転写装置及び画像形成装置
【課題】記録媒体が薄紙の場合にも、ジャムや転写率低下を生じなくすることができる転写装置を提供する。
【解決手段】トナー像を担持する像担持体2に対向して設置され、該像担持体2と記録媒体を接触させて、直流高圧電源21と交流高圧電源22の双方が発する電圧により形成される転写電界により、像担持体上の所望の極性に帯電されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置において、記録媒体の先端部分が転写電界内にある場合よりも、記録媒体の他の部分が転写電界内にある場合に、交流電圧電源22の出力電圧を小さくする。すなわち、記録媒体が薄紙の場合は、交流高圧電源22の出力電圧を、記録媒体の先端部分はジャムが生じないよう十分大きくし、記録媒体の先端以外では転写率低下が生じないように弱くすることにより、ジャムも転写率低下も生じなくすることができる。
【解決手段】トナー像を担持する像担持体2に対向して設置され、該像担持体2と記録媒体を接触させて、直流高圧電源21と交流高圧電源22の双方が発する電圧により形成される転写電界により、像担持体上の所望の極性に帯電されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置において、記録媒体の先端部分が転写電界内にある場合よりも、記録媒体の他の部分が転写電界内にある場合に、交流電圧電源22の出力電圧を小さくする。すなわち、記録媒体が薄紙の場合は、交流高圧電源22の出力電圧を、記録媒体の先端部分はジャムが生じないよう十分大きくし、記録媒体の先端以外では転写率低下が生じないように弱くすることにより、ジャムも転写率低下も生じなくすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に担持されるトナー像を記録媒体に転写する転写装置に関するものであり、さらにはその転写装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの機能を有する複合機等の電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、像担持体に担持されるトナー像を記録媒体に転写する転写装置が知られており、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの機能を有する複合機等の電子写真方式の画像形成装置に用いられている。
転写装置には直接転写方式のものと中間転写方式のものがあり、直接転写方式の転写装置を備えた画像形成装置では、帯電、露光、現像の周知の電子写真プロセスにより、像担持体であるドラム状やベルト状の感光体の表面にトナー像を形成した後、転写ローラ等の転写手段を用いた転写装置により感光体から記録紙等の記録媒体にトナー像を直接転写して画像を形成している。
また、中間転写方式の転写装置を備えた画像形成装置では、上記の電子写真プロセスにより感光体上にトナー像を形成した後、第二の像担持体である中間転写転写体(例えば中間転写ベルト)にトナー像を1次転写した後、中間転写ベルトに担持されたトナー像を、転写ローラ等の転写手段を用いた転写装置により記録紙等の記録媒体に2次転写して画像を形成している。
【0003】
ここで中間転写方式の転写装置を備えた画像形成装置についてより詳しく述べる。この画像形成装置では、まず帯電、露光、現像の周知の電子写真プロセスにより、ドラム状等の感光体の表面にトナー像を形成する。感光体には、像担持体としての無端状の中間転写ベルトを当接させて1次転写ニップを形成している。そして1次転写ニップにおいて、感光体上のトナー像を中間転写ベルトに1次転写する。中間転写ベルトに対しては、ニップ形成部材としての2次転写ローラを当接させて2次転写ニップを形成している。また、中間転写ベルトのループ内には、2次転写対向ローラを配設しており、この2次転写対向ローラと、前述した2次転写ローラとの間に中間転写ベルトを挟み込んでいる。ループ内側の2次転写対向ローラに対してはアースを接続しているのに対し、ループ外の2次転写ローラに対しては2次転写バイアスを印加している。これにより、2次転写対向ローラと2次転写ローラとの間に、トナー像を前者側から後者側に静電移動させる2次転写電界を形成している。そして、中間転写ベルト上のトナー像に同期させるタイミングで2次転写ニップ内に送り込んだ記録紙に対して、2次転写電界の作用により、中間転写ベルト上のトナー像を2次転写する。
【0004】
上記のような構成の中間転写方式の転写装置を用いた画像形成装置において、記録紙として、和紙のような表面凹凸に富んだものを用いると、表面凹凸にならった濃淡パターンを画像中に発生させ易くなる。この濃淡パターンは、紙表面における凹部に対して十分量のトナーが転写されずに、凹部の画像濃度が凸部よりも薄くなることによって生じるものである。そこで、例えば特許文献1(特開2006−267486号公報)に記載の画像形成装置においては、2次転写バイアスとして、直流電圧だけからなるものではなく、交流電圧に対して直流電圧を重畳した重畳バイアスを印加するようになっている。特許文献1には、このような2次転写バイアスを印加することで、直流電圧だけからなる2次転写バイアスを印加する場合に比べて、濃淡パターンの発生を抑え得ることを示す実験結果が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
像担持体(感光体または中間転写体)と記録媒体を接触させて転写電界により像担持体上の所望の極性に帯電したトナー像を記録媒体に転写する転写装置では、一般に、記録媒体の表面に凹凸があると、記録媒体の凸部が像担持体に接触し凹部が像担持体と接触せず、凹凸の深さ分のギャップが生じるからと考えられるが、凹凸の深さが深いほどに像担持体の凹部へのトナー像の転写率が低下して、画像濃度ムラが大きくなる。
そこで、このような転写装置に、特許文献1に見られるような転写電界を直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成されるようにすることで、記録媒体上の所望の極性に帯電したトナー像が、該交流電界により揺さぶられ記録媒体に向かって飛翔し易くなるためと思われるが、記録媒体の表面に凹凸があっても凹部への転写率が向上するので、画像濃度ムラが低減する。そして、該交流高圧電源による交流電界が強いほどに、より深い凹部に転写できるようになる。
しかし、交流電界が強くなるほど、トナー像や記録媒体に対する除電力が大きくなるので、該交流電界が過剰になると、像担持体上の所望の極性に帯電されたトナー像が除電されて転写率が低下するという問題が生じる。
【0006】
ところで、交流高圧電源の出力電圧が同じでも、記録媒体の体積抵抗率が大きく(体積抵抗率が高いほど比誘電率が小さくなる相関があるので)記録媒体の厚みが大きいほど、記録媒体およびトナー像にかかる転写電界は弱くなる。
そこで、記録媒体が深い凹凸を持つ厚手の凹凸紙では交流高圧電源の出力電圧を高く設定することで、トナー像が除電されることによる転写率低下は僅かで、凹部への転写率を向上させることができて、画像濃度ムラの低減を向上させることができる。
一方、薄紙では凹凸があっても深さが浅いので、交流高圧電源が無くても紙の凹部への転写率低下は少ないかほとんどないので、該交流高圧電源の出力電圧を低く設定するかあるいは出力をオフすることで、トナー像が除電されることによる転写率低下を僅かにしてあるいは無くして、画像濃度ムラを向上させることができる。さらに、厚みや凹凸が両者の中間の記録媒体では、厚みや凹凸の深さに応じて両者の中間の値に該交流高圧電源の出力電圧を設定することで、画像濃度ムラを向上させることができる。
【0007】
また、像担持体と記録媒体を接触させて転写電界により像担持体上の所望の極性に帯電したトナー像を記録媒体に転写する転写装置では、転写電界により記録媒体が帯電するなどして記録媒体と像担持体との間に静電界が生じて、記録媒体が像担持体から分離しなくなり、ジャムが生じるという課題がある。
一般にこのような転写装置では、転写作用地点の直後で像担持体が大きな曲率を持って記録媒体の搬送経路から離れるようになっているので、転写作用により記録媒体が帯電しても、記録媒体が厚手の紙など記録媒体自身の剛性が強い場合は、記録媒体と像担持体の間の静電気力に記録媒体の剛性が勝るからと考えられるが、像担持体に密着したまま曲率に沿って曲がることはなく、搬送経路に沿って直進するので、ジャムも発生することがない。
しかし、記録媒体が薄紙など、記録媒体自身の剛性が弱い場合は、記録媒体と像担持体の間の静電気力が勝ると思われ、記録媒体が像担持体に密着したまま曲率に沿って曲がり易く、記録媒体の搬送経路から外れ、従って、ジャムも生じ易いという課題がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、記録媒体が薄紙の場合にも、ジャムや転写率低下を生じなくすることができる転写装置と、それを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明では以下のような解決手段を採っている。
本発明の第1の解決手段は、トナー像を担持する像担持体に対向して設置され、該像担持体と記録媒体を接触させて、直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成される転写電界により、前記像担持体上の所望の極性に帯電されたトナー像を前記記録媒体に転写する転写装置において、前記記録媒体の先端部分が前記転写電界内にある場合よりも、前記記録媒体の他の部分が前記転写電界内にある場合に、前記交流電圧電源の出力電圧を小さくすることを特徴とする(請求項1)。
また、本発明の第2の解決手段は、第1の解決手段の転写装置において、前記記録媒体の先端部分が前記転写電界内にある場合の前記交流高圧電源の出力電圧、あるいは、前記記録媒体の他の部分が前記転写電界内にある場合の前記交流電圧電源の出力電圧を、前記記録媒体の種類により変更可能なことを特徴とする(請求項2)。
【0010】
また、本発明の第3の解決手段は、第1又は第2の解決手段の転写装置において、前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源の出力電圧を大きくし、次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入った時に前記交流電圧電源の出力電圧を小さくする制御を行うことを特徴とする(請求項3)。
また、本発明の第4の解決手段は、第1又は第2の解決手段の転写装置において、前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該出力電圧が大きくなるように切り換え、前記交流電圧電源の出力電圧が小さくなる過程で次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入るように、該次の記録媒体の先端部分が前記転写電界に入る前に、前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該出力電圧が小さくなるように切り換える制御を行うことを特徴とする(請求項4)。
【0011】
本発明の第5の解決手段は、トナー像を担持する像担持体に対向して設置され、該像担持体と記録媒体を接触させて、直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成される転写電界により、前記像担持体上の所望の極性に帯電されたトナー像を前記記録媒体に転写する転写装置において、前記記録媒体の種類によっては、該記録媒体の先端部分が前記転写電界内にある場合にだけ前記交流電圧電源による交流電圧を出力し、前記記録媒体の他の部分が前記転写電界内ある場合には、前記交流電圧電源による交流電圧を出力しないことを特徴とする(請求項5)。
【0012】
また、本発明の第6の解決手段は、第5の解決手段の転写装置において、前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源による交流電圧を出力し、次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入った時に前記交流電圧電源による交流電圧を停止する制御を行うことを特徴とする(請求項6)。
また、本発明の第7の解決手段は、第5の解決手段の転写装置において、前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源による交流電圧を出力するように前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を切り換え、前記交流電圧電源による交流電圧が停止されるまでの間に該交流電圧が小さくなる過程で次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入るように、該次の記録媒体の先端部分が前記転写電界に入る前に、前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該交流電圧電源による交流電圧を停止するように切り換える制御を行うことを特徴とする(請求項7)。
また、本発明の第8の解決手段は、本発明の第3又は第4又は第6又は第7記載の転写装置において、前記制御が、前記記録媒体と前記次の記録媒体との間において前記像担持体にトナー像が形成されることを条件として行われることを特徴とする(請求項8)。
【0013】
本発明の第9の解決手段は、第1ないし第8のいずれか一つの解決手段の転写装置において、前記記録媒体を前記像担持体に接触させて該像担持体上のトナー像を前記記録媒体に転写する位置の近傍で記録媒体搬送方向下流に位置する分離部材を備え、該分離部材に電圧を印加する交流高圧電源を持たないことを特徴とする(請求項9)。
【0014】
本発明の第10の解決手段は、像担持体上にトナー像を形成する手段と、該像担持体上のトナー像を記録媒体に転写する転写手段を備えた画像形成装置において、前記転写手段として、請求項1ないし請求項9のいずれか一つに記載の転写装置を備えたことを特徴とする(請求項10)。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1〜第8の解決手段の転写装置及びそれを備えた画像形成装置では、記録媒体が薄紙の場合は、交流高圧電源の出力電圧を、記録媒体の先端部分はジャムが生じないよう十分大きくし、記録媒体の先端以外では転写率低下が生じないように弱く(または出力しないように)することにより、ジャムも転写率低下も生じなくすることができる。
また、上述のように、転写装置の交流高圧電源の出力電圧を記録媒体の先端に記録媒体がジャムしないだけの十分な大きさにすることにより、第9の解決手段のように分離部材に電圧を印加する交流高圧電源を無くすことができ、これにより転写装置と分離部材の間の電界に干渉が生じることがなく、周期的に変動する電界が大きくなる瞬間もなくなるので、リークは生じなくなる。従って、ジャムも転写率低下も生じなくすることができ、リークの問題も解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す転写装置と分離部材の概略図である。
【図3】本発明の別の実施例を示す転写装置と分離部材の概略図である。
