説明

軸受構造及びこれを備えたクリーニング装置、画像形成装置

【課題】軸部の端部を受ける凹部から潤滑剤が漏れ出し、潤滑剤が不足するような事態の発生を防止することができ、好適な回転性能を得ることが可能な軸受構造を提供する。
【解決手段】クリーニング装置60は、トナー排出スクリュー64と、これを回転自在にして支持する軸受構造80とを備える。軸受構造80は、軸部64aの端部64bより軸線方向内側に設けられた円盤状のフランジ部81と、トナー排出スクリュー64を支持するハウジング61の壁面61aから窪んだ形にして形成され、フランジ部81より外側の軸部64aを収容可能であるとともに、フランジ部81の外径より小さい内径の円筒形状の凹部82と、軸部64aの端部64bの箇所に設けられた潤滑剤充填孔83とを備える。これにより、クリーニング装置60の組み立て時、凹部82自体にではなく、潤滑剤充填孔83に潤滑剤を充填しておくことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタに代表される画像形成装置に設けられたローラ状部材などといった回転部材に対して適用可能な、それらの軸受構造に関する。また、この軸受構造を備えたクリーニング装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体として感光体ドラムが広く用いられている。感光体ドラムを用いた一般的な画像形成動作は以下のようである。感光体ドラムの表面は帯電装置により所定電位で一様に帯電せしめられ、そこに露光装置のLED光等を照射することにより部分的に電位が光減衰して原稿画像の静電潜像が形成される。そして、この静電潜像を現像装置で現像することにより、感光体ドラム表面にトナー像が形成される。このトナー像は、感光体ドラムと転写部材とを接触、或いは近接させて構成した転写領域に用紙を挿通するときに、用紙に転写される。
【0003】
また、画像形成装置には、感光体ドラムや現像ローラ、クリーニングローラ、定着ローラ、トナー搬送スクリュー、用紙搬送ローラなどといった、軸線まわりに回転する回転部材が数多く設けられている。これらの部材の回転性能は、画像の形成能力や、トナー像の定着能力、トナー搬送能力、用紙搬送能力などに直接影響を与えるので、それらをスムーズに回転させる必要がある。このため、回転部材の軸部の端部の箇所には、回転部材を、軸線まわりに回転自在にして支持する軸受構造が形成されている。
【0004】
このような軸受構造の一例を、特許文献1に見ることができる。特許文献1に記載された廃トナー回収容器では、廃トナー回収容器内部に設けられた搬送スクリューの軸部に対して、その軸部が嵌合する孔を容器に設けた形の軸受構造が形成されている。一般的に、軸受構造は、好適な回転性能を得るためにボールベアリングなどといった機能部材を備えているが、小型化、低コスト化を目的として、そのような機能部材を使用せず、特許文献1に見られるような単に孔を設けて軸部を通したり、ハウジングなどの壁部に凹部を設けて軸部の端部を受けるようにしたりする構成が数多く見受けられる。
【特許文献1】特開2008−39865号公報(第6頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さらに、軸受構造では、回転性能の向上を図るため、グリスなどといった潤滑剤が使用されることがある。潤滑剤を使用することにより、軸部の滑りが良好になり、耐摩耗性が高められ、不快な騒音の発生を防止することが可能である。例えば、回転部材の軸部の端部の箇所では、機器の組み立て時、この軸部の端部を受ける、ハウジングなどの壁部に設けられた凹部に潤滑剤を注入、或いは塗布しておくことがある。
【0006】
