転倒検出器及び転倒検出方法
ユーザ又は物体に取り付けられ、該ユーザ又は該物体の転倒を検出する転倒検出器であって、当該転倒検出器の、垂直速度及び/又は高さの変化を示す測定結果を提供するためのエアフローセンサを有する、転倒検出器が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転倒検出器(fall detector)及び転倒を検出する転倒検出方法に関し、特に、転倒を検出するために複数のセンサを用いる転倒検出器及び転倒検出方法に関する。本発明は、転倒検出器及び他の装置で用いることのできる特定のセンサにも関連する。
【背景技術】
【0002】
転倒は、高齢者の介護に際して、病的状態や死亡につながる大きな問題である。転倒は、物理的観点からは負傷をもたらす一方で、心理的観点からは、次第に社会的な孤立やうつ病につながる、転倒への恐怖心をもたらす。
【0003】
ユーザの転倒を検出するための、自動化された、信頼性のある手段を提供することのできる転倒検出システムが開発されている。転倒が検出された場合には、システムは、前記ユーザへの支援を呼び出す。このことは、万一、転倒が生じた場合に、適切な処置が取られることをユーザに保証する。
【0004】
一般に、転倒検出器は、ユーザの体へ取り付けられるべき加速度計(一般的には三次元の加速度を測定する3D加速度計)に基づく。転倒検出器は、転倒が起きたかどうかを決定するために、加速度計からの信号を処理する。しかしながら、あいにくこれらの転倒検出器は単一のセンサのみを有するため、感度及び/又は特異度(specificity)が十分ではない。
【0005】
したがって、いくつかの転倒検出器は、高い感度と特異度を得るために、ジャイロスコープ又は空気圧センサのような、さらなるセンサを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの類の、複数のセンサの転倒検出器のそれぞれは、固有の欠点を有する。例えば、ジャイロスコープは信頼性の高いデータを提供するが、その大きさと電力消費により、体に身につける小さな携帯装置を実現することができない。空気圧センサは、高さの情報(一般的には、高さの変化に関する情報)を提供するために用いることができるが、低いサンプリングレートで高さの情報を提供するに過ぎず、信頼性のある転倒検出を困難にする。さらに、転倒検出器が防水である場合に、転倒検出器の中に空気圧センサを搭載することは困難である。つまり、特別な疎水性膜と専用の圧力測定チャンバが必要となり、同時に直接的で十分な量のエアフローが空気圧センサへ必要となる。
【0007】
すなわち、上述された従来の転倒検出器の欠点を克服する、改善された転倒検出器へのニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の実施形態によれば、ユーザ又は物体に取り付けられ、該ユーザ又は該物体の転倒を検出する転倒検出器であって、当該転倒検出器の、垂直速度及び/又は高さの変化を示す測定結果を提供するためのエアフローセンサを有する、転倒検出器が提供される。従って、本発明は、ジャイロスコープ又は空気圧センサを必要とせずに、高さの変化と垂直速度を推定することのできる転倒検出器を提供する。
【0009】
好ましい実施形態において、前記転倒検出器は、前記転倒検出器の加速度を測定する加速度計と、転倒が生じたかどうかを決定するために、前記エアフローセンサと前記加速度計からの測定結果を処理するプロセッサとをさらに有する。
【0010】
好ましい実施形態において、前記プロセッサは、前記加速度計からの前記測定結果から前記転倒検出器の向きを推定し、前記エアフローセンサからの前記測定結果から前記転倒検出器の垂直速度のプロファイルを生成するために推定された前記向きを用いるよう構成される。
【0011】
好ましい実施形態において、前記エアフローセンサはサーマルエアフローセンサ(thermal air flow sensor)である。サーマルエアフローセンサは、前記転倒検出器の消費電力を削減し、360度にわたってエアフローの方向を測定する能力を提供し、低い量のエアフローに敏感であり、耐水であることを保証するための、当該装置の筐体のシンプルな設計を可能にする。
【0012】
好ましい実施形態において、前記サーマルエアフローセンサは、チャネル(channel)に面して配置される当該サーマルエアフローセンサの表面の熱電素子(electrically driven thermal element)と、当該サーマルエアフローセンサから離れて電気接点を作るための、前記熱電素子と電気的に結合されるボンドパッド(bond pad)であって、当該サーマルエアフローセンサの裏面から接触しやすいように前記表面から離れる方向を向いて配置される、ボンドパッドとを有する。
【0013】
前記ボンドパッドに、前記集積回路の裏面から、前記流路から離れる向きにアクセス可能とすることによって、前記ボンドパッドに必要とされる空間とあらゆる接続部は、例えば測温体のような、前記熱電素子を超えて広がらずに済み、前記チャネルを妨げずに済む。従って、例えば測温体(temperature sensing element)のような前記熱電素子は、より良い測定結果を可能にするために、前記チャネルにより近接して配置されるか、あるいは前記チャネルの中に配置され得る。
【0014】
好ましくは、前記サーマルエアフローセンサは、前記熱電素子と前記ボンドパッドとの間の電気的接続のための、当該サーマルエアフローセンサの前記表面の導電層をさらに有し、前記ボンドパッドは前記導電層の裏面を構成する(comprise)。これにより、前記サーマルフローセンサ装置の熱伝導率に関して、さらなる自由度を提供し、同時に、裏面における接点を提供する利点がある。例えば、前記導電層又は前記導電層に含まれる材料の厚さ(thickness)は、設計変数として用いられ得る。
【0015】
好ましくは、前記サーマルエアフローセンサは、前記チャネルの中の流体から当該サーマルエアフローセンサを電気的に絶縁するための絶縁層をさらに有する。好ましくは、前記絶縁層はポリイミドを含む。ポリイミドは、約0.15W/(mK)の熱伝導率を有し、おおよそ10ミクロンの厚さでの配置が可能である。結果として、熱の分流が削減され、前記サーマルフローセンサ装置の感度を有利に高める。さらに、より薄い厚さにすることにより、サーマルフローセンサ装置に関する応答時間にプラスの影響を与える。それに加えて、ポリイミドは、接着の必要性を有利に避ける、スピンコーティング方式によって容易に用いられる。
【0016】
好ましくは、前記サーマルエアフローセンサは、基板をさらに有し、前記基板は、前記ボンドパッドを露出するための開口部を提供するように形成され、該開口部を通じた前記ボンドパッドとの接触を可能にするために作られる基板をさらに有する。これによって、前記基板のある厚さの機械的強度と安定性を保ちながら、前記ボンドパッドへのアクセスが可能になる。
【0017】
好ましくは、前記熱電素子は、前記チャネルに面する前記サーマルエアフローセンサの表面に、加熱素子又は温度感知素子を有する。前記表面の配置により、前記温度センサがより敏感になる。
【0018】
本発明の第二の実施形態によれば、ユーザ又は物体に取り付けられ、該ユーザ又は該物体の転倒を検出する転倒検出器における転倒検出方法であって、前記方法は、前記転倒検出器の垂直速度及び/又は高さの変化を示す測定結果を提供するためのエアフローセンサを用いるステップを有する。
【0019】
いくつかの実施形態は、流量を検知するためのセンサ集積回路、そのような集積回路を組み込むシステム及びそのような集積回路及びシステムを製造し操作する方法にも関連する。
【0020】
本発明は、以下の図面に関し、ほんの一例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に従った転倒検出器を表す図。
【図2】本発明による転倒検出器において用いられるエアフローセンサを表す図。
【図3】本発明に従った転倒検出方法を表すフローチャート。
【図4】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図5】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図6】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図7】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図8】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図9】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図10】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図11】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図12】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図13】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図14】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図15】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図16】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図17】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図18】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図19】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図20】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図21】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図22】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図23】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図24】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図25】PCB上に集積回路を実装することによるアセンブリの形成を表す図。
【図26】シーラントのアセンブリへの塗布を表す図。
【図27】チャネルの壁の中に組み込まれるアセンブリを表す図。
【図28】チャネルの壁の中に組み込まれるアセンブリを表す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、人によって着用され、その人の転倒を検出する転倒検出器に関して説明される。しかし、当然ながら、本発明による転倒検出器及び転倒検出方法は、例えばハードディスクや他の繊細な電子装置のような物体の転倒の検出のような、他の用途にも用いることができる。
【0023】
本発明は、垂直速度及び/又は高さの変化を示す測定結果を提供するエアフローセンサを有する転倒検出器を提供する。好ましい実施形態において、当該転倒検出器は、例えば加速度を測定するためのセンサ、又は加速度を示す測定結果を提供するセンサ(例えば加速度計)のような、さらなる単一又は複数のセンサを有する。これらの実施形態において、前記エアフローセンサからの測定結果は、当該転倒検出器の高さの変化及び/又は垂直速度を決定するために用いられ、転倒が生じたかどうかを決定するために加速度の測定結果と組み合わされて処理される。
【0024】
図1は、本発明に従った転倒検出器1を表す。転倒検出器1は、例えばユーザの腰周り、胸の上、手首又は首周りのペンダントのように、ユーザの上体での着用に適合し得る。転倒検出器1は、転倒検出器1によって認められた加速度を測定する加速度計2と、転倒検出器1の周りのエアフローの速度と方向の測定結果を提供するエアフローセンサ3と、加速度計2とエアフローセンサ3からの測定結果を受信するプロセッサ3とを有し、転倒が生じたかどうかを決定するために該測定結果を処理する。
【0025】
転倒検出器1は、転倒が生じたと決定された場合に、プロセッサ4によって始動されるアラーム5をさらに有する。別の実施形態において、転倒検出器1は、さらに、あるいは代わりに、ユーザが、(検出された)転倒の後に素早く起き上がった場合を除いて、アラーム信号をコールセンター又は他の遠隔支援装置へと無線で送信するための手段を含むことができる。
【0026】
エアフローセンサ3は、例えば超音波センサ、差圧センサ又はインペラ(impellor)に基づくセンサのような、あらゆる種類のエアフローセンサを含み得る。しかし、本発明の好ましい実施形態において、エアフローセンサ3は、サーマルエアフローセンサ(thermal air flow sensor)を含む。図2に、その簡易なバージョンのものを示す。サーマルエアフローセンサは、電力消費が小さく、360度にわたる方向のエアフローを測定でき、低い流量にも敏感であるため、好ましい。さらに、サーマルエアフローセンサは、エアフローからセンサ部分を保護することができる。これにより、防水であることを保証するための、装置の筐体のシンプルな設計を可能にする。
