説明

軸受装置

【課題】使用環境への負荷を低減でき、かつ、攪拌抵抗が小さくて、寿命が長く、メンテナンスフリーとすることが可能な軸受装置を提供する。
【解決手段】軸受装置1は、内周面に外輪側軌道溝17を有する外輪13と、外周面に内輪側軌道溝18を有する内輪14と、外輪側軌道溝17,内輪側軌道溝18間に配置された複数の玉15と、複数の玉15を保持する保持器16と、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間にグリース21の油分を供給する液体潤滑剤供給装置12とを備える。液体潤滑剤供給装置12は、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に連通する液体潤滑剤通路30と、液体潤滑剤通路30から外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に液体潤滑剤を供給するために、グリース21に当接して、グリース21に振動を加えることができる加振装置24とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高速回転する工作機械の主軸などを支持する軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
軸受の代表的な潤滑の態様としてはグリース潤滑とオイル潤滑とがある。このオイル潤滑を行う軸受装置が、特開2002−130303号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
より詳しくは、上記軸受装置は、外部から玉軸受内に潤滑油を圧縮エアによって搬送して、玉軸受の軌道面や玉を潤滑する。このような潤滑では、外部から比較的低い温度の潤滑油を供給することで、玉軸受を内部から積極的に冷却する。これにより、上記玉軸受内で十分な潤滑油膜を形成することができる。
【0004】
しかしながら、上記従来の軸受装置には、外部から玉軸受内に潤滑油を圧縮エアによって搬送するため、潤滑油が玉軸受の周囲に飛散して、使用環境が劣悪になるという問題があった。
【0005】
一方、上記グリース潤滑は、軸受に封入したグリースによって軌道面などを潤滑するので、上記問題は生じないが、オイル潤滑に比べて攪拌抵抗が大きく、昇温が大きく、また、グリース寿命が比較的短くて、定期的なメンテナンスが必要であるなどの別の問題があった。そのため、高速回転をする工作機械の軸受には、グリース潤滑を使用し難くかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−130303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の課題は、使用環境への負荷を低減でき、かつ、攪拌抵抗が小さくて、寿命が長く、メンテナンスフリーとすることが可能な軸受装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の軸受装置は、
内周面に軌道面を有する外輪と、
外周面に軌道面を有する内輪と、
上記外輪の上記軌道面と上記内輪の上記軌道面との間に配置された複数の転動体と、
上記複数の転動体を保持する保持器と、
上記外輪の上記内周面と上記内輪の上記外周面との間に液体潤滑剤を供給する液体潤滑剤供給装置と
を備え、
上記液体潤滑剤供給装置は、
上記外輪の上記内周面と上記内輪の上記外周面との間に連通する液体潤滑剤通路と、
上記液体潤滑剤通路から上記外輪の上記内周面と上記内輪の上記外周面との間に上記液体潤滑剤を供給するために、固体状、半固体状もしくは粘ちょう状の潤滑剤、または、潤滑剤含有樹脂組成物である非液体潤滑剤に当接して、上記非液体潤滑剤に振動を加えることができる加振装置と
を有することを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、上記加振装置が、固体状、半固体状もしくは粘ちょう状の潤滑剤、または、潤滑剤含有樹脂組成物である非液体潤滑剤に振動を加えると、非液体潤滑剤から油分が分離される。この油分は、液体潤滑剤通路を通って、外輪の内周面と内輪の外周面との間に入る。これにより、上記外輪の軌道面、内輪の軌道面、および、転動体が油分で潤滑される。
【0010】
このように、上記油分を圧縮エアで送らないので、油分は飛散せず、使用環境への負荷を低減することができる。
【0011】
また、上記外輪の軌道面、内輪の軌道面、および、転動体を油分で潤滑するので、攪拌抵抗を小さくできて、寿命を長くでき、メンテナンスフリーとすることが可能である。
【0012】
また、上記加振装置の振動によって、非液体潤滑剤からの油分の分離が促進されるので、外輪の内周面と内輪の外周面との間に入る油分の量を増やし、オイル潤滑と同等の性能の潤滑を行える。
【0013】
一実施形態の軸受装置では、
上記液体潤滑剤供給装置は、上記非液体潤滑剤を貯蔵する非液体潤滑剤貯蔵部を有し、
この非液体潤滑剤貯蔵部内に上記加振装置を配設した。
【0014】
上記実施形態によれば、上記非液体潤滑剤を貯蔵する非液体潤滑剤貯蔵部があるので、非液体潤滑剤の補充回数を減らし、メンテナンス性をさらに向上させることができる。
【0015】
また、上記非液体潤滑剤貯蔵部内に加振装置を配設するので、装置を小型化することができる。
【0016】
一実施形態の軸受装置では、
上記外輪と上記内輪との少なくとも一方の温度を検出する温度センサと
