車輌用灯具
【課題】 取付部に対するシート状レンズの取付作業における作業性の向上を図る。
【解決手段】 灯具外筐4の内部におけるアウターカバー3と光源6の間にシート状レンズ9を配置し、灯具外筐又はその内部にシート状レンズが取り付けられ係合部11a、11a、11aを有する取付部11を設け、シート状レンズは基材となる透光性シート9aの少なくとも一部に光を所定の方向へ屈折するプリズム部9b、9b、・・・が形成されて成り、シート状レンズにプリズム部が形成されたレンズ部12と該レンズ部の外周縁に連続し取付部に取り付けられる被取付部13とを設け、レンズ部と被取付部とを一体に形成し、シート状レンズの被取付部に取付部の係合部に係合されるレンズ側係合部13a、13a、13aを設けた。
【解決手段】 灯具外筐4の内部におけるアウターカバー3と光源6の間にシート状レンズ9を配置し、灯具外筐又はその内部にシート状レンズが取り付けられ係合部11a、11a、11aを有する取付部11を設け、シート状レンズは基材となる透光性シート9aの少なくとも一部に光を所定の方向へ屈折するプリズム部9b、9b、・・・が形成されて成り、シート状レンズにプリズム部が形成されたレンズ部12と該レンズ部の外周縁に連続し取付部に取り付けられる被取付部13とを設け、レンズ部と被取付部とを一体に形成し、シート状レンズの被取付部に取付部の係合部に係合されるレンズ側係合部13a、13a、13aを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用灯具に関する。詳しくは、レンズ部と被取付部が一体に形成されたシート状レンズにレンズ側係合部を設けて取付部に対するシート状レンズの取付作業における作業性の向上を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用灯具には、例えば、アウターカバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に、光源やインナーレンズが配置されたタイプがある。
【0003】
このような構成とされた車輌用灯具には、インナーレンズとしてシート状レンズが用いられたものがある(例えば、特許文献1参照)。シート状レンズは基材となる透光性シートの一部に光を所定の方向へ屈折する複数のプリズム部が形成されて成り、基材は、例えば、厚みが1mm以下の透明なアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂によって形成され、プリズム部は、例えば、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂によって形成されている。
【0004】
特許文献1に記載された車輌用灯具にあっては、アウターカバーの内面にシート状レンズが貼り付けられている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−7988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、特許文献1に記載された従来の車輌用灯具は、アウターカバーの内面にシート状レンズが貼り付けられることにより構成されているため、シート状レンズの取付作業としてアウターカバーに対する貼付作業を必要とする。
【0007】
ところが、シート状レンズの貼付作業は、アウターカバーとの良好な密着性を確保するために、シート状レンズのアウターカバーに対する位置ずれやシート状レンズに皺が生じないようにする必要があり、面倒な作業であり作業時間も長くなってしまう。
【0008】
また、貼付作業後のシート状レンズの剥がれやアウターカバーとシート状レンズの間に気泡が発生するおそれもある。
【0009】
そこで、本発明車輌用灯具は、上記した問題点を克服し、取付部に対するシート状レンズの取付作業における作業性の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
車輌用灯具は、上記した課題を解決するために、灯具外筐の内部におけるアウターカバーと光源の間にシート状レンズが配置され、前記灯具外筐又はその内部に前記シート状レンズが取り付けられ係合部を有する取付部が設けられ、前記シート状レンズは基材となる透光性シートの少なくとも一部に光を所定の方向へ屈折するプリズム部が形成されて成り、前記シート状レンズに前記プリズム部が形成されたレンズ部と該レンズ部の外周縁に連続し前記取付部に取り付けられる被取付部とを設け、前記レンズ部と前記被取付部とを一体に形成し、前記シート状レンズの被取付部に前記取付部の係合部に係合されるレンズ側係合部を設けたものである。
【0011】