【0027】
本発明による転倒検出器1で用いられる、例示的なサーマルフローセンサは、以下の「サーマルフローセンサ」の節で詳細に説明される。
【0028】
図2において、サーマルエアフローセンサは、加熱素子6(一定の電力又は一定の温度に保たれる抵抗に対応する)と一つ以上の測温体7(熱電温度計又は抵抗器)を有する。一つ以上の測温体7は、当該測温体7の表面の温度の差を測定する。好ましくは、測温体7は、高感度であって、ゼロオフセットを用いて温度の差異を直接に測定するような熱電対列を有する。サーマルエアフローセンサ3は、転倒検出器1が耐水性を備えるように、以下の「サーマルフローセンサ」の節で説明される通り、プリント基板又は転倒検出器の中の他の構造へと組み込まれ得る。
【0029】
フローがない場合には、センサ3の中の熱電対列7から流体8への熱伝達が伝導(conduction)を通して生じ、熱電対列7の表面に対称な温度分布がもたらされる。いくつかの流体のフローが存在する場合には、熱が伝導を通して伝達される。
【0030】
対流熱伝達は二つのメカニズムからなる。エネルギーは伝導により伝達されるだけでなく、温度勾配(移流)が存在する中で、流体8の揃った運動により伝達される。対流熱伝達は、対称な温度分布をもたらす。上流部分では、熱電対列7は、下流部分より冷却される。なぜならば、熱い流体8は、下流方向に移流され、熱電対列7の表面の温度差をもたらすためである。
【0031】
好ましくは、サーマルエアフローセンサ3は、高い再現性と、センサのフットプリントの削減の実現性のために、集積回路(IC)プロセスを用いて製造される。例えば、サーマルエアフローセンサ3は、以下の「サーマルフローセンサ」の節で説明されるプロセスに従って製造されることができる。ICプロセスによりサーマルエアフローセンサ3を作ることのさらなる利点は、転倒検出器1の寸法、コスト及び電力消費をさらに削減するために、増幅器、A/Dコンバータ及びマイクロコントローラのような電子機器をチップに統合できることにある。
【0032】
図3は、本発明に従った転倒検出方法(転倒検出器1のプロセッサ4により実行される方法に対応する)を示す。
【0033】
ステップ1001において、プロセッサ4は、加速度計2から測定結果を受信する。そして、ステップ1003において、プロセッサ4は、エアフローセンサ3からエアフローの測定結果を受信する。図3に示されるように、これら二種類の測定結果は、実質的に並列に受信される。
【0034】
ステップ1005において、プロセッサ4は、転倒検出器1の向き、転倒検出器1の向きの変化、及び衝突(impact)が加速度計2からの測定結果から生じていないかどうかを推定する。
【0035】
加速度計の測定結果から、物体の向きを推定する処理技術は既知であり、ここでのさらなる説明はなされない。
【0036】
ステップ1007において、プロセッサ4は、転倒検出器1の垂直速度と垂直速度のプロファイル(すなわち、転倒検出器1の垂直速度が時間と共にどの程度変化するかを示すプロファイル)を推定するために、ステップ1005で推定された転倒検出器1の向きとエアフローセンサ3からの測定結果とを用いる。
【0037】
特に、プロセッサ4は、垂直の向きに対応する、エアフローの測定結果の成分を特定するために、推定された向きを用いる。
【0038】
典型的に、エアフローセンサ3は、エアガイドチャネル(air guiding channel)を有する。そして、プロセッサ4は、エアガイドチャネルの向きを推定するために、推定された向きを用いることができる。それ故に、垂直方向のエアフローが存在するかどうかを決定することができる。
【0039】
ステップ1009において、プロセッサ4は、転倒検出器1の高さの経時的な変化を(例えば、特定の期間にわたって垂直速度のプロファイルを統合することにより)見積もるために、推定された垂直速度を用いる。
【0040】
ステップ1101において、プロセッサ4は、垂直速度のプロファイルと、加速度のプロファイル(あらゆる衝突のタイミング及び大きさと、衝突後の、加速度が定常状態である場合、すなわち重力のみが加わっている場合のあらゆる「沈黙」期間の存在とを示し得る)と、転倒検出器1の向きの変化と、推定された高さの変化とから、転倒が生じたか、あるいは生じそうかどうかを決定する。当業者は、プロセッサ4が、転倒が起きたかどうかを決定するため、この情報を処理するために用いることができる、多数のアルゴリズムを認識するだろう。
【0041】
従って、従来の転倒検出器及び転倒検出方法の欠点を克服する、転倒検出器及び転倒検出方法が提供される。特定の実施形態においては、転倒検出器に以下をもたらす。
(i)低電力消費
(ii)360度の方向のエアフローを測定する能力
(iii)低い流量への感度
(iv)防水であることを保証する、装置の筐体のシンプルな設計
【0042】
(サーマルフローセンサ(Thermal Flow Sensor))
本発明の実施形態は、以下に説明される温度の測定結果に基づき、チャネルの中のフローを感知するためのサーマルフローセンサ集積回路に関する。該サーマルフローセンサ集積回路は、流体チャネルに面する当該集積回路の表面に測温体を有する集積回路と、前記集積回路から離れて電気接点を作るための、前記測温体と電気的に結合されるボンドパッドであって、前記集積回路の裏面から接触しやすいように、前記表面から離れる方向を向いて配置される、ボンドパッドと、を有する。
【0043】
サーマルフローセンサのいくつかの実施形態において、集積回路(IC)プロセスを経たサーマルフローセンサは、容易な組み込みと高速で敏感なセンサ応答を可能にするために、センサの裏面に作られたボンドパッドとともに示される。ボンドパッドは後処理のステップで作られるため、説明される該ステップは、例えばCMOSプロセス、特に標準CMOSプロセスのような、主流のICプロセスと適合し得る。従って、IC上の(on-integrated circuit)駆動電気機器(driving electronics)との統合が可能となる。サーマルフローセンサの別の実施形態において、センサは、大量で低コストの生産を可能にするために、ピックアンドプレース方式で、プリント基板(PCB)上に取り付けられ得る。
【0044】
サーマルフローセンサのいくつかの実施形態において、測温体とボンドパッドとの間の電気的接続のために、集積回路の表面に金属層が存在する。さらに、ボンドパッドは、金属層の裏面を構成する。これにより、構造をシンプルかつコンパクトに保つために、ボンドパッドが測温体と相対的に近接することが可能となる。第一の実施形態におけるサーマルフローセンサの一例が以下に説明される。
【0045】
サーマルフローセンサのいくつかの実施形態において、集積回路は基板を有する。該基板は、前記ボンドパッドを露出するための開口部であって、当該開口部を通じて前記ボンドパッドへの接触を可能にする、開口部を提供するように形成される。このことは、接触を保護し、コンパクトな構造を提供することを支援する。
【0046】
サーマルフローセンサのいくつかの実施形態において、集積回路は基板を有する。該基板は、一つ以上のピラー(pillar)を形作るよう形成され、ボンドパッドは、一つのピラーの上の該基板の裏面に配置される。ピラーはボンドパッドを支持することができ、他の電気回路からの絶縁を保つ。第二の実施形態におけるサーマルフローセンサの一例が以下に説明される。
【0047】
サーマルフローセンサのいくつかの実施形態において、集積回路は、流体チャネルに面する集積回路の表面に加熱素子を有する。このことにより、より統合されたソリューションが可能になる。しかしながら、サーマルフローセンサの別の実施形態において、加熱素子は前記集積回路の外部の加熱器により提供されてもよい。外部の加熱器は、流体が温度センサと十分接近して過熱され得るように提供されるべきである。
【0048】
サーマルフローセンサのいくつかの実施形態において、集積回路は、シリコン・オン・インシュレータ集積回路を有する。これにより、他の回路素子の統合が可能となる。以下に説明されるサーマルフローセンサの第三の実施形態は、この配置について開示する。
【0049】
サーマルフローセンサのいくつかの実施形態において、アセンブリは、プリント基板と、該プリント基板に取り付けられた、該プリント基板の対応する接点へ結合されるボンドパッドを有する、あらゆる実施形態の集積回路とを有する。これにより、他の回路素子を同一の集積回路上に統合することの代わりに、他の回路素子を基板上に取り付けることを可能にし、より安価な、あるいは容易な製造が可能となる。さらに、集積回路に追加の部品を含めることも可能である。第四の実施形態におけるサーマルフローセンサの一例が以下に説明される。
【0050】
いくつかの実施形態において、流体のフローのための流体チャネルを有するシステムが存在する。前記流体チャネルは、くぼみ(recess)を有する壁(wall)を有し、該くぼみの中に該チャネルに面する側温体を有する集積回路又はアセンブリが存在する。
【0051】
サーマルフローセンサに関連する複数の実施形態は、温度の測定結果に基づいて流体チャネル内のフローを検知するサーマルフローセンサ集積回路の製造方法をさらに提供する。前記方法は、流体チャネルに面して配置される集積回路の表面に、測温体のような熱電素子を形成するステップと、前記集積回路から離れて電気接点を作るための、測温体のような前記熱電素子へ電気的に結合されるボンドパッドであって、前記流体チャネルから離れる方向を向いて配置される、ボンドパッドを形成するステップとを含み得る。
【0052】
サーマルフローセンサを製造する方法は、金属層の裏面のボンドパッドを生成するステップ又は開口部を形成する基板を形成するステップ及び前記開口部の中に前記ボンドパッドを形成するステップ又はピラーを形成するために前記基板を形成して該ピラーの上に前記ボンドパッドを形成するステップを含み得る。
【0053】
要約すると、説明されるサーマルフローセンサの実施形態は、センサの裏面に作られるボンドパッドを有する、ICプロセスを経たサーマルフローセンサを含む。ボンドパッドは後処理のステップで作られ得るため、サーマルフローセンサについての少なくともいくつかの実施形態は、例えばCMOSプロセス、特に、標準CMOSプロセスのような、主流のICプロセスと適合し得る。従って、例えばIC上の駆動電気機器との統合が可能となる。サーマルフローセンサの他の実施形態において、大量で低コストの生産を可能にするために、ピックアンドプレース方式で、センサをPCB上に取り付けるための方法が示される。
【0054】
サーマルフローセンサは、一般的に、一つ以上の加熱素子及び/又は抵抗器、トランジスタ又は熱電対のような、一つ以上の測温体を有する。(集積回路又は他の場所の)加熱素子は、センサに近接して配置される流体の部分を加熱する。流体のフローが、加熱器の温度を減少させ、測温体により測定され得る、集積回路の温度プロファイルの変化を引き起こす。加熱器の温度及び温度プロファイルの変化は流量の度合いとして用いられ得る。温度プロファイル測定のさらなる利点は、フローの方向を決定する能力である。
【0055】
サーマルフローセンサの実施形態において、「基板(substrate)」の用語は、使用され得るあらゆる基本的な単一又は複数の材料、又は、装置、回路若しくはエピタキシャル層が形成され得るあらゆる基本的な単一又は複数の材料を含み得る。サーマルフローセンサの他の代わりの実施形態において、この「基板」は、例えばシリコン、ドープされたシリコン、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムヒ素リン(GaAsP)、リン化インジウム(InP)、ゲルマニウム(Ge)又はシリコンゲルマニウム(SiGe)基板を含み得る。「基板」は、半導体基板の部分に加えて、例えばSiO2層又はS13N4層のような絶縁層を含み得る。従って、基板の用語は、シリコン・オン・グラス、シリコン・オン・サファイア基板もまた含む。従って、「基板」の用語は、ある層又は関心のある部品の基礎となる層の要素を一般的に定義するために用いられる。
【0056】
サーマルフローセンサの第一の実施形態は、図4−16で示されるように製造される集積回路であり、基板の中の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する。
【0057】
図4は出発物質を示す。この場合には、上部に酸化層のような絶縁層を有する、300ミクロンの厚さのシリコン基板20の、半導体ウエハのような半導体基板が一つの例である。他の絶縁層の厚さ、又はシリコン窒化物のような他の絶縁層の材料が用いられ得る。加熱素子と測温体は、標準的な沈着技術及びリソグラフィ技術(図5−10に示される)を用いて処理され得る。
【0058】