上記温度センサが検出した温度に基づいて、上記加振装置を制御する制御装置と
を備え、
上記制御装置は、上記温度センサが検出した温度が第1温度であるときにおける上記加振装置の振動時間、振動数または振幅が、上記温度センサが検出した温度が上記第1温度とは異なる第2温度であるときにおける上記加振装置の振動時間、振動数または振幅と異なるように制御する。
【0017】
上記実施形態によれば、上記制御装置は、温度センサが検出した温度が第1温度であるときにおける加振装置の振動時間、振動数または振幅が、温度センサが検出した温度が第1温度とは異なる第2温度であるときにおける加振装置の振動時間、振動数または振幅と異なるように制御するので、温度センサが検出した温度に応じて、外輪の内周面と内輪の外周面との間に入る油分の量を調節することができる。
【0018】
一実施形態の軸受装置では、
上記外輪または上記内輪の回転速度を検出する回転速度センサと
上記回転速度センサが検出した回転速度に基づいて、上記加振装置を制御する制御装置と
を備え、
上記制御装置は、上記回転速度センサが検出した回転速度が第1回転速度における上記加振装置の振動時間、振動数または振幅が、上記回転速度センサが検出した回転速度が上記第1回転速度とは異なる第2回転速度における上記加振装置の振動時間、振動数または振幅と異なるように制御する。
【0019】
上記実施形態によれば、上記制御装置は、回転速度センサが検出した回転速度が第1回転速度における加振装置の振動時間、振動数または振幅が、回転速度センサが検出した回転速度が第1回転速度とは異なる第2回転速度における加振装置の振動時間、振動数または振幅と異なるように制御するので、回転速度センサが検出した回転速度に応じて、外輪の内周面と内輪の外周面との間に入る油分の量を調節することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の軸受装置によれば、加振装置は、外輪の内周面と内輪の外周面との間に連通する液体潤滑剤通路から、その間に液体潤滑剤を供給するために、固体状、半固体状もしくは粘ちょう状の潤滑剤、または、潤滑剤含有樹脂組成物である非液体潤滑剤に当接して、非液体潤滑剤に振動を加えることができるので、非液体潤滑剤から油分を分離し、液体潤滑剤通路から外輪の内周面と内輪の外周面との間に送ることができる。
【0021】
したがって、上記油分を圧縮エアで搬送しなくてよいので、油分の飛散を無くし、使用環境への負荷を低減することができる。
【0022】
また、上記外輪の軌道面、内輪の軌道面、および、転動体を油分で潤滑するので、攪拌抵抗を小さくできて、寿命を長くでき、メンテナンスフリーとすることが可能である。
【0023】
また、上記加振装置の振動によって、非液体潤滑剤からの油分の分離が促進されるので、外輪の内周面と内輪の外周面との間に入る油分の量を増やし、オイル潤滑と同等の性能の潤滑を行える。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明の第1実施形態の軸受装置の軸方向の概略断面図である。
【図2】図2は上記第1,第2実施形態の軸受装置の制御ブロック図である。
【図3】図3は上記第1,第2実施形態の変形例の軸受装置の制御ブロック図である。
【図4】図4は本発明の第2実施形態の軸受装置の軸方向の概略断面図である。
【図5】図5は図4のF5−F5線矢視断面図である。
【図6】図6は本発明の第3実施形態の軸受装置の軸方向の概略断面図である。
【図7】図7は図6のF7−F7線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の軸受装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0026】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態の軸受装置1を回転軸を含む面で切った概略断面図である。なお、本第1実施形態では軸受装置1を工作機械に用いている。
【0027】
上記軸受装置1は、工作機械の静止側のハウジング2に取り付けられ、工作機械の回転側の主軸3を支持している。この軸受装置1は、単列アンギュラ玉軸受11と、この単列アンギュラ玉軸受11内にグリース21の油分を供給する液体潤滑剤供給装置12とを具備する。なお、グリース21は非液体潤滑剤の一例であり、グリース21の油分は液体潤滑剤の一例である。
【0028】
上記単列アンギュラ玉軸受11は、外輪13と、内輪14と、複数の玉15(図1においては1つのみ図示している)と、保持器16とを備える。なお、玉15は転動体の一例である。
【0029】
上記外輪13は工作機械のハウジング2に内嵌さている。この外輪13の内周面には、断面円弧形状の外輪側軌道溝17が形成されている。なお、外輪軌道溝17は、外輪が有する軌道面の一例である。
【0030】
上記内輪14は工作機械の主軸3の外周面に外嵌されており、主軸3と共に同期回転する。また、内輪14の外周面には断面円弧形状の内輪側軌道溝18が形成されている。なお、内輪側軌道溝18は、内輪が有する軌道面の一例である。
【0031】
上記複数の玉15は、外輪側軌道溝17と内輪側軌道溝18との間に配置され、外輪側軌道溝17,内輪側軌道溝18上を転動する。
【0032】
上記保持器16は、図示しないが、周方向に所定間隔を隔てて形成された複数のポケットを有している。その各ポケットに玉15を1個づつ収容している。
