軸受装置及び工作機械用主軸装置
【課題】微量のグリースが給脂されるグリース潤滑においても、グリースの攪拌抵抗に起因する異常昇温を防止し、且つ長寿命を達成することができる軸受装置及び工作機械用主軸装置を提供する。
【解決手段】外輪21に形成された補給孔27及びハウジング106に形成された給脂孔13は、ハウジングの内周面または外輪21の外周面に形成された円周溝26によって連通されており、補給孔27及び給脂孔13の孔径d1、d2が1.5mm以上、且つ10mm以下に設定されている。また、保持器24の案内面と、該案内面と対向する外輪21の内周面との案内隙間gが直径で0.2〜1.0mmに設定されており、補給孔27の開口部における軸方向内側端は、保持器24の案内面の軸方向内側端に対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、保持器24の案内面の軸方向外側端に対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置する。
【解決手段】外輪21に形成された補給孔27及びハウジング106に形成された給脂孔13は、ハウジングの内周面または外輪21の外周面に形成された円周溝26によって連通されており、補給孔27及び給脂孔13の孔径d1、d2が1.5mm以上、且つ10mm以下に設定されている。また、保持器24の案内面と、該案内面と対向する外輪21の内周面との案内隙間gが直径で0.2〜1.0mmに設定されており、補給孔27の開口部における軸方向内側端は、保持器24の案内面の軸方向内側端に対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、保持器24の案内面の軸方向外側端に対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受装置及び工作機械用主軸装置に関し、より詳細には、高速回転する工作機械の主軸や高速モータ等において、微量のグリース給脂によりグリース潤滑される転がり軸受を備える軸受装置及び工作機械用主軸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械の主軸装置などに使用される転がり軸受では、高速回転性、長寿命と共に、加工精度向上のため、振動、音響等の特性に対しても高い性能が要求されている。このような転がり軸受の潤滑には、取り扱い易く、環境面やコスト面で有利なグリース潤滑が採用されている。
【0003】
従来、グリース潤滑の転がり軸受としては、発熱しないように、初期段階で封入したグリースのみで潤滑されるものが利用されている。また、グリースを封入した初期段階で、グリースの慣らし運転を行わずに高速回転させると、グリースの噛み込みや攪拌抵抗により異常発熱を起こすため、数時間をかけて慣らし運転を行ってグリースを最適な状態にしている。
【0004】
また、近年、工作機械の主軸装置では、高速化が益々進み、主軸を支持する転がり軸受はdmN(=(軸受内径+軸受外径)÷2×回転速度(rpm))100万以上という環境で使用されることが珍しくなくなっている。グリース潤滑の転がり軸受は、オイルエアやオイルミスト等の油潤滑のものと比較すると高速回転における寿命が短い傾向がある。このため、最近では、転がり軸受の回転中にもグリースの補給する方式が採用されている。ただし、高速回転で使用される転がり軸受では、グリース補給量が多いと、給脂時の余剰グリースの油分が転がり接触部で攪拌され、異常発熱を起こし易い。特に、円筒ころ軸受の場合は、軌道面と転動体との接触部が線接触であるため、点接触の玉軸受と比較して発熱し易く、1回当たり補給量が0.005〜0.1cm3、好ましくは、0.005〜0.02cm3の微量のグリースを補給する必要がある。
【0005】
従来、グリース潤滑される軸受装置としては、外輪間座を介して軸受内輪側からグリースを給脂するようにして、過剰なグリース供給を防止し、グリースの撹拌抵抗に伴う発熱を抑制するようにした転がり軸受装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、特許文献2に記載の軸受装置では、円筒ころ軸受において、保持器の円環部外周面に向けて開口する直径0.1〜5mmの補給孔が外輪に形成されると共に、一回のグリース総補給量を規制して、多量のグリースが軸受空間に供給されることを防止し、グリースの噛み込みや攪拌抵抗による温度の脈動や異常昇温を防止することが記載されている。また、保持器の円環部外周面には、複数の凹状切欠部が円周方向に形成され、余剰のグリースを軸受空間から凹状切欠部を介して外部へ排出すると共に、凹状切欠部間の案内突片によってグリースを均一に慣らすことで、グリース補給時の異常昇温を防止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−271843号公報
【特許文献2】特開2008−121888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載の軸受装置は、多量のグリース給脂を前提とした技術であり、転がり軸受にグリースが供給される際、過剰なグリースを軸受外に排出してグリースの撹拌抵抗による発熱の抑制を図っており、グリース消費量が多くなる問題があった。
【0009】
一方、特許文献2に記載の軸受装置では、回転中のグリース補給の際の異常昇温を防止するために1回当たりのグリース補給量を規制することは開示されているが、給脂量を少なくすると、グリースが給脂経路内に滞留する時間が長くなり、グリースの基油分が分離してしまい、また、分離した基油分が嵌合部からリークするなどして、給脂経路内で固化する場合があり、確実に給脂できなくなる虞があった。
【0010】
また、特許文献2に記載の軸受装置では、外輪の内周面と保持器の案内面との間の案内隙間や、補給孔の軸方向位置については具体的に規定されていなかった。
【0011】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、微量のグリースが給脂されるグリース潤滑においても、安定してグリースを給脂することができ、グリースの攪拌抵抗に起因する異常昇温を防止し、且つ長寿命を達成することができる軸受装置及び工作機械用主軸装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 径方向に貫通する少なくとも1つの補給孔が形成された外輪と、前記外輪によって案内される保持器と、を有する転がり軸受と、
前記外輪が嵌合する内周面に開口する少なくとも1つの給脂孔が形成されたハウジングと、
を備え、前記給脂孔及び前記補給孔を介して供給されるグリースによって前記転がり軸受がグリース潤滑される軸受装置であって、
前記ハウジングの内周面または前記外輪の外周面には、前記給脂孔と前記補給孔とが連通するように円周溝が形成されており、
前記給脂孔及び前記補給孔の孔径は、1.5mm以上、且つ10mm以下であり、
前記保持器の案内面と、該案内面と対向する前記外輪の内周面との案内隙間が直径で0.2〜1.0mmに設定されており、且つ、
前記補給孔の開口部における軸方向内側端は、前記保持器の案内面の軸方向内側端に対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、前記保持器の案内面の軸方向外側端に対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置することを特徴とする軸受装置。
(2)前記転がり軸受に供給される前記グリースの1回当たり供給量は、0.005〜0.02cm3であることを特徴とする上記(1)に記載の軸受装置。