図5は、第一のマスクMASK1:PSを用いた、in-situでドープされた(n++)0.3ミクロンのポリシリコン層30の沈着及び形成のような、熱抵抗器のような熱電素子の形成の例を表す。ポリシリコン層30は、一つ以上の加熱素子及び/又は抵抗器、トランジスタ又は熱電対のような一つ以上の測温体へと形成され得る。加熱素子は別個に配置されることができ、ポリシリコン層は専ら測温体として用いられてもよい。加熱素子が提供される場合には、センサに近接して配置される流体の一部を過熱する。流体のフローが加熱器の温度を下げ、測温体はその温度を測定することができる。加熱器の温度及び温度センサの温度の変化を、流量の度合いとして用いることができる。
【0059】
図6は、例えば0.2ミクロンのTEOS層40のようなPMD(pre-metal dielectric)層の形成と、例えばポリシリコン層30のような熱素子にわたる第一のコンタクトホール42、44の開口を表す。ここでは、第二のマスクMASK2:COが用いられる。図7は、ボンドパッドのための、基板への第二のコンタクトホール50の開口を表す。ここでは、第三のマスクMASK3:CBを用いることができる。図8は、例えば20nm Ti+0.5アルミニウムメタライズ層60の、金属のスタック(metal stack)のようなメタライズ層であり得る、導電層の形成を表す。該形成は、素子の間の電気接点、特に、第一のコンタクトホール42、44を介した、ポリシリコン30でできた熱素子へのコンタクト部62、64と、ボンドパッドの穴又は第二のコンタクトホール50へのコンタクト部66との間の電気接点を作るためになされる。ここでは、第四のマスクMASK4:INを用いることができる。コンタクト部62、64、66により、熱素子を駆動し、センサを操作するための電気的接続が可能となる。
【0060】
図9は、例えば0.5ミクロンのPECVD窒化物と0.5ミクロンの酸化層70のような、パッシベーションとスクラッチ保護のための、装置全体を覆うパッシベーション層とスクラッチ保護層の形成を表す。熱伝導を提供し、密着性を改善するための追加の層を堆積できるように、流体チャネルに最も近くなるセンサの部分は、上記のポリシリコン層30である。例えば、図10は、熱伝導率を調整するための、0.05−1ミクロンのアルミニウム層75のような金属層と、密着のための、0.5ミクロンの酸化層80のような絶縁層の形成を表す。最適な応答時間と感度を得るために、スタックの平均の熱伝導率は、追加の(パターン形成されない)メタライズ層の厚さを適応させることにより調整され得る。
【0061】
図11は、対化学性の平滑(smooth)かつ平坦な表面層への接着工程を表す。例えば、接着剤100は、絶縁基板90を伴って用いられる。絶縁基板90は、およそ1W/(mK)の熱伝導率を有するガラスから製造され得る。ガラスから製造される場合に、絶縁基板は、一般的にはおよそ400ミクロンの厚さを有する。これは、半導体ウエハの上部を絶縁基板90の下に配置することにより実装され得る。次に、絶縁層90は、任意で薄くされる。これは、例えば図12に示されるように、センサ表面を確実に平滑にするための任意の研磨ステップを伴って、50−100ミクロンの厚さまで磨くこと((DISCO-)grinding)によってなされる。さらに、絶縁基板90は、およそ0.15W/(mk)の熱伝導率と、おおよそ10ミクロンの厚さを有するポリイミドから製造される。結果として、センサが位置するべき領域の熱の分流(thermal shunting)が縮小され、センサの感度を有利に高める。さらに、より薄い厚さにより、センサの応答時間にプラスの影響を与える。さらに、ポリイミドは、例えば、絶縁基板90の接着の必要がないスピンコーティング方式によって、半導体ウエハの上に容易に適用される。
【0062】
図13は、例えば、第五のマスクMASK5:CAVを用いた、深堀りRIEエッチングのような異方性エッチングのためのレジスト層のような、裏面のマスク(backside mask)120の形成を表す。
【0063】
図14は、例えばシリコンのような半導体材料を局所的に除去することによりボンドパッドを開口するための、半導体基板の開口部130の形成を表す。このことは、例えば酸化層10及びアルミニウムのボンドパッドのような金属の導電層60のような、絶縁層の上で止まる、深堀りRIEエッチング(ボッシュプロセス)のような異方性エッチングを含む。ここで留意すべきなのは、アルミニウムのボンドパッドは、基板の除去によりボンドパッドが開口されるように、シリコン基板上に直接配置されることである。任意で、感知領域の下のシリコンは、センサの感度を高めるために除去され得る。残りのシリコンは、機械的な強度とヒートシンクとしての機能を提供する。センサは、例えばワイヤボンディングを用いて接触され得る。
【0064】
図15は、例えばレジスト層120のような裏面のマスクの除去を表す。図16は、ダイシングの最終ステップと、PCB又はフレックスフォイル(flexfoil)のような外部回路へのワイヤボンド160を提供する。
【0065】
サーマルフローセンサの第二の実施形態は、センサの電気的接続をスタックのバックプレーンへ移すための、例えばシリコンのような電気的に絶縁された半導体である「ピラー」の加工を含む。出発物質は、例えば、上部に熱酸化物のような絶縁層を有する、高ドープ低抵抗基板のような半導体ウエハである。加熱素子及び/又は測温体は、標準的な沈着技術及びリソグラフィ技術を用いて処理され、第一の実施形態のサーマルフローセンサとの関連で、図5−10、すなわちポリシリコン層30からの処理として表される。最適な応答時間と感度を得るために、スタックの平均の熱伝導率は、図10で示されるように、追加のメタライズ層の厚さを適応させることにより調整され得る。
【0066】
ウエハは、例えば図11において示されるように、上部をガラス基板の下に接着することにより接合される。絶縁層90は、図12に示されるように、センサ表面を確実に平滑にするための任意の研磨ステップを伴って、50−100ミクロンの厚さまで磨くことによってなされる。第一の実施形態のサーマルフローセンサについての図13−16に関して説明される上記方法のステップの代わりに、第二の実施形態のサーマルフローセンサは、図17−22において示されるステップを有する。
【0067】
図17は、例えばスパッタリングによる、ウエハの裏面の0.5ミクロンのアルミニウム層のような金属層の沈着を表す。図18は、例えば深堀りRIEエッチング(MASK5:CAV)のような、異方性エッチングのための裏面マスクを表す。これはレジスト層190であり得る。これは、図19において表されるように、例えばボンドパッド200を固定するための金属層を形成するために用いられる。
【0068】
図20は、例えば酸化層10(及びあらゆるアルミニウム層60)の上で止まる深堀りRIEエッチング(ボッシュプロセス)のような異方性エッチングを表す。これにより、センサ感度を高めるために、感知領域の下のシリコン220を除去することができる。また、ボンドパッドの周りのシリコンは、電気的に絶縁されたシリコンの「ピラー」240を形成するために除去される。ピラー240は、センサとボンドパッドとの間の電気的接続を提供する。残りのシリコンは、機械的な強度とセンサのためのヒートシンクとしての機能を提供する。センサは、例えばワイヤボンディングを用いて接触され得る。
【0069】
図21は、レジスト層の除去を表す。
【0070】
図22は、スタックの裏面における電気抵抗材料のコーティング250を表す。ここで、ピラー240の間のトレンチ(trench)は、コーティング250で埋められる。残りのシリコン基板もまた、電気抵抗材料のコーティング250が付される。好ましくは、コーティング250はパリレンを有する。コーティング250は、ピラーの間のトレンチが完全に埋められるような厚さを有する。すなわち、コーティング250は、ピラー240の間のトレンチの幅のおおよそ半分に等しい厚さを有する。
【0071】
図23は、酸素プラズマを用いた、コーティング250の除去を表す。該除去は、全てのコーティング250が酸化層10及びピラーの上面から除去されるまで行われる。ピラー240の間のトレンチの中の、僅かなコーティング250のみが除去される。この割合は、コーティング250の元の厚さとおおよそ等しい厚さである。
【0072】
図24は、スタッドパンプ(stud bump)270を形成するためのウエハスケールプロセスを表す。このプロセスは、個々の集積回路を提供するためのウエハのダイシングを伴う。
【0073】
サーマルフローセンサの第三の実施形態は、上記されたものと同様のステップを用いる、実施形態1及び2のセンサの加工を含む。しかし、出発物質が、絶縁層の上に単結晶の上位層を有するSOI(silicon-on-insulator)ウエハである。このサーマルフローセンサの実施形態において、A/Dコンバータ等のような駆動電気機器は、SOIの単結晶シリコン層の中でプロセス処理され得る。測温体は、別個のポリシリコン層30を用いる代わりに、単結晶シリコンの中でプロセス処理され得る。
【0074】
サーマルフローセンサの第四の実施形態において、サーマルフローセンサのあらゆる実施形態において説明されたセンサスタックを取り付ける方法が提供される。一つの例として、サーマルフローセンサの第二の実施形態におけるセンサ装置は、図25、26に表されるように、PCBの上に直接取り付けられる。スタッドパンプは、PCB290へ良好な電気的接続を提供するために、ボンドパッドに適用される。さらに、スタッドパンプは、PCBへ良好な熱的接続を提供するために、シリコンのヒートシンクの下側に適用される。導電性接着剤280は、PCBに適用される。接着剤は、シリコンとPCBの熱膨張係数の不整合を少なくするように選択されるべきである。好ましくは、シリコンとPCBの熱膨張係数の不整合に起因する、センサの中の圧力(stress)の導入を防止するために、室温で硬化する導電性エポキシ樹脂が用いられる。センサとPCBとの間の間隔への水(蒸気)やごみの侵入を避けるため、接着剤330がセンサを密封するために塗布される。ヒートシンク300が、PCBの裏面に取り付けられ、PCBを通る熱伝導性ビア310によってシリコンヒートシンクと接続され得る。電気的接続320は、センサのボンドパッドをPCB上の他の部品と結合するために表される。これらの接続は、従来のビア及びプリントされた銅線を含み得る。
【0075】
図27は、フローチャネルの壁340の中の予め加工された窓状のくぼみの中に、あらゆる実施形態によるサーマルフローセンサを有するアセンブリの取り付けを表す。この図において、フローチャネルはセンサの上にある。図28は、フローチャネルの壁340を局所的に薄くした部分350の形状の、別の種類のくぼみの後ろへのフローセンサの取り付けを表す。この薄い部分は、流体の漏えい又は汚染のリスクを小さくするための障壁を提供することができ、センサの集積回路の端部の周りの良好な密封を提供しないで済む。
【0076】
センサ、アセンブリ及び加工方法は、転送検出器への応用に制限されない。例えば、ネブライザシステム又は静脈内注射(IV infusion)の薬物送達のような無菌状態が必要な医学的応用に適用可能である。また、例えば腐食性流体を用いる環境での使用のような、医療分野以外の応用にも適用可能である。
【0077】
サーマルフローセンサの実施形態において、センサは、シリコン基板の上部又は上位の層に配置される。慣習的に、センサ領域と、例えば駆動電気機器とセンサを接続するためのボンドパッドとの両方は、シリコンスタックの表面に配置される。そのような従来の装置では、センサ領域とボンドパッドは同一のプレーンに配置される。このため、導管の壁の中にサーマルフローセンサを実装する場合に、センサと導管を通じた流体のフローとの間に空間を提供し、接続ワイヤをPCB又はリードフレームへ導くために、厚い層を適用する必要がある。説明されたサーマルフローセンサの実施形態は、感度と応答時間に関するセンサのパフォーマンスに影響する、この問題に対処することができる。上述の実施形態によって、温度センサの中に含まれる測温体と流体チャネルを通じた流体のフローとの間の距離を小さくすることにより、センサの応答時間と感度を改善することができる。
【0078】
従って、要約すると、この実施形態は、別のセンサと流量を検知するセンサ集積回路とを、そのようなセンサとセンサ集積回路とを含むシステム並びにそのようなセンサ又はセンサ集積回路及びそのようなシステムを製造し操作する方法へ提供する。第一の実施形態によれば、サーマルフローセンサ装置が提供される。この装置は、温度の測定結果に基づいて流体チャネル内のフローを検知する集積回路を含むサーマルフローセンサ集積回路又は集積回路(IC)サーマルフローセンサを含む。該集積回路は、流体チャネルに面する集積回路の表面に、測温体のような熱電素子を有する。さらに、該集積回路は、該集積回路から離れて電気接点を作るための、測温体のような前記熱電素子へ電気的に結合されるボンドパッドを有する。該ボンドパッドは、該集積回路の裏面から接触しやすいように該表面から離れる方向を向いて配置される。
【0079】
集積回路の裏面からアクセスしやすく、流体チャネルから離れる方向を向いたボンドパッドを有することにより、ボンドパッドとボンドパッドへのあらゆる接続に必要とされる空間は、例えば測温体のような熱電素子を超えて広がらずに済み、前記チャネルを妨げずに済む。従って、例えば測温体のような前記熱電素子は、より良い測定結果を可能にするために、前記チャネルにより近接して配置されるか、あるいは前記チャネルの中に配置され得る。
【0080】