しかしながら一方では、軸部の端部を受ける凹部から潤滑剤が漏れ出し、潤滑剤が不足するような状態になることが懸念されている。潤滑剤が不足すると、軸部の滑りが悪くなって磨耗が激しくなり、不快な騒音が発生する恐れがある。さらに、不必要な箇所に潤滑剤が漏れ出すと、ローラ状部材の周面や用紙を汚したり、現像前や感光体ドラム表面から回収した後の多量のトナーに接触したりする可能性がある。特に、トナーが多く存在する箇所に潤滑剤が漏れ出すと、トナーの凝集、固着が発生し、回転部材の回転トルクが増大したり、回転のロックが発生したりする可能性がある。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、回転部材の軸部の端部の箇所に設けられ、回転部材を、軸線まわりに回転自在にして支持する軸受構造において、小型化、低コスト化が図られ、軸部の端部を受ける凹部から潤滑剤が漏れ出し、潤滑剤が不足するような事態の発生を防止することができ、好適な回転性能を得ることが可能な軸受構造を提供することを目的とする。また、このような軸受構造を備えた信頼性の高い像担持体のクリーニング装置、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、回転部材の軸部の端部に対応する箇所に設けられ、回転部材を、軸線まわりに回転自在にして支持する軸受構造において、前記軸部の端部より軸線方向内側に設けられた円盤状のフランジ部と、回転部材を支持する壁面から窪んだ形にして形成され、前記フランジ部より外側の軸部を収容可能であるとともに、フランジ部の外径より小さい内径の円筒形状の凹部と、軸部の端部の箇所に設けられた潤滑剤充填孔とを備えることとした。
【0009】
また、上記構成の軸受構造において、前記潤滑剤充填孔は、前記軸部の軸線に対して、径方向外側に孔の出入口が設けられていることとした。
【0010】
また本発明では、上記軸受構造を像担持体のクリーニング装置に備えることとした。
【0011】
また本発明では、上記軸受構造を画像形成装置に備えることとした。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成によれば、回転部材の軸部の端部に対応する箇所に設けられ、回転部材を、軸線まわりに回転自在にして支持する軸受構造において、前記軸部の端部より軸線方向内側に設けられた円盤状のフランジ部と、回転部材を支持する壁面から窪んだ形にして形成され、前記フランジ部より外側の軸部を収容可能であるとともに、フランジ部の外径より小さい内径の円筒形状の凹部と、軸部の端部の箇所に設けられた潤滑剤充填孔とを備えることとしたので、機器の組み立て時、凹部自体にではなく、潤滑剤充填孔に潤滑剤を充填しておくことができる。これにより、潤滑剤に表面張力を作用させることができ、機器の組み立て後、使用を開始するまでに潤滑剤が凹部から漏れ出すのを防止することが可能である。そして、機器の使用開始時、潤滑剤充填孔に充填された潤滑剤は、回転部材を回転させることにより軸部に作用する遠心力で、少しずつ潤滑剤充填孔から吐出させることができる。したがって、小型化、低コスト化が図られ、軸部の端部を受ける凹部から潤滑剤が漏れ出し、潤滑剤が不足するような事態の発生を防止することができ、好適な回転性能を得ることが可能な軸受構造を提供することができる。
【0013】
また、前記潤滑剤充填孔は、前記軸部の軸線に対して、径方向外側に孔の出入口が設けられていることとしたので、潤滑剤を、遠心力によって潤滑剤充填孔から吐出させる作用を高めることができる。これにより、機器の使用開始時、迅速に潤滑作用を向上させることが可能である。したがって、一層好適な回転性能を得ることが可能な軸受構造を提供することができる。
【0014】
また本発明では、上記軸受構造を像担持体のクリーニング装置に備えることとしたので、クリーニング装置に設けられた回転部材の軸受構造に関して、小型化、低コスト化が図られ、軸部の端部を受ける凹部から潤滑剤が漏れ出し、潤滑剤が不足するような事態の発生を防止することができ、好適な回転性能を得ることが可能な信頼性の高いクリーニング装置を得ることができる。
【0015】
また本発明では、上記軸受構造を画像形成装置に備えることとしたので、画像形成装置の各所に設けられた回転部材の軸受構造に関して、小型化、低コスト化が図られ、軸部の端部を受ける凹部から潤滑剤が漏れ出し、潤滑剤が不足するような事態の発生を防止することができ、好適な回転性能を得ることが可能な信頼性の高い画像形成装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図1〜図5に基づき説明する。
【0017】
最初に、本発明の実施形態に係る軸受構造を備えた画像形成装置について、図1を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は、画像形成装置の一例であるプリンタの概略構造を示す模型的垂直断面左側面図である。図1において右方がプリンタの正面側、左方が背面側である。