(3)上記(1)または(2)に記載の軸受装置を備えることを特徴とする工作機械用主軸装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明の軸受装置によれば、外輪に形成された補給孔及びハウジングに形成された給脂孔は、ハウジングの内周面または外輪の外周面に形成された円周溝によって連通されており、補給孔及び給脂孔の孔径が1.5mm以上、且つ10mm以下に設定されている。また、保持器の案内面と、該案内面と対向する外輪の内周面との案内隙間が直径で0.2〜1.0mmに設定されており、補給孔の開口部における軸方向内側端は、保持器の案内面の軸方向内側端に対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、保持器の案内面の軸方向外側端に対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置する。従って、給脂されたグリースは案内面を潤滑しつつ、回転とともに薄い膜状に伸ばされ、グリース基油成分が徐々に外輪軌道面を通じて転がり接触部に供給される。これにより、微量のグリースが給脂されるグリース潤滑においても、安定してグリースを給脂することができ、また、グリースの攪拌抵抗に起因する異常昇温を防止し、軸受装置を長寿命とすることができる。
【0014】
また、転がり軸受に供給されるグリースの1回当たり供給量は、0.005〜0.02cm3であるので、グリースの攪拌抵抗に起因する異常発熱や温度の脈動の発生を抑制して、安定した高速回転が可能となる。
【0015】
また、本発明の工作機械用主軸装置によれば、主軸が、1回当たり供給量が0.005〜0.02cm3の極微量のグリースで潤滑される軸受装置によって支持されているので、攪拌抵抗に起因する異常発熱や温度の脈動がなく、高精度での加工が可能となる。
また、本発明のグリース補給方式の採用によって、軸受の停止中のみならず、軸受の回転中において補給しても、異常発熱や温度の脈動は発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る軸受装置が適用される工作機械用主軸装置の縦断面図である。
【図2】図1に示す工作機械用主軸装置の前側軸受付近の要部拡大図である。
【図3】図1に示す工作機械用主軸装置の後側軸受付近の要部拡大図である。
【図4】図3の円筒ころ軸受に使用される保持器を示す斜視図である。
【図5】(a)及び(b)は、本実施形態の補給孔の位置を説明するための要部拡大断面図である。
【図6】(a)及び(b)は、比較例としての補給孔の位置を説明するための要部拡大断面図である。
【図7】円筒ころ軸受に使用される保持器の変形例を示す斜視図である。
【図8】図7の保持器が適用された円筒ころ軸受の断面図である。
【図9】円筒ころ軸受に使用される保持器の他の変形例を示す斜視図である。
【図10】図9の保持器が適用された円筒ころ軸受の断面図である。
【図11】軸受装置評価試験機の全体構成図である。
【図12】補給孔の位置を変更した条件A〜Gの保持器と、各保持器にグリースを補給した場合の脈動の有無を示す表である。
【図13】図12の条件A〜Gの保持器を用いた、グリース補給試験での耐久時間を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る軸受装置及びそれを用いた工作機械用主軸装置の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の軸受装置が適用される工作機械用主軸装置の縦断面図である。図1に示すように、主軸装置100の主軸101は、転がり軸受であるアンギュラ玉軸受40及び円筒ころ軸受20によって主軸ハウジング103内に支持されている。
【0019】
主軸ハウジング103は、ハウジング本体104と、ハウジング本体104の前端(図中左側)に内嵌固定された前側軸受ハウジング105と、ハウジング本体104の後側(図中右側)に内嵌固定された後側軸受ハウジング106とを備えている。前側軸受ハウジング105の端部には、外輪押さえ部材107及び内輪押さえ部材108が設けられており、外輪押さえ部材107と内輪押さえ部材108との間には、ラビリンスが形成されている。主軸ハウジング103の後端面は、カバー109によって覆われている。
【0020】
図2にも示すように、前側軸受ハウジング105に内嵌する4つのアンギュラ玉軸受40は、外輪41、内輪42、外輪41及び内輪42間に接触角を持って転動自在に配置される転動体としての複数の玉43、及び該玉43を円周方向に等間隔に保持する保持器44、を備える。また、図3に示すように、後側軸受ハウジング106に内嵌する1つの円筒ころ軸受20も、外輪21、内輪22、外輪21及び内輪22間に転動自在に配置される転動体としての複数のころ23、及び該ころ23を円周方向に等間隔に保持する保持器24(図4参照。)、を備える。4つのアンギュラ玉軸受40の外輪41間には、外輪間座110が配置されており、また内輪42間には、内輪間座111が配置されている。さらに、円筒ころ軸受20の外輪21の軸方向一側にも、外輪間座112が配置されており、内輪22の軸方向両側にも内輪間座113が配置されている。なお、本実施形態では、アンギュラ玉軸受40及び前側軸受ハウジング105が、また、円筒ころ軸受20及び後側軸受ハウジング106が、それぞれ本発明の軸受装置を構成する。
【0021】
主軸101の軸方向の略中央部には、ロータ120が外嵌固定されている。ロータ120の外周面側には、ステータ121が所定距離離れて同軸配置されている。ステータ121は、ステータ121の外周面側に配置されたステータ固定部材122を介してハウジング本体104に固定されている。ハウジング本体104とステータ固定部材122との間には、主軸101の周方向に沿う方向に複数の溝123が形成されている。この複数の溝123内には、ステータ121の冷却用の冷媒が流される。
【0022】
同様に、前側軸受ハウジング105と該ハウジング105に外嵌する冷却スリーブ125との間であって、アンギュラ玉軸受40の外周側にあたる部位には、ハウジング及び軸受冷却用の冷媒が流される複数の溝124が形成されている。
【0023】
この主軸ハウジング103の後端面には、転がり軸受40,20のそれぞれにグリース供給を行うためのグリースが供給される複数のグリース供給口132が周方向に沿って開口している(図1には一つのみ図示)。これら複数のグリース供給口132は、ハウジング本体104、前側軸受ハウジング105及び後側軸受ハウジング106内に形成された複数のグリース供給路133a〜133fにそれぞれ連通している(図1では、便宜上、各グリース供給路133a〜133fを同一断面に図示している)。これにより、本実施形態の主軸装置100は、外部に設けられたグリース補給器130からグリース供給管131を介して主軸ハウジング103内にグリースを供給する。
【0024】
グリース供給路133a,133bは、円筒ころ軸受20の外輪21が嵌合する内周面に開口しており、グリース供給路133c〜133fは、各アンギュラ玉軸受40の外輪41が嵌合する内周面に開口している。各グリース供給路133a〜133fは、各軸受,40,20の外輪41,21に形成された補給孔47,27に後述する円周溝46,26を介して連通している。これにより、グリース補給器130から供給されたグリースは、補給孔47,27を介して各軸受40,20の軸受空間内部に独立して供給される。
【0025】
グリース補給器130は、各軸受40,20に対して独立にグリース供給可能に構成されている。すなわち、グリース補給器130は、適宜なタイミングで(間欠的または定期的に)、各軸受40,20にグリースショットする。補給されたグリースは、アンギュラ玉軸受40内部の玉43及び円筒ころ軸受20内部の円筒ころ23の転動に伴い、軸受40及び20内部全体に馴染み、不足したグリースを補う。なお、円筒ころ軸受20は、アンギュラ玉軸受40よりも温度の脈動が顕著に起こりやすいため、一回の補給量はアンギュラ玉軸受への補給量よりも少なくするとより良い。
【0026】
