説明

軟性内視鏡を蒸気再処理する装置および方法

中に空洞を有する軟性内視鏡を再処理するシステム。再処理システムは、内視鏡を消毒および/または滅菌する蒸気、並びに、再処理サイクル時間と内視鏡の熱膨張および熱収縮の効果を低減または均衡させる設計、構成要素、および方法を配備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気の使用を含む、軟性内視鏡などの医療デバイスを清浄化、消毒および/または滅菌する(即ち、再処理する)装置、物品、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
滅菌は、慣用的な滅菌剤に対して最も耐性がある生物である細菌内生胞子を含む生活形が、全く存在しないことを含意する。消毒は、区別して、病原性の生活形が存在しないことを含意するに過ぎない(即ち、細菌内生胞子自体は病原性の生活形ではないが、このような病原体を生成できる)。微生物の除染は、滅菌と消毒の両方に共通している。
【0003】
頑丈な医療器械は、高温で滅菌されることが多い。通常、器械は、高温と高圧を組み合わせて蒸気オートクレーブ内で滅菌される。このような滅菌方法は、更に耐久性のある医療機器に対して非常に有効であるが、接着剤を用いてゴムやプラスチック製の構成要素で形成されている進歩した医療機器は繊細であり、慣用的な蒸気オートクレーブと関連する高温および高圧に全く適していない。また、蒸気オートクレーブは、滅菌される医療デバイスまたは関連する医療デバイスのパッケージへの蒸気の透過度を増大させるため、低圧循環プログラムで作動するように変更されてきた。重力、高圧、またはプレバキュームを使用する蒸気滅菌は、温度の急速な変化が起こり得る環境を作り出す。特に、非常に精度の高い寸法、小さい組立公差、および敏感な光学構成要素で形成され、組立てられることが多い非常に複雑な機器(内視鏡など)は、高温および高圧または低圧を採用する苛酷な滅菌方法で破壊されたり、または、使用寿命が著しく短くなる場合がある。
【0004】
更に、このようなデバイスには、典型的には、微生物が潜み得る多数の外部隙間および内部空洞があり、このため、通常の技術を使用して清浄化し、滅菌するのが困難であるという点で、内視鏡は特に問題である。内視鏡などの敏感な機器の再処理には、即効性であるが穏やかな滅菌方法を採用することが望ましい。空洞を具備する他の医療機器または歯科用機器もまた、敏感な構成要素および材料に損害を与えない有効な再処理システムを採用する清浄化方法および滅菌方法を必要とする。更に、再処理サイクル時間がより短い再処理システムが必要とされている。
【0005】
内視鏡などの敏感な医療機器を滅菌しようとする早期の努力は、限られた程度しか成功せず、慣用的な方法には全て、関連する問題または減損がある。内視鏡などの敏感な医療機器は、蒸気よりも熱的に苛酷でないエチレンオキサイドへの暴露により滅菌されることが多い。内視鏡は、およそ3〜4時間の比較的長時間、エチレンオキサイド含有ガスに暴露されなければならない。その後、エチレンオキサイドを吸収できるプラスチックおよび他の材料からエチレンオキサイドをガス抜きまたは脱離するのに、通常、8〜12時間を要する。エチレンオキサイド滅菌の加圧および減圧サイクルは、内視鏡と通常一体になっているレンズ系、および他の敏感な機器を損傷する場合がある。更に、エチレンオキサイドは比較的高価である。これは、十分な毒性と揮発性を有するため、作業者の安全を確保するのに、通常、広範な予防措置が取られる。可能性のある他の気体状化学滅菌剤には、臭化メチルガス、β−プロピオラクトンガス、およびオゾンガスが挙げられる。
【0006】
内視鏡および熱に敏感で繊細な他の機器の消毒には、通常、液体システムが使用される。液体滅菌剤または消毒剤を使用して消毒を達成すると、通常は迅速で費用効果が高く、医療デバイスに与える損傷が最小限になる。現在使用されている液体化学滅菌剤には、グルタルアルデヒド溶液、オルトフタルアルデヒド溶液、ホルムアルデヒド溶液、過酸化水素溶液、過酸化水素/過酢酸溶液、および過酢酸溶液が挙げられる。
【0007】
通常、技術者が滅菌剤組成物を混合し、消毒される用品を手動で浸漬する。或いは、予め混合された滅菌剤組成物を使用することができ、その中に、消毒される用品を浸漬することができる。浸漬は、技術者が時間設定する。混合、時間設定、および器械の取扱いの際の技術者によるばらつきによって、手動消毒プロセスの保証と再現性の問題が生じる。また、用品をすすいで残留化学物質を除去すると、消毒または滅菌の保証を低減する変数が加わる。一度すすぐと、消毒された内視鏡または他の用品は、空気媒介される微生物によって再汚染されやすい。
【0008】
慣用的な液体システムでは、液体溶液中に内視鏡を完全に浸漬する必要がある。内視鏡などの大きくて嵩張る用品には、大きい浸漬容器およびそれに等しく大きい容積の高価な滅菌剤または消毒溶液が必要である。更に、滅菌剤または界面活性剤が効果的に到達できないポケットが配管内に多数存在するため、滅菌剤または洗浄剤乃至消毒剤に内視鏡を単に浸漬するだけではあまり好ましくない。こうすると、内視鏡内に汚染の可能性を有する領域が残る。
【0009】
B型肝炎および後天性免疫不全症候群などの接触感染性の高い疾患の流行で、全ての医療用具の効果的な滅菌、または、処分が強制的になっている。従って、単に浸漬するだけで内視鏡を滅菌する非効果的な努力は、許容できない。例えば、特許文献1は、滅菌される機器をトレイまたはカセット内に入れ、その後、覆いをして、液体滅菌ユニット内に配置することを必要とする、液体滅菌システムを開示している。ユニット内で、カセットまたはトレイに液体滅菌剤を充填し、すすぎ用滅菌水ですすぎ、すすぎ水を排水する。すすぎ水を排水する時、カセットまたはトレイに滅菌空気を導入する。カセットまたはトレイをユニットから取り出し、機器から覆いを取り、保管または使用するために取り出してプロセスが完了する。この種のプロセスの主な欠点は、滅菌剤およびすすぎ水が機器の内部通路を十分に通流するという保証がないことである。カセットまたはトレイ、およびこのような管状の機器に固有の多数のポケット内に液体滅菌剤を低圧循環させても、機器の内部通路内で十分な滅菌が達成されるという保証は得られない。内視鏡などの機器の外側表面には、典型的には、微生物が潜む小さい隙間または窪みを画定し得る複数のコネクタおよびブランチがある。このため、内視鏡を完全に浸水することに依存する低圧循環液体滅菌システムもまた、外側表面全部の完全な滅菌を保証するのに不十分な場合がある。
【0010】
改善された手法が、オーバーライトナー(Oberleitner)らの特許文献2に報告されている。オーバーライトナーは、空気の力で化学滅菌剤を内視鏡の空洞に導入する再処理システムを報告している。
【0011】
蒸気滅菌は、利用可能な最良の滅菌方法であると広く考えられている。特に、内視鏡などの管路または空洞を有する複雑な医療機器を効果的に再処理および滅菌するため、即効性の滅菌方法と組み合わせて使用できるデバイスを提供する必要がある。好ましくは、デバイスは、必要な全ての再処理工程を組み合わせて、デバイスの再処理を実施できる単一のシステムにすることができ、ヒトの介入は低減されないかまたは低減され、且つ、医療デバイスに対する損害は低減されないかまたは低減する。
【0012】
【特許文献1】米国特許第5091343号明細書
【特許文献2】米国特許第6068815号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態は、外側表面および空洞を有する内視鏡を再処理する装置である。この実施形態は、内視鏡を受容する再処理ベイを中に有する閉鎖容器、および、再処理ベイと流体連通している蒸気供給源を備える。流体噴霧器は、内視鏡の外側表面上に蒸気を噴霧するため、蒸気供給源と流体連通している。流体管路は、蒸気供給源と流体連通しており、蒸気供給源からの蒸気が流体管路を通って内視鏡の空洞に流入できるように構成されている。
【0014】
本発明の別の実施形態は、再処理装置の蒸気再処理ベイに内視鏡を入れることを含む、軟性内視鏡を再処理する方法を含む。内視鏡は、外側表面および空洞を有する。この実施形態は、内視鏡の外側表面に蒸気を適用し、内視鏡の空洞に蒸気を流通させることを更に含む。更に、この実施形態は、再処理方法中、内視鏡の寸法変化を制御することを含む。
【0015】
本発明の別の実施形態は、内視鏡再処理装置と一緒に使用する内視鏡アセンブリを備える。この実施形態は、中に空洞を有する内視鏡を備える。フレームを備え、再処理装置内で処理する間、これに内視鏡を配置してもよい。フレームは、再処理からの再処理流体が空洞に流入できるように、空洞に接続可能なアセンブリコネクタを備える。再処理器コネクタは、フレームを再処理装置に挿入することによって再処理装置の再処理コネクタに接続されるように配置および構成される。
【0016】
本発明の更に別の実施形態は、内視鏡処置後に内視鏡を再処理する方法を含み、これは再処理装置の蒸気再処理ベイに内視鏡を入れることを必要とする。内視鏡は、外側表面および空洞を有する。この実施形態は、内視鏡の外側表面に蒸気を適用し、内視鏡の空洞に蒸気流を通流させることを更に必要とする。更に、この実施形態は、再処理方法中、内視鏡の温度を制御することを含む。この実施形態は、以前、内視鏡処置に使用された内視鏡、または全く使用されていない内視鏡に関して使用できる。
【0017】
本発明は、前述の実施形態の相当数の変形を更に含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、清浄な、消毒、除染または滅菌されたデバイスを得るため、人の介入が最小限で医療デバイスを処理または再処理する装置、構成部品類、方法論、および統合されたシステムを提供する。「再処理」の用語は、以前、内視鏡処置などの処置に使用された医療デバイス、機器、または装置を清浄化、消毒、除染、および/または最終的に滅菌することを包含するものとする。「再処理」は、また、新しい、または一度も使用されていないデバイス、機器または装置が一度しか使用されないものであっても、または繰返し使用されるものであっても、これらの用品で実施される同じまたは類似の工程も包含する。後述される実施形態には、以下に限定されないが、内視鏡E(または、他の医療デバイス若しくは非医療デバイス)をすすぐための液体、加熱用の液体、加熱用のガス、洗浄用の液体洗剤溶液、液体滅菌剤、蒸気滅菌剤、蒸気ガス混合滅菌剤、冷却用の液体、および冷却用のガスのうちの1種類以上の使用が含まれる(または、それらの使用を含むことができる)。換言すれば、一実施形態は、例えば、洗浄用の温水洗剤溶液、より温いすすぎ用の水、滅菌用の高温蒸気、より低温の冷却用の蒸気だけを使用することを含む。或いは、高温蒸気の代わりに、欧州の再処理システムで、より一般的に使用されている、より低温の蒸気とホルムアルデヒドとの混合物を使用することができる。
【0019】
図1に示される本発明の実施形態は、軟性内視鏡デバイスを清浄化、消毒、および/または最終的に滅菌する改善されたシステム、構成部品類、および方法論を提供するものである。しかし、以下に限定されないが、空洞を有する他の種類の医療機器(例えば、カテーテルなど)、または温度衝撃に敏感な医療機器類を含む様々な医療機器も清浄化、消毒、および/または滅菌するように本発明を適合させることは、十分、本発明の概念に入る。
【0020】
ここで、図1〜5を参照すると、本発明の原理による内視鏡再処理システムが示され、全体を10で表示されている。再処理装置またはシステム10の構成要素を配列し、収容し、保護するため、外部ハウジング12または閉鎖容器を設けることができる。ハウジング12の再処理ベイキャビネット14は、少なくとも1つの再処理ベイ16(またはチャンバ)を収容するように構成することができる。再処理ベイキャビネット14に少なくとも1つのキャビネットアクセスドア18を装備することができる。図1〜図2に示される好ましい実施形態は、1つの再処理ベイ16を有するように構成することができるが、本発明の概念は、1つの再処理ベイ16に限定されない。