【0033】
上記液体潤滑剤供給装置12は、工作機械のハウジング2の内周面に内嵌する環状の外側間座19と、工作機械の主軸3の外周面に外嵌する環状の内側間座20と、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に連通する液体潤滑剤通路30と、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間にグリース21の油分を供給するための加振装置24とを有する。
【0034】
上記外側間座19には、グリース21を貯留するグリース貯留部22が形成されている。グリース貯留部22内の空間は液体潤滑剤通路30を介して外輪13の内周面と内輪14の外周面との間の空間と連通する。そして、グリース貯留部22の内周面には、ゴム部材23を介して加振装置24が取り付けられている。つまり、グリース貯留部22内に加振装置24を配設している。なお、グリース貯留部22は非液体潤滑剤貯蔵部の一例である。
【0035】
上記加振装置24は、グリース貯留部22内のグリース21に振動を加える。このような加振装置24の具体例としては、例えば、超音波発生器や、携帯電話に搭載されるバイブレータなどが挙げられる。また、加振装置24は、接続線25を介して、後述する制御装置27に接続されている。なお、加振装置24は、電池を搭載するものでもよいし、あるいは、電池を搭載していなくて外側間座19外から電力が供給されるものであってもよい。
【0036】
上記グリース21は、合成炭化水素油などの基油(ベースオイル)と、例えばLi石けんなどの増ちょう剤とを含む潤滑グリース組成物である。この潤滑グリース組成物には、例えば、酸化防止剤、極圧剤、摩耗防止剤、さび止め剤、腐食防止剤、構造安定剤、固体潤滑剤などの添加剤を配合してもよい。
【0037】
また、上記外側間座19の外輪13側の軸端面の内縁部には、軸方向に突出する突出部31が形成されている。この突出部31は、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に挿入される。そして、突出部31の外輪13側の表面に液体潤滑剤通路30の一部が形成されている。グリース21の基油は、毛細管現象によって、液体潤滑剤通路30を通ってアンギュラ玉軸受11内へ染み出るようになっている。この液体潤滑剤通路30のアンギュラ玉軸受11の端は外輪軌道溝17、内輪側軌道溝18および玉15の近傍に位置する。
【0038】
図2は上記軸受装置1の制御ブロック図である。
【0039】
上記軸受装置1は、外輪13および内輪14の少なくとも一方の温度を検出する温度センサ26と、この温度センサ26が検出した温度に基づいて、加振装置24をオンオフ制御する制御装置27を備える。この温度センサ26は、接触式、非接触式のどちらの方式であってもよい。
【0040】
上記制御装置27は、温度センサ26の検出温度が第1温度であるときにおける加振装置24の振動時間(オン時間)、振動数または振幅が、温度センサ26の検出温度が第2温度であるときにおける加振装置24の振動時間、振動数または振幅と異なるように、加振装置24を制御する。ここで、上記第1温度および第2温度は予め設定された温度であり、第1温度は第2温度と異なる。
【0041】
上記構成の軸受装置1によれば、加振装置24がグリース21に振動を加えることによって、グリース21から基油が分離される。この基油は、液体潤滑剤通路30を通って、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入り、外輪側軌道溝17の外側間座19側の部分に付着する。これにより、外輪側軌道溝17、内輪側軌道溝18および玉15が基油で潤滑される。
【0042】
このように、上記基油の搬送に圧縮エアを用いないので、特開2002−130303号公報でのオイルの飛散は起こらず、工作機械を使用する環境が劣悪にならないようにすることができる。
【0043】
また、上記外輪軌道溝17、内輪側軌道溝18および玉15を基油で潤滑するので、攪拌抵抗を小さくできて、寿命を長くでき、メンテナンスフリーとすることが可能である。
【0044】
また、上記加振装置24の振動によって、グリース21からの基油の分離が促進されるので、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入る基油の量を増やし、オイル潤滑と同等の性能の潤滑を行える。
【0045】
また、上記外側間座19に、グリース21を貯留するグリース貯留部22を形成しているので、グリース21の補充回数を減らし、メンテナンス性をさらに向上させることができる。
【0046】
また、上記液体潤滑剤通路30のアンギュラ玉軸受11の端は外輪軌道溝17、内輪側軌道溝18および玉15の近傍に配置されているので、外輪軌道溝17、内輪側軌道溝18および玉15に基油を効率良く供給することができる。
【0047】
また、上記グリース貯留部22内に加振装置24を配設するので、液体潤滑剤供給装置12を小型化することができる。
【0048】