図3及び図4に示すように、円筒ころ軸受20にグリースを供給するためのグリース供給路133a,133bを構成する、後側軸受ハウジング106に形成された給脂孔13の孔径d1は、1.5mm以上10mm以下、好ましくは1.5mm以上7mm以下に設定されている。
【0027】
また、円筒ころ軸受20の外輪21には、2つの補給孔27が、外輪21の内外周面を径方向に貫通して形成されており、各補給孔27を含む軸方向位置の外周面には、2つの円周溝26が形成されている。これら各補給孔27の孔径d2も、1.5mm以上10mm以下、好ましくは1.5mm以上7mm以下に設定されている。
【0028】
円周溝26は、補給孔27の孔径d2より広い幅を有し、その断面積は補給孔27の断面積より大きいことが、グリースの流動性を確保する上から好ましい。円周溝26は、給脂孔13と補給孔27を連通させるための溝であり、ハウジング106の内周面に形成されてもよい。
【0029】
図4に示すように、円筒ころ軸受20の外輪案内型の樹脂製保持器24は、一対の円環部31及び一対の円環部31を軸方向に連結する複数の柱部32を有し、複数の円筒ころ23を回転自在にそれぞれ保持する複数のポケット部33を形成する。また、柱部32の円周方向両側の軸方向中間部には、円筒ころ23を確実に保持するためのころ止め部34が、柱部32の径方向外面から突出するように設けられている。
【0030】
保持器24の円環部31の外周面には、複数の凹状切欠部35が円周方向に離間して形成されており、従って、円環部31には、隣接する凹状切欠部35間でそれぞれ径方向に突出する複数の案内突片36が形成されている。また、一方の円環部31の案内突片36と、他方の円環部31の案内突片36とが、円周方向において、左右交互に千鳥状に配置されながら、円周方向にそれぞれ所定の間隔で設けられている。
【0031】
また、図5(a)、(b)に示すように、案内突片36の外周面と外輪21の内周面との間には、直径隙間で0.2〜1.0mmの案内隙間gが形成され、案内突片36の外周面が、外輪21の内周面と摺接することで保持器24を案内する案内面37を構成する。
【0032】
また、このように形成された保持器24に対して、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aは、保持器24の案内面37の軸方向内側端37aに対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に(図5(a)参照)、保持器24の案内面37の軸方向外側端37bに対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置する(図5(b)参照)。
【0033】
このように構成されることで、外輪21の補給孔27から給脂されたグリースの一部は、保持器24の案内面37に付着し、案内面37を潤滑するとともに、回転とともに保持器24の案内面37と外輪21の内周面との間で薄い膜状に伸ばされる。そして、グリース基油成分が案内隙間gを伝って徐々に移動し、最終的に転がり接触部に供給される。また、凹状切欠部35は、軸受空間内の余剰のグリースを外側に排出するように作用する。
【0034】
一方、図6(a)に示すように、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aが、保持器24の案内面37の軸方向内側端37aに対して軸方向において軌道面寄りとなった場合には、一定の体積を持ったグリースが直接外輪軌道面に供給されてしまい、回転中に大きな攪拌抵抗を持ってしまい、瞬間的な異常昇温(インパルス状の脈動)が発生してしまう。また、図6(b)に示すように、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aが、保持器24の案内面37の軸方向外側端37bに対して軸方向において端面寄りとなった場合には、保持器24の案内面37にグリースが付着せず、転がり接触部にグリースが到達し難くなる。
【0035】
また、保持器24は、同じ円周方向位置において、一方の円環部31では、案内突片36の案内面37と外輪21の内周面との間に案内隙間g/2が形成されるのに対して、他方の円環部31では、凹状切欠部35の外周面と外輪21の内周面との間に隙間G/2(Gは直径隙間)が形成される。このため、この隙間Gから潤滑油をスムーズに排出することができ、隙間gと隙間Gの大きさが異なることにより両円環部31間で圧力差が生じて空気の対流が起こり、対流作用により潤滑剤の排出が促進される。したがって、高速回転時の異常昇温を抑制でき、グリース潤滑を行う場合にも慣らし運転の時間を短縮することができる。
【0036】
また、図2に示すように、各アンギュラ玉軸受40にグリースを供給するための構成も円筒ころ軸受20の場合とほぼ同様である。即ち、グリース供給路133c〜133fを構成する、前側軸受ハウジング105に形成された給脂孔13の孔径d1は、1.5mm以上10mm以下、好ましくは1.5mm以上7mm以下に設定されている。
【0037】
また、アンギュラ玉軸受40の外輪41には、孔径d2が1.5mm以上10mm以下、好ましくは1.5mm以上7mm以下に設定された補給孔47が、外輪41の内外周面を径方向に貫通して形成されている。さらに、補給孔47を含む軸方向位置の外周面には、補給孔47の孔径d2より広い幅を有し、その断面積は補給孔47の断面積より大きい円周溝46が形成されている。
【0038】
この場合にも、保持器44の外周面と外輪21の内周面との間には、直径隙間で0.2〜1.0mmの案内隙間gが形成され、保持器44の外周面が、外輪21の内周面と摺接することで保持器44を案内する案内面48を構成する。
【0039】
また、このように形成された保持器44において、補給孔47の軸方向内側端47aは、保持器44の案内面48の軸方向内側端48aに対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、保持器44の案内面48の軸方向外側端48bに対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置する。
【0040】
このように構成された工作機械用主軸装置では、グリースの撹拌抵抗による温度上昇の防止、高い振動特性及び音響特性を達成するため、1回当たりのグリース給脂量が、0.005〜0.1cm3、好ましくは、0.005〜0.02cm3の極微量のグリースによって潤滑される。なお、対象とするグリースとしては、工作機械主軸装置用軸受の場合、温度上昇が抑えられ、低トルクであることが要求されるので、ちょう度が2号、又は3号(JIS K2220 5.3)で、基油粘度が15〜120mm2/S(40℃)が選定される。
【0041】
1回当たりのグリース給脂量が、0.005〜0.1cm3の極微量のグリースによって潤滑される場合、グリースが給脂経路内に滞留する時間が長くなり、経年変化によって基油や増ちょう剤がグリースから分離して給脂経路内で固化し、グリースの流動性が低下したり、グリース固化による流路抵抗(グリースと給脂経路の内壁との摩擦抵抗)の増加によって、安定した給脂できなくなる場合がある。
【0042】
給脂孔13及び補給孔27の孔径d1、d2を1.5mm以上、且つ10mm以下としたのは、孔径d1、d2が1.5mm以下だと、経年変化によってグリースが固化(流動性の低下)したとき、流動抵抗の増加によってグリースの安定した給脂が困難となるからである。
【0043】
また、孔径d1、d2を10mm以上にすると、2つの給脂孔13及び補給孔27を、同位相で軸方向に並べて配置することがスペース上の問題から実質的に困難となるからである。即ち、工作機械用主軸装置に一般的に使用される転がり軸受は、内径30mm程度のものが最小であり、孔径としては10mm以下、好ましくは、7mm程度が好適である。また、給脂孔13の孔径d1が大きいと、外輪21の外周面端部に面取り部が形成される場合、給脂孔13と面取り部との隙間からグリース、特に、グリース中の基油分が漏れ出す虞があり、好ましくない。