【0018】
図1に示すように、プリンタ1の本体2の内部下方には、給紙カセット3が備えられている。給紙カセット3の内部には、用紙Pが積まれて収容されている。給紙カセット3の用紙搬送方向下流部上方には、給紙カセット3用の給紙装置4が配置されている。この給紙装置4により、用紙Pは図1において給紙カセット3の右上方に向けて送り出される。なお、給紙カセット3は、本体2の正面側、すなわち図1において右方に、水平にスライド移動させて引き出し/収納が自在である。
【0019】
プリンタ1の本体2の正面中央部には、図1に示すように、手差し給紙トレイ5が備えられている。手差し給紙トレイ5は、下端に設けられた、横方向に略水平に延びる支軸を中心として、垂直面内で回転可能になっている。手差し給紙トレイ5は、その支軸を中心として上端を本体2外側方向、すなわち図1において右方に開閉自在であり、開放し、展開することにより、その上面に用紙Pなどを載置することが可能な形態になる。
【0020】
手差し給紙トレイ5は、給紙カセット3に入っていないサイズの用紙や、厚紙、OHPシートのように1枚ずつ載置して、装置内に送り込みたいものを取り扱いことができる。手差し給紙トレイ5に載置された用紙は、図1において手差し給紙トレイ5の左方に配置された手差し給紙トレイ5用の給紙装置6により、左方に向けて送り出される。手差し給紙トレイ5は、使用しないとき、図1に示すように閉鎖状態にされる。
【0021】
給紙カセット3及び手差し給紙トレイ5の用紙搬送方向下流には、給紙用用紙搬送路7、レジストローラ8、画像形成部20、及び転写部30が配置されている。給紙カセット3及び手差し給紙トレイ5から送り出された用紙Pは、給紙用用紙搬送路7を通りレジストローラ8に到達する。レジストローラ8は、用紙Pの斜め送りを矯正しつつ、画像形成部20で形成されるトナー像とのタイミングを計り、用紙Pを転写部30へと送り出す。
【0022】
外部コンピュータ(図示せず)からの文字や図形、模様などの画像データ信号がプリンタ1に送信され、この画像データに基づき、画像形成部20上方に備えられた光学部9にて制御されるレーザ光L(図中一点鎖線)が照射される。これにより、画像形成部20においては、像担持体である感光体ドラム21上に原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナー像は、前記レジストローラ8によって同期をとって送られてきた用紙Pに、感光体ドラム21と転写部30の転写ローラ31とが圧接して形成される転写ニップ部にて転写される。
【0023】
画像形成部20及び転写部30の用紙搬送方向下流には、定着装置10が備えられている。転写部30にて未定着トナー像を担持した用紙Pは、定着装置10へと送られ、熱ローラと加圧ローラとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0024】
定着装置10の下流には、排出用用紙搬送路11、用紙排出口12、及び用紙排出部13が配置されている。定着装置10から排出された用紙Pは、排出用用紙搬送路11を通って上方へ送られ、用紙排出口12から、本体2上面に設けられた用紙排出部13に排出される。
【0025】
続いて、プリンタ1の画像形成部20周辺の詳細な構成及びその動作について、図1に加えて、図2を用いて説明する。図2は、画像形成部周辺を示す垂直断面部分拡大左側面図である。
【0026】
図1及び図2に示すように、画像形成部20には、その中心に像担持体である感光体ドラム21が備えられている。そして、図2に示すように、感光体ドラム21の回転方向に沿って順に、帯電装置40、現像装置50、クリーニング装置60、及び除電装置70が配置されている。転写部30は、感光体ドラム21の回転方向に沿って、現像装置50とクリーニング装置70との間に設けられている。
【0027】
感光体ドラム21は、プリンタ1内の用紙搬送方向と直角をなす用紙幅方向、すなわち図2の紙面奥行き方向に延び、その軸線方向を水平にして配置されている。感光体ドラム21は、アルミニウム等により構成される導電性ローラ状基体の外側に、真空蒸着等によって無機光導電性材料であるアモルファスシリコンの感光層を設けた無機感光体のドラムである。また、感光体ドラム21は、ローラ状基体の外側に有機光導電体の感光層を設けた、所謂OPC感光体のドラムであっても構わない。感光体ドラム21は、図示しない駆動装置によって、その周速度が用紙搬送速度と同じになるように回転せしめられている。
