説明

転炉の吹錬制御方法

【課題】転炉吹錬操業にて、スピッティング発生量を推定し、ランス高さを制御してスピッティング発生を抑えた生産性のよい転炉吹錬制御方法を提供する。
【解決手段】転炉炉口部から飛散し落下しているピッティングのうち一定の輝度以上であるスピッティングを、下記式を満たすように転炉炉外にて撮像する撮像工程と、その撮像情報を画像解析する解析工程と、その画像解析情報を基にランス位置を制御する制御工程を有することを特徴とする転炉の吹錬制御方法。
1/4*(Ls/Lt)*π/4*(d+σ) ≦ X≦ (Ls/Lt)*π/4*(d−σ)
X:監視装置の視野中の1画素相当径または1画素相当正方形の1辺の長さ(mm)
Ls:スピッティング(溶鉄粒)撮像の平均濃度
Lt:スピッティング(溶鉄粒)撮像の濃度閾値
d:スピッティング(溶鉄粒)粒径の平均値(mm)
σ:スピッティング(溶鉄粒)粒径の標準偏差(mm)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鋼製造プロセスの転炉における吹錬中のスピッティング(飛散溶鉄粒)を抑える吹錬制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼製造プロセスの上吹きまたは上底吹き転炉において、転炉内の溶鉄に酸素吹き込むことにより炭素成分を所望の成分量にする吹錬をおこなっている。とりわけ、大型転炉においては一回で300t程度の溶鉄を吹錬する必要があり、大流量の酸素が供給される。酸素は上部ランスと底部羽口から供給されるが、主には上部ランスから供給される。このとき、スラグ中の酸化鉄が増加すると溶鉄中の炭素と急激に反応して突沸したり、また上部ランスからの酸素ジェットと溶鉄が衝突したりするため、溶鉄粒が転炉炉口やダクト開孔部から飛散する。これをスピッティング(飛散溶鉄粒)という。
【0003】
さらに、転炉内耐火物のプロフィールが変化し、溶鉄の液面高さの予測が困難となっているため、例えばランス高さと溶鉄液面高さが接近すると噴射する酸素ガスによる衝突力が増し、スピッティングが増加する。
スピッティングは、通常溶鉄量の0.1〜0.5%程度に達し、転炉吹錬での溶鉄歩留悪化の原因の一つになっている。またそれだけではなく、飛散した溶鉄粒が周辺設備や床に付着し、転炉操業における環境悪化や、設備不具合の原因となっており、転炉操業上の大きな問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−100331号公報
【特許文献2】特開平9−118908号公報
【特許文献3】特開平8−20813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スピッティングを減らすためにいくつかの方法が提案されている。
例えば特許文献1(特開昭63−100331号公報)には、マイクロ波にて溶鉄液面を測定し、ランスと溶鉄液面の位置関係を常に最適になるようランス位置を制御することが提案されている。しかし、吹錬前に溶鉄液面高さの測定時間に数分(5〜10分)を要するため、転炉吹錬の生産性を大幅に悪化させ、現実的な解決法にはなっていない。
【0006】
特許文献2(特開平9−118908号公報)には、転炉上部に配置される排ガスダクトの開孔部から、スピッティング(同文献内では火花とも称している)を直接監視し、スピッティング発生状況を判定し、ランス高さや酸素供給量を制御することが提案されている。しかし、ダクト内はダスト濃度が極めて高く、ダクト開孔部からの監視では外乱が多く、制御に資する解析ができないので、これも現実的な解決法になっていない。
【0007】
特許文献3(特開平8−20813号公報)は、CCDカメラを例とする監視部により、転炉炉口から飛散するスピッティングを監視し、スピッティング量が最多となる時点を判定した後、スロッピング(炉内で形成されたスラグが泡状化して炉外にあふれ出す現象)の鎮静剤を供給する方法が提案されている。しかし、監視部の具体的位置が明示されておらず、例示されている転炉炉口部での測定は、発生する噴煙によるノイズと、火炎とスピッティングとの区別が困難であることから、これも現実的な解決策になっていない。
従って、現時点では有効な手段がなく、転炉のオペレーターが目視によりスピッティング量を把握し、経験的感覚的にランス位置を制御している。
【0008】