また、上記温度センサ26が検出した温度が第1温度であるときにおける加振装置24の振動時間、振動数または振幅は、温度センサ26が検出した温度が第1温度とは異なる第2温度であるときにおける加振装置24の振動時間、振動数または振幅と異なるので、温度センサ26が検出した温度に応じて、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入る基油の量を調節することができる。例えば、温度センサ26が検出した温度が比較的低いときは、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入る基油の量を比較的少なくする一方、温度センサ26が検出した温度が比較的高いときは、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入る基油の量を比較的多くすることができる。このようにすれば、アンギュラ玉軸受11の高速回転時の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0049】
また、上記軸受装置1が液体潤滑剤供給装置12を備えることによって、特開2002−130303号公報に記載のエア・潤滑油供給源のような装置は不要となるので、設備投資費を削減できる。
【0050】
また、上記液体潤滑剤供給装置12は、潤滑油を圧縮エアで送らないので、圧縮エアによる風切り音が生じない。
【0051】
上記第1実施形態において、図3に示すように、外輪13または内輪14の回転速度を検出する回転速度センサ28と、この回転速度センサ28が検出した回転速度に基づいて、加振装置24を制御する制御装置127とを用いるようにしてもよい。
【0052】
上記制御装置127は、回転速度センサ28の検出回転速度が第1回転速度であるときにおける加振装置24の振動時間、振動数または振幅が、回転速度センサ28の検出回転速度が第2回転速度であるときにおける加振装置24の振動時間、振動数または振幅と異なるように、加振装置24を制御する。ここで、上記第1回転速度および第2回転速度は予め設定された回転速度であり、第1回転速度は第2回転速度と異なる。
【0053】
このような回転速度センサ28を制御装置127を用いることによって、回転速度センサ28が検出した回転速度に応じて、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入る基油の量を調節することができる。例えば、回転速度センサ28が検出した速度が比較的遅いときは、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入る基油の量を比較的少なくする一方、回転速度センサ28が検出した速度が比較的速いときは、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入る基油の量を比較的多くすることができる。このようにすれば、アンギュラ玉軸受11の高速回転時の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0054】
また、上記制御装置27,127は、グリース貯留部22内に配置するようにしてもよいし、あるいは、グリース貯留部22外に配置するようにしてもよい。
【0055】
上記第1実施形態では、軸受装置1は、単列アンギュラ玉軸受11を備えていたが、複列アンギュラ玉軸受を備えてもよいし、アンギュラ玉軸受以外の例えば円筒ころ軸受、円錐ころ軸受などを備えてもよい。
【0056】
上記第1実施形態では、グリース21を用いていたが、グリース21でなくても、固体状、半固体状もしくは粘ちょう状の潤滑剤、または、潤滑剤含有樹脂組成物である非液体潤滑剤であれば用いてもよい。この潤滑剤含有樹脂組成物としては、例えば、PE(ポリエチレン)にオイルを加えて固形化したものがある。
【0057】
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態の軸受装置1を回転軸を含む面で切った概略断面図である。なお、本第2実施形態では軸受装置1を工作機械に用いている。
【0058】
上記軸受装置1は、工作機械の静止側のハウジング2に取り付けられ、工作機械の回転側の主軸3を支持している。この軸受装置1は、単列アンギュラ玉軸受11と、この単列アンギュラ玉軸受11内にグリース21の油分を供給する液体潤滑剤供給装置12とを具備する。なお、グリース21は非液体潤滑剤の一例であり、グリース21の油分は液体潤滑剤の一例である。
【0059】
上記単列アンギュラ玉軸受11は、外輪13と、内輪14と、複数の玉15(図1においては1つのみ図示している)と、保持器16とを備える。なお、玉15は転動体の一例である。
【0060】
上記外輪13は工作機械のハウジング2に内嵌さている。この外輪13の内周面には、断面円弧形状の外輪側軌道溝17が形成されている。なお、外輪軌道溝17は、外輪が有する軌道面の一例である。
【0061】
上記内輪14は工作機械の主軸3の外周面に外嵌されており、主軸3と共に同期回転する。また、内輪14の外周面には断面円弧形状の内輪側軌道溝18が形成されている。なお、内輪側軌道溝18は、内輪が有する軌道面の一例である。
【0062】
上記複数の玉15は、外輪側軌道溝17と内輪側軌道溝18との間に配置され、外輪側軌道溝17,内輪側軌道溝18上を転動する。
【0063】
上記保持器16は、図示しないが、周方向に所定間隔を隔てて形成された複数のポケットを有している。その各ポケットに玉15を1個づつ収容している。
【0064】
