4信号S4をキャンセルし、ETC信号Seのみをアンプ14に入力している。
【0044】
なお、第3カプラ15Cおよび第4カプラ15Dは送信用信号線12Aまたは受信用信号線12Cと伝送線16Bが並行に近接配置して電磁結合する構成でもよい。
伝送線16Bと送信用信号線12Aまたは受信用信号線12Cとの距離r1、r2または伝送線16Bの幅Wを調整して、第3信号S3の振幅を第4信号S4の振幅と同じとすることができる。
また、ETCアンテナ11CおよびETCユニット19Cに代えて、GPSアンテナおよびGPSユニットを接続してもよい。
なお、他の構成および作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
図11に本発明の第5実施形態を示す。
携帯電話アンテナ11A、衛星ラジオアンテナ11Bは、合波回路および分波回路を接続せず、携帯電話アンテナ11Aは送信用信号線12Aにより携帯電話ユニット19Aに直接に接続し、第1カプラ15Aを送信用信号線12A上に設けている。受信アンテナである衛星ラジオアンテナ11Bはアンプ14を介して受信用信号線12Bにより衛星ラジオ受信機19Bに直接に接続している。
【0046】
前記のように合成回路および分波回路を設けていない構成であっても、衛星ラジオアンテナ11Bが受信する受信信号に携帯電話アンテナ11Bから出力する送信信号が回り込んで第2信号となり、受信信号SBとなる場合がある。
この場合も、受信信号SBに第1信号S1を合成することで、第2信号S2はキャンセルされ、受信信号SBはラジオ信号Srのみが残り、アンプ14が飽和せずにラジオを受信することができる。
なお、他の構成および作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の送受信装置の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】ブロック図の要部拡大図である。
【図3】第1カプラと第2カプラの説明図である。
【図4】送受信装置を自動車に搭載した図である。
【図5】アンテナユニットの断面図である。
【図6】(A)は送信信号、(B)は第2信号、(C)は第1カプラでの第1信号、(D)は第2カプラでの第1信号の振幅と位相の関係の説明図である。
【図7】第2実施形態を示す第1カプラと第2カプラの説明図である。
【図8】第3実施形態を示す第1カプラと第2カプラの説明図である。
【図9】第4実施形態を示すブロック図である。
【図10】第4実施形態のブロック図の要部拡大図である。
【図11】第5実施形態を示すブロック図である。
【図12】従来例を示す図である。
【図13】他の従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10 送受信装置
11A 携帯電話アンテナ
11B 衛星ラジオアンテナ
12A 送信用信号線
12B 受信用信号線
13 合波回路
15A 第1カプラ
15B 第2カプラ
16 伝送線
19A 携帯電話ユニット
19B 衛星ラジオ受信機
21 アンテナユニット
23 送受信機ユニット
SA 送信信号
SB 受信信号
Sr ラジオ信号
S1 第1信号
S2 第2信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送受信アンテナと、受信アンテナと、前記送受信アンテナへ送信信号を送信する無線機と、前記無線機の送信信号とは異なる周波数の受信信号を前記受信アンテナから受信する受信機とを接続する車載用の送受信装置において、
前記送受信アンテナに接続された伝送線に設けた第1カプラと、
前記受信アンテナに接続させた伝送線に設けた第2カプラと、
前記第1カプラと第2カプラとを接続する伝送線とを備え、
前記第2カプラで、前記第1カプラから前記伝送線を通して伝送される前記送信信号からなる第1信号と、前記送受信アンテナから受信アンテナに回り込んで受信される第2信号を含む前記受信アンテナからの受信信号とを合成し、かつ、前記伝送線の長さ及び前記第1カプラ及び前記第2カプラの結合量を調整して第1信号は第2信号と振幅が同一で且つ第2信号との位相差が180度となるように設定しており、該合成で前記受信信号から第2信号をキャンセルする構成としていることを特徴とする車載用の送受信装置。
【請求項2】
前記伝送線の長さを変えて前記位相差を180度に設定している請求項1に記載の車載用の送受信装置。
【請求項3】
前記伝送線の幅を変えることで前記第1信号の振幅を調整している請求項1または請求項2に記載の車載用の送受信装置。
【請求項4】
前記伝送線と前記送信用信号線および/または受信用信号線との距離を変えることで前記第1信号の振幅を調整している請求項1または請求項2に記載の車載用の送受信装置。
【請求項5】
前記第1カプラおよび/または前記第2カプラは、前記送信用信号線および/または前記受信用信号線と、前記伝送線との分岐接続部である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車載用の送受信装置。
【請求項6】
前記第1カプラおよび/または前記第2カプラは、前記送信用信号線および/または前記受信用信号線と、前記伝送線を並行に近接配置して電磁結合したものである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車載用の送受信装置。
【請求項7】
前記送受信アンテナに接続された送受信用信号線と、前記受信アンテナに接続された受信用信号線とに接続された合波回路とを備え、
前記第1カプラは前記送信アンテナと合波回路との間に設け、前記第2カプラは前記受信アンテナと合波回路との間に設けている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の車載用の送受信装置。
【請求項8】
前記受信アンテナは衛星ラジオ、GPS、AMラジオまたはFMラジオ用のアンテナであり、前記送受信アンテナは携帯電話用のアンテナである請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の車載用の送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−72649(P2008−72649A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251643(P2006−251643)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】