従って、車輌用灯具にあっては、取付部の係合部に被取付部のレンズ側係合部が係合されてシート状レンズが取付部に取り付けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明車輌用灯具は、ランプハウジングとアウターカバーによって構成された灯具外筐の内部に光源が配置された車輌用灯具であって、前記灯具外筐の内部におけるアウターカバーと光源の間にシート状レンズが配置され、前記灯具外筐又はその内部に前記シート状レンズが取り付けられ係合部を有する取付部が設けられ、前記シート状レンズは基材となる透光性シートの少なくとも一部に光を所定の方向へ屈折するプリズム部が形成されて成り、前記シート状レンズに前記プリズム部が形成されたレンズ部と該レンズ部の外周縁に連続し前記取付部に取り付けられる被取付部とを設け、前記レンズ部と前記被取付部とを一体に形成し、前記シート状レンズの被取付部に前記取付部の係合部に係合されるレンズ側係合部を設けたことを特徴とする。
【0013】
従って、シート状レンズの取付部に対する取付作業が容易であり、作業性の向上を図ることができる。
【0014】
請求項2に記載した発明にあっては、前記取付部の係合部と前記被取付部のレンズ側係合部として、一方を係合突部に形成し他方を係合孔に形成し、前記係合突部を前記係合孔の開口縁に係合して前記取付部に前記シート状レンズを取り付けるようにしたので、取付部及びシート状レンズを簡素な構造とした上で確実にシート状レンズを取付部に取り付けることができる。
【0015】
請求項3に記載した発明にあっては、前記灯具外筐の内部に前記シート状レンズとレンズ部材によって構成されたインナーレンズを配置し、前記シート状レンズを前記レンズ部材に一方の側から被覆した状態で配置したので、必要に応じて精度の高い所望の配光パターンを形成することができる。
【0016】
請求項4に記載した発明にあっては、前記レンズ部材を第1の色に着色し、前記シート状レンズのプリズム部を第2の色に着色又は無色透明としたので、光源の点灯時及び非点灯時における被視認性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明車輌用灯具を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0018】
車輌用灯具1は、図1に示すように、前方に開口された凹部を有するランプハウジング2と該ランプハウジング2の開口面を閉塞するアウターカバー3とを備えている。ランプハウジング2とアウターカバー3によって灯具外筐4が構成され、該灯具外筐4の内部空間が灯室4aとして形成されている。
【0019】
ランプハウジング2には光源5が取り付けられ、該光源5は灯室4aに配置されている。
【0020】
灯室4aには光源5から出射された光を反射するリフレクター6が配置されている。
【0021】
灯室4aにはインナーレンズ7が配置されている。インナーレンズ7はリフレクター6の外周部に取り付けられている。
【0022】
インナーレンズ7はレンズ部材8と該レンズ部材8に前面側から取り付けられたシート状レンズ9とによって構成されている。
【0023】
レンズ部材8は、例えば、透光性を有するプラスチック又はガラスによって形成され(図1及び図2参照)、レンズ部10と該レンズ部10の外周部から後方へ突出された取付部11とから成る。レンズ部材8は第1の色、例えば、赤色、アンバー色、青色、緑色、桃色等に着色されている。
【0024】
レンズ部10は、例えば、前方へ凸の形状に形成されている。
【0025】
取付部11は環状に形成され、周方向に離隔して位置する係合孔11a、11a、11aを有している。係合孔11a、11a、11aはシート状レンズ9と係合する係合部として機能する。
【0026】
シート状レンズ9は基材となる透光性シート9aの一部に光を所定の方向へ屈折するプリズム部9b、9b、・・・が形成されて成る。
【0027】
透光性シート9aは、例えば、厚みが1mm以下の透明なアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂によって形成されている。
【0028】
プリズム部9b、9b、・・・は、例えば、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂によって形成されている。熱硬化性樹脂としては、例えば、水酸基を有するポリオール、ポリエステル等とイソシアネートの組み合わせや、カルボキシル基を有するアクリル、ポリエステル等とアジリディン、カルボジイミドの組み合わせ等が用いられる。光硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型のアクリル系樹脂やウレタン系樹脂が用いられる。プリズム部9b、9b、・・・は、断面が三角形状や半円形状等の所定の形状を有する複数のステップによって形成され、例えば、フレネルレンズやシリンドリカルレンズとして機能し、入射された光を所定の方向へ所定の角度屈折する。プリズム部9b、9b、・・・は、レンズ部材8の色とは異なる第2の色に着色又は無色透明とされている。
【0029】