上記液体潤滑剤供給装置12は、工作機械のハウジング2の内周面に内嵌する環状の外側間座19と、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に連通する液体潤滑剤通路30と、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間にグリース21の油分を供給するための加振装置24とを有する。液体潤滑剤供給装置12の径方向内側には、工作機械の主軸3の外周面に外嵌する環状の内側間座20が配置されている。
【0065】
上記外側間座19には、グリース21を貯留するグリース貯留部22が形成されている。なお、グリース貯留部22は非液体潤滑剤貯蔵部の一例である。
【0066】
図5は、図4のF5−F5線から見た断面図である。
【0067】
図4、図5に示すように、グリース貯留部22内の空間は、外輪13の軸線を含む断面において略矩形に形成されていると共に、外輪13の軸線に垂直な断面において略円弧状に形成されている。また、グリース貯留部22内の空間は1つの液体潤滑剤通路30を介して外輪13の内周面と内輪14の外周面との間の空間と連通する。そして、グリース貯留部22の内周面には、ゴム部材23を介して加振装置24が取り付けられている。つまり、グリース貯留部22内に加振装置24を配設している。加振装置24は、外輪13の軸線を含む断面において略矩形に形成されていると共に、外輪13の軸線に垂直な断面において略円弧状に形成されている。また、加振装置24は、グリース貯留部22に直接触れないように、ゴム部材23を介してグリース貯留部22に取り付けられている。
【0068】
上記加振装置24は、グリース貯留部22内のグリース21に振動を加える。このような加振装置24の具体例としては、例えば、超音波発生器や、携帯電話に搭載されるバイブレータなどが挙げられる。また、加振装置24は、接続線25を介して、後述する制御装置27に接続されている。なお、加振装置24は、電池を搭載するものでもよいし、あるいは、電池を搭載していなくて外側間座19外から電力が供給されるものであってもよい。
【0069】
上記グリース21は、合成炭化水素油などの基油(ベースオイル)と、例えばLi石けんなどの増ちょう剤とを含む潤滑グリース組成物である。この潤滑グリース組成物には、例えば、酸化防止剤、極圧剤、摩耗防止剤、さび止め剤、腐食防止剤、構造安定剤、固体潤滑剤などの添加剤を配合してもよい。
【0070】
また、上記外側間座19の外輪13側の軸端面の内縁部には、軸方向に突出する突出部31が形成されている。この突出部31は、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に挿入される。この突出部31は、管をこの管の延在する軸方向に平行な面で切断した形状に形成され、外側間座19の内径側に溶接されている。この突出部31は、軸方向に垂直な断面形状が円弧状に形成されている。図5に示す二点鎖線は外輪13の肩の内周面の位置を示しており、点線は突出部31の形状を示している。突出部31の円弧の両端は外輪13の肩の内周面に当接し、突出部31と外輪13の肩とで液体潤滑剤通路30の一部を形成している。液体潤滑剤通路30の残りの部分は外側間座19の外輪13側の端部に形成されている。グリース21の基油は、毛細管現象によって、液体潤滑剤通路30を通ってアンギュラ玉軸受11内へ染み出るようになっている。この液体潤滑剤通路30のアンギュラ玉軸受11の端は外輪軌道溝17、内輪側軌道溝18および玉15の近傍に位置する。
【0071】
上記軸受装置1の制御ブロック図は上記第1実施形態と同様に図2であるので、その制御ブロック図に関する説明は図2に基づいて行う。
【0072】
上記軸受装置1は、外輪13および内輪14の少なくとも一方の温度を検出する温度センサ26と、この温度センサ26が検出した温度に基づいて、加振装置24をオンオフ制御する制御装置27を備える。この温度センサ26は、接触式、非接触式のどちらの方式であってもよい。
【0073】
上記制御装置27は、温度センサ26の検出温度が第1温度であるときにおける加振装置24の振動時間(オン時間)、振動数または振幅が、温度センサ26の検出温度が第2温度であるときにおける加振装置24の振動時間、振動数または振幅と異なるように、加振装置24を制御する。ここで、上記第1温度および第2温度は予め設定された温度であり、第1温度は第2温度と異なる。
【0074】
上記構成の軸受装置1によれば、加振装置24がグリース21に振動を加えることによって、グリース21から基油が分離される。この基油は、液体潤滑剤通路30を通って、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入り、外輪側軌道溝17の外側間座19側の部分に付着する。これにより、外輪側軌道溝17、内輪側軌道溝18および玉15が基油で潤滑される。
【0075】
このように、上記基油の搬送に圧縮エアを用いないので、特開2002−130303号公報でのオイルの飛散は起こらず、工作機械を使用する環境が劣悪にならないようにすることができる。
【0076】
また、上記外輪軌道溝17、内輪側軌道溝18および玉15を基油で潤滑するので、攪拌抵抗を小さくできて、寿命を長くでき、メンテナンスフリーとすることが可能である。
【0077】
また、上記加振装置24の振動によって、グリース21からの基油の分離が促進されるので、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入る基油の量を増やし、オイル潤滑と同等の性能の潤滑を行える。
【0078】
また、上記外側間座19に、グリース21を貯留するグリース貯留部22を形成しているので、グリース21の補充回数を減らし、メンテナンス性をさらに向上させることができる。