【図4】本発明の別の実施例を示す転写装置と分離部材の概略図である。
【図5】本発明の別の実施例を示す転写装置と分離部材の概略図である。
【図6】本発明のさらに別の実施例を示す図であり、感光体から記録媒体にトナー像を直接転写する構成の場合の転写装置と分離部材の概略図である。
【図7】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの一例を示す図である。
【図8】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例を示す図である。
【図9】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例を示す図である。
【図10】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例を示す図である。
【図11】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例であって、紙間パターンの除電を考慮した例を示す図である。
【図12】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例であって、紙間パターンの除電を考慮した例を示す図である。
【図13】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例であって、紙間パターンの除電を考慮した例を示す図である。
【図14】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例であって、紙間パターンの除電を考慮した例を示す図である。
【図15】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例であって、紙間パターンの有無に応じた除電を考慮した例を示す図である。
【図16】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
まず、図1に基づいて本発明に係る画像形成装置の一例としてのタンデム型カラー複写機の構成及び動作概要を説明する。
図1において、カラー複写機1は、装置本体中央部に位置する画像形成部1Aと、該画像形成部1Aの下方に位置する給紙部1Bと、画像形成部1Aの上方に位置する原稿搬送部1Cと、スキャナ部1Dとを有している。
尚、図1に示すカラー複写機1は通信機能を有しており、LAN(ローカルエリアネットワーク)や通信回線(電話回線、光回線)と接続することにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ等として利用することができる複合機としての機能を持っている。
【0018】
図1において、原稿搬送部1Cの原稿台1C1に原稿を載置し、図示しない操作パネル上のスタートキーを押すと、原稿搬送部1Cにより原稿がコンタクトガラス1D1上に搬送され、スキャナ部1Dで原稿画像が読み取られ、図示しない画像処理部で画像情報に変換されて画像形成部1Aに送られる。
【0019】
画像形成部1Aには、水平方向に延びる転写面を有する第二の像担持体としての無端ベルト状の中間転写体(中間転写ベルト)2が配置されており、該中間転写ベルト2の上面には、色分解色と補色関係にある色の画像を形成するための構成が設けられている。すなわち、補色関係にある色のトナー(例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B))による像を担持可能な第一の像担持体としての感光体3Y、3M、3C、3Bが中間転写ベルト2の転写面に沿って並置されている。
【0020】
各感光体3Y、3M、3C、3Bは、それぞれ同じ方向(反時計回り方向)に回転可能なドラムで構成されており、イエロー(Y)の感光体3Yを例に挙げると、その周りには、回転過程において画像形成処理を実行する帯電装置4Y、光書き込み手段としての書き込み装置5からの光ビーム5Yの露光部、現像装置6Y、一次転写装置7Y、及びクリーニング装置8Yが配置されており、各色の画像形成ステーションを構成している。なお、図1では符号を省略しているが、例えば図2に示すように、他の感光体3M、3C、3Bの周りの構成も同様である(各符号に付記しているアルファベットは、感光体3と同様、トナーの色別に対応している)。
【0021】
また、各色の画像形成ステーションには、感光体3と、帯電装置4、現像装置6、クリーニング装置8のうちの少なくとも一つをカートリッジ内に一体に収納したプロセスカートリッジを用いても良く、プロセスカートリッジは画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられているので、交換やメンテナンスが容易になる。
【0022】
各現像装置6には、それぞれの色のカラートナーが収容されている。中間転写ベルト2は、駆動ローラ2Bと、従動ローラ2A及び二次転写対向ローラ2Cに掛け回されて感光体3Y、3M、3C、3Bとの対峙位置において同方向に移動可能な構成を有している。従動ローラ2Aと対向する位置には、中間転写ベルト2の表面をクリーニングするクリーニング装置10が設けられている。また、中間転写ベルト2の張り具合を調節するために、テンションローラ14が設けられている。
【0023】
ここで、イエロー(Y)の画像形成ステーションを例に挙げて説明すると、感光体3Yの表面が帯電装置4Yにより一様に帯電され、スキャナ部1Dからの画像情報に基づいて感光体3Y上に静電潜像が形成される。該静電潜像はイエローのトナーを収容した現像装置6Yによりトナー像として可視像化され、該トナー像は所定のバイアスが印加される一次転写装置7Yにより中間転写ベルト2上に一次転写される。他の色の画像形成ステーションの感光体3M、3C、3Bでもトナーの色が異なるだけで同様の画像形成がなされ、それぞれの色のトナー像が中間転写ベルト2上に順に転写されて重ね合わせられる。転写後、各感光体3Y、3M、3C、3B上に残留したトナーは、クリーニング装置8Y、8M、8C、8Bにより除去され、また、転写後図示しない除電ランプにより感光体3Y、3M、3C、3Bの電位が初期化され、次の作像工程に備えられる。
【0024】
給紙部1Bは、記録紙等の記録媒体Pを積載収容する多段の給紙トレイ1B1と、該給紙トレイ1B1内の記録媒体Pを最上のものから順に1枚ずつ分離して給紙する給紙コロと、給紙された記録媒体Pを搬送する搬送ローラ対1B2と、記録媒体Pが一旦停止され、斜めずれを修正された後、中間転写ベルト21上の画像の先端と搬送方向の所定位置とが一致するタイミングでニップに向けて送り出されるレジストローラ対1B3を有している。また、画像形成部1Aの側面には、手差し給紙用トレイ1A1と給紙コロ1A2が設けられており、手差し給紙時には、手差し給紙用トレイ1A1に載置された記録媒体(各種用紙、OHPシート等)が給紙コロ1A2でレジストローラ対1B3に向けて給紙される。また、画像形成部1Aの下部には、両面プリント時に、片面に画像が形成された用紙Pを反転してレジストローラ対1B3に向けて再給紙する両面用搬送部RPが設置されている。
【0025】
感光体3Y、3M、3C、3Bから中間転写ベルト2上に一次転写されたトナー像(以下、単にトナーともいう)は、中間転写ベルト2に担持されて二次転写対向ローラ2Cと対向する位置に配置された二次転写手段(例えば二次転写ローラ)20の位置に搬送され、これにタイミングを合わせて上記のレジストローラ対1B3により記録媒体Pが中間転写ベルト2と二次転写ローラ20のニップ部に送り込まれる。
そして、図示しない二次転写バイアス印加手段により、二次転写対向ローラ2Cと二次転写ローラ20の間に転写バイアス(直流(DC)バイアスや、これに交流(AC)バイアスを重畳したものを含む)が印加され、中間転写ベルト2を介して二次転写ローラ20との間で発生する電界の作用によりトナー像が記録媒体Pの上に二次転写される。その後、表面にトナー像を二次転写された記録媒体Pは、分離部材(分離除電針、分離爪等)30により中間転写ベルト2から分離され、搬送ベルト9A等により定着装置11に搬送され、定着装置11にて熱と圧力の作用によって表面にトナー像を強固に定着され、排出ローラ12を経て排出トレイ13に排出される。
【0026】
以上、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について説明したが、このような構成の画像形成装置において、像担持体である中間転写ベルト2と記録媒体Pを接触させて転写電界により中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電したトナー像を記録媒体Pに転写する転写装置では、転写電界により記録媒体Pが帯電するなどして記録媒体Pと中間転写ベルト2との間に静電界が生じて、記録媒体Pが中間転写ベルト2から分離しなくなり、ジャムが生じるという課題がある。
一般にこのような転写装置では、中間転写ベルト2は二次転写ローラ20との対向位置で二次転写対向ローラ2Cに支持されているので、転写作用地点の直後で、中間転写ベルト2が大きな曲率を持って記録媒体Pの搬送経路から離れるようになっているので、転写作用により記録媒体Pが帯電しても、記録媒体Pが厚手の紙など記録媒体自身の剛性が強い場合は、記録媒体Pと中間転写ベルト2の間の静電気力に記録媒体Pの剛性が勝るからと考えられるが、中間転写ベルト2に密着したまま曲率に沿って曲がることはなく、搬送経路に沿って直進するので、ジャムも発生することがない。
しかし、記録媒体Pが薄紙など、記録媒体自身の剛性が弱い場合は、記録媒体Pと中間転写ベルト2の間の静電気力が勝ると思われ、記録媒体Pが中間転写ベルト2に密着したまま曲率に沿って曲がり易く、記録媒体Pの搬送経路から外れ、従って、ジャムも生じ易いという課題がある。
【0027】
本発明の転写装置のように、転写電界が直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成される装置では、該交流高圧電源の発する交流電圧により生じる交流電界の持つ除電能力により記録媒体Pが除電されるので、記録媒体と中間転写ベルト2との間の静電気力が十分に小さくなれば、記録媒体自身の剛性が弱くても、記録媒体Pと中間転写ベルトの間の静電気力がさらに弱くなるからと考えられるが、中間転写ベルト2に密着したまま曲率に沿って曲がることはなく、搬送経路に沿って直進するので、ジャムも発生することがない。
しかし、交流高圧電源の出力電圧を薄紙がジャムしないだけの十分な除電を行うだけの大きさにすると、転写すべき中間転写ベルト上の所望の極性に帯電したトナー像まで除電して転写率が低下し易くなる。
【0028】
ところで、記録媒体Pの先端さえ十分に除電してあれば、中間転写ベルト2に密着したまま曲率に沿って曲がらなくなり、搬送経路に沿って分離部材30に近付けば、分離部材30が例え接地しただけの板金であっても、記録媒体Pを分離部材30に引き付けるので、先端以外の記録媒体Pの除電力が十分でなくても、記録媒体Pはジャムすることなく、搬送経路に沿って進行する。
【0029】
そこで本発明では、記録媒体が薄紙の場合には、転写バイアス印加手段を構成する交流高圧電源の出力電圧を、記録媒体Pの先端部分はジャムが生じないよう十分大きくし、記録媒体Pの先端以外では転写率低下が生じないように弱くすることにより、ジャムも転写率低下も生じなくできるようにするものである。
【0030】
より具体的な手段としては、本発明では、トナー像を担持する中間転写ベルト2に対向して設置され、該中間転写ベルト2と記録媒体Pを接触させて、直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成される転写電界により、中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写装置において、記録媒体Pの先端部分が転写電界内にある場合よりも、記録媒体Pの他の部分が転写電界内にある場合に、交流電圧電源の出力電圧を小さくするものである。
また、本発明では、記録媒体Pの先端部分が転写電界内にある場合の交流高圧電源の出力電圧、あるいは、記録媒体Pの他の部分が転写電界内にある場合の交流電圧電源の出力電圧を、記録媒体Pの種類により変更可能なようにしたものである。
【0031】
また、本発明では、記録媒体Pの後端部分が転写電界を抜けた時に交流電圧電源の出力電圧を大きくし、次の記録媒体Pの先端部分が転写電界に入った時に交流電圧電源の出力電圧を小さくする制御を行うものである。
また、本発明では、記録媒体Pの後端部分が転写電界を抜けた時に交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該出力電圧が大きくなるように切り換え、交流電圧電源の出力電圧が小さくなる過程で次の記録媒体Pの先端部分が転写電界に入るように、該次の記録媒体Pの先端部分が転写電界に入る前に、交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該出力電圧が小さくなるように切り換える制御を行うものである。
【0032】
また、他の手段として、本発明では、トナー像を担持する中間転写ベルト2に対向して設置され、該中間転写ベルト2と記録媒体Pを接触させて、直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成される転写電界により、中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写装置において、記録媒体Pの種類によっては、該記録媒体Pの先端部分が転写電界内にある場合にだけ交流電圧電源による交流電圧を出力し、記録媒体Pの他の部分が転写電界内ある場合には、交流電圧電源による交流電圧を出力しないようにしたものである。
【0033】
また、本発明では、記録媒体Pの後端部分が転写電界を抜けた時に交流電圧電源による交流電圧を出力し、次の記録媒体Pの先端部分が転写電界に入った時に交流電圧電源による交流電圧を停止する制御を行うものである。
また、本発明では、記録媒体Pの後端部分が転写電界を抜けた時に交流電圧電源による交流電圧を出力するように交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を切り換え、交流電圧電源による交流電圧が停止されるまでの間に該交流電圧が小さくなる過程で次の記録媒体Pの先端部分が転写電界に入るように、次の記録媒体Pの先端部分が転写電界に入る前に、交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該交流電圧電源による交流電圧を停止するように切り換える制御を行うものである。
また、本発明では、上記の制御が、記録媒体Pと次の記録媒体Pとの間において中間転写ベルト2にトナー像が形成されることを条件として行われるようにしたものである。
【0034】
上記の手段により、本発明では、記録媒体Pが薄紙の場合は、上記交流高圧電源の出力電圧を、記録媒体Pの先端部分はジャムが生じないよう十分大きくし、記録媒体Pの先端以外では転写率低下が生じないように弱くする(または出力しないようにする)ことにより、ジャムも転写率低下も生じなくすることができる。
【0035】
ところで、転写装置と分離部材の双方が夫々に交流高圧電源を持つと、転写装置と分離部材の間の電界に干渉が生じて、周期的に変動する電界が大きくなる瞬間があり、この瞬間にリークが生じ易い。