シート状レンズ9は、例えば、真空成形によって形成されている。真空成形は、板状の樹脂材料を加熱して軟化させ、軟化させた樹脂を金型で保持した状態で金型と樹脂との間の空気を吸引することにより真空に近い状態を形成し、金型に樹脂を密着させて所望の形状を作り出す成形方法である。
【0030】
シート状レンズ9はレンズ部12と該レンズ部12の外周部から後方へ突出された被取付部13とが一体に形成されて成る。被取付部13はレンズ部12に対して屈曲されており、レンズ部12に対して屈曲された被取付部13を形成することにより、シート状レンズ9の剛性が高くされている。
【0031】
レンズ部12は、例えば、レンズ部材8のレンズ部10に対応する前方へ凸の形状に形成されている。レンズ部12の前面にはプリズム部9b、9b、・・・が形成されている。尚、プリズム部9b、9b、・・・はレンズ部12の前面に形成されている構成に限られることはなく、例えば、レンズ部12の後面又は前後両面に形成されている構成であってもよい。
【0032】
プリズム部9b、9b、・・・は、例えば、左右に延びるように帯状に形成されている。尚、プリズム部9b、9b、・・・の構成は左右に延びるように帯状に形成されている構成に限られることはなく、例えば、上下や斜めに延びるように帯状に形成されている構成、規則的又は不規則に点在されている構成であってもよい。
【0033】
被取付部13は環状に形成されている。被取付部13には、周方向に離隔して位置する係合突部13a、13a、13aが設けられている。係合突部13a、13a、13aはレンズ部材8に係合するレンズ側係合部として機能し、被取付部13の後端部から中心方向(内側)に突出されている。
【0034】
シート状レンズ9は被取付部13が弾性変形可能とされ、係合突部13a、13a、13aが外方へ変位するように弾性変形されてそれぞれ外側からレンズ部材8の取付部11に形成された係合孔11a、11a、11aに挿入される。シート状レンズ9は、被取付部13が弾性復帰されて係合突部13a、13a、13aがそれぞれ係合孔11a、11a、11aの開口縁に係合されることにより、レンズ部材8に取り付けられる。
【0035】
シート状レンズ9がレンズ部材8に取り付けられることによりインナーレンズ7が構成され(図3参照)、該インナーレンズ7が構成された状態においては、シート状レンズ9のレンズ部12がレンズ部材8のレンズ部10に前側から密着され、シート状レンズ9の被取付部13がレンズ部材8の取付部12に外側から密着される。
【0036】
尚、上記には、シート状レンズ9に係合突部13a、13a、13aが設けられレンズ部材8に係合孔11a、11a、11aが形成され、係合突部13a、13a、13aがそれぞれ係合孔11a、11a、11aの開口縁に係合されてシート状レンズ9がレンズ部材8に取り付けられる例を示した。逆に、図4に示すように、シート状レンズ9に係合孔13b、13b、13bが形成されレンズ部材8に係合突部11b、11b、11bが設けられ、係合突部11b、11b、11bが係合孔13b、13b、13bの開口縁にそれぞれ係合されてシート状レンズ9がレンズ部材8に取り付けられるようにしてもよい。
【0037】
以上に記載した通り、車輌用灯具1にあっては、シート状レンズ9の係合突部13a、13a、13aがそれぞれレンズ部材8の係合孔11a、11a、11aの開口縁に係合され、又は、シート状レンズ9の係合孔13b、13b、13bにそれぞれレンズ部材8の係合突部11b、11b、11bが係合されてシート状レンズ9がレンズ部材8に取り付けられる。
【0038】
従って、シート状レンズ9の取付作業が容易であり、作業性の向上を図ることができる。
【0039】
また、シート状レンズ9をレンズ部材8に係合することにより取り付けシート状レンズ9をレンズ部材8に貼付により取り付ける必要がないため、貼付作業後のシート状レンズ9の剥がれや貼付によるシート状レンズ9とレンズ部材8の間の気泡の発生と言うおそれもない。
【0040】
さらに、係合突部13a、13a、13a又は係合突部11b、11b、11bがそれぞれ係合孔11a、11a、11a又は係合孔13b、13b、13bに係合されてシート状レンズ9がレンズ部材8に取り付けられるため、レンズ部材8及びシート状レンズ9を簡素な構造とした上で確実にシート状レンズ9をレンズ部材8に取り付けることができる。
【0041】
さらにまた、レンズ部材8にシート状レンズ9が被覆された状態でインナーレンズ7が構成されるため、必要に応じて精度の高い所望の配光パターンを形成することができる。
【0042】
加えて、上記したように、レンズ部材8を第1の色に着色し、シート状レンズ9のプリズム部9b、9b、・・・を第2の色に着色又は無色透明とすることにより、光源5の点灯時及び非点灯時における被視認性の向上を図ることができる。例えば、点灯時においてはレンズ部材8の第1の色又はシート状レンズ9の第2の色がアウターカバー3を透過されて外部から視認され、非点灯時においては外光がプリズム部9b、9b、・・・で反射されて第2の色が浮き出るように視認され得る。また、例えば、プリズム部9b、9b、・・・を白色にすることにより、レンズ部材8の第1の色上に白色の色が模様として浮き出るように視認され得る。