【0079】
また、上記液体潤滑剤通路30のアンギュラ玉軸受11の端は外輪軌道溝17、内輪側軌道溝18および玉15の近傍に配置されているので、外輪軌道溝17、内輪側軌道溝18および玉15に基油を効率良く供給することができる。
【0080】
また、上記グリース貯留部22内に加振装置24を配設するので、液体潤滑剤供給装置12を小型化することができる。
【0081】
また、上記温度センサ26が検出した温度が第1温度であるときにおける加振装置24の振動時間、振動数または振幅は、温度センサ26が検出した温度が第1温度とは異なる第2温度であるときにおける加振装置24の振動時間、振動数または振幅と異なるので、温度センサ26が検出した温度に応じて、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入る基油の量を調節することができる。例えば、温度センサ26が検出した温度が比較的低いときは、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入る基油の量を比較的少なくする一方、温度センサ26が検出した温度が比較的高いときは、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入る基油の量を比較的多くすることができる。このようにすれば、アンギュラ玉軸受11の高速回転時の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0082】
また、上記軸受装置1が液体潤滑剤供給装置12を備えることによって、特開2002−130303号公報に記載のエア・潤滑油供給源のような装置は不要となるので、設備投資費を削減できる。
【0083】
また、上記液体潤滑剤供給装置12は、潤滑油を圧縮エアで送らないので、圧縮エアによる風切り音が生じない。
【0084】
上記第2実施形態において、図3に示すように、外輪13または内輪14の回転速度を検出する回転速度センサ28と、この回転速度センサ28が検出した回転速度に基づいて、加振装置24を制御する制御装置127とを用いるようにしてもよい。
【0085】
上記制御装置127は、回転速度センサ28の検出回転速度が第1回転速度であるときにおける加振装置24の振動時間、振動数または振幅が、回転速度センサ28の検出回転速度が第2回転速度であるときにおける加振装置24の振動時間、振動数または振幅と異なるように、加振装置24を制御する。ここで、上記第1回転速度および第2回転速度は予め設定された回転速度であり、第1回転速度は第2回転速度と異なる。
【0086】
このような回転速度センサ28を制御装置127を用いることによって、回転速度センサ28が検出した回転速度に応じて、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入る基油の量を調節することができる。例えば、回転速度センサ28が検出した速度が比較的遅いときは、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入る基油の量を比較的少なくする一方、回転速度センサ28が検出した速度が比較的速いときは、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入る基油の量を比較的多くすることができる。このようにすれば、アンギュラ玉軸受11の高速回転時の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0087】
また、上記制御装置27,127は、グリース貯留部22内に配置するようにしてもよいし、あるいは、グリース貯留部22外に配置するようにしてもよい。
【0088】
上記第2実施形態では、軸受装置1は、単列アンギュラ玉軸受11を備えていたが、複列アンギュラ玉軸受を備えてもよいし、アンギュラ玉軸受以外の例えば円筒ころ軸受、円錐ころ軸受などを備えてもよい。
【0089】
上記第2実施形態では、グリース21を用いていたが、グリース21でなくても、固体状、半固体状もしくは粘ちょう状の潤滑剤、または、潤滑剤含有樹脂組成物である非液体潤滑剤であれば用いてもよい。この潤滑剤含有樹脂組成物としては、例えば、PE(ポリエチレン)にオイルを加えて固形化したものがある。
【0090】
上記第2実施形態では、グリース貯留部22内の空間は、外輪13の軸線に垂直な断面において略円弧状になっていたが、外輪13の軸線に垂直な断面において環状にしてもよい。
【0091】
上記第2実施形態では、外側間座19にグリース貯留部22を1つ形成していたが、外側間座19にグリース貯留部22を周方向に所定間隔を隔てて複数形成してもよい。つまり、本発明の一実施形態では、非液体潤滑剤貯蔵部の数は、単数でも複数でもよい。
【0092】
上記第2実施形態では、1つのグリース貯留部22内の空間が、1つの液体潤滑剤通路30を介して外輪13の内周面と内輪14の外周面との間の空間と連通するようにしていたが、1つのグリース貯留部22内の空間が、複数の液体潤滑剤通路30を介して外輪13の内周面と内輪14の外周面との間の空間と連通するようにしてもよい。つまり、本発明の一実施形態では、1つの非液体潤滑剤貯蔵部に接続する液体潤滑剤通路の数は、単数でも複数でもよい。
【0093】
〔第3実施形態〕
