説明

軟骨関連疾患治療剤

本発明は、EP2および/またはEP3作動活性を有する物質を有効成分として含有する軟骨関連疾患治療剤に関する。EP2および/またはEP3作動活性を有する物質は、軟骨生成促進作用、軟骨細胞増殖促進作用、軟骨細胞分化促進作用、軟骨石灰化抑制作用ならびに軟骨分解抑制作用、またはインテグリンmRNA発現促進作用、ファイブロネクチンmRNA発現促進作用、サイクリンD1mRNA発現促進作用ならびにオステオポンチンmRNA発現抑制作用を有し、軟骨関連疾患治療剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、選択的EP2および/またはEP3作動活性を有する物質を含有する軟骨障害治療剤および軟骨移植体製造用剤に関する。
【背景技術】
疼痛、可動域制限などの原因となる関節軟骨病変には、変形性関節症、慢性関節リウマチ、外傷性あるいは骨壊死症に伴う離断性軟骨骨炎など種々の病変があり、特に高齢化社会を迎えて変形性関節症の患者数は著しく増加している。関節軟骨組織は修復能に乏しいため、微小病変であっても治療し難く、徐々に進行し、最終的には変形性関節症に至ることが知られている。現行の治療方法の多くは非ステロイド性抗炎症剤による炎症沈静化および疼痛抑制など対症療法が主体である。ヒアルロン酸製剤の注入も軟骨組織再生には至らない。近年、新たな治療法として軟骨欠損部への自家軟骨細胞移植が行なわれているが、対象が部分的な病変に限定されること、軟骨採取部位の将来的な問題、実施にあたって厳格に管理された培養施設が必要になるなどの理由で、実効的な治療法としては確立されていない。高齢化社会の進行に伴い、今後、特に変形性関節症の初期病態からの進行を防止できるような軟骨障害治療剤の開発が期待されている。
これまでに、プロスタグランジンE2(PGE2と略記する。)の投与により、軟骨の損傷を抑制する作用を有することが報告されており(特開平6−227985号、US6,133,230号)、プロスタグランジン受容体(EP)作動物質は、有効な軟骨障害治療剤となり得ると期待される。PGE2は、アラキドン酸カスケード中の代謝産物であり、その作用は、細胞保護作用、子宮収縮、発痛作用、消化管の嬬動運動促進、覚醒作用、胃酸分泌抑制作用、血圧降下作用、および利尿作用等を有していることが知られている。しかしながら、PGE2自体は、その生理活性が多岐にわたるため、目的とする作用以外の作用が副作用となってしまう欠点を有している。
PGE2受容体には、それぞれ役割の異なったサブタイプの存在が分かっており、これまでにEP1、EP2、EP3、EP4のサブタイプが同定されている(ジャーナル・オブ・リピッド・メディエーターズ・セル・シグナリング(Journal of Lipid Mediators Cell Signalling),1995年,第12巻,p.379−391参照)。そのため、それらサブタイプと軟骨との関連を調べ、特定のサブタイプのみに作用する化合物を得ることによって、副作用の少ない軟骨障害治療剤を開発できると期待される。
これまでに、非特異的なEPアゴニストによる軟骨損傷抑制作用あるいは軟骨基質産生促進作用に関する報告がある(特開平6−227985号公報およびUS6,133,230号明細書参照)。しかし、特定のEPサブタイプと軟骨障害における関節軟骨生成促進、軟骨細胞増殖、軟骨分解抑制、軟骨細胞分化促進あるいは骨石灰化抑制作用との関連についての報告はない。
これまでに、報告されている選択的EP2作動物質として、EP860430号明細書記載の化合物、ONO−8815(特開平11−193268号公報およびジャパン・ジャーナル・オブ・ファルマコロジー(Japan Journal of Pharmacology),1999年,第79(Suppl.I)巻,p.604参照)、特開2000−128858号公報記載の化合物、WO99/33794号パンフレット記載の化合物、EP974580号明細書記載の化合物、WO95/19964号パンフレットに記載の化合物、WO98/28264号パンフレット記載の化合物、WO99/19300号パンフレット記載の化合物、EP0911321号明細書記載の化合物、AH−13205(カルディオバソキュラー・ドラッグ・レビュー(Cardiovascular Drug Reviews),1993年,第11巻,第2号,p.165−179参照)、CP−533536(EP11108426号明細書参照)、WO98/58911号パンフレット記載された化合物、US5,698,598号明細書記載の化合物、US6,376,533号明細書記載の化合物、ブタプロスト(Butaprost)もしくはライオプロスト(Rioprostil)(US4,132,738号明細書参照)、ミソプロストール(Misoprostol)(US3,965,143号明細書参照)、およびAY23626(アドバンシーズ・イン・プロスタグランジン,トロンボキサン,アンド・ロイコトリエン・リサーチ(Advances in Prostaglandin,Thromboxane,and Leukotriene Research),1987年,第17A巻,p.467−70参照)がある。
一方、選択的EP3作動物質としては、WO98/34916号パンフレット記載の化合物、特開平7−215929号公報記載の化合物、特開平8−239356号公報記載の化合物、WO97/05091号パンフレット記載の化合物、WO99/25358号パンフレット記載の化合物、特開平11−012249号公報記載の化合物、特開平10−168056号公報記載の化合物、特開平7−233145号公報記載の化合物、TEI−3356(US4,692,464号明細書およびプロスタグランジンズ(Prostaglandins),1994年,第48巻,第5号,p.275−83参照)、M&B28767(特表昭51−125255号公報およびフェブス・レター(FEBS Letter),1994年,第338巻,第2号,p.170−174参照)、GR63799X(特開昭61−249951号公報およびアドバンシーズ・イン・プロスタグランジン,トロンボキサン,アンド・ロイコトリエン・リサーチ(Advances in Prostaglandin,Thromboxane,and Leukotriene Research),1991年,第21A巻,p.379−82参照)、SC−46275(US4,863,961号明細書およびジャーナル・オブ・ファルマコロジー・アンド・エクスペリメンタル・セラピューティクス(Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics),1991年,第259巻,第3号,p.1004−7参照)、エンプロスチル(Enprostil)(US3,985,791号明細書参照)、サルプロストン(Sulprostone)(EP0139608号明細書参照)が報告されている。
しかし、これらEP2あるいはEP3作動物質に関する報告には、軟骨障害における軟骨生成促進、軟骨細胞増殖、軟骨分解抑制、軟骨細胞分化促進もしくは軟骨石灰化抑制のメカニズムとの関連、または軟骨障害における使用は記載されていない。
【発明の開示】
本発明の課題は、EP2および/またはEP3作動物質を含有する軟骨関連疾患治療剤を提供することにある。
本発明者らは、EP2およびEP3発現が骨端部軟骨に局在していることを見出し、さらに、軟骨細胞や軟骨組織を用いた種々の機能解析を行なった結果、選択的EP2および/またはEP3作動物質に軟骨生成促進作用が存在することを見出した。この作用は、本発明者らが初めて見出したものである。
すなわち、本発明は、
1.EP2および/またはEP3作動活性を有する物質を有効成分として含有する軟骨関連疾患治療剤、
2.軟骨障害治療剤である前記1に記載の軟骨関連疾患治療剤、
3.軟骨移植体製造用剤である前記1に記載の軟骨関連疾患治療剤、
4.軟骨生成促進作用、軟骨細胞増殖促進作用、軟骨細胞分化促進作用、軟骨石灰化抑制作用および軟骨分解抑制作用から選択される一以上の作用を有する前記2または3記載の軟骨関連疾患治療剤、
5.軟骨細胞培養用剤である前記3記載の軟骨関連疾患治療剤、
6.インテグリンmRNA発現促進作用、ファイブロネクチンmRNA発現促進作用、サイクリンD1mRNA発現促進作用およびオステオポンチンmRNA発現抑制作用から選択される一以上の作用を有する前記2または3記載の軟骨関連疾患治療剤、
7.軟骨生成促進作用、軟骨細胞増殖促進作用、軟骨細胞分化促進作用、軟骨石灰化抑制作用、および軟骨分解抑制作用から選択される一以上の作用が、軟骨細胞または軟骨組織でのインテグリンmRNA発現促進、ファイブロネクチンmRNA発現促進、サイクリンD1mRNA発現促進、およびオステオポンチンmRNA発現抑制から選択される一以上に基づく作用である前記4記載の軟骨関連疾患治療剤、
8.軟骨細胞増殖促進作用がサイクリンD1mRNA発現促進に基づく作用である前記7記載の軟骨関連疾患治療剤、
9.軟骨石灰化抑制作用がオステオポンチンmRNA発現抑制に基づく作用である前記7記載の軟骨関連疾患治療剤、
10.トランスフォーミング増殖因子−β、インスリン様増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、上皮増殖因子、成長ホルモン、および血小板由来増殖因子から選択される一以上の物質と前記1記載のEP2および/またはEP3作動活性を有する物質との組み合わせからなる軟骨関連疾患治療剤、
11.EP2および/またはEP3作動活性を有する物質を投与することを特徴とする軟骨障害治療方法、
12.EP2および/またはEP3作動活性を有する物質を添加することを特徴とする軟骨移植体製造方法、
13.軟骨障害治療剤製造のため、または軟骨移植体製造用剤製造のためのEP2および/またはEP3作動活性を有する物質の使用、
14.EP2作動活性を有する物質が、EP860430号明細書に記載された化合物、WO99/33794号パンフレットに記載の化合物、EP974580号明細書に記載の化合物、WO2003/74483号パンフレットに記載の化合物、WO95/19964号パンフレットに記載の化合物、WO98/28264号パンフレットに記載の化合物、WO99/19300号パンフレットに記載の化合物、EP0911321号明細書に記載の化合物、US4,132,738号明細書に記載の化合物およびUS3,965,143号明細書に記載の化合物から選択される一以上の化合物である前記1記載の軟骨関連疾患治療剤、
15.(1)(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸、
(2)(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロプロスタ−5,13,19−トリエン酸、
(3)トランス−2−(4−(1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソシクロペンタンヘプタン酸、
(4)2−[3−(4−tert−ブチルベンジル)−N−(ピリジン−3−イルスルホニル)アミノ−メチル]フェノキシ]酢酸、
(5)[1R[1α,2β(1E,4R),3α]]−3−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(1−プロピルシクロブチル)−1−ブテニル]−5−オキソシクロペンタン−ヘプタン酸 メチルエステル、
(6)(2R,3R,4R)−4−ヒドロキシ−2−(7−ヒドロキシヘプチル)−3−[(E)−(4RS)−(4−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテニル)]シクロペンタノン、および
(7)(+/−)−15−デオキシ−16−α,β−ヒドロキシ−16−メチル
PGE1メチルエステルから選択される一以上の化合物である前記14記載の軟骨関連疾患治療剤、
16.EP3作動活性を有する物質が、WO98/34916号パンフレットに記載の化合物、特開平8−239356号公報に記載の化合物、US4,692,464号明細書に記載の化合物、特開昭61−249951号公報に記載の化合物、US4,863,961号明細書に記載の化合物およびUS3,985,791号明細書に記載の化合物から選択される一以上の化合物である前記1記載の軟骨関連疾患治療剤、
17.(1)11α,15α−ジメトキシ−9−オキソプロスタ−5Z,13E−ジエン酸、
(2)2−[5−[2−[N−(ジフェニルメチル)カルバモイル]エチル]ナフタレン−1−イルオキシ]酢酸、
(3)(1S,5S,6R,7R)−5−[7−ヒドロキシ−6−[3(S)−ヒドロキシ−3−メチル−1(E)−オクテニル]ビシクロ[3.3.0]オクト−2−エン−3−イル]ペンタン酸、
(4)(−)−[1(R)−[1α(Z),2β(R),3α]]−7−[3−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)−5−オキソシクロペンチル]−4−ヘプテン酸 4−(ベンゾイルアミノ)フェニルエステル、
(5)メチル−7−(2β−(6−(1−シクロペンチル−イル)−4R−ヒドロキシ−4−メチル−1E,5E−ヘキサジエニル)−3α−ヒドロキシ−5−オキソ−1R,1α−シクロペンチル)−4Z−ヘプテン酸、および
(6)9−オキソ−11α,15α−ジヒドロキシ−16−フェノキシ−17,18,19,20−テトラノルプロスタ−4,5,13−トランス−トリエン酸メチルエステルから選択される一以上の化合物である前記16記載の軟骨関連疾患治療剤、
18.EP3作動活性を有する物質が、16−フェノキシ−ω−17,18,19,20−テトラノル−PGEメチルスルフォナミドまたはその塩である前記1記載の軟骨関連疾患治療剤、および
19.前記1記載の軟骨関連疾患治療剤のスクリーニング方法に関する。
軟骨は、軟骨細胞とこれを取り囲む基質からなる結合組織であり、例えば、関節、脊柱の椎間板、肋軟骨、耳介、外耳道、恥骨結合、咽喉蓋に存在する。本発明中の軟骨は、少なくともこれら軟骨組織を含む。軟骨組織は、軟骨細胞と軟骨細胞が産生する軟骨基質からなる。本明細書および請求の範囲中に記載される軟骨細胞とは、軟骨組織中の軟骨細胞、分離された軟骨細胞、単離精製された初代培養軟骨細胞および軟骨細胞株を含む。一方、軟骨基質の主成分はプロテオグリカン、コラーゲン(II型、IX型など)である。
軟骨は、生体機能維持の上で重要な役割を有しており、骨端の摩擦低減、弾性保持、または運動機能維持が挙げられる。本発明の軟骨関連疾患とは、軟骨障害を伴う疾患であり、例えば、慢性関節リウマチ、骨粗鬆症、変形性関節症、骨・軟骨欠損、軟骨損傷、関節円板損傷、半月板損傷、軟骨形成異常症、骨折の修復・治癒不全、再骨折、軟骨骨形成不全、軟骨無形成症、骨変形・変形脊椎症、軟骨発育不全、軟骨異栄養症、関節軟骨石灰化症、急性化膿性関節炎、結核性関節炎、梅毒性関節炎、全身性エリテマトーデス、変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、スポーツによる外傷、キーパンチャー病、骨肉腫、骨髄腫、骨軟化症、くる病、線維性骨炎、腎性骨異栄養症、または骨ベーチェット病が挙げられ、その患部の軟骨組織の欠損に伴う機能障害を生じる。本発明の軟骨関連疾患治療剤は、これら疾患の予防および/または治療あるいは疾患に伴う機能障害を改善することが期待できる。また、上記疾患に認められる軟骨障害自体を直接に予防および/または治療することも期待できる。
本発明の軟骨障害治療剤の一部は、軟骨生成促進作用を介してその治療効果を発揮する。軟骨生成促進作用とは、軟骨組織、特に骨端部での軟骨組織の生成促進を意味し、さらには軟骨組織の機能維持をも含む作用である。その一部は、軟骨細胞増殖促進、軟骨細胞分化促進、軟骨石灰化抑制、または軟骨分解抑制のいずれかの作用またはそれらの複合的な組み合わせを介する。
軟骨組織は、軟骨細胞等の実質細胞とその細胞間物質である軟骨基質から構成される。軟骨基質の主成分はプロテオグリカン、コラーゲン(II型、IX型など)である。プロテオグリカンは軟骨組織特有の膨潤性に関与し、コラーゲン線維は軟骨の剛性に関与することが知られている。軟骨特異的プロテオグリカンであるアグレカンは、軟骨基質中のプロテオグリカンの90%以上を占め、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸鎖らのグルコサミノグリカン鎖が、軟骨のコア蛋白に結合して巨大分子を形成している。本発明の軟骨生成促進剤による軟骨生成促進作用は、組織を構成する実質細胞、特に軟骨細胞の分化および増殖と軟骨基質の適切な産生促進作用を意味する。また、本発明の軟骨生成促進剤による軟骨組織の機能維持とは、軟骨生成と軟骨石灰化、または軟骨分解の適切なバランスの制御を意味する。
軟骨細胞は、未分化間質系幹細胞に由来し、軟骨前駆細胞、増殖軟骨細胞、成熟軟骨細胞および肥大化軟骨細胞への分化の度合いによって分類される。本発明の軟骨細胞分化促進剤による軟骨細胞分化促進作用は、未分化間質系幹細胞、または軟骨前駆細胞から、軟骨組織の生成と機能維持に関わる増殖軟骨細胞、または成熟軟骨細胞への分化を促進する作用を意味する。
骨組織の修復過程においては、まず、軟骨組織が形成され、これが骨芽細胞に分化して骨組織で置換され、骨修復が完了する。このような軟骨形成を介する骨形成は、軟骨性骨化と呼ばれ、軟骨の由来となる軟骨細胞の増殖、成熟化が正常な骨化修復をもたらすものと考えられている。軟骨細胞の増殖を促進する因子として、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)、インスリン様増殖因子(IGF−I)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、上皮増殖因子(EGF)とインシュリンの組み合わせ、成長ホルモン(GH)、血小板由来増殖因子(PDGF)等が知られている。本発明の軟骨細胞増殖促進剤は、単独で、または上記増殖促進因子とともに使用することによって、軟骨細胞増殖促進作用を有する。
石灰化とは、石灰または他の不溶性カルシウム塩の沈着をいい、通常は、骨や歯の形成過程で発生する炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムが沈殿または沈着して、組織あるいは体内の非細胞性物質が硬化する過程をいう。この過程は、通常、カルシウム塩が基質内に沈着した軟骨が骨組織に変わる前や、時として老化した軟骨にみられる。軟骨石灰化の疾患として挙げられる関節軟骨石灰化症は、軟骨石灰化異常に起因する代表的な症状である。本発明の軟骨石灰化抑制剤は、総じて、軟骨が異常に亢進した石灰化によって骨化する過程を抑制して過度の石灰化を防止する軟骨石灰化抑制作用を有し、軟骨組織の機能維持を促すことができる。
軟骨分解は、主に軟骨組織を構成する軟骨基質分解を指す。例えば、関節炎疾患においては、コラーゲンとプロテオグリカンの分解、変性が観察され、軟骨アグリカン分解を担うプロテアーゼが同定されている(ジャーナル・オブ・バイオロジカルケミストリー(Journal of Biological Chemistry)、2000年,第275巻,第24号,p.18566−73)。本発明の軟骨分解抑制剤は軟骨分解抑制作用を有するため、いずれの機構によるかを問わず、軟骨基質の分解を抑制することによって軟骨組織が有する膨潤性、弾性、または剛性保持の低下に基く機能低下を抑えることができる。
本発明で使用するEP2および/またはEP3作動活性を有する物質とは、EP2作動活性を有する物質、EP3作動活性を有する物質またはEP2作動活性およびEP3作動活性を有する物質を含む。
EP2作動活性を有する物質には、選択的にEP2作動活性を有する物質、さらに特異的にEP2作動活性を有する物質が含まれる。
選択的にEP2作動活性を有する物質は、EP3作動活性を有していてもよく、好ましくは、その作動活性が、EP2作動活性の約1/10以下または約1/100以下、好ましくは約1/1000以下である物質を含む。一方、特異的にEP2作動活性を有する物質は、EP2以外のプロスタグランジン受容体作動活性のいずれもが、EP2作動活性の約1/10以下または約1/100以下、好ましくは約1/1000以下、より好ましくは約1/10000以下である物質を含む。
EP3作動活性を有する物質には、選択的にEP3作動活性を有する物質、さらに特異的にEP3作動活性を有する物質が含まれる。
選択的にEP3作動活性を有する物質は、EP2作動活性を有していてもよく、好ましくは、その作動活性が、EP3作動活性の約1/10以下または約1/100以下、好ましくは約1/1000以下である物質を含む。一方、特異的にEP3作動活性を有する物質は、EP3以外のEP作動活性のいずれもが、EP3作動活性の約1/10以下または約1/100以下、好ましくは約1/1000以下、より好ましくは約1/10000以下である物質を含む。
EP2作動活性およびEP3作動活性を有する物質は、両作動活性を有する物質を意味し、EP3よりEP2作動活性が強い物質、EP2よりEP3作動活性が強い物質またはほぼ同等の作動活性を有する物質を含む。
本発明のEP2および/またはEP3作動活性を有する物質は、EP1、EP4、プロスタグランジン受容体作動活性を含んでいてもよいが、好ましくは、それら活性がEP2またはEP3のいずれか低い方の作動活性の約1/10以下または約1/100以下、好ましくは約1/1000以下である物質を含む。
特に、EP1およびEP4作動活性が、EP2またはEP3のいずれか低い方の作動活性の1/10以下または1/100以下、好ましくは1/1000以下である物質は、軟骨細胞または軟骨組織に対して選択的に作用することを特徴としている。従って、この様な物質は、非選択的なEP作動物質では認められなかった軟骨生成促進、軟骨細胞増殖促進、軟骨細胞分化促進、軟骨石灰化抑制、または軟骨分解抑制、さらには軟骨障害治療効果を有している。
本発明に係る化合物を示す式中、特に断わらない限り、当業者にとって明