そこで、これら従来技術に鑑み、転炉吹錬操業において、スピッティング発生量を的確に推定することを課題とし、把握したスピッティング量を基に、ランス高さや酸素流量を制御することにより、スピッティング発生を抑えた歩留まりのよい(生産性のよい)転炉吹錬制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、スピッティングを転炉外側から監視し、転炉炉口部から飛散し落下しているスピッティングのうち、撮像装置による画像にて一定の濃度以上であるスピッティングの量と、全スピッティング量(転炉吹錬操業の前後での溶鉄の理論的減少量と実績減少量との差から導き出されるスピッティング量)とが、高い相関関係を有することを見出し、本発明をなすに至った。ここで濃度とは、スピッティングを撮像した画像内の色調のことを言う。例えば、8bitモノクロの場合、黒を0、白を255とし、色調を0〜255の数値で表現したときの値を、8bitR(赤)、G(緑)、B(青)カラーの場合、各色ごとの色調を0〜255の数値で表現したときの値のことを言う。実測では、スピッティングの色調は、概ね220±30である。
その要旨とするところは、以下のとおりである。
【0010】
(1)転炉中の溶鉄に上部ランスから酸素を噴射する吹錬方法において、転炉の炉口部と排ガスダクトとの間から転炉炉外に飛散し落下しているスピッティングを、下記式を満たすように転炉炉外に設置された撮像装置にて撮像する撮像工程と、該撮像工程での撮像情報を画像解析する解析工程と、該解析工程で画像解析された情報を基にランス位置を制御する制御工程を有することを特徴とする転炉の吹錬制御方法。
1/4*(Ls/Lt)*π/4*(d+σ) ≦ X
≦ (Ls/Lt)*π/4*(d−σ)
X:監視装置の視野における1画素に相当する径または1画素に相当する正方形の1 辺の長さ(mm)
Ls:スピッティング(溶鉄粒)撮像の平均濃度
Lt:スピッティング(溶鉄粒)撮像の濃度閾値
d:スピッティング(溶鉄粒)粒径の平均値(mm)
σ:スピッティング(溶鉄粒)粒径の標準偏差(mm)
【0011】
(2)前記制御工程において、前記解析工程で画像解析された情報を基に上部ランスからの酸素噴射量を制御することを特徴とする(1)に記載の転炉の吹錬制御方法。
【0012】
(3)前記落下しているスピッティングを撮像する際、転炉出鋼孔より下の位置を落下しているスピッティングを撮像することを特徴とする(1)または(2)に記載の転炉の吹錬制御方法。
【0013】
(4)前記撮像装置が、転炉炉口から飛散したスピッティングが落下する範囲の外に設置されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の転炉の吹錬制御方法。
【0014】
(5)転炉中の溶鉄に上部ランスから酸素を噴射する吹錬方法において、転炉炉外に設置され、転炉の炉口部と排ガスダクトとの間から転炉炉外に飛散し落下しているスピッティングを下記式を満たすように撮像する撮像装置と、該撮像装置で撮像した撮像情報を画像解析する解析装置と、該解析装置で画像解析された情報を基にランス位置を制御する制御装置を有することを特徴とする転炉の吹錬制御装置。
1/4*(Ls/Lt)*π/4*(d+σ) ≦ X
≦ (Ls/Lt)*π/4*(d−σ)
X:監視装置の視野における1画素に相当する径または1画素に相当する正方形 の1辺の長さ(mm)
Ls:スピッティング(溶鉄粒)撮像の平均濃度
Lt:スピッティング(溶鉄粒)撮像の濃度閾値
d:スピッティング(溶鉄粒)粒径の平均値(mm)
σ:スピッティング(溶鉄粒)粒径の標準偏差(mm)
【0015】
(6)前記制御装置において、前記解析装置で画像解析された情報を基に上部ランスからの酸素噴射量を制御することを特徴とする(5)に記載の転炉の吹錬制御装置。
【0016】
(7)前記撮像装置にて、前記落下しているスピッティングを撮像する際、転炉出鋼孔より下の位置を落下しているスピッティングを撮像することを特徴とする(5)または(6)に記載の転炉の吹錬制御装置。
【0017】
(8)前記撮像装置が、転炉炉口から飛散したスピッティングが落下する範囲の外に設置されることを特徴とする(5)〜(7)のいずれか1項に記載の転炉の吹錬制御装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、簡便で精度よく転炉吹錬操業におけるスピッティング量の予測が可能となり、それを利用してランス高さや酸素吹き込み量を制御することにより、スピッティング量を抑制することができる。これにより、簡便な方法で、転炉吹錬操業の歩留を大幅に改善することができ、同操業の生産性を顕著に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明における方法を実現するための装置構成の概念を示す図である。