図6は、本発明の第3実施形態の軸受装置201を回転軸を含む面で切った概略断面図である。この図6において、図1の第1実施形態の構成部と同一の構成部には、図1の第1実施形態の構成部の参照番号と同一の参照番号を付している。
【0094】
上記軸受装置201は、単列アンギュラ玉軸受11内にグリース21の油分を供給する液体潤滑剤供給装置212を具備する。
【0095】
上記液体潤滑剤供給装置212は、工作機械のハウジング2の内周面に内嵌する環状の外側間座219と、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に連通する液体潤滑剤通路30と、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間にグリース21の油分を供給するための加振装置224とを有する。液体潤滑剤供給装置212の径方向内側には、工作機械の主軸3の外周面に外嵌する環状の内側間座220が配置されている。
【0096】
上記外側間座219には、グリース21を貯留するグリース貯留部222が形成されている。このグリース貯留部222内の空間は液体潤滑剤通路30を介して外輪13の内周面と内輪14の外周面との間の空間と連通する。また、外側間座219の液体潤滑剤通路30近傍の部分には段付貫通穴251が設けられている。この段付貫通穴251に樹脂(例えばプラスチック)製の閉鎖部材252を取り付けて、グリース21が段付貫通穴251から漏れ出ないようにしている。なお、グリース貯留部222は非液体潤滑剤貯蔵部の一例である。
【0097】
上記加振装置224は、金属製のリードバルブ241と、このリードバルブ241を振動させるための磁石部242とで構成されている。
【0098】
図7は、図6のF7−F7線から見た断面図である。なお、図7において、二点鎖線は外輪13の肩の内周面の位置を示し、点線は突出部31の形状を示している。
【0099】
図6、図7に示すように、グリース貯留部222内の空間は、外輪13の軸線を含む断面において略矩形に形成されていると共に、外輪13の軸線に垂直な断面において略円弧状に形成されている。液体潤滑剤通路30は、上記第1,第2実施形態と同様に、突出部31と外輪13の肩で一部が形成され、外側間座219の外輪13側の端部に残りの部分が形成されている。
【0100】
上記リードバルブ241は、閉鎖部材252に対して傾斜するように、液体潤滑剤通路30に配置されている。このリードバルブ241の一方の端部は外側間座219に固定されているが、リードバルブ241の他方の端部は自由端部である(図4参照)。
【0101】
上記磁石部242は、内側間座220の外周面部の一部を磁化することで形成されている。また、磁石部242は、径方向においてリードバルブ241および閉鎖部材252と重なるように形成されている。
【0102】
上記構成の軸受装置201によれば、上記磁石部242が閉鎖部材252に対向すると、リードバルブ241の他方の端部(自由端部)が閉鎖部材252を介して磁石部242の磁力を受けて径方向内側に移動する。そして、上記磁石部242が閉鎖部材252に対向しなくなると、リードバルブ241の他方の端部が弾性により径方向外側に移動する。したがって、上記内側間座220が主軸3と共に回転することによって、磁石部242が閉鎖部材252と対向と非対向を繰り返すので、リードバルブ241の他方の端部が振動する。その結果、上記リードバルブ241の他方の端部の振動がグリース21に加わって、グリース21から基油が分離される。この基油は、液体潤滑剤通路30を通って、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入り、外輪側軌道溝17の外側間座219側の部分に付着する。これにより、上記外輪側軌道溝17、内輪側軌道溝18および玉15が基油で潤滑される。
【0103】
このように、上記基油の搬送に圧縮エアを用いないので、特開2002−130303号公報でのオイルの飛散は起こらず、工作機械を使用する環境が劣悪にならないようにすることができる。
【0104】
また、上記外輪軌道溝17、内輪側軌道溝18および玉15を基油で潤滑するので、攪拌抵抗を小さくできて、寿命を長くでき、メンテナンスフリーとすることが可能である。
【0105】
また、上記リードバルブ241の他方の端部の振動によって、グリース21からの基油の分離が促進されるので、外輪13の内周面と内輪14の外周面との間に入る基油の量を増やし、オイル潤滑と同等の性能の潤滑を行える。
【0106】
また、上記外側間座219に、グリース21を貯留するグリース貯留部222を形成しているので、グリース21の補充回数を減らし、メンテナンス性をさらに向上させることができる。
【0107】
また、上記液体潤滑剤通路30のアンギュラ玉軸受11の端は外輪軌道溝17、内輪側軌道溝18および玉15の近傍に配置されているので、外輪軌道溝17、内輪側軌道溝18および玉15に基油を効率良く供給することができる。
【0108】
また、上記グリース貯留部222内にリードバルブ241を配設すると共に、内側間座220の外周面部の一部を磁化して磁石部242を形成するので、液体潤滑剤供給装置212を小型化することができる。
【0109】
また、上記加振装置224はリードバルブ241および磁石部242からなるので、上記第1,2実施形態のような電力供給を受けなくても、グリース21に振動を加えて、グリース21から基油を分離できる。
【0110】
また、上記加振装置224はリードバルブ241および磁石部242からなるので、壊れ難く、保守が容易である。