そこで本発明では、記録媒体Pを中間転写ベルト2に接触させて該中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体Pに転写する位置の近傍で記録媒体搬送方向下流に位置する分離部材30を備えた場合には、該分離部材30に電圧を印加する交流高圧電源を持たないようにした。
【0036】
上述のように、転写装置の交流高圧電源の出力電圧を記録媒体Pの先端に記録媒体Pがジャムしないだけの十分な大きさにすることにより、分離部材30に電圧を印加する交流高圧電源を無くすことにより、転写装置と分離部材の間の電界に干渉が生じることがなく、周期的に変動する電界が大きくなる瞬間もなくなるので、リークは生じなくなる。従って上記の構成とすることにより、ジャムも転写率低下も生じなくすることができ、リークの問題も解消することができる。
【0037】
尚、以上の説明では、像担持体として図1に示した画像形成装置の中間転写ベルトを例に挙げて説明したが、本発明は、像担持体が感光体の場合にも同様の構成を採用することにより、同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0038】
次に、本発明の具体的な実施例を説明する。
転写装置と分離部材の本願の実施例の概略を図2から図5に示す。
図2は本発明の一実施例を示す転写装置と分離部材の概略図であり、転写バイアス印加手段である直流高圧電源と交流高圧電源の印加場所が異なる場合の一例である。
図2では、二次転写対向ローラ2Cに直流高圧電源21を接続し、二次転写ローラ20に交流高圧電源22を接続している。そして、中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像と同極性の直流高圧電源21により二次転写対向ローラ2Cに直流電圧を印加することで、トナー像を中間転写ベルト2から記録媒体Pに押し出す電界を形成し、交流高圧電源22は二次転写ローラ20に交流電圧を印加することで、中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像を揺さぶる電界を形成するようにして転写しやすくするものである。
【0039】
図3は本発明の別の実施例を示す転写装置と分離部材の概略図であり、転写バイアス印加手段である直流高圧電源と交流高圧電源の印加場所が異なる場合の別の例である。
図3では、二次転写ローラ20に直流高圧電源21を接続し、二次転写対向ローラ2Cに交流高圧電源22を接続している。そして、中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像と逆極性の直流高圧電源21により二次転写ローラ20に直流電圧を印加することで、トナー像を中間転写ベルト2から記録媒体Pに引き付ける電界を形成し、交流高圧電源22は二次転写対向ローラ2Cに交流電圧を印加することで、中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像を揺さぶる電界を形成するようにして転写しやすくするものである。
【0040】
図4は本発明の別の実施例を示す転写装置と分離部材の概略図であり、転写バイアス印加手段である直流高圧電源と交流高圧電源の印加場所が同じ場合の一例である。
図4では、二次転写対向ローラ2Cに直流高圧電源21と交流高圧電源22を直列に接続し、二次転写ローラ20はアースに接地している。そして、電圧の極性が中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像と同極性の直流高圧電源21と、直流成分を持たない交流高圧電源22を直列に配することで、交流と直流が重畳されたバイアスを、二次転写対向ローラ2Cに印加することにより、該バイアスによる平均電界はトナー像を中間転写ベルト2から記録媒体Pに押し出す方向に作用し、電界の振幅により帯電されたトナー像を揺さぶるようにして転写しやすくするものである。
たものである。
【0041】
図5は本発明の別の実施例を示す転写装置と分離部材の概略図であり、転写バイアス印加手段である直流高圧電源と交流高圧電源の印加場所が同じ場合の別の例である。
図5では、二次転写ローラ20に直流高圧電源21と交流高圧電源22を直列に接続し、二次転写対向ローラ2Cはアースに接地している。そして、電圧の極性が中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像と逆極性の直流高圧電源21と、直流成分を持たない交流高圧電源22を直列に配することで、交流と直流が重畳されたバイアスを、二次転写ローラ20に印加することにより、該バイアスによる平均電界はトナー像を中間転写ベルトから記録媒体に引き付ける方向に作用し、電界の振幅により帯電されたトナー像を揺さぶるようにして転写しやすくするものである。
【0042】
なお、ここでは、「トナー像を中間転写ベルト2から記録媒体に押し出す」、「トナー像を中間転写ベルト2から記録媒体に引き付ける」と記載したが、これはバイアスの印加個所と極性に鑑みて使い分けたものであり、ともに、トナー像を中間転写ベルト2から記録媒体に転写する方向で、同じ方向である。
【0043】
何れの場合も、交流高圧電源22が発する交流電圧の直流成分は0Vで交流成分の制御は定電圧制御でも定電流制御でも良いが、交流が伝送される場合は伝送路とその周囲の筐体との間の距離と比静電容量に応じた空間回路が形成されて電流が筐体に漏れるので、交流高圧電源22を定電流制御しても所望の電流が伝わるとは限らないことから定電圧制御が一般的である。また、直流高圧電源21は定電圧制御であっても定電流制御であっても良いが、装置や記録媒体の抵抗変化があっても、同一電流ではほぼ同じ転写率が得られることから、定電流制御が一般的である。
【0044】
次に、図6に像担持体が感光体であり、感光体から記録媒体にトナー像を直接転写する構成の場合の実施例を示す。
感光体3側に転写バイアスを印加することも考えられるが、感光体周りの帯電装置や現像装置などのバイアスに干渉するので、一般的には感光体3の導電層は接地して、転写ローラ40に直流高圧電源21と交流高圧電源22を直列に接続している。そして、図5での二次転写ローラと同様に、電圧の極性が所望の極性に帯電されたトナー像と逆極性の直流高圧電源21と、直流成分を持たない交流高圧電源22を直列に配することで、交流と直流が重畳されたバイアスを印加する。バイアスによる平均電界はトナー像を感光体3から記録媒体に引き付ける方向に作用し、電界の振幅により帯電されたトナー像を揺さぶるようにして転写しやすくする。
【0045】
次に、上記の交流高圧電源22の出力の大きさとタイミングについて説明する。転写部の電源接続の構成としては、図2〜5のいずれでもよい。
尚、直流高圧電源21の直流電流(または直流電圧)は、交流成分があってもなくても同じであり、上記のように定電流制御(または定電圧制御)されているので説明を省略する。
【0046】
図7〜図10は記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源22の入力と出力の大きさとタイミングの例を示す図である。
図7、図8には、互いに異なる本願実施例の交流高圧電源22への入力と交流高圧電源22からの出力との大きさと記録媒体Pに対するタイミングが模式的に図示されている。交流高圧電源入力としているのは、画像形成装置の制御装置(図示省略)から発せられる交流高圧電源制御信号で、交流高圧電源の出力を制御するものであり、縦軸に交流高圧電源からの出力が期待される大きさを示している。あくまでも、模式的であり、相当するのはパルス幅変調(PWM)信号のデューティであるのが一般的である。この入力は1ms以下の瞬時に切替わるのに対して、これを受けて交流高圧電源22からの出力電圧が切替わるのに数10msの立上り時間あるいは立下り時間と呼ばれる時間がかかる。交流高圧電源出力の縦軸は立上り時間あるいは立下り時間での出力変化の概略も合わせて出力の変化を示している。
【0047】
図9、図10には、さらに異なる本願実施例の交流高圧電源へのオフ・オン信号と交流高圧電源からの出力との大きさと記録媒体に対するタイミングが模式的に図示されている。これら実施例では、交流高圧電源22の出力をオフ・オンしており、画像形成装置の制御装置(図示省略)から発せられる交流高圧電源信号はこのオフ・オンタイミングを示している。交流高圧電源出力の縦軸は立上り時間あるいは立下り時間での出力変化の概略も含めて出力電圧の変化を示している。
【0048】
図7は、記録媒体が薄紙の場合の実施例の一つを示しており、交流高圧電源出力は、薄紙の先端が転写個所に来る前に大きな交流電圧にしておく。薄紙の先端が転写位置を通過したら、交流高圧電源出力の交流電圧を下げて、下げた電圧で薄紙の後端が転写位置を抜けるまで一定にする。これと、同様のタイミングで、交流高圧電源出力の交流電圧を小さくする代わりに交流電圧をオフした実施例が図9である。また、薄紙先端には大きな交流電界が生じて、この大きな交流電界により、紙先端が除電されて、紙と中間転写ベルト2との間の静電気力が弱まる。そして、薄紙自身の剛性が弱くても、薄紙と中間転写ベルト2との間の静電気力がさらに弱くなるからと考えられるが、中間転写ベルト2に密着したまま曲率に沿って曲がることはなく、搬送経路に沿って直進するので、ジャムも発生することがなくなる。また、薄紙の先端以外には交流電界は弱いか、無いので、転写すべき中間転写ベルト上の帯電したトナー像の除電は僅かか全くないので、転写率が低下することがない。
【0049】
ただし、薄紙の先端で交流高圧電源22の電圧を下げるまたは交流高圧電源22を切るように入力側を切替えても、交流高圧電源22の立下り時間が長い場合や搬送速度が速い場合には、交流高圧電源22の電圧が下がる個所が紙の先端ではなく、画像のある場所になっている場合があり、画像の先端部分の転写率が低下することがある。この場合は、図8または図10に示すように、紙が転写個所に来る以前に交流高圧電源22の電圧を立上げ、紙が転写個所に来る寸前に交流高圧電源22の出力が低下するように入力を下げる、またはオフすることにより、交流高圧電源22の立下り途中に紙の先端が転写位置に来るようにすることで、交流高圧電源22により紙が除電される個所を画像のない紙の先端に留めることができる。
【0050】
以上のように、本実施例では、記録媒体Pが薄紙の場合は、交流高圧電源22の出力電圧を、記録媒体の先端部分はジャムが生じないよう十分大きくし、記録媒体の先端以外では転写率低下が生じないように弱くする(または出力しないようにする)ことにより、ジャムも転写率低下も生じなくすることができる。
また、転写装置の交流高圧電源22の出力電圧を記録媒体の先端に記録媒体がジャムしないだけの十分な大きさにすることにより、分離部材(分離除電針等)30に電圧を印加する交流高圧電源22は無くすことができ、これにより転写装置と分離部材30の間の電界に干渉が生じることがなく、周期的に変動する電界が大きくなる瞬間もなくなるので、リークは生じなくなる。従って本実施例の構成とすることにより、ジャムも転写率低下も生じなくすることができ、リークの問題も解消することができる。
【0051】
ところで、カラー複写機1は、紙間、すなわち、或る記録媒体Pの後端と、次の記録媒体Pの先端との間において、中間転写ベルト2上に、いわゆるプロセスコントロール等を目的として、トナー像を形成する場合がある。以下、このトナー像を紙間パターンという。
【0052】
このような場合に、たとえば、図16に示すような制御を行うとする。図16は、図7〜図10と同様に、記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源22の入力と出力の大きさとタイミングを示しており、さらに、これらに加えて、中間転写ベルト2による記録媒体P、紙間パターンの担持タイミングを示している。図16に示されているように、1枚目の薄紙の後端と、2枚目の薄紙の先端との間において、中間転写ベルト2上に紙間パターンを形成するものとする。その他の図示方法、条件等は、図7〜図10と同様である。なお、このことは、後述する図11〜図15においても同様である。
【0053】
紙間パターンを形成した場合には、これをクリーニング装置10でクリーニングする必要があるが、このクリーニングを良好に行うには、転写位置において、交流高圧電源22の出力電圧である交流高圧電源出力を大きくしておくことが望ましい。
【0054】
そこで、図16に示されている場合では、クリーニング装置100による紙間パターンのクリーニング性を考慮して、1枚目の薄紙の後端が転写位置を通過した後、紙間パターンが転写位置に来る前に、交流高圧電源出力を制御する信号を、この出力が大きくなるようにし、紙間パターンが転写位置を通過したら、かかる信号を、かかる出力が小さくなるようにし、2枚目の薄紙の先端が転写位置に来る前に、交流高圧電源出力を制御する信号を、この出力が大きくなるようにし、2枚目の薄紙の先端が転写位置を通過したら、かかる信号を、かかる出力が小さくなるようにする制御を行うようになっている。
【0055】
しかしながら、同図にも示されているように、通常、記録媒体が転写位置を通過するのに要する時間よりも、紙間が転写位置を通過するのに要する時間は短く、紙間パターンの後端が転写位置を通過してから次の記録媒体の先端が転写位置に入るまでの時間はさらに、極めて短い。
【0056】
よって、同図に示した制御では、同図に示されているように、紙間パターンの後端が転写位置を通過した直後に、交流高圧電源出力を小さくする信号を入力しても、かかる出力が目標値で安定する前の、小さくなりつつある移行期に、交流高圧電源出力を大きくする信号が入力され、この出力が大きくなる。そして、交流高圧電源出力を大きくする信号が入力されるタイミングが速まると、場合によっては、交流高圧電源出力を小さくする信号の入力前に、交流高圧電源出力を大きくする信号が生成されるというソフトバグが発生し得る。
【0057】
したがって、カラー複写機1において、かりに、図16に示されている制御を行うとすれば、かかるソフトバグの発生という問題が生じ得る。
そこで、カラー複写機1においては、かかる問題を防止するために、図11〜図14に示す制御を行うようになっている。
【0058】
図11は、図7に示した場合に対応しており、図12は、図8に示した場合に対応しており、図13は、図9に示した場合に対応しており、図14は、図10に示した場合に対応している。
【0059】
具体的には、図11に示した場合には、薄紙の後端が転写位置を抜けた時すなわち転写位置を抜けた直後に、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が大きくなるようにして、交流高圧電源出力を大きくする。また、薄紙の先端が転写電界に入った時すなわち転写位置に入った直後に、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が小さくなるようにして、交流高圧電源出力を小さくする。
【0060】
これにより、紙間パターンには、転写位置において、大きな交流高圧電源出力が重畳されたバイアスが印加されて除電が行われ、クリーニング装置10によって紙間パターンのクリーニングが良好に行われる。また、上述したようなソフトバグも発生せず、制御が単純化されるという利点が得られる。その他、図7に沿って説明したのと同様の作用、利点が得られる。