【0021】
支持体構成要素を収容するように構成することができる引き出し20は、全体を22で表示され、少なくとも1つの引き出しアクセスドア24を装備することができる。図1に示される実施形態は、2つの引き出しアクセスドア24a、24bを有するように構成することができ、1つの引き出しアクセスドアが24aは、支持体構成要素22に出入りできる開放位置にあり、別の引き出しアクセスドアが24bは閉鎖位置にある状態で示されている。引き出し20またはシステム10の他の場所に収容されている支持体構成要素22は、以下、即ち、洗剤容器26、1つ以上の化学滅菌剤成分容器28、30、水ヒータ32、熱水タンク34、任意選択の反応チャンバ36、荷重センサ38、電気モータおよびポンプ40、空気圧縮機42、圧縮空気タンク44、蒸気供給源または発生器46(例えば、図9に表示されるようなハウス蒸気、若しくはシステム10と独立の別の供給源、またはボイラー、圧力チャンバ、加熱板、若しくは他の蒸気手段などの搭載している供給源)、および真空供給源(例えば、真空ポンプ、ハウス真空システム、図示せず)の全てまたは幾つかを備えることができる。他の構成要素には、例えば、前記の構成要素と同じもの(例えば、追加の蒸気発生器または供給源)、温度センサ(例えば、温度計、熱電対、および温度を感知する他の手段)、電子制御弁、空気弁、または液体弁、および他のアクチュエータ、流体管路、流体マニホールド、流体コネクタ、流量計、混合弁、圧力センサ、滅菌バリア包装、ディスプレイ、タッチスクリーン、キーパッド、他の蒸気供給源、および滅菌器/再処理器機能または動作をプログラム、監視、および制御し、重要なまたは重要でない診断機能または動作(内視鏡管路閉塞試験、内視鏡管路保全性(漏れ試験とも称される)、および内視鏡通流試験など)を実施する、全ての方式の電子システムを挙げることができる。
【0022】
本明細書で使用される場合、「化学滅菌成分」の用語は、別の物質と混合、反応されて、または別の物質で希釈されて化学滅菌剤を提供する前駆体組成物を指す。「化学滅菌成分」の用語は、また、反応または希釈を必要としない化学滅菌剤を包含するものとする。図2に示される実施形態は、多成分濃縮系の2つの成分を収容する役割をすることができる、2つの化学滅菌成分容器28、30を有するように構成することができる。しかし、使用される滅菌剤に必要な成分の数に応じて、これより多数の、または少数の化学滅菌成分容器を備えるように、または容器を全く備えないように再処理システムを構成することも本発明の概念に入る。化学滅菌剤の使用は、本発明の方法では任意選択的であり、再処理システム10に化学滅菌成分容器(28および30など)を備えることも同様に任意選択的である。化学滅菌剤を使用しないとき、または直ぐに使用できる滅菌剤を採用する場合、反応チャンバ36は必要ではない。
【0023】
好ましい実施形態の一態様は、化学滅菌剤の使用を必要とせず、滅菌剤として蒸気を配備する場合がある。蒸気滅菌は、本明細書で更に詳細に後述するように、例えば、ホルムアルデヒドまたは他の滅菌ガスと混合される、より高温の蒸気または低温の蒸気を使用して達成することができる。好ましい実施形態の別の態様は、化学滅菌剤と蒸気滅菌剤の両方を使用することを必要としてもよい。本発明の一部として、様々な組合せが想到される。
【0024】
再処理システム10が2つ以上の再処理ベイ16を備える場合、再処理システムは、各再処理ベイが独立に且つ同時性を有せず作動または循環できるように構成される。このような独立の作動を支持するため、再処理システム10は、独立に作動する電気モータおよびポンプ40を、各再処理ベイに1つ装備してもよい。
【0025】
引き出し20内に収容されている各構成要素と、再処理ベイキャビネット14内に収容されている再処理ベイ16との流体接続は、図1〜図5に示される主構成要素を単純化して表すため、図6にだけ示されている。
【0026】
耐熱および防音機構、並びに圧力チャンバを形成する能力を提供するように、再処理ベイ16をキャビネットアクセスドア18と共に構成することができる。これらの機構を提供するように、垂直側壁48a、48b、後壁50、天井部材52、および床部材54を形成することができる。例えば、プラスチック、ステンレス鋼、およびガラス等などの材料で側壁48a、48b、後壁50、天井52、床54およびドア18構造を製造することにより、耐熱および防音機構を提供することができる。更に、側壁48a、48b、後壁50、天井52、床54およびドア18部材は、中実または中空の部材として形成することができ、(1つまたは複数の)中空部材の内部部分に、当該技術分野で周知の断熱材および/または遮音材を充填することができる。
【0027】
再処理ベイ16に少なくとも1つ以上の、好ましくは2つの回転腕部材56を装備することができる。好ましい実施形態では、2つの回転腕部材56a、56bは、対向する側壁48a、48bの中心部分に別々に回転可能に取付けられる。以下の詳細な説明は、全ての回転腕部材56に適用されるが、図3に最もよく示される回転腕部材56aのみを参照する。回転腕部材56aは、側壁48aの中心部分から外側に、および実質的にそれに垂直に延びる回転腕ハブ部材60の周囲に回転可能に接続される、中心ハブスリーブ58を備える。少なくとも1つ以上の、好ましくは2つの釣り合う噴霧器または噴霧腕62a、62bが中心ハブスリーブ58のほぼ対向する側に接続されている(または、代わりに、若しくは同様に、ベイの上部若しくは底部、またはその両方に配置することができる)。各噴霧腕62a、62bは、噴霧腕空洞64a、64b(一部、破線で示されている)を画定する。噴霧腕空洞64a、64bは、噴霧腕62a、62bの長さの少なくとも一部で延び、中心ハブスリーブ58内に画定されているハブスリーブ空洞66を、噴霧腕62a、62bの壁に画定されている複数の噴霧噴出口68と操作可能に接続する役割をする。
【0028】
相互接続されるハブスリーブ空洞66、噴霧腕空洞64a、64b、および噴霧噴出口68は、一緒に、ハブ部材60内に画定されている回転式流体コネクタ70から再処理ベイ16の内部に向かう洗浄流体、すすぎ流体、および滅菌流体の加圧流の管路を提供する。洗浄流体、すすぎ流体、および滅菌流体は、図6に示される管状管路で回転式流体コネクタ70に提供される。任意選択的に、再処理ベイの側壁48a、48b、後壁50、天井52、床54およびドア18部材の壁のうち1つ以上に、回転式流体コネクタ70、または、或いは別個の流体入口コネクタに流体接続される(静止または可動の)壁面噴霧噴出口69を設けることができる。本発明に使用される管状管路は、当該技術分野で周知のように、金属、プラスチック、およびガラス等で形成することができる。
【0029】
噴霧腕62a、62bの各遠位端72a、72bは、それぞれ複数の噴霧開口部76を有するように構成された噴霧ノズル74a、74bとすることができる。噴霧開口部76は、噴霧腕空洞64a、64bに操作可能に接続され、噴霧噴出口68と一緒に、滅菌剤およびすすぎ流体を再処理ベイ16の中心部分に向ける。或いは、噴霧ノズル74a、74bは、噴霧腕62a、62bの縦軸の周りに回転してもよい。滅菌およびすすぎのために流体を向ける機能の他に、噴霧開口部76および噴霧噴出口68は、中心ハブ60の周囲に噴霧腕62a、62bの反作用回転力を作り出す全推力を生じさせるような方式で、流体の加圧流を噴霧ノズル74a、74bおよび噴霧腕62a、62bから外に向ける。
【0030】
噴霧腕噴霧噴出口68、噴霧開口部76、および壁面噴霧噴出口69を使用して、洗浄流体、すすぎ流体、乾燥流体、または滅菌流体を送達し、再処理サイクル中に医療デバイスの外側表面を清浄化してもよい。例えば、洗剤溶液、バイオフィルム除去溶液、化学滅菌剤、滅菌水、滅菌空気、水蒸気、または蒸気を含む様々な流体を使用してもよい。
【0031】
再処理ベイ16は、再処理ベイ16の外側の装入および取り出し位置から再処理ベイ16の内側の作動位置に、カセット80(例えば、ステンレス鋼製支持フレーム)を案内する役割をする、少なくとも1つのガイドを有してもよい。再処理ベイ16は、ガイド、上部ガイド78aおよび下部カセットガイド78bを装備してもよい。上部カセットガイド78aを再処理ベイ16の天井52、若しくは、或いは後壁50の上部分に固定してもよく、または、ベイ設計に組込んでもよい。下部ガイド78bを再処理ベイ16の床54、若しくは、或いは後壁50の下部分に固定しても、または、ベイ設計に組込んでもよい。図示されるように、2つのカセット80を備えるように再処理ベイ16を構成することができる場合、ドアガイド82のように、2組のガイド78a、78bを備えることができる。
【0032】
カセット80は、再処理ベイ16内に内視鏡Eおよび配管セット81(図7に示される)を取外し可能に固定するように構成することができる。カセット80は、再処理される内視鏡Eを再処理ベイ16内の位置に保持するため、1つ以上の締結部材83を装備することができるか、または内視鏡Eを部材の周囲または中に取外し可能に配置させて再処理ベイ16内に吊り下げることができる部材を備えてもよい。図2および図5に示されるように、カセットを、好ましくは、上部ガイド78aと下部ガイド78bとの間に取外し可能に配置することができる。図5に示されるように、カセット80は、カセット80の上部分と下部分にそれぞれしっかり固定されている各軸部材90a、90bの周りに回動自在に配置される、上部回転部材86と下部回転部材88を有してもよい。上部回転部材86と下部回転部材88(以下、ホイールと称する)にそれぞれ、案内溝92、94がそれぞれ設けられる。カセットを再処理ベイ16に容易に出し入れできるように、案内溝92、94は、それぞれ、上部ガイド78aと下部ガイド78bの大きさおよび形状を補完するような大きさおよび形状に作られる。
【0033】
カセット80は、ステンレス鋼ワイヤ構造とすることができる。流体セット81は、軟質ポリマー配管または硬質ステンレス鋼配管などの1つ以上の長さの配管を備えることができる。流体セット81は、また、複数の長さの配管を取り付けることができるコネクタマニホールド84も備えることができる。流体セット81は、再処理ベイ16内の医療デバイスコネクタ96のポートを内視鏡Eの1つまたは複数の空洞の1つ以上の開口部に接続することができる。内視鏡表面が流体噴霧パターンから遮蔽されることなく、回転部材を通して送達される流体または蒸気(vapor)(スチーム/高温蒸気(steam)を含む)に最大限、暴露されるように、内視鏡を保持するように設計されているクリップがフレームに装備される。フレームは、繰返し再処理する間、顕著におよび/または即時に構造変化または寸法変化することなく、滅菌器環境に耐える材料から構成される。材料には、以下に限定されないが、ステンレス鋼または高性能熱可塑性樹脂を挙げてもよい。流体セットは、滅菌器環境に耐えるが、破壊または疲労せず、複数回の再処理サイクルを通して簡便に接続および分離するのに十分な柔軟性を有する材料で構成することができる。
【0034】
再処理ベイ16の下部分の中に延びているのは、内視鏡などの様々な医療デバイスに流体を漏らさず嵌合するように構成することができる医療デバイスコネクタ96とすることができる。様々な医療デバイスの(1つまたは複数の)空洞の加圧滅菌中に流体を漏らさず嵌合できる接続アダプタを設けることは、本発明の概念に入る。洗浄流体、すすぎ流体、および滅菌流体は、図6に示されるように配管管路を通して医療デバイスコネクタ96に提供される。次いで、洗浄流体、すすぎ流体、および滅菌流体を医療デバイスコネクタ96から医療デバイスの(1つまたは複数の)空洞に送入しても、または圧入してもよい。例えば、洗剤溶液、バイオフィルム(biofilm)除去溶液、化学滅菌剤、滅菌水、水蒸気、または蒸気などの様々な流体を使用してもよい。