【0044】
以上説明したように、円筒ころ軸受20と後側軸受ハウジング106を備えた軸受装置、又はアンギュラ玉軸受40と前側軸受ハウジング105を備えた軸受装置によれば、外輪21、41に形成された補給孔47及びハウジング105,106に形成された給脂孔13は、ハウジング105,106の内周面または外輪41の外周面に形成された円周溝46によって連通されており、補給孔47及び給脂孔13の孔径d1、d2が1.5mm以上、且つ10mm以下に設定されている。また、保持器24の案内面37と、該案内面37と対向する外輪21の内周面との案内隙間gが直径で0.2〜1.0mmに設定されており、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aは、保持器24の案内面37の軸方向内側端37aに対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、保持器24の案内面37の軸方向外側端37bに対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置する。従って、給脂されたグリースは案内面37を潤滑しつつ、回転とともに薄い膜状に伸ばされ、グリース基油成分が徐々に外輪軌道面を通じて転がり接触部に供給される。これにより、微量のグリースが給脂されるグリース潤滑においても、安定してグリースを給脂することができ、また、グリースの攪拌抵抗に起因する異常昇温を防止し、軸受装置を長寿命とすることができる。
【0045】
尚、本発明は、前述した各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0046】
例えば、円筒ころ軸受20の保持器24は、図7及び図8に示すように、一対の円環部31の外周面が一様外径を有する構成であってもよく、図9及び図10に示すように、一対の円環部31の案内突片36が、円周方向において、同じ位相で、それぞれ所定の間隔で設けられていてもよい。いずれの場合にも、保持器24の案内面37と、該案内面37と対向する外輪21の内周面との案内隙間gが直径で0.2〜1.0mmに設定されており、且つ、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aは、保持器24の案内面37の軸方向内側端37aに対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、保持器24の案内面37の軸方向外側端37bに対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置する。
【0047】
また、補給孔27は、軸受空間に開口する開口部の軸方向内側端27aが、保持器24の案内面37と上記の位置関係を有するものであればよく、補給孔27自体は、径方向に貫通するものであれば傾斜する形状であってもよい。
【0048】
また、上記説明においては、本発明の軸受装置を円筒ころ軸受、及び玉軸受に適用したものとして説明したが、これに限定されず、グリース潤滑される任意の形式の転がり軸受に適用可能であり、同様の効果を奏する。
【0049】
さらに、本実施形態では、本発明の軸受装置を工作機械用主軸装置に適用した場合について説明したが、高速モータに適用することも可能である。
【実施例】
【0050】
本発明の効果を確認するため、補給孔の位置がそれぞれ異なる円筒ころ軸受を、図11に示す軸受装置評価試験機に組み込んで比較試験を行った。
【0051】
図11に示すように、軸受装置評価試験機200は、一対の玉軸受203、203と、ハウジング201に内嵌する試供円筒ころ軸受205とによって、回転軸202が回転自在に支持されている。
【0052】
ハウジング201には、孔径d1が3.0mmの給脂孔204が設けられており、一方、孔径d2が1.5mmの補給孔が円筒ころ軸受205の外輪に設けられており、外部に配置された不図示のグリース補給装置から1ショット当たり0.01cm3のグリースが6時間置きに供給される。使用グリースは、基油粘度:20mm2/S(40℃)、ちょう度:2号(JIS K2220 5.3)とした。
【0053】
試供ころ軸受205は、いずれも呼び番号がN1012(内径60mm、外径95mm、幅18mm)の単列円筒ころ軸受であり、組み込み時のラジアル隙間を0μm、回転軸202の駆動方式をベルト駆動とし、冷却を行わずに試験を行った。
【0054】
上記条件にてグリース補給を行ったところ、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aの位置を保持器24の案内面37の軸方向内側端に対して軸方向において軌道面寄りに位置させた、条件Aの円筒ころ軸受20では、給脂タイミングに併せて、軸受外輪の温度上昇値が脈動する現象が現れた(図12参照。)これは、給脂されるグリースが案内面37よりはみ出て軸受内部に直接供給されてしまったことにより、攪拌抵抗が増加したことによるものである。また、耐久時間が約100時間経過後に、補給量過多による異常発熱が発生した。
【0055】
また、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aを、保持器24の案内面37の軸方向外側端37bに対して軸方向において端面寄りに位置させた、条件Gの円筒ころ軸受20では、耐久時間が約1000時間経過後に、焼付きが発生した。これは、軸受内に十分なグリースが補給されておらず、潤滑不良が発生したことによるものである。
【0056】
一方、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aを、保持器24の案内面37の軸方向内側端37aに対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、保持器24の案内面37の軸方向外側端37bに対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置する、条件B〜Fの円筒ころ軸受20では、いずれも耐久時間が5000時間を越えており、補給するタイミングにおいて外輪の温度が上昇する脈動の現象は発生していないことから、軸受内部にグリースが適切に補給されたことがわかる。
また、上記の結果は、図4に示す案内突片36が千鳥状に配置された保持器を用いた場合であるが、図7や図9に示す保持器においても同様の結果が得られることが、確認できた。
【符号の説明】
【0057】
13 給脂孔
20 円筒ころ軸受(転がり軸受)
21,41 外輪
24,44 保持器
26,46 円周溝
27,47 補給孔
37,48 案内面
40 アンギュラ玉軸受(転がり軸受)
100 工作機械用主軸装置
105 前側軸受ハウジング(ハウジング)
106 後側軸受ハウジング(ハウジング)
d1 給脂孔の孔径
d2 補給孔の孔径
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受装置及び工作機械用主軸装置に関し、より詳細には、高速回転する工作機械の主軸や高速モータ等において、微量のグリース給脂によりグリース潤滑される転がり軸受を備える軸受装置及び工作機械用主軸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械の主軸装置などに使用される転がり軸受では、高速回転性、長寿命と共に、加工精度向上のため、振動、音響等の特性に対しても高い性能が要求されている。このような転がり軸受の潤滑には、取り扱い易く、環境面やコスト面で有利なグリース潤滑が採用されている。
【0003】