【0061】
図12に示した場合には、薄紙の後端が転写位置を抜けた時すなわち転写位置を抜けた直後に、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が大きくなるようにして、交流高圧電源出力を大きくする。また、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が小さくなるように入力するタイミングは、薄紙の先端が転写電界に入る前であって、交流高圧電源出力が小さくなる過程で、次の薄紙の先端が転写位置に入るタイミングとし、このようにして、交流高圧電源出力を小さくする。
【0062】
これにより、紙間パターンには、転写位置において、大きな交流高圧電源出力が重畳されたバイアスが印加されて除電が行われ、クリーニング装置10によって紙間パターンのクリーニングが良好に行われる。また、上述したようなソフトバグも発生せず、制御が単純化されるという利点が得られる。
【0063】
図12に示した制御は、図11に示した場合と比べ、トナー像に対して小さな交流高圧電源出力が適正である場合、たとえば、凹凸紙ほど記録媒体Pの凹凸は大きくないものの記録媒体Pの平滑度が低く、鋤目に応じた凹凸があり、トナー像に対して小さな交流高圧電源出力が適正である場合に適している。よって、紙間パターンの除電のための交流高圧電源出力よりも、中間転写ベルト2から記録媒体Pの分離性を確保するために記録媒体Pの先端部分に作用する交流高圧電源出力が小さくてよい場合、あるいは紙間パターンの除電のための交流高圧電源出力値をそのまま、中間転写ベルト2から記録媒体Pの分離性を確保するために記録媒体Pの先端部分に作用する交流高圧電源出力値に用いるとこの値が大きすぎて画像が乱れる場合に適している。また、小さな交流高圧電源出力では画像が乱れない場合にも適している。その他、図8に沿って説明したのと同様の作用、利点が得られる。
【0064】
図13に示した場合には、薄紙の後端が転写位置を抜けた時すなわち転写位置を抜けた直後に、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が出力されるようにして、交流高圧電源出力を出力、言い換えるとオンする。また、薄紙の先端が転写電界に入った時すなわち転写位置に入った直後に、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が停止されるようにして、交流高圧電源出力を切る、言い換えるとオフする。
【0065】
これにより、紙間パターンには、転写位置において、大きな交流高圧電源出力が重畳されたバイアスが印加されて除電が行われ、クリーニング装置10によって紙間パターンのクリーニングが良好に行われる。また、上述したようなソフトバグも発生せず、制御が単純化されるという利点が得られる。その他、図9に沿って説明したのと同様の作用、利点が得られる。
【0066】
ただし、図13に示した場合に比べ、図11、図12に示した場合のほうが、トナー像に対して小さな交流高圧電源出力では画像が乱れる場合に有利であるとともに、交流高圧電源を出力したときに目標値に達し安定するまでの時間が短いという利点がある。
【0067】
図14に示した場合には、薄紙の後端が転写位置を抜けた時すなわち転写位置を抜けた直後に、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が出力されるようにして、交流高圧電源出力を出力、言い換えるとオンする。また、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が停止されるように入力するタイミングは、薄紙の先端が転写電界に入る前であって、交流高圧電源出力が小さくなる過程で、次の薄紙の先端が転写位置に入るタイミングとし、このようにして、交流高圧電源出力を切る、言い換えるとオフする。
【0068】
これにより、紙間パターンには、転写位置において、大きな交流高圧電源出力が重畳されたバイアスが印加されて除電が行われ、クリーニング装置10によって紙間パターンのクリーニングが良好に行われる。また、上述したようなソフトバグも発生せず、制御が単純化されるという利点が得られる。
【0069】
図14に示した制御は、図13に示した場合と比べ、トナー像に対して小さな交流高圧電源出力が適正である場合、たとえば、凹凸紙ほど記録媒体Pの凹凸は大きくないものの記録媒体Pの平滑度が低く、鋤目に応じた凹凸があり、トナー像に対して小さな交流高圧電源出力が適正である場合に適している。よって、紙間パターンの除電のための交流高圧電源出力よりも、中間転写ベルト2から記録媒体Pの分離性を確保するために記録媒体Pの先端部分に作用する交流高圧電源出力が小さくてよい場合、あるいは紙間パターンの除電のための交流高圧電源出力値をそのまま、中間転写ベルト2から記録媒体Pの分離性を確保するために記録媒体Pの先端部分に作用する交流高圧電源出力値に用いるとこの値が大きすぎて画像が乱れる場合に適している。また、小さな交流高圧電源出力では画像が乱れない場合にも適している。その他、図10に沿って説明したのと同様の作用、利点が得られる。
【0070】
ただし、図14に示した場合に比べ、図11、図12に示した場合のほうが、トナー像に対して小さな交流高圧電源出力では画像が乱れる場合に有利であるとともに、交流高圧電源を出力したときに目標値に達し安定するまでの時間が短いという利点がある。
【0071】
以上、図11ないし図14に示した制御では、紙間パターンが形成されるか否かにかかわらず、薄紙の後端が転写位置を抜けた直後に、交流高圧電源を制御する信号を、交流高圧電源出力が大きくあるいは出力されるようにし、次の薄紙の先端が転写位置に入るまで、交流高圧電源出力が継続されるようになっている。すなわち、図11ないし図14に示した例では、1枚目の薄紙と2枚目の薄紙との紙間に紙間パターンが形成され、2枚目の薄紙と3枚目の薄紙との紙間には紙間パターンが非形成であるが、何れの紙間においても、かかる制御が行われている。
【0072】
しかし、このような制御では、紙間パターンが形成されていないときにも交流高圧電源出力により電力が消費される。
そこで、かかる制御は、図15に示すように、記録媒体Pと次の記録媒体Pとの間すなわち紙間において中間転写ベルト2にトナー像すなわち紙間パターンが形成されることを条件として行われるようにしても良い。
【0073】
同図に示した例は、かかる条件を、図13に示した制御に適用し、紙間パターンが非形成であるときの次の記録媒体Pの先端が転写位置に入る前に交流高圧電源を制御する信号を、交流高圧電源出力が出力されるようにした場合を示しているが、かかる条件は、図11、図12、図14に示した制御に適用しても良い。かかる条件を適用することで、制御の場合分けをしている分だけ制御は複雑になるが、消費電力が低減されるほか、二次転写ローラ20、斥力ローラである二次転写対向ローラ2C、中間転写ベルト2の抵抗変化が小さくなり、これらが交換されるまでの寿命が長くなるという利点が得られる。
【0074】
なお、図11ないし図15に示した制御を行う場合は、中間転写ベルト2に担持された紙間パターンを構成する除電されたトナーが二次転写ローラ20に付着することを防止ないし抑制するため、二次転写ローラ20を中間転写ベルト2から離間させることが望ましい。この離間は、離間に伴うバイアスの印加性の低下を防止ないし抑制するために、紙間パターンが転写位置を通過するときを含む一方で、記録媒体Pの先端が転写位置を通過するときには行われないようにすることが望ましい。
【0075】
また、二次転写ローラ20の離間に伴う、交流高圧電源22によるバイアスの低下を防止ないし抑制するためには、図2ないし図6に示した構成のうち、交流高圧電源22が二次転写対向ローラ2Cに接続された、図3、図4に示した構成が好ましい。
また、二次転写ローラ20の離間時に、中間転写ベルト2に担持された紙間パターンを構成する除電されたトナーが二次転写ローラ20に転写され付着することを防止ないし抑制するためには、直流高圧電源21が二次転写ローラ20に接続された、図3、図5に示した構成が好ましい。
これらを総合すると、図3に示した構成がとくに好ましい。
【0076】
以上述べたバイアスの制御、2次転写ローラ20を中間転写ベルト2に接離させる駆動制御、その他、カラー複写機1において行われる動作等に関する各種制御は、CPU、メモリ等を備えた図示しない制御手段によって行われる。
【0077】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0078】
たとえば、本発明を適用する画像形成装置は、タンデム型であっても、上述した間接転写方式でなく、直接転写方式を採用可能である。また、画像形成装置は、いわゆるタンデム方式の画像形成装置ではなく、1つの感光体ドラム(像担持体)上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも同様に適用することが可能であるし、他にも、中間転写体(像担持体)を複数用いる方式、中間色トナーを用いる方式等の画像形成装置にも同様に適用することが可能である
【0079】
その他、画像形成装置は、近年では、市場からの要求にともない、カラー複写機やカラープリンタなど、カラーのものが多くなってきているが、画像形成装置は、モノカラー画像のみを形成可能なものであっても良い。
【0080】
このような画像形成装置に用いる画像形成物質としての現像剤は、二成分現像剤に限らず、一成分現像剤であっても良いし、画像形成物質は転写を必要とする他のものであっても良い。
【0081】
画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機でなく、これらの単体であっても良いし、その他、複写機とプリンタとの複合機等の他の組み合わせの複合機であっても良い。
【0082】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0083】
1:カラー複写機(画像形成装置)
1A:画像形成部
1B:給紙部
1B1:給紙トレイ
1B2:搬送ローラ対
1B3:レジストローラ対
1C:原稿搬送部
1D:スキャナ部
2:中間転写ベルト(像担持体)
2A:従動ローラ
2B:駆動ローラ
2C:斥力ローラ
2D:従動ローラ
3Y,3M,3C,3B:感光体(像担持体)
4Y,4M,4C,4B:帯電装置
5:書き込み装置
6Y,6M,6C,6B:現像装置
7Y,7M,7C,7B:一次転写装置
8Y,8M,8C,8B:感光体のクリーニング装置
9A:搬送ベルト
9B:従動ローラ
9C:搬送駆動ローラ
10:中間転写ベルトのクリーニング装置
11:定着装置
12:排出ローラ
13:排出トレイ
14:テンションローラ
15:レジストローラ対
20:二次転写ローラ(二次転写装置)
21:直流高圧電源
22:交流高圧電源
30:分離除電針(分離部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特開2006−267486号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に担持されるトナー像を記録媒体に転写する転写装置に関するものであり、さらにはその転写装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの機能を有する複合機等の電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、像担持体に担持されるトナー像を記録媒体に転写する転写装置が知られており、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの機能を有する複合機等の電子写真方式の画像形成装置に用いられている。
転写装置には直接転写方式のものと中間転写方式のものがあり、直接転写方式の転写装置を備えた画像形成装置では、帯電、露光、現像の周知の電子写真プロセスにより、像担持体であるドラム状やベルト状の感光体の表面にトナー像を形成した後、転写ローラ等の転写手段を用いた転写装置により感光体から記録紙等の記録媒体にトナー像を直接転写して画像を形成している。
また、中間転写方式の転写装置を備えた画像形成装置では、上記の電子写真プロセスにより感光体上にトナー像を形成した後、第二の像担持体である中間転写転写体(例えば中間転写ベルト)にトナー像を1次転写した後、中間転写ベルトに担持されたトナー像を、転写ローラ等の転写手段を用いた転写装置により記録紙等の記録媒体に2次転写して画像を形成している。
【0003】
ここで中間転写方式の転写装置を備えた画像形成装置についてより詳しく述べる。この画像形成装置では、まず帯電、露光、現像の周知の電子写真プロセスにより、ドラム状等の感光体の表面にトナー像を形成する。感光体には、像担持体としての無端状の中間転写ベルトを当接させて1次転写ニップを形成している。そして1次転写ニップにおいて、感光体上のトナー像を中間転写ベルトに1次転写する。中間転写ベルトに対しては、ニップ形成部材としての2次転写ローラを当接させて2次転写ニップを形成している。また、中間転写ベルトのループ内には、2次転写対向ローラを配設しており、この2次転写対向ローラと、前述した2次転写ローラとの間に中間転写ベルトを挟み込んでいる。ループ内側の2次転写対向ローラに対してはアースを接続しているのに対し、ループ外の2次転写ローラに対しては2次転写バイアスを印加している。これにより、2次転写対向ローラと2次転写ローラとの間に、トナー像を前者側から後者側に静電移動させる2次転写電界を形成している。そして、中間転写ベルト上のトナー像に同期させるタイミングで2次転写ニップ内に送り込んだ記録紙に対して、2次転写電界の作用により、中間転写ベルト上のトナー像を2次転写する。
【0004】
上記のような構成の中間転写方式の転写装置を用いた画像形成装置において、記録紙として、和紙のような表面凹凸に富んだものを用いると、表面凹凸にならった濃淡パターンを画像中に発生させ易くなる。この濃淡パターンは、紙表面における凹部に対して十分量のトナーが転写されずに、凹部の画像濃度が凸部よりも薄くなることによって生じるものである。そこで、例えば特許文献1(特開2006−267486号公報)に記載の画像形成装置においては、2次転写バイアスとして、直流電圧だけからなるものではなく、交流電圧に対して直流電圧を重畳した重畳バイアスを印加するようになっている。特許文献1には、このような2次転写バイアスを印加することで、直流電圧だけからなる2次転写バイアスを印加する場合に比べて、濃淡パターンの発生を抑え得ることを示す実験結果が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
像担持体(感光体または中間転写体)と記録媒体を接触させて転写電界により像担持体上の所望の極性に帯電したトナー像を記録媒体に転写する転写装置では、一般に、記録媒体の表面に凹凸があると、記録媒体の凸部が像担持体に接触し凹部が像担持体と接触せず、凹凸の深さ分のギャップが生じるからと考えられるが、凹凸の深さが深いほどに像担持体の凹部へのトナー像の転写率が低下して、画像濃度ムラが大きくなる。