【0035】
1つの実施形態では、システム10または内視鏡Eは、個々の配管管路が、再処理サイクルの要件、または再処理される医療デバイスの構成に応じて、弁などで別々に閉鎖または開放され得るように構成されてもよい。別の実施形態では、デバイスコネクタの出口ポートを別々に閉鎖または開放してもよい。
【0036】
別の実施形態では、デバイスコネクタは、個々の配管管路または出口ポートを自動的に(例えば、中央処理プログラムで)閉鎖または開放するように設計されてもよい。例えば、中央処理装置(図示せず)で、配管管路または出口ポートの閉鎖または開放を制御してもよい。(中央処理装置を使用して、システム10の様々な動作を制御することができる。)或いは、システムおよびコネクタの連結によって、自動的に、適切な管路またはポートを開放または閉鎖できるように、システムコネクタおよび医療デバイスを設計してもよい。これは、作動構造体および対合構造体が連結したとき、適切な管路またはポートが開放または閉鎖されるように、デバイスの作動構造体にコネクタの対合構造体を提供することによって達成することができる。或いは、または前記と共に、試験(例えば、圧力試験)を行ってどの管路またはどの空洞がシステム10の蒸気供給源と連通、即ち、接続されたかが決定されるように、システム10を構成することができ、全ての開放空洞に一度に蒸気を通流させるか、または開放空洞に何らかの他の方式で蒸気を選択的に通流させるように、例えば、逐次的に、交互に、または、1つの空洞に一定の持続時間、蒸気を、および/またはその持続時間のものとは異なる熱含量を有する蒸気を、および/または別の空洞に通流される蒸気の熱含量を有する蒸気を通流させるようにシステムを構成することができる。他の動作と同様に、これを、例えば中央処理装置プログラムで制御することができる。これによって、内視鏡の処理を更に制御することができ、これは、例えば、1つの空洞を包囲する内視鏡の部分または1つの空洞に隣接する内視鏡の部分が、異なる空洞を包囲する内視鏡の部分または異なる空洞に隣接する内視鏡の部分よりも多量の熱、圧力、または他の条件に耐えることができる場合、重要になり得る。本開示の残りの部分から更に明らかになるように、システム10により医療デバイスの重要な寸法変化(医療デバイスの一部の長さ、幅、高さなどの膨張または収縮など)を制御することができる。
【0037】
再処理システム10内で再処理された内視鏡Eに噴霧された、またはその中にポンプで圧送された流体を捕集する貯蔵器98の役割をするように、再処理ベイ16の床部材54を構成することができる。少なくとも2つのろ過レベルを有するろ過システム100を貯蔵器に装備することができる。流体を捕集する水溜排水管102を貯蔵器98の下部分に設けることができる。貯蔵器98の大きさ、および再処理ベイ16の鉛直方向配置は、再処理システム10が作動し、約2〜5リットルの流体を再循環させることを可能にする。再処理システムが液体滅菌用に構成される場合、再処理システム10は、好ましくは、約3リットルの液体滅菌剤で作動する。
【0038】
再処理システム10の作動の際、少なくとも1つのラッチアセンブリ104で再処理アクセスドア18を選択的に固定することができる。ラッチアセンブリ104を開放すると、再処理システム10の作動を停止させる安全機構を提供することができる。或いは、選択された作動サイクルが完了するまで、再処理システム10の作動中にラッチアセンブリを解除する能力を不能にすることができる。
【0039】
図2および図4に示されるように、引き出し20内に配置される支持体構成要素22によって、再処理システム10の作動中に再処理ベイ16で使用される流体の調製および供給が容易になる。
【0040】
引き出し20内に収容される支持体構成要素22は、選択されるサイクルが必要とする洗剤または洗剤溶液を再処理ベイ16に提供する洗剤容器26を備えることができる。
【0041】
図2に示される実施形態では、2つの化学滅菌剤成分容器28、30が設けられる。再処理システム10で使用される液体滅菌剤は、使用直前まで別々の成分容器28、30に貯蔵できる多成分濃縮系とすることができる。本発明の概念は、2成分滅菌剤に限定されないが、1種類、2種類またはそれ以上の成分を必要とする滅菌剤を収容することが必要な場合、適切な数の成分容器を有するようにデバイスを構成するだけで適合され得る。更に、化学滅菌剤成分容器なしで再処理システム10を構成することができる。
【0042】
図4Aに示されるように、第1の実施形態では、再処理サイクルで使用する流体を加熱するため、および/または化学滅菌剤またはその化学滅菌剤成分を加熱するため、本発明の再処理システムに水ヒータおよび水タンクが更に設けられる。それに関して、再処理システムは、再処理サイクルで使用する腐食性の滅菌剤または化学滅菌成分と適合性がある。このため、化学滅菌剤または化学滅菌成分は閉鎖した管路システムを通って再処理器の構成要素に、および再処理器の構成要素の間を流れることができる。
【0043】
更に、化学滅菌剤成分の温度は、反応チャンバに送達される前に高温に維持されてもよく、滅菌剤の温度は、(1つまたは複数の)再処理ベイに送達される前に高温に維持されてもよい。そうするため、滅菌剤または化学滅菌成分が通流する管路は、好ましくは、水タンク内を通過し、熱交換器を画定する。更に、昇温を正確に制御できるように、冷却コイルを熱交換器内に設けることができる。また、熱交換器内に循環デバイスを備え、熱交換器内で熱交換流体を循環させてもよい。温度を変化させる他の手段も想到される。また、中央処理装置に接続される温度センサを備えてもよい。
【0044】
このため、図4Aに示され、更に詳細に後述される第1の一実施形態では、ヒータ32およびタンク34を組合せユニットとして設けることができ、その中に熱交換用のコイル状配管が配置されている。組合せられると、ヒータおよび熱水タンクは複数の目的に役立つことができる。まず、再処理サイクルの洗剤清浄化段階に、並びに、反応チャンバ36での滅菌剤調製の滅菌剤希釈段階に後で使用できる水を加熱するために、水ヒータを使用できる。また、反応チャンバ36への移送中、化学滅菌剤成分を加熱するため、および/または、その後、使用前に滅菌剤を最適作動温度に、またはその付近に維持するための熱交換器として、水ヒータおよび熱水タンクを使用することもできる。しかし、更に他の代替として、再処理システム10を室温の流体で作動するように適合させ、水ヒータおよび熱水タンクを必要としないようにすることができる。
【0045】
図4Aを参照すると、水加熱コイル32と熱水タンク34を組合せた第1の実施形態が示されている。特に、アセンブリは、熱水タンク34内にポンプで圧送されて、そこで加熱される水を収容し、隔離する役割をする水タンク106を備える。水タンク106内の水を最初に加熱し、その後、その水温を維持するため、制御されるヒータ要素108を設けることができる。タンク内の水温を測定し、その情報を中央処理装置に伝達するため、温度センサまたはプローブ110を設けることができる。内部タンク116の上部表面に内部タンク弁114を設けることができる。内部タンク弁114は、温度に敏感であってもよく、または、好ましくは、温度プローブ110から情報を受け取って中央処理装置で制御することができる。化学滅菌剤成分を収容するコイル118を閉じ込めるように内部タンク116を構成することができ、このコイル118は、後で再処理ベイ16に移送されてもよい滅菌剤を作り出す反応チャンバ36に、化学滅菌剤成分を移送する管路の役割をする。
【0046】
内部タンク116の上縁120は、水タンク106の水位より上に延び、水が内部タンク116に尚早に入らないようにする役割をする。水タンク106内の水の量を決定するため、水位センサ122を設けることができる。水位センサ122で水位情報を提供し、水タンク106への水の流れを遮断することができる。高水位状態を感知し、水位が内部タンク116の上縁120を越える前に、水タンク106への水の流れを停止させるように、水位センサを構成することができる。この保護機構は、目的の温度または温度範囲(第1の実施形態では、約40℃〜約55℃である)に到達していない水が内部タンクに入って、コイル118、およびその中に収容されている化学滅菌剤または化学滅菌剤成分を目的の温度範囲より低温に冷却する望ましくない状態が起こらないようにする。図4Aに表される実施形態では、2本のコイル状の管118が水タンク106内に、例えば、各化学滅菌剤成分に1本、延びている。水タンク106内の水温が、例えば、約40℃〜約55℃の最も好ましい温度に到達すると、内部タンク弁114が開き、温水を水タンク106から内部タンク116に排水することができる。温水は内部タンクを充填し、反応チャンバ36で混合する前、コイルおよび閉じ込められている滅菌剤または化学滅菌剤成分を最も好ましい作動温度に維持する役割をする。
【0047】
図4Bを参照すると、水加熱コイル32’と熱水タンク34’を組合せた第2の現在のところ好ましい実施形態が示されている。特に、アセンブリは、熱水タンク34’にポンプで圧送される加熱水を収容し、隔離する役割をする水タンク106’を備える。所望の温度の水が得られるように、熱水と冷水を自動的に(または、例えば中央処理装置プログラムで)混合する混合弁を通して加熱水を受容することができる。水タンク106’内の水温を維持するため、制御されるヒータ要素108’を設けることができる。タンク内の水温を測定し、その情報を中央処理装置に伝達するため、温度プローブ110’を設けてもよい。図4Aの実施形態とは対照的に、熱水タンク34’内に内部タンクは設けられない。このため、コイル状の管118’内の流体は、反応チャンバ36に送達される前の化学滅菌剤成分、または再処理ベイ16に送達される前の滅菌剤であってもよく、タンク106’内の水温によって加熱される。水タンク106’への水の流れの遮断をするため、またはそこへの流れを開始するため、フロートスイッチなどの水位センサ122’を更に設けることができる。
【0048】
本発明の好ましい実施形態の反応チャンバ36を、荷重センサ38上に配置し、荷重センサ38で支持することができる。しかし、反応チャンバ36を荷重センサ38の下に吊り下げることにより、または反応チャンバ36を荷重センサ38上で支持することにより、再処理システム10内に反応チャンバ36を固定することも本発明の概念に入る。移送が起こる時、荷重センサ38が反応チャンバ36に移送される各成分の正確な量を決定できるように、反応チャンバ36に化学滅菌剤成分を漸次、提供することができる。好ましい実施形態では、化学滅菌剤成分の反応が起こり得る。十分な反応時間後、荷重センサから得られる測定値を基準にして、適正量の水を反応チャンバ36に量り入れ、使用前に滅菌剤を適切に希釈することができる。滅菌剤の成分を適切に混合するためには、荷重センサ38の正確さが重要になり得る。反応チャンバ36の変位が荷重センサの測定値に影響を及ぼさないように、本発明の荷重センサ38を構成することができる。許容することができ、荷重センサの測定値に影響を及ぼさない垂直移動もあるが、反応槽の上部に配置される支持ストラップで水平安定性が維持されるように、本発明のロードセルを構成することができる。一貫した、適正な読みを確保できるように、本発明のロードセルに試験機構を装備してもよい。反応チャンバ36が空のとき、荷重センサ38のゼロ荷重を点検してもよい。水の既知の容積および特定の容積(内部タンク116の容積など)の重量に対して荷重センサ38を点検してもよい。
【0049】