【図2】本発明による撮像解析したスピッティング量と理論的全スピッティング量の関係を示す図である。
【図3】本発明による転炉吹錬制御における効果(スピッティング発生量)を示す図である。
【図4】本発明による転炉吹錬制御における効果(転炉吹錬操業歩留)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、撮像工程におけるスピッティング状況の撮像方法について説明する。
転炉の炉口付近は、吹錬中は火炎の噴出しがあるため、背景の輝度とスピッティングの輝度が同程度となり、見分けることが難しい。
従って、できるだけ炉口より下の位置を落下しているスピッティングを撮像することが望ましい。例えば、転炉の出鋼孔より下部(吹錬中の転炉を正面視した場合の転炉出鋼孔のある高さから下の空間をいう。)で、転炉下面より下に位置する転炉作業床までの間が望ましい。また、できれば転炉の高さ(吹錬中の転炉を正面視した場合の転炉底面から炉口までの長さをいう。)の半分より下での撮像がより望ましい。この位置であれば、背景となる転炉本体や周辺設備等とスピッティングの輝度差から、スピッティングを見分けることが十分可能となるからである。
【0021】
撮像装置による撮像は、遠方から望遠レンズにより、スピッティングの落下範囲外からの拡大撮像を行うことが望ましい。スピッティングの直撃を避けることができ、撮像のための設備的保護になるからである。
望遠レンズによりスピッティングを撮像する際に、撮像装置の1画素で捉えられる範囲とスピッティング(溶鉄粒)の粒の間には、以下の関係があることが望ましい。画像解析する場合の画像情報の精度からくる制限である。
1/4*(Ls/Lt)*π/4*(d+σ) ≦ X
≦ (Ls/Lt)*π/4*(d−σ)
X:監視装置の視野における1画素に相当する径または1画素に相当する正方形の 1辺の長さ(mm)
Ls:スピッティング(溶鉄粒)撮像の平均濃度
Lt:スピッティング(溶鉄粒)撮像の濃度閾値
d:スピッティング(溶鉄粒)粒径の平均値(mm)
σ:スピッティング(溶鉄粒)粒径の標準偏差(mm)
【0022】
ここで、スピッティングの量は、主に溶鉄の炭素量に依存するが、その撮像濃度、その径は、溶鉄の炭素成分によらずほぼ一定である。このため、通常の操業におけるスピッティングの粒径分布(平均粒径と粒径分布の標準偏差)、スピッティングを一粒ずつ分離できる撮像濃度(閾値)と閾値以上の撮像濃度を有するスピッティングの撮像濃度(平均撮像濃度)を予め測定し、上記Ls、Lt、d、σを決定することにより、監視装置の視野における1画素に相当する正方形の1辺の長さを求めることができる。
【0023】
求めた1画素の大きさに従って、撮像装置の配置を決めることができる。従って、長焦点の望遠レンズを使用すれば、転炉から十分離れた場所に撮像装置を設置することが可能となるが、短焦点のレンズであれば、転炉に近づくことになる、スピッティングの直撃を受けるリスクが増すことになる。転炉周囲の設備配置状況によって、適正な場所に撮像装置を配置するよう、望遠レンズや、撮像装置の画素数等を選択すればよい。
【0024】
次に、解析工程で行う撮像して得られた撮像情報の画像処理について説明する。
例えば、得られた撮像情報から、一定以上の撮像濃度を有するスピッティングの個数をカウントすればよい。そのためには、撮像装置の同一視野での連続撮像において、同一スピッティングが連続する2枚の撮像に含まれないように、撮像間隔を設定すればよい。例えば、撮像視野におけるスピッティングの落下速度が10m/secであり、視野の鉛直方向長さが3.5mであったとき、0.3秒間隔で撮像することにより、全てのスピッティングを2回撮像することなく撮像することができる。これは撮像装置の視野や、撮像位置でのスピッティングの速度から一義的に決められることである。ちなみに、撮像時のシャッタースピードは、スピッティング速度、スピッティング径、撮像装置の能力から総合的に決定されるものである。
【0025】