本発明に使用される化合物については、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、二重結合、環、縮合環における異性体(E、Z、シス、トランス体)、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β配置、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、回転異性体、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。
本発明のEP2作動活性を有する物質として、EP860430号明細書に記載された化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(1−1)

[式中、Rはカルボキシ基またはヒドロキシメチル基を表わし、
1−1はオキソ基、メチレン基、またはハロゲン原子を表わし、
1−2は水素原子、水酸基、またはC1〜4のアルコキシ基を表わし、
1−3は水素原子、C1〜8のアルキル基、C2〜8のアルケニル基、C2〜8のアルキニル基、または1〜3個の以下の(1)〜(5)の基で置換されているC1〜8のアルキル基、C2〜8のアルケニル基、またはC2〜8のアルキニル基を表わし;(1)ハロゲン原子、(2)C1〜4のアルコキシ基、(3)C3〜7のシクロアルキル基、(4)フェニル基、または(5)1〜3個のハロゲン原子、C1〜4のアルキル基、C1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、またはトリフルオロメチル基で置換されているフェニル基、
nは0または1〜4の整数を表わす。
ただし、(1)5−6位と13−14位は同時に三重結合を表わさない。(2)13−14位が二重結合を表わすとき、その二重結合はE体、Z体、またはEZ体の混合物を表わす。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
一般式(1−1)で示される化合物のうち、より好ましくは、例えば、(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸およびそのリジン塩(この化合物は、それぞれONO−8815およびONO−8815Lyとも称される(ジャパン・ジャーナル・オブ・ファルマコロジー(Japan Journal of Pharmacology),1999年,第79(Suppl.I)巻,p.604、特開平11−193268号公報)。)、または(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロプロスタ−5,13,19−トリエン酸(特開2000−128858号公報参照)またはその塩が挙げられる。
一般式(1−1)中、C1〜4アルキル基とはメチル、エチル、プロピル、ブチルおよびそれらの分枝型異性体基を意味し、C1〜8アルキル基とはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびそれらの分枝型異性体基を意味し、C2〜8アルケニル基とはビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニルおよびそれらの分枝型異性体基を意味し、C2〜8アルキニル基とは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニルおよびそれらの分枝型異性体基を意味し、C1〜4アルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびそれらの分枝型異性体基を意味し、C3〜7シクロアルキル基とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル基を意味し、ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
さらに、本発明のEP2作動活性を有する物質として、WO99/33794号パンフレットに記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(1−2)

[式中、Aはベンゼン、チオフェン、またはフラン環を表わし、
2−1は水酸基、C1〜6のアルコキシ基、またはNR2−102−11基(基中、R2−10およびR2−11は、独立して水素原子またはC1〜4のアルキル基を表わす。)で示される基を表わし、
2−2はC1〜4のアルキレン基、C2〜4のアルケニレン基、−S−C1〜4のアルキレン基、−S−C2〜4のアルケニレン基、またはC1〜4のアルキレン−S−基を表わし、
2−3はオキソ基、メチレン基、ハロゲン原子、またはR2−32−COO−基(基中、R2−32はC1〜4のアルキル基、C1〜4のアルコキシ基、フェニル基、フェニル−C1〜4のアルキル基、R2−33−OOC−C1〜4のアルキル基、またはR2−33−OOC−C2〜4のアルケニル基(R2−33は水素原子またはC1〜4のアルキル基を表わす。)を表わす。)で示される基を表わし、
2−4は水素原子、水酸基、またはC1〜4のアルコキシ基を表わし、
2−5はC1〜8のアルキル基、C2〜8のアルケニル基、C2〜8のアルキニル基、1〜3個の以下の(1)〜(5)の基で置換されているC1〜8のアルキル基、C2〜8のアルケニル基、またはC2〜8のアルキニル基を表わし;(1)ハロゲン原子、(2)C1〜4のアルコキシ基、(3)C3〜7のシクロアルキル基、(4)フェニル基、または(5)1〜3個のハロゲン原子、C1〜4のアルキル基、C1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、またはトリフルオロメチル基で置換されているフェニル基、
naは0または1〜4の整数を表わし、
−−−−は、単結合または二重結合を表わす。
ただし、8−9位が二重結合を表わす場合は、R2−3は、R2−32−COO−(基中、R2−32は前記と同じ意味を表わす。)で示される基であり、R2−1はC1〜6のアルコキシを表わす。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
一般式(1−2)中、R2−11、R2−12、R2−32、R2−33、およびR2−5中のC1〜4のアルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびそれらの異性体を意味し、R2−5が表わすC1〜8のアルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびそれらの異性体を意味し、R2−32、R2−4、およびR2−5が表わすC1〜4のアルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびそれらの異性体を意味し、R2−1が表わすC1〜6のアルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシおよびそれらの異性体を意味し、R2−32中のC2〜4のアルケニル基とは、ビニル、プロペニル、ブテニルおよびそれらの異性体を意味し、R2−2が表わすC1〜4のアルキレン基とは、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレンおよびそれらの異性体を意味し、R2−2が表わすC2〜4のアルキレン基とは、ビニレン、プロペニレン、ブテニレンおよびそれらの異性体を意味する。一般式(1−2)中、R2−3が表わすC2〜8のアルケニル基とは、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニルおよびそれらの異性体を意味し、R2−5が表わすC2〜8のアルキニル基とは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニルおよびそれらの異性体を意味し、R2−5中のC3〜7のシクロアルキル基とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル基を意味し、R2−3およびR2−5中のハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
さらに、本発明のEP2作動活性を有する物質として、EP974580号明細書に記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(1−3)

[式中、R3−1はヒドロキシ基、C1〜6のアルコキシ基、またはNR3−113−12基(基中、R3−11およびR3−12は独立して、水素原子またはC1〜6のアルキル基を表わす。)を表わし、
は塩素原子またはフッ素原子を表わし、
3−2は水素原子、C1〜8のアルキル基、C2〜8のアルケニル基、C2〜8のアルキニル基、1〜3個の以下の(1)〜(5)の基で置換されているC1〜8のアルキル基、C2〜8のアルケニル基、またはC2〜8のアルキニル基を表わし;(1)ハロゲン原子、(2)C1〜4のアルコキシ基、(3)C3〜7のシクロアルキル基、(4)フェニル基、または(5)1〜3個のハロゲン原子、C1〜4のアルキル基、C1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、またはトリフルオロメチル基で置換されているフェニル基、
nbは0または1〜4の整数を表わす。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
一般式(1−3)中、R3−2中の置換基が表わすC1〜4のアルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびそれらの異性体を意味し、R3−11およびR3−12が表わすC1〜6のアルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびそれらの異性体を意味し、R3−2が表わすC1〜8のアルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびそれらの異性体を意味し、R3−2が表わすC2〜8のアルケニル基とは、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニルおよびそれらの異性体を意味し、R3−2が表わすC2〜8のアルキニル基とは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニルおよびそれらの異性体を意味し、R3−2中の置換基が表わすC1〜4のアルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびそれらの異性体を意味し、R3−1が表わすC1〜6のアルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシおよびそれらの異性体を意味し、R3−2中の置換基が表わすC3〜7のシクロアルキル基とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル基を意味し、R3−2中の置換基が表わすハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
さらに、本発明のEP2作動活性を有する物質として、WO2003/74483号パンフレットに記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(1−4)

[式中、Tは酸素原子または硫黄原子を表わし、
は−CH−基、−O−基、または−S−基を表わし、
はA4−1またはA4−2を表わし、
4−1は1〜2個のC1〜4アルキル基で置換されていてもよい直鎖のC2〜8アルキレン基、1〜2個のC1〜4アルキル基で置換されていてもよい直鎖のC2〜8アルケニレン基、または1〜2個のC1〜4アルキル基で置換されていてもよい直鎖のC2〜8アルキニレン基を表わし、
4−2は−G4−1−G4−2−G4−3−基を表わし、
4−1は1〜2個のC1〜4アルキル基で置換されていてもよい直鎖のC1〜4アルキレン基、1〜2個のC1〜4アルキル基で置換されていてもよい直鎖のC2〜4アルケニレン基、または1〜2個のC1〜4アルキル基で置換されていてもよい直鎖のC2〜4アルキニレン基を表わし、
4−2は−Y−基、−環1−基、−Y−環1−基、−環1−Y−基、または−Y−C1〜4アルキレン−環1−基を表わし、
は−S−基、−SO−基、−SO−基、−O−基、または−NR4−1−基を表わし、
4−1は水素原子、C1〜10アルキル基、またはC2〜10アシル基を表わし、
4−3は単結合、1〜2個のC1〜4アルキル基で置換されていてもよい直鎖のC1〜4アルキレン基、1〜2個のC1〜4アルキル基で置換されていてもよい直鎖のC2〜4アルケニレン基、または1〜2個のC1〜4アルキル基で置換されていてもよい直鎖のC2〜4アルキニレン基を表わし、
はD4−1またはD4−2を表わし、
4−1は−COOH基、−COOR4−2基、テトラゾール−5−イル基、または−CONR4−3SO4−4基を表わし、
4−2はC1〜10アルキル基、フェニル基、フェニル基で置換されたC1〜10アルキル基、またはビフェニル基を表わし、
4−3は水素原子またはC1〜10アルキル基を表わし、
4−4はC1〜10アルキル基またはフェニル基を表わし、
4−2は−CHOH基、−CHOR4−5基、水酸基、−OR4−5基、ホルミル基、−CONR4−64−7基、−CONR4−6SO4−8基、−CO−(NH−アミノ酸残基−CO)−OH基、−O−(CO−アミノ酸残基−NH)−H基、−COOR4−9基、−OCO−R4−10基、−COO−Z4−1−Z4−2−Z4−3基、

を表わし、
4−5はC1〜10アルキル基を表わし、
4−6およびR4−7はそれぞれ独立して、水素原子またはC1〜10アルキル基を表わし、
4−8はフェニル基で置換されたC1〜10アルキル基を表わし、
4−9はC1〜10アルキル基、C1〜10アルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいビフェニル基で置換されたC1〜10アルキル基、またはC1〜10アルキル基、C1〜10アルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたビフェニル基を表わし、
4−10はフェニル基またはC1〜10アルキル基を表わし、mは1または2の整数を表わし、
4−1はC1〜15アルキレン基、C2〜15アルケニレン基、またはC2〜15アルキニレン基を表わし、
4−2は−CO−基、−OCO−基、−COO−基、−CONR4−Z1−基、−NR4−Z2CO−基、−O−基、−S−基、−SO−基、−SO−NR−基、−NRSO−基、−NR4−Z3−基、−NR4−Z4CONR4−Z5−基、−NR4−Z6COO−基、−OCONR4−Z7−基、またはOCOO−基を表わし、
4−3は水素原子、C1〜15アルキル基、C2〜15アルケニル基、C2〜15アルキニル基、環Z、またはC1〜10アルコキシ基、C1〜10アルキルチオ基、C1〜10アルキル−NR4−Z8−基、または環Zで置換されたC1〜10アルキル基を表わし、
環Zは一部または全部が飽和されていてもよいC3〜15の単環、二環、または三環式炭素環アリール、または酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、一部または全部が飽和されていてもよい3〜15員の単環、二環、または三環式ヘテロ環アリールを表わし、
4−Z1、R4−Z2、R4−Z3、R4−Z4、R4−Z5、R4−Z6、R4−Z7およびR4−Z8はそれぞれ独立して、水素原子またはC1〜15アルキル基を表わし、
4−Z1とZ4−3基はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、5〜7員の単環飽和ヘテロ環を表わしてもよく、上記ヘテロ環はさらに酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される1個のヘテロ原子を含んでもよく、環ZおよびR4−Z1とZ4−3が結合している窒素原子と一緒になって表わす単環飽和ヘテロ環は、C1〜15アルキル基、C2〜15アルケニル基、C2〜15アルキニル基、C1〜10アルコキシ基、C1〜10アルキルチオ基、およびC1〜10アルキル−NR4−Z9−基で置換されたC1〜10アルキル基から選択される、1〜3個の基で置換されてもよく、
4−Z9は水素原子またはC1〜10アルキル基を表わし、
はE4−1またはE4−2を表わし、