従来、グリース潤滑の転がり軸受としては、発熱しないように、初期段階で封入したグリースのみで潤滑されるものが利用されている。また、グリースを封入した初期段階で、グリースの慣らし運転を行わずに高速回転させると、グリースの噛み込みや攪拌抵抗により異常発熱を起こすため、数時間をかけて慣らし運転を行ってグリースを最適な状態にしている。
【0004】
また、近年、工作機械の主軸装置では、高速化が益々進み、主軸を支持する転がり軸受はdmN(=(軸受内径+軸受外径)÷2×回転速度(rpm))100万以上という環境で使用されることが珍しくなくなっている。グリース潤滑の転がり軸受は、オイルエアやオイルミスト等の油潤滑のものと比較すると高速回転における寿命が短い傾向がある。このため、最近では、転がり軸受の回転中にもグリースの補給する方式が採用されている。ただし、高速回転で使用される転がり軸受では、グリース補給量が多いと、給脂時の余剰グリースの油分が転がり接触部で攪拌され、異常発熱を起こし易い。特に、円筒ころ軸受の場合は、軌道面と転動体との接触部が線接触であるため、点接触の玉軸受と比較して発熱し易く、1回当たり補給量が0.005〜0.1cm3、好ましくは、0.005〜0.02cm3の微量のグリースを補給する必要がある。
【0005】
従来、グリース潤滑される軸受装置としては、外輪間座を介して軸受内輪側からグリースを給脂するようにして、過剰なグリース供給を防止し、グリースの撹拌抵抗に伴う発熱を抑制するようにした転がり軸受装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、特許文献2に記載の軸受装置では、円筒ころ軸受において、保持器の円環部外周面に向けて開口する直径0.1〜5mmの補給孔が外輪に形成されると共に、一回のグリース総補給量を規制して、多量のグリースが軸受空間に供給されることを防止し、グリースの噛み込みや攪拌抵抗による温度の脈動や異常昇温を防止することが記載されている。また、保持器の円環部外周面には、複数の凹状切欠部が円周方向に形成され、余剰のグリースを軸受空間から凹状切欠部を介して外部へ排出すると共に、凹状切欠部間の案内突片によってグリースを均一に慣らすことで、グリース補給時の異常昇温を防止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−271843号公報
【特許文献2】特開2008−121888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載の軸受装置は、多量のグリース給脂を前提とした技術であり、転がり軸受にグリースが供給される際、過剰なグリースを軸受外に排出してグリースの撹拌抵抗による発熱の抑制を図っており、グリース消費量が多くなる問題があった。
【0009】
一方、特許文献2に記載の軸受装置では、回転中のグリース補給の際の異常昇温を防止するために1回当たりのグリース補給量を規制することは開示されているが、給脂量を少なくすると、グリースが給脂経路内に滞留する時間が長くなり、グリースの基油分が分離してしまい、また、分離した基油分が嵌合部からリークするなどして、給脂経路内で固化する場合があり、確実に給脂できなくなる虞があった。
【0010】
また、特許文献2に記載の軸受装置では、外輪の内周面と保持器の案内面との間の案内隙間や、補給孔の軸方向位置については具体的に規定されていなかった。
【0011】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、微量のグリースが給脂されるグリース潤滑においても、安定してグリースを給脂することができ、グリースの攪拌抵抗に起因する異常昇温を防止し、且つ長寿命を達成することができる軸受装置及び工作機械用主軸装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 径方向に貫通する少なくとも1つの補給孔が形成された外輪と、前記外輪によって案内される保持器と、を有する転がり軸受と、
前記外輪が嵌合する内周面に開口する少なくとも1つの給脂孔が形成されたハウジングと、
を備え、前記給脂孔及び前記補給孔を介して供給されるグリースによって前記転がり軸受がグリース潤滑される軸受装置であって、
前記ハウジングの内周面または前記外輪の外周面には、前記給脂孔と前記補給孔とが連通するように円周溝が形成されており、
前記給脂孔及び前記補給孔の孔径は、1.5mm以上、且つ10mm以下であり、
前記保持器の案内面と、該案内面と対向する前記外輪の内周面との案内隙間が直径で0.2〜1.0mmに設定されており、且つ、
前記補給孔の開口部における軸方向内側端は、前記保持器の案内面の軸方向内側端に対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、前記保持器の案内面の軸方向外側端に対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置することを特徴とする軸受装置。
(2)前記転がり軸受に供給される前記グリースの1回当たり供給量は、0.005〜0.02cm3であることを特徴とする上記(1)に記載の軸受装置。
(3)上記(1)または(2)に記載の軸受装置を備えることを特徴とする工作機械用主軸装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明の軸受装置によれば、外輪に形成された補給孔及びハウジングに形成された給脂孔は、ハウジングの内周面または外輪の外周面に形成された円周溝によって連通されており、補給孔及び給脂孔の孔径が1.5mm以上、且つ10mm以下に設定されている。また、保持器の案内面と、該案内面と対向する外輪の内周面との案内隙間が直径で0.2〜1.0mmに設定されており、補給孔の開口部における軸方向内側端は、保持器の案内面の軸方向内側端に対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、保持器の案内面の軸方向外側端に対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置する。従って、給脂されたグリースは案内面を潤滑しつつ、回転とともに薄い膜状に伸ばされ、グリース基油成分が徐々に外輪軌道面を通じて転がり接触部に供給される。これにより、微量のグリースが給脂されるグリース潤滑においても、安定してグリースを給脂することができ、また、グリースの攪拌抵抗に起因する異常昇温を防止し、軸受装置を長寿命とすることができる。
【0014】
また、転がり軸受に供給されるグリースの1回当たり供給量は、0.005〜0.02cm3であるので、グリースの攪拌抵抗に起因する異常発熱や温度の脈動の発生を抑制して、安定した高速回転が可能となる。
【0015】
また、本発明の工作機械用主軸装置によれば、主軸が、1回当たり供給量が0.005〜0.02cm3の極微量のグリースで潤滑される軸受装置によって支持されているので、攪拌抵抗に起因する異常発熱や温度の脈動がなく、高精度での加工が可能となる。
また、本発明のグリース補給方式の採用によって、軸受の停止中のみならず、軸受の回転中において補給しても、異常発熱や温度の脈動は発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る軸受装置が適用される工作機械用主軸装置の縦断面図である。
【図2】図1に示す工作機械用主軸装置の前側軸受付近の要部拡大図である。
【図3】図1に示す工作機械用主軸装置の後側軸受付近の要部拡大図である。
【図4】図3の円筒ころ軸受に使用される保持器を示す斜視図である。
【図5】(a)及び(b)は、本実施形態の補給孔の位置を説明するための要部拡大断面図である。
【図6】(a)及び(b)は、比較例としての補給孔の位置を説明するための要部拡大断面図である。
【図7】円筒ころ軸受に使用される保持器の変形例を示す斜視図である。
【図8】図7の保持器が適用された円筒ころ軸受の断面図である。