【0111】
上記第3実施形態では、軸受装置201は、単列アンギュラ玉軸受11を備えていたが、複列アンギュラ玉軸受を備えてもよいし、アンギュラ玉軸受以外の例えば円筒ころ軸受、円錐ころ軸受などを備えてもよい。
【0112】
上記第3実施形態では、グリース21を用いていたが、グリース21でなくても、固体状、半固体状もしくは粘ちょう状の潤滑剤、または、潤滑剤含有樹脂組成物である非液体潤滑剤であれば用いてもよい。この潤滑剤含有樹脂組成物としては、例えば、PE(ポリエチレン)にオイルを加えて固形化したものがある。
【0113】
上記第3実施形態では、外周面部に1つの磁石部242を有する内側間座220を用いていたが、外周面部に複数の磁石部を有する内側間座を用いてもよい。
【0114】
上記第3実施形態では、磁石部242は、内側間座220の外周面部の一部を磁化したものであったが、内側間座の外周面に設けた凹部に嵌合させた磁石であってもよい。
【0115】
上記第3実施形態では、グリース貯留部222内の空間は、外輪13の軸線に垂直な断面において略円弧状になっていたが、外輪13の軸線に垂直な断面において環状にしてもよい。
【0116】
上記第3実施形態では、外側間座219にグリース貯留部222を1つ形成していたが、外側間座19にグリース貯留部222を周方向に所定間隔を隔てて複数形成してもよい。つまり、本発明の一実施形態では、非液体潤滑剤貯蔵部の数は、単数でも複数でもよい。
【0117】
上記第3実施形態では、1つのグリース貯留部222内の空間が、1つの液体潤滑剤通路30を介して外輪13の内周面と内輪14の外周面との間の空間と連通するようにしていたが、1つのグリース貯留部222内の空間が、複数の液体潤滑剤通路30を介して外輪13の内周面と内輪14の外周面との間の空間と連通するようにしてもよい。つまり、本発明の一実施形態では、1つの非液体潤滑剤貯蔵部に接続する液体潤滑剤通路の数は、単数でも複数でもよい。
【0118】
また、本発明の軸受装置は、工作機械以外の機械であっても使用でき、特に、高速回転する軸を有する機械に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0119】
1,201 軸受装置
12 液体潤滑剤供給装置
13 外輪
14 内輪
15 玉
16 保持器
17 外輪側軌道溝
18 内輪側軌道溝
21 グリース
22 グリース貯留部
24,224 加振装置
26 温度センサ
27,127 制御装置
28 回転速度センサ
30 液体潤滑剤通路
241 リリーフバルブ
242 磁石部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に軌道面を有する外輪と、
外周面に軌道面を有する内輪と、
上記外輪の上記軌道面と上記内輪の上記軌道面との間に配置された複数の転動体と、
上記複数の転動体を保持する保持器と、
上記外輪の上記内周面と上記内輪の上記外周面との間に液体潤滑剤を供給する液体潤滑剤供給装置と
を備え、
上記液体潤滑剤供給装置は、
上記外輪の上記内周面と上記内輪の上記外周面との間に連通する液体潤滑剤通路と、
上記液体潤滑剤通路から上記外輪の上記内周面と上記内輪の上記外周面との間に上記液体潤滑剤を供給するために、固体状、半固体状もしくは粘ちょう状の潤滑剤、または、潤滑剤含有樹脂組成物である非液体潤滑剤に当接して、上記非液体潤滑剤に振動を加えることができる加振装置と
を有することを特徴とする軸受装置。
【請求項2】
請求項1に記載の軸受装置において、
上記液体潤滑剤供給装置は、上記非液体潤滑剤を貯蔵する非液体潤滑剤貯蔵部を有し、
この非液体潤滑剤貯蔵部内に上記加振装置を配設したことを特徴とする軸受装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の軸受装置において、
上記外輪と上記内輪との少なくとも一方の温度を検出する温度センサと
上記温度センサが検出した温度に基づいて、上記加振装置を制御する制御装置と
を備え、
上記制御装置は、上記温度センサが検出した温度が第1温度であるときにおける上記加振装置の振動時間、振動数または振幅が、上記温度センサが検出した温度が上記第1温度とは異なる第2温度であるときにおける上記加振装置の振動時間、振動数または振幅と異なるように制御することを特徴とする軸受装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の軸受装置において、
上記外輪または上記内輪の回転速度を検出する回転速度センサと
上記回転速度センサが検出した回転速度に基づいて、上記加振装置を制御する制御装置と
を備え、
上記制御装置は、上記回転速度センサが検出した回転速度が第1回転速度における上記加振装置の振動時間、振動数または振幅が、上記回転速度センサが検出した回転速度が上記第1回転速度とは異なる第2回転速度における上記加振装置の振動時間、振動数または振幅と異なるように制御することを特徴とする軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−144921(P2011−144921A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217017(P2010−217017)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】