【0028】
帯電装置40は、コロナ放電帯電器を用いたスコロトロン帯電装置である。また、同じくコロナ放電帯電器を用いたコロトロン帯電装置や、ローラまたはブラシ等を用いた接触帯電装置であっても構わない。この帯電装置40により、感光体ドラム21の表面が所定の極性及び電位で一様に帯電せしめられる。
【0029】
現像装置50は、そのハウジング51の内側に、現像ローラ52と、搬送スクリュー53と、攪拌スクリュー54とを備えている。現像ローラ52は、現像方式が接触、或いは非接触であって、感光体ドラム21の近傍に設けられている。現像ローラ52には、感光体ドラム21の帯電極性と同極性のバイアスが印加される。この現像ローラ52により、現像剤であるトナーが帯電せしめられるとともに感光体ドラム21の表面の静電潜像に移動せしめられ、静電潜像が現像される。トナーは、現像装置50の上方に設けられたトナー供給容器55(図1参照)に収容され、図示しない搬送手段により、攪拌スクリュー54の上方からハウジング51内に補給される。補給されたトナーは、現像装置50内において、攪拌スクリュー54及び搬送スクリュー53により、攪拌されながら現像ローラ52の箇所まで搬送される。
【0030】
転写部30には、転写部材である転写ローラ31が備えられている。この転写ローラ31が感光体ドラム21に圧接し、用紙Pを挿通させる転写ニップ部を形成する。転写ローラ31は、図示しない駆動装置によって、その周速度が感光体ドラム21の周速度と同じになるように回転せしめられている。また、転写ローラ31には、必要に応じて、感光体ドラム21やトナーの帯電極性とは異なる極性の転写バイアスが印加される。なお、図2において、用紙Pの搬送経路を二点鎖線で描画している。
【0031】
クリーニング装置60は、図2に示すように、感光体ドラム21の回転方向に沿って、転写ニップ部のさらに下流側に配置されている。クリーニング装置60は、そのハウジング61の内側に、クリーニングローラ62、クリーニングブレード63、及び回転部材であるトナー排出スクリュー64を備えている。クリーニングローラ62及びクリーニングブレード63は、感光体ドラム21に圧接し、用紙Pへのトナー像の転写後、感光体ドラム21表面に残留したトナーなどの付着物を除去してクリーニングする。感光体ドラム21表面から除去されたトナーは、ハウジング61内に一旦回収され、トナー排出スクリュー64により、クリーニング装置60の外部の図示しない廃棄トナー回収容器に排出される。
【0032】
除電装置70は、LED(発光ダイオード)71を備えている。LED71の代わりに、EL(エレクトロルミネッセンス)光源、蛍光灯等を用いることもできる。除電装置70は、LED71の除電光を感光体ドラム21に照射することにより、その表面の帯電電荷を除去し、次回の画像形成動作時における帯電工程のための準備を整える。
【0033】
以上のような構成及び動作を示すプリンタ1において、本発明の軸受構造は、トナーを用紙Pに転写した後、感光体ドラム21表面をクリーニングするクリーニング装置60の、回転部材であるトナー排出スクリュー64に対して備えられている。
【0034】
以下、この軸受構造の詳細について、図2に加えて、図3〜図5を用いて説明する。図3はクリーニング装置のトナー排出スクリューの箇所を示す垂直断面部分正面図、図4は図3のトナー排出スクリューの軸受構造の箇所を示す垂直断面部分拡大正面図、図5はトナー排出スクリューの軸部の端部の箇所を示す部分斜視図である。
【0035】
図2及び図3に示すクリーニング装置60に備えられたトナー排出スクリュー64は、両端部がハウジング61に支持され、その一端から回転のための動力が伝達される。
【0036】
トナー排出スクリュー64は、動力伝達側ではない側の端部において、その軸部64aが、図3に示すように、ハウジング61に対して軸受構造80を介して回転自在にして支持されている。軸受構造80は、図3〜図5に示すように、フランジ部81と、凹部82と、潤滑剤充填孔83とを備えている。
【0037】
フランジ部81は、トナー排出スクリュー64の、軸部64aの端部64bの箇所より軸線方向内側に設けられている。フランジ部81は、図5に示すように、軸部64aの周面から径方向外側に向かって延びる円盤状にして形成されている。