主に液体滅菌剤に依存する再処理システム10の一実施形態は、約20℃(室温)〜約50℃の滅菌剤温度で作動できる。この手法に更に好ましくは、温度範囲は、約40℃〜約50℃とすることができる。化学滅菌剤成分を加熱し、より高温で反応させてもよい。しかし、(1つまたは複数の)再処理ベイ内の温度が約50℃より高いと、内視鏡に損傷を与える場合がある。前述のように、温度および/または水位センサは、中央処理装置に情報の測定値を提供することができ、このため、再処理システム10の選択された作動サイクル中、内部タンクの排水および補充を自動的にまたはプログラムされたように行うことができ、このため、滅菌剤の温度が約40℃〜約50℃の温度に維持される。中央処置装置は、再処理される機器に対する温度が許容可能で最高になるようにプログラムされ、許容可能な最高温度が接近するとまたはそれを超えると、どのサイクル中でも加熱を中止するようにプログラムされてもよい。
【0050】
再処理システム10の異なるサイクルに使用される様々な溶液の循環を、電気モータおよびポンプ40で実施することができる。しかし、再処理システム内の何らかの流体を移送するのに、例えば、滅菌剤を希釈するため反応チャンバに水を流すのに重力流を使用するデバイスを構成することも本発明の概念に入る。本発明の好ましい実施形態では、再処理ベイ16に専用の電気モータおよびポンプ40を設けることができる。しかし、好ましい実施形態のものより多数の再処理ベイを有するシステムでは、中央処理装置が電気モータとポンプ40資産の時分割を実施できるように、再処理システム10を構成することも本発明の概念に入る。しかし、時分割により、処理時間全体は長くなる。選択されたサイクル中の中央処理装置による溶液移送の制御に、流体管路および当該技術分野で既知の弁システムで影響を及ぼすことができる(例えば、ソレノイド弁の使用が挙げられる)。図6は、本発明の一実施形態の例示的な流体系統の詳細な概略図を提供する。
【0051】
再処理システムの一実施形態では、反応チャンバ36への滅菌剤の成分の送達を、圧縮空気を使用して達成することができる。圧縮空気タンク44内の空気圧を維持するため、中央処理装置で制御される空気圧縮機42を設けることができる。各成分を非常に正確に反応チャンバ36に移送するため、中央処理装置の指令で圧縮空気タンク44からの圧縮空気を、プログラムされたように化学滅菌剤容器28、30に提供することができる。或いは、化学滅菌剤容器28、30の空気圧を維持してもよく、代わりに、各成分を移送するため、中央制御装置は弁類をプログラムされたように制御する。荷重センサ38は、中央制御装置への情報入力を制御し、中央制御装置は、化学滅菌剤容器28、30の出力を制御する。また、図6は、本発明の一実施形態の例示的な空気系統の概略図を提供する。
【0052】
反応チャンバ36内の滅菌剤の濃度を決定するため、本発明に化学物質濃度検出器を設けることができる。好適な化学物質濃度検出システムは、例えば、オーバーライトナー(Oberleitner)らに付与された米国特許第6,068,815号明細書に記載されており、その開示内容全体が参照により本明細書に組込まれる。また、米国特許第6,068,815号明細書に記載されるものなどの、化学滅菌剤成分容器の確認システムを設けてもよい。
【0053】
本発明は、成分を反応チャンバ36に、および反応チャンバ36から再処理ベイ16に移送する空気の力に応答するように設計することができる化学滅菌剤容器28、30を備えることができる。図2の化学滅菌剤容器30の破断部分に最もよく示されるように、化学滅菌剤容器28、30の設計は、内部に配置されるストロー管吸水器(straw tube sipper)142を備える。管吸水器142は、化学滅菌剤容器30の底部に延びるが、吸水管(sipper tube)142の上部はストロー管寄せに嵌合し、ストロー管寄せは化学滅菌剤容器30の首に嵌合する。化学滅菌剤容器30を準備するとき、化学成分を化学滅菌剤容器30に充填することができ、通気膜を備えてもよい箔シールキャップ148を化学滅菌剤容器30上に配置して、誘導エネルギーで密封し、漏れを防止することができる。
【0054】
再処理システム10で使用する準備をするとき、ユーザは、キャップ148を取外し、膜シールを露出させ、次いで、ネジ留め式のコネクタアセンブリ150のスパイクで膜シールに穴を開けることができる。キャップのガスケットによってコネクタアセンブリ150が化学滅菌剤容器30を密封する。コネクタアセンブリ150のスパイクは、化学滅菌剤容器30への2つの流体接続を形成し、1つはストロー管寄せ144を通る同心接続であり、もう1つは、管吸水器142の外側の偏心接続である。再処理システム10の2つの配管ラインに、コネクタアセンブリ150のスパイクを操作可能に接続することができる。偏心接続を通して化学滅菌剤容器30に空気圧を圧入することにより、化学滅菌剤容器30から化学物質を取り出すことができる。これによって、化学成分が管吸水器142を通り、反応チャンバ36に延びる管に圧入される。化学滅菌剤容器30内の化学物質供給を使い果たしたとき、空気供給管を使用して化学滅菌剤容器30に水を入れることができる。これによって、上部接続領域、並びに、化学滅菌剤容器30側面、および管吸水器142が洗浄され、残留化学物質が除去される。必要に応じて、この洗い流すプロセスを繰り返し、化学滅菌剤容器30から残留化学物質を除去することができる。
【0055】
滅菌剤の化学成分が反応チャンバ36に移動し、そこで混合される時、滅菌剤の化学成分を加熱し、測定することができる。中央処理装置で制御して、滅菌剤温度を監視および制御することができ、反応チャンバ36内の化学成分の反応を時間設定することができる。滅菌剤の屈折率を測定し、滅菌剤の存在を検証することができる。水を加えて、滅菌剤を使用時の希釈濃度に希釈することができる。内視鏡をカセット80に取り付け、医療デバイスコネクタ96に接続することができ、これを通して、内視鏡の空洞を加圧洗浄し、滅菌することができる。再処理アクセスドア18を固定することができ、内視鏡の内部と外部を、洗剤と水で洗浄し、すすぐことができる。
【0056】
前述のように、化学滅菌剤の代わりに、例えば、図7〜図10に示される実施形態を使用する蒸気滅菌法を使用することができるか、または化学滅菌剤を図7〜図10に示される実施形態を使用する蒸気滅菌法と共に使用することができる。従って、前記の開示の多くは、液体滅菌剤の代わりに蒸気の使用を必要とする可能性がある。蒸気供給源46は、再処理システムに蒸気を送達し、内視鏡Eの外部および内部を消毒および/または滅菌することができる。このような送達は、図8に示される管路および/または弁類(チャンバ蒸気圧解放安全弁、ジャケットへの蒸気用ソレノイド弁、チャンバへの蒸気用ソレノイド弁、蒸気圧調節器、およびソレノイド弁への配線を含む)を通ってシステム10に到達することができる。図9は、再処理ベイ16から液体を排水するための管路および/または弁類(例えば、排水ライン、ソレノイドガスケット排水ベント、ガスケット圧力スイッチなど)を表すが、システム10のこの下部分は蒸気供給源を備えることができる。再処理ベイ16から液体を除去するため、システム10のこの下部分の管路および/または弁類(図9に示される管路および弁類など)を同様に、または代わりに使用することができる。
【0057】
例えば、約121℃の温度の蒸気を使用することができるか、または、それは、サイクル時間および内視鏡Eに対する熱衝撃に影響を及ぼすことが望まれる場合、更に高温または更に低温であってもよい(熱衝撃または温度衝撃は、システム10の使用により回避または低減できるが、本明細書では、熱による、または、隣接する材料若しくは構成要素の熱膨張/熱収縮率が等しくない若しくは不適合であることによる、材料の過剰な熱伝達率または熱膨張若しくは熱収縮による、医療デバイスの材料または構成要素への損害または損傷を指すのに使用される。熱衝撃を回避または低減することと同様に、システム10は、本明細書で参照される構造および方法でこのような膨張または収縮を制御することにより、間の遊びが限られている熱膨張性または熱収縮性構成要素の損傷を回避または低減するのに有用となり得る。)。
【0058】
典型的な蒸気滅菌サイクル条件は、真空補助蒸気滅菌プロセスでは約270°F/132℃、または重力移動蒸気滅菌プロセスでは約250°F/121℃とすることができる。更に広範には、蒸気の範囲は、例えば、約115℃〜約126℃、または約121℃〜約140℃とすることができる(しかし、前記、または本明細書に記載される他のどの温度範囲も、滅菌、消毒、または除染などの決定がなされ得る前に、再処理時間、生物汚染度の程度、滅菌試験結果、および他の要因と一緒に考慮されなければならない)。蒸気オートクレーブは、一端に密閉可能なドア、および主外殻を包囲し熱制御されるジャケットを装備した、(ベイを形成する)鋼製の外殻を具備することができる。包囲ジャケットに熱水または冷水、熱気または冷気、蒸気または蒸気と水との混合物を充填することができる。主外殻は、可動腕56を収容することができ、これに、冷気または熱気、洗剤またはバイオフィルム除去剤を含有するまたは含有しない冷水または熱水、蒸気、蒸気と水との混合物を送給することができる。内視鏡の内部管路または空洞を最終的に乾燥させるため、内視鏡マニホールド84を、熱気または冷気、洗剤またはバイオフィルム除去剤を含有するまたは含有しない熱水または冷水、蒸気、乾燥蒸気、蒸気と水との混合物の前述の(1つまたは複数の)供給源、またはアルコールなどの供給源に接続することができる。
【0059】
圧力センサに連結される制御弁、安全逃がし弁、および温度センサを通して、滅菌器ジャケット、滅菌器ベイ、および内視鏡マニホールド用の蒸気供給源を送給することができる。滅菌器チャンバ内、滅菌器ジャケット上、内視鏡コネクタマニホールド内、および、内視鏡上または内視鏡内の様々な位置の温度を監視するように、温度センサを配置することができる。自蔵式の搭載されている蒸気発生器、または「ハウス」蒸気の中央供給源を利用して医療デバイスを加熱および滅菌することができる。蒸気滅菌器は、典型的には、ベント排水ラインを装備し、滅菌器チャンバまたはベイ内の飽和蒸気から凝縮する水を除去することができる。内視鏡内部管路または空洞、外側表面、および滅菌器チャンバを約270°F/132℃の温度に加熱することができた後、飽和蒸気供給源によって、最も有効な滅菌が提供されてもよい。蒸気の品質は、典型的には、乾燥飽和蒸気、対、搬送される水のパーセンテージとして表現される。サイクルの最終滅菌段階の直前に、滅菌器から空気を有効に除去することが、理想条件では約100%となる最高の蒸気品質を得るために重要になり得る。
【0060】
内視鏡Eに適用される蒸気の温度(または、他の品質若しくは態様、例えば、流量、含水率)を迅速にまたは制御可能に変化させる手段として、2つ以上の蒸気供給源46を使用し得ることが想到される。これは、内視鏡Eを構成する材料の加熱および冷却を制御する一手法となり得るが、加熱および冷却のための他の既知の手法も想到される。他の加熱および冷却手法と同様に、液体の流れを使用して加熱および冷却を制御することができる。
【0061】
蒸気、より具体的には、高温蒸気に完全に依存するのではなく、より低温の蒸気とホルムアルデヒド(または別のガス状滅菌剤)を混合した滅菌手法を再処理システム内で使用することができる。典型的には、ホルムアルデヒドガスを大気圧より低圧のチャンバに噴射した後、蒸気を噴射する。低温蒸気ホルムアルデヒド手法の利点は、24時間も続く可能性があるエチレンオキサイド滅菌よりも、エアレーション時間が短いことである。低温蒸気ホルムアルデヒド滅菌手法では、ユーザが、環境と、滅菌された医療デバイスの両方の残留ホルムアルデヒドを監視することが必要である。
【0062】
同様に、蒸気の品質に影響を及ぼす手段として、または、水蒸気(water vapor)(非高温蒸気(non-steam))を提供する手段として、再処理システム10内にソニケータ(図示せず)を備えることが想到される。これも加熱および冷却の制御に使用することができる。