正確な流量の検知が多くの応用において必要とされる。一つのそのような応用は、転倒検出であり、別の応用は、薬剤の静脈内送達(intravenous delivery)である。別のそのような応用は、ネブライザシステムである。ネブライザシステムは、呼吸器疾患の患者へエアロゾルの形状の薬剤を送達するために用いられる。正確な薬剤又はエアロゾルの送達を可能にするために、薬剤又はエアロゾルの放出の正確な時間は、フローセンサのデータに基づいて決定される。そのようなフローセンサは、例えば吸入から放出への転換点及びその逆における、速度の変動を解決するために、高速かつ敏感であるべきである。
【0081】
ネブライザのような医療装置は、加圧滅菌器か、機械的又は化学的方法の使用による滅菌を必要とする可能性がある。流体チャネルの壁を通してフローを測定する能力により、滅菌環境から分離された、装置の密封された部分にフローセンサと電気機器を取り付けることが可能となる。しかしながら、感度と応答時間に関する良好なセンサのパフォーマンスのために、センサは流体に近接して取り付けられるべきである。
【0082】
サーマルフローセンサ集積回路は、ICプロセス技術を用いて、シリコン基板の上部又は上位の層に作られる。結果として、センサ領域と、センサと接触するためのボンドパッドとの両方は、シリコンスタックの表面に配置される。センサ領域とボンドパッドは同一のプレーンに配置されるため、接続ワイヤを保護し、PCB又はリードフレームへ導くために、センサと流体の間に厚い層を適用する必要がある。感度と応答時間に関するセンサのパフォーマンスは、フローセンサと流体との間の距離とともに減少する。
【0083】
導電層は、熱電素子とボンドパッドとの間の電気的接続のために、サーマルフローセンサ装置の表面に提供され得る。ボンドパッドは、導電層の裏面を構成する。これにより、サーマルフローセンサ装置の熱伝導率に関して、さらなる自由度を提供し、同時に、裏面で接点を提供する利点がある。例えば、導電層又は導電層に含まれる材料の厚さは、設計変数として用いられ得る。
【0084】
サーマルフローセンサ装置は、当該サーマルフローセンサをチャネルの中の流体から電気的に絶縁するための絶縁層を有し得る。好ましくは、絶縁層はポリイミドを含む。ポリイミドは、約0.15W/(mK)の熱伝導率を有し、おおよそ10ミクロンの厚さでの配置が可能である。結果として、熱の分流が削減され、サーマルフローセンサ装置の感度を有利に高める。さらに、より薄い厚さにすることにより、サーマルフローセンサ装置に関する応答時間にプラスの影響を与える。それに加えて、ポリイミドは、接着の必要性を有利に避ける、スピンコーティング方式によって容易に用いられる。
【0085】
前記装置は、半導体基板のような基板を含み得る。基板は、前記ボンドパッドを露出するための開口部であって、当該開口部を通じて前記ボンドパッドへの接触を可能にする、開口部を提供するように形成され得る。これにより、機械的強度と安定性のための基板の厚さを維持しながら、ボンドパッドへのアクセスが可能となる。
【0086】
基板は、さらに、一つ以上のピラーを形作るように形成される。ボンドパッドは、一つのピラーの上の、該基板の裏面に配置される。
【0087】
ピラーは、ピラーの機械的な支持を強めるために、電気抵抗材料のコーティングとともに提供され得る。結果として、十分な機械的強度を実現する同時に、ピラーの断面のサイズが削減され得る。ピラーの断面のサイズの削減は、ICのサイズを削減し、従って、ICのコストを有利に削減する。好ましくは、電気抵抗材料はパリレンを有する。なぜなら、後者の(latter)材料は大変良好なステップカバレージ特性を有するためである。その優れたステップカバレージ特性により、パリレンは、基板の水平面とほとんど同じ割合で、ピラーの側壁を覆う。適切なパリレンの一例は、ポリキシリレンである。
【0088】
熱電素子は、チャネルに面するサーマルフローセンサ装置の表面に過熱素子又は温度感知素子を有する。表面の配置により、温度センサがより敏感になる。
【0089】
装置は、集積回路として形成され得る。これにより、他の装置に容易に含まれることのできる、コンパクトな装置となる。集積回路は、シリコン・オン・インシュレータ集積回路であってもよい。
【0090】
いくつかの実施形態は、さらに、プリント基板と、該プリント基板上に取り付けられた、該プリント基板の対応する接点へ結合されるボンドパッドを有する上述のサーマルフローセンサ装置とを有するアセンブリを提供する。
【0091】
いくつかの実施形態は、さらに、チャネルを有するシステムを提供する。該チャネルはくぼみを有する壁を有する。該くぼみの中に、該チャネルに面する熱電素子を有する、上述のサーマルフローセンサ装置又はアセンブリが取り付けられる。
【0092】
いくつかの実施形態は、温度の測定結果に基づいてチャネル内のフローを検知するサーマルフローセンサの製造方法をさらに提供する。前記方法は、前記チャネルに面して配置される前記サーマルフローセンサ装置の表面に熱電素子を形成するステップと、前記サーマルフローセンサ装置から離れて電気接点を作るための、前記熱電素子へ電気的に結合されるボンドパッドであって、前記サーマルフローセンサ装置の裏面から接触しやすいように、前記表面から離れる方向を向いて配置される、ボンドパッドを形成するステップとを有する。これらの方法のステップは、標準CMOSプロセスのフローと適合し、経済的な製造を可能にする。
【0093】
導電層は、熱電素子とボンドパッドの間の電気的接続のために提供され得る。そのために、ボンドパッドは金属層の裏面を構成する。この層が装置の表面にある場合には、流体チャネルの主たる向きと平行な向きに従って、熱応答時間が改善することを支援し得る。
【0094】
サーマルフローセンサ装置は、半導体基板のような基板を有し得る。また、前記方法は、ボンドパッドを露出するための開口部であって、当該開口部を通じて該ボンドパッドへの接触を可能にする、開口部を提供する基板を形成するステップを有し得る。
【0095】
前記方法は、ピラーを形成するために基板を形成するステップをさらに有する。前記ボンドパッドを形成するステップは、前記ピラーの上に前記ボンドパッドを形成するステップを有する。
【0096】
前記方法は、サーマルフローセンサ装置をプリント基板に取り付けるステップと、ボンドパッドを該プリント基板の対応する接点へ結合するステップとを含み得る。
【0097】
サーマルフローセンサ装置は、流体のフローのためのチャネルの壁の中のくぼみへ有利に取り付けられ得る。
【0098】
他の実施形態は、センサ、そのような集積回路を有するセンサシステム、そのような集積回路又はそのようなシステムを製造する方法、並びにそのようなセンサ及びそのような集積回路を有するセンサシステムを操作する方法を含む。
【0099】
いくつかの実施形態は、温度の測定結果に基づいて流体チャネル内のフローを感知する、例えばサーマルフローセンサ集積回路のようなサーマルフローセンサ装置の製造方法をさらに提供する。前記方法は、前記流体チャネルに面して配置される前記集積回路の表面に、例えば測温体のような熱電素子を形成するステップと、前記集積回路から離れて電気接点を作るための、前記熱電素子又は前記測温体へ電気的に結合されるボンドパッドであって、前記流体チャネルから離れる方向を向いて配置される、ボンドパッドを形成するステップとを有する。
【0100】
前記方法は、金属層の裏面に前記ボンドパッドを形成するステップ又は開口部を形成するための基板を形成するステップ及び前記開口部の中に前記ボンドパッドを形成するステップ又はピラーを形成するための基板を形成し、前記ピラーの上に前記ボンドパッドを形成するステップを含み得る。
【0101】
本発明は、詳細な説明、図面及び前述の説明において図示され、説明されたが、そのような図示及び説明は、実例及び例示とみなされるべきであり、限定的なものとみなされるべきではない。すなわち、本発明は、開示される実施形態に限定されない。
【0102】
開示される実施形態のバリエーションは、図面、明細書及び添付されるクレームをもとに、クレームされる発明を実践する当業者によって理解され、影響を受け得る。クレームにおいて、「有する(comprising)」の語は、他の要素又はステップを除外するものではない。また、不定冠詞「一つの(a)」又は「一つの(an)」は、複数を除外するものではない。単一のプロセッサ又は他の装置は、クレームに列挙される複数の項目の機能を実現させることができる。いくつかの手段が相互に異なる従属クレームに列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に用いることができないということを意味していない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、あるいは他のハードウェアの一部として共に提供される、光学記憶媒体又は半導体媒体のような適切な媒体の上に保管され/流通され得る。しかし、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを用いるような、他の方法でも流通され得る。クレーム内のあらゆる参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、転倒検出器(fall detector)及び転倒を検出する転倒検出方法に関し、特に、転倒を検出するために複数のセンサを用いる転倒検出器及び転倒検出方法に関する。本発明は、転倒検出器及び他の装置で用いることのできる特定のセンサにも関連する。
【背景技術】
【0002】
転倒は、高齢者の介護に際して、病的状態や死亡につながる大きな問題である。転倒は、物理的観点からは負傷をもたらす一方で、心理的観点からは、次第に社会的な孤立やうつ病につながる、転倒への恐怖心をもたらす。
【0003】
ユーザの転倒を検出するための、自動化された、信頼性のある手段を提供することのできる転倒検出システムが開発されている。転倒が検出された場合には、システムは、前記ユーザへの支援を呼び出す。このことは、万一、転倒が生じた場合に、適切な処置が取られることをユーザに保証する。
【0004】
一般に、転倒検出器は、ユーザの体へ取り付けられるべき加速度計(一般的には三次元の加速度を測定する3D加速度計)に基づく。転倒検出器は、転倒が起きたかどうかを決定するために、加速度計からの信号を処理する。しかしながら、あいにくこれらの転倒検出器は単一のセンサのみを有するため、感度及び/又は特異度(specificity)が十分ではない。
【0005】
したがって、いくつかの転倒検出器は、高い感度と特異度を得るために、ジャイロスコープ又は空気圧センサのような、さらなるセンサを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの類の、複数のセンサの転倒検出器のそれぞれは、固有の欠点を有する。例えば、ジャイロスコープは信頼性の高いデータを提供するが、その大きさと電力消費により、体に身につける小さな携帯装置を実現することができない。空気圧センサは、高さの情報(一般的には、高さの変化に関する情報)を提供するために用いることができるが、低いサンプリングレートで高さの情報を提供するに過ぎず、信頼性のある転倒検出を困難にする。さらに、転倒検出器が防水である場合に、転倒検出器の中に空気圧センサを搭載することは困難である。つまり、特別な疎水性膜と専用の圧力測定チャンバが必要となり、同時に直接的で十分な量のエアフローが空気圧センサへ必要となる。
【0007】
すなわち、上述された従来の転倒検出器の欠点を克服する、改善された転倒検出器へのニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の実施形態によれば、ユーザ又は物体に取り付けられ、該ユーザ又は該物体の転倒を検出する転倒検出器であって、当該転倒検出器の、垂直速度及び/又は高さの変化を示す測定結果を提供するためのエアフローセンサを有する、転倒検出器が提供される。従って、本発明は、ジャイロスコープ又は空気圧センサを必要とせずに、高さの変化と垂直速度を推定することのできる転倒検出器を提供する。
【0009】
好ましい実施形態において、前記転倒検出器は、前記転倒検出器の加速度を測定する加速度計と、転倒が生じたかどうかを決定するために、前記エアフローセンサと前記加速度計からの測定結果を処理するプロセッサとをさらに有する。
【0010】
好ましい実施形態において、前記プロセッサは、前記加速度計からの前記測定結果から前記転倒検出器の向きを推定し、前記エアフローセンサからの前記測定結果から前記転倒検出器の垂直速度のプロファイルを生成するために推定された前記向きを用いるよう構成される。
【0011】
好ましい実施形態において、前記エアフローセンサはサーマルエアフローセンサ(thermal air flow sensor)である。サーマルエアフローセンサは、前記転倒検出器の消費電力を削減し、360度にわたってエアフローの方向を測定する能力を提供し、低い量のエアフローに敏感であり、耐水であることを保証するための、当該装置の筐体のシンプルな設計を可能にする。
【0012】