【0038】
凹部82は、トナー排出スクリュー64を支持するハウジング61の壁面61aに設けられている。凹部82は、壁面61aから窪んだ形にして形成され、フランジ部81より外側の軸部64aを収容可能であるとともに、フランジ部81の外径より小さい内径の円筒形状をなしている。トナー排出スクリュー64を壁面61aに支持させると、図3及び図4に示すように、フランジ部81の外側の側面が壁面61aに密着する形となる。そして、軸部64aの端部64bの箇所では、その径方向外側、及び軸線方向外側に、凹部82の内面との間に空間Sが形成される。
【0039】
潤滑剤充填孔83は、トナー排出スクリュー64の軸部64aの、端部64bの箇所に設けられている。潤滑剤充填孔83は、図4に示すように、第1の孔83aと、第2の孔83bとを備えている。第1の孔83aは、円筒形状をなし、端部64bの側面から、軸部64aの軸線に一致させて所定長さで掘られている。第2の孔83bは、円筒形状をなし、端部64bの周面から、軸部64aの軸線と直角をなす方向に貫通させて形成され、軸部64aの軸線に対して、径方向外側に孔の出入口が設けられている。
【0040】
クリーニング装置60の組み立て時、ハウジング61にトナー排出スクリュー64を取り付ける前に、潤滑剤充填孔83に潤滑剤を充填しておく。潤滑剤としては、比較的粘度の高いグリスなどが望ましい。そして、凹部82、すなわち図4に示す空間Sには潤滑剤を充填、或いは塗布することなく、そのまま軸部64aの端部64bの箇所を凹部82に挿入して、ハウジング61にトナー排出スクリュー64を取り付ける。
【0041】
上記のようにして、回転部材であるトナー排出スクリュー64の軸部64aの端部64bに対応する箇所に設けられ、トナー排出スクリュー64を、軸線まわりに回転自在にして支持する軸受構造80において、軸部64aの端部64bより軸線方向内側に設けられた円盤状のフランジ部81と、トナー排出スクリュー64を支持するハウジング61の壁面61aから窪んだ形にして形成され、フランジ部81より外側の軸部64aを収容可能であるとともに、フランジ部81の外径より小さい内径の円筒形状の凹部82と、軸部64aの端部64bの箇所に設けられた潤滑剤充填孔83とを備えているので、クリーニング装置60の組み立て時、凹部82自体にではなく、潤滑剤充填孔83に潤滑剤を充填しておくことができる。これにより、潤滑剤に表面張力を作用させることができ、クリーニング装置60の組み立て後、使用を開始するまでに潤滑剤が凹部82から漏れ出すのを防止することが可能である。そして、クリーニング装置60の使用開始時、潤滑剤充填孔83に充填された潤滑剤は、トナー排出スクリュー64を回転させることにより軸部64aに作用する遠心力で、少しずつ潤滑剤充填孔83から吐出させることができる。したがって、小型化、低コスト化が図られ、軸部64aの端部64bを受ける凹部82から潤滑剤が漏れ出し、潤滑剤が不足するような事態の発生を防止することができ、好適な回転性能を得ることが可能な軸受構造80を提供することができる。
【0042】
さらに、潤滑剤充填孔83は、軸部64aの軸線に対して、径方向外側に孔の出入口が設けられているので、潤滑剤を、遠心力によって潤滑剤充填孔83から吐出させる作用を高めることができる。これにより、クリーニング装置60の使用開始時、迅速に潤滑作用を向上させることが可能である。したがって、一層好適な回転性能を得ることが可能な軸受構造80を提供することができる。
【0043】
また本発明では、上記軸受構造80を像担持体である感光体ドラム21のクリーニング装置60に備えたので、クリーニング装置60に設けられたトナー排出スクリュー64の軸受構造80に関して、小型化、低コスト化が図られ、軸部64aの端部64bを受ける凹部82から潤滑剤が漏れ出し、潤滑剤が不足するような事態の発生を防止することができ、好適な回転性能を得ることが可能な信頼性の高いクリーニング装置60を得ることができる。
【0044】
また本発明では、上記軸受構造80を画像形成装置であるプリンタ1に備えたので、プリンタ1に設けられたトナー排出スクリュー64の軸受構造80に関して、小型化、低コスト化が図られ、軸部64aの端部64bを受ける凹部82から潤滑剤が漏れ出し、潤滑剤が不足するような事態の発生を防止することができ、好適な回転性能を得ることが可能な信頼性の高いプリンタ1を得ることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0046】