【0063】
必要に応じて、滅菌サイクルの直前に、内視鏡を温水または熱水ですすぎ、滅菌剤が内視鏡との接触時に過冷却されないことを確実にしてもよい。次いで、使用直前に反応チャンバ36内で調製した滅菌剤で、または蒸気滅菌剤で内視鏡の内部および外部を滅菌することができる。液体(順番に、洗剤および水、すすぎ水、および滅菌剤)の流れで、医療デバイスコネクタ96を通した内視鏡空洞の清浄化および滅菌を補助することができる。清浄化段階は、重なり合い、脈動する空気流を受ける。この脈動する空気流によって、液体流は非常に不安定になり、その結果、内視鏡の空洞壁でスクラブ洗浄作用が生じる。
【0064】
洗浄、滅菌、または他の工程の作動中、本発明は、洗浄ベイが越流状態にあるかどうかを検出することができる。再処理ベイ16、および回転腕部材56a、56bに、全体を154で表示される速度感知アセンブリを装備することができる。速度感知アセンブリは、1つ以上の回転腕部材56a、56b上に配置される磁石、および側壁48a、48bに配置されるホール効果(Hall Effect)センサを備えることができる。液体が再処理ベイ16に過蓄積し、再処理ベイ16が越流状態にあるとき、回転腕部材56a、56bの回転速度が低下する。回転子腕磁石の通過頻度を感知できるホール効果センサは、中央処理装置に頻度信号を伝達し、中央処理装置は、ユーザインターフェースに越流メッセージを提供することができる。
【0065】
本発明の再処理システム10は、中央処理装置で協調され、解釈できるブロック検出機構を備えることができる。システム10の中央処理装置(図示せず)は、空気貯蔵器、好ましくは別個の4リットルの空気貯蔵器から、特定の既知の容積および圧力の空気を解放することができ、中央処理装置は、中央処理装置に定常的な情報の流れを提供できる圧力センサを使用して内視鏡管路の空洞を通る空気圧を監視することができる。確立された許容可能な値および特性圧力低下曲線からの圧力または流量の変化で、内視鏡内の管路の閉塞を決定することができる。閉塞が決定されると、中央処理装置は作動を終了させ、ユーザインターフェース152に閉塞メッセージを表示することができる。
【0066】
本発明の再処理システム10は、中央処理装置で協調され、解釈できる漏れ検出機構を備えることができる。中央処理装置は、既知の空気圧を有する内視鏡ジャケットを加圧することができ、中央処理装置は、中央処理装置に定常的な情報の流れを提供できる圧力センサを使用して空気圧損失を監視することができる。許容可能な値および特性圧力低下曲線からの圧力の変化で、漏れを決定することができる。漏れが決定されると、中央処理装置は作動を終了させ、ユーザインターフェース152に閉塞メッセージを表示することができる。再処理中、内視鏡ジャケット内の空気圧を維持し、内視鏡ジャケットおよびその内容物が流体に曝露されないように保護することができる。
【0067】
中央処理装置で制御される自己滅菌サイクルで、再処理システム10の自己清浄化機構を達成することができ、中央処理装置は、細菌が潜む可能性のある配管ラインを通る流体のポンプによる圧送を制御する。内視鏡の洗浄、並びに内視鏡のすすぎに使用される水ラインに反応チャンバ36を接続することができる。細菌が潜み増殖する可能性があるこれらの場所を自己滅菌サイクル中に洗浄することによって、本発明の再処理システム10は安全な作業状態に維持される。
【0068】
前述のものを含む、中央処理装置に情報を提供するセンサで再処理システム10の作動を監視することができる。中央処理装置は、内視鏡識別を含むサイクルプログラム指示をユーザからユーザインターフェース152を通して受け取る。ユーザインターフェースに、当該技術分野で周知の任意の形態の指令信号キーまたはボタンを装備することができる。タッチスクリーンなどで入力されるユーザの指令、並びに中央処理装置の応答、エラーメッセージ、および状況通知などの視覚表示をユーザインターフェース152でユーザに表示することができる。中央処理装置で再処理システム作動のどの態様の書面記録もユーザに提供できるようにするため、プリンター能力を備えることができる。また、再処理および滅菌サイクルの終了時に、特定の内視鏡滅菌の印刷記録を印刷することもできる。滅菌剤用の化学滅菌剤成分の測定および混合、滅菌剤を希釈するための反応チャンバ36への水の計量供給、洗浄サイクル、すすぎサイクル、および滅菌サイクル、自己滅菌、閉塞検出、およびユーザ通知、ドア開放感知、応答作動終了、並びに、他の類似のシステム監視および作動制御を含めた、再処理システム10の作動の全態様を中央処理装置で制御することができる。
【0069】
また、操作者が再処理パラメータを入力する必要がないように、観察器械の所定のモデルに対して適切な設定を記憶するように中央処理装置をプログラムすることができる。更に、特定の個々のデバイスが経た再処理サイクルの数を追跡し、サイクルの限界数に到達したとき、操作者に通知するように中央処理装置をプログラムすることができる。この機構によって、デバイスは、製造者が推奨するよりも多くの再処理サイクルに曝露されないことが確実になる。
【0070】
再処理システム10の電気的要件は、入力ライン周波数(50または60Hz)に関わらず、電気モータおよびポンプ40に対して一定の毎分回転数が確保されるように提供される。ACモータ速度は入力ライン周波数の影響を受ける可能性がある。本発明では、市販のソリッドステートインバーター回路を使用し、単相入力電力を三相電力に変換して電気モータ40に用いることができる。インバーターは、入力AC電力をDCに変換した後、DC電力を三相AC電力に再変換する。この電力供給プロセスによって、入力ライン周波数に敏感でない可能性がある電気モータおよびポンプ40作動が提供される。
【0071】
前述のように、本発明は、軟性内視鏡などの敏感な医療装置を清浄化、消毒、および/または滅菌する方法を更に提供する。前記および下記に開示される方法論は、数工程を指す。これらの工程の多くの組み合わせは、本発明の一部と想到される。
【0072】
一実施形態では、デバイスDを再処理するため、操作者は前述の再処理システム10を使用することができる。操作者は、デバイスDをカセット80に取り付け、カセット80を再処理システム10に挿入し、デバイスコネクタ96でデバイスDを再処理システム10に接続することができる。ドア18を有するベイ16は、システム10の内部をシステム10の外部の領域から密封する滅菌バリアを提供する。操作者は、必要なインターロックまたは他の安全機構を作動させることができる。次いで、操作者は、再処理サイクル(手動、自動、または半自動)を開始してもよい。例えば、システム10の制御パネルを使用して、または中央処理装置に指令を出して再処理サイクルを開始してもよい。
【0073】
内視鏡Eは、デバイスの外部または内部空洞が水ですすがれる、または洗い流される予備清浄化工程を最初に経ることができる。予備清浄化工程の前に、前述のように、圧力試験または漏れ点検工程を実施することが望ましい場合がある。不首尾の場合は、再処理サイクルは中止され、操作者に通知される。
【0074】
予備清浄化後、液体洗剤溶液またはバイオフィルム除去溶液でデバイスを清浄化することができる。次いで、内視鏡Eをすすぎ、残留物質、並びに、残存する洗剤およびバイオフィルム除去溶液を除去することができる。
【0075】
乾燥工程を実施できる。様々な方法で、デバイスの外部または空洞の乾燥を達成してもよい。例えば、乾燥した滅菌空気または他の乾燥した滅菌ガスを空洞を通して、好ましくは高温で循環させることにより、空洞の乾燥が達成されてもよい。或いは、アルコールなどの低沸点液体を空洞を通して循環させて水を除去し、続いて流体をパージし、その後、残存する液体を蒸発させることができる。第3の選択肢として、すすぎ流体を空洞からパージし、続いて、空洞に真空を適用し残存する流体を蒸発させてもよい。
【0076】
以前に記載した滅菌剤の1つ以上にデバイスを曝露させることにより、デバイスEを滅菌することができる。例えば、内視鏡Eの外部に当るように、より高温の蒸気を向け、且つ、その(1つまたは複数の)空洞を通流させることができる。或いは、ホルムアルデヒドなどの化学試剤を含有する、より低温の蒸気にデバイスの少なくとも一部を曝露することができる。
【0077】
或いは、蒸気滅菌の代わりに、または蒸気滅菌と共に化学滅菌工程を使用してもよい。例えば、滅菌工程の最初に、空洞または外部に化学滅菌剤を導入し、続いて、蒸気を適用して温度を上昇させてもよい。この手順で、温度上昇により、デバイス上またはデバイス内の残留化学滅菌剤の化学的活性を高めてもよい。このように、化学滅菌と蒸気滅菌を組み合わせることにより、サイクル時間の短縮を達成してもよい。或いは、蒸気滅菌の後に化学滅菌剤を導入することができる。この実施形態では、デバイスの冷却を開始するため、僅かに低い温度で化学滅菌剤流体を導入することができる。
【0078】
滅菌工程後に、任意選択的な乾燥工程を実施してもよい。様々な方法で、デバイスの外部または空洞の乾燥を達成してもよい。例えば、乾燥した滅菌空気または他の乾燥した滅菌ガスを空洞を通して、好ましくは高温で循環させることにより、空洞の乾燥を達成してもよい。或いは、アルコールなどの低沸点液体を空洞を通して循環させ、続いて流体をパージし、その後、残存する液体を蒸発させることができる。第3の選択肢として、空洞に真空を適用し残存する流体を蒸発させてもよい。(真空、即ち、減圧供給源の適用は、ハウス真空システム、または搭載されている真空ポンプなどを使用して行うことができる。)
【0079】
内視鏡Eを相当に加熱することを含む滅菌工程の後、次の工程は、操作者が再処理システム10から内視鏡Eを更に容易に取り出せるように内視鏡Eを冷却する工程とすることができる。内視鏡Eを加熱する手法を有効に逆にして内視鏡Eを冷却することができる。或いは、ベイ16内を真空に引くことができるか、または、液体を内視鏡E上に噴霧することができる、および/または内視鏡E内に通流させることができる(例えば、滅菌水、およびアルコール/水溶液など)。
【0080】
前述のように、1つ以上の様々な再処理工程の間、繊細なデバイスの処理に関して、ある一定の限定が守られなければならない。デバイスを滅菌するのに十分な温度に(熱が必要な場合は)デバイスを加熱することが望ましいが、温度が極端すぎると、デバイスの構成要素が損傷したり、またはプラスチックなどの材料が破壊される場合がある。また、温度衝撃を回避するため、デバイスの、ある一定の構成要素または材料を十分に遅い速度で加熱または冷却することが必要な場合が多い。加熱または冷却速度が大きいと、デバイスの寿命に悪影響を及ぼす場合がある。他方、次の処置のためにデバイスの準備を整えるため、および、別のデバイスの再処理するために再処理システムを利用できる状態にするため、できるだけ迅速に再処理サイクルを実施することが望ましい。
【0081】
例えば、予備清浄化工程の一部として、デバイスの複数の部分を徐々に高温に曝露させることが望ましい場合がある。これは、例えば、デバイスの空洞を通して流体を循環させることによる、またはデバイスの外部に流体を噴霧することによる予備すすぎで行われてもよく、ここで、流体は、接触する表面より幾分高温である。予備すすぎは、デバイス上またはデバイス内に残存する生体物質を除去するまたは取除くという別の目的に役立つ場合がある。例えば、水または滅菌水は、予備すすぎに好適な流体である。そのため、手動の予備すすぎ、および予備洗浄などを行う代わりにシステム10を使用することができる。
【0082】