【0043】
尚、プリズム部9b、9b、・・・の色は、全て同一の色にしてもよく、また、2色以上の異なる色にすることも可能である。例えば、シート状レンズ9の両面にプリズム部9b、9b、・・・を形成した場合に、表面に形成されたプリズム部9b、9b、・・・の色と裏面に形成されたプリズム部9b、9b、・・・の色を異なる色にすることが可能である。
【0044】
また、プリズム部9b、9b、・・・は光を屈折する機能を有するため、車輌の正面に対して所定の角度、例えば、85°側方の位置から視認可能となるような屈折率を有するプリズム部9b、9b、・・・を形成してもよい。
【0045】
さらに、図5に示すように、シート状レンズ9のプリズム部9b、9b、・・・を所定の形状に形成することにより、光源5から出射された光が平行光となるようにすることも可能である。
【0046】
上記には、レンズ部材8とシート状レンズ9によってインナーレンズ7が構成された例を示したが、例えば、レンズ部材8が設けられずシート状レンズ9のみがインナーレンズ7として用いられるようにしてもよい(図6参照)。
【0047】
このようにシート状レンズ9のみがインナーレンズ7として用いられる場合には、灯具外筐4の一部が取付部14として設けられ、該取付部14に係合部として機能する係合溝14a、14a、14aが形成されるようにしてもよい。シート状レンズ9は係合突部13a、13a、13aがそれぞれ係合溝14a、14a、14aに係合され、灯具外筐4の取付部14に取り付けられる。また、灯具外筐4の取付部14に係合突部が設けられ、シート状レンズ9に係合孔が形成され、係合突部が係合孔の開口縁に係合されて灯具外筐4の取付部14にシート状レンズ9が取り付けられるようにしてもよい。
【0048】
また、シート状レンズ9のみがインナーレンズ7として用いられ灯室4aにリフレクター6が配置されている場合においては、図7に示すように、リフレクター6に係合孔11a、11a、11a(又は係合突部)を有する取付部11を設け、被取付部13の係合突部13a、13a、13a(又は係合孔)を係合孔11a、11a、11aにそれぞれ係合することによりシート状レンズ9をリフレクター6に取り付けるようにしてもよい。
【0049】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図2乃至図7と共に本発明車輌用灯具の最良の形態を示すものであり、本図は、車輌用灯具の概略縦断面図である。
【図2】インナーレンズの分解斜視図である。
【図3】インナーレンズの断面図である。
【図4】レンズ部材に係合突部が設けられシート状レンズに係合孔が形成されたインナーレンズの例を示す断面図である。
【図5】光源から出射された光が平行光とされる例を示す概略断面図である。
【図6】シート状レンズのみがインナーレンズとして用いられた例を示す概略断面図である。
【図7】シート状レンズのみがインナーレンズとして用いられた別の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1…車輌用灯具、2…ランプハウジング、3…アウターカバー、4…灯具外筐、6…光源、7…インナーレンズ、8…レンズ部材、9…シート状レンズ、9a…透光性シート、9b…プリズム部、11…取付部、11a…係合孔、12…レンズ部、13…被取付部、13a…係合突部、11b…係合突部、13b…係合孔、14…取付部、14a…係合孔
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用灯具に関する。詳しくは、レンズ部と被取付部が一体に形成されたシート状レンズにレンズ側係合部を設けて取付部に対するシート状レンズの取付作業における作業性の向上を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用灯具には、例えば、アウターカバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に、光源やインナーレンズが配置されたタイプがある。
【0003】
このような構成とされた車輌用灯具には、インナーレンズとしてシート状レンズが用いられたものがある(例えば、特許文献1参照)。シート状レンズは基材となる透光性シートの一部に光を所定の方向へ屈折する複数のプリズム部が形成されて成り、基材は、例えば、厚みが1mm以下の透明なアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂によって形成され、プリズム部は、例えば、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂によって形成されている。
【0004】