例えば、プリンタ1は、上記実施形態ではブラックトナーのみを使用したモノクロ印刷用の画像形成装置であるが、このような機種に限定されるわけではなく、中間転写ベルトを備え、複数色を重ね合わせて画像形成すること可能なタンデム方式、或いはロータリーラック方式のカラー印刷用画像形成装置であっても構わない。
【0047】
また、上記実施形態では、本発明の軸受構造をクリーニング装置60のトナー排出スクリュー64に対して適用した形態を、一例として掲げたが、他の回転部材に対して適用することも可能である。トナー排出スクリュー64のほかの例としては、図2に示したような、同じクリーニング装置60のクリーニングローラ62や、現像装置50の現像ローラ52、搬送スクリュー53、攪拌スクリュー54、さらに感光体ドラム21、転写ローラ31、レジストローラ8(図1参照)に対しても、本発明の軸受構造を適用することができる。これにより、プリンタ1の各所に設けられた回転部材の軸受構造に関して、軸部の滑りが良好になり、耐摩耗性が高められ、不快な騒音の発生を防止することが可能であるとともに、トナーの凝集、固着に起因する、回転部材の回転トルク増大、回転ロックの発生を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、回転部材の軸部の端部の箇所に設けられた、回転部材を、軸線まわりに回転自在にして支持する軸受構造において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係る軸受構造を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概略構造を示す模型的垂直断面左側面図である。
【図2】図1のプリンタの画像形成部周辺を示す垂直断面部分拡大左側面図である。
【図3】図2のクリーニング装置のトナー排出スクリューの箇所を示す垂直断面部分正面図である。
【図4】図3のトナー排出スクリューの軸受構造の箇所を示す垂直断面部分拡大正面図である。
【図5】図4のトナー排出スクリューの軸部の端部の箇所を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 プリンタ(画像形成装置)
20 画像形成部
21 感光体ドラム(像担持体)
60 クリーニング装置
61 ハウジング
61a 壁部
62 クリーニングローラ
64 トナー排出スクリュー(回転部材)
64a 軸部
64b 端部
80 軸受構造
81 フランジ部
82 凹部
83 潤滑剤充填孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部材の軸部の端部に対応する箇所に設けられ、回転部材を、軸線まわりに回転自在にして支持する軸受構造において、
前記軸部の端部より軸線方向内側に設けられた円盤状のフランジ部と、回転部材を支持する壁面から窪んだ形にして形成され、前記フランジ部より外側の軸部を収容可能であるとともに、フランジ部の外径より小さい内径の円筒形状の凹部と、軸部の端部の箇所に設けられた潤滑剤充填孔とを備えることを特徴とする軸受構造。
【請求項2】
前記潤滑剤充填孔は、前記軸部の軸線に対して、径方向外側に孔の出入口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の軸受構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の軸受構造を備えたことを特徴とする像担持体のクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の軸受構造を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−2578(P2010−2578A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160339(P2008−160339)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】