好ましい実施形態において、前記サーマルエアフローセンサは、チャネル(channel)に面して配置される当該サーマルエアフローセンサの表面の熱電素子(electrically driven thermal element)と、当該サーマルエアフローセンサから離れて電気接点を作るための、前記熱電素子と電気的に結合されるボンドパッド(bond pad)であって、当該サーマルエアフローセンサの裏面から接触しやすいように前記表面から離れる方向を向いて配置される、ボンドパッドとを有する。
【0013】
前記ボンドパッドに、前記集積回路の裏面から、前記流路から離れる向きにアクセス可能とすることによって、前記ボンドパッドに必要とされる空間とあらゆる接続部は、例えば測温体のような、前記熱電素子を超えて広がらずに済み、前記チャネルを妨げずに済む。従って、例えば測温体(temperature sensing element)のような前記熱電素子は、より良い測定結果を可能にするために、前記チャネルにより近接して配置されるか、あるいは前記チャネルの中に配置され得る。
【0014】
好ましくは、前記サーマルエアフローセンサは、前記熱電素子と前記ボンドパッドとの間の電気的接続のための、当該サーマルエアフローセンサの前記表面の導電層をさらに有し、前記ボンドパッドは前記導電層の裏面を構成する(comprise)。これにより、前記サーマルフローセンサ装置の熱伝導率に関して、さらなる自由度を提供し、同時に、裏面における接点を提供する利点がある。例えば、前記導電層又は前記導電層に含まれる材料の厚さ(thickness)は、設計変数として用いられ得る。
【0015】
好ましくは、前記サーマルエアフローセンサは、前記チャネルの中の流体から当該サーマルエアフローセンサを電気的に絶縁するための絶縁層をさらに有する。好ましくは、前記絶縁層はポリイミドを含む。ポリイミドは、約0.15W/(mK)の熱伝導率を有し、おおよそ10ミクロンの厚さでの配置が可能である。結果として、熱の分流が削減され、前記サーマルフローセンサ装置の感度を有利に高める。さらに、より薄い厚さにすることにより、サーマルフローセンサ装置に関する応答時間にプラスの影響を与える。それに加えて、ポリイミドは、接着の必要性を有利に避ける、スピンコーティング方式によって容易に用いられる。
【0016】
好ましくは、前記サーマルエアフローセンサは、基板をさらに有し、前記基板は、前記ボンドパッドを露出するための開口部を提供するように形成され、該開口部を通じた前記ボンドパッドとの接触を可能にするために作られる基板をさらに有する。これによって、前記基板のある厚さの機械的強度と安定性を保ちながら、前記ボンドパッドへのアクセスが可能になる。
【0017】
好ましくは、前記熱電素子は、前記チャネルに面する前記サーマルエアフローセンサの表面に、加熱素子又は温度感知素子を有する。前記表面の配置により、前記温度センサがより敏感になる。
【0018】
本発明の第二の実施形態によれば、ユーザ又は物体に取り付けられ、該ユーザ又は該物体の転倒を検出する転倒検出器における転倒検出方法であって、前記方法は、前記転倒検出器の垂直速度及び/又は高さの変化を示す測定結果を提供するためのエアフローセンサを用いるステップを有する。
【0019】
いくつかの実施形態は、流量を検知するためのセンサ集積回路、そのような集積回路を組み込むシステム及びそのような集積回路及びシステムを製造し操作する方法にも関連する。
【0020】
本発明は、以下の図面に関し、ほんの一例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に従った転倒検出器を表す図。
【図2】本発明による転倒検出器において用いられるエアフローセンサを表す図。
【図3】本発明に従った転倒検出方法を表すフローチャート。
【図4】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図5】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図6】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図7】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図8】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図9】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図10】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図11】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図12】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図13】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図14】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図15】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図16】基板の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する集積回路を製造する方法のステップを表す図。
【図17】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図18】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図19】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図20】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図21】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図22】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図23】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図24】基板の裏面のピラーの上にボンドパッドを有する集積回路を製造する別の方法のステップを表す図。
【図25】PCB上に集積回路を実装することによるアセンブリの形成を表す図。
【図26】シーラントのアセンブリへの塗布を表す図。
【図27】チャネルの壁の中に組み込まれるアセンブリを表す図。
【図28】チャネルの壁の中に組み込まれるアセンブリを表す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、人によって着用され、その人の転倒を検出する転倒検出器に関して説明される。しかし、当然ながら、本発明による転倒検出器及び転倒検出方法は、例えばハードディスクや他の繊細な電子装置のような物体の転倒の検出のような、他の用途にも用いることができる。
【0023】
本発明は、垂直速度及び/又は高さの変化を示す測定結果を提供するエアフローセンサを有する転倒検出器を提供する。好ましい実施形態において、当該転倒検出器は、例えば加速度を測定するためのセンサ、又は加速度を示す測定結果を提供するセンサ(例えば加速度計)のような、さらなる単一又は複数のセンサを有する。これらの実施形態において、前記エアフローセンサからの測定結果は、当該転倒検出器の高さの変化及び/又は垂直速度を決定するために用いられ、転倒が生じたかどうかを決定するために加速度の測定結果と組み合わされて処理される。
【0024】
図1は、本発明に従った転倒検出器1を表す。転倒検出器1は、例えばユーザの腰周り、胸の上、手首又は首周りのペンダントのように、ユーザの上体での着用に適合し得る。転倒検出器1は、転倒検出器1によって認められた加速度を測定する加速度計2と、転倒検出器1の周りのエアフローの速度と方向の測定結果を提供するエアフローセンサ3と、加速度計2とエアフローセンサ3からの測定結果を受信するプロセッサ3とを有し、転倒が生じたかどうかを決定するために該測定結果を処理する。
【0025】
転倒検出器1は、転倒が生じたと決定された場合に、プロセッサ4によって始動されるアラーム5をさらに有する。別の実施形態において、転倒検出器1は、さらに、あるいは代わりに、ユーザが、(検出された)転倒の後に素早く起き上がった場合を除いて、アラーム信号をコールセンター又は他の遠隔支援装置へと無線で送信するための手段を含むことができる。
【0026】
エアフローセンサ3は、例えば超音波センサ、差圧センサ又はインペラ(impellor)に基づくセンサのような、あらゆる種類のエアフローセンサを含み得る。しかし、本発明の好ましい実施形態において、エアフローセンサ3は、サーマルエアフローセンサ(thermal air flow sensor)を含む。図2に、その簡易なバージョンのものを示す。サーマルエアフローセンサは、電力消費が小さく、360度にわたる方向のエアフローを測定でき、低い流量にも敏感であるため、好ましい。さらに、サーマルエアフローセンサは、エアフローからセンサ部分を保護することができる。これにより、防水であることを保証するための、装置の筐体のシンプルな設計を可能にする。
【0027】
本発明による転倒検出器1で用いられる、例示的なサーマルフローセンサは、以下の「サーマルフローセンサ」の節で詳細に説明される。
【0028】
図2において、サーマルエアフローセンサは、加熱素子6(一定の電力又は一定の温度に保たれる抵抗に対応する)と一つ以上の測温体7(熱電温度計又は抵抗器)を有する。一つ以上の測温体7は、当該測温体7の表面の温度の差を測定する。好ましくは、測温体7は、高感度であって、ゼロオフセットを用いて温度の差異を直接に測定するような熱電対列を有する。サーマルエアフローセンサ3は、転倒検出器1が耐水性を備えるように、以下の「サーマルフローセンサ」の節で説明される通り、プリント基板又は転倒検出器の中の他の構造へと組み込まれ得る。
【0029】
フローがない場合には、センサ3の中の熱電対列7から流体8への熱伝達が伝導(conduction)を通して生じ、熱電対列7の表面に対称な温度分布がもたらされる。いくつかの流体のフローが存在する場合には、熱が伝導を通して伝達される。
【0030】
対流熱伝達は二つのメカニズムからなる。エネルギーは伝導により伝達されるだけでなく、温度勾配(移流)が存在する中で、流体8の揃った運動により伝達される。対流熱伝達は、対称な温度分布をもたらす。上流部分では、熱電対列7は、下流部分より冷却される。なぜならば、熱い流体8は、下流方向に移流され、熱電対列7の表面の温度差をもたらすためである。
【0031】
好ましくは、サーマルエアフローセンサ3は、高い再現性と、センサのフットプリントの削減の実現性のために、集積回路(IC)プロセスを用いて製造される。例えば、サーマルエアフローセンサ3は、以下の「サーマルフローセンサ」の節で説明されるプロセスに従って製造されることができる。ICプロセスによりサーマルエアフローセンサ3を作ることのさらなる利点は、転倒検出器1の寸法、コスト及び電力消費をさらに削減するために、増幅器、A/Dコンバータ及びマイクロコントローラのような電子機器をチップに統合できることにある。
【0032】
図3は、本発明に従った転倒検出方法(転倒検出器1のプロセッサ4により実行される方法に対応する)を示す。
【0033】
ステップ1001において、プロセッサ4は、加速度計2から測定結果を受信する。そして、ステップ1003において、プロセッサ4は、エアフローセンサ3からエアフローの測定結果を受信する。図3に示されるように、これら二種類の測定結果は、実質的に並列に受信される。
【0034】
ステップ1005において、プロセッサ4は、転倒検出器1の向き、転倒検出器1の向きの変化、及び衝突(impact)が加速度計2からの測定結果から生じていないかどうかを推定する。
【0035】
加速度計の測定結果から、物体の向きを推定する処理技術は既知であり、ここでのさらなる説明はなされない。
【0036】
ステップ1007において、プロセッサ4は、転倒検出器1の垂直速度と垂直速度のプロファイル(すなわち、転倒検出器1の垂直速度が時間と共にどの程度変化するかを示すプロファイル)を推定するために、ステップ1005で推定された転倒検出器1の向きとエアフローセンサ3からの測定結果とを用いる。
【0037】
特に、プロセッサ4は、垂直の向きに対応する、エアフローの測定結果の成分を特定するために、推定された向きを用いる。
【0038】
典型的に、エアフローセンサ3は、エアガイドチャネル(air guiding channel)を有する。そして、プロセッサ4は、エアガイドチャネルの向きを推定するために、推定された向きを用いることができる。それ故に、垂直方向のエアフローが存在するかどうかを決定することができる。
【0039】
ステップ1009において、プロセッサ4は、転倒検出器1の高さの経時的な変化を(例えば、特定の期間にわたって垂直速度のプロファイルを統合することにより)見積もるために、推定された垂直速度を用いる。
【0040】
