説明

転写装置

【課題】微細な凹凸が形成された転写ベルトを用いてフィルムなどのシートの表面に加工を施すこと。
【解決手段】繰り出しロールから繰り出される基材フィルムにUV樹脂を塗布し、塗布された面と接してその表面に所定の微細パターンを転写する転写機構と、前記転写機構によって所定のパターンが転写された基材フィルムを巻き取る巻き取りロールと、を有する転写装置であって、前記転写機構は、前記基材フィルムと接触する外周面に前記所定のパターンが形成された帯状の転写ベルトと、前記転写ベルトを支持する回転ロールと、からなり、前記転写ベルトによる転写は、前記UV樹脂を硬化させてUV樹脂層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細な凹凸が形成された転写ベルトを用いてフィルムなどのシートに表面加工を施す転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の転写装置として特許文献1には、平面形状のシート原盤を用いて円筒状の金型に微細な凹凸の形状を形成し、この円筒状の金型を用いてシートに凹凸形状を転写する転写装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを製造し、転写型と連続樹脂シートとを密着させて凹凸形状を転写する転写装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−123393号公報
【特許文献2】特開2009−196206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の転写装置では、円筒状の金型を用いるため、一定の繰り返しパターンしか形成できない。
【0006】
さらに、特許文献2の転写装置では、樹脂を加熱溶融状態から樹脂シートを製造するため、μmオーダーの微細化には向いていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明の転写装置は、繰り出しロールから繰り出される基材フィルムにUV樹脂を塗布し、塗布された面と接してその表面に所定の微細パターンを転写する転写機構と、前記転写機構によって所定のパターンが転写された基材フィルムを巻き取る巻き取りロールと、を有する転写装置であって、前記転写機構は、前記基材フィルムと接触する外周面に前記所定のパターンが形成された帯状の転写ベルトと、前記転写ベルトを支持する回転ロールと、からなり、前記転写ベルトによる転写は、前記UV樹脂を硬化させてUV樹脂層を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、微細な凹凸が形成された転写ベルトを用いてフィルムなどのシートの表面に加工を施すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態の転写装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態の転写装置を示す図である。11は基材フィルム、12は基材フィルム11を繰り出す繰り出しロール、13はUV樹脂、14はUV樹脂を塗布するUV樹脂塗工ノズル、15は微細な凹凸の形状が形成された転写ベルト、16は転写ベルト15の初端に配置され転写ベルト15を繰り出す転写ベルト繰り出しロール、17は転写ベルト15の終端に配置され転写ベルト15を巻き取る転写ベルト巻き取りロール、18は転写ベルト繰り出しロール16と転写ベルト巻き取りロール17の間に配置された回転ロール、19は基材フィルム11を巻き取る巻き取りロール、20は、UV樹脂13を硬化させるUVランプである。
【0012】
基材フィルム11として、熱可塑性樹脂であれば特に制限しない。例えば、熱可塑性樹脂として、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンステルテレフタレート)等である。基材フィルムの厚みとしては、90μm以下の厚みが好ましい。
【0013】
基材フィルム11は、繰り出しロール12から連続的に繰り出される。UV樹脂塗工ノズル14は、基材フィルム11の表面上に、UV樹脂13を連続的に塗布する。
【0014】
転写ベルト繰り出しロール16から繰り出された帯状の転写ベルト15の外周は、回転ロール18で支持し、転写ベルト15の微細な凹凸の形状が形成された内周を基材フィルム11のUV樹脂13の塗布された表面に接触させる。基材フィルム11のUV樹脂13が塗布されていない面からUVランプ20によってUV樹脂13を硬化させ、UV樹脂層を形成する。硬化させることによって、凹凸形状である所定パターンが形成される。
【0015】
基材フィルム11は、帯状の転写ベルト15から剥離され、巻き取りロール19に連続的に巻き取られ、帯状の転写ベルト15は転写ベルト巻き取りロール17に連続的に巻き取られる。
【0016】
UV樹脂塗工ノズル14から塗布されるUV樹脂13の厚みは、例えば10μm以下の厚みが好ましい。
【0017】
また、UVランプ20は300nm〜700nm程度の波長でUV硬化することが好ましい。
【0018】
基材フィルムと微細な凹凸形状が形成されたUV樹脂層の合計の厚みは100μm以下となる。
【0019】
これにより、フィルムの表面に微細な凹凸形状の加工が可能になる。
【0020】
さらに、凹凸形状が形成された転写ベルト15の形状がベルト形状であるので、円筒形状のように一定の繰り返しパターンではなく、様々なパターンが連続的に形成できる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、微細な凹凸が形成された転写ベルトを用いてフィルムなどのシートに表面加工を施す転写装置に有用である。
【符号の説明】
【0022】
11 基材フィルム
12 繰り出しロール
13 UV樹脂
14 UV樹脂塗工ノズル
15 転写ベルト
16 転写ベルト繰り出しロール
17 転写ベルト巻き取りロール
18 回転ロール
19 巻き取りロール
20 UVランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り出しロールから繰り出される基材フィルムにUV樹脂を塗布し、塗布された面と接してその表面に所定の微細パターンを転写する転写機構と、
前記転写機構によって所定のパターンが転写された基材フィルムを巻き取る巻き取りロールと、を有する転写装置であって、
前記転写機構は、
前記基材フィルムと接触する外周面に前記所定のパターンが形成された帯状の転写ベルトと、
前記転写ベルトを支持する回転ロールと、
からなり、
前記転写ベルトによる転写は、前記UV樹脂を硬化させてUV樹脂層を形成することを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記転写機構はさらに、
前記転写ベルトの初端に配置され、前記転写ベルトを繰り出す転写ベルト繰り出しロールと、
前記転写ベルトの終端に配置され、前記転写ベルトを巻き取る転写ベルト巻き取りロールとを有する請求項1記載の転写装置。
【請求項3】
前記基材フィルムと前記UV樹脂層との厚さが100μm以下である、請求項1記載の転写装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−240320(P2012−240320A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113152(P2011−113152)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】