4−11はC1〜10アルキル基、C1〜10アルキルチオ基、環2で置換されたC1〜10アルキル基、または−W4−1−W4−2−環2で置換されたC1〜10アルキル基を表わし、
4−1は、−O−基、−S−基、−SO−基、−SO−基、−NR4−11−1−基、カルボニル基、−NR4−11−1SO−基、カルボニルアミノ基、またはアミノカルボニル基を表わし、
4−11−1は水素原子、C1〜10アルキル基、またはC2〜10アシル基を表わし、
4−2は、C1〜4アルキル基、ハロゲン原子、または水酸基で置換されていてもよいC1〜8アルキル基を表わし、
4−2はU4−1−U4−2−U4−3基または環4基を表わし、
4−1はC1〜4アルキレン基、C2〜4アルケニレン基、C2〜4アルキニレン基、−環3−基、C1〜4アルキレン基−環3−基、C2〜4アルケニレン基−環3−基、またはC2〜4アルキニレン基−環3−基を表わし、
4−2は単結合、−CH−基、−CHOH−基、−O−基、−S−基、−SO−基、−SO−基、−NR4−12−基、カルボニル基、−NR4−12SO−基、カルボニルアミノ基、またはアミノカルボニル基を表わし、
4−12は水素原子、C1〜10アルキル基、またはC2〜10アシル基を表わし、
4−3はC1〜10アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルキルチオ基およびNR4−134−14基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1〜8アルキル基、C1〜10アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルキルチオ基および−NR4−134−14基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC2〜8アルケニル基、C1〜10アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルキルチオ基および−NR4−134−14基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC2〜8アルキニル基、環4基で置換されているC1〜8アルキル基、または環4基を表わし、
4−13およびR4−14はそれぞれ独立して、水素原子またはC1〜10アルキル基を表わし、
環1、環2、環3および環4はC1〜10アルキル基、C2〜10アルケニル基、C2〜10アルキニル基、C1〜10アルコキシ基、C1〜10アルキルチオ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、−NR4−154−16基、C1〜10アルコキシ基で置換されたC1〜10アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されたC1〜10アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されたC1〜10アルコキシ基で置換されたC1〜10アルキル基、−NR4−154−16基で置換されたC1〜10アルキル基、環5基、−O−環5基、環5基で置換されたC1〜10アルキル基、環5基で置換されたC2〜10アルケニル基、環5基で置換されたC2〜10アルキニル基、環5基で置換されたC1〜10アルコキシ基、−O−環5基で置換されたC1〜10アルキル基、COOR4−17基、1〜3個のハロゲン原子で置換されたC1〜10アルコキシ基、ホルミル基、ヒドロキシ基で置換されたC1〜10アルキル基、またはC2〜10アシル基から選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく、
4−15、R4−16およびR4−17はそれぞれ独立して、水素原子またはC1〜10アルキル基を表わし、
環5はC1〜10アルキル基、C2〜10アルケニル基、C2〜10アルキニル基、C1〜10アルコキシ基、C1〜10アルコキシ基で置換されたC1〜10アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、1〜3個のハロゲン原子で置換されたC1〜10アルキル基、または1〜3個のハロゲン原子で置換されたC1〜10アルコキシ基で置換されたC1〜10アルキル基から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
環1、環2、環3、環4および環5は各々独立して、一部または全部が飽和されていてもよいC3〜15の単環、二環または三環式炭素環アリール、または1〜4個の窒素原子、1〜2個の酸素原子および/または1〜2個の硫黄原子から選択されるヘテロ原子を含む、一部または全部が飽和されていてもよい3〜15員の単環、二環、または三環式ヘテロ環アリールを表わす。
ただし、EがE4−2を表わし、E4−2がU4−1−U4−2−U4−3基を表わしかつU4−1がC2アルキレン基、またはC2アルケニレン基を表わすとき、U4−2は−CHOH−基を表わさず、
4−3が少なくともひとつの水酸基によって置換されたC1〜8アルキル基を表わすとき、U4−1−U4−2はC2アルキレン基またはC2アルケニレン基を表わさず、
がA4−1を表わしかつDがD4−1を表わすとき、EはE4−1を表わさず、
が酸素原子を表わし、Xが−CH−基を表わし、DがD4−1を表わし、D4−1がCOOH基を表わし、AがA4−1を表わし、A4−1が直鎖のC2−8アルキレン基を表わし、EがE4−2を表わし、E4−2がU4−1−U4−2−U4−3を表わし、U4−1がC1〜4アルキレン基を表わし、かつU4−3がC1〜8アルキル基を表わすとき、U4−2は単結合、−CH−基、−NR4−12−基、またはカルボニル基を表わさず、
が酸素原子を表わし、Xが−CH−基を表わし、DがD4−1を表わし、D4−1がCOOH基を表わし、AがA4−2を表わし、G4−1がC1〜4アルキレン基を表わし、G4−2が−O−基または−NR4−1−基を表わし、G4−3が単結合またはC1〜4アルキレン基を表わし、EがE4−2を表わし、E4−2がU4−1−U4−2−U4−3を表わし、U4−1がC1〜4アルキレン基を表わし、かつU4−3がC1〜8アルキル基を表わすとき、U4−2は単結合、−CH−基、−NR4−12−基、またはカルボニル基を表わさず、
が酸素原子を表わし、Xが−CH−基を表わし、DがD4−1を表わし、EがE4−2を表わし、E4−2がU4−1−U4−2−U4−3を表わし、U4−1がC2アルキレン基またはC2アルケニレン基を表わし、かつU4−2が−CO−基を表わすとき、AはA4−1を表わさない。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
一般式(1−4)中、C1〜4アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、ブチル基およびそれらの異性体であり、C1〜8アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基およびそれらの異性体であり、C1〜10アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル基およびそれらの異性体であり、C2〜8アルケニル基とは、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル基およびそれらの異性体であり、C2〜10アルケニル基とは、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル基およびそれらの異性体であり、C2〜8アルキニル基とは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル基およびそれらの異性体であり、C2〜10アルキニル基とは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル基およびそれらの異性体であり、直鎖のC1〜4アルキレン基とは、メチレン、エチレン、トリメチレンおよびテトラメチレン基であり、直鎖のC2〜8アルキレン基とは、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレンおよびオクタメチレン基であり、C1〜4アルキレン基とは、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン基およびそれらの異性体であり、直鎖のC2〜4アルケニレン基とは、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレン基である。
一般式(1−4)中、直鎖のC2〜8アルケニレン基とは、基中に1個または2個の二重結合を有する、エテニレン、プロペニレン、ブテニレン、ブタジエニレン、ペンテニレン、ペンタジエニレン、ヘキセニレン、ヘキサジエニレン、ヘプテニレン、ヘプタジエニレン、オクテニレンおよびオクタジエニレン基であり、C2〜4アルケニレン基とは、エテニレン、プロペニレン、ブテニレン基およびそれらの異性体であり、直鎖のC2〜4アルキニレン基とは、エチニレン、プロピニレンおよびブチニレン基であり、直鎖のC2〜8アルキニレン基とは、基中に1個または2個の三重結合を有する、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン、ブタジイニレン、ペンチニレン、ペンタジイニレン、ヘキシニレン、ヘキサジイニレン、ヘプチニレン、ヘプタジイニレン、オクチニレンおよびオクタジイニレン基であり、C2〜4アルキニレン基とは、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン基およびそれらの異性体であり、C1〜10アルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ基およびそれらの異性体である。
一般式(1−4)中、C1〜10アルキルチオ基とは、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、ノニルチオ、デシルチオ基およびそれらの異性体であり、C3〜8シクロアルキル基とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル基であり、C2〜10アシル基とは、エタノイル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル基およびそれらの異性体であり、ビフェニル基とは、2−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、または4−フェニルフェニル基であり、ハロゲン原子とはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子を意味する。
一般式(1−4)中、−CO−(NH−アミノ酸残基−CO)−OH基、または−O−(CO−アミノ酸残基−NH)−H基中のアミノ酸とは、天然のアミノ酸または異常アミノ酸を意味し、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、β−アラニン、シスタチオニン、シスチン、ホモセリン、イソロイシン、ランチオニン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、サルコシン、チロニンが含まれる。
また、−CO−(NH−アミノ酸残基−CO)−OH基、または−O−(CO−アミノ酸残基−NH)−H基には、アミノ基が保護基によって保護されたものも含まれる。
一般式(1−4)中、環1、環2、または環3によって表わされる一部または全部が飽和されていてもよいC3〜15の単環、二環または三環式炭素環アリールとしては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、シクロトリドデカン、シクロテトラデカン、シクロペンタデカン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、ベンゼン、ペンタレン、パーヒドロペンタレン、アズレン、パーヒドロアズレン、インデン、パーヒドロインデン、インダン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン、パーヒドロナフタレン、ヘプタレン、パーヒドロヘプタレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、アセナフテン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン、アダマンタン、ノルアダマンタンが挙げられる。
一般式(1−4)中、環1、環2、環3、または環4によって表わされる1〜4個の窒素原子、1〜2個の酸素原子および/または1〜2個の硫黄原子から選択されるヘテロ原子を含む、一部または全部が飽和されていてもよい3〜15員の単環、二環または三環式ヘテロ環アリールのうち、1〜4個の窒素原子、1〜2個の酸素原子および/または1〜2個の硫黄原子から選択されるヘテロ原子を含む、3〜15員の単環、二環または三環式ヘテロ環アリールとしては、例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、チアジアゼピン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジチアナフタレン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、クロメン、ベンゾオキセピン、ベンゾオキサゼピン、ベンゾオキサジアゼピン、ベンゾチエピン、ベンゾチアゼピン、ベンゾチアジアゼピン、ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピン、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、β−カルボリン、アクリジン、フェナジン、ジベンゾフラン、キサンテン、ジベンゾチオフェン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェノキサチイン、チアンスレン、フェナントリジン、フェナントロリン、ペリミジン環が挙げられる。
また、一般式(1−4)中、1〜4個の窒素原子、1〜2個の酸素原子および/または1〜2個の硫黄原子から選択されるヘテロ原子を含む、一部または全部飽和された3〜15員の単環、二環または三環式ヘテロ環アリールとしては、例えば、アジリジン、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキシラン、オキセタン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、パーヒドロオキセピン、チイラン、チエタン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、パーヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロベンゾフラン、パーヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、パーヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、パーヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、パーヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、パーヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、パーヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、パーヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、パーヒドロシンノリン、ベンゾオキサチアン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロベンゾアゼピン、ジヒドロベンゾジアゼピン、テトラヒドロベンゾジアゼピン、ベンゾジオキセパン、ジヒドロベンゾオキサゼピン、テトラヒドロベンゾオキサゼピン、ジヒドロカルバゾール、テトラヒドロカルバゾール、パーヒドロカルバゾール、ジヒドロアクリジン、テトラヒドロアクリジン、パーヒドロアクリジン、ジヒドロジベンゾフラン、ジヒドロジベンゾチオフェン、テトラヒドロジベンゾフラン、テトラヒドロジベンゾチオフェン、パーヒドロジベンゾフラン、パーヒドロジベンゾチオフェン、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン、ジオキサインダン、ベンゾジオキサン、クロマン、ベンゾジチオラン、ベンゾジチアン環が挙げられる。
さらに、本発明のEP2作動活性を有する物質として、WO95/19964号パンフレットに記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(1−5−1)

[式中、RはC1〜20の飽和もしくは不飽和非環式炭化水素基であるか、または−(CHma5−1であり、maは0または1〜10の整数であり、R5−1はC3〜7の脂環であるか、またはC4〜10のアリールもしくはヘテロアリール環(ヘテロ原子はN、OおよびSからなる群から選択する。)である。]で示される化合物またはその塩、および一般式(1−5−2)

[式中、R5−2は低級アルキル基を表わす。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
一般式(1−5−1)または(1−5−2)中、特記しない限り、アルキルとは、炭素数1〜10のアルキル基を意味し、炭素数1〜5の低級アルキル基を包含し、シクロアルキルとは、炭素数3〜7のシクロアルキル基を意味し、アリールとは、炭素数4〜10のアリール基を意味する。飽和または不飽和非環式炭化水素基は、炭素数1〜約6(好ましくは1〜約4)の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和炭化水素基を意味する。そのような基は、適当な鎖長のアルキル、アルケニルおよびアルキニル基を包含し、好ましくはアルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルもしくはヘキシルまたはそれらの異性体である。脂環は、飽和または不飽和であり、好ましくは炭素数3〜7の飽和環である。芳香環としてはR5−1は好ましくはフェニルであり、複素環はヘテロ原子として酸素、窒素または硫黄を有し、R5−1はチエニル、フラニル、ピリジルなどであり得る。
一般式(1−5−1)または(1−5−2)で示される化合物のうち、より好ましくは、例えば、トランス−2−(4−(1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソシクロペンタンヘプタン酸(この化合物は、AH−13205(Anthony T、外5名、カルディオバソキュラー・ドラッグ・レビュー(Cardiovascular Drug Reviews),1993年,第11巻,第2号,p.165−179参照)とも称される。)またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP2作動活性を有する物質として、WO98/28264号パンフレット、WO99/19300号パンフレットに記載の化合物およびEP0911321号明細書に記載の化合物が挙げられる。WO99/19300号パンフレットに記載の化合物として、好ましくは一般式(1−6)