さて、そうして得られた撮像情報を基にスピッティングの個数をカウントするための画像処理を行えばよい。例えば、上記したように、全スピッティングをダブリがないように撮像していれば、一定の撮像濃度以上を有するスピッティングを2値化処理により抽出し、その個数をカウントすればよい。具体的には、多くても4画素で一つのスピッティング粒を捉え、後述する解析工程において、例えばその内一番面積を占める画素をカウントすることにより、スピッティングの個数をカウントすることができる。
【0026】
発明者らの実験によると、転炉の高さの約半分の位置を落下するスピッティングの粒径や撮像濃度は、溶鉄の種類や量によらずほぼ一定であることも確認している。この時のスピッティング粒径は10mm程度で、その標準偏差は1mm程度である。また、この撮像の濃度は190〜255(白黒8bit時)である。
また、カウントするスピッティングに対し適切な閾値を設定すれば2値化処理は可能であり、それによりカウントしたいスピッティングを分離することができることを確認している。
【0027】
こうした画像解析方法は前記例に限定されることなく、あらゆる画像解析方法を用いることができることは言うまでもない。
最後に、制御工程について説明する。制御工程は、得られたスピッティングの解析情報を基に、スピッティング量を減少させために、転炉ランスの位置を制御するための工程である。例えば、前記した画像解析により得られたスピッティングの個数情報や飛散情報とランス位置との関係を予め把握しておくことにより、スピッティングの個数情報や飛散情報に応じて、所望のスピッティング量になるようランス位置を制御することができる。
【0028】
また、スピッティングの発生を抑えるためには、酸素供給量も制御することも有効である。即ち、所望のスピッティング量になるように、上部ランスからの酸素噴射量(吹き込み量)を制御することもできる。しかし、酸素供給量は、吹錬の本来の目的である溶鉄中の炭素成分の燃焼除去に必要なため、酸素供給量は大きく変化させることは望ましくない。
もちろん、ランス位置制御も酸素噴射量(吹き込み量)制御もそれぞれ個別に制御することができるし、双方を連動させて制御することもできる。こうした制御態様も前記例に限定されることなく、あらゆる制御態様を用いることができることは言うまでもない。同様に制御対象も、ランス位置や酸素噴射量は一例であり、これらに限定されることはない。
【実施例】
【0029】
撮像装置として画素数512×480のCCDカメラ(白黒8bit時)を用いた。これに望遠レンズをつけ、転炉から30m離れた転炉操業床(転炉底面より下部に広がる作業用の床)から、転炉を正面視してその中心線上で、転炉操業床の上2mの位置を撮像した。
予め測定したスピッティング径は10mmで、その標準偏差は1mmであった。上記位置で、測定すべきスピッティングの平均撮像濃度は、220±30であった。従って、閾値(Lt)は190に設定した。
前記式より、一画素空間長が6mmの正方形となるよう、視野の大きさを横3.072m×縦2.88mになるよう設定した。
サンプリングタイム(撮像間隔)は、25m秒に設定し、シャッタースピードは1/2000秒に設定した。
一回の転炉吹錬操業(1ヒートと言う。)ごとに、解析されたスピッティング量と、1ヒート前後で測定した溶鉄重量により理論的に計算したスピッティング量とを比較したものを図2に示す。非常によい相関関係になることが確認でき、撮像したスピッティング量から全体のスピッティング量を予測することができることが確認できた。
【0030】
次に、転炉吹錬中にスピッティング量によるランス高さ制御の効果を確認する実験を行った。事前に転炉内の溶鉄高さを測定し、スピッティング量を抑えられる位置にランスをセットして、その位置で1ヒート全体を吹錬したときの理論的スピッティング量の変化を基準値した。つまり、この基準値が適正なランス位置による酸素吹き込みということになる。
【0031】
本発明の実施例は、図2に示す関係から得られた関係から、全体スピッティング量を予測し、それによりランス位置を制御して行った。なお、本発明の実施例と比較例は、事前に転炉内の溶鉄液面高さを測定せず、前ヒート実績からランス位置を決定し、酸素吹込みを開始している。
比較例は、従前どおり、オペレーターによる経験的感覚的なランス位置制御にて行った。この結果を図3に示す。
図3からもわかるように、当初は、実施例も比較例もランス位置が適正でないため、本発明による実施例も比較例と同様にスピッティング量が多い。しかし、本発明の方法によるランス位置制御を行うことにより、すぐに基準値と同じレベルとなり、最適なランス高さに制御されていることがわかる。比較例と比べても、一目瞭然に、その効果が確認できた。