特許文献1に記載された車輌用灯具にあっては、アウターカバーの内面にシート状レンズが貼り付けられている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−7988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、特許文献1に記載された従来の車輌用灯具は、アウターカバーの内面にシート状レンズが貼り付けられることにより構成されているため、シート状レンズの取付作業としてアウターカバーに対する貼付作業を必要とする。
【0007】
ところが、シート状レンズの貼付作業は、アウターカバーとの良好な密着性を確保するために、シート状レンズのアウターカバーに対する位置ずれやシート状レンズに皺が生じないようにする必要があり、面倒な作業であり作業時間も長くなってしまう。
【0008】
また、貼付作業後のシート状レンズの剥がれやアウターカバーとシート状レンズの間に気泡が発生するおそれもある。
【0009】
そこで、本発明車輌用灯具は、上記した問題点を克服し、取付部に対するシート状レンズの取付作業における作業性の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
車輌用灯具は、上記した課題を解決するために、灯具外筐の内部におけるアウターカバーと光源の間にシート状レンズが配置され、前記灯具外筐又はその内部に前記シート状レンズが取り付けられ係合部を有する取付部が設けられ、前記シート状レンズは基材となる透光性シートの少なくとも一部に光を所定の方向へ屈折するプリズム部が形成されて成り、前記シート状レンズに前記プリズム部が形成されたレンズ部と該レンズ部の外周縁に連続し前記取付部に取り付けられる被取付部とを設け、前記レンズ部と前記被取付部とを一体に形成し、前記シート状レンズの被取付部に前記取付部の係合部に係合されるレンズ側係合部を設けたものである。
【0011】
従って、車輌用灯具にあっては、取付部の係合部に被取付部のレンズ側係合部が係合されてシート状レンズが取付部に取り付けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明車輌用灯具は、ランプハウジングとアウターカバーによって構成された灯具外筐の内部に光源が配置された車輌用灯具であって、前記灯具外筐の内部におけるアウターカバーと光源の間にシート状レンズが配置され、前記灯具外筐又はその内部に前記シート状レンズが取り付けられ係合部を有する取付部が設けられ、前記シート状レンズは基材となる透光性シートの少なくとも一部に光を所定の方向へ屈折するプリズム部が形成されて成り、前記シート状レンズに前記プリズム部が形成されたレンズ部と該レンズ部の外周縁に連続し前記取付部に取り付けられる被取付部とを設け、前記レンズ部と前記被取付部とを一体に形成し、前記シート状レンズの被取付部に前記取付部の係合部に係合されるレンズ側係合部を設けたことを特徴とする。
【0013】
従って、シート状レンズの取付部に対する取付作業が容易であり、作業性の向上を図ることができる。
【0014】
請求項2に記載した発明にあっては、前記取付部の係合部と前記被取付部のレンズ側係合部として、一方を係合突部に形成し他方を係合孔に形成し、前記係合突部を前記係合孔の開口縁に係合して前記取付部に前記シート状レンズを取り付けるようにしたので、取付部及びシート状レンズを簡素な構造とした上で確実にシート状レンズを取付部に取り付けることができる。
【0015】
請求項3に記載した発明にあっては、前記灯具外筐の内部に前記シート状レンズとレンズ部材によって構成されたインナーレンズを配置し、前記シート状レンズを前記レンズ部材に一方の側から被覆した状態で配置したので、必要に応じて精度の高い所望の配光パターンを形成することができる。
【0016】
請求項4に記載した発明にあっては、前記レンズ部材を第1の色に着色し、前記シート状レンズのプリズム部を第2の色に着色又は無色透明としたので、光源の点灯時及び非点灯時における被視認性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明車輌用灯具を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0018】
車輌用灯具1は、図1に示すように、前方に開口された凹部を有するランプハウジング2と該ランプハウジング2の開口面を閉塞するアウターカバー3とを備えている。ランプハウジング2とアウターカバー3によって灯具外筐4が構成され、該灯具外筐4の内部空間が灯室4aとして形成されている。
【0019】
ランプハウジング2には光源5が取り付けられ、該光源5は灯室4aに配置されている。
【0020】
灯室4aには光源5から出射された光を反射するリフレクター6が配置されている。
【0021】
灯室4aにはインナーレンズ7が配置されている。インナーレンズ7はリフレクター6の外周部に取り付けられている。