【図9】円筒ころ軸受に使用される保持器の他の変形例を示す斜視図である。
【図10】図9の保持器が適用された円筒ころ軸受の断面図である。
【図11】軸受装置評価試験機の全体構成図である。
【図12】補給孔の位置を変更した条件A〜Gの保持器と、各保持器にグリースを補給した場合の脈動の有無を示す表である。
【図13】図12の条件A〜Gの保持器を用いた、グリース補給試験での耐久時間を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る軸受装置及びそれを用いた工作機械用主軸装置の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の軸受装置が適用される工作機械用主軸装置の縦断面図である。図1に示すように、主軸装置100の主軸101は、転がり軸受であるアンギュラ玉軸受40及び円筒ころ軸受20によって主軸ハウジング103内に支持されている。
【0019】
主軸ハウジング103は、ハウジング本体104と、ハウジング本体104の前端(図中左側)に内嵌固定された前側軸受ハウジング105と、ハウジング本体104の後側(図中右側)に内嵌固定された後側軸受ハウジング106とを備えている。前側軸受ハウジング105の端部には、外輪押さえ部材107及び内輪押さえ部材108が設けられており、外輪押さえ部材107と内輪押さえ部材108との間には、ラビリンスが形成されている。主軸ハウジング103の後端面は、カバー109によって覆われている。
【0020】
図2にも示すように、前側軸受ハウジング105に内嵌する4つのアンギュラ玉軸受40は、外輪41、内輪42、外輪41及び内輪42間に接触角を持って転動自在に配置される転動体としての複数の玉43、及び該玉43を円周方向に等間隔に保持する保持器44、を備える。また、図3に示すように、後側軸受ハウジング106に内嵌する1つの円筒ころ軸受20も、外輪21、内輪22、外輪21及び内輪22間に転動自在に配置される転動体としての複数のころ23、及び該ころ23を円周方向に等間隔に保持する保持器24(図4参照。)、を備える。4つのアンギュラ玉軸受40の外輪41間には、外輪間座110が配置されており、また内輪42間には、内輪間座111が配置されている。さらに、円筒ころ軸受20の外輪21の軸方向一側にも、外輪間座112が配置されており、内輪22の軸方向両側にも内輪間座113が配置されている。なお、本実施形態では、アンギュラ玉軸受40及び前側軸受ハウジング105が、また、円筒ころ軸受20及び後側軸受ハウジング106が、それぞれ本発明の軸受装置を構成する。
【0021】
主軸101の軸方向の略中央部には、ロータ120が外嵌固定されている。ロータ120の外周面側には、ステータ121が所定距離離れて同軸配置されている。ステータ121は、ステータ121の外周面側に配置されたステータ固定部材122を介してハウジング本体104に固定されている。ハウジング本体104とステータ固定部材122との間には、主軸101の周方向に沿う方向に複数の溝123が形成されている。この複数の溝123内には、ステータ121の冷却用の冷媒が流される。
【0022】
同様に、前側軸受ハウジング105と該ハウジング105に外嵌する冷却スリーブ125との間であって、アンギュラ玉軸受40の外周側にあたる部位には、ハウジング及び軸受冷却用の冷媒が流される複数の溝124が形成されている。
【0023】
この主軸ハウジング103の後端面には、転がり軸受40,20のそれぞれにグリース供給を行うためのグリースが供給される複数のグリース供給口132が周方向に沿って開口している(図1には一つのみ図示)。これら複数のグリース供給口132は、ハウジング本体104、前側軸受ハウジング105及び後側軸受ハウジング106内に形成された複数のグリース供給路133a〜133fにそれぞれ連通している(図1では、便宜上、各グリース供給路133a〜133fを同一断面に図示している)。これにより、本実施形態の主軸装置100は、外部に設けられたグリース補給器130からグリース供給管131を介して主軸ハウジング103内にグリースを供給する。
【0024】
グリース供給路133a,133bは、円筒ころ軸受20の外輪21が嵌合する内周面に開口しており、グリース供給路133c〜133fは、各アンギュラ玉軸受40の外輪41が嵌合する内周面に開口している。各グリース供給路133a〜133fは、各軸受,40,20の外輪41,21に形成された補給孔47,27に後述する円周溝46,26を介して連通している。これにより、グリース補給器130から供給されたグリースは、補給孔47,27を介して各軸受40,20の軸受空間内部に独立して供給される。
【0025】
グリース補給器130は、各軸受40,20に対して独立にグリース供給可能に構成されている。すなわち、グリース補給器130は、適宜なタイミングで(間欠的または定期的に)、各軸受40,20にグリースショットする。補給されたグリースは、アンギュラ玉軸受40内部の玉43及び円筒ころ軸受20内部の円筒ころ23の転動に伴い、軸受40及び20内部全体に馴染み、不足したグリースを補う。なお、円筒ころ軸受20は、アンギュラ玉軸受40よりも温度の脈動が顕著に起こりやすいため、一回の補給量はアンギュラ玉軸受への補給量よりも少なくするとより良い。
【0026】
図3及び図4に示すように、円筒ころ軸受20にグリースを供給するためのグリース供給路133a,133bを構成する、後側軸受ハウジング106に形成された給脂孔13の孔径d1は、1.5mm以上10mm以下、好ましくは1.5mm以上7mm以下に設定されている。
【0027】
また、円筒ころ軸受20の外輪21には、2つの補給孔27が、外輪21の内外周面を径方向に貫通して形成されており、各補給孔27を含む軸方向位置の外周面には、2つの円周溝26が形成されている。これら各補給孔27の孔径d2も、1.5mm以上10mm以下、好ましくは1.5mm以上7mm以下に設定されている。
【0028】
円周溝26は、補給孔27の孔径d2より広い幅を有し、その断面積は補給孔27の断面積より大きいことが、グリースの流動性を確保する上から好ましい。円周溝26は、給脂孔13と補給孔27を連通させるための溝であり、ハウジング106の内周面に形成されてもよい。
【0029】
図4に示すように、円筒ころ軸受20の外輪案内型の樹脂製保持器24は、一対の円環部31及び一対の円環部31を軸方向に連結する複数の柱部32を有し、複数の円筒ころ23を回転自在にそれぞれ保持する複数のポケット部33を形成する。また、柱部32の円周方向両側の軸方向中間部には、円筒ころ23を確実に保持するためのころ止め部34が、柱部32の径方向外面から突出するように設けられている。
【0030】
保持器24の円環部31の外周面には、複数の凹状切欠部35が円周方向に離間して形成されており、従って、円環部31には、隣接する凹状切欠部35間でそれぞれ径方向に突出する複数の案内突片36が形成されている。また、一方の円環部31の案内突片36と、他方の円環部31の案内突片36とが、円周方向において、左右交互に千鳥状に配置されながら、円周方向にそれぞれ所定の間隔で設けられている。
【0031】
また、図5(a)、(b)に示すように、案内突片36の外周面と外輪21の内周面との間には、直径隙間で0.2〜1.0mmの案内隙間gが形成され、案内突片36の外周面が、外輪21の内周面と摺接することで保持器24を案内する案内面37を構成する。
【0032】
また、このように形成された保持器24に対して、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aは、保持器24の案内面37の軸方向内側端37aに対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に(図5(a)参照)、保持器24の案内面37の軸方向外側端37bに対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置する(図5(b)参照)。