例えば、温度が漸次変化する一連の流体にデバイスを曝露させることによって、またはデバイスが継続的に曝露される流体の温度を連続的に変化させることにより、予備清浄化中、デバイスを徐々に加温することを達成してもよい。任意選択的に、デバイスの温度を残りの予備清浄化工程中に所望される温度またはその温度付近にしてもよい。温度衝撃を回避するため、予備清浄化工程後または清浄化工程後に使用するすすぎ流体を、同様に、デバイスの温度、またはその温度付近に調節することができる。
【0083】
すすぎ工程中に、すすぎ流体の温度を徐々に、または漸次上昇させることにより、デバイスの温度を更に調節することが望ましい場合がある。デバイスが次に蒸気に曝露される場合、デバイスの温度を、使用する蒸気の温度付近の温度にするように、すすぎ工程を実施することが推奨される。
【0084】
内視鏡Eに蒸気を適用する間、「加熱」中に蒸気の温度を上昇させる、および/または「冷却」中に降下させることができる。全サイクル時間が最小限になるように、器械およびプロセス条件に関して蒸気滅菌を最適化した。「非効率」の1つの尺度は、包装された医療デバイスの「パック」の内部温度と滅菌器チャンバが同じ温度に到達するのに必要な時間である。パックとチャンバの間の温度平衡に必要な典型的な時間は、チャンバの圧力に応じて、およそ6〜12分である。より低い圧力を使用すると、または脈動圧力サイクルを使用すると、平衡までの時間が短くなる。チャンバ圧力が20.0mmHg未満であると、温度平衡の時間が3分未満に短縮される。
【0085】
これらの高度の真空システムは滅菌時間について最適化されているが、それらは、軟性内視鏡などの繊細な機器に必要な徐々の温度上昇に最適ではない。本発明の加熱および冷却の全ての段階の間、サイクルが最速にならないようにサイクルは最適化されるが、材料の適合性に対して最適化される。一限定例では、熱含量のより高い水または蒸気で加熱または冷却することができる軟質熱可塑性樹脂で構成される軟性内視鏡の内部構成要素に対して、アルミニウムで構成される軟性内視鏡構成要素の外部を、熱含量のより低い水または蒸気で加熱または冷却することができる。(液体の水および蒸気の熱含量は、液体の水の温度、温度/圧力、および含水率、または蒸気の飽和度の影響を受ける。)医療デバイスと接触して流される蒸気、水、またはその両方の熱含量を制御することによって、および、医療デバイスと接触する蒸気および/または水の流量を制御することによって熱伝達の差速を達成することができる。或いは、または前記と共に、温空気の温度および流量で熱伝達の差速を達成することができる。また、熱放射性の加熱源を使用して、加熱ランプ源の電源および加熱される内視鏡表面からの加熱ランプ源の距離で熱伝達を制御することができる。全プロセスの、制御される冷却段階でこれと同じ考えを使用することができる。
【0086】
本発明の一実施形態では、蒸気内視鏡滅菌器またはシステム10は、内視鏡または被滅菌物(sterilization load)を熱走査できる熱センサを備えることができる。システムは、送達される溶液の温度を微調整し、滅菌時間を最適化すると同時に、デバイス内の熱勾配を最小限にすることができる。この実施例では、外部に送達される流体と空洞に送達される流体を異なる温度に制御することができる。また、このシステムも、被滅菌物の熱特性をベースにして、滅菌時間を最適化することができる。
【0087】
他の実施形態として、チャンバ内の熱センサが見える所に、好ましくはカセット80上に温度センサを配置することができる。システム10は、熱センサと温度センサの両方でカセット温度を読むことができ、熱画像を連続的に較正することができる。
【0088】
本発明の一実施形態では、内視鏡再処理システム10は、内視鏡カセット上の滅菌された内視鏡を受容する包装システムを有するように変更することができる。使用された内視鏡および/または内視鏡カセットを再処理ベイ16に挿入できるような、および/または、再処理された内視鏡および/またはカセットを再処理ベイ16から取り出せるような大きさに1つ以上のプレート開口部172が貫設されている、再処理ベイ16の内側または入口に配置される図11に示されるような前面プレート170に取り付けることによって、米国特許第6,234,310号明細書に記載されるものなどの滅菌包装システムを本デバイスと一緒に使用することができるか、またはそれを本デバイスに合うように変更することができる。前面プレート170は、システム10から外側に延び、各開口部172を包囲するリップ174を備えることができ、リップ174の外側表面は、滅菌バッグ(図示せず)の取付け面を提供できる。取り付けは、滅菌バッグの縁部の接着剤、および、リップ174に当ててバッグを保持するバンドまたはクランプ等の様々な手法で達成することができる。この実施形態では、再処理された内視鏡または内視鏡カセットの取出しを滅菌モードで達成することができ、例えば、接着剤、熱などで包装を密封し、使用時までバッグ内の滅菌を維持することができるか、または、包装による、若しくは外部汚染源による汚染の可能性を少なくとも低減することができる。乾燥した滅菌状態の内視鏡を送達しない現行の液体化学殺菌薬再処理とは対照的に、この変更は、ユーザーが再処理を行い、乾燥した滅菌状態の子袋に包装された乾燥した滅菌状態の内視鏡を受け取ることができるようにするものである。
【0089】
図12は、全般に、他の前述の実施形態または態様と共に使用できる本発明の別の実施形態または一態様を表す。特に、本発明は、整列された第1および第2の流体コネクタ180、182を備えることができ、これらは、内視鏡をシステム10に挿入することによって、蒸気供給源(図示せず)から内視鏡に蒸気を流体連通させるように配置され、構成されている。これを達成できる1つの方法は、カセット80が、例えば、摺動して再処理ベイ16に入り、例えば、再処理ベイの下部表面に配置される案内部材(図示されているような案内部材184の1つ)で案内されると、コネクタ180、182間に接続が形成されるように、整列された第1のコネクタ180をカセット80の先頭部分(または、内視鏡が担持される他のフレーム若しくは構造体)に取り付け、整列された第2のコネクタ182を再処理チャンバ16の内部部分、若しくはその付近でシステム10の構造部材に取り付けることである。市販の流体コネクタを使用して、整列された第1および第2の流体コネクタ180、182の接続ポートを構成することができる。他の様々な手法または手段を使用してこの接続を形成することができる。
【0090】
更に、再処理サイクルの完了後、様々な手法および手段で同様にこの接続を切断することができる。例えば、1つ以上の空気シリンダ、電気モータまたはアクチュエータなどを使用し、分離部材184が更に外側に延び、整列した第1のコネクタ180を押して整列した第2のコネクタ182から離すようにすることができる。分離部材184の延長は、例えば、システム10が取る1つ以上の他の動作の完了後にこれを行うようにプログラムされた、システム10内の中央処置装置で実施することができる。分離部材184は、単に、それぞれが円形の断面を有する2つの部材とすることができるか、または、これらの部材184は、例えば、整列された第1のコネクタ180の外周に分離させる力を加える単一の分離部材とすることができる。或いは、分離機構が、整列された第2のコネクタ182の表面を押すように、整列された第1のコネクタ180に類似の分離機構を配置することができる。
【0091】
滅菌プロセスを監視することに関する本発明の他の実施形態として、デバイスを使用する準備が整うまで滅菌バッグ内に再処理された内視鏡と一緒に、滅菌成功の視認可能な標識が残るように、化学インジケータ、化学積分器を滅菌包装システム内に配置することができる。更に、化学インジケータ、化学積分器または生物学的インジケータを滅菌チャンバ内に配置し、その後、取り出して、病院または診療所の病院情報システム内で読み取り、記録することができる。このプロセスに適切な監視製品の例には、1243 3M(商標)コンプライ(商標)スチーム・ケミカル・インテグレータ(1243 3MTM ComplyTM Steam Chemical Integrator)、1255 3M(商標) コンプライ(商標)スチーム・インジケータ・テープ(1255 3MTM ComplyTM Steam Indicator Tape)、および1291または1292 3M(商標)アテスト(商標)ラピッド・リードアウト・バイオロジカル・インジケータ(1291or 1292 3MTM AttestTM Rapid Readout Biological Indicators)が挙げられる。これらのインジケータおよび他のインジケータを別の実施形態で使用し、内視鏡再処理プロセス内で最も困難な位置における滅菌プロセスの効力を評価することができる。この実施形態は、最も困難な内視鏡にみられる最小の直径と最長の通路長を有するような寸法に作られている代理(surrogate)内視鏡空洞を含むことができる。代理内視鏡空洞は、代理空洞の近位(近い)端で蒸気滅菌器マニホールドの1つに取り付けられるように設計されており、代理空洞の遠位(遠い)端で「試験片」に接続する。代理空洞の試験片は、蒸気滅菌プロセス用の生物学的インジケータまたは化学インジケータを収容する。或いは、代理空洞の試験片は、蒸気滅菌プロセス全体の汚物またはバイオフィルムを除去する清浄化セグメントの効力を試験するため、生物汚染度試験用汚物またはバイオフィルム試験用汚物を収容することができる。滅菌プロセスの終わりにこれらの試験片を取り出し、病院または診療所の滅菌記録記入システムに記録する前に、更に発現させて読み取り結果を得ることができる。この概念の変形は、内視鏡の空洞内の1つ以上の位置に試験片、または他の生物学的インジケータ若しくは化学インジケータを挿入することである。
【0092】
現在のところ、軟性内視鏡は、以下に限定されないが、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、テフロン(Teflon;商標)、ポリウレタン、ポリプロピレン、ネオプレン、シリコーン、および天然ゴムエラストマー材料で構成されている。慣用的な蒸気滅菌サイクル中、これらの材料には、蒸気に曝露する間、または蒸気に曝露した後、直ぐに軟化および変形し、もはや機能し得ないものがある。蒸気滅菌器の極端な環境に対する耐性がより大きい、ポリサルホン、ポリカーボネートなどの高温プラスチックおよび金属が利用可能であり、これらの材料を蒸気滅菌可能なカセット、コネクタ、配管、および、本発明と関連する軟質包装の構成に使用できる。これらの材料は、高性能プラスチックと称され、当該技術分野で既知である。高性能プラスチック材料を使用し、蒸気滅菌プロセスに見い出される極端な熱および水分環境に耐える改良型の軟性内視鏡を構成することができる。高性能プラスチックの具体例には、ユーデル(UDEL)商標のポリサルホン、ウルテム(ULTEM)商標のポリエーテルイミド、およびラデル(RADEL)商標のポリエーテルおよびポリフェニルサルホン(ソルベイ(Solvay);R−5000,5100NT15,5500,5800)が挙げられる。軟性空洞および配管に好適な高性能プラスチックの具体例は、スチーム・セーフ(SteamSafe)商標の配管であり、これは、ほとんどの蒸気運転状態の極端な温度変動に耐えるポリテトラフルオロエチレン(例えば、テフロン(Teflon)商標)の内核を利用している。材料破壊が起ころうとしていることの初期警告インジケータとして、蒸気滅菌プロセス中に高性能軟性内視鏡がその耐用寿命の終わりに近づいていることを示すインジケータとしてポリマーブレンドを使用できるように、様々な融点を有するエンジニアリングプラスチックのブレンドも利用可能である。
【0093】
システム10の一部、および/または再処理される内視鏡(または他のデバイス)の一部として熱伝達部材を備えることにより、本明細書に記載される実施形態の性能を向上させてもよい。この一例は、システム10の内壁の外側表面と熱伝導連通しているヒートシンク部材(図示せず)を備えることであり、システム10の内部から外部へ熱伝達するため、システム10に冷却流体を用いてもよい。他の様々な熱伝達手法/デバイス(能動、受動、またはその両方)を使用してこの伝達を達成してもよい。