[式中、Aは、SO基またはCO基であり、
は、Ar、Ar6−1−V−Ar6−2基、Ar−(C1〜6)アルキレン基、Ar−CONH−(C1〜6)アルキレン基、R6−16−2−アミノ基、オキシ(C1〜6)アルキレン基、Arで置換されているアミノ基、またはAr−(C1〜4)アルキレン基とR6−11とで置換されているアミノ基であり、R6−11は、水素原子またはC1〜8アルキル基であり、R6−1およびR6−2は、それぞれ別々の基であって、水素原子およびC1〜8アルキル基から独立して選択される基であるか、あるいはR6−1およびR6−2はアミノ基の窒素原子と一緒になって5員または6員のアザシクロアルキル基(ここで、前記アザシクロアルキル基は、場合により酸素原子を含有することがあり、そして場合により2個以下のオキソ基、ヒドロキシ基、C1〜4アルキル基、フッ素原子、または塩素原子によって、それぞれ独立してモノ−、ジ−、またはトリ−置換されていることがある。)を形成し、
は窒素原子またはCH基であり、
は−(C2〜6)アルキレン−W−(C1〜3)アルキレン−基(前記のそれぞれのアルキレン基は、場合によりフッ素原子またはC1〜4アルキル基から独立して選択される置換基4個以下で置換されていることがある。)、−(C4〜8)アルキレン−基(前記アルキレン基は、場合によりフッ素原子またはC1〜4アルキル基から独立して選択される置換基4個以下で置換されていることがある。)、−X−(C1〜5)アルキレン−基(前記アルキレン基は、場合によりフッ素原子またはC1〜4アルキル基から独立して選択される置換基4個以下で置換されていることがある。)、−(C1〜5)アルキレン−X−基(前記アルキレン基は、場合によりフッ素原子またはC1〜4アルキル基から独立して選択される置換基4個以下で置換されていることがある。)、−(C1〜3アルキレン)−X−(C1〜3)アルキレン−基(前記のそれぞれのアルキレン基は、場合によりフッ素原子またはC1〜4アルキル基から独立して選択される置換基4個以下で置換されていることがある。)、−(C1〜4)アルキレン−W−X−(C0〜3)アルキレン−基(前記のそれぞれのアルキレン基は、場合によりフッ素原子またはC1〜4アルキル基から独立して選択される置換基4個以下で置換されていることがある。)、−(C0〜4アルキレン)−X−W−(C1〜3)アルキレン−基(前記のそれぞれのアルキレン基は、場合によりフッ素原子またはC1〜4アルキル基から独立して選択される置換基4個以下で置換されていることがある。)、−(C2〜5アルキレン)−W−X−W−(C1〜3)アルキレン−基(前記の2個のWは、それぞれ相互に独立しており、前記のそれぞれのアルキレン基は、場合によりフッ素原子またはC1〜4アルキル基から独立して選択される置換基4個以下で置換されていることがある。)、−(C1〜4)アルキレン−エテニレン−(C1〜4)アルキレン−基(前記のそれぞれのアルキレン基およびエテニレン基は、場合によりフッ素原子またはC1〜4アルキル基から独立して選択される置換基4個以下で置換されていることがある。)、−(C1〜4)アルキレン−エテニレン−(C0〜2)アルキレン−X−(C0〜5)アルキレン−基(前記のそれぞれのアルキレン基およびエテニレン基は、場合によりフッ素原子またはC1〜4アルキル基から独立して選択される置換基4個以下で置換されていることがある。)、−(C1〜4アルキレン)−エテニレン−(C0〜2)アルキレン−X−W−(C1〜3)アルキレン−基(前記のそれぞれのアルキレン基およびエテニレン基は、場合によりフッ素原子またはC1〜4アルキル基から独立して選択される置換基4個以下で置換されていることがある。)、−(C1〜4)アルキレン−エチニレン−(C1〜4)アルキレン−基(前記のそれぞれのアルキレン基およびエチニレン基は、場合によりフッ素原子またはC1〜4アルキル基から独立して選択される置換基4個以下で置換されていることがある。)、または−(C1〜4)アルキレン−エチニレン−X−(C0〜3)アルキレン−基(前記のそれぞれのアルキレン基およびエチニレン基は、場合によりフッ素原子またはC1〜4アルキル基から独立して選択される置換基4個以下で置換されていることがある。)であり、
はカルボキシル基、C1〜6アルコキシカルボニル基、テトラゾリル基、1,2,4−オキサジアゾリル基、5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル基、5−オキソ−1,2,4−チアジアゾリル基、C1〜4アルキルスルホニルカルバモイル基、またはフェニルスルホニルカルバモイル基であり、Kは単結合、C1〜9アルキレン基、チオ(C1〜4)アルキレン基、C1〜4アルキレンチオ(C1〜4)アルキレン基、C1〜4アルキレンオキシ(C1〜4)アルキレン基、またはオキシ(C1〜4)アルキレン基であり、前記C1〜9アルキレン基は、場合によりモノ−不飽和であり、そしてKが結合以外の場合には、Kは場合により塩素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基、またはメチル基によって、それぞれ独立してモノ−、ジ−、またはトリ−置換されていることがあり、
は−Ar6−3、−Ar6−4−V1−Ar6−5基、−Ar6−4−S−Ar6−5基、−Ar6−4−SO−Ar6−5基、−Ar6−4−SO−Ar6−5基、または−Ar6−4−O−Ar6−5基であり、
Arは場合により酸素原子、硫黄原子、および窒素原子から独立して選択されるヘテロ原子1〜4個を有することがある部分飽和または完全不飽和の5〜8員の環基であるか、場合により窒素原子、硫黄原子、および酸素原子から独立して選択されるヘテロ原子1〜4個を有することがあり、それぞれ独立して部分飽和、完全飽和、または完全不飽和の5または6員環2個がそれぞれ独立して縮合してなる二環式環基であるか、あるいは場合により窒素原子、硫黄原子、および酸素原子から独立して選択されるヘテロ原子1〜4個を有することがあり、それぞれ独立して部分飽和、完全飽和、または完全不飽和の5または6員環3個がそれぞれ独立して縮合してなる三環式環基であり、ここで前記の部分飽和または完全飽和の環基、二環式環基、または三環式環基は、場合により炭素上で置換されているオキソ基1もしくは2個、または硫黄原子上で置換されているオキソ基1もしくは2個を有することがあるか;あるいはArは、酸素原子、硫黄原子、および窒素原子から独立して選択されるヘテロ原子1または2個を有する完全飽和の5〜7員の環基であり、
Ar6−1およびAr6−2はそれぞれ独立して、場合により酸素原子、硫黄原子、および窒素原子から独立して選択されるヘテロ原子1〜4個を有することがある部分飽和、完全飽和、または完全不飽和の5〜8員の環基であるか、場合により窒素原子、硫黄原子、および酸素原子から独立して選択されるヘテロ原子1〜4個を有することがあり、それぞれ独立して部分飽和、完全飽和、または完全不飽和の5または6員環2個がそれぞれ独立して縮合してなる二環式環基であるか、あるいは場合により窒素原子、硫黄原子、および酸素原子から独立して選択されるヘテロ原子1〜4個を有することがある部分飽和、完全飽和、または完全不飽和の5または6員環3個をそれぞれ独立して縮合してなる三環式環基であり、ここで前記の部分飽和または完全飽和の環基、二環式環基、または三環式環基は、場合により炭素上で置換されているオキソ基1もしくは2個、または硫黄原子上で置換されているオキソ基1もしくは2個を有することがあり、
前記Ar、Ar6−1、およびAr6−2部分はその部分が単環式環基である場合には1個の環上において、その部分が二環式環基である場合には1個または両方の環上において、またはその部分が三環式環基である場合には1、2、または3個の環上において、炭素原子または窒素原子上で、場合により、部分ごとにR6−3、R6−4、およびR6−5から独立して選択される置換基3個以下で置換されていることがあり、ここでR6−3、R6−4、およびR6−5は、それぞれ独立してヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、C1〜7アルコキシ基、(C1〜4)アルコキシ(C1〜4)アルキル基、C1〜4アルコキシカルボニル基、C1〜7アルキル基、C2〜7アルケニル基、C2〜7アルキニル基、C3〜7シクロアルキル基、(C3〜7)シクロアルキル(C1〜4)アルキル基、(C3〜7)シクロアルキル(C1〜4)アルカノイル基、ホルミル基、C1〜8アルカノイル基、(C1〜6)アルカノイル(C1〜6)アルキル基、C1〜4アルカノイルアミノ基、C1〜4アルコキシカルボニルアミノ基、ヒドロキシスルホニル基、アミノカルボニルアミノ基またはモノ−N−、ジ−N,N−、ジ−N,N’−もしくはトリ−N,N,N’−(C1〜4)アルキル基で置換されているアミノカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、C1〜4アルキルスルホンアミド基、アミノ基、モノ−N−またはジ−N,N−(C1〜4)アルキルアミノ基、カルバモイル基、モノ−N−またはジ−N,N−(C1〜4アルキル)カルバモイル基、シアノ基、チオール基、C1〜6アルキルチオ基、C1〜6アルキルスルフィニル基、C1〜4アルキルスルホニル基、あるいはモノ−N−またはジ−N,N−(C1〜4)アルキルアミノスルフィニル基であり、
Ar6−3、Ar6−4、およびAr6−5はそれぞれ独立して、場合により酸素原子、硫黄原子、および窒素原子から独立して選択されるヘテロ原子1〜4個を有することがある部分飽和、完全飽和、または完全不飽和の5〜8員の環基であるか、場合により窒素原子、硫黄原子、および酸素原子から独立して選択されるヘテロ原子1〜4個を有することがあり、それぞれ独立して部分飽和、完全飽和、または完全不飽和の5または6員の環2個がそれぞれ独立して縮合してなる二環式環基であるか、あるいは場合により窒素原子、硫黄原子、および酸素原子から独立して選択されるヘテロ原子1〜4個を有することがある部分飽和、完全飽和、または完全不飽和の5または6員の環3個がそれぞれ独立して縮合してなる三環式環基であり、ここで、前記の部分飽和または完全飽和の、環基、二環式環基、または三環式環基は、場合により炭素上で置換されているオキソ基1もしくは2個、または硫黄原子上で置換されているオキソ基1もしくは2個を有することがあり、
前記Ar6−3、Ar6−4、およびAr6−5部分はその部分が単環式環基の場合には1個の環上において、その部分が二環式環基の場合には1個または両方の環上において、またはその部分が三環式環基の場合には1、2、または3個の環上において、炭素原子または窒素原子上で、場合により、部分ごとにR6−31、R6−41、およびR6−51から独立して選択される置換基3個以下で置換されていることがあり、ここでR6−31、R6−41、およびR6−51は、それぞれ独立してヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、C1〜7アルコキシ基、C1〜4アルコキシ(C1〜4)アルキル基、C1〜4アルコキシカルボニル基、C1〜7アルキル基、C2〜7アルケニル基、C2〜7アルキニル基、C3〜7シクロアルキル基、(C3〜7)シクロアルキル(C1〜4)アルキル基、(C3〜7)シクロアルキル(C1〜4)アルカノイル基、ホルミル基、C1〜8アルカノイル基、(C1〜6)アルカノイル(C1〜6)アルキル基、C1〜4アルカノイルアミノ基、C1〜4アルコキシカルボニルアミノ基、ヒドロキシスルホニル基、アミノカルボニルアミノ基またはモノ−N−、ジ−N,N−、ジ−N,N’−もしくはトリ−N,N,N’−(C1〜4)アルキル基で置換されているアミノカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、C1〜4アルキルスルホンアミド基、アミノ基、モノ−N−またはジ−N,N−(C1〜4)アルキルアミノ基、カルバモイル基、モノ−N−またはジ−N,N−(C1〜4)アルキルカルバモイル基、シアノ基、チオール基、C1〜6アルキルチオ基、C1〜6アルキルスルフィニル基、C1〜4アルキルスルホニル基、あるいはモノ−N−またはジ−N,N−(C1〜4)アルキルアミノスルフィニル基であり、
はオキシ基、チオ基、スルフィノ基、スルホニル基、アミノスルホニル−基、−モノ−N−(C1〜4)アルキレンアミノスルホニル−基、スルホニルアミノ基、N−(C1〜4)アルキレンスルホニルアミノ基、カルボキサミド基、N−(C1〜4)アルキレンカルボキサミド基、カルボキサミドオキシ基、N−(C1〜4)アルキレンカルボキサミドオキシ基、カルバモイル基、−モノ−N−(C1〜4)アルキレンカルバモイル基、カルバモイルオキシ基、または−モノ−N−(C1〜4)アルキレンカルバモイルオキシ基であり、ここで前記Wアルキル基は、場合により炭素上においてフッ素原子1〜3個で置換されていることがあり、
は場合により、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から独立して選択されるヘテロ原子1または2個を有する5または6員の芳香族環基であり、前記環基は、場合によりハロゲン原子、C1〜3アルキル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、ジフルオロメチルオキシ基、ヒドロキシ基、C1〜4アルコキシ基、またはカルバモイル基で、モノ−、ジ−、またはトリ−置換されていることがあり、
6−1、R6−2、R6−3、R6−4、R6−5、R6−11、R6−31、R6−41、およびR6−51は、アルキル、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン部分を含む場合には、場合により、炭素原子上において、ハロゲン原子またはヒドロキシ基によって、それぞれ独立してモノ−、ジ−、またはトリ−置換されていることがあり;そしてVおよびV1は、それぞれ独立して、結合、チオ(C1〜4)アルキレン基、C1〜4アルキレンチオ基、C1〜4アルキレンオキシ基、オキシ(C1〜4)アルキレン基、または場合によりそれぞれ独立してヒドロキシ基またはフッ素原子によりモノ−またはジ−置換されていることのあるC1〜3アルキレン基である。
ただし、(a)KがC2〜4アルキレン基であり、MがAr6−3であり、そしてAr6−3がシクロペント−1−イル基、シクロヘキシ−1−イル基、シクロヘプト−1−イル基、またはシクロオクト−1−イル基である場合には、前記C5〜8シクロアルキル置換基は、1位がヒドロキシ基によって置換されていないものとし、
そして(b)Kが結合であり、Gがフェニル基、フェニルメチル基、置換フェニル基、または置換フェニルメチル基であり、QがC3〜8アルキレン基であり、そしてMがAr6−3またはAr6−4−Ar6−5基である場合には、Aがスルホニル基であるものとする。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
一般式(1−6)で示される化合物のうち、より好ましくは、例えば、2−[3−(4−tert−ブチルベンジル)−N−(ピリジン−3−イルスルホニル)アミノ−メチル]フェノキシ]酢酸(この化合物は、CP−533536とも称される。)またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP2作動活性を有する物質として、WO98/58911号パンフレットに記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(1−7)

[式中、Aは水素原子または水酸基であり、
はプロピレン、プロペニレン、またはプロピニレンであり、
はプロピレン、−CHOCH−、チアゾリル、ピリジン基、フェニル、またはチエニルであり、
はカルボキシル、C1〜6アルコキシカルボニル、テトラゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、または5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリルであり、
はエチレンまたはエテニレンであり、
は単結合または−CO−であり、
は−Ar、−Ar7−1−V−Ar7−2、−Ar7−1−S−Ar7−2、または−Ar7−1−O−Ar7−2であり、
ArおよびAr7−1は(1)それぞれ独立して、完全に不飽和な5から8員環(ここで、これらは、酸素原子、硫黄原子並びに窒素原子から独立に選択される1から4個のヘテロ原子、または部分的に飽和な二縮環型、完全に飽和もしくは完全に不飽和な5および/または6員環からなる二環式環を独立に任意に有し、
窒素原子、硫黄原子並びに酸素原子から独立に選択される1から4個のヘテロ原子、または部分的に飽和な三縮環型、完全に飽和もしくは完全に不飽和な5および/または6員環からなる三環式環を独立に任意に有し、
窒素原子、硫黄原子並びに酸素原子から独立に選択される1から4個のヘテロ原子、または炭素原子に置換された一個以上のオキソ基を任意に有する部分的に飽和あるいは完全に飽和な環を独立に任意に有する。)、
(2)それぞれ独立して、完全に飽和な5から8員環であり、
Arは、部分的に飽和な、完全に飽和な、または完全に不飽和な5から8員環(ここで、これらは、酸素原子、硫黄原子並びに窒素原子から独立に選択される1から4個のヘテロ原子、または部分的に飽和な二縮環型、完全に飽和もしくは完全に不飽和な5および/または6員環からなる二環式環を独立に任意に有し、
窒素原子、硫黄原子並びに酸素原子から独立に選択される1から4個のヘテロ原子、または部分的に飽和な三縮環型、完全に飽和もしくは完全に不飽和な5および/または6員環からなる三環式環を独立に任意に有し、
窒素原子、硫黄原子並びに酸素原子から独立に選択される1から4個のヘテロ原子、または炭素原子に置換された一個以上のオキソ基を任意に有する部分的に飽和あるいは完全に飽和な環を独立に任意に有する。)であり、
上記ArおよびAr7−1部分(ただし、これらが完全不飽和な5から8員環、二員環、または三員環の場合)並びにAr1部分は、それぞれ独立に任意に炭素原子に、単環の場合は同環に、または三員環の場合は二環、または三環に対して、R7−1、R7−2およびR7−3(ここで、R7−1、R7−2およびR7−3はそれぞれ、水酸基、窒素原子、ハロゲン原子、C1〜7アルコキシ、(C1〜4)アルコキシル(C1〜4)アルキル、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜7アルキル、C2〜7アルケニル、C2〜7アルキニル、C3〜7シクロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル(C1〜4)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル(C1〜4)アルカノイル、ホルミル、C1〜8アルカノイル、(C1〜6)アルカノイル(C1〜6)アルキル、アミノアルボニルアミノ、モノ−N−、ジ−N,N−、ジ−N,N’−、またはトリ−N,N,N−(C1〜4)アルキル置換アミノアルボニルアミノ、C1〜4アルカノイルアミノ、C1〜4アルコキシカルボニルアミノ、スルフォナミド、ヒドロスルフォニル、C1〜4アルキルスルフォナミド、アミノ、モノ−N−、ジ−N,N−(C1〜4)アルキルアミノ、カルバモイル、モノ−N−、ジ−N,N−(C1〜4)アルキルカルバモイル、シアノ、チオ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルスルフィニル、C1〜4アルキルスルフィニル、モノ−N−、ジ−N,N−(C1〜4)アルキルアミノスルフィニルであり、R7−1、R7−2およびR7−3がアルキル、アルケニル、アルキレン、またはアルケニレン部分を含む場合は、任意に直鎖状、または分枝状であって、任意に炭素原子をハロあるいは水酸基で一、二、または三置換される。)から選択される3個までの置換体によって置換され、
Vは単結合、−CO−、または任意に水酸基もしくはフッ素原子によって独立に一または二置換されたC1〜3アルキレンであり、(1)Lが−CO−であって、Aが水酸基であり、および(2)Lが単結合であって、Mがフェニルの場合、当該フェニルは、R7−1、R7−2およびR7−3から選択される1から3個の置換体により置換される。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP2作動活性を有する物質として、US5,698,598号明細書に記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(1−8−1)、(1−8−2)、および(1−8−3)


[それぞれの式中、Rは、水素原子、C1〜20の飽和もしくは非飽和の環状炭化水素基、または−(CHmbである。ここでmbは0または1〜10の整数であり、Rは、C3〜7の脂肪族環、アリル基、C4〜10のヘテロアリル環である。また、ヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる原子団から選択される。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP2作動活性を有する物質として、US6,376,533号明細書に記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(1−9)

[式中、R9−3はヘテロアリルあるいは置換されてもヘテロアリル基であり、R9−1とR9−2は、それぞれ水素原子、炭素原子6個までの低級アルキル基、または炭素原子6個までの低級アシル基からなる分子群から選択され、Rは、−CO9−4、−CONR9−4、−CHOR9−4、−CONR9−4SO

択される。ここでR9−4は、水素原子、フェニル基およびC1〜6のアルキル基からなる分子群から選択される。ncは0または1〜4の整数を表わす。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP2作動活性を有する物質として、US4,132,738号明細書に記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(1−21)

[式中、R21−1およびR21−2は水素原子であり、R21−3は水素原子、あるいはR21−4と一緒になって6の炭素原子を含むシクロアルキルを形成するような4の炭素原子のメチレン鎖であり、あるいはR21−4と一緒になって式