ステップ1101において、プロセッサ4は、垂直速度のプロファイルと、加速度のプロファイル(あらゆる衝突のタイミング及び大きさと、衝突後の、加速度が定常状態である場合、すなわち重力のみが加わっている場合のあらゆる「沈黙」期間の存在とを示し得る)と、転倒検出器1の向きの変化と、推定された高さの変化とから、転倒が生じたか、あるいは生じそうかどうかを決定する。当業者は、プロセッサ4が、転倒が起きたかどうかを決定するため、この情報を処理するために用いることができる、多数のアルゴリズムを認識するだろう。
【0041】
従って、従来の転倒検出器及び転倒検出方法の欠点を克服する、転倒検出器及び転倒検出方法が提供される。特定の実施形態においては、転倒検出器に以下をもたらす。
(i)低電力消費
(ii)360度の方向のエアフローを測定する能力
(iii)低い流量への感度
(iv)防水であることを保証する、装置の筐体のシンプルな設計
【0042】
(サーマルフローセンサ(Thermal Flow Sensor))
本発明の実施形態は、以下に説明される温度の測定結果に基づき、チャネルの中のフローを感知するためのサーマルフローセンサ集積回路に関する。該サーマルフローセンサ集積回路は、流体チャネルに面する当該集積回路の表面に測温体を有する集積回路と、前記集積回路から離れて電気接点を作るための、前記測温体と電気的に結合されるボンドパッドであって、前記集積回路の裏面から接触しやすいように、前記表面から離れる方向を向いて配置される、ボンドパッドと、を有する。
【0043】
サーマルフローセンサのいくつかの実施形態において、集積回路(IC)プロセスを経たサーマルフローセンサは、容易な組み込みと高速で敏感なセンサ応答を可能にするために、センサの裏面に作られたボンドパッドとともに示される。ボンドパッドは後処理のステップで作られるため、説明される該ステップは、例えばCMOSプロセス、特に標準CMOSプロセスのような、主流のICプロセスと適合し得る。従って、IC上の(on-integrated circuit)駆動電気機器(driving electronics)との統合が可能となる。サーマルフローセンサの別の実施形態において、センサは、大量で低コストの生産を可能にするために、ピックアンドプレース方式で、プリント基板(PCB)上に取り付けられ得る。
【0044】
サーマルフローセンサのいくつかの実施形態において、測温体とボンドパッドとの間の電気的接続のために、集積回路の表面に金属層が存在する。さらに、ボンドパッドは、金属層の裏面を構成する。これにより、構造をシンプルかつコンパクトに保つために、ボンドパッドが測温体と相対的に近接することが可能となる。第一の実施形態におけるサーマルフローセンサの一例が以下に説明される。
【0045】
サーマルフローセンサのいくつかの実施形態において、集積回路は基板を有する。該基板は、前記ボンドパッドを露出するための開口部であって、当該開口部を通じて前記ボンドパッドへの接触を可能にする、開口部を提供するように形成される。このことは、接触を保護し、コンパクトな構造を提供することを支援する。
【0046】
サーマルフローセンサのいくつかの実施形態において、集積回路は基板を有する。該基板は、一つ以上のピラー(pillar)を形作るよう形成され、ボンドパッドは、一つのピラーの上の該基板の裏面に配置される。ピラーはボンドパッドを支持することができ、他の電気回路からの絶縁を保つ。第二の実施形態におけるサーマルフローセンサの一例が以下に説明される。
【0047】
サーマルフローセンサのいくつかの実施形態において、集積回路は、流体チャネルに面する集積回路の表面に加熱素子を有する。このことにより、より統合されたソリューションが可能になる。しかしながら、サーマルフローセンサの別の実施形態において、加熱素子は前記集積回路の外部の加熱器により提供されてもよい。外部の加熱器は、流体が温度センサと十分接近して過熱され得るように提供されるべきである。
【0048】
サーマルフローセンサのいくつかの実施形態において、集積回路は、シリコン・オン・インシュレータ集積回路を有する。これにより、他の回路素子の統合が可能となる。以下に説明されるサーマルフローセンサの第三の実施形態は、この配置について開示する。
【0049】
サーマルフローセンサのいくつかの実施形態において、アセンブリは、プリント基板と、該プリント基板に取り付けられた、該プリント基板の対応する接点へ結合されるボンドパッドを有する、あらゆる実施形態の集積回路とを有する。これにより、他の回路素子を同一の集積回路上に統合することの代わりに、他の回路素子を基板上に取り付けることを可能にし、より安価な、あるいは容易な製造が可能となる。さらに、集積回路に追加の部品を含めることも可能である。第四の実施形態におけるサーマルフローセンサの一例が以下に説明される。
【0050】
いくつかの実施形態において、流体のフローのための流体チャネルを有するシステムが存在する。前記流体チャネルは、くぼみ(recess)を有する壁(wall)を有し、該くぼみの中に該チャネルに面する側温体を有する集積回路又はアセンブリが存在する。
【0051】
サーマルフローセンサに関連する複数の実施形態は、温度の測定結果に基づいて流体チャネル内のフローを検知するサーマルフローセンサ集積回路の製造方法をさらに提供する。前記方法は、流体チャネルに面して配置される集積回路の表面に、測温体のような熱電素子を形成するステップと、前記集積回路から離れて電気接点を作るための、測温体のような前記熱電素子へ電気的に結合されるボンドパッドであって、前記流体チャネルから離れる方向を向いて配置される、ボンドパッドを形成するステップとを含み得る。
【0052】
サーマルフローセンサを製造する方法は、金属層の裏面のボンドパッドを生成するステップ又は開口部を形成する基板を形成するステップ及び前記開口部の中に前記ボンドパッドを形成するステップ又はピラーを形成するために前記基板を形成して該ピラーの上に前記ボンドパッドを形成するステップを含み得る。
【0053】
要約すると、説明されるサーマルフローセンサの実施形態は、センサの裏面に作られるボンドパッドを有する、ICプロセスを経たサーマルフローセンサを含む。ボンドパッドは後処理のステップで作られ得るため、サーマルフローセンサについての少なくともいくつかの実施形態は、例えばCMOSプロセス、特に、標準CMOSプロセスのような、主流のICプロセスと適合し得る。従って、例えばIC上の駆動電気機器との統合が可能となる。サーマルフローセンサの他の実施形態において、大量で低コストの生産を可能にするために、ピックアンドプレース方式で、センサをPCB上に取り付けるための方法が示される。
【0054】
サーマルフローセンサは、一般的に、一つ以上の加熱素子及び/又は抵抗器、トランジスタ又は熱電対のような、一つ以上の測温体を有する。(集積回路又は他の場所の)加熱素子は、センサに近接して配置される流体の部分を加熱する。流体のフローが、加熱器の温度を減少させ、測温体により測定され得る、集積回路の温度プロファイルの変化を引き起こす。加熱器の温度及び温度プロファイルの変化は流量の度合いとして用いられ得る。温度プロファイル測定のさらなる利点は、フローの方向を決定する能力である。
【0055】
サーマルフローセンサの実施形態において、「基板(substrate)」の用語は、使用され得るあらゆる基本的な単一又は複数の材料、又は、装置、回路若しくはエピタキシャル層が形成され得るあらゆる基本的な単一又は複数の材料を含み得る。サーマルフローセンサの他の代わりの実施形態において、この「基板」は、例えばシリコン、ドープされたシリコン、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムヒ素リン(GaAsP)、リン化インジウム(InP)、ゲルマニウム(Ge)又はシリコンゲルマニウム(SiGe)基板を含み得る。「基板」は、半導体基板の部分に加えて、例えばSiO2層又はS13N4層のような絶縁層を含み得る。従って、基板の用語は、シリコン・オン・グラス、シリコン・オン・サファイア基板もまた含む。従って、「基板」の用語は、ある層又は関心のある部品の基礎となる層の要素を一般的に定義するために用いられる。
【0056】
サーマルフローセンサの第一の実施形態は、図4−16で示されるように製造される集積回路であり、基板の中の開口部を通じてアクセス可能なボンドパッドを有する。
【0057】
図4は出発物質を示す。この場合には、上部に酸化層のような絶縁層を有する、300ミクロンの厚さのシリコン基板20の、半導体ウエハのような半導体基板が一つの例である。他の絶縁層の厚さ、又はシリコン窒化物のような他の絶縁層の材料が用いられ得る。加熱素子と測温体は、標準的な沈着技術及びリソグラフィ技術(図5−10に示される)を用いて処理され得る。
【0058】
図5は、第一のマスクMASK1:PSを用いた、in-situでドープされた(n++)0.3ミクロンのポリシリコン層30の沈着及び形成のような、熱抵抗器のような熱電素子の形成の例を表す。ポリシリコン層30は、一つ以上の加熱素子及び/又は抵抗器、トランジスタ又は熱電対のような一つ以上の測温体へと形成され得る。加熱素子は別個に配置されることができ、ポリシリコン層は専ら測温体として用いられてもよい。加熱素子が提供される場合には、センサに近接して配置される流体の一部を過熱する。流体のフローが加熱器の温度を下げ、測温体はその温度を測定することができる。加熱器の温度及び温度センサの温度の変化を、流量の度合いとして用いることができる。
【0059】
図6は、例えば0.2ミクロンのTEOS層40のようなPMD(pre-metal dielectric)層の形成と、例えばポリシリコン層30のような熱素子にわたる第一のコンタクトホール42、44の開口を表す。ここでは、第二のマスクMASK2:COが用いられる。図7は、ボンドパッドのための、基板への第二のコンタクトホール50の開口を表す。ここでは、第三のマスクMASK3:CBを用いることができる。図8は、例えば20nm Ti+0.5アルミニウムメタライズ層60の、金属のスタック(metal stack)のようなメタライズ層であり得る、導電層の形成を表す。該形成は、素子の間の電気接点、特に、第一のコンタクトホール42、44を介した、ポリシリコン30でできた熱素子へのコンタクト部62、64と、ボンドパッドの穴又は第二のコンタクトホール50へのコンタクト部66との間の電気接点を作るためになされる。ここでは、第四のマスクMASK4:INを用いることができる。コンタクト部62、64、66により、熱素子を駆動し、センサを操作するための電気的接続が可能となる。
【0060】
図9は、例えば0.5ミクロンのPECVD窒化物と0.5ミクロンの酸化層70のような、パッシベーションとスクラッチ保護のための、装置全体を覆うパッシベーション層とスクラッチ保護層の形成を表す。熱伝導を提供し、密着性を改善するための追加の層を堆積できるように、流体チャネルに最も近くなるセンサの部分は、上記のポリシリコン層30である。例えば、図10は、熱伝導率を調整するための、0.05−1ミクロンのアルミニウム層75のような金属層と、密着のための、0.5ミクロンの酸化層80のような絶縁層の形成を表す。最適な応答時間と感度を得るために、スタックの平均の熱伝導率は、追加の(パターン形成されない)メタライズ層の厚さを適応させることにより調整され得る。
【0061】
図11は、対化学性の平滑(smooth)かつ平坦な表面層への接着工程を表す。例えば、接着剤100は、絶縁基板90を伴って用いられる。絶縁基板90は、およそ1W/(mK)の熱伝導率を有するガラスから製造され得る。ガラスから製造される場合に、絶縁基板は、一般的にはおよそ400ミクロンの厚さを有する。これは、半導体ウエハの上部を絶縁基板90の下に配置することにより実装され得る。次に、絶縁層90は、任意で薄くされる。これは、例えば図12に示されるように、センサ表面を確実に平滑にするための任意の研磨ステップを伴って、50−100ミクロンの厚さまで磨くこと((DISCO-)grinding)によってなされる。さらに、絶縁基板90は、およそ0.15W/(mk)の熱伝導率と、おおよそ10ミクロンの厚さを有するポリイミドから製造される。結果として、センサが位置するべき領域の熱の分流(thermal shunting)が縮小され、センサの感度を有利に高める。さらに、より薄い厚さにより、センサの応答時間にプラスの影響を与える。さらに、ポリイミドは、例えば、絶縁基板90の接着の必要がないスピンコーティング方式によって、半導体ウエハの上に容易に適用される。
【0062】
図13は、例えば、第五のマスクMASK5:CAVを用いた、深堀りRIEエッチングのような異方性エッチングのためのレジスト層のような、裏面のマスク(backside mask)120の形成を表す。
【0063】
図14は、例えばシリコンのような半導体材料を局所的に除去することによりボンドパッドを開口するための、半導体基板の開口部130の形成を表す。このことは、例えば酸化層10及びアルミニウムのボンドパッドのような金属の導電層60のような、絶縁層の上で止まる、深堀りRIEエッチング(ボッシュプロセス)のような異方性エッチングを含む。ここで留意すべきなのは、アルミニウムのボンドパッドは、基板の除去によりボンドパッドが開口されるように、シリコン基板上に直接配置されることである。任意で、感知領域の下のシリコンは、センサの感度を高めるために除去され得る。残りのシリコンは、機械的な強度とヒートシンクとしての機能を提供する。センサは、例えばワイヤボンディングを用いて接触され得る。