そこで、このような転写装置に、特許文献1に見られるような転写電界を直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成されるようにすることで、記録媒体上の所望の極性に帯電したトナー像が、該交流電界により揺さぶられ記録媒体に向かって飛翔し易くなるためと思われるが、記録媒体の表面に凹凸があっても凹部への転写率が向上するので、画像濃度ムラが低減する。そして、該交流高圧電源による交流電界が強いほどに、より深い凹部に転写できるようになる。
しかし、交流電界が強くなるほど、トナー像や記録媒体に対する除電力が大きくなるので、該交流電界が過剰になると、像担持体上の所望の極性に帯電されたトナー像が除電されて転写率が低下するという問題が生じる。
【0006】
ところで、交流高圧電源の出力電圧が同じでも、記録媒体の体積抵抗率が大きく(体積抵抗率が高いほど比誘電率が小さくなる相関があるので)記録媒体の厚みが大きいほど、記録媒体およびトナー像にかかる転写電界は弱くなる。
そこで、記録媒体が深い凹凸を持つ厚手の凹凸紙では交流高圧電源の出力電圧を高く設定することで、トナー像が除電されることによる転写率低下は僅かで、凹部への転写率を向上させることができて、画像濃度ムラの低減を向上させることができる。
一方、薄紙では凹凸があっても深さが浅いので、交流高圧電源が無くても紙の凹部への転写率低下は少ないかほとんどないので、該交流高圧電源の出力電圧を低く設定するかあるいは出力をオフすることで、トナー像が除電されることによる転写率低下を僅かにしてあるいは無くして、画像濃度ムラを向上させることができる。さらに、厚みや凹凸が両者の中間の記録媒体では、厚みや凹凸の深さに応じて両者の中間の値に該交流高圧電源の出力電圧を設定することで、画像濃度ムラを向上させることができる。
【0007】
また、像担持体と記録媒体を接触させて転写電界により像担持体上の所望の極性に帯電したトナー像を記録媒体に転写する転写装置では、転写電界により記録媒体が帯電するなどして記録媒体と像担持体との間に静電界が生じて、記録媒体が像担持体から分離しなくなり、ジャムが生じるという課題がある。
一般にこのような転写装置では、転写作用地点の直後で像担持体が大きな曲率を持って記録媒体の搬送経路から離れるようになっているので、転写作用により記録媒体が帯電しても、記録媒体が厚手の紙など記録媒体自身の剛性が強い場合は、記録媒体と像担持体の間の静電気力に記録媒体の剛性が勝るからと考えられるが、像担持体に密着したまま曲率に沿って曲がることはなく、搬送経路に沿って直進するので、ジャムも発生することがない。
しかし、記録媒体が薄紙など、記録媒体自身の剛性が弱い場合は、記録媒体と像担持体の間の静電気力が勝ると思われ、記録媒体が像担持体に密着したまま曲率に沿って曲がり易く、記録媒体の搬送経路から外れ、従って、ジャムも生じ易いという課題がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、記録媒体が薄紙の場合にも、ジャムや転写率低下を生じなくすることができる転写装置と、それを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明では以下のような解決手段を採っている。
本発明の第1の解決手段は、トナー像を担持する像担持体に対向して設置され、該像担持体と記録媒体を接触させて、直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成される転写電界により、前記像担持体上の所望の極性に帯電されたトナー像を前記記録媒体に転写する転写装置において、前記記録媒体の先端部分が前記転写電界内にある場合よりも、前記記録媒体の他の部分が前記転写電界内にある場合に、前記交流電圧電源の出力電圧を小さくすることを特徴とする(請求項1)。
また、本発明の第2の解決手段は、第1の解決手段の転写装置において、前記記録媒体の先端部分が前記転写電界内にある場合の前記交流高圧電源の出力電圧、あるいは、前記記録媒体の他の部分が前記転写電界内にある場合の前記交流電圧電源の出力電圧を、前記記録媒体の種類により変更可能なことを特徴とする(請求項2)。
【0010】
また、本発明の第3の解決手段は、第1又は第2の解決手段の転写装置において、前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源の出力電圧を大きくし、次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入った時に前記交流電圧電源の出力電圧を小さくする制御を行うことを特徴とする(請求項3)。
また、本発明の第4の解決手段は、第1又は第2の解決手段の転写装置において、前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該出力電圧が大きくなるように切り換え、前記交流電圧電源の出力電圧が小さくなる過程で次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入るように、該次の記録媒体の先端部分が前記転写電界に入る前に、前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該出力電圧が小さくなるように切り換える制御を行うことを特徴とする(請求項4)。
【0011】
本発明の第5の解決手段は、トナー像を担持する像担持体に対向して設置され、該像担持体と記録媒体を接触させて、直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成される転写電界により、前記像担持体上の所望の極性に帯電されたトナー像を前記記録媒体に転写する転写装置において、前記記録媒体の種類によっては、該記録媒体の先端部分が前記転写電界内にある場合にだけ前記交流電圧電源による交流電圧を出力し、前記記録媒体の他の部分が前記転写電界内ある場合には、前記交流電圧電源による交流電圧を出力しないことを特徴とする(請求項5)。
【0012】
また、本発明の第6の解決手段は、第5の解決手段の転写装置において、前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源による交流電圧を出力し、次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入った時に前記交流電圧電源による交流電圧を停止する制御を行うことを特徴とする(請求項6)。
また、本発明の第7の解決手段は、第5の解決手段の転写装置において、前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源による交流電圧を出力するように前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を切り換え、前記交流電圧電源による交流電圧が停止されるまでの間に該交流電圧が小さくなる過程で次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入るように、該次の記録媒体の先端部分が前記転写電界に入る前に、前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該交流電圧電源による交流電圧を停止するように切り換える制御を行うことを特徴とする(請求項7)。
また、本発明の第8の解決手段は、本発明の第3又は第4又は第6又は第7記載の転写装置において、前記制御が、前記記録媒体と前記次の記録媒体との間において前記像担持体にトナー像が形成されることを条件として行われることを特徴とする(請求項8)。
【0013】
本発明の第9の解決手段は、第1ないし第8のいずれか一つの解決手段の転写装置において、前記記録媒体を前記像担持体に接触させて該像担持体上のトナー像を前記記録媒体に転写する位置の近傍で記録媒体搬送方向下流に位置する分離部材を備え、該分離部材に電圧を印加する交流高圧電源を持たないことを特徴とする(請求項9)。
【0014】
本発明の第10の解決手段は、像担持体上にトナー像を形成する手段と、該像担持体上のトナー像を記録媒体に転写する転写手段を備えた画像形成装置において、前記転写手段として、請求項1ないし請求項9のいずれか一つに記載の転写装置を備えたことを特徴とする(請求項10)。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1〜第8の解決手段の転写装置及びそれを備えた画像形成装置では、記録媒体が薄紙の場合は、交流高圧電源の出力電圧を、記録媒体の先端部分はジャムが生じないよう十分大きくし、記録媒体の先端以外では転写率低下が生じないように弱く(または出力しないように)することにより、ジャムも転写率低下も生じなくすることができる。
また、上述のように、転写装置の交流高圧電源の出力電圧を記録媒体の先端に記録媒体がジャムしないだけの十分な大きさにすることにより、第9の解決手段のように分離部材に電圧を印加する交流高圧電源を無くすことができ、これにより転写装置と分離部材の間の電界に干渉が生じることがなく、周期的に変動する電界が大きくなる瞬間もなくなるので、リークは生じなくなる。従って、ジャムも転写率低下も生じなくすることができ、リークの問題も解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す転写装置と分離部材の概略図である。
【図3】本発明の別の実施例を示す転写装置と分離部材の概略図である。
【図4】本発明の別の実施例を示す転写装置と分離部材の概略図である。
【図5】本発明の別の実施例を示す転写装置と分離部材の概略図である。
【図6】本発明のさらに別の実施例を示す図であり、感光体から記録媒体にトナー像を直接転写する構成の場合の転写装置と分離部材の概略図である。
【図7】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの一例を示す図である。
【図8】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例を示す図である。
【図9】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例を示す図である。
【図10】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例を示す図である。
【図11】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例であって、紙間パターンの除電を考慮した例を示す図である。
【図12】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例であって、紙間パターンの除電を考慮した例を示す図である。
【図13】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例であって、紙間パターンの除電を考慮した例を示す図である。
【図14】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例であって、紙間パターンの除電を考慮した例を示す図である。
【図15】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの別の例であって、紙間パターンの有無に応じた除電を考慮した例を示す図である。
【図16】記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源の入力と出力の大きさとタイミングの比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
まず、図1に基づいて本発明に係る画像形成装置の一例としてのタンデム型カラー複写機の構成及び動作概要を説明する。
図1において、カラー複写機1は、装置本体中央部に位置する画像形成部1Aと、該画像形成部1Aの下方に位置する給紙部1Bと、画像形成部1Aの上方に位置する原稿搬送部1Cと、スキャナ部1Dとを有している。
尚、図1に示すカラー複写機1は通信機能を有しており、LAN(ローカルエリアネットワーク)や通信回線(電話回線、光回線)と接続することにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ等として利用することができる複合機としての機能を持っている。
【0018】
図1において、原稿搬送部1Cの原稿台1C1に原稿を載置し、図示しない操作パネル上のスタートキーを押すと、原稿搬送部1Cにより原稿がコンタクトガラス1D1上に搬送され、スキャナ部1Dで原稿画像が読み取られ、図示しない画像処理部で画像情報に変換されて画像形成部1Aに送られる。
【0019】
画像形成部1Aには、水平方向に延びる転写面を有する第二の像担持体としての無端ベルト状の中間転写体(中間転写ベルト)2が配置されており、該中間転写ベルト2の上面には、色分解色と補色関係にある色の画像を形成するための構成が設けられている。すなわち、補色関係にある色のトナー(例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B))による像を担持可能な第一の像担持体としての感光体3Y、3M、3C、3Bが中間転写ベルト2の転写面に沿って並置されている。
【0020】
各感光体3Y、3M、3C、3Bは、それぞれ同じ方向(反時計回り方向)に回転可能なドラムで構成されており、イエロー(Y)の感光体3Yを例に挙げると、その周りには、回転過程において画像形成処理を実行する帯電装置4Y、光書き込み手段としての書き込み装置5からの光ビーム5Yの露光部、現像装置6Y、一次転写装置7Y、及びクリーニング装置8Yが配置されており、各色の画像形成ステーションを構成している。なお、図1では符号を省略しているが、例えば図2に示すように、他の感光体3M、3C、3Bの周りの構成も同様である(各符号に付記しているアルファベットは、感光体3と同様、トナーの色別に対応している)。
【0021】
また、各色の画像形成ステーションには、感光体3と、帯電装置4、現像装置6、クリーニング装置8のうちの少なくとも一つをカートリッジ内に一体に収納したプロセスカートリッジを用いても良く、プロセスカートリッジは画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられているので、交換やメンテナンスが容易になる。
【0022】
各現像装置6には、それぞれの色のカラートナーが収容されている。中間転写ベルト2は、駆動ローラ2Bと、従動ローラ2A及び二次転写対向ローラ2Cに掛け回されて感光体3Y、3M、3C、3Bとの対峙位置において同方向に移動可能な構成を有している。従動ローラ2Aと対向する位置には、中間転写ベルト2の表面をクリーニングするクリーニング装置10が設けられている。また、中間転写ベルト2の張り具合を調節するために、テンションローラ14が設けられている。
【0023】
ここで、イエロー(Y)の画像形成ステーションを例に挙げて説明すると、感光体3Yの表面が帯電装置4Yにより一様に帯電され、スキャナ部1Dからの画像情報に基づいて感光体3Y上に静電潜像が形成される。該静電潜像はイエローのトナーを収容した現像装置6Yによりトナー像として可視像化され、該トナー像は所定のバイアスが印加される一次転写装置7Yにより中間転写ベルト2上に一次転写される。他の色の画像形成ステーションの感光体3M、3C、3Bでもトナーの色が異なるだけで同様の画像形成がなされ、それぞれの色のトナー像が中間転写ベルト2上に順に転写されて重ね合わせられる。転写後、各感光体3Y、3M、3C、3B上に残留したトナーは、クリーニング装置8Y、8M、8C、8Bにより除去され、また、転写後図示しない除電ランプにより感光体3Y、3M、3C、3Bの電位が初期化され、次の作像工程に備えられる。