【0022】
インナーレンズ7はレンズ部材8と該レンズ部材8に前面側から取り付けられたシート状レンズ9とによって構成されている。
【0023】
レンズ部材8は、例えば、透光性を有するプラスチック又はガラスによって形成され(図1及び図2参照)、レンズ部10と該レンズ部10の外周部から後方へ突出された取付部11とから成る。レンズ部材8は第1の色、例えば、赤色、アンバー色、青色、緑色、桃色等に着色されている。
【0024】
レンズ部10は、例えば、前方へ凸の形状に形成されている。
【0025】
取付部11は環状に形成され、周方向に離隔して位置する係合孔11a、11a、11aを有している。係合孔11a、11a、11aはシート状レンズ9と係合する係合部として機能する。
【0026】
シート状レンズ9は基材となる透光性シート9aの一部に光を所定の方向へ屈折するプリズム部9b、9b、・・・が形成されて成る。
【0027】
透光性シート9aは、例えば、厚みが1mm以下の透明なアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂によって形成されている。
【0028】
プリズム部9b、9b、・・・は、例えば、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂によって形成されている。熱硬化性樹脂としては、例えば、水酸基を有するポリオール、ポリエステル等とイソシアネートの組み合わせや、カルボキシル基を有するアクリル、ポリエステル等とアジリディン、カルボジイミドの組み合わせ等が用いられる。光硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型のアクリル系樹脂やウレタン系樹脂が用いられる。プリズム部9b、9b、・・・は、断面が三角形状や半円形状等の所定の形状を有する複数のステップによって形成され、例えば、フレネルレンズやシリンドリカルレンズとして機能し、入射された光を所定の方向へ所定の角度屈折する。プリズム部9b、9b、・・・は、レンズ部材8の色とは異なる第2の色に着色又は無色透明とされている。
【0029】
シート状レンズ9は、例えば、真空成形によって形成されている。真空成形は、板状の樹脂材料を加熱して軟化させ、軟化させた樹脂を金型で保持した状態で金型と樹脂との間の空気を吸引することにより真空に近い状態を形成し、金型に樹脂を密着させて所望の形状を作り出す成形方法である。
【0030】
シート状レンズ9はレンズ部12と該レンズ部12の外周部から後方へ突出された被取付部13とが一体に形成されて成る。被取付部13はレンズ部12に対して屈曲されており、レンズ部12に対して屈曲された被取付部13を形成することにより、シート状レンズ9の剛性が高くされている。
【0031】
レンズ部12は、例えば、レンズ部材8のレンズ部10に対応する前方へ凸の形状に形成されている。レンズ部12の前面にはプリズム部9b、9b、・・・が形成されている。尚、プリズム部9b、9b、・・・はレンズ部12の前面に形成されている構成に限られることはなく、例えば、レンズ部12の後面又は前後両面に形成されている構成であってもよい。
【0032】
プリズム部9b、9b、・・・は、例えば、左右に延びるように帯状に形成されている。尚、プリズム部9b、9b、・・・の構成は左右に延びるように帯状に形成されている構成に限られることはなく、例えば、上下や斜めに延びるように帯状に形成されている構成、規則的又は不規則に点在されている構成であってもよい。
【0033】
被取付部13は環状に形成されている。被取付部13には、周方向に離隔して位置する係合突部13a、13a、13aが設けられている。係合突部13a、13a、13aはレンズ部材8に係合するレンズ側係合部として機能し、被取付部13の後端部から中心方向(内側)に突出されている。
【0034】
シート状レンズ9は被取付部13が弾性変形可能とされ、係合突部13a、13a、13aが外方へ変位するように弾性変形されてそれぞれ外側からレンズ部材8の取付部11に形成された係合孔11a、11a、11aに挿入される。シート状レンズ9は、被取付部13が弾性復帰されて係合突部13a、13a、13aがそれぞれ係合孔11a、11a、11aの開口縁に係合されることにより、レンズ部材8に取り付けられる。
【0035】
シート状レンズ9がレンズ部材8に取り付けられることによりインナーレンズ7が構成され(図3参照)、該インナーレンズ7が構成された状態においては、シート状レンズ9のレンズ部12がレンズ部材8のレンズ部10に前側から密着され、シート状レンズ9の被取付部13がレンズ部材8の取付部12に外側から密着される。
【0036】