【0033】
このように構成されることで、外輪21の補給孔27から給脂されたグリースの一部は、保持器24の案内面37に付着し、案内面37を潤滑するとともに、回転とともに保持器24の案内面37と外輪21の内周面との間で薄い膜状に伸ばされる。そして、グリース基油成分が案内隙間gを伝って徐々に移動し、最終的に転がり接触部に供給される。また、凹状切欠部35は、軸受空間内の余剰のグリースを外側に排出するように作用する。
【0034】
一方、図6(a)に示すように、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aが、保持器24の案内面37の軸方向内側端37aに対して軸方向において軌道面寄りとなった場合には、一定の体積を持ったグリースが直接外輪軌道面に供給されてしまい、回転中に大きな攪拌抵抗を持ってしまい、瞬間的な異常昇温(インパルス状の脈動)が発生してしまう。また、図6(b)に示すように、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aが、保持器24の案内面37の軸方向外側端37bに対して軸方向において端面寄りとなった場合には、保持器24の案内面37にグリースが付着せず、転がり接触部にグリースが到達し難くなる。
【0035】
また、保持器24は、同じ円周方向位置において、一方の円環部31では、案内突片36の案内面37と外輪21の内周面との間に案内隙間g/2が形成されるのに対して、他方の円環部31では、凹状切欠部35の外周面と外輪21の内周面との間に隙間G/2(Gは直径隙間)が形成される。このため、この隙間Gから潤滑油をスムーズに排出することができ、隙間gと隙間Gの大きさが異なることにより両円環部31間で圧力差が生じて空気の対流が起こり、対流作用により潤滑剤の排出が促進される。したがって、高速回転時の異常昇温を抑制でき、グリース潤滑を行う場合にも慣らし運転の時間を短縮することができる。
【0036】
また、図2に示すように、各アンギュラ玉軸受40にグリースを供給するための構成も円筒ころ軸受20の場合とほぼ同様である。即ち、グリース供給路133c〜133fを構成する、前側軸受ハウジング105に形成された給脂孔13の孔径d1は、1.5mm以上10mm以下、好ましくは1.5mm以上7mm以下に設定されている。
【0037】
また、アンギュラ玉軸受40の外輪41には、孔径d2が1.5mm以上10mm以下、好ましくは1.5mm以上7mm以下に設定された補給孔47が、外輪41の内外周面を径方向に貫通して形成されている。さらに、補給孔47を含む軸方向位置の外周面には、補給孔47の孔径d2より広い幅を有し、その断面積は補給孔47の断面積より大きい円周溝46が形成されている。
【0038】
この場合にも、保持器44の外周面と外輪21の内周面との間には、直径隙間で0.2〜1.0mmの案内隙間gが形成され、保持器44の外周面が、外輪21の内周面と摺接することで保持器44を案内する案内面48を構成する。
【0039】
また、このように形成された保持器44において、補給孔47の軸方向内側端47aは、保持器44の案内面48の軸方向内側端48aに対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、保持器44の案内面48の軸方向外側端48bに対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置する。
【0040】
このように構成された工作機械用主軸装置では、グリースの撹拌抵抗による温度上昇の防止、高い振動特性及び音響特性を達成するため、1回当たりのグリース給脂量が、0.005〜0.1cm3、好ましくは、0.005〜0.02cm3の極微量のグリースによって潤滑される。なお、対象とするグリースとしては、工作機械主軸装置用軸受の場合、温度上昇が抑えられ、低トルクであることが要求されるので、ちょう度が2号、又は3号(JIS K2220 5.3)で、基油粘度が15〜120mm2/S(40℃)が選定される。
【0041】
1回当たりのグリース給脂量が、0.005〜0.1cm3の極微量のグリースによって潤滑される場合、グリースが給脂経路内に滞留する時間が長くなり、経年変化によって基油や増ちょう剤がグリースから分離して給脂経路内で固化し、グリースの流動性が低下したり、グリース固化による流路抵抗(グリースと給脂経路の内壁との摩擦抵抗)の増加によって、安定した給脂できなくなる場合がある。
【0042】
給脂孔13及び補給孔27の孔径d1、d2を1.5mm以上、且つ10mm以下としたのは、孔径d1、d2が1.5mm以下だと、経年変化によってグリースが固化(流動性の低下)したとき、流動抵抗の増加によってグリースの安定した給脂が困難となるからである。
【0043】
また、孔径d1、d2を10mm以上にすると、2つの給脂孔13及び補給孔27を、同位相で軸方向に並べて配置することがスペース上の問題から実質的に困難となるからである。即ち、工作機械用主軸装置に一般的に使用される転がり軸受は、内径30mm程度のものが最小であり、孔径としては10mm以下、好ましくは、7mm程度が好適である。また、給脂孔13の孔径d1が大きいと、外輪21の外周面端部に面取り部が形成される場合、給脂孔13と面取り部との隙間からグリース、特に、グリース中の基油分が漏れ出す虞があり、好ましくない。
【0044】
以上説明したように、円筒ころ軸受20と後側軸受ハウジング106を備えた軸受装置、又はアンギュラ玉軸受40と前側軸受ハウジング105を備えた軸受装置によれば、外輪21、41に形成された補給孔47及びハウジング105,106に形成された給脂孔13は、ハウジング105,106の内周面または外輪41の外周面に形成された円周溝46によって連通されており、補給孔47及び給脂孔13の孔径d1、d2が1.5mm以上、且つ10mm以下に設定されている。また、保持器24の案内面37と、該案内面37と対向する外輪21の内周面との案内隙間gが直径で0.2〜1.0mmに設定されており、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aは、保持器24の案内面37の軸方向内側端37aに対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、保持器24の案内面37の軸方向外側端37bに対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置する。従って、給脂されたグリースは案内面37を潤滑しつつ、回転とともに薄い膜状に伸ばされ、グリース基油成分が徐々に外輪軌道面を通じて転がり接触部に供給される。これにより、微量のグリースが給脂されるグリース潤滑においても、安定してグリースを給脂することができ、また、グリースの攪拌抵抗に起因する異常昇温を防止し、軸受装置を長寿命とすることができる。
【0045】
尚、本発明は、前述した各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0046】
例えば、円筒ころ軸受20の保持器24は、図7及び図8に示すように、一対の円環部31の外周面が一様外径を有する構成であってもよく、図9及び図10に示すように、一対の円環部31の案内突片36が、円周方向において、同じ位相で、それぞれ所定の間隔で設けられていてもよい。いずれの場合にも、保持器24の案内面37と、該案内面37と対向する外輪21の内周面との案内隙間gが直径で0.2〜1.0mmに設定されており、且つ、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aは、保持器24の案内面37の軸方向内側端37aに対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、保持器24の案内面37の軸方向外側端37bに対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置する。