【0024】
給紙部1Bは、記録紙等の記録媒体Pを積載収容する多段の給紙トレイ1B1と、該給紙トレイ1B1内の記録媒体Pを最上のものから順に1枚ずつ分離して給紙する給紙コロと、給紙された記録媒体Pを搬送する搬送ローラ対1B2と、記録媒体Pが一旦停止され、斜めずれを修正された後、中間転写ベルト21上の画像の先端と搬送方向の所定位置とが一致するタイミングでニップに向けて送り出されるレジストローラ対1B3を有している。また、画像形成部1Aの側面には、手差し給紙用トレイ1A1と給紙コロ1A2が設けられており、手差し給紙時には、手差し給紙用トレイ1A1に載置された記録媒体(各種用紙、OHPシート等)が給紙コロ1A2でレジストローラ対1B3に向けて給紙される。また、画像形成部1Aの下部には、両面プリント時に、片面に画像が形成された用紙Pを反転してレジストローラ対1B3に向けて再給紙する両面用搬送部RPが設置されている。
【0025】
感光体3Y、3M、3C、3Bから中間転写ベルト2上に一次転写されたトナー像(以下、単にトナーともいう)は、中間転写ベルト2に担持されて二次転写対向ローラ2Cと対向する位置に配置された二次転写手段(例えば二次転写ローラ)20の位置に搬送され、これにタイミングを合わせて上記のレジストローラ対1B3により記録媒体Pが中間転写ベルト2と二次転写ローラ20のニップ部に送り込まれる。
そして、図示しない二次転写バイアス印加手段により、二次転写対向ローラ2Cと二次転写ローラ20の間に転写バイアス(直流(DC)バイアスや、これに交流(AC)バイアスを重畳したものを含む)が印加され、中間転写ベルト2を介して二次転写ローラ20との間で発生する電界の作用によりトナー像が記録媒体Pの上に二次転写される。その後、表面にトナー像を二次転写された記録媒体Pは、分離部材(分離除電針、分離爪等)30により中間転写ベルト2から分離され、搬送ベルト9A等により定着装置11に搬送され、定着装置11にて熱と圧力の作用によって表面にトナー像を強固に定着され、排出ローラ12を経て排出トレイ13に排出される。
【0026】
以上、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について説明したが、このような構成の画像形成装置において、像担持体である中間転写ベルト2と記録媒体Pを接触させて転写電界により中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電したトナー像を記録媒体Pに転写する転写装置では、転写電界により記録媒体Pが帯電するなどして記録媒体Pと中間転写ベルト2との間に静電界が生じて、記録媒体Pが中間転写ベルト2から分離しなくなり、ジャムが生じるという課題がある。
一般にこのような転写装置では、中間転写ベルト2は二次転写ローラ20との対向位置で二次転写対向ローラ2Cに支持されているので、転写作用地点の直後で、中間転写ベルト2が大きな曲率を持って記録媒体Pの搬送経路から離れるようになっているので、転写作用により記録媒体Pが帯電しても、記録媒体Pが厚手の紙など記録媒体自身の剛性が強い場合は、記録媒体Pと中間転写ベルト2の間の静電気力に記録媒体Pの剛性が勝るからと考えられるが、中間転写ベルト2に密着したまま曲率に沿って曲がることはなく、搬送経路に沿って直進するので、ジャムも発生することがない。
しかし、記録媒体Pが薄紙など、記録媒体自身の剛性が弱い場合は、記録媒体Pと中間転写ベルト2の間の静電気力が勝ると思われ、記録媒体Pが中間転写ベルト2に密着したまま曲率に沿って曲がり易く、記録媒体Pの搬送経路から外れ、従って、ジャムも生じ易いという課題がある。
【0027】
本発明の転写装置のように、転写電界が直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成される装置では、該交流高圧電源の発する交流電圧により生じる交流電界の持つ除電能力により記録媒体Pが除電されるので、記録媒体と中間転写ベルト2との間の静電気力が十分に小さくなれば、記録媒体自身の剛性が弱くても、記録媒体Pと中間転写ベルトの間の静電気力がさらに弱くなるからと考えられるが、中間転写ベルト2に密着したまま曲率に沿って曲がることはなく、搬送経路に沿って直進するので、ジャムも発生することがない。
しかし、交流高圧電源の出力電圧を薄紙がジャムしないだけの十分な除電を行うだけの大きさにすると、転写すべき中間転写ベルト上の所望の極性に帯電したトナー像まで除電して転写率が低下し易くなる。
【0028】
ところで、記録媒体Pの先端さえ十分に除電してあれば、中間転写ベルト2に密着したまま曲率に沿って曲がらなくなり、搬送経路に沿って分離部材30に近付けば、分離部材30が例え接地しただけの板金であっても、記録媒体Pを分離部材30に引き付けるので、先端以外の記録媒体Pの除電力が十分でなくても、記録媒体Pはジャムすることなく、搬送経路に沿って進行する。
【0029】
そこで本発明では、記録媒体が薄紙の場合には、転写バイアス印加手段を構成する交流高圧電源の出力電圧を、記録媒体Pの先端部分はジャムが生じないよう十分大きくし、記録媒体Pの先端以外では転写率低下が生じないように弱くすることにより、ジャムも転写率低下も生じなくできるようにするものである。
【0030】
より具体的な手段としては、本発明では、トナー像を担持する中間転写ベルト2に対向して設置され、該中間転写ベルト2と記録媒体Pを接触させて、直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成される転写電界により、中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写装置において、記録媒体Pの先端部分が転写電界内にある場合よりも、記録媒体Pの他の部分が転写電界内にある場合に、交流電圧電源の出力電圧を小さくするものである。
また、本発明では、記録媒体Pの先端部分が転写電界内にある場合の交流高圧電源の出力電圧、あるいは、記録媒体Pの他の部分が転写電界内にある場合の交流電圧電源の出力電圧を、記録媒体Pの種類により変更可能なようにしたものである。
【0031】
また、本発明では、記録媒体Pの後端部分が転写電界を抜けた時に交流電圧電源の出力電圧を大きくし、次の記録媒体Pの先端部分が転写電界に入った時に交流電圧電源の出力電圧を小さくする制御を行うものである。
また、本発明では、記録媒体Pの後端部分が転写電界を抜けた時に交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該出力電圧が大きくなるように切り換え、交流電圧電源の出力電圧が小さくなる過程で次の記録媒体Pの先端部分が転写電界に入るように、該次の記録媒体Pの先端部分が転写電界に入る前に、交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該出力電圧が小さくなるように切り換える制御を行うものである。
【0032】
また、他の手段として、本発明では、トナー像を担持する中間転写ベルト2に対向して設置され、該中間転写ベルト2と記録媒体Pを接触させて、直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成される転写電界により、中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写装置において、記録媒体Pの種類によっては、該記録媒体Pの先端部分が転写電界内にある場合にだけ交流電圧電源による交流電圧を出力し、記録媒体Pの他の部分が転写電界内ある場合には、交流電圧電源による交流電圧を出力しないようにしたものである。
【0033】
また、本発明では、記録媒体Pの後端部分が転写電界を抜けた時に交流電圧電源による交流電圧を出力し、次の記録媒体Pの先端部分が転写電界に入った時に交流電圧電源による交流電圧を停止する制御を行うものである。
また、本発明では、記録媒体Pの後端部分が転写電界を抜けた時に交流電圧電源による交流電圧を出力するように交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を切り換え、交流電圧電源による交流電圧が停止されるまでの間に該交流電圧が小さくなる過程で次の記録媒体Pの先端部分が転写電界に入るように、次の記録媒体Pの先端部分が転写電界に入る前に、交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該交流電圧電源による交流電圧を停止するように切り換える制御を行うものである。
また、本発明では、上記の制御が、記録媒体Pと次の記録媒体Pとの間において中間転写ベルト2にトナー像が形成されることを条件として行われるようにしたものである。
【0034】
上記の手段により、本発明では、記録媒体Pが薄紙の場合は、上記交流高圧電源の出力電圧を、記録媒体Pの先端部分はジャムが生じないよう十分大きくし、記録媒体Pの先端以外では転写率低下が生じないように弱くする(または出力しないようにする)ことにより、ジャムも転写率低下も生じなくすることができる。
【0035】
ところで、転写装置と分離部材の双方が夫々に交流高圧電源を持つと、転写装置と分離部材の間の電界に干渉が生じて、周期的に変動する電界が大きくなる瞬間があり、この瞬間にリークが生じ易い。
そこで本発明では、記録媒体Pを中間転写ベルト2に接触させて該中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体Pに転写する位置の近傍で記録媒体搬送方向下流に位置する分離部材30を備えた場合には、該分離部材30に電圧を印加する交流高圧電源を持たないようにした。
【0036】
上述のように、転写装置の交流高圧電源の出力電圧を記録媒体Pの先端に記録媒体Pがジャムしないだけの十分な大きさにすることにより、分離部材30に電圧を印加する交流高圧電源を無くすことにより、転写装置と分離部材の間の電界に干渉が生じることがなく、周期的に変動する電界が大きくなる瞬間もなくなるので、リークは生じなくなる。従って上記の構成とすることにより、ジャムも転写率低下も生じなくすることができ、リークの問題も解消することができる。
【0037】
尚、以上の説明では、像担持体として図1に示した画像形成装置の中間転写ベルトを例に挙げて説明したが、本発明は、像担持体が感光体の場合にも同様の構成を採用することにより、同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0038】
次に、本発明の具体的な実施例を説明する。
転写装置と分離部材の本願の実施例の概略を図2から図5に示す。
図2は本発明の一実施例を示す転写装置と分離部材の概略図であり、転写バイアス印加手段である直流高圧電源と交流高圧電源の印加場所が異なる場合の一例である。
図2では、二次転写対向ローラ2Cに直流高圧電源21を接続し、二次転写ローラ20に交流高圧電源22を接続している。そして、中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像と同極性の直流高圧電源21により二次転写対向ローラ2Cに直流電圧を印加することで、トナー像を中間転写ベルト2から記録媒体Pに押し出す電界を形成し、交流高圧電源22は二次転写ローラ20に交流電圧を印加することで、中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像を揺さぶる電界を形成するようにして転写しやすくするものである。
【0039】
図3は本発明の別の実施例を示す転写装置と分離部材の概略図であり、転写バイアス印加手段である直流高圧電源と交流高圧電源の印加場所が異なる場合の別の例である。
図3では、二次転写ローラ20に直流高圧電源21を接続し、二次転写対向ローラ2Cに交流高圧電源22を接続している。そして、中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像と逆極性の直流高圧電源21により二次転写ローラ20に直流電圧を印加することで、トナー像を中間転写ベルト2から記録媒体Pに引き付ける電界を形成し、交流高圧電源22は二次転写対向ローラ2Cに交流電圧を印加することで、中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像を揺さぶる電界を形成するようにして転写しやすくするものである。
【0040】
図4は本発明の別の実施例を示す転写装置と分離部材の概略図であり、転写バイアス印加手段である直流高圧電源と交流高圧電源の印加場所が同じ場合の一例である。
図4では、二次転写対向ローラ2Cに直流高圧電源21と交流高圧電源22を直列に接続し、二次転写ローラ20はアースに接地している。そして、電圧の極性が中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像と同極性の直流高圧電源21と、直流成分を持たない交流高圧電源22を直列に配することで、交流と直流が重畳されたバイアスを、二次転写対向ローラ2Cに印加することにより、該バイアスによる平均電界はトナー像を中間転写ベルト2から記録媒体Pに押し出す方向に作用し、電界の振幅により帯電されたトナー像を揺さぶるようにして転写しやすくするものである。
たものである。
【0041】
図5は本発明の別の実施例を示す転写装置と分離部材の概略図であり、転写バイアス印加手段である直流高圧電源と交流高圧電源の印加場所が同じ場合の別の例である。
図5では、二次転写ローラ20に直流高圧電源21と交流高圧電源22を直列に接続し、二次転写対向ローラ2Cはアースに接地している。そして、電圧の極性が中間転写ベルト2上の所望の極性に帯電されたトナー像と逆極性の直流高圧電源21と、直流成分を持たない交流高圧電源22を直列に配することで、交流と直流が重畳されたバイアスを、二次転写ローラ20に印加することにより、該バイアスによる平均電界はトナー像を中間転写ベルトから記録媒体に引き付ける方向に作用し、電界の振幅により帯電されたトナー像を揺さぶるようにして転写しやすくするものである。
【0042】
なお、ここでは、「トナー像を中間転写ベルト2から記録媒体に押し出す」、「トナー像を中間転写ベルト2から記録媒体に引き付ける」と記載したが、これはバイアスの印加個所と極性に鑑みて使い分けたものであり、ともに、トナー像を中間転写ベルト2から記録媒体に転写する方向で、同じ方向である。
【0043】
何れの場合も、交流高圧電源22が発する交流電圧の直流成分は0Vで交流成分の制御は定電圧制御でも定電流制御でも良いが、交流が伝送される場合は伝送路とその周囲の筐体との間の距離と比静電容量に応じた空間回路が形成されて電流が筐体に漏れるので、交流高圧電源22を定電流制御しても所望の電流が伝わるとは限らないことから定電圧制御が一般的である。また、直流高圧電源21は定電圧制御であっても定電流制御であっても良いが、装置や記録媒体の抵抗変化があっても、同一電流ではほぼ同じ転写率が得られることから、定電流制御が一般的である。
【0044】