【0064】
図15は、例えばレジスト層120のような裏面のマスクの除去を表す。図16は、ダイシングの最終ステップと、PCB又はフレックスフォイル(flexfoil)のような外部回路へのワイヤボンド160を提供する。
【0065】
サーマルフローセンサの第二の実施形態は、センサの電気的接続をスタックのバックプレーンへ移すための、例えばシリコンのような電気的に絶縁された半導体である「ピラー」の加工を含む。出発物質は、例えば、上部に熱酸化物のような絶縁層を有する、高ドープ低抵抗基板のような半導体ウエハである。加熱素子及び/又は測温体は、標準的な沈着技術及びリソグラフィ技術を用いて処理され、第一の実施形態のサーマルフローセンサとの関連で、図5−10、すなわちポリシリコン層30からの処理として表される。最適な応答時間と感度を得るために、スタックの平均の熱伝導率は、図10で示されるように、追加のメタライズ層の厚さを適応させることにより調整され得る。
【0066】
ウエハは、例えば図11において示されるように、上部をガラス基板の下に接着することにより接合される。絶縁層90は、図12に示されるように、センサ表面を確実に平滑にするための任意の研磨ステップを伴って、50−100ミクロンの厚さまで磨くことによってなされる。第一の実施形態のサーマルフローセンサについての図13−16に関して説明される上記方法のステップの代わりに、第二の実施形態のサーマルフローセンサは、図17−22において示されるステップを有する。
【0067】
図17は、例えばスパッタリングによる、ウエハの裏面の0.5ミクロンのアルミニウム層のような金属層の沈着を表す。図18は、例えば深堀りRIEエッチング(MASK5:CAV)のような、異方性エッチングのための裏面マスクを表す。これはレジスト層190であり得る。これは、図19において表されるように、例えばボンドパッド200を固定するための金属層を形成するために用いられる。
【0068】
図20は、例えば酸化層10(及びあらゆるアルミニウム層60)の上で止まる深堀りRIEエッチング(ボッシュプロセス)のような異方性エッチングを表す。これにより、センサ感度を高めるために、感知領域の下のシリコン220を除去することができる。また、ボンドパッドの周りのシリコンは、電気的に絶縁されたシリコンの「ピラー」240を形成するために除去される。ピラー240は、センサとボンドパッドとの間の電気的接続を提供する。残りのシリコンは、機械的な強度とセンサのためのヒートシンクとしての機能を提供する。センサは、例えばワイヤボンディングを用いて接触され得る。
【0069】
図21は、レジスト層の除去を表す。
【0070】
図22は、スタックの裏面における電気抵抗材料のコーティング250を表す。ここで、ピラー240の間のトレンチ(trench)は、コーティング250で埋められる。残りのシリコン基板もまた、電気抵抗材料のコーティング250が付される。好ましくは、コーティング250はパリレンを有する。コーティング250は、ピラーの間のトレンチが完全に埋められるような厚さを有する。すなわち、コーティング250は、ピラー240の間のトレンチの幅のおおよそ半分に等しい厚さを有する。
【0071】
図23は、酸素プラズマを用いた、コーティング250の除去を表す。該除去は、全てのコーティング250が酸化層10及びピラーの上面から除去されるまで行われる。ピラー240の間のトレンチの中の、僅かなコーティング250のみが除去される。この割合は、コーティング250の元の厚さとおおよそ等しい厚さである。
【0072】
図24は、スタッドパンプ(stud bump)270を形成するためのウエハスケールプロセスを表す。このプロセスは、個々の集積回路を提供するためのウエハのダイシングを伴う。
【0073】
サーマルフローセンサの第三の実施形態は、上記されたものと同様のステップを用いる、実施形態1及び2のセンサの加工を含む。しかし、出発物質が、絶縁層の上に単結晶の上位層を有するSOI(silicon-on-insulator)ウエハである。このサーマルフローセンサの実施形態において、A/Dコンバータ等のような駆動電気機器は、SOIの単結晶シリコン層の中でプロセス処理され得る。測温体は、別個のポリシリコン層30を用いる代わりに、単結晶シリコンの中でプロセス処理され得る。
【0074】
サーマルフローセンサの第四の実施形態において、サーマルフローセンサのあらゆる実施形態において説明されたセンサスタックを取り付ける方法が提供される。一つの例として、サーマルフローセンサの第二の実施形態におけるセンサ装置は、図25、26に表されるように、PCBの上に直接取り付けられる。スタッドパンプは、PCB290へ良好な電気的接続を提供するために、ボンドパッドに適用される。さらに、スタッドパンプは、PCBへ良好な熱的接続を提供するために、シリコンのヒートシンクの下側に適用される。導電性接着剤280は、PCBに適用される。接着剤は、シリコンとPCBの熱膨張係数の不整合を少なくするように選択されるべきである。好ましくは、シリコンとPCBの熱膨張係数の不整合に起因する、センサの中の圧力(stress)の導入を防止するために、室温で硬化する導電性エポキシ樹脂が用いられる。センサとPCBとの間の間隔への水(蒸気)やごみの侵入を避けるため、接着剤330がセンサを密封するために塗布される。ヒートシンク300が、PCBの裏面に取り付けられ、PCBを通る熱伝導性ビア310によってシリコンヒートシンクと接続され得る。電気的接続320は、センサのボンドパッドをPCB上の他の部品と結合するために表される。これらの接続は、従来のビア及びプリントされた銅線を含み得る。
【0075】
図27は、フローチャネルの壁340の中の予め加工された窓状のくぼみの中に、あらゆる実施形態によるサーマルフローセンサを有するアセンブリの取り付けを表す。この図において、フローチャネルはセンサの上にある。図28は、フローチャネルの壁340を局所的に薄くした部分350の形状の、別の種類のくぼみの後ろへのフローセンサの取り付けを表す。この薄い部分は、流体の漏えい又は汚染のリスクを小さくするための障壁を提供することができ、センサの集積回路の端部の周りの良好な密封を提供しないで済む。
【0076】
センサ、アセンブリ及び加工方法は、転送検出器への応用に制限されない。例えば、ネブライザシステム又は静脈内注射(IV infusion)の薬物送達のような無菌状態が必要な医学的応用に適用可能である。また、例えば腐食性流体を用いる環境での使用のような、医療分野以外の応用にも適用可能である。
【0077】
サーマルフローセンサの実施形態において、センサは、シリコン基板の上部又は上位の層に配置される。慣習的に、センサ領域と、例えば駆動電気機器とセンサを接続するためのボンドパッドとの両方は、シリコンスタックの表面に配置される。そのような従来の装置では、センサ領域とボンドパッドは同一のプレーンに配置される。このため、導管の壁の中にサーマルフローセンサを実装する場合に、センサと導管を通じた流体のフローとの間に空間を提供し、接続ワイヤをPCB又はリードフレームへ導くために、厚い層を適用する必要がある。説明されたサーマルフローセンサの実施形態は、感度と応答時間に関するセンサのパフォーマンスに影響する、この問題に対処することができる。上述の実施形態によって、温度センサの中に含まれる測温体と流体チャネルを通じた流体のフローとの間の距離を小さくすることにより、センサの応答時間と感度を改善することができる。
【0078】
従って、要約すると、この実施形態は、別のセンサと流量を検知するセンサ集積回路とを、そのようなセンサとセンサ集積回路とを含むシステム並びにそのようなセンサ又はセンサ集積回路及びそのようなシステムを製造し操作する方法へ提供する。第一の実施形態によれば、サーマルフローセンサ装置が提供される。この装置は、温度の測定結果に基づいて流体チャネル内のフローを検知する集積回路を含むサーマルフローセンサ集積回路又は集積回路(IC)サーマルフローセンサを含む。該集積回路は、流体チャネルに面する集積回路の表面に、測温体のような熱電素子を有する。さらに、該集積回路は、該集積回路から離れて電気接点を作るための、測温体のような前記熱電素子へ電気的に結合されるボンドパッドを有する。該ボンドパッドは、該集積回路の裏面から接触しやすいように該表面から離れる方向を向いて配置される。
【0079】
集積回路の裏面からアクセスしやすく、流体チャネルから離れる方向を向いたボンドパッドを有することにより、ボンドパッドとボンドパッドへのあらゆる接続に必要とされる空間は、例えば測温体のような熱電素子を超えて広がらずに済み、前記チャネルを妨げずに済む。従って、例えば測温体のような前記熱電素子は、より良い測定結果を可能にするために、前記チャネルにより近接して配置されるか、あるいは前記チャネルの中に配置され得る。
【0080】
正確な流量の検知が多くの応用において必要とされる。一つのそのような応用は、転倒検出であり、別の応用は、薬剤の静脈内送達(intravenous delivery)である。別のそのような応用は、ネブライザシステムである。ネブライザシステムは、呼吸器疾患の患者へエアロゾルの形状の薬剤を送達するために用いられる。正確な薬剤又はエアロゾルの送達を可能にするために、薬剤又はエアロゾルの放出の正確な時間は、フローセンサのデータに基づいて決定される。そのようなフローセンサは、例えば吸入から放出への転換点及びその逆における、速度の変動を解決するために、高速かつ敏感であるべきである。
【0081】
ネブライザのような医療装置は、加圧滅菌器か、機械的又は化学的方法の使用による滅菌を必要とする可能性がある。流体チャネルの壁を通してフローを測定する能力により、滅菌環境から分離された、装置の密封された部分にフローセンサと電気機器を取り付けることが可能となる。しかしながら、感度と応答時間に関する良好なセンサのパフォーマンスのために、センサは流体に近接して取り付けられるべきである。
【0082】
サーマルフローセンサ集積回路は、ICプロセス技術を用いて、シリコン基板の上部又は上位の層に作られる。結果として、センサ領域と、センサと接触するためのボンドパッドとの両方は、シリコンスタックの表面に配置される。センサ領域とボンドパッドは同一のプレーンに配置されるため、接続ワイヤを保護し、PCB又はリードフレームへ導くために、センサと流体の間に厚い層を適用する必要がある。感度と応答時間に関するセンサのパフォーマンスは、フローセンサと流体との間の距離とともに減少する。
【0083】
導電層は、熱電素子とボンドパッドとの間の電気的接続のために、サーマルフローセンサ装置の表面に提供され得る。ボンドパッドは、導電層の裏面を構成する。これにより、サーマルフローセンサ装置の熱伝導率に関して、さらなる自由度を提供し、同時に、裏面で接点を提供する利点がある。例えば、導電層又は導電層に含まれる材料の厚さは、設計変数として用いられ得る。
【0084】
サーマルフローセンサ装置は、当該サーマルフローセンサをチャネルの中の流体から電気的に絶縁するための絶縁層を有し得る。好ましくは、絶縁層はポリイミドを含む。ポリイミドは、約0.15W/(mK)の熱伝導率を有し、おおよそ10ミクロンの厚さでの配置が可能である。結果として、熱の分流が削減され、サーマルフローセンサ装置の感度を有利に高める。さらに、より薄い厚さにすることにより、サーマルフローセンサ装置に関する応答時間にプラスの影響を与える。それに加えて、ポリイミドは、接着の必要性を有利に避ける、スピンコーティング方式によって容易に用いられる。
【0085】
前記装置は、半導体基板のような基板を含み得る。基板は、前記ボンドパッドを露出するための開口部であって、当該開口部を通じて前記ボンドパッドへの接触を可能にする、開口部を提供するように形成され得る。これにより、機械的強度と安定性のための基板の厚さを維持しながら、ボンドパッドへのアクセスが可能となる。
【0086】
基板は、さらに、一つ以上のピラーを形作るように形成される。ボンドパッドは、一つのピラーの上の、該基板の裏面に配置される。
【0087】
ピラーは、ピラーの機械的な支持を強めるために、電気抵抗材料のコーティングとともに提供され得る。結果として、十分な機械的強度を実現する同時に、ピラーの断面のサイズが削減され得る。ピラーの断面のサイズの削減は、ICのサイズを削減し、従って、ICのコストを有利に削減する。好ましくは、電気抵抗材料はパリレンを有する。なぜなら、後者の(latter)材料は大変良好なステップカバレージ特性を有するためである。その優れたステップカバレージ特性により、パリレンは、基板の水平面とほとんど同じ割合で、ピラーの側壁を覆う。適切なパリレンの一例は、ポリキシリレンである。
【0088】
熱電素子は、チャネルに面するサーマルフローセンサ装置の表面に過熱素子又は温度感知素子を有する。表面の配置により、温度センサがより敏感になる。
【0089】
装置は、集積回路として形成され得る。これにより、他の装置に容易に含まれることのできる、コンパクトな装置となる。集積回路は、シリコン・オン・インシュレータ集積回路であってもよい。
【0090】
いくつかの実施形態は、さらに、プリント基板と、該プリント基板上に取り付けられた、該プリント基板の対応する接点へ結合されるボンドパッドを有する上述のサーマルフローセンサ装置とを有するアセンブリを提供する。
【0091】