(式中、pAは0または1であり、qAは2または3であり、そしてそのようなビシクロアルケニルの二重結合はqA橋にある。)をもつビシクロアルケニル、またはビシクロアルキル部分であり、R21−4はR21−3と一緒になって上で定義したようにシクロアルキル、ビシクロアルキル、またはビシクロアルケニルであるか、あるいはR21−5と一緒になって4個の炭素原子を含むシクロアルキルを形成するような3個の炭素原子のメチレン鎖であり、R21−5は水素原子、あるいはR21−4と一緒になって上で定義したようにシクロアルキルを形成し、そしてR21−6は水素原子あるいは8の炭素原子の直鎖アルキルである。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
一般式(1−21)で示される化合物のうち、より好ましくは、例えば[1R[1α,2β(1E,4R),3α]]−3−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(1−プロピルシクロブチル)−1−ブテニル]−5−オキソシクロペンタン−ヘプタン酸 メチルエステル(この化合物は、ブタプロスト(Butaprost)とも称される。)、(2R,3R,4R)−4−ヒドロキシ−2−(7−ヒドロキシヘプチル)−3−[(E)−(4RS)−(4−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテニル)]シクロペンタノン(この化合物は、ライオプロスチル(Rioprostil)とも称される。)またはそれらの塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP2作動活性を有する物質として、US3,965,143号明細書に記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(1−23)

[式中、R23−1、R23−2、およびR23−3は水素原子またはC1〜7のアルキル基であり、R23−4はC1〜7のアルキル基であり、R23−5は水素原子、C1〜7のアルキル基、またはC1〜7のアルカノイル基であり、R23−6はC2〜4のアルキル基またはC5〜7のシクロアルキル基であり、X23はカルボニル、ヒドロキシメチレン、またはアルカノイルオキシメチレン基(ただし、アルカノイル部は1〜7個の炭素原子を含む。)であり、V23はメチレン、ヒドロキシメチレンまたはアルカノイルオキシメチレン基(ただし、アルカノイル部は1〜7個の炭素原子を含む。)であり、Y23はエチレンまたはビニレン基であり、Y23’はビニレン、エチニレンまたは以下の基

(基中、njは0または1であり、R23−7およびR23−8は水素原子またはC1〜7のアルキル基である。)、Z23はエチレン、ビニレン、またはエチニレン基である。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
一般式(1−23)で示される化合物のうち、より好ましくは、例えば(+/−)−15−デオキシ−16−α,β−ヒドロキシ−16−メチル PGE1メチルエステル(この化合物は、Misoprostolとも称される。)またはその塩が挙げられる。
その他、本発明のEP2作動活性を有する物質のうち、好ましい化合物として(−)−(S)−15−ヒドロキシ−9−オキソ−プロスタン酸(この化合物は、AY23626とも称される。)またはその塩が挙げられる。
一方、本発明中のEP3作動活性を有する物質として、WO98/34916号パンフレットに記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(2−10)

[式中、R10はオキソ基、またはハロゲン原子を表わし、
10−1およびR10−2はそれぞれ独立して、C1〜4アルキル基を表わし、R10−3はC1〜10アルキル基、C2〜10アルケニレン基、C2〜10アルキニレン基、フェニル、フェノキシ、C3〜7シクロアルキル、またはC3〜7シクロアルキルオキシで置換されているC1〜10アルキル基、C2〜10アルケニレン基、またはC2〜10アルキニレン基を表わす。フェニルおよびシクロアルキル基は、1〜3個のC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、トリハロメチル、ニトロで置換されていてもよい。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
一般式(2−10)で示される化合物のうち、より好ましくは、例えば11α,15α−ジメトキシ−9−オキソプロスタ−5Z,13E−ジエン酸(この化合物は、ONO−AE−248とも称される(WO98/34916号パンフレット参照)。)またはその塩が挙げられる
一般式(2−10)中、C1〜4アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびこれらの分枝型異性体を意味し、C1〜4アルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびこれらの分枝型異性体を意味し、C1〜10アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルおよびこれらの分枝型異性体を意味し、C2〜10アルケニル基とは、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニルおよびこれらの分枝型異性体を意味し、C2〜10アルキニル基とは、エチニル、プロピニル、プチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニルおよびこれらの分枝型異性体を意味し、C3〜7シクロアルキル基とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルを意味する。一般式(2−10)中、ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を意味する。
さらに、本発明のEP3作動活性を有する物質として、特開平7−215929号公報に記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(2−11)

[式中、R11−1は−COOR11−4基(基中、R11−4は水素原子またはC1〜4アルキル基を表わす。)、−CONR11−511−6基(基中、R11−5およびR11−6はそれぞれ独立して、水素原子、C1〜4のアルキル基、または水酸基が1個置換しているC1〜4アルキル基を表わす。)、または−CHOHを表わし、

(基中、Aは単結合またはC1〜4のアルキレン基を表わす。)、または

それぞれ0または1〜4の整数を表わす。ただし、mf+nmは2〜4の整数である。)で示される基を表わし、B11は−NR11−3SO−、または−SONR11−3−(基中、R11−3は水素原子、C1〜4のアルキル基、または−CHCOOR11−7(基中、R11−7は水素原子またはR11−4a(基中、R11−4aはC1〜4のアルキル基を表わす。)を表わす。)を表わし、R11−2は(1)C1〜6アルキル基、C2〜6のアルケニル基、またはC2〜6アルキニル基、(2)1〜3個のフェニル基、C4〜7のシクロアルキル基、あるいはC1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、またはハロゲン原子から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基によって置換されているC1〜6アルキル基、C2〜6のアルケニル基、またはC2〜6アルキニル基、または(3)ナフチル基を表わし、

合物またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP3作動活性を有する物質として、特開平8−239356号公報に記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(2−12)

[式中、R12−1は水素原子、C1〜4アルキル基、式(C1〜4アルキレン)、−COOR12−10基(式中、R12−10は水素原子またはC1〜4アルキル基を表わす。)で示される基、(C1〜4アルキレン)−OH基、式(C1〜4アルキレン)−CONR12−412−5(式中、R12−4およびR12−5はそれぞれ独立して水素原子またはC1〜4アルキル基を表わす。)で示される基、式(C1〜4アルキレン)−CONR12−6−(C1〜4アルキレン)−OH(式中、R12−6は水素原子またはC1〜4のアルキル基を表わす。)で示される基、式(C1〜4アルキレン)−NR12−412−5(式中、R12−4およびR12−5は前記と同じ意味を表わす。)で示される基、(C1〜4アルキレン)−CN基、または(C1〜4アルキレン)−テトラゾリル基を表わし、
12は単結合、C1〜6アルキレン基、C2〜6アルケニレン基、−S−(C1〜6アルキレン)基、または−O−(C1〜6アルキレン)基を表わし、
12は式NR12−3COまたはCONR12−3(式中、R12−3は水素原子またはC1〜4のアルキル基を表わす。)で示される基を表わし、
12−2は(1)C1〜6アルキル基、(2)C2〜6アルケニル基、(3)フェニル基、C4〜7シクロアルキル基、ナフチル基および窒素原子1個を含有する4〜7員のヘテロ環から任意に選択された1〜3個の置換基で置換されたC1〜6のアルキル基、(4)フェニル基、C4〜7シクロアルキル基、ナフチル基および窒素原子1個を含有する4〜7員のヘテロ環から任意に選択された1〜3個の置換基で置換されたC2〜6のアルケニル基、(5)式R12−712−8(式中、R12−7およびR12−8は独立して、フェニル基、C4〜7シクロアルキル基、ナフチル基、または窒素原子1個を含有する4〜7員のヘテロ環を表わす。)で示される基、または(6)式(C1〜6アルキレン)−NR12−712−8(式中、R12−7およびR12−8は前記と同じ意味を表わす。)で示される基を表わす。ただし、R12−2中の環は、1〜3個のC1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、またはトリフルオロメチル基で置換されていてもよい。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
一般式(2−12)で示される化合物のうち、より好ましくは、例えば、2−[5−[2−[N−(ジフェニルメチル)カルバモイル]エチル]ナフタレン−1−イルオキシ]酢酸(この化合物は、ONO−AP−324とも称される。)またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP3作動活性を有する物質として、WO97/05091号パンフレットに記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(2−13)

[式中、A13は、水素原子、−(C1〜4アルキレン)−COOR13−1基(基中、R13−1は水素原子またはC1〜4アルキル基を表わす。)、−(C1〜4アルキレン)−CONR13−213−3基(基中、R13−2およびR13−3はそれぞれ独立して水素原子またはC1〜4アルキル基を表わす。)、−(C1〜4アルキレン)−OH基、−(C1〜4アルキレン)−テトラゾリル基、または−(C1〜4アルキレン)−CN基を表わし、
13は、単結合またはC1〜6アルキレン基を表わし、
13は、−S−、−SO−、−SO−、−O−、または−NR13−4−基(基中、R13−4は水素原子またはC1〜4アルキル基を表わす。)を表わし、L13は、C1〜6アルキレン基、−(CHmc−CH=CH−(CHnd−基(基中、mcは0または1〜3の整数、ndは0または1〜3の整数を表わす。)、または−(CHxa−CH(OH)−(CHya−基(基中、xaは1〜3の整数、yaは0または1〜3の整数を表わす。)を表わし、M13は、

(M13基中の各フェニル基は1〜3個のC1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、またはトリフルオロメチル基で置換されていてもよい。)を表わし、

ただし、(1)G13が−SO−または−SO−基の場合、M13は、

(M13基中の各フェニル基は1〜3個のC1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、またはトリフルオロメチル基で置換されていてもよい。)を表わさず、(2)L13中のmcが0の場合、G13は−SO−、または−SO−基を表わし、(3)L13中のndが0の場合、M13は、

(M13基中の各フェニル基は1〜3個のC1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、またはトリフルオロメチル基で置換されていてもよい。)を表わし、(4)L13中のyaが0の場合、M13は、

(M13基中の各フェニル基は1〜3個のC1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、またはトリフルオロメチル基で置換されていてもよい。)を表わし、(5)A13が水素原子の場合、L13は−(CHmc−CH=CH−(CHnd−基(基中、mcおよびndは前記と同じ意味を表わす。)、または−(CHxa−CH(OH)−(CHya−基(基中、xaおよびyaは前記と同じ意味を表わす。)を表わし、(6)

その薬剤学的に許容することのできる塩が挙げられる。
一般式(2−13)中、R13−1、R13−2、R13−3およびR13−4によって表わされるC1〜4アルキル基、またはM13中の、フェニル基の置換基としてのC1〜4アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびこれらの異性体基を意味し、A13中のC1〜4アルキレン基とは、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレンおよびこれらの異性体基を意味し、E13およびL13が表わすC1〜6アルキレン基とは、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンおよびこれらの異性体基を意味し、M13中のC1〜4アルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびこれらの異性体基を意味し、M13中のハロゲン原子とは、塩素、臭素、フッ素、またはヨウ素を意味し、−O−A13で示される側鎖の結合位置は1〜4位のどこでもよいが、好ましくは1位であり、−E13−G13−L13−M13で示される側鎖の位置は5〜8位のどこでもよいが、好ましくは5位もしくは6位である。
さらに、本発明のEP3作動活性を有する物質として、WO99/25358号パンフレットに記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(2−14)

[式中、R14は、少なくとも2個のペンダント置換基を有する置換ヘテロアリール基であり、該ペンダント置換基は、C1〜6アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、COR14−1、COCF、SONR14−1、NOおよびCNからなる群から選択し、あるいはR14は、少なくとも1個のシアノ基を有する置換ヘテロアリール基であり、R14−1は水素原子または炭素数6までの低級アルキル基であり、X14は−OR14−1および−N(R14−1からなる群から選択する基であり、Y14は=Oまたは2個の水素原子である。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP3作動活性を有する物質として、特開平11−012249号公報に記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(2−15)

(式中、pは0または1〜3の整数を表わす。)で示される基を表わし、B

わし、Xはメチレン基、酸素原子または硫黄原子を表わし、R15−1はC1〜4のアルキル基、フェニル基または[C1〜4のアルキル基、C1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはC2〜5のアルカノイル基]で置換されたフェニル基を示し、R15−2は水素原子またはC1〜4のアルキル基を示し、R15−3はC1〜4のアルキル基、フェニル基またはベンジル基を表わし、neおよびmdはそれぞれ0または1を表わす。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP3作動活性を有する物質として、特開平10−168056号公報に記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(2−16)

[式中、A16はエチレン基、ビニレン基、またはエチニレン基を表わし、

中、R16−2およびR16−3は同一、または異なって、水素原子またはC1〜4のアルキル基を表わし、R16−4はC1〜4のアルキル基、C3〜8のシクロアルキル基、C1〜4のアルコキシ基、C3〜8のシクロアルコキシ基、ヒドロキシ基、C1〜4のヒドロキシアルキル基、C2〜8のアシルオキシ基、C1〜4のアルキルチオ基、C1〜4のアルキルスルフィニル基、ニトロ基、またはアセチルアミノ基を表わす。)で示される基を示し、nfは0または1を表わす。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP3作動活性を有する物質として、特開平7−233145号公報に記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(2−17)

[式中、R17−1およびR17−2は同一もしくは異なって水素原子、C1〜6のアルキル基、C3〜8のシクロアルキル基、C3〜8のシクロアルキル基で置換されたメチル基、C7〜12の架橋環式炭化水素の1価基、C1〜6のアルキルスルホニル基もしくはメトキシカルボニルメチル基を表わすか、またはR17−1とR17−2は一緒になって隣接する窒素原子と共に複素環式化合物の1価基を表わす。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP3作動活性を有する物質として、US4,692,464号明細書に記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(2−18)

[式中、R18−1は水素原子またはC1〜4のアルキル基を表わし、
18はトランス−CH=CH−を表わし、
18は遊離またはテトラヒドロピラニル基によって保護されたヒドロキシメチル基を表わし、
18は炭素原子1〜5個を有する直鎖状または分枝状のアルキル基を表わし、
18は−C≡C−結合を表わし、
18−2はC1〜2のアルキル基を表わし、
18−3は遊離またはテトラヒドロピラニル基によって保護されたヒドロキシ基を表わす。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
一般式(2−18)で示される化合物のうち、より好ましくは、例えば、(1S,5S,6R,7R)−5−[7−ヒドロキシ−6−[3(S)−ヒドロキシ−3−メチル−1(E)−オクテニル]ビシクロ[3.3.0]オクト−2−エン−3−イル]ペンタン酸(この化合物は、TEI−3356とも称される。)またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP3作動活性を有する物質として、特表昭51−125255号公報に記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(2−19)

[式中、R19−1は水素原子またはC1〜12の直鎖状または分枝状アルキル基を表わし、
19−2はアリール基または複素環式基を表わし、これらはハロゲン原子、C1〜4の直鎖状または分枝状アルキル基、トリハロメチル基、C2〜4のアルケニル基、フェニル基、C1〜4のアルコキシ基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシ部分がC1〜4のアルコカルボニル基、ヒドロキシメチレン基、アルコキシ部分がC1〜4のアルコキシメチレン基、スルフィノ基、アルキル部分がC1〜4のアルキルスルホニル基およびスルファモイル、カルバモイル、N−アミノカルバモイル、アミジノ、アミノおよびヒドロキシイミノ基(それぞれの上記窒素含有基は場合によりC1〜4の1個またはそれ以上のアルキル基により置換されている。)から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換され、
ngは5〜8の整数を表わし、
(1)A19は、C1〜12の直鎖状または分枝状アルキレン基を表わし、X19はエチレン基、またはトランス−ビニレン基を表わし、Y19はカルボニル基または−CH(OR17−3)−基(基中、R19−3は水素原子、またはカルボキシル性アシル基を表わす。)を表わし、Z19は直接結合、酸素原子または硫黄原子を表わすか、あるいは
(2)A19およびZ19は、共に直接結合を表わし、X19およびY19はそれぞれ同時にエチレンとカルボニル、トランス−ビニレンとカルボニル、またはエチレンと−CH(OR19−3)−基(基中、R19−3は前述の定義を有する。)を表わす。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
一般式(2−19)で示される化合物のうち、より好ましくは、例えば(+/−)−15α−ヒドロキシ−9−オキソ−16−フェノキシ−17,18,19,20−テトラノルプロスト−13−トランス−エン酸(この化合物は、M&B28767とも称される。)またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP3作動活性を有する物質として、特開昭61−249951号公報に記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(2−20)