次に、図6に像担持体が感光体であり、感光体から記録媒体にトナー像を直接転写する構成の場合の実施例を示す。
感光体3側に転写バイアスを印加することも考えられるが、感光体周りの帯電装置や現像装置などのバイアスに干渉するので、一般的には感光体3の導電層は接地して、転写ローラ40に直流高圧電源21と交流高圧電源22を直列に接続している。そして、図5での二次転写ローラと同様に、電圧の極性が所望の極性に帯電されたトナー像と逆極性の直流高圧電源21と、直流成分を持たない交流高圧電源22を直列に配することで、交流と直流が重畳されたバイアスを印加する。バイアスによる平均電界はトナー像を感光体3から記録媒体に引き付ける方向に作用し、電界の振幅により帯電されたトナー像を揺さぶるようにして転写しやすくする。
【0045】
次に、上記の交流高圧電源22の出力の大きさとタイミングについて説明する。転写部の電源接続の構成としては、図2〜5のいずれでもよい。
尚、直流高圧電源21の直流電流(または直流電圧)は、交流成分があってもなくても同じであり、上記のように定電流制御(または定電圧制御)されているので説明を省略する。
【0046】
図7〜図10は記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源22の入力と出力の大きさとタイミングの例を示す図である。
図7、図8には、互いに異なる本願実施例の交流高圧電源22への入力と交流高圧電源22からの出力との大きさと記録媒体Pに対するタイミングが模式的に図示されている。交流高圧電源入力としているのは、画像形成装置の制御装置(図示省略)から発せられる交流高圧電源制御信号で、交流高圧電源の出力を制御するものであり、縦軸に交流高圧電源からの出力が期待される大きさを示している。あくまでも、模式的であり、相当するのはパルス幅変調(PWM)信号のデューティであるのが一般的である。この入力は1ms以下の瞬時に切替わるのに対して、これを受けて交流高圧電源22からの出力電圧が切替わるのに数10msの立上り時間あるいは立下り時間と呼ばれる時間がかかる。交流高圧電源出力の縦軸は立上り時間あるいは立下り時間での出力変化の概略も合わせて出力の変化を示している。
【0047】
図9、図10には、さらに異なる本願実施例の交流高圧電源へのオフ・オン信号と交流高圧電源からの出力との大きさと記録媒体に対するタイミングが模式的に図示されている。これら実施例では、交流高圧電源22の出力をオフ・オンしており、画像形成装置の制御装置(図示省略)から発せられる交流高圧電源信号はこのオフ・オンタイミングを示している。交流高圧電源出力の縦軸は立上り時間あるいは立下り時間での出力変化の概略も含めて出力電圧の変化を示している。
【0048】
図7は、記録媒体が薄紙の場合の実施例の一つを示しており、交流高圧電源出力は、薄紙の先端が転写個所に来る前に大きな交流電圧にしておく。薄紙の先端が転写位置を通過したら、交流高圧電源出力の交流電圧を下げて、下げた電圧で薄紙の後端が転写位置を抜けるまで一定にする。これと、同様のタイミングで、交流高圧電源出力の交流電圧を小さくする代わりに交流電圧をオフした実施例が図9である。また、薄紙先端には大きな交流電界が生じて、この大きな交流電界により、紙先端が除電されて、紙と中間転写ベルト2との間の静電気力が弱まる。そして、薄紙自身の剛性が弱くても、薄紙と中間転写ベルト2との間の静電気力がさらに弱くなるからと考えられるが、中間転写ベルト2に密着したまま曲率に沿って曲がることはなく、搬送経路に沿って直進するので、ジャムも発生することがなくなる。また、薄紙の先端以外には交流電界は弱いか、無いので、転写すべき中間転写ベルト上の帯電したトナー像の除電は僅かか全くないので、転写率が低下することがない。
【0049】
ただし、薄紙の先端で交流高圧電源22の電圧を下げるまたは交流高圧電源22を切るように入力側を切替えても、交流高圧電源22の立下り時間が長い場合や搬送速度が速い場合には、交流高圧電源22の電圧が下がる個所が紙の先端ではなく、画像のある場所になっている場合があり、画像の先端部分の転写率が低下することがある。この場合は、図8または図10に示すように、紙が転写個所に来る以前に交流高圧電源22の電圧を立上げ、紙が転写個所に来る寸前に交流高圧電源22の出力が低下するように入力を下げる、またはオフすることにより、交流高圧電源22の立下り途中に紙の先端が転写位置に来るようにすることで、交流高圧電源22により紙が除電される個所を画像のない紙の先端に留めることができる。
【0050】
以上のように、本実施例では、記録媒体Pが薄紙の場合は、交流高圧電源22の出力電圧を、記録媒体の先端部分はジャムが生じないよう十分大きくし、記録媒体の先端以外では転写率低下が生じないように弱くする(または出力しないようにする)ことにより、ジャムも転写率低下も生じなくすることができる。
また、転写装置の交流高圧電源22の出力電圧を記録媒体の先端に記録媒体がジャムしないだけの十分な大きさにすることにより、分離部材(分離除電針等)30に電圧を印加する交流高圧電源22は無くすことができ、これにより転写装置と分離部材30の間の電界に干渉が生じることがなく、周期的に変動する電界が大きくなる瞬間もなくなるので、リークは生じなくなる。従って本実施例の構成とすることにより、ジャムも転写率低下も生じなくすることができ、リークの問題も解消することができる。
【0051】
ところで、カラー複写機1は、紙間、すなわち、或る記録媒体Pの後端と、次の記録媒体Pの先端との間において、中間転写ベルト2上に、いわゆるプロセスコントロール等を目的として、トナー像を形成する場合がある。以下、このトナー像を紙間パターンという。
【0052】
このような場合に、たとえば、図16に示すような制御を行うとする。図16は、図7〜図10と同様に、記録媒体が薄紙の場合の交流高圧電源22の入力と出力の大きさとタイミングを示しており、さらに、これらに加えて、中間転写ベルト2による記録媒体P、紙間パターンの担持タイミングを示している。図16に示されているように、1枚目の薄紙の後端と、2枚目の薄紙の先端との間において、中間転写ベルト2上に紙間パターンを形成するものとする。その他の図示方法、条件等は、図7〜図10と同様である。なお、このことは、後述する図11〜図15においても同様である。
【0053】
紙間パターンを形成した場合には、これをクリーニング装置10でクリーニングする必要があるが、このクリーニングを良好に行うには、転写位置において、交流高圧電源22の出力電圧である交流高圧電源出力を大きくしておくことが望ましい。
【0054】
そこで、図16に示されている場合では、クリーニング装置100による紙間パターンのクリーニング性を考慮して、1枚目の薄紙の後端が転写位置を通過した後、紙間パターンが転写位置に来る前に、交流高圧電源出力を制御する信号を、この出力が大きくなるようにし、紙間パターンが転写位置を通過したら、かかる信号を、かかる出力が小さくなるようにし、2枚目の薄紙の先端が転写位置に来る前に、交流高圧電源出力を制御する信号を、この出力が大きくなるようにし、2枚目の薄紙の先端が転写位置を通過したら、かかる信号を、かかる出力が小さくなるようにする制御を行うようになっている。
【0055】
しかしながら、同図にも示されているように、通常、記録媒体が転写位置を通過するのに要する時間よりも、紙間が転写位置を通過するのに要する時間は短く、紙間パターンの後端が転写位置を通過してから次の記録媒体の先端が転写位置に入るまでの時間はさらに、極めて短い。
【0056】
よって、同図に示した制御では、同図に示されているように、紙間パターンの後端が転写位置を通過した直後に、交流高圧電源出力を小さくする信号を入力しても、かかる出力が目標値で安定する前の、小さくなりつつある移行期に、交流高圧電源出力を大きくする信号が入力され、この出力が大きくなる。そして、交流高圧電源出力を大きくする信号が入力されるタイミングが速まると、場合によっては、交流高圧電源出力を小さくする信号の入力前に、交流高圧電源出力を大きくする信号が生成されるというソフトバグが発生し得る。
【0057】
したがって、カラー複写機1において、かりに、図16に示されている制御を行うとすれば、かかるソフトバグの発生という問題が生じ得る。
そこで、カラー複写機1においては、かかる問題を防止するために、図11〜図14に示す制御を行うようになっている。
【0058】
図11は、図7に示した場合に対応しており、図12は、図8に示した場合に対応しており、図13は、図9に示した場合に対応しており、図14は、図10に示した場合に対応している。
【0059】
具体的には、図11に示した場合には、薄紙の後端が転写位置を抜けた時すなわち転写位置を抜けた直後に、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が大きくなるようにして、交流高圧電源出力を大きくする。また、薄紙の先端が転写電界に入った時すなわち転写位置に入った直後に、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が小さくなるようにして、交流高圧電源出力を小さくする。
【0060】
これにより、紙間パターンには、転写位置において、大きな交流高圧電源出力が重畳されたバイアスが印加されて除電が行われ、クリーニング装置10によって紙間パターンのクリーニングが良好に行われる。また、上述したようなソフトバグも発生せず、制御が単純化されるという利点が得られる。その他、図7に沿って説明したのと同様の作用、利点が得られる。
【0061】
図12に示した場合には、薄紙の後端が転写位置を抜けた時すなわち転写位置を抜けた直後に、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が大きくなるようにして、交流高圧電源出力を大きくする。また、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が小さくなるように入力するタイミングは、薄紙の先端が転写電界に入る前であって、交流高圧電源出力が小さくなる過程で、次の薄紙の先端が転写位置に入るタイミングとし、このようにして、交流高圧電源出力を小さくする。
【0062】
これにより、紙間パターンには、転写位置において、大きな交流高圧電源出力が重畳されたバイアスが印加されて除電が行われ、クリーニング装置10によって紙間パターンのクリーニングが良好に行われる。また、上述したようなソフトバグも発生せず、制御が単純化されるという利点が得られる。
【0063】
図12に示した制御は、図11に示した場合と比べ、トナー像に対して小さな交流高圧電源出力が適正である場合、たとえば、凹凸紙ほど記録媒体Pの凹凸は大きくないものの記録媒体Pの平滑度が低く、鋤目に応じた凹凸があり、トナー像に対して小さな交流高圧電源出力が適正である場合に適している。よって、紙間パターンの除電のための交流高圧電源出力よりも、中間転写ベルト2から記録媒体Pの分離性を確保するために記録媒体Pの先端部分に作用する交流高圧電源出力が小さくてよい場合、あるいは紙間パターンの除電のための交流高圧電源出力値をそのまま、中間転写ベルト2から記録媒体Pの分離性を確保するために記録媒体Pの先端部分に作用する交流高圧電源出力値に用いるとこの値が大きすぎて画像が乱れる場合に適している。また、小さな交流高圧電源出力では画像が乱れない場合にも適している。その他、図8に沿って説明したのと同様の作用、利点が得られる。
【0064】
図13に示した場合には、薄紙の後端が転写位置を抜けた時すなわち転写位置を抜けた直後に、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が出力されるようにして、交流高圧電源出力を出力、言い換えるとオンする。また、薄紙の先端が転写電界に入った時すなわち転写位置に入った直後に、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が停止されるようにして、交流高圧電源出力を切る、言い換えるとオフする。
【0065】
これにより、紙間パターンには、転写位置において、大きな交流高圧電源出力が重畳されたバイアスが印加されて除電が行われ、クリーニング装置10によって紙間パターンのクリーニングが良好に行われる。また、上述したようなソフトバグも発生せず、制御が単純化されるという利点が得られる。その他、図9に沿って説明したのと同様の作用、利点が得られる。
【0066】
ただし、図13に示した場合に比べ、図11、図12に示した場合のほうが、トナー像に対して小さな交流高圧電源出力では画像が乱れる場合に有利であるとともに、交流高圧電源を出力したときに目標値に達し安定するまでの時間が短いという利点がある。
【0067】
図14に示した場合には、薄紙の後端が転写位置を抜けた時すなわち転写位置を抜けた直後に、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が出力されるようにして、交流高圧電源出力を出力、言い換えるとオンする。また、交流高圧電源22を制御する信号を、交流高圧電源出力が停止されるように入力するタイミングは、薄紙の先端が転写電界に入る前であって、交流高圧電源出力が小さくなる過程で、次の薄紙の先端が転写位置に入るタイミングとし、このようにして、交流高圧電源出力を切る、言い換えるとオフする。
【0068】
これにより、紙間パターンには、転写位置において、大きな交流高圧電源出力が重畳されたバイアスが印加されて除電が行われ、クリーニング装置10によって紙間パターンのクリーニングが良好に行われる。また、上述したようなソフトバグも発生せず、制御が単純化されるという利点が得られる。
【0069】
図14に示した制御は、図13に示した場合と比べ、トナー像に対して小さな交流高圧電源出力が適正である場合、たとえば、凹凸紙ほど記録媒体Pの凹凸は大きくないものの記録媒体Pの平滑度が低く、鋤目に応じた凹凸があり、トナー像に対して小さな交流高圧電源出力が適正である場合に適している。よって、紙間パターンの除電のための交流高圧電源出力よりも、中間転写ベルト2から記録媒体Pの分離性を確保するために記録媒体Pの先端部分に作用する交流高圧電源出力が小さくてよい場合、あるいは紙間パターンの除電のための交流高圧電源出力値をそのまま、中間転写ベルト2から記録媒体Pの分離性を確保するために記録媒体Pの先端部分に作用する交流高圧電源出力値に用いるとこの値が大きすぎて画像が乱れる場合に適している。また、小さな交流高圧電源出力では画像が乱れない場合にも適している。その他、図10に沿って説明したのと同様の作用、利点が得られる。
【0070】
ただし、図14に示した場合に比べ、図11、図12に示した場合のほうが、トナー像に対して小さな交流高圧電源出力では画像が乱れる場合に有利であるとともに、交流高圧電源を出力したときに目標値に達し安定するまでの時間が短いという利点がある。
【0071】
以上、図11ないし図14に示した制御では、紙間パターンが形成されるか否かにかかわらず、薄紙の後端が転写位置を抜けた直後に、交流高圧電源を制御する信号を、交流高圧電源出力が大きくあるいは出力されるようにし、次の薄紙の先端が転写位置に入るまで、交流高圧電源出力が継続されるようになっている。すなわち、図11ないし図14に示した例では、1枚目の薄紙と2枚目の薄紙との紙間に紙間パターンが形成され、2枚目の薄紙と3枚目の薄紙との紙間には紙間パターンが非形成であるが、何れの紙間においても、かかる制御が行われている。