【0032】
以上の実施態様は、本発明の実施態様の一例を紹介したものであり、本発明はこの実施態様に限定されることはない。
図4には、本発明による吹錬制御方法を実施したとき(実施例)と、従前の方法で吹錬したとき(比較例)の、スピッティングによる歩留落ち((スピッティングとして失った溶鉄の量(吹錬前後の溶鉄重量から推測))/(投入した溶鉄の量))を示す。比較例が平均0.25%の歩留落ちであるのに対し、本発明の実施例では平均0.05%となっている。つまり、スピッティングにより失われた溶鉄量は、1/5に激減したことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、鉄鋼製造プロセスにおける転炉吹錬操業に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転炉中の溶鉄に上部ランスから酸素を噴射する吹錬方法において、転炉の炉口部と排ガスダクトとの間から転炉炉外に飛散し落下しているスピッティングを、下記式を満たすように転炉炉外に設置された撮像装置にて撮像する撮像工程と、該撮像工程での撮像情報を画像解析する解析工程と、該解析工程で画像解析された情報を基にランス位置を制御する制御工程を有することを特徴とする転炉の吹錬制御方法。
1/4*(Ls/Lt)*π/4*(d+σ) ≦ X
≦ (Ls/Lt)*π/4*(d−σ)
X:監視装置の視野における1画素に相当する径または1画素に相当する正方形の 1辺の長さ(mm)
Ls:スピッティング(溶鉄粒)撮像の平均濃度
Lt:スピッティング(溶鉄粒)撮像の濃度閾値
d:スピッティング(溶鉄粒)粒径の平均値(mm)
σ:スピッティング(溶鉄粒)粒径の標準偏差(mm)
【請求項2】
前記制御工程において、前記解析工程で画像解析された情報を基に上部ランスからの酸素噴射量を制御することを特徴とする請求項1に記載の転炉の吹錬制御方法。
【請求項3】
前記落下しているスピッティングを撮像する際、転炉出鋼孔より下の位置を落下しているスピッティングを撮像することを特徴とする請求項1または2に記載の転炉の吹錬制御方法。
【請求項4】
前記撮像装置が、転炉炉口から飛散したスピッティングが落下する範囲の外に設置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の転炉の吹錬制御方法。
【請求項5】
転炉中の溶鉄に上部ランスから酸素を噴射する吹錬方法において、転炉炉外に設置され、転炉の炉口部と排ガスダクトとの間から転炉炉外に飛散し落下しているスピッティングを下記式を満たすように撮像する撮像装置と、該撮像装置で撮像した撮像情報を画像解析する解析装置と、該解析装置で画像解析された情報を基にランス位置を制御する制御装置を有することを特徴とする転炉の吹錬制御装置。
1/4*(Ls/Lt)*π/4*(d+σ) ≦ X
≦ (Ls/Lt)*π/4*(d−σ)
X:監視装置の視野における1画素に相当する径または1画素に相当する正方形 の1辺の長さ(mm)
Ls:スピッティング(溶鉄粒)撮像の平均濃度
Lt:スピッティング(溶鉄粒)撮像の濃度閾値
d:スピッティング(溶鉄粒)粒径の平均値(mm)
σ:スピッティング(溶鉄粒)粒径の標準偏差(mm)
【請求項6】
前記制御装置において、前記解析装置で画像解析された情報を基に上部ランスからの酸素噴射量を制御することを特徴とする請求項5に記載の転炉の吹錬制御装置。
【請求項7】
前記撮像装置にて、前記落下しているスピッティングを撮像する際、転炉出鋼孔より下の位置を落下しているスピッティングを撮像することを特徴とする請求項5または6に記載の転炉の吹錬制御装置。
【請求項8】
前記撮像装置が、転炉炉口から飛散したスピッティングが落下する範囲の外に設置されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の転炉の吹錬制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−225904(P2011−225904A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94150(P2010−94150)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】