[式中、nhは1または2であり、
meは2〜5の整数であって、X20はシスまたはトランス−CH=CH−もしくは−CH−CH−であり、あるいは
meは1〜4の整数であって、X20は−CH=C=CH−であり、
20−1は(1)フェニル基(C1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、C1〜4アルカノイル基、メチルチオ基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基、ハロゲン原子、−CO20−2基(基中、R20−2は水素原子、C1〜4アルキル基、またはフェニル基である。)、−NHCOR20−2基(基中、R20−2は上記定義通りであるかまたはヒドロキシ基、CHCONH−、またはベンゾイルアミノ基で任意に置換されてフェニル基である。)、−CONR20−320−4基(基中、R20−3、またはR20−4は同一かまたは異なり、それぞれ水素原子、またはC1〜4アルキル基である。)、−NHCONH、−CHCH(CONH)NHCOCH、または式

で任意に置換されたもの)、または(2)2−ナフチル基であり、
20は式

[式中、R20−5、R20−6およびR20−7はそれぞれ水素原子またはメチル基であるが、これらのうち少なくとも1個は水素原子であって、Ar20はフェニル基(1個、または2個のC1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、C1〜4アルキルチオ基、C1〜4アルキルスルフィニル基、C1〜4アルキルスルホニル基、ハロゲン原子、またはトリフルオルメチル基で任意に置換されたもの)]]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
一般式(2−20)で示される化合物のうち、より好ましくは、例えば(−)−[1(R)−[1α(Z),2β(R),3α]]−7−[3−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)−5−オキソシクロペンチル]−4−ヘプテン酸 4−(ベンゾイルアミノ)フェニルエステル(この化合物は、GR63799Xとも称される。)またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP3作動活性を有する物質として、US4,863,961号明細書に記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(2−22)

[式中、R22は、水素原子またはC1〜4のアルキル基を表わし、
22−1は、水素原子、ビニル、またはC1〜4のアルキル基を表わし、波線は、RまたはS立体化学を表わし、
22−2、R22−3、およびR22−4は水素原子、またはC1〜4のアルキル基であり、または
22−2およびR22−3は炭素原子YとともにC4〜6個のシクロアルケニル基を形成し、または
22−2およびR22−4は炭素原子XおよびYとともにC4〜6個のシクロアルケニル基を形成する。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
一般式(2−22)で示される化合物のうち、より好ましくは、例えば、メチル−7−(2β−(6−(1−シクロペンチル−イル)−4R−ヒドロキシ−4−メチル−1E,5E−ヘキサジエニル)−3α−ヒドロキシ−5−オキソ−1R,1α−シクロペンチル)−4Z−ヘプテン酸(この化合物は、SC−46275とも称される。)またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明のEP3作動活性を有する物質として、US3,985,791号明細書に記載の化合物が挙げられ、さらに、そのうちの好ましい化合物として、一般式(2−24)