【0072】
しかし、このような制御では、紙間パターンが形成されていないときにも交流高圧電源出力により電力が消費される。
そこで、かかる制御は、図15に示すように、記録媒体Pと次の記録媒体Pとの間すなわち紙間において中間転写ベルト2にトナー像すなわち紙間パターンが形成されることを条件として行われるようにしても良い。
【0073】
同図に示した例は、かかる条件を、図13に示した制御に適用し、紙間パターンが非形成であるときの次の記録媒体Pの先端が転写位置に入る前に交流高圧電源を制御する信号を、交流高圧電源出力が出力されるようにした場合を示しているが、かかる条件は、図11、図12、図14に示した制御に適用しても良い。かかる条件を適用することで、制御の場合分けをしている分だけ制御は複雑になるが、消費電力が低減されるほか、二次転写ローラ20、斥力ローラである二次転写対向ローラ2C、中間転写ベルト2の抵抗変化が小さくなり、これらが交換されるまでの寿命が長くなるという利点が得られる。
【0074】
なお、図11ないし図15に示した制御を行う場合は、中間転写ベルト2に担持された紙間パターンを構成する除電されたトナーが二次転写ローラ20に付着することを防止ないし抑制するため、二次転写ローラ20を中間転写ベルト2から離間させることが望ましい。この離間は、離間に伴うバイアスの印加性の低下を防止ないし抑制するために、紙間パターンが転写位置を通過するときを含む一方で、記録媒体Pの先端が転写位置を通過するときには行われないようにすることが望ましい。
【0075】
また、二次転写ローラ20の離間に伴う、交流高圧電源22によるバイアスの低下を防止ないし抑制するためには、図2ないし図6に示した構成のうち、交流高圧電源22が二次転写対向ローラ2Cに接続された、図3、図4に示した構成が好ましい。
また、二次転写ローラ20の離間時に、中間転写ベルト2に担持された紙間パターンを構成する除電されたトナーが二次転写ローラ20に転写され付着することを防止ないし抑制するためには、直流高圧電源21が二次転写ローラ20に接続された、図3、図5に示した構成が好ましい。
これらを総合すると、図3に示した構成がとくに好ましい。
【0076】
以上述べたバイアスの制御、2次転写ローラ20を中間転写ベルト2に接離させる駆動制御、その他、カラー複写機1において行われる動作等に関する各種制御は、CPU、メモリ等を備えた図示しない制御手段によって行われる。
【0077】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0078】
たとえば、本発明を適用する画像形成装置は、タンデム型であっても、上述した間接転写方式でなく、直接転写方式を採用可能である。また、画像形成装置は、いわゆるタンデム方式の画像形成装置ではなく、1つの感光体ドラム(像担持体)上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも同様に適用することが可能であるし、他にも、中間転写体(像担持体)を複数用いる方式、中間色トナーを用いる方式等の画像形成装置にも同様に適用することが可能である
【0079】
その他、画像形成装置は、近年では、市場からの要求にともない、カラー複写機やカラープリンタなど、カラーのものが多くなってきているが、画像形成装置は、モノカラー画像のみを形成可能なものであっても良い。
【0080】
このような画像形成装置に用いる画像形成物質としての現像剤は、二成分現像剤に限らず、一成分現像剤であっても良いし、画像形成物質は転写を必要とする他のものであっても良い。
【0081】
画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機でなく、これらの単体であっても良いし、その他、複写機とプリンタとの複合機等の他の組み合わせの複合機であっても良い。
【0082】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0083】
1:カラー複写機(画像形成装置)
1A:画像形成部
1B:給紙部
1B1:給紙トレイ
1B2:搬送ローラ対
1B3:レジストローラ対
1C:原稿搬送部
1D:スキャナ部
2:中間転写ベルト(像担持体)
2A:従動ローラ
2B:駆動ローラ
2C:斥力ローラ
2D:従動ローラ
3Y,3M,3C,3B:感光体(像担持体)
4Y,4M,4C,4B:帯電装置
5:書き込み装置
6Y,6M,6C,6B:現像装置
7Y,7M,7C,7B:一次転写装置
8Y,8M,8C,8B:感光体のクリーニング装置
9A:搬送ベルト
9B:従動ローラ
9C:搬送駆動ローラ
10:中間転写ベルトのクリーニング装置
11:定着装置
12:排出ローラ
13:排出トレイ
14:テンションローラ
15:レジストローラ対
20:二次転写ローラ(二次転写装置)
21:直流高圧電源
22:交流高圧電源
30:分離除電針(分離部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特開2006−267486号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体に対向して設置され、該像担持体と記録媒体を接触させて、直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成される転写電界により、前記像担持体上の所望の極性に帯電されたトナー像を前記記録媒体に転写する転写装置において、
前記記録媒体の先端部分が前記転写電界内にある場合よりも、前記記録媒体の他の部分が前記転写電界内にある場合に、前記交流電圧電源の出力電圧を小さくすることを特徴とする転写装置。
【請求項2】
請求項1記載の転写装置において、
前記記録媒体の先端部分が前記転写電界内にある場合の前記交流高圧電源の出力電圧、あるいは、前記記録媒体の他の部分が前記転写電界内にある場合の前記交流電圧電源の出力電圧を、前記記録媒体の種類により変更可能なことを特徴とする転写装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の転写装置において、
前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源の出力電圧を大きくし、次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入った時に前記交流電圧電源の出力電圧を小さくする制御を行うことを特徴とする転写装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の転写装置において、
前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該出力電圧が大きくなるように切り換え、前記交流電圧電源の出力電圧が小さくなる過程で次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入るように、該次の記録媒体の先端部分が前記転写電界に入る前に、前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該出力電圧が小さくなるように切り換える制御を行うことを特徴とする転写装置。
【請求項5】
トナー像を担持する像担持体に対向して設置され、該像担持体と記録媒体を接触させて、直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成される転写電界により、前記像担持体上の所望の極性に帯電されたトナー像を前記記録媒体に転写する転写装置において、
前記記録媒体の種類によっては、該記録媒体の先端部分が前記転写電界内にある場合にだけ前記交流電圧電源による交流電圧を出力し、前記記録媒体の他の部分が前記転写電界内ある場合には、前記交流電圧電源による交流電圧を出力しないことを特徴とする転写装置。
【請求項6】
請求項5記載の転写装置において、
前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源による交流電圧を出力し、次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入った時に前記交流電圧電源による交流電圧を停止する制御を行うことを特徴とする転写装置。
【請求項7】
請求項5記載の転写装置において、
前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源による交流電圧を出力するように前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を切り換え、前記交流電圧電源による交流電圧が停止されるまでの間に該交流電圧が小さくなる過程で次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入るように、該次の記録媒体の先端部分が前記転写電界に入る前に、前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該交流電圧電源による交流電圧を停止するように切り換える制御を行うことを特徴とする転写装置。
【請求項8】
請求項3又は4又は6又は7記載の転写装置において、
前記制御が、前記記録媒体と前記次の記録媒体との間において前記像担持体にトナー像が形成されることを条件として行われることを特徴とする転写装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか一つに記載の転写装置において、
前記記録媒体を前記像担持体に接触させて該像担持体上のトナー像を前記記録媒体に転写する位置の近傍で記録媒体搬送方向下流に位置する分離部材を備え、該分離部材に電圧を印加する交流高圧電源を持たないことを特徴とする転写装置。
【請求項10】
像担持体上にトナー像を形成する手段と、該像担持体上のトナー像を記録媒体に転写する転写手段を備えた画像形成装置において、
前記転写手段として、請求項1ないし請求項9のいずれか一つに記載の転写装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体に対向して設置され、該像担持体と記録媒体を接触させて、直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成される転写電界により、前記像担持体上の所望の極性に帯電されたトナー像を前記記録媒体に転写する転写装置において、
前記記録媒体の先端部分が前記転写電界内にある場合よりも、前記記録媒体の他の部分が前記転写電界内にある場合に、前記交流電圧電源の出力電圧を小さくすることを特徴とする転写装置。
【請求項2】
請求項1記載の転写装置において、
前記記録媒体の先端部分が前記転写電界内にある場合の前記交流高圧電源の出力電圧、あるいは、前記記録媒体の他の部分が前記転写電界内にある場合の前記交流電圧電源の出力電圧を、前記記録媒体の種類により変更可能なことを特徴とする転写装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の転写装置において、
前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源の出力電圧を大きくし、次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入った時に前記交流電圧電源の出力電圧を小さくする制御を行うことを特徴とする転写装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の転写装置において、
前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該出力電圧が大きくなるように切り換え、前記交流電圧電源の出力電圧が小さくなる過程で次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入るように、該次の記録媒体の先端部分が前記転写電界に入る前に、前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該出力電圧が小さくなるように切り換える制御を行うことを特徴とする転写装置。
【請求項5】
トナー像を担持する像担持体に対向して設置され、該像担持体と記録媒体を接触させて、直流高圧電源と交流高圧電源の双方が発する電圧により形成される転写電界により、前記像担持体上の所望の極性に帯電されたトナー像を前記記録媒体に転写する転写装置において、
前記記録媒体の種類によっては、該記録媒体の先端部分が前記転写電界内にある場合にだけ前記交流電圧電源による交流電圧を出力し、前記記録媒体の他の部分が前記転写電界内ある場合には、前記交流電圧電源による交流電圧を出力しないことを特徴とする転写装置。
【請求項6】
請求項5記載の転写装置において、
前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源による交流電圧を出力し、次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入った時に前記交流電圧電源による交流電圧を停止する制御を行うことを特徴とする転写装置。
【請求項7】
請求項5記載の転写装置において、
前記記録媒体の後端部分が前記転写電界を抜けた時に前記交流電圧電源による交流電圧を出力するように前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を切り換え、前記交流電圧電源による交流電圧が停止されるまでの間に該交流電圧が小さくなる過程で次の前記記録媒体の先端部分が前記転写電界に入るように、該次の記録媒体の先端部分が前記転写電界に入る前に、前記交流電圧電源の出力電圧を制御する信号を該交流電圧電源による交流電圧を停止するように切り換える制御を行うことを特徴とする転写装置。
【請求項8】
請求項3又は4又は6又は7記載の転写装置において、
前記制御が、前記記録媒体と前記次の記録媒体との間において前記像担持体にトナー像が形成されることを条件として行われることを特徴とする転写装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか一つに記載の転写装置において、
前記記録媒体を前記像担持体に接触させて該像担持体上のトナー像を前記記録媒体に転写する位置の近傍で記録媒体搬送方向下流に位置する分離部材を備え、該分離部材に電圧を印加する交流高圧電源を持たないことを特徴とする転写装置。
【請求項10】
像担持体上にトナー像を形成する手段と、該像担持体上のトナー像を記録媒体に転写する転写手段を備えた画像形成装置において、
前記転写手段として、請求項1ないし請求項9のいずれか一つに記載の転写装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−113279(P2012−113279A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148540(P2011−148540)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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