【0094】
また、それぞれ、加熱および冷却中の内視鏡Eへのおよび内視鏡Eからの熱伝達を改善するように内視鏡Eを構成してもよい。例えば、内視鏡Eの熱質量(thermal mass)を最小限にすることができる。同様に、内視鏡Eを構成するのに使用される材料は、別の種類のステンレス鋼よりも伝導性が大きい種類のステンレス鋼など、熱伝導性のより大きい材料から選択することができる。
【0095】
また、再処理蒸気に曝露される内視鏡Eのある一定の部分を、内視鏡Eの他の部分から(既知の内視鏡と比較して)より大きく隔離して、関連する熱質量を低減し、それによって、再処理中に再処理される部分が再処理温度に上昇する時間、およびこのような部分が再処理後に降温する時間を短縮することができる。このような曝露される部分を、現在、慣用的に使用されているものよりゲージの薄いステンレス鋼などの、より少ない熱質量で形成することができる。
【0096】
内視鏡Eは、電子部品、および電子部品を保護する電子部品閉鎖容器を備えることができる。この閉鎖容器は、水、蒸気などへの曝露を防止するため、液体または気体不透過性とすることができる。再処理装置またはシステム10は、再処理ベイ16および/または内視鏡の空洞内の圧力の変化を必要とする可能性があるため、内視鏡Eおよびシステム10は、電子部品閉鎖容器内の圧力を制御し、それに対する損害を防止する手段を備えることができる。例えば、内視鏡は、システム10の流体管路に接続可能な電子部品閉鎖容器へのガスポートを有することができ、その中を空気、窒素または別のガスが通流し、再処理ベイ16および/または内視鏡Eの空洞内の圧力が変化する時、電子部品閉鎖容器内の圧力を維持または変化させることができる。
【0097】
本発明の前述の装置、物品、組成物、および方法(これらの態様の使用方法、またはこれらの態様の使用を指示/推奨する方法を含む)の更に他の変形が本発明者らにより想到され、それには、他の構造、配置、組成物、前述の機能を提供する手段および工程が挙げられる。また、前述の実施形態は、軟性内視鏡のすすぎ、清浄化、消毒、および/または滅菌に最も有用な可能性があるが、他の様々な医療デバイスおよび非医療デバイスにも同様に有用であってよく、有用であることも明白である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施形態の外部斜視図である。
【図2】概ね、図1に示される実施形態の斜視図である。
【図3】図1および図2に示される実施形態と一緒に使用されてもよい、加圧洗浄アセンブリの斜視図である。
【図4A】図1〜図3に示される実施形態と一緒に使用されてもよい、加熱アセンブリの第1の実施形態の斜視図である。
【図4B】図1〜図3に示される実施形態と一緒に使用されてもよい、加熱アセンブリの第2の実施形態の斜視図である。
【図5】図1〜図4に示される実施形態と一緒に使用されてもよい、カセットまたは支持フレームの斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態による医療デバイスの再処理デバイスの液系統および空気系統を表す概略図である。
【図7】本発明の代替の実施形態の外部斜視図である。
【図8】流体管路および弁類を含む、図7に示される実施形態の上部分、または変形の側面図である。
【図9】流体管路および弁類を含む、図7に示される実施形態の下部分、または変形の側面図である。
【図10】図7に示される実施形態内の再処理ベイの破断斜視図である。
【図11】本明細書に記載され、および図示される実施形態に関して有用な分離器機構の斜視図である。
【図12】本明細書に図示および記載される実施形態の一部の正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側表面と空洞を有する内視鏡を再処理するための装置であって、
前記内視鏡を受容する再処理ベイを中に有する閉鎖容器;
前記再処理ベイと流体連通している蒸気供給源;
前記内視鏡の前記外側表面に蒸気を噴霧するために前記蒸気供給源と流体連通している流体噴霧器;
前記蒸気供給源と流体連通しており、前記蒸気供給源からの蒸気が通過して前記内視鏡の空洞に流入するように構成されている流体管路;
を具備する、装置。
【請求項2】
前記空洞が第1の空洞を有し、前記内視鏡が少なくとも1つの追加の空洞を具備し、前記流体管路が前記第1の空洞および前記追加の空洞と流体連通している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流体管路がポリマー配管を具備する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記内視鏡が、第1の内視鏡を有し、本装置が前記第1の内視鏡と第2の内視鏡を同時に再処理するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記再処理ベイが、1気圧を超える圧力、および1気圧未満の圧力に耐えるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記再処理ベイ内の圧力を変化させる手段を更に具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記再処理ベイ内の圧力を変化させるため、前記再処理ベイと流体連通している真空ポンプを更に具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記再処理ベイ内の圧力を感知するため、圧力センサを更に具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記再処理ベイが第1の内視鏡と第2の内視鏡を受容するように構成され、前記流体噴霧器が、前記第1の内視鏡に蒸気を噴霧するため、前記再処理ベイ内に第1回転蒸気部材を、および前記第2の内視鏡に蒸気を噴霧するため、前記再処理ベイ内に第2回転蒸気部材を具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記流体噴霧器が、前記第1および前記第2の内視鏡に蒸気を噴霧するため、前記再処理ベイ内に第3および第4の回転蒸気部材を更に具備する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1、第2、第3および第4の回転蒸気部材が、前記第1および前記第2の内視鏡に略水平方向に蒸気を噴霧するように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記流体噴霧器が、前記内視鏡に略鉛直方向に蒸気を噴霧するように配置および構成されている可動式噴霧器を備えて成る、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記蒸気供給源が第1の蒸気発生器を備えて成る、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記内視鏡に噴霧または流入される蒸気の熱含量を変化させる手段を更に具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記蒸気供給源が第1の蒸気供給源を備えて成り、前記熱含量を変化させる手段が、前記流体噴霧器および前記流体管路の少なくとも一方と流体連通している第2の蒸気供給源を具備する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第2の蒸気供給源が、前記第1の蒸気供給源により供給される蒸気とは異なる熱含量の蒸気を供給するように構成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つの温度センサを更に具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの温度センサが、前記内視鏡に噴霧される蒸気を感知するように配置されている温度センサを備えて成る、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの温度センサが、前記内視鏡に流入する蒸気を感知するように配置されている温度センサを備えて成る、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの温度センサが、前記内視鏡の一部の温度を感知するように配置されている温度センサを備えて成る、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記再処理ベイが第1の内視鏡と第2の内視鏡を受容するように構成され、前記再処理ベイが第1のガイドと第2のガイドを備え、本装置は、前記第1の内視鏡が掛けられ得る第1の内視鏡支持フレーム、および前記第2の内視鏡が掛けられ得る第2の内視鏡支持フレームを更に具備し、前記第1の支持フレームと前記第2の支持フレームは、それぞれ、前記第1のガイドと前記第2のガイド上で前記再処理ベイの中に案内されるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
本装置が、各第1および第2の内視鏡のための第1および第2の内視鏡管路コネクタを更に具備し、前記第1および第2の内視鏡が掛けられている前記第1および第2の内視鏡支持フレームを前記再処理ベイに挿入することによって、前記第1および第2の内視鏡コネクタが前記流体管路に接続されるように、前記第1および第2の内視鏡コネクタが、前記第1および第2の内視鏡の空洞の開口部に接続可能であり、且つ、それぞれ前記第1および第2の内視鏡支持フレームに取付け可能である、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
本装置が、蒸気の適用に加えて、前記内視鏡に液体を適用できるように、前記流体噴霧器と前記流体管路の少なくとも一方に接続されている液体供給源を更に具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記液体供給源が、水、洗剤、液体滅菌剤、液体消毒剤、液体除染剤、アルコール、およびバイオフィルム除去剤の少なくとも1つを含有する、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
本装置が、蒸気の適用に加えて、前記内視鏡に化学物質ガスを適用できるように、前記流体噴霧器と前記流体管路の少なくとも一方に接続されている化学物質供給源を更に具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記化学物質供給源が、ホルムアルデヒドを含有する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
本装置が、蒸気の適用に加えて、前記内視鏡にろ過空気を適用できるように、前記流体噴霧器と前記流体管路の少なくとも一方に接続されているろ過空気供給源を更に具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記蒸気供給源と流体連通し、且つ前記内視鏡に接続可能な流体コネクタ、および
前記内視鏡を本装置から取り外せるように、蒸気が前記内視鏡に流入した後、前記流体コネクタを前記内視鏡から分離させる手段、
を更に具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記蒸気供給源と流体連通し、且つ前記内視鏡に接続可能な流体コネクタ、および
前記内視鏡を本装置から取り外せるように、蒸気が前記内視鏡に流入した後、前記流体コネクタを前記内視鏡から分離させるための、前記流体コネクタに隣接して配置される分離器機構、