いくつかの実施形態は、さらに、チャネルを有するシステムを提供する。該チャネルはくぼみを有する壁を有する。該くぼみの中に、該チャネルに面する熱電素子を有する、上述のサーマルフローセンサ装置又はアセンブリが取り付けられる。
【0092】
いくつかの実施形態は、温度の測定結果に基づいてチャネル内のフローを検知するサーマルフローセンサの製造方法をさらに提供する。前記方法は、前記チャネルに面して配置される前記サーマルフローセンサ装置の表面に熱電素子を形成するステップと、前記サーマルフローセンサ装置から離れて電気接点を作るための、前記熱電素子へ電気的に結合されるボンドパッドであって、前記サーマルフローセンサ装置の裏面から接触しやすいように、前記表面から離れる方向を向いて配置される、ボンドパッドを形成するステップとを有する。これらの方法のステップは、標準CMOSプロセスのフローと適合し、経済的な製造を可能にする。
【0093】
導電層は、熱電素子とボンドパッドの間の電気的接続のために提供され得る。そのために、ボンドパッドは金属層の裏面を構成する。この層が装置の表面にある場合には、流体チャネルの主たる向きと平行な向きに従って、熱応答時間が改善することを支援し得る。
【0094】
サーマルフローセンサ装置は、半導体基板のような基板を有し得る。また、前記方法は、ボンドパッドを露出するための開口部であって、当該開口部を通じて該ボンドパッドへの接触を可能にする、開口部を提供する基板を形成するステップを有し得る。
【0095】
前記方法は、ピラーを形成するために基板を形成するステップをさらに有する。前記ボンドパッドを形成するステップは、前記ピラーの上に前記ボンドパッドを形成するステップを有する。
【0096】
前記方法は、サーマルフローセンサ装置をプリント基板に取り付けるステップと、ボンドパッドを該プリント基板の対応する接点へ結合するステップとを含み得る。
【0097】
サーマルフローセンサ装置は、流体のフローのためのチャネルの壁の中のくぼみへ有利に取り付けられ得る。
【0098】
他の実施形態は、センサ、そのような集積回路を有するセンサシステム、そのような集積回路又はそのようなシステムを製造する方法、並びにそのようなセンサ及びそのような集積回路を有するセンサシステムを操作する方法を含む。
【0099】
いくつかの実施形態は、温度の測定結果に基づいて流体チャネル内のフローを感知する、例えばサーマルフローセンサ集積回路のようなサーマルフローセンサ装置の製造方法をさらに提供する。前記方法は、前記流体チャネルに面して配置される前記集積回路の表面に、例えば測温体のような熱電素子を形成するステップと、前記集積回路から離れて電気接点を作るための、前記熱電素子又は前記測温体へ電気的に結合されるボンドパッドであって、前記流体チャネルから離れる方向を向いて配置される、ボンドパッドを形成するステップとを有する。
【0100】
前記方法は、金属層の裏面に前記ボンドパッドを形成するステップ又は開口部を形成するための基板を形成するステップ及び前記開口部の中に前記ボンドパッドを形成するステップ又はピラーを形成するための基板を形成し、前記ピラーの上に前記ボンドパッドを形成するステップを含み得る。
【0101】
本発明は、詳細な説明、図面及び前述の説明において図示され、説明されたが、そのような図示及び説明は、実例及び例示とみなされるべきであり、限定的なものとみなされるべきではない。すなわち、本発明は、開示される実施形態に限定されない。
【0102】
開示される実施形態のバリエーションは、図面、明細書及び添付されるクレームをもとに、クレームされる発明を実践する当業者によって理解され、影響を受け得る。クレームにおいて、「有する(comprising)」の語は、他の要素又はステップを除外するものではない。また、不定冠詞「一つの(a)」又は「一つの(an)」は、複数を除外するものではない。単一のプロセッサ又は他の装置は、クレームに列挙される複数の項目の機能を実現させることができる。いくつかの手段が相互に異なる従属クレームに列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に用いることができないということを意味していない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、あるいは他のハードウェアの一部として共に提供される、光学記憶媒体又は半導体媒体のような適切な媒体の上に保管され/流通され得る。しかし、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを用いるような、他の方法でも流通され得る。クレーム内のあらゆる参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ又は物体に取り付けられ、該ユーザ又は該物体の転倒を検出する転倒検出器であって、
当該転倒検出器の垂直速度及び/又は高さの変化を示す測定結果を提供するためのエアフローセンサを有する、
転倒検出器。
【請求項2】
当該転倒検出器の加速度を測定するための加速度計
をさらに有する、請求項1に記載の転倒検出器。
【請求項3】
転倒が生じたかどうかを決定するために前記エアフローセンサと前記加速度計からの測定結果を処理するためのプロセッサ
をさらに有する、請求項2に記載の転倒検出器。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記加速度計からの前記測定結果から当該転倒検出器の向きを推定し、前記エアフローセンサからの前記測定結果から当該転倒検出器の垂直速度のプロファイルを生成するために推定された前記向きを用いるよう構成される、
請求項3に記載の転倒検出器。
【請求項5】
前記エアフローセンサはサーマルエアフローセンサである、
請求項1乃至4何れか一項に記載の転倒検出器。
【請求項6】
前記サーマルエアフローセンサは、温度の測定結果に基づいてチャネルの中のフローを感知する、
請求項5に記載の転倒検出器。
【請求項7】
前記サーマルエアフローセンサは、
前記チャネルに面して配置される当該サーマルエアフローセンサの表面の熱電素子と、
当該サーマルエアフローセンサから離れて電気接点を作るための、前記熱電素子と電気的に結合されるボンドパッドであって、当該サーマルエアフローセンサの裏面から接触しやすいように前記表面から離れる方向を向いて配置される、ボンドパッドと、
を有する、請求項6に記載の転倒検出器。
【請求項8】
前記サーマルエアフローセンサは、前記熱電素子と前記ボンドパッドとの間の電気的接続のための、当該サーマルエアフローセンサの前記表面の導電層をさらに有し、
前記ボンドパッドは前記導電層の裏面を構成する、
請求項7に記載の転倒検出器。
【請求項9】
前記サーマルエアフローセンサは、前記チャネルの中の流体から当該サーマルエアフローセンサを電気的に絶縁するための絶縁層をさらに有する、
請求項7又は8に記載の転倒検出器。
【請求項10】
前記サーマルエアフローセンサは基板をさらに有し、
前記基板は、前記ボンドパッドを露出するための開口部を提供するように形成され、該開口部を通じた前記ボンドパッドとの接触を可能にする、
請求項7乃至9何れか一項に記載の転倒検出器。
【請求項11】
前記熱電素子は、前記チャネルに面する前記サーマルエアフローセンサの表面に加熱素子又は温度感知素子を有する、
請求項7乃至10何れか一項に記載の転倒検出器。
【請求項12】
ユーザ又は物体に取り付けられ、該ユーザ又は該物体の転倒を検出する転倒検出器における転倒検出方法であって、
前記転倒検出器の垂直速度及び/又は高さの変化を示す測定結果を提供するためのエアフローセンサを用いるステップ
を有する、転倒検出方法。
【請求項13】
前記転倒検出器の加速度を測定するステップ
をさらに有する、請求項12に記載の転倒検出方法。
【請求項14】
転倒が生じたかどうかを決定するために、前記エアフローセンサからの前記測定結果と前記加速度の測定結果とを処理するステップ
をさらに有する、請求項13に記載の転倒検出方法。
【請求項15】
前記処理するステップは、
前記加速度の測定結果から前記転倒検出器の向きを推定するステップと、
前記エアフローセンサからの前記測定結果から前記転倒検出器の垂直速度のプロファイルを生成するために推定された前記向きを用いるステップと、
を有する、請求項14に記載の転倒検出方法。
【請求項1】
ユーザ又は物体に取り付けられ、該ユーザ又は該物体の転倒を検出する転倒検出器であって、
当該転倒検出器の垂直速度及び/又は高さの変化を示す測定結果を提供するためのエアフローセンサを有する、
転倒検出器。
【請求項2】
当該転倒検出器の加速度を測定するための加速度計
をさらに有する、請求項1に記載の転倒検出器。
【請求項3】
転倒が生じたかどうかを決定するために前記エアフローセンサと前記加速度計からの測定結果を処理するためのプロセッサ
をさらに有する、請求項2に記載の転倒検出器。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記加速度計からの前記測定結果から当該転倒検出器の向きを推定し、前記エアフローセンサからの前記測定結果から当該転倒検出器の垂直速度のプロファイルを生成するために推定された前記向きを用いるよう構成される、
請求項3に記載の転倒検出器。
【請求項5】
前記エアフローセンサはサーマルエアフローセンサである、
請求項1乃至4何れか一項に記載の転倒検出器。
【請求項6】
前記サーマルエアフローセンサは、温度の測定結果に基づいてチャネルの中のフローを感知する、
請求項5に記載の転倒検出器。
【請求項7】
前記サーマルエアフローセンサは、
前記チャネルに面して配置される当該サーマルエアフローセンサの表面の熱電素子と、
当該サーマルエアフローセンサから離れて電気接点を作るための、前記熱電素子と電気的に結合されるボンドパッドであって、当該サーマルエアフローセンサの裏面から接触しやすいように前記表面から離れる方向を向いて配置される、ボンドパッドと、
を有する、請求項6に記載の転倒検出器。
【請求項8】
前記サーマルエアフローセンサは、前記熱電素子と前記ボンドパッドとの間の電気的接続のための、当該サーマルエアフローセンサの前記表面の導電層をさらに有し、
前記ボンドパッドは前記導電層の裏面を構成する、
請求項7に記載の転倒検出器。
【請求項9】
前記サーマルエアフローセンサは、前記チャネルの中の流体から当該サーマルエアフローセンサを電気的に絶縁するための絶縁層をさらに有する、
請求項7又は8に記載の転倒検出器。
【請求項10】
前記サーマルエアフローセンサは基板をさらに有し、
前記基板は、前記ボンドパッドを露出するための開口部を提供するように形成され、該開口部を通じた前記ボンドパッドとの接触を可能にする、
請求項7乃至9何れか一項に記載の転倒検出器。
【請求項11】
前記熱電素子は、前記チャネルに面する前記サーマルエアフローセンサの表面に加熱素子又は温度感知素子を有する、
請求項7乃至10何れか一項に記載の転倒検出器。
【請求項12】
ユーザ又は物体に取り付けられ、該ユーザ又は該物体の転倒を検出する転倒検出器における転倒検出方法であって、
前記転倒検出器の垂直速度及び/又は高さの変化を示す測定結果を提供するためのエアフローセンサを用いるステップ
を有する、転倒検出方法。
【請求項13】
前記転倒検出器の加速度を測定するステップ
をさらに有する、請求項12に記載の転倒検出方法。
【請求項14】
転倒が生じたかどうかを決定するために、前記エアフローセンサからの前記測定結果と前記加速度の測定結果とを処理するステップ
をさらに有する、請求項13に記載の転倒検出方法。
【請求項15】
前記処理するステップは、
前記加速度の測定結果から前記転倒検出器の向きを推定するステップと、
前記エアフローセンサからの前記測定結果から前記転倒検出器の垂直速度のプロファイルを生成するために推定された前記向きを用いるステップと、
を有する、請求項14に記載の転倒検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
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【図5】
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【図8】
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【図11】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2012−533812(P2012−533812A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521109(P2012−521109)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055810
【国際公開番号】WO2011/010191
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055810
【国際公開番号】WO2011/010191
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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