【0047】
また、補給孔27は、軸受空間に開口する開口部の軸方向内側端27aが、保持器24の案内面37と上記の位置関係を有するものであればよく、補給孔27自体は、径方向に貫通するものであれば傾斜する形状であってもよい。
【0048】
また、上記説明においては、本発明の軸受装置を円筒ころ軸受、及び玉軸受に適用したものとして説明したが、これに限定されず、グリース潤滑される任意の形式の転がり軸受に適用可能であり、同様の効果を奏する。
【0049】
さらに、本実施形態では、本発明の軸受装置を工作機械用主軸装置に適用した場合について説明したが、高速モータに適用することも可能である。
【実施例】
【0050】
本発明の効果を確認するため、補給孔の位置がそれぞれ異なる円筒ころ軸受を、図11に示す軸受装置評価試験機に組み込んで比較試験を行った。
【0051】
図11に示すように、軸受装置評価試験機200は、一対の玉軸受203、203と、ハウジング201に内嵌する試供円筒ころ軸受205とによって、回転軸202が回転自在に支持されている。
【0052】
ハウジング201には、孔径d1が3.0mmの給脂孔204が設けられており、一方、孔径d2が1.5mmの補給孔が円筒ころ軸受205の外輪に設けられており、外部に配置された不図示のグリース補給装置から1ショット当たり0.01cm3のグリースが6時間置きに供給される。使用グリースは、基油粘度:20mm2/S(40℃)、ちょう度:2号(JIS K2220 5.3)とした。
【0053】
試供ころ軸受205は、いずれも呼び番号がN1012(内径60mm、外径95mm、幅18mm)の単列円筒ころ軸受であり、組み込み時のラジアル隙間を0μm、回転軸202の駆動方式をベルト駆動とし、冷却を行わずに試験を行った。
【0054】
上記条件にてグリース補給を行ったところ、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aの位置を保持器24の案内面37の軸方向内側端に対して軸方向において軌道面寄りに位置させた、条件Aの円筒ころ軸受20では、給脂タイミングに併せて、軸受外輪の温度上昇値が脈動する現象が現れた(図12参照。)これは、給脂されるグリースが案内面37よりはみ出て軸受内部に直接供給されてしまったことにより、攪拌抵抗が増加したことによるものである。また、耐久時間が約100時間経過後に、補給量過多による異常発熱が発生した。
【0055】
また、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aを、保持器24の案内面37の軸方向外側端37bに対して軸方向において端面寄りに位置させた、条件Gの円筒ころ軸受20では、耐久時間が約1000時間経過後に、焼付きが発生した。これは、軸受内に十分なグリースが補給されておらず、潤滑不良が発生したことによるものである。
【0056】
一方、補給孔27の開口部における軸方向内側端27aを、保持器24の案内面37の軸方向内側端37aに対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、保持器24の案内面37の軸方向外側端37bに対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置する、条件B〜Fの円筒ころ軸受20では、いずれも耐久時間が5000時間を越えており、補給するタイミングにおいて外輪の温度が上昇する脈動の現象は発生していないことから、軸受内部にグリースが適切に補給されたことがわかる。
また、上記の結果は、図4に示す案内突片36が千鳥状に配置された保持器を用いた場合であるが、図7や図9に示す保持器においても同様の結果が得られることが、確認できた。
【符号の説明】
【0057】
13 給脂孔
20 円筒ころ軸受(転がり軸受)
21,41 外輪
24,44 保持器
26,46 円周溝
27,47 補給孔
37,48 案内面
40 アンギュラ玉軸受(転がり軸受)
100 工作機械用主軸装置
105 前側軸受ハウジング(ハウジング)
106 後側軸受ハウジング(ハウジング)
d1 給脂孔の孔径
d2 補給孔の孔径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に貫通する少なくとも1つの補給孔が形成された外輪と、前記外輪によって案内される保持器と、を有する転がり軸受と、
前記外輪が嵌合する内周面に開口する少なくとも1つの給脂孔が形成されたハウジングと、
を備え、前記給脂孔及び前記補給孔を介して供給されるグリースによって前記転がり軸受がグリース潤滑される軸受装置であって、
前記ハウジングの内周面または前記外輪の外周面には、前記給脂孔と前記補給孔とが連通するように円周溝が形成されており、
前記給脂孔及び前記補給孔の孔径は、1.5mm以上、且つ10mm以下であり、
前記保持器の案内面と、該案内面と対向する前記外輪の内周面との案内隙間が直径で0.2〜1.0mmに設定されており、且つ、
前記補給孔の開口部における軸方向内側端は、前記保持器の案内面の軸方向内側端に対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、前記保持器の案内面の軸方向外側端に対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置することを特徴とする軸受装置。
【請求項2】
前記転がり軸受に供給される前記グリースの1回当たり供給量は、0.005〜0.02cm3であることを特徴とする請求項1に記載の軸受装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の軸受装置を備えることを特徴とする工作機械用主軸装置。
【請求項1】
径方向に貫通する少なくとも1つの補給孔が形成された外輪と、前記外輪によって案内される保持器と、を有する転がり軸受と、
前記外輪が嵌合する内周面に開口する少なくとも1つの給脂孔が形成されたハウジングと、
を備え、前記給脂孔及び前記補給孔を介して供給されるグリースによって前記転がり軸受がグリース潤滑される軸受装置であって、
前記ハウジングの内周面または前記外輪の外周面には、前記給脂孔と前記補給孔とが連通するように円周溝が形成されており、
前記給脂孔及び前記補給孔の孔径は、1.5mm以上、且つ10mm以下であり、
前記保持器の案内面と、該案内面と対向する前記外輪の内周面との案内隙間が直径で0.2〜1.0mmに設定されており、且つ、
前記補給孔の開口部における軸方向内側端は、前記保持器の案内面の軸方向内側端に対して軸方向において一致若しくは端面寄りに位置すると共に、前記保持器の案内面の軸方向外側端に対して軸方向において一致若しくは軌道面寄りに位置することを特徴とする軸受装置。
【請求項2】
前記転がり軸受に供給される前記グリースの1回当たり供給量は、0.005〜0.02cm3であることを特徴とする請求項1に記載の軸受装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の軸受装置を備えることを特徴とする工作機械用主軸装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−7419(P2013−7419A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139652(P2011−139652)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
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