を更に具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記内視鏡上にまたは前記内視鏡内に流体が流れる時間の設定、流体温度、流体の種類、流体の流量、流体の圧力、流体の含水率の少なくとも1つを含む、本装置が実施する動作を制御するプログラム可能な制御装置を更に具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項31】
前記内視鏡の電子部品閉鎖容器内の圧力に影響を及ぼす手段を更に具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項32】
軟性内視鏡を再処理する方法であって、
外側表面と空洞を有する前記内視鏡を再処理装置の蒸気再処理ベイに入れる工程;
前記内視鏡の前記外側表面に蒸気を適用する工程;
前記内視鏡の前記空洞に蒸気を通流させる工程;および
前記再処理方法中、前記内視鏡の寸法変化を制御する工程;
を備えて成る方法。
【請求項33】
前記制御する工程が、前記内視鏡を構成する材料の膨張または収縮の少なくとも一方を制御することを含み、このような材料が熱可塑性物質、熱硬化性物質、金属、ガラスおよびセラミック材料の少なくとも1つである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記軟性内視鏡を提供する工程が、軟質ポリマー材料より成る内視鏡を提供することを含み、前記空洞が複数の空洞を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記蒸気を適用する工程および前記蒸気を通流させる工程の少なくとも一方が、約121℃〜約140℃の温度を有する蒸気を使用する、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記蒸気を適用する工程および前記蒸気を通流させる工程の少なくとも一方が、約132℃の温度を有する蒸気を使用する、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記蒸気を適用する工程および前記蒸気を通流させる工程の少なくとも一方が、約115℃〜約126℃の温度を有する蒸気を使用する、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記蒸気を適用する工程および前記蒸気を通流させる工程の少なくとも一方が、約121℃の温度を有する蒸気を使用する、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記蒸気を適用する工程および前記蒸気を通流させる工程の少なくとも一方が、約121℃より低温の蒸気を使用して開始し、後で、より高温の蒸気を使用して継続する、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記外側に適用され且つ前記空洞に流入される前記蒸気が飽和蒸気である、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記制御する工程が、蒸気を適用するため、および蒸気を通流させるための蒸気を提供することを含み、当該蒸気を提供する工程が、前記蒸気を適用する工程および前記蒸気を通流させる工程の少なくとも一方の間に前記蒸気の温度を変化させることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項42】
前記制御する工程が、前記蒸気を適用する工程および前記蒸気を通流させる工程の少なくとも一方で使用される蒸気の温度を制御することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項43】
前記制御する工程が、前記蒸気を適用する工程および前記蒸気を通流させる工程の少なくとも一方と共に、前記内視鏡の温度を制御することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項44】
前記制御する工程が、前記蒸気を適用する工程および前記蒸気を通流させる工程の少なくとも一方と共に、蒸気圧力を制御することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項45】
前記制御する工程が、前記蒸気を適用する工程および前記蒸気を通流させる工程の少なくとも一方と共に、蒸気の流量を制御することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項46】
支持フレーム上に前記内視鏡を載せる工程;
前記内視鏡の空洞開口部に内視鏡コネクタを取り付ける工程;
前記蒸気を適用する工程および前記蒸気を通流させる工程のために蒸気を供給する蒸気供給源を提供する工程;
前記蒸気供給源と流体連通し、且つ前記再処理ベイ内に配置される蒸気供給源コネクタを提供する工程;および
前記内視鏡コネクタが前記蒸気供給源コネクタに接続するように、前記内視鏡を挿入する工程;
を更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項47】
前記挿入する工程中、前記支持フレームを前記再処理チャンバ内に案内する少なくとも1つのガイドを前記再処理チャンバ内に設けることを更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記蒸気を適用する工程の前に、前記内視鏡の外側に適用することを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項49】
前記空洞が複数の空洞を含み、更に、前記蒸気を通流させる工程の前に前記内視鏡の空洞に液体を通流させることを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項50】
前記蒸気を適用する工程および前記蒸気を通流させる工程が、前記内視鏡の外側表面と内部表面を滅菌する、請求項32に記載の方法。
【請求項51】
前記蒸気を通流させる工程に続いて、前記内視鏡の少なくとも1つの空洞に空気を通流させることを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項52】
前記蒸気を通流させる工程が蒸気を通流させる第1の工程を含み、ここで、前記内視鏡の空洞に入る蒸気が第1の含水率を有し、本方法が、前記蒸気を通流させる工程に続いて、蒸気を通流させる第2の工程を更に含み、ここで、前記蒸気を通流させる第1の工程に続いて前記内視鏡の空洞に入る蒸気が第2の含水率を有し、前記第1の含水率が前記第2の含水率より大きい、請求項32に記載の方法。
【請求項53】
前記第2の含水率を有する蒸気が、前記内視鏡の前記空洞から凝縮液を除去する実質的に乾燥した蒸気より成る、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記内視鏡を前記再処理ベイに入れる前に、前記内視鏡の清拭、すすぎ、または洗浄の少なくとも1つを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項55】
前記蒸気を通流させる工程および前記蒸気を適用する工程の少なくとも一方の前に、前記内視鏡の清拭、すすぎ、または洗浄を行わない、請求項32に記載の方法。
【請求項56】
前記内視鏡が取り出し工程中に非滅菌面と接触しないように、滅菌バッグを通して前記再処理ベイ内に到達することにより、ユーザーが前記再処理ベイから前記内視鏡を取り出すことを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項57】
前記再処理ベイ内に到達する前に、前記滅菌バッグを前記再処理装置に取り付けることを更に含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記内視鏡を前記蒸気再処理ベイに入れることによって、前記内視鏡の空洞と流体連通している第1のコネクタが、前記再処理装置と連通している第2のコネクタに接続され、前記再処理装置からの蒸気が前記空洞に流入できる、請求項32に記載の方法。
【請求項59】
前記内視鏡を構成する材料への損傷を低減するため、冷却される時の前記内視鏡の収縮率を制御することを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項60】
前記冷却率の制御が、前記内視鏡内にまたは前記内視鏡上に流される、水、アルコール、他の液体、蒸気、空気および他のガスの少なくとも1つの温度、含水率および流量の少なくとも1つを制御することを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記内視鏡の電子部品を閉じ込める内視鏡閉鎖容器と、前記再処理装置のガス供給源との間にガスを流し、前記電子部品閉鎖容器内の圧力を変化させることを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項62】
内視鏡再処理装置と共に使用する内視鏡アセンブリであって、
中に空洞を有する内視鏡と、
再処理装置内で再処理する間、前記内視鏡が配置され得るフレームであって、前記再処理からの再処理流体が前記空洞に流入できるように、前記空洞に接続可能なアセンブリコネクタを具備し、当該再処理器コネクタが、前記フレームを前記再処理装置の中に挿入することにより、前記再処理装置の再処理コネクタに接続するように配置・構成されるようなフレームと、
を備える、内視鏡アセンブリ。
【請求項63】
前記フレームが、前記アセンブリコネクタと一体になっている前記内視鏡を保持する手段を具備する、請求項62に記載の内視鏡アセンブリ。
【請求項64】
前記内視鏡と前記アセンブリコネクタとに接続可能で、それらの間を接続可能な管路を更に具備し、前記再処理装置からの再処理流体が前記アセンブリコネクタと前記管路を通って前記空洞に流入することができるような、請求項62に記載の内視鏡アセンブリ。
【請求項65】
前記内視鏡は、再処理流体が前記空洞に入ることができる空洞入口ポート、および再処理流体が前記空洞から出ることができる空洞出口ポートを備える、請求項62に記載の内視鏡アセンブリ。
【請求項66】
前記内視鏡が電子部品閉鎖容器内に電子部品を有し、前記内視鏡閉鎖容器がガス供給源からのガスを受容するガスポートを有し、前記電子部品閉鎖容器内の圧力に影響を及ぼす、請求項62に記載の内視鏡アセンブリ。
【請求項67】
内視鏡処置の後に前記内視鏡を再処理する方法であって、
外側表面と空洞を有する前記内視鏡を再処理装置の蒸気再処理ベイに入れる工程;
前記内視鏡の外側表面に蒸気を適用する工程;
前記内視鏡の空洞に蒸気の流れを通流させる工程;および
再処理方法中、前記内視鏡の温度を制御する工程;
を備えて成る方法。
【請求項68】
前記内視鏡が、前記入れる工程の前に内視鏡処置に使用されたものである、請求項67に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2006−503675(P2006−503675A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551627(P2004−551627)
【出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2003/034476
【国際公開番号】WO2004/043499
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(596140092)ミンテック コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】