尚、上記には、シート状レンズ9に係合突部13a、13a、13aが設けられレンズ部材8に係合孔11a、11a、11aが形成され、係合突部13a、13a、13aがそれぞれ係合孔11a、11a、11aの開口縁に係合されてシート状レンズ9がレンズ部材8に取り付けられる例を示した。逆に、図4に示すように、シート状レンズ9に係合孔13b、13b、13bが形成されレンズ部材8に係合突部11b、11b、11bが設けられ、係合突部11b、11b、11bが係合孔13b、13b、13bの開口縁にそれぞれ係合されてシート状レンズ9がレンズ部材8に取り付けられるようにしてもよい。
【0037】
以上に記載した通り、車輌用灯具1にあっては、シート状レンズ9の係合突部13a、13a、13aがそれぞれレンズ部材8の係合孔11a、11a、11aの開口縁に係合され、又は、シート状レンズ9の係合孔13b、13b、13bにそれぞれレンズ部材8の係合突部11b、11b、11bが係合されてシート状レンズ9がレンズ部材8に取り付けられる。
【0038】
従って、シート状レンズ9の取付作業が容易であり、作業性の向上を図ることができる。
【0039】
また、シート状レンズ9をレンズ部材8に係合することにより取り付けシート状レンズ9をレンズ部材8に貼付により取り付ける必要がないため、貼付作業後のシート状レンズ9の剥がれや貼付によるシート状レンズ9とレンズ部材8の間の気泡の発生と言うおそれもない。
【0040】
さらに、係合突部13a、13a、13a又は係合突部11b、11b、11bがそれぞれ係合孔11a、11a、11a又は係合孔13b、13b、13bに係合されてシート状レンズ9がレンズ部材8に取り付けられるため、レンズ部材8及びシート状レンズ9を簡素な構造とした上で確実にシート状レンズ9をレンズ部材8に取り付けることができる。
【0041】
さらにまた、レンズ部材8にシート状レンズ9が被覆された状態でインナーレンズ7が構成されるため、必要に応じて精度の高い所望の配光パターンを形成することができる。
【0042】
加えて、上記したように、レンズ部材8を第1の色に着色し、シート状レンズ9のプリズム部9b、9b、・・・を第2の色に着色又は無色透明とすることにより、光源5の点灯時及び非点灯時における被視認性の向上を図ることができる。例えば、点灯時においてはレンズ部材8の第1の色又はシート状レンズ9の第2の色がアウターカバー3を透過されて外部から視認され、非点灯時においては外光がプリズム部9b、9b、・・・で反射されて第2の色が浮き出るように視認され得る。また、例えば、プリズム部9b、9b、・・・を白色にすることにより、レンズ部材8の第1の色上に白色の色が模様として浮き出るように視認され得る。
【0043】
尚、プリズム部9b、9b、・・・の色は、全て同一の色にしてもよく、また、2色以上の異なる色にすることも可能である。例えば、シート状レンズ9の両面にプリズム部9b、9b、・・・を形成した場合に、表面に形成されたプリズム部9b、9b、・・・の色と裏面に形成されたプリズム部9b、9b、・・・の色を異なる色にすることが可能である。
【0044】
また、プリズム部9b、9b、・・・は光を屈折する機能を有するため、車輌の正面に対して所定の角度、例えば、85°側方の位置から視認可能となるような屈折率を有するプリズム部9b、9b、・・・を形成してもよい。
【0045】
さらに、図5に示すように、シート状レンズ9のプリズム部9b、9b、・・・を所定の形状に形成することにより、光源5から出射された光が平行光となるようにすることも可能である。
【0046】
上記には、レンズ部材8とシート状レンズ9によってインナーレンズ7が構成された例を示したが、例えば、レンズ部材8が設けられずシート状レンズ9のみがインナーレンズ7として用いられるようにしてもよい(図6参照)。
【0047】
このようにシート状レンズ9のみがインナーレンズ7として用いられる場合には、灯具外筐4の一部が取付部14として設けられ、該取付部14に係合部として機能する係合溝14a、14a、14aが形成されるようにしてもよい。シート状レンズ9は係合突部13a、13a、13aがそれぞれ係合溝14a、14a、14aに係合され、灯具外筐4の取付部14に取り付けられる。また、灯具外筐4の取付部14に係合突部が設けられ、シート状レンズ9に係合孔が形成され、係合突部が係合孔の開口縁に係合されて灯具外筐4の取付部14にシート状レンズ9が取り付けられるようにしてもよい。
【0048】
また、シート状レンズ9のみがインナーレンズ7として用いられ灯室4aにリフレクター6が配置されている場合においては、図7に示すように、リフレクター6に係合孔11a、11a、11a(又は係合突部)を有する取付部11を設け、被取付部13の係合突部13a、13a、13a(又は係合孔)を係合孔11a、11a、11aにそれぞれ係合することによりシート状レンズ9をリフレクター6に取り付けるようにしてもよい。
【0049】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図2乃至図7と共に本発明車輌用灯具の最良の形態を示すものであり、本図は、車輌用灯具の概略縦断面図である。
【図2】インナーレンズの分解斜視図である。