[式中、R24は水素原子またはC1〜4のアルキル基を表わし、
24−1は水素原子、メチル基、またはエチル基を表わし、
24−2は水素原子、オルト、メタもしくはパラ−ハロゲン(フッ素原子、塩素原子、または臭素原子)、オルト、メタもしくはパラ−トリフルオロメチル、オルト、メタもしくはパラ−アルキル、またはオルト、メタもしくはパラ−アルコキシを表わす。
ただし、R24−1がα−配置の時、同じ炭素原子に結合している水酸基はβ−配置をとり、R24−1がβ−配置の時は、同水酸基はα−配置をとる。]で示される化合物またはその塩が挙げられる。
一般式(2−24)で示される化合物のうち、より好ましくは、例えば、9−オキソ−11α,15α−ジヒドロキシ−16−フェノキシ−17,18,19,20−テトラノルプロスタ−4,5,13−トランス−トリエン酸メチルエステル(この化合物は、エンプロスチル(Enprostil)とも称される。)またはその塩が挙げられる。
さらに、本発明中のEP3作動活性を有する物質のより好ましい化合物として、16−フェノキシ−ω−17,18,19,20−テトラノル−PGE2 メチルスルフォナミド(この化合物は、サルプロストン(Sulprostone)とも称される。)またはその塩が挙げられる。
[本発明に用いられる化合物の製造方法]
一般式(1−1)に示される本発明の化合物およびその塩は、EP860430号明細書に記載されている方法により製造することができる。さらに、より好ましい化合物である(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸およびその薬理学的に許容される塩は、特開平11−193268号公報に記載の方法により、(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロプロスタ−5,13,19−トリエン酸およびその塩は、特開2000−128858号公報に記載の方法により製造することができる。
一般式(1−2)に示される本発明の化合物およびその塩は、WO99/33794号パンフレットに記載されている方法により製造することができる。
一般式(1−3)に示される本発明の化合物およびその塩は、EP974580号明細書に記載の方法により製造することができる。
一般式(1−4)に示される本発明の化合物およびその塩は、WO2003/74483号パンフレットに記載の方法により製造することができる。
一般式(1−5−1)および(1−5−2)に示される本発明の化合物、より好ましい化合物であるトランス−2−(4−(1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソシクロペンタンヘプタン酸、およびそれらの塩は、WO95/19964号パンフレットに記載の方法により製造することができる。
一般式(1−6)に示される化合物、より好ましい化合物である2−[3−(4−tert−ブチルベンジル)−N−(ピリジン−3−イルスルホニル)アミノ−メチル]フェノキシ]酢酸、およびそれらの塩は、WO98/28264号パンフレット、WO99/19300号パンフレット、およびEP0911321号明細書に記載の方法により製造することができる。
一般式(1−7)に示される化合物およびその塩は、WO98/58911号パンフレットに記載の方法により製造することができる。
一般式(1−8−1)、(1−8−2)、および(1−8−3)に示される化合物、およびそれらの塩は、US5,698,598号明細書に記載の方法により製造することができる。
一般式(1−9)に示される化合物およびはその塩は、US6,376,533号明細書に記載の方法により製造することができる。
一般式(1−21)に示される化合物、より好ましい化合物である[1R[1α,2β(1E,4R),3α]]−3−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(1−プロピルシクロブチル)−1−ブテニル]−5−オキソシクロペンタン−ヘプタン酸 メチルエステル、(2R,3R,4R)−4−ヒドロキシ−2−(7−ヒドロキシヘプチル)−3−[(E)−(4RS)−(4−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテニル)]シクロペンタノン、およびそれらの塩は、US4,132,738号明細書に記載の方法により製造することができる。
一般式(1−23)に示される化合物、より好ましい化合物である(+/−)−15−デオキシ−16−α,β−ヒドロキシ−16−メチル PGE1メチルエステル、およびそれらの塩は、US3,965,143号明細書に記載の方法により製造することができる。
一般式(2−10)に示される本発明の化合物、より好ましい化合物である11α,15α−ジメトキシ−9−オキソプロスタ−5Z,13E−ジエン酸、およびそれらの塩は、WO98/34916号パンフレットに記載のの方法により製造することができる。
一般式(2−11)に示される化合物およびその塩は、特開平7−215929号公報に記載の方法により製造することができる。
一般式(2−12)に示される本発明の化合物、より好ましい化合物である2−[5−[2−[N−(ジフェニルメチル)カルバモイル]エチル]ナフタレン−1−イルオキシ]酢酸およびその塩は、特開平8−239356号公報に記載の方法により製造することができる。
一般式(2−13)に示される化合物およびその塩は、WO97/05091号パンフレットに記載の方法により製造することができる。
一般式(2−14)に示される化合物およびその塩は、WO99/25358号パンフレットに記載の方法により製造することができる。
一般式(2−15)に示される化合物およびその塩は、特開平11−012249号公報に記載の方法により製造することができる。
一般式(2−16)に示される化合物およびその塩は、特開平10−168056号公報に記載の方法により製造することができる。
一般式(2−17)に示される化合物およびその塩は、特開平7−233145号公報に記載の方法により製造することができる。
一般式(2−18)に示される化合物、より好ましい化合物である5−[(1S,5S,6R,7R)−7−ヒドロキシ−6−[(E)−(S)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテニル]ビシクロ[3.3.0]オクト−2−エン−3−イル]ペンタン酸、およびそれらの塩は、US4,692,464号明細書に記載の方法により製造することができる。
一般式(2−19)に示される化合物、より好ましい化合物である(+/−)−15α−ヒドロキシ−9−オキソ−16−フェノキシ−17,18,19,20−テトラノルプロスト−13−トランス−エン酸、およびそれらの塩は、特表昭51−125255号公報に記載の方法により製造することができる。
一般式(2−20)に示される化合物、より好ましい化合物である[1R−[1α(Z),2β(R),3α]]−4−(ベンゾイルアミノ)フェニル−7−[3−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)−5−オキソシクロペンチル]−4−ヘプテン酸、およびそれらの塩は、特開昭61−249951号公報に記載の方法により製造することができる。
一般式(2−22)に示される化合物、より好ましい化合物であるメチル−7−(2β−(6−(1−シクロペンチル−イル)−4R−ヒドロキシ−4−メチル−1E,5E−ヘキサジエニル)−3α−ヒドロキシ−5−オキソ−1R,1α−シクロペンチル)−4Z−ヘプテン酸、およびそれらの塩は、US4,863,961号明細書に記載の方法により製造することができる。
一般式(2−24)に示される化合物、より好ましい化合物である9−オキソ−11α,15α−ジヒドロキシ−16−フェノキシ−17,18,19,20−テトラノルプロスタ−4,5,13−トランス−トリエン酸メチルエステル、およびそれらの塩は、US3,985,791号明細書に記載の方法により製造することができる。
[本発明の物質のスクリーニング方法]
本発明は、軟骨生成促進、軟骨細胞増殖促進、軟骨細胞分化促進、軟骨石灰化抑制、または軟骨分解抑制作用さらには軟骨障害治療効果を有するEP2および/またはEP3作動活性を有する物質のスクリーニング方法を提供する。
本発明のEP2および/またはEP3作動活性を有する物質による一連の作用は、作用発現に必須あるいは作用発現と共に制御される遺伝子群と関連している。特に、少なくともインテグリン(integrin)mRNA発現、ファイブロネクチン(fibronectin)mRNA発現、サイクリンD1(cyclin D1)mRNA発現、myc−associated zinc finger protein(MAZ)mRNA発現、AP2αmRNA発現もしくは14−3−3γmRNA発現の亢進、またはオステオポンチン(osteopontin)mRNA発現の抑制は、EP2および/またはEP3作動活性を有する物質による上記作用と強く相関しており、これら作用はこれらのmRNAの発現制御を介してあるいはともに発生する。したがって、被験物質による軟骨細胞または細胞株でのmRNA発現誘導または抑制を測定することことにより、軟骨生成促進、軟骨細胞増殖促進、軟骨細胞分化促進、軟骨石灰化抑制、または軟骨分解抑制作用さらには軟骨障害治療効果を有するEP2および/またはEP3作動活性物質をスクリーニングすることができる。その測定方法は、レポーター遺伝子アッセイ(例えば、ルシフェラーゼアッセイ、β−ガラクトシダーゼアッセイ、GFPアッセイ、SEAPアッセイ)、DNAマイクロアレイ法、RT−PCR法もしくはノーザンブロッティング法またはそれに準じる方法に従って行なうことができる。DNAマイクロアレイ法は、市販されているcDNAチップを使用して行なうことができるが、好ましくは、任意に選択した軟骨組織関連遺伝子のcDNAから作成したものを使用することができる。または、発現誘導されるタンパク質、例えば、細胞内タンパク質、細胞表面タンパク質、または分泌タンパク質の産生量を公知の方法、例えば、免疫学的検出法、クロマトグラフィーを用いる方法などによって測定することによっても行なうことができる。
本発明のEP2および/またはEP3作動活性を有する物質による軟骨細胞増殖促進作用は、EP2および/またはEP3作動活性を有する物質による軟骨細胞またはその細胞株の増殖活性の増強を測定する方法で評価することができる。その測定は、例えば、血球計算盤を用いる方法、セルカウンターもしくはFACSを用いる方法、Hチミジンなどの放射性同位体を用いる方法、ブロモウラシル(以下、BrUと記載する。)取込による方法、LDH(乳酸脱水素酵素)法、ニュートラルレッドもしくはクリスタルバイオレットで染色する方法、またはテトラゾリウム塩(例えば、WST−8、MTT、またはXTT)を用いる方法によって行なうことができる。それぞれの測定法は、公知あるいは販売される測定キットに添付された使用説明に従って実施することができる。
本発明のEP2および/またはEP3作動活性を有する物質による軟骨生成促進作用は、骨端部の関節軟骨組織の組織学的解析によって評価することができる。具体的には、人為的にあるいは軟骨障害により、骨端部関節軟骨の一部を欠損させたあるいは損傷した哺乳類動物モデルにおいて、EP2および/またはEP3作動活性を有する物質を同欠損あるいは損傷部位に局所的に投与することによって、それら物質の作用を評価することができる。このときの評価対象は、再生した軟骨組織の組織学的所見あるいはその面積比である。なお、人為的な軟骨欠損には、軟骨下骨には損傷を与えず、軟骨層のみを部分的に欠失させることができる装置を使用することができる。
本発明のEP2および/またはEP3作動活性を有する物質による軟骨石灰化抑制作用は、軟骨組織の石灰化速度の測定によって評価することができる。具体的には、沈着ミネラルの主成分であるカルシウムをキレートするカルセインを投与して骨標識を行ない、カルセインの投与間隔間での石灰化速度を算出する。
[本発明の軟骨移植体]
本明細書において軟骨移植体とは、初代培養軟骨細胞もしくは軟骨細胞株または体外で再生された軟骨を意味する。これらは軟骨障害に起因する種々の疾患として知られる、例えば、慢性関節リウマチ、骨粗鬆症、変形性関節症、骨・軟骨欠損、軟骨損傷、関節円板損傷、半月板損傷、軟骨形成異常症、骨折の修復・治癒不全、再骨折、軟骨骨形成不全、軟骨無形成症、骨変形・変形脊椎症、軟骨発育不全、軟骨異栄養症、関節軟骨石灰化症、急性化膿性関節炎、結核性関節炎、梅毒性関節炎、全身性エリテマトーデス、変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、スポーツによる外傷、キーパンチャー病、骨肉腫、骨髄腫、骨軟化症、くる病、線維性骨炎、腎性骨異栄養症、または骨ベーチェット病に対する安全な軟骨移植体として使用することができる。さらに、EP2および/またはEP3作動活性を有する物質を有効成分として含有する軟骨関連疾患治療剤は、軟骨細胞培養剤として軟骨移植体の製造に使用することもできる。これはEP2および/またはEP3作動活性を有する物質の軟骨生成促進作用、軟骨細胞増殖促進作用、軟骨細胞分化促進作用、軟骨石灰化抑制作用、および軟骨分解抑制作用を、体外での軟骨移植体の製造に利用するものである。
本発明の初代培養軟骨細胞または軟骨細胞株は、軟骨細胞移植のみに使用することも可能である。
具体的には、患者から採取した軟骨組織あるいは患者の骨髄等から採取した間葉系幹細胞を培養して、これを上記疾患患部組織に移植することで、軟骨再生を促すことができる。この時、採取できる軟骨組織あるいは骨髄に含まれる間葉系幹細胞数は限られているため、体外培養で効率良く分化あるいは増殖させるかが課題となる。本発明の物質は、移植可能な軟骨組織あるいは軟骨細胞を調製するため、同組織の再生あるいは同細胞の分化および増殖促進に使用することができる。
本発明で使用される初代培養軟骨細胞または軟骨細胞株は、軟骨細胞に分化しうる細胞であれば、クローナルあるいはポリクローナルな細胞のいずれでも良い。例えば、骨髄由来細胞、関節軟骨由来細胞、皮膚由来細胞、胚細胞、胎児由来細胞などを用いることができ、具体的には、ヒト間葉系幹細胞、脱分化したヒト軟骨細胞、より具体的には、本発明の国際受託番号FERM BP−10029で認識される細胞株である。同細胞株は、2003年6月12日付で、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)、独立行政法人産業技術研究所特許生物寄託センターに寄託され(受託番号FERM P−19393)、2004年5月27日付で、国際寄託に移管されたものである(国際受託番号FERM BP−10029)。
本発明の初代培養軟骨細胞または軟骨細胞株は、軟骨生成促進、軟骨細胞増殖促進、軟骨分解抑制もしくは軟骨細胞分化促進または軟骨障害に起因する種々の疾患に関わる新たな遺伝子の探索などに使用できる。この目的に使用できる初代培養軟骨細胞または軟骨細胞株は、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、サルまたはヒトを含む霊長類の組織から単離および作製することができる。
[医薬品としての適用]
本発明に用いられる化合物は、公知の方法で製造される塩も当然含まれる。薬理学的に許容される塩が好ましいが、本明細書および特許請求の範囲に特記された化合物は、薬理学的に許容し得る程度に低毒性であり、医薬品として使用するために十分安全であることが確認されている。
ここでいう薬理学的に許容される塩とは、親化合物が酸性化合物である場合はアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等であり、親化合物が塩基性化合物である場合は有機、無機の酸付加塩等である。
薬理学的に許容される塩は、水溶性のものが好ましい。好ましい塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミンやアミノ酸(例えば、テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩が挙げられる。
酸付加塩は水溶性であることが好ましい。好ましい酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩のような無機酸塩、または酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩のような有機酸塩が挙げられる。
また、本発明に用いられる化合物またはその塩は溶媒和物であってもよい。
溶媒和物は非毒性かつ水溶性であるものが好ましい。好ましい溶媒和物としては、例えば水、アルコール系の溶媒(例えば、エタノール等)のような溶媒和物が挙げられる。
また、本発明に用いられる化合物は、公知の方法で製造されるプロドラッグであってもよい。
本発明に用いられる化合物のプロドラッグは、生体内において酵素や胃酸等による反応により本発明に用いられる化合物に変換する化合物をいう。本発明に用いられる化合物のプロドラッグとしては、本発明に用いられる化合物が水酸基を有する場合、該水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例、本発明に用いられる化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など);本発明に用いられる化合物がカルボキシ基を有する場合該カルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例、本発明に用いられる化合物のカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など)等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって製造することができる。また、本発明に用いられる化合物のプロドラッグは溶媒和物および非溶媒和物のいずれであってもよい。
本発明に用いられる化合物またはそのエステルは、α−、β−あるいは、γ−シクロデキストリンあるいは、これらの混合物を用いて、GB1351238号明細書、または同1419221号明細書記載の方法を用いることにより、シクロデキストリン包接化合物に変換することができる。シクロデキストリン包接化合物に変換することにより、安定性が増大し、また水溶性が大きくなるため、薬剤として使用する際好都合である。
本発明の治療剤は、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
投与量は、本発明に用いる薬物により異なると同時に、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、経口投与の場合は、通常、成人一人あたり、1回につき、1μgから100mgの範囲で、1日1回から数回投与される。非経口投与の場合は、成人一人あたり、1回につき、0.1ngから10mgの範囲で、1日1回から数回投与され、その非経口投与形態は、好ましくは、静脈内投与であり、1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん前記したように、投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場合もある。
本発明の治療剤と他の薬剤の併用剤を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤および、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、吸入剤、経鼻剤等として用いられる。
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。また錠剤には舌下錠、口腔内貼付錠、口腔内速崩壊錠などが含まれる。
このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
舌下錠は公知の方法に準じて製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質に賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、コロイダルシリカ、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(デンプン、L−ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、膨潤剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カーボポール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、グアーガム等)、膨潤補助剤(グルコース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース、トレハロース、リン酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、グリシン、グルタミン酸、アルギニン等)安定剤、溶解補助剤(ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルタミン酸、アスパラギン酸等)、香味料(オレンジ、ストロベリー、ミント、レモン、バニラ等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。また、必要に応じて常用される防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を加えることもできる。口腔内貼付錠は公知の方法に準じて製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質に賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、コロイダルシリカ、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(デンプン、L−ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、付着剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カーボポール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、グアーガム等)、付着補助剤(グルコース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース、トレハロース、リン酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、グリシン、グルタミン酸、アルギニン等)安定剤、溶解補助剤(ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルタミン酸、アスパラギン酸等)、香味料(オレンジ、ストロベリー、ミント、レモン、バニラ等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。また、必要に応じて常用される防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を加えることもできる。
口腔内速崩壊錠は公知の方法に準じて製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質をそのまま、あるいは原末もしくは造粒原末粒子に適当なコーティング剤(エチルセルロース、ヒドキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸メタクリル酸コポリマー等)、可塑剤(ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル等)を用いて被覆を施した活性物質に賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、コロイダルシリカ、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(デンプン、L−ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、分散補助剤(グルコース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース、トレハロース、リン酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、グリシン、グルタミン酸、アルギニン等)安定剤、溶解補助剤(ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルタミン酸、アスパラギン酸等)、香味料(オレンジ、ストロベリー、ミント、レモン、バニラ等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。また、必要に応じて常用される防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を加えることもできる。
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノール、またはそれらの混液等)に溶解、懸濁、または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
非経口投与のための外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、エアゾル剤、点眼剤、および点鼻剤等が含まれる。これらはひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、公知の方法または通常使用されている処方により製造される。
軟膏剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に研和、または溶融させて製造される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル(アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
ゲル剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させて製造される。ゲル基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
クリーム剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融または乳化させて製造される。クリーム基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、高級アルコール(2−ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
湿布剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して製造される。湿布基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、増粘剤(ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
貼付剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して製造される。貼付剤用基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
リニメント剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物を水、アルコール(エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤等から選ばれるもの単独または2種以上に溶解、懸濁または乳化させて製造される。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
噴霧剤、吸入剤、およびスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えばUS2,868,691号明細書および同第3,095,355号明細書に詳しく記載されている。
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水、または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤または吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁させて使用する形態であってもよい。
これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキストリン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
非経口投与のためその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー等が含まれる。
持続性製剤としては、疾患の部位へ直接、本発明記載の化合物を持続的に供給できればよく、その投与形態としては埋め込み製剤が挙げられる。
本発明の治療剤の持続性フィルム状製剤のフィルム基材で使用する生体内吸収性高分子としては、脂肪酸エステル重合体、またはその共重合体、ポリアクリル酸エステル類、ポリヒドロキシ酪酸類、ポリアルキレンオキサレート類、ポリオルソエステル、ポリカーボネートおよびポリアミノ酸類が挙げられ、これらは1種類またはそれ以上混合して使用することができる。脂肪酸エステル重合体またはその共重合体とは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリフォスファゼンなど、およびこれらの2成分以上からなるグラフト、ブロック、交互、ランダム共重合体が挙げられ、これらは1種類またはそれ以上混合して使用することができる。その他に、ポリα−シアノアクリル酸エステル、ポリβ−ヒドロキシ酪酸、ポリトリメチレンオキサート、ポリオルソエステル、ポリオルソカーボネート、ポリエチレンカーボネート、ポリγ−ベンジル−L−グルタミン酸およびポリL−アラニンなどがあり、これらの2成分以上または上述材料との共重合体など、あるいは1種類またはそれ以上混合も使用することができる。好ましくは、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、または乳酸−グリコール酸共重合体である。
ポリ乳酸あるいは乳酸−グリコール酸共重合体で使用される乳酸としては、L−乳酸またはDL−乳酸が挙げられる。
本発明に使用される前記生体内吸収性高分子重合物の平均分子量は約2,000〜約800,000のものが好ましく、約5,000〜約200,000がより好ましい。例えば、ポリ乳酸において、その重量平均分子量は約5,000〜約100,000ものが好ましく、さらに約6,000〜約50,000が好ましい。ポリ乳酸は、それ自体公知の製造方法に従って合成できる。
乳酸−グリコール酸共重合物においては、その乳酸とグリコール酸との組成比は約100/0〜約0/100(W/W)までのもの、より好ましくは約90/10〜約30/70(W/W)のものを目的に応じて用いることができる。使用する乳酸−グリコール酸共重合物の重量平均分子量は約5,000〜約100,000が好ましく、さらに約10,000〜約80,000が好ましい。乳酸−グリコール酸共重合物は、それ自体公知の製造方法に従って合成できる。
フィルム状製剤の製造方法は、特に制限されないが、例えば前記の生体内吸収性高分子と本発明の有効化合物を有機溶媒に溶解した後、蒸留乾固、風乾、または凍結乾燥してフィルム状とする方法、生体内吸収性高分子を有機溶媒に溶解し、本発明で用いる化合物を水あるいは前者有機溶媒と混和しない溶媒に溶解した後に乳化混合して凍結乾燥する方法、あるいは生体内吸収性高分子と本発明で用いる化合物を適当な溶剤に溶かした後、増粘剤(セルロース類、ポリカーボネート類等)を加えて、ゲル化する方法により製造することができる。
本発明の治療剤は、本発明記載の化合物の作用が徐放性を有し、生体内吸収性高分子の種類、配合量などによりその徐放期間は異なるが、通常1週から3カ月の徐放期間を有するので、軟骨障害に起因する疾患等に用いることができる。これらの中で特に当該患者の場合、患部を固定しギブスなどで覆うことが多いため、頻回投与を避け1回の投与で持続的に治癒促進することが望まれるため、本発明の治療剤には特に有効である。
本発明の治療剤の投与量は、薬物放出の持続時間、投与対象動物などにより異なるが、本発明で用いる化合物の有効量であればよい。例えばフィルム状製剤として関節部位に使用する場合、1回当りの投与量として、成人(体重50kg)当たり、有効成分として約0.001mgから500mgを、好ましくは約0.01mgから50mgを1週間ないし3カ月に1回投与すればよい。
本発明の治療剤は、その予防および/または治療効果の補完および/または増強のため、動態・吸収改善、投与量の低減のため、および/または、副作用の軽減のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
特には、他の骨疾患治療剤と共に用いることもできる。例えば、組み合される薬剤としては、例えば、抗炎症ステロイド剤(例えば、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン等)、非ステロイド性消炎鎮痛剤(例えば、インドメタシン、ジクロフェナク、ロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリン、ピロキシカム、スリンダク)、ヒアルロン酸製剤(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム)、または軟骨細胞の増殖促進因子(例えば、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)、インスリン様増殖因子(IGF−I)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、上皮増殖因子(EGF)とインシュリンの組み合わせ、成長ホルモン(GH)、または血小板由来増殖因子(PDGF)が挙げられる。ここでいう他の薬物は、それ自体任意の2種以上を組み合わせて投与してもよい。
また、本発明の治療剤は、軟骨移植体または移植用軟骨細胞と共に投与することができる。この時の投与法としては、持続性製剤、例えば、持続性フィルム製剤として投与することが好ましい。
本発明の治療剤と他の薬剤の併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、本発明の薬剤を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、本発明の薬剤を後に投与してもかまわず、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
本発明の治療剤と他の薬物の使用量は特に限定されず、安全に使用される量ならいかなる量でもよい。また、本発明の薬剤の治療効果を補完および/または増強する他の薬物には、既知および/または新規化合物も含まれる。
さらにここでいう他の薬物は、一般的に使用されるいかなる剤形であってもよい。例えば、固形剤(例えば、錠剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等)、液剤(水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等)等が挙げられる。
【発明の効果】
本発明はEP2および/またはEP3作動活性を有する物質を有効成分として含有する軟骨関連疾患治療剤を提供したものである。EP2および/またはEP3作動活性を有する物質は、軟骨生成促進作用、軟骨細胞増殖促進作用、軟骨細胞分化促進作用、軟骨石灰化抑制作用および軟骨分解抑制作用から選択される一種以上の作用を有しており、軟骨関連疾患治療剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
図1は、軟骨組織または細胞での各EP発現を示す。(a)は、新生マウス脛骨骨端部軟骨での各EP発現のin situハイブリダイゼーション像であり、(b)は、RT−PCRの結果を示し、1はヒト関節軟骨組織、2はヒト関節軟骨初代培養細胞、3は各EP発現陽性組織についての結果である。
図2は、p53欠損マウス関節軟骨由来細胞における軟骨関連遺伝子発現を示す。(a)は軟骨関連遺伝子、(b)は各EP発現のRT−PCRの結果を示す。
図3は、MM2軟骨細胞株の軟骨基質を伴う細胞塊染色像である。(I)は培養2日後、(II)は培養21日後の細胞像であり、(III)は同細胞の三次元培養での軟骨基質形成ヘマトキシリン−エオジン染色像、(IV)は同アルシアンブルー染色像である。
図4は、MM2軟骨細胞株における各EPアゴニストによる細胞内cAMP濃度に対する作用を示すグラフである。(a)は各EPアゴニストの作用を示し、P<0.05は、統計的有意差を示す。(b)はEP2アゴニストの濃度依存的作用を示す。
図5は、MM2軟骨細胞株におけるEP2またはEP3アゴニストによる遺伝子発現変動のRT−PCRの結果を示す。(a)は発現促進遺伝子群、(b)は発現抑制遺伝子群。
図6は、ヒト関節軟骨初代培養細胞におけるEP2またはEP3アゴニストによる遺伝子発現変動のRT−PCRの結果を示す。(a)は発現促進遺伝子群、(b)は発現抑制遺伝子群。
図7は、ヒト関節軟骨初代培養細胞に対する各EPアゴニストの増殖促進効果を示すグラフである。
図8は、ラット大腿骨外顆関節軟骨損傷器官培養系でのEP2アゴニストの関節軟骨修復能を示すグラフである。
図9は、ラット大腿骨外顆関節軟骨損傷に対するEP2アゴニストの作用を示す。(a)および(c)は損傷直後、(b)および(d)は損傷21日後の像、(a)および(b)はヘマトキシリン−エオジン染色像、(b)および(d)はアルシアンブルー染色像である。
図10は、ラット大腿骨頭関節軟骨器官培養7日後のPCNA染色像である。(a)はコントロール、(b)はEP2アゴニスト(1μM)処置、(c)はEP3アゴニスト(1μM)処置像である。
図11は、ラット大腿骨軟骨損傷モデルを用いた軟骨再生能に対するEPアゴニストの評価方法を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、実施例および製剤例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例では、本発明化合物評価の測定精度および測定感度の向上を図るため、種々の改良を加えた方法で測定を行なった。
【実施例1】
4週齢p53欠損マウス(Tukada,T,オンコジーン(Oncogene),1992年,第8巻,p.3313−3322)から採取した大腿骨および脛骨の軟骨組織を細かく刻み、0.1%コラゲナーゼで処理した後、DMEM/Ham’sF12(1:1)培地(10%ウシ胎児血清(FBS)、抗生物質含(以下、DMEM/Ham’sF12培地と略記する。))にて培養(培養条件;5%CO、37℃、加湿下、以下、同様の条件で行なった。)した。80〜90%コンフルエント状態の同細胞群から希釈継代培養を行ない、国際受託番号FERM BP−10029で認識される軟骨細胞株MMA2を単離した。同軟骨細胞株は、RT−PCR法による発現解析によりII型コラーゲン、アグリカン等の関節軟骨関連遺伝子を発現していた(図2(a))。また、長期間培養しても石灰化結節を形成せず、三次元培養では、軟骨基質を伴う細胞塊を形成するなど、関節軟骨細胞としての形質を有した細胞であった(図3(III)、(IV))。また、EP2およびEP3、特にEP3のアイソフォームに関してはγフォームを発現していることが確認された(図2(b))。
ヒト初代培養軟骨細胞は、大腿骨骨肉腫のため、膝上切断を行なった3名の患者の膝関節軟骨から単離した。さらに、他のヒト初代培養軟骨細胞については、人工股関節再置を行なったリウマチ関節炎患者より取得した。これら細胞についても上記方法により、単離作業を行なった。
【実施例2】
各軟骨細胞を3×10個/100mm培養ディッシュの細胞密度で培養(5μMインドメタシン含)した。選択的EP1アゴニストとして(17S)−2,5−エタノ−6−オキソ−17,20−ジメチル−PGE、選択的EP2アゴニストとして(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロプロスタ−5,13,19−トリエン酸、選択的EP3アゴニストとして11α,15α−ジメトキシ−9−オキソプロスタ−5Z,13E−ジエン酸および選択的EP4アゴニストとして11α,15α−ジヒドロキシ−9−オキソ−16−(3−メトキシメチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノル−3,7−ジチアプロスト−13E−エン酸(小野薬品工業より入手)をそれぞれ添加し、72時間後の各作用を評価した。
【実施例3】
各軟骨細胞を50mg/mlアスコルビン酸含有DMEM/Ham’sF12培地にて単層培養を開始した。培養開始後最初の6日間は培地交換を行なわず、その後は一日おきに交換し、21日目に回収した培養細胞ペレットを20%ホルムアルデヒドで固定し、パラフィン包理した。この6μm厚切片をヘマトキシリン−エオジン(0.1N)塩酸溶液あるいは0.1%アルシアンブルー(0.1N)塩酸溶液にて染色し、光学顕微にて撮影した。
【実施例4】
新生マウス脛骨を切開し、OCT(optium cutting tempetature)compound(サクラ精機製)に包理して、4μm厚で低温切片を作製した。その切片を4%パラホルムアルデヒド・リン酸緩衝液で固定し、風乾後、20μg/ml proteinase K(Dako Cytomation製)で消化した。作製したスライドを、1μg/ml 5’−FITC標識オリゴヌクレオチド含有ハイブリダイゼーション緩衝液(Dako Cytomation製)に浸漬し、6時間、37℃下で湿室にてインキュベートした。以下に使用した標識オリゴヌクレオチドプローブの配列を示す。
EP1アンチセンス;

EP2アンチセンス;

EP3アンチセンス;

EP4アンチセンス;