【図3】インナーレンズの断面図である。
【図4】レンズ部材に係合突部が設けられシート状レンズに係合孔が形成されたインナーレンズの例を示す断面図である。
【図5】光源から出射された光が平行光とされる例を示す概略断面図である。
【図6】シート状レンズのみがインナーレンズとして用いられた例を示す概略断面図である。
【図7】シート状レンズのみがインナーレンズとして用いられた別の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1…車輌用灯具、2…ランプハウジング、3…アウターカバー、4…灯具外筐、6…光源、7…インナーレンズ、8…レンズ部材、9…シート状レンズ、9a…透光性シート、9b…プリズム部、11…取付部、11a…係合孔、12…レンズ部、13…被取付部、13a…係合突部、11b…係合突部、13b…係合孔、14…取付部、14a…係合孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプハウジングとアウターカバーによって構成された灯具外筐の内部に光源が配置された車輌用灯具であって、
前記灯具外筐の内部におけるアウターカバーと光源の間にシート状レンズが配置され、
前記灯具外筐又はその内部に前記シート状レンズが取り付けられ係合部を有する取付部が設けられ、
前記シート状レンズは基材となる透光性シートの少なくとも一部に光を所定の方向へ屈折するプリズム部が形成されて成り、
前記シート状レンズに前記プリズム部が形成されたレンズ部と該レンズ部の外周縁に連続し前記取付部に取り付けられる被取付部とを設け、
前記レンズ部と前記被取付部とを一体に形成し、
前記シート状レンズの被取付部に前記取付部の係合部に係合されるレンズ側係合部を設けた
ことを特徴とする車輌用灯具。
【請求項2】
前記取付部の係合部と前記被取付部のレンズ側係合部として、一方を係合突部に形成し他方を係合孔に形成し、
前記係合突部を前記係合孔の開口縁に係合して前記取付部に前記シート状レンズを取り付けるようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用灯具。
【請求項3】
前記灯具外筐の内部に前記シート状レンズとレンズ部材によって構成されたインナーレンズを配置し、
前記シート状レンズを前記レンズ部材に一方の側から被覆した状態で配置した
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌用灯具。
【請求項4】
前記レンズ部材を第1の色に着色し、
前記シート状レンズのプリズム部を第2の色に着色又は無色透明とした
ことを特徴とする請求項3に記載の車輌用灯具。
【請求項1】
ランプハウジングとアウターカバーによって構成された灯具外筐の内部に光源が配置された車輌用灯具であって、
前記灯具外筐の内部におけるアウターカバーと光源の間にシート状レンズが配置され、
前記灯具外筐又はその内部に前記シート状レンズが取り付けられ係合部を有する取付部が設けられ、
前記シート状レンズは基材となる透光性シートの少なくとも一部に光を所定の方向へ屈折するプリズム部が形成されて成り、
前記シート状レンズに前記プリズム部が形成されたレンズ部と該レンズ部の外周縁に連続し前記取付部に取り付けられる被取付部とを設け、
前記レンズ部と前記被取付部とを一体に形成し、
前記シート状レンズの被取付部に前記取付部の係合部に係合されるレンズ側係合部を設けた
ことを特徴とする車輌用灯具。
【請求項2】
前記取付部の係合部と前記被取付部のレンズ側係合部として、一方を係合突部に形成し他方を係合孔に形成し、
前記係合突部を前記係合孔の開口縁に係合して前記取付部に前記シート状レンズを取り付けるようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用灯具。
【請求項3】
前記灯具外筐の内部に前記シート状レンズとレンズ部材によって構成されたインナーレンズを配置し、
前記シート状レンズを前記レンズ部材に一方の側から被覆した状態で配置した
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌用灯具。
【請求項4】
前記レンズ部材を第1の色に着色し、
前記シート状レンズのプリズム部を第2の色に着色又は無色透明とした
ことを特徴とする請求項3に記載の車輌用灯具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2010−33932(P2010−33932A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195996(P2008−195996)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】
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