ハイブリダイゼーション後、Stringent Wash Solution(Dako Cytomation製)にて洗浄し、続いて、ウサギ抗FITC/HRP抗体(Dako Cytomation製)に対して1時間反応させた。さらに、Streptoavidin/HRP(Dako Cytomation製)に反応させた後、基質であるDAB choromogen solution(Dako Cytomation製)を使用して、シグナルを検出した。
その結果、新生マウス脛骨の関節軟骨を含む骨端軟骨でEP2およびEP3が発現していることが判明した(図1(a))。
【実施例5】
各軟骨細胞を3×10個/100mm培養ディッシュの細胞密度で培養を開始し、2日後および21日後に、それぞれのトータルRNAをTrizol Reagent(Life Technologies製)を使用し、添付の使用説明に従い調製した。RT反応は、調製したトータルRNA1μgを使用し、RT−PCR kit(Life Technologies製)に添付の使用説明に従い行なった。PCR反応は、RT反応液1μlを含む25μl反応液(20pmolセンスプライマー、20pmolアンチセンスプライマー、25mM MgCl、0.2mM dNTP、1unit rTaq polymerase(東洋紡製))中で行なった。PCR反応(反応は、開始反応を94℃下で5分間行ない、以下の反応を35回(変性反応を94℃下で1分間、アニーリング反応を72℃下で1分間および伸長反応を72℃下で7分間)行なう。)は、Gene Amp9700(PE Applied Biosystem製)を使用して行なった。以上のRT−PCRに使用したプライマーの配列を以下に示す。
EP1プライマー;

EP2プライマー;

EP4プライマー;


EP3αおよびEP3βプライマー;

EP3γプライマー;

β−アクチンプライマー;

続いて、PCR産物をアガロースゲル電気泳動で分離後、エチジウムブロマイド染色によって検出した。
その結果、ヒト軟骨組織および初代培養軟骨細胞では、EP2およびEP3の発現が確認された(図1(b))。
【実施例6】
各軟骨細胞を1×10個/24ウェル培養ディッシュの細胞密度で培養を開始し、2時間後に、実施例2に示したそれぞれの選択的EPアゴニストを添加して、さらに12時間培養した。細胞内cAMP濃度は、細胞溶解液(0.1mM Tris/HCl緩衝液、pH7.2)で溶解した同細胞溶解上清を試料として、cAMPアッセイキット(Cayman Chemical Company製)を使用し、同キット添付説明書に従い測定した。
MMA2軟骨細胞株に実施例2記載の各EPアゴニストを添加し、細胞内cAMP濃度を測定した結果、EP2アゴニストにより濃度依存的に細胞内cAMPが増加することが判明した(図4(a)、(b))。
【実施例7】
軟骨細胞の遺伝子発現プロファイルをカスタムメードcDNAマイクロアレイシステムで解析した。同システムは78種の骨および軟骨関連マウス遺伝子および900種類のマウス遺伝子(InteliGene Mouse CHIP ver.1)(タカラバイオ製)をガラススライドにスポットして作製した。
実施例2に示したそれぞれの選択的EPアゴニスト(1μM)存在下あるいは非存在下のDMEM/F12培地(5μMインドメタシン含有)中で軟骨細胞を72時間培養し、それぞれのトータルRNAを抽出した。それらトータルRNA20μgを鋳型として、400U M−MLV逆転写酵素およびCy3あるいはCy5−dUTP(Amersham Biosciences製)を用いて、蛍光cDNAプローブを合成した。
反応緩衝液(6×SSC/0.2%SDS、5×Denhardt’s溶液、0.1mg/ml変性サケ精子DNA)に溶解した各cDNAプローブをガラススライド上のスポットに対して、65℃下で一晩ハイブリダイズさせた。同スライドを55℃下で5分間、2回、さらに、65℃下で5分間、1回、洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で洗浄し、最後に、室温下で1分間、0.05×SSC溶液で洗浄した。ハイブリダイゼーションシグナルは、Affymetrix418 Array Scanner(Affymetrix製)で視覚化し、ImaGene software(BioDiscovery製)にて解析した。変動が確認された発現遺伝子については、RT−PCR法により再確認を行なった。
解析の結果、EP2アゴニストまたはEP3アゴニストの添加により軟骨細胞株で発現が亢進される遺伝子としてファイブロネクチン、インテグリン、サイクリンD1、MAZ、AP2αおよび14−3−3γが確認された(図5(a))。一方、発現が低下する遺伝子としてオステオポンチンおよびMGPが確認された(図5(b))。また、ヒト関節軟骨初代培養細胞においても同様の結果が得られた(図6(a)、(b))。
【実施例8】
細胞増殖活性は、BrU labeling、detection kit(Boehringer Mannheim GmbH製)を使用したBrdU取込アッセイで測定した。
各軟骨細胞を2×10個/96ウェル培養ディッシュの細胞密度で培養を開始し、細胞付着後、実施例2記載の選択的EPアゴニスト(1μM)を添加して、37℃下で一晩培養した。さらに、BrdU(最終濃度110μM)とともに8時間培養し、同キットの添付説明書の方法により、標識された核を検出した。
解析に結果、ヒト初代培養軟骨細胞に対して、実施例2記載の特異的EP2アゴニストが、DNA合成促進効果を有することが判明した(図7;図中○は正常軟骨、□はRA関節軟骨由来細胞を示す。)。
【実施例9】
軟骨欠損モデルは、5週齢ラットから採取した大腿骨外顆関節軟骨に対し、軟骨下骨に損傷を与えないように、関節層のみを切除することによって作製した。同大腿骨をDMEM/Ham’sF12培地(5μMインドメタシン含有)に浸漬して、実施例2記載の選択的EPアゴニスト(10μMまたは1μM)存在下(処置群)あるいは非存在下(対象群)で21日間培養した。新生された軟骨組織面積をImage−Pro Plus software(Planetron製)によって測定し、無処置の側面関節面との面積比として算出した。
対象群では、全く組織再生像は認められなかったのに対し(図9(a))、処置群では残存する既存の軟骨(右側)と同程度の染色性をもつ組織の再生像が認められ、その再生組織の比率は経日的に増加し、かつ、濃度依存的であった(図8;図中、白抜きグラフは無処置領域、灰色グラフはEP2アゴニスト(1μM)処置群、黒色グラフはEP2アゴニスト(10μM)処置群の結果を示す。)。
【実施例10】
ホルマリン固定切片は、実施例8記載の組織培養開始から0日目、7日目、14日目および21日目に調製した。各切片は、EDTA(10%W/V)にて7日間脱石灰し、4μm厚切片にスライスした。ヘマトキシリン−エオジンおよびアルシアンブルー染色は前記方法によって行なった。
PCNA免疫組織染色は、作製したスライドを3%過酸化水素で処理した後、ブロッキング溶液(Dako Cytomation製)でブロッキング処置を行なった。続いて、抗PCNA抗体(最終濃度;5μg/ml)とともに4℃下で一晩インキュベートし、さらに、二次抗体として、ウサギENVISION Polymer Reagent(Dako Cytomation製)を添加して、室温下で1時間反応させた。洗浄後、3,3’−diaminobenzidine tetrahydrochloride(Dako Cytomation製)を基質とする反応を検出した。同切片はヘマトキシリン、無水アルコールにて対比染色した。
解析の結果、実施例2記載の選択的EP2アゴニストまたはEP3アゴニスト処置群においては、明らかに染色性が増加しており、特に同EP2アゴニスト処置群における効果が顕著であった(図10(b))。
【実施例11】
麻酔下で、6週令ラットの膝関節を切開し、大腿骨関節軟骨の膝蓋関節面に深さ300μmの軟骨欠損を作成する。同欠損部分に、EP2アゴニストまたはEP3アゴニストを含浸させた高分子ビーズを留置させ、関節を閉鎖する(図11)。その後、1、2、4および8週後に、同関節を組織学的に評価する。同評価では、サフラニンO陽性領域の定量、II型コラーゲン、アグレカン等の軟骨基質の定量、PCNA染色およびTUNNEL染色によって、EP2アゴニストまたはEP3アゴニストによる軟骨再生能に対する効果を評価することができる。
製剤例1:
以下の各成分を常法により混合したのち、打錠して、1錠中に0.5mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得た。
・(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−
ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン
酸 ・・・・・ 5g
・カルボキシメチルセルロース カルシウム ・・・・・20g
・ステアリン酸マグネシウム ・・・・・10g
・微結晶セルロース ・・・・・920g
製剤例2:
以下の各成分を常法により混合したのち、除塵フィルターでろ過し、1mlずつバイアルに充填し、常法により凍結乾燥し、1バイアル中0.2mgの活性成分を含有するバイアル1万本を得た。
・(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−
ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン
酸 ・・・・・ 2g
・マンニット ・・・・・500g
・蒸留水 ・・・・・10L
製剤例3:
以下の各成分を常法により混合したのち、打錠して、1錠中に0.5mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得た。
・11α,15α−ジメトキシ−9−オキソプロスタ−5Z,13E−ジエ
ン酸 ・・・・・ 5g
・カルボキシメチルセルロース カルシウム ・・・・・20g
・ステアリン酸マグネシウム ・・・・・10g
・微結晶セルロース ・・・・・920g
製剤例4:
以下の各成分を常法により混合したのち、溶液を常法により滅菌し、1mlずつバイアルに充填し、常法により凍結乾燥し、1バイアル中0.2mgの活性成分を含有するバイアル1万本を得た。
・11α,15α−ジメトキシ−9−オキソプロスタ−5Z,13E−ジエ
ン酸 ・・・・・ 2g
・マンニット ・・・・・500g
・蒸留水 ・・・・・10L
【産業上の利用可能性】
本発明の治療剤は、優れた軟骨生成促進作用、軟骨細胞増殖作用、軟骨細胞分化誘導促進作用、軟骨石灰化抑制、および/または軟骨分解抑制作用を有するので、軟骨障害に起因する各種骨疾患の予防および/または治療、あるいは軟骨移植体製造に用いることができる。
例えば、当該疾患として知られている慢性関節リウマチ、骨粗鬆症、変形性関節症、骨・軟骨欠損、軟骨損傷、関節円板損傷、半月板損傷、軟骨形成異常症、骨折の修復・治癒不全、再骨折、軟骨骨形成不全、軟骨無形成症、骨変形・変形脊椎症、軟骨発育不全、軟骨異栄養症、関節軟骨石灰化症、急性化膿性関節炎、結核性関節炎、梅毒性関節炎、全身性エリテマトーデス、変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、スポーツによる外傷、キーパンチャー病、骨肉腫、骨髄腫、骨軟化症、くる病、線維性骨炎、腎性骨異栄養症、または骨ベーチェット病の予防および/または治療あるいは疾患に伴う機能障害を改善することが期待できる。
【配列表】






【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
EP2および/またはEP3作動活性を有する物質を有効成分として含有する軟骨関連疾患治療剤。
【請求項2】
軟骨障害治療剤である請求の範囲1に記載の軟骨関連疾患治療剤。
【請求項3】
軟骨移植体製造用剤である請求の範囲1に記載の軟骨関連疾患治療剤。
【請求項4】
軟骨生成促進作用、軟骨細胞増殖促進作用、軟骨細胞分化促進作用、軟骨石灰化抑制作用および軟骨分解抑制作用から選択される一以上の作用を有する請求の範囲2または3記載の軟骨関連疾患治療剤。
【請求項5】
軟骨細胞培養用剤である請求の範囲3記載の軟骨関連疾患治療剤。
【請求項6】
インテグリンmRNA発現促進作用、ファイブロネクチンmRNA発現促進作用、サイクリンD1mRNA発現促進作用およびオステオポンチンmRNA発現抑制作用から選択される一以上の作用を有する請求の範囲2または3記載の軟骨関連疾患治療剤。
【請求項7】
軟骨生成促進作用、軟骨細胞増殖促進作用、軟骨細胞分化促進作用、軟骨石灰化抑制作用、および軟骨分解抑制作用から選択される一以上の作用が、軟骨細胞または軟骨組織でのインテグリンmRNA発現促進、ファイブロネクチンmRNA発現促進、サイクリンD1mRNA発現促進、およびオステオポンチンmRNA発現抑制から選択される一以上に基づく作用である請求の範囲4記載の軟骨関連疾患治療剤。
【請求項8】
軟骨細胞増殖促進作用がサイクリンD1mRNA発現促進に基づく作用である請求の範囲7記載の軟骨関連疾患治療剤。
【請求項9】
軟骨石灰化抑制作用がオステオポンチンmRNA発現抑制に基づく作用である請求の範囲7記載の軟骨関連疾患治療剤。
【請求項10】
トランスフォーミング増殖因子−β、インスリン様増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、上皮増殖因子、成長ホルモン、および血小板由来増殖因子から選択される一以上の物質と請求の範囲1記載のEP2および/またはEP3作動活性を有する物質との組み合わせからなる軟骨関連疾患治療剤。
【請求項11】
EP2および/またはEP3作動活性を有する物質を投与することを特徴とする軟骨障害治療方法。
【請求項12】
EP2および/またはEP3作動活性を有する物質を添加することを特徴とする軟骨移植体製造方法。
【請求項13】
軟骨障害治療剤製造のため、または軟骨移植体製造用剤製造のためのEP2および/またはEP3作動活性を有する物質の使用。
【請求項14】
EP2作動活性を有する物質が、EP860430号明細書に記載された化合物、WO99/33794号パンフレットに記載の化合物、EP974580号明細書に記載の化合物、WO2003/74483号パンフレットに記載の化合物、WO95/19964号パンフレットに記載の化合物、WO98/28264号パンフレットに記載の化合物、WO99/19300号パンフレットに記載の化合物、EP0911321号明細書に記載の化合物、US4,132,738号明細書に記載の化合物およびUS3,965,143号明細書に記載の化合物から選択される一以上の化合物である請求の範囲1記載の軟骨関連疾患治療剤。
【請求項15】
(1)(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸、
(2)(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロプロスタ−5,13,19−トリエン酸、
(3)トランス−2−(4−(1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソシクロペンタンヘプタン酸、
(4)2−[3−(4−tert−ブチルベンジル)−N−(ピリジン−3−イルスルホニル)アミノ−メチル]フェノキシ]酢酸、
(5)[1R[1α,2β(1E,4R),3α]]−3−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(1−プロピルシクロブチル)−1−ブテニル]−5−オキソシクロペンタン−ヘプタン酸 メチルエステル、
(6)(2R,3R,4R)−4−ヒドロキシ−2−(7−ヒドロキシヘプチル)−3−[(E)−(4RS)−(4−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテニル)]シクロペンタノン、および
(7)(+/−)−15−デオキシ−16−α,β−ヒドロキシ−16−メチルPGE1メチルエステルから選択される一以上の化合物である請求の範囲14記載の軟骨関連疾患治療剤。
【請求項16】
EP3作動活性を有する物質が、WO98/34916号パンフレットに記載の化合物、特開平8−239356号公報に記載の化合物、US4,692,464号明細書に記載の化合物、特開昭61−249951号公報に記載の化合物、US4,863,961号明細書に記載の化合物およびUS3,985,791号明細書に記載の化合物から選択される一以上の化合物である請求の範囲1記載の軟骨関連疾患治療剤。
【請求項17】
(1)11α,15α−ジメトキシ−9−オキソプロスタ−5Z,13E−ジエン酸、
(2)2−[5−[2−[N−(ジフェニルメチル)カルバモイル]エチル]ナフタレン−1−イルオキシ]酢酸、
(3)(1S,5S,6R,7R)−5−[7−ヒドロキシ−6−[3(S)−ヒドロキシ−3−メチル−1(E)−オクテニル]ビシクロ[3.3.0]オクト−2−エン−3−イル]ペンタン酸、
(4)(−)−[1(R)−[1α(Z),2β(R),3α]]−7−[3−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)−5−オキソシクロペンチル]−4−ヘプテン酸 4−(ベンゾイルアミノ)フェニルエステル、
(5)メチル−7−(2β−(6−(1−シクロペンチル−イル)−4R−ヒドロキシ−4−メチル−1E,5E−ヘキサジエニル)−3α−ヒドロキシ−5−オキソ−1R,1α−シクロペンチル)−4Z−ヘプテン酸、および
(6)9−オキソ−11α,15α−ジヒドロキシ−16−フェノキシ−17,18,19,20−テトラノルプロスタ−4,5,13−トランス−トリエン酸メチルエステルから選択される一以上の化合物である請求の範囲16記載の軟骨関連疾患治療剤。
【請求項18】
EP3作動活性を有する物質が、16−フェノキシ−ω−17,18,19,20−テトラノル−PGEメチルスルフォナミドまたはその塩である請求の範囲1記載の軟骨関連疾患治療剤。
【請求項19】
請求の範囲1記載の軟骨関連疾患治療剤のスクリーニング方法。

【国際公開番号】WO2005/009468
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【発行日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512095(P2005−512095)